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きょうの気付き 3枚目
2022/03/12 04:50
そうげん   <sougen0202@gmail.com>
https://twitter.com/sougen2022

スレッドも3枚目になりました。2枚目はムーブメント氏の「アホか」のコメントで無事100件に到達。「あほはおまえじゃ、死にさらせカスが」という言葉を裏の101個目のコメントとしておきます。
それはさておき、井上靖さんの『しろばんば』・『夏草冬濤』を13、4年ほど前に読み、最後の『北の海』だけ読まないままでした(ずっと気になってたのですがなかなか読む機会がなくって)。
しかし、先日立ち寄った書店で新潮文庫の棚に書名を見かけていい加減読んでしまおうと購入し、おととい読み終わりました。
有名な三部作ですので読まれた方もかなりあることでしょう。作者の書きぶりが、どことなく漱石の『坊っちゃん』に似ている。先生、元同級生とのやり取り、柔道か勉強かのあいだで揺れる生活。避けては通れない恋の目覚め。そばで見ているとバカなことしかしていないようで一向に悩みはなく、浪人生活にあってごくらくとんぼのようにいつもふわふわふらふらしている。よく動き、よく食べる。
なんというか、明るくて快活でとても清々しい青春物語でした。

スレッド1枚目 https://sakka.org/opinion/thread/index.cgi?mode=past&no=1664
スレッド2枚目 https://sakka.org/opinion/thread/index.cgi?mode=past&no=1753
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夜の雨
 2022/04/11 18:56

きょうの気付き 3枚目
『ナイトメア・アリー』の映画観てきました。
そうげんさんの紹介でギレルモ・デル・トロ監督の映画うんぬんと書いてあったので調べてみると、彼の映画は以前に複数観ていました。
映画を観るのに監督名を意識していなかったので調べてみてびっくりです。
>ヘルボーイ
>パンズ・ラビリンス
>シェイプ・オブ・ウォーター
そして今回の『ナイトメア・アリー』でギレルモ・デル・トロ監督の映画は四作目でした。

『ナイトメア・アリー』以外の作品はファンタジー系になりますが、今作は現実的な作品で、現実世界にあっても不思議ではない物語でした。
今までの映画が夢物語で今回は現実路線にハンドルを切った、というところでしょうか。
「ダーク」な映像美に期待したのですが、そのあたりはぼちぼちでした。
「見世物小屋」とかの世界にある程度はダークな映像美はありましたが、現実的なところを描こうとした作品なので、映像美もダークに徹しきれなかった。
わかりやすく書くと「詐欺師」の話ということになります。
もっとわかりやすく書くと「やくざ」の世界で、「獲物(女をスケコマシして売春婦として堕としめいて)」それで生活の糧としている。
この「獲物の女」が『ナイトメア・アリー』では「獣人(ギーク)」にあたり、アル中などの世の中から外れた「世捨て人」を「獣人(ギーク)」に仕立て上げる。

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夜の雨
 2022/04/11 20:48

きょうの気付き 3枚目
こういった構図。(800字しか書き込むことができなかったので、上の続き)
『ナイトメア・アリー』では「獣人(ギーク)」=「やくざの世界」では「スケコマシした売春婦」にあたる。
『ナイトメア・アリー』の主人公は「獣人(ギーク)」の作り方を見世物小屋で教わったが、主人公は野心を持ち、のし上がろうとした結果、失敗して見世物小屋で「獣人(ギーク)」をするしか生きていくことができなくなった。
つまり売春婦の作り方を教わったにもかかわらず、自分が売春婦になったというお話でした。
途中で成り上がる過程があり、そのあたりの「実力をつける」エピソードが見世物小屋で主人公がいろいろと勉強していく。勉強した結果、「いけると思い」成り上がろうとして、失敗して「獣人(ギーク)」にならざる負えなくなった男(主人公)の話。
2時間30分楽しめましたが。
原作本(扶桑社)も手に入れましたが「獣人(ギーク)」の作り方詳しく書いてありますね。種明かしというのでしょうか。

