作家でごはん!鍛練場
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 来客との約束の時間まであと何分も無いというのに、村井は時計と壁掛けのドアフォン子機を気にしながらソファーの周囲をソワソワうろうろとしており。来る会見のシミュレーションを脳内で繰り返しているようで。「出前はちゃんと予約したよな? 紅茶のカップはちゃんと暖めてから淹れるんだぞ」そう何度目かの繰り言を吐きつけられた汐奈が「ハイあなた、ちょっと落ち着いてくださいな」とソファに座らせてその背広の襟もとを正す。「威厳というのはまず余裕からとお父様も仰っておりましたよ。汗をおかきのようですから冷房を強めておきましょう」そうその額をハンカチで拭う。
ドアフォンが鳴った。玄関に駆けていく汐奈の背中を見守りながら、村井はソファーに腰を下ろして待った。できるだけ威厳が出るように努めるが、彼は誰かの顔色を伺い続けることでしか他人に認めて貰う手管を知らない。

「本谷と言います。柳目の遣いでまいりました。このたび皆様との窓口を担当いたします。以後、お見知り置きを」
 妻に誘われ、男がリビングに入ってくる。
「この度はお悔やみ申し上げます。お父上には生前たいへんお世話になったと、そう柳目が申しておりました」
 本人が出向かなかった事にすこしホッとしていた。柳目は村井程度にも少し聞き伝わるほどのフィクサーで、そういう人物の機嫌を直接に損ねることが一番恐ろしかった。もう、父は居ないのだ。村井が失敗したら裏で手をまわす老獪な護りはもはやこの家には無い。
 落ち着いて相手を観ると、ずいぶん奇妙な風体だった。まるで喪服のように黒のスーツに白のシャツ。すこし痩せ気味な体躯。そして頭にまるで似つかわしくないニット帽を目深にかぶっている。

 対面に座った柳目が妻の差し出した紅茶に目を落とす。「ほうマイセンのカップーーですか」
 情報回廊のお屋形様は紅茶を好むという噂を聞き、百貨店で一番高いティーカップを用意しておいたのだ。村井は心のなかでほくそ笑むが。
「いえただ、柳目も愛用しているものですから。ーー良くお調べになっている」そして本谷はふと何かに気づいたように眉根をぴくりと寄せる。「そうーージューゾーは偏執狂でね。コーヒーカップで紅茶を飲むべからずというルールを他人にも強請するのですよ」そう、首をかしげて作り物めいたほほえみで「じぶんの大事と他人の大事の区別が無いのでしょうね」といった。
「あの、ジューゾーとは?」おそるおそると村井はそう訊いた。
「従像ーー柳目の名の事ですが。ご存知無かったですか?」
「とんでもない、良く存じております」村井はあわててかぶりを振る。「ただ、ーー名前で呼び合うなんてーー本谷様と柳目様とはとてもフランクな間がらなのですね」
「とんでもない」そうしかめ面で顔を振るう本谷。「さきの噂噺はぼくの個人的な相棒から漏れ伝わって来たものなのです。しかしパートナーの方はぼくとは違い柳目と直接の主従関係には無いため、呼び名に対しても気兼ねする必要は無いワケだ。そうして、ぼくがそのコトバをこうして伝聞させる時、それはできるだけ逐語的で無ければならないと云うルールがあるのです」
「なるほどルール、ですか」話にまったく着いていけない村井が、一先ずおずおずとそう相づちする。
「ルールが無いゲームになどなんの意味があるでしょう? しかし、規約に縛られた世界というものは一言で云えば面倒くさいーー一先ず先生をそんなご面倒に巻き込んだことに謝罪しておきます」そう生真面目に深ぶかと頭を下げるニット帽を眺めながら、村井はソデで汗をぬぐう。ひょっとしたら自分はとんでもなく変な世界に足を踏み入れようとしているのではあるまいか?
 やがてあたまを上げた本谷が村井にじっと向き直る。まるで、自分のほうから言うべき事は一先ず出し終えた、と云った風情でくちを閉ざしてしまう。
「あのーーお話の前に、もし宜しければお食事でもいかがでしょう?」困ったときには一先ずシナリオ通りに進めておく。それは村井に本能の様に刷り込まれた対応だ。すると、ようやく男は口を開いてくれる。
「おもてなしには感謝します、だがぼくの心証などなんの意味も持ちはしませんよ。柳目はぼくから事実の報告を得たいだけだ。そして村井先生。ぼくは嘘をつけないのです。それが柳目がぼくなどを雇うほぼ唯一の理由らしい。柳目はその一族以外だれも信用を置いたりしない。新参者のぼくになどは、なおさら」
「そうですか」困ったようにわらうしか無い。もはや威厳などはどこにも無いだろう。「まいったな、出前を注文していて、私と妻もそれを夕飯のあてにしていたもので」
「出前?」
「ええ