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そうげん
 2022/04/13 05:57

きょうの気付き 3枚目
夜の雨さまへ

コメントをくださり、ありがとうございます。わたしはまだ「第十章 月」の途中に差し掛かったあたりです。序盤を読んでいて思ったのは、スタンもモリーも幼少期から十分に母の愛を受けることができなかった。スタンは父と対立し、モリーは父を妄信する。かつての父に見た魅力的な要素を見世物小屋を救ったスタンの弁舌による英雄的行為に透かし見るけれど、それがまやかしであることにのちのちモリーは気づくことになる。現代にもまま見ることのある、男女が出会い、結ばれ、結婚生活から幻滅そして離婚に至る経緯と同じ作用がここに発生していることに気づかされています。スタンは獣人を観たときから、そして読心術に接したときから徹頭徹尾自分の利益を考えて行動する性格として描かれています。戦後すぐに成立した物語、降霊術について、心理学について、著者がどのように受け止めているのか、それを思いながら読み進めようと思ってます。

そうげん
 2022/04/13 05:56

きょうの気付き 3枚目
またわたしは人から獣人へ、そこから中島敦の「山月記」の、人から獣(虎)への流れにイメージが重なり、その奥に、カフカの『変身』に対するリスペクトがあるんだろうか、どうだろうという点も気になってます。

スタンが獣人の立場に落ちる直接的な原因は何だったんだろう、名誉? 金銭? 支配欲? 執着? 利己的な性格? 他者(弱者≒モリー)の痛みをわからないため? そもそも人を殺すような行動に出るような人間性を形作ってしまったから? 小説ではスタンの幼少期の思い出が多く語られます。両親の間の不和、そもそも両親ともに他の相手と寝ているようであり、それを子供ながらに察していたらしいこと。そこから成長したスタンの性格に結びつくなにかがあると感じながら読み進めています。

いってみれば見世物小屋で芸を披露する者は、みんなある種の奇形児である。みんな裏になんらかの理由を抱えながら見世物を披露している。

今作の映画の製作者は、映画に関わる人たちだから、きっと映画業界に対する風刺も入ってるのだろうなと思わないでもありません。あえて1940年代の古い作品を掘り起こしてきたのだから、現代に問うてみたい問題が監督の中にあったんだろうなということはわかりますが、それがなんなのか。読み進めていきます。

そうげん
 2022/04/13 06:12

きょうの気付き 3枚目
>『ナイトメア・アリー』では「獣人(ギーク)」=「やくざの世界」では「スケコマシした売春婦」にあたる。

ああ、はじめは甘い言葉で誘っておきながら、相手を籠絡したのちは、逃げ場を断ってしまって引くに引けない場所においつめる。あとは相手を好きなようにあやつる。

それは支配人と獣人の関係であるけれど、スタンとモリーの関係でもあった。しかしスタンは失敗した。スタン自身、より大きな運命に導かれて? 引きずられて? 自身、鎖につながれ、逆さづりの「吊られた男」としての運命を甘受するにいたった。

ホルマリン漬けの「エノク」は今回の映画のオリジナルの道具立てだったのでしょうかね。いまのところ小説には出てきてません。


●【ネタバレ解説】映画『ナイトメア・アリー』ホルマリン漬けの胎児・エノクの正体とは?エディプス王との関連性は?徹底考察

https://filmaga.filmarks.com/articles/158963/

ネットにはいろいろな考察が出てますね。

そうげん
 2022/04/13 08:28

きょうの気付き 3枚目
さいきんのラノベコンテンツだったり、青春もの、学園モノに、あまり親世代が登場しないのは、作者自身に、両親に触れたくない、もしくは亡き者として扱いたいという願望として、ミュート(無視=居ないもの)して扱いたい願望があると思っていて、それだけ親子関係に断絶が起こってるんじゃないのと思う処があって。かつての作品には自身の成長してきた土台としての家庭環境上の葛藤、父や母をフィクションをベースにあるタイプとして描き出すというポジティブな創作意欲があったんだろうけれど、いまはそもそもそういったものを無きものとして扱う、自分の周りには自分の見たいものだけを配置する、という創作方針が罷り通るようになったんだと思ってます。大家族時代から核家族へ、が昭和から平成、しかし平成から令和になって、家族の中の個々人がそれぞれに自分の見たい夢の中に逃避するようになった。つまり超個人主義。狭い価値観の中で描かれる作品に人物の心の動きを捉えて面白いと思う気持ちはあるけれど、そもそもの世界観が異なる年齢も立場も異なる人との衝突だったり和解だったりも描かれてると、わたしはより一層関心をもって読みこめるんだけどなと思ってます。エディプスコンプレックスって古いけれどいまだに色あせない要素を持ってると思うのですけどね。これをうまく活かせば新しいステージを描くことも可能になるとまで思ってます。

夜の雨
 2022/04/13 16:14

きょうの気付き 3枚目
子供から大人になる過程において親は乗り越えなければならない存在だと思います。
ふつうは思春期あたりから「親離れに」なり自立する。
親は親で「子離れする」という事になりましょうか。

そうしないと新しい家庭を作れないですからね。
子供は親離れして自立して家庭を持つ。
そこで子供を作り自分が親になる。
この繰り返しがふつうですから。

まあ、近頃は新しい家庭を持たない「者たち」が増えてきていますけれど。
社会の影響(時代)もあると思いますが。
ある意味、一人でも生きやすい時代になったというか、そんな社会の流れです。
>エディプスコンプレックスって古いけれどいまだに色あせない要素を持ってると思うのですけどね。これをうまく活かせば新しいステージを描くことも可能になるとまで思ってます。<

『ナイトメア・アリー』も、エディプスコンプレックスと関連付けているのかな。
まあ、どちらにしても、面白い題材の小説を書くとして、その主人公の育った背景には「両親」が重要な役目をしていたというエピソードがあると、物語が深くなるのではありませんかね。

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そうげん
 2022/04/16 08:51

きょうの気付き 3枚目
夜の雨さまへ

今年に入ってから一部界隈で話題になった漫画『タコピーの原罪』でも親子関係が取り入れられ、周囲との間の不和であったり、集団の中での孤立であったりを多少おどろおどろしい表現も加えながら、先日話は無事幕をおろしました。上下巻でコミックスも刊行されました。集英社のジャンプ系列のネットサイトで連載されていました。

古くは毒親問題と呼ばれるもので、少し前に『血の轍』を四巻まで無料の時にネットで読んだのですが、ここにエディプスコンプレックス的なものが色濃く出ていると思いました。

中学・高校生から、二十代あたりの層に直撃する場合と、三十代あたりに直撃する場合でどこにヒットするのか要素が異なるかもしれないとも思っています。子育てに失敗したと思える四十代以降にも刺さる部分はあるのかもしれないけれど、それはわたしはわからない話なので置いておきます。

『ナイトメア・アリー』の原作の作者は、結婚して離婚というのを二度繰り返して、再婚を繰り返したそうです。結婚生活がうまくいかなかった。薬物中毒にもなって、最後は平均よりも若い年齢でこの世を去ることになったそうです。ヒット作と言えるのは、この作品だけで、あとは書いてもさほど売れなかったようです。

ナイトメア・アリーには作者の人生観が色濃く反映されているという話です。

そうげん
 2022/04/16 09:10

きょうの気付き 3枚目
そして今回のギルレモ監督版は、前述のURL先にもある通り、以前降霊術を真剣に捉えてすがってしまう人を目の当たりにして、なぜそんな風に騙されてしまうのかといったことが気になって、今回の作品に仮託して、詐欺師の手腕とその裏側を描こうとされているようでした。

原作版と映画版では、何を描き何を描かないかの選別がそれぞれ異なっているようです(世の中の原作アリの創作物は、編者のアレンジによって成り立つものですから当然ですけど)。映画版は映画版。原作版は原作版とわけて読んでおります(と、まだ10章から進んでませんけれど)。

昨夜はブックオフで110円で購入した岩波新書、コリン・コバヤシ著『ゲランドの塩物語 ―未来の生態系のために―』を読んでました。ゲランドの塩の花。わたしも仕上げの塩として使ってます。こんな歴史があったのかと興味深く読んでおります。日本の瀬戸内あたりの伝統的な製塩法とはちがって、土地の地層を利用してはじめて可能な製塩法なんだなと思わされました。

そうげん
 2022/04/17 23:25

きょうの気付き 3枚目
●コリン・コバヤシ『ゲランドの塩物語―未来の生態系のために―』(岩波新書)

70年代から80年代にかけて吹き荒れたリゾート開発の波に対抗して、ゲランドの塩職人たちは自分たちの塩田を守ることに成功した。利益を追求する企業や団体は、ゲランド産の塩が有している特殊性をまったく理解することがない。塩なんてしょっぱいだけのなんでも同じものだという認識でいたのかどうか。地層的に、天日塩を作るのに理想的な構造をしているのがこの地域だった。

この地域のフルール・ド・セル(塩の花)を一時期よく使用していました。ミネラルの含有量がほかの産地の塩に比べて段違い。岩塩ともちがうし、日本で製造される塩ともことなる。

テロワールを活かしたモノづくり。経験と引き継がれる伝統がものをいう製品の魅力。どちらもぶちこわした現代社会の例をいくつも知っているから、この希少価値は大切に守られて行ってほしいと思いましたよ。

そうげん
 2022/04/30 04:37

きょうの気付き 3枚目
購入してから二か月。寝室の床上に放置していた高橋和巳全集をようやく手に取りました。第一巻、月報。友人の談によると高橋はお酒を飲んでいるときにふいに泣きだすことがあった。理由はいま(高橋の没後当時)でもわからなかったらしい。しかし高橋作品のいくつかを読んだ限りにおいても、きっとそうだろうなと思い当たることは多数。戦後すぐに教師を含め周りの大人も級友たちもさらっと態度を翻すさまを目の当たりにして、その体験を抱えて生きていかれたのだし。そしてその想いや感覚が、一巻冒頭に附された詩のなかにも描き込まれていると感じます。「森の王国」、「子供たちに与う倨傲の歌」、「生ける朦朧」。そして小説習作の「月光」、「淋しい男」。はじめからこういったことを書き得る人だったんだなと思い直しました。そして「捨子童子」を読み始めました。やっぱり埴谷雄高さんとの近さを思います。早々にイワンの大審問官に触れられてました。途中Switchでゲーム中断しましたけど、いまからまた続きを読んでいきます。

そうげん
 2022/05/09 09:01

きょうの気付き 3枚目
以前ならばソースはどこか、出典元をあかせ、といわれて慎重になっていた情報の取り扱いが、検索でちゃちゃっと出して、ここに書かれてあるからと信じる人が割合として増えている(のか、あるいはそういう人の悪目立ちが増えてきた)ようです。

信じたいものだけ信じて、見たいものだけ見ている人たち。

もしアンチコメントをぶつけられて、こちらが真実は別のところにあるのに放置しておくと、そのアンチコメントの内容が独り歩きして真実の皮をかぶるようになってしまう。

低能者にいくら反論したところで、だらだら食い下がって、こちらの時間が削られるとなったら放置するのが最適解と思うのだけど、その選択をすると、情報弱者が蝟集してデマでもなんでも、あることないことなんでもかんでも増幅して拡散する。度し難い烏合の衆。

※ 伝言板のパンの話題は、私の手元にはいくつかの日・仏のパンのレシピもあるけど、wikipedia情報でさくっとすませたことに不満を持つ人もあるようですね。

そうげん
 2022/05/11 10:53

きょうの気付き 3枚目
いまから十数年前、まだヤフーメッセンジャーが現役だったころ、夜な夜なある人が立てた部屋に入り浸っていました。そこを訪問するのはだいたい固定メンバーでわたしはそのなかの一員でありました。自分で創作小説を書いている人たちの集まりでした。そこでは文章を打ち込んでやり取りするいわゆるチャットでの交流だったのですが、毎夜毎夜集まって何をやり取りするかというと、だいたいがジャンルを問わない雑談。特に創作周りのことを話すと限るでなく、いま自分が関心を持っていることとか、さいきん出くわした印象的な出来事とか、よもやま話に類することでした。あるとき空気を読まない私はこういいました。「創作部屋なのに雑談しかしてない。それでいいの?」と。すかさず部屋主さんがご指摘くださいました。「雑談のなにがいけないの? 創作のヒントにならないものなんてないでしょう」と。わたしは脳裏に一棒を食らった気分でした。そうか、そうだったか。そうなんだな。わたしが狭量だったんだ。気持ちを入れ替えました。そしていまだにその部屋主さんとは、Twitterでも交流をつづけています。数少ない創作畑でお互い頑張ってきている盟友って気持ちで勝手に思っています。

maintenance
そうげん
 2022/05/12 09:51

きょうの気付き 3枚目
調理の世界も芸術の世界と同じで、基本「いいものはいい」ということに尽きます。モーツアルトの音楽は比較的多くの人が高評価をつけると思います。夏目漱石や芥川龍之介の小説について評価は過半がよしとするものだと思います。これは評価者が過去になにを体験し、どのようにその体験を受容してきたかという来歴によって変動する要素であり、比較的万人に受け入れられる優れていると受け止められる仕上がりの物品というものは、確実に存在するわけです。もちろん例外はあります。わたしはこれが嫌いだ。認めない。という例外はあります。しかしこの際、このような異分子はマイノリティでしかありません。経験値が足らないことによるイレギュラーな評価と却下することが可能です。料理の話。これも、食べるものが専一な作り手による特徴的な味付けのものばかり食べている(母親の料理しか受け付けない。妻の料理しか食べられない等)、広範な範囲の外食の経験がない、苦手な食材が多すぎて、ものを食べるに適していない、自分で料理を作った経験がない、そもそも食に対する関心が希薄、これらを読書界隈に置き換えてもいい。音楽の視聴の好悪について適応させて見てもいい。これはたんに受け手側の経験不足というしかない。いいものはいい。これがわからないのは、単に受け手側の経験不足でしかないということです。

maintenance
そうげん
 2022/05/12 10:02

きょうの気付き 3枚目
学校で習ったときも毎食試食はしっかり試みました。選び抜かれた食材、調味料によってどのような味付けのバランスに仕上げることを目指されたものか、そしてトータルの仕上がりの味付けによって、食べた側にどのような印象を持ってほしくて、あるいはどういった影響=変化を与えたくてこのような味付けのバランスにされてあるのかというポイントを、授業終わりの限られた試食(だいたいの生徒は授業終わりとともに退室してしまう。なんのために調理師学校に来ているのか謎だったけれど)の機会に自問自答しつつ、さまざまな料理の味を精一杯のキャパシティで受け止めていました。それはフランスに在留していたときにも、各レストラン・ビストロで崩さずにいた姿勢です。この店舗はお客さん(クリヨン)にこういった気持ちになってほしくてこういった調味を心掛けているんだなとか、そういった底意も見透かすことができました。パリの「L'AMBROISIE」は特によかった。そのときの印象を東京で勤めていたときにシェフに話したらシェフもその店に来店したことがあったらしくわたしの印象を最大限の歓待で受け止めてくれました。どういった味付けが人に好印象をもたらすか。これは短い調理経験の中でもわたしが重視していたポイントでした。フランス料理を基本に考えるとともに、中華の合わせ調味料も視野に入れるから、味付けは足し算が基本と考えています。どの要素を組み合わせて仕上がりを演出するか、そこを見誤まらなければ、まずい料理などというものはまず出来上がる道理がないのです。

maintenance
そうげん
 2022/05/23 05:41

きょうの気付き 3枚目
●高橋和巳「捨子物語」
戦前世代に棄てられた戦後世代の生き方について示唆されていると受け止められうるラストでありました。火垂るの墓かなと思われるような、末っ子美之(みゆき)との別離もむべなるかな。戦後の男子として、若死にすることは恥と思えという、戦中の反省を著者自身がここにこめるような熱の入れようで書かれてありました。空襲に遭い、焼夷弾によって住んでいた地域が焦土と化すシーン。それまでの気持ちの通じ合うことが絶えてなかった血の繋がらない母の狂相がクローズアップされて、わたしも家族に対して感じている違和感を深堀りされた感覚があって背筋が冷えました。線路に身を横たえてすべてをあきらめたとき、力強い男の手によってふたたび生の世界に引き戻される主人公。自分の力によって生き抜いていくしかない。額に汗して、機械油の匂いを身体に染みつけさせながらしぶとく生きていく。戦後間もなくの社会における希望のよすががそこにあるような印象でした。しかしいまは令和。戦後復興と違って、平成不況、令和の没落。思うことがたくさんありました。読むのに半月以上かかりましたけれどもね。全集は全20巻。やっと1巻が読み終わります。

maintenance
そうげん
 2022/05/24 13:20

きょうの気付き 3枚目
高橋和巳「捨子物語」。一読。空き時間にちょっとずつ読み進めてかかった日数、半月以上。仕事の休憩時間に読んだりもしてたわけだけど。文章がきりっとして読んでいて気持ちいい。魔の山の翻訳を読んだときの感覚に似ている。高橋義孝さんの訳文にも似たテイストがありました。しかし捨子物語は日本語による一次文。著者が選び抜いた言葉で書かれてあるから、気持ちはストレートに伝わる。読むのにずいぶん時間がかかりました。しかし読みっぱなしでつぎに進むのは勿体ない。全体像が見えたからこそ、あいだをあけずにもう一度はじめから読んでみようと思ってます。綾子・主人公・美之の三人きょうだい。主人公はよそからもらわれてきた子で、家族の中で唯一血がつながっていない。父不在の家庭において母の存在は大きい。実母でも測りかねる部分があるのに血の繋がりのないあかの他人である母に対してどのような距離感を保つのか。主人公の後半の気付きは、わたしも背筋が震えた。さあ。とにかく読んでいこう。高橋文体に接している時間が楽しみであり、親しみを覚えるひとときであります。この楽しみが20巻分もあるなんて、控えめにいって最高というしかない。

そうげん
 2022/06/07 03:20

きょうの気付き 3枚目
「譲葉とネリネ@FLOWERS秋篇」は「陽と月@かけあうつきひ」だったんだなという本日の気付き。相思相愛の二人の関係性っていう側は自然と似た属性を呼び寄せるということなのか。冬篇が本番って気がしてるので、秋篇はいわゆる消化試合なんだけど、一年年上の譲葉・ネリネの大人びた二人の関係性の変化が秋という季節柄につらなる化学変化によって、おそらく人生の悲哀のいくつかを垣間見せてくれると予想。

そうげん
 2022/06/18 05:50

きょうの気付き 3枚目
●小川榮太郎『「保守主義者」宣言』

わたしは日本語、言葉の問題からいって、保守のカテゴリーに属する考え方をすることが多いです。古典や伝統を尊重したいと思っているために。言葉遣いも、可能な限り地に足の着いたものを使用したい。小川氏からは、本書冒頭において、保守と、現在の○○保守と、さらに保守主義者もそれぞれに意味が異なると示したうえで自身の態度表明から始められている。政治と文学。小川氏の立場はいまとても微妙なのだけど。この三分類の中ではわたしは先頭の保守にあたるけれど、保守主義者ではないと思っている。党派とか政治の問題について実際に行動するところまで自分は思い詰めていないために。実際のところ、第一部第二部よりも第三部のより文学に寄り添った話の方に強い関心を抱いたものでした。

これは読書メーターに書いた読後コメント――

《2002年に刊行された第五次小林秀雄全集を揃え、なんて難解なんだろうと思いながら、それでも何度も繰り返し読んできました。第三部に著者のこのような言葉があります。《小林秀雄といふ人は文藝批評を確立したと言はれるけれど、実は彼のしたことを端的に言へば、思想を縦横無尽に語れる近代日本語を創造した事そのものなんだよ。》《思想的な苦闘をしてゐると、いつの間にか日本語ぢやなくなつちまふ悲劇をどうするかといふのが、小林さんの若い時からのテーマだった。》これらの言葉は得心がいくものでした。》

古今和歌集と源氏に焦点があたっています。

そうげん
 2022/06/18 09:07

きょうの気付き 3枚目
読了後、Amazonにつけられたレビューを見てみました。右派、左派的立場から反対側の勢力を糾弾するものもあり、わたしが興味深く読んだ、小林秀雄の『本居宣長』について、古事記に到る道は、眞淵の万葉集ではなく、折口信夫の源氏のほうに軍配が上がるというあたり。そして万葉よりもまずは古今に着目すべきという点も、自分の思う処に近かった。……けれども、本書を手に取り、読み、あまつさえAmazonにレビューを投稿する人のほとんどは、著者の政治的態度に惹かれ、そこに着目するのであって、古典や、文学、伝統について書かれた箇所について筆を割く余裕がないらしく悲しく感じる。

古典を通じて日本人が古来どのような考え方に立ってきたかを受容することなしに、伝統は守られない。伝統の断ち切られた先には、芯を失った根無し草が右往左往し、賢しらを立てるだけ立てて、それらしいことをいいながら実際にとるべきものはほとんどないという状況に陥る。

氏は文芸評論家であり、小林秀雄についての著作もある。国語・言葉遣い・文学のサイドから点検されないことには、この本はイデオロギーのための道具にしかなり得ないのではないか。そのように受け止められました。

そうげん
 2022/06/24 05:24

きょうの気付き 3枚目
●梯久美子『原民喜 死と愛と孤独の肖像』(岩波新書)

二十代のころ、新潮文庫で出会った作家原民喜は、はじめて読んだ頃、そこに書かれてある事柄の凄絶さに何度試みても悲しすぎて涙が止まらず途中で読み進めることができないまま、何度も試みては挫折するということを繰り返していました。知ってから5年後くらいにようやく文庫を読み通すことができました。その読めなかった理由が、本書の記述からもようやく理解されてきた次第です。原民喜という人がどんな人生を歩んできたのか。どのような姿勢で物を書いてきたのか。最愛の妻であり、唯一の理解者であった妻を喪った悲しみ。被曝体験。このことを書くまでは死ぬわけにはいかないという決意。そして今回初めて知った若かりし頃の遠藤周作との交友関係について。遠藤の『イエスの生涯』のイエスは、原民喜の人物が下敷きになっているそうで、先日、そうとは知らないままにちょうど新潮文庫の該当作を購入してあったので、これはどうしてもよまなければという気持ちに突き動かされています。一連の作として新潮文庫で後期の作を読んでましたが、おのおのの作にどんな経緯があったのか、それを新書で捉えることができました。原さんの著作を漫然と読むことはますますできなくなりました。

そうげん
 2022/07/18 14:22

きょうの気付き 3枚目
●佐江衆一『野望の屍』(新潮社)

2021年1月に刊行された、著者の最後の作品となった本書。これは史伝です。第二次世界大戦前夜から太平洋戦争終結までを扱っています。ドイツのナチスとヨーロッパ戦線。日本の大東亜戦争の流れと軍部の指揮系統のかみ合わなさ。なぜ日本とアメリカは戦うことになったのか。そもそも石油等、軍需物資が不足するようになったのはどういった国策の誤りからであったか。国民の命よりも国体を維持することが最優先であるからこそ遅れた戦争終結までの道のり。書かれる内容は書き手の選択によっておのずとメッセージが潜むものだろうけれど、これは一連の事象を一塊のものとして読み手に伝えることが主眼におかれていて、そのうえで読み手が何を思うかという自由の幅が大きくとられているようだ。著者の思想の押し付けにはなっていない。私心よりも、公徳心のほうに近い書き手の想いが感じとられた。

佐江 衆一(さえ しゅういち、1934年1月19日 - 2020年10月29日)は、日本の小説家。第9回新田次郎文学賞受賞。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E6%B1%9F%E8%A1%86%E4%B8%80

そうげん
 2022/07/24 17:48

きょうの気付き 3枚目
●Nintendo Switch用ゲームソフト
『放浪者〜フランケンシュタインの創りしモノ』

クリア時間だいたい2時間半。ボリュームは少ないですけど、表現されてる内容がエンタメ向きというよりもアーティスティック寄りの内容でありました。主人公につねに付きまとう孤独と喪失感。博士によって作られた存在は、その外見によって、人々に恐怖と憎悪を抱かせる。自分は普通の人とはちがうのだ、異物なんだ、怪物といっていい。人々の反応を通じて、プレイヤーにもそのことが自覚されていく。ゲームを彩る映像と音楽には優れたものがありました。謎解きの部分に、聖書やミルトンの失楽園やトリスタンとイゾルデなどの引用もあったりして、ゲームの製作者サイドがそういう部分にも関心を持ってほしいというのが伝わってくるインスパイア度合いでした。一巡目はどうやらバッドエンドだったみたい。二巡目以降、このゲームにトゥルーエンドは存在するのか。時間があればリスタートしてみたいです。

そうげん
 2022/08/02 18:08

きょうの気付き 3枚目
□新型コロナワクチン

わたしはいまも未接種ですけど、コロナに二回掛かりましたけれど、どちらも症状は軽くて、はじめに熱が出たあとは数日咳が出るのが困りものだっただけであとは症状もちゃんと消えてくれました。一度目は味覚障害も出てました。カレーを食べたら鉄の味がするし、何を食べても奇妙な味がする。面白い体験でした。二度目は味覚は問題なくて、風邪の症状とほぼ同じ。頭がぼうっとして、ときおり咳が出てという感じでした。熱の出た日だけ一日横になって、あとの日は自室で読書したりゲームしたり書きものしたりと特段ふだんと違ったことをするでもなく時間を過ごしていただけでした。ごはん・伝言板にあまり書き込まない理由――。ネガティブな感情に支配された場所に書き込むことに積極的な意味を見出せないから。鍛練場は見ています。いいなと思う作品があれば、またコメントを書き込むと思います。いまは『ベルリンに堕ちる闇』(ハヤカワ文庫HM)を読んでます。ふだんミステリは読まないのだけれど、タイトルに惹かれて購入した本でした。

そうげん
 2022/08/12 18:10

きょうの気付き 3枚目
●タムシン・ミュア『ギデオン ―第九王家の騎士―(上)』(ハヤカワ文庫FT)

ハヤカワ文庫FTから久しぶりに新刊がでました。7月刊行でしたが、このあと8月にもホームズ×クトゥルフのパスティーシュファンタジーが刊行予定にあがってるので、このままFTからどんどん新刊が出る流れになるとわたしは嬉しい。


さて、本作『ギデオン』。協調的にせよ抑制的にせよ、小説に女の子が出てきたらこうあるべきというような不文律が日本の創作物の多くにあるように感じてきましたが、今作の冒頭からその認識をぶんなぐられた気がして、その意外性がよかった。

冒頭100ページはひたすら我慢の読書。話が進むのは第一王家のある惑星に移ってから。第二から第九の王位継承者とその騎士がひとつの目標を目指してしのぎをけずる。上巻を読み終えたところですが、各エピソードを通じて登場人物の性格がようやく把握されてきたところ。

迷宮の探索はペルソナシリーズのタルタロス攻略、パレス攻略みたいだなと感じてます。下巻は各王家のスタンスの違いがあきらかになってきそう。競合するところがあったり、協力するところがあったり、離合集散も繰り返しそうな予感。

主人公ギデオンと、ネクロマンサーであり姫君であるハロウハークのコンビは言葉による殴り合いを繰り広げるけれど、これはいってみればうしおととら、乱馬とあかねだなと思わないでもなく。二人が両方とも年端も行かぬ女子というあたりがまた新鮮でした。

85年生まれの女性の書き手の作品。
女性だからこそ、ここまで互いに傷つけながらもどこかに惹かれるところを感じとる関係性を形にすることができたのかと思う訳であります。

風呂糸
 2022/08/17 12:59

きょうの気付き 3枚目
ただの呟き

>わたしはいまも未接種ですけど、コロナに二回掛かりました

普通に小説のネタになりそうですね。医学的な下調べは必要ですが。
感染したことで生じた不便さや不安、同居家族がいる場合といない場合、感染者が養生できる立場にいるかいないかでも話が広がります。
そうげんさんが接種しない理由は存じませんが、接種したくても体質的に接種できない人もいるわけで、そういう人はもちろん、接種済みで未感染の人にとっても興味深い作品になりそう。
この経験を小説に活かさない手はないと、勝手に思ってしまいました(もちろん書く書かないは、そうげんさんの自由ですが)。

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そうげん
 2022/08/20 04:02

きょうの気付き 3枚目
わたしはmRNAの仕組みを利用した今回のワクチンに十分な信頼を得られていません。同時に同じワクチンをはじめは二度といっていたのを、三度、四度、そして五度目も予定するという方針――これはどこかで書きましたが、末端の接種は保険が効いて無料ですけど、ワクチンを作った企業にしっかり日本のお金が回収されて行ってるということを冷静になって思うと、日本の保険料や税金を海外に上納してるんだよなと思う訳であります。

しばらく変異を続ければ症状は当初の重篤なものから軽度なものになる予測は立ってましたし、わたしが罹ったのは今年の3月と7月なので、十分に症状は弱いものとなってからでした。体はいつも動かしてますし、栄養もとっているからふだんの免疫力でなんとかなるとも思ってました。

自分で料理をするので、米も乾麺のたぐいもあるし、保存食の貯えもあるから不便はあまりありませんでした。あと家でできる暇つぶしっていくらでもありますから外に出られないことも特に不便はなく。

国外ではマスクをとっているところも見受けられますし、マスコミ煽動のコロナ騒動と、植え付けらた恐怖心の払拭はいつになるのかなと思っているところでした。

書きたいことはコロナよりは、やっぱりもっと前の大きな事件・出来事に関するものになってしまうので、どうしましょうか。

風呂糸
 2022/08/22 11:38

きょうの気付き 3枚目
返信ありがとうございます。
前述したように、もちろん書くか書かないかはそうげんさんの自由です。
タイムリーな題材なので、今書けば読者の興味を引きそうですが、その前に肝心なのは作者が題材に興味があるかどうかですよね。
これを書きたいという想いがなければ小説は書けませんし、「書きたいことはコロナよりは、やっぱりもっと前の大きな事件・出来事に関するものになってしまう」のであれば、今はそうげんさんが一番興味のあることを書くのが一番だと思います。

改めて丁寧な返信をありがとうございました。

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風呂糸代理人
 2022/09/21 21:31

きょうの気付き 3枚目
>もっと前の大きな事件

ってどんな事件ですか? 具体的に教えて下さい。具体的な事件名が無いと、コロナ以前のもっと大きな事件って何の事を言っているのか分かりません。具体的なイメージはお持ちでないような気もするんですが……。


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そうげん
 2022/09/24 05:49

きょうの気付き 3枚目
95年、バブルがはじけた後に発生したサリン事件と阪神大震災です。

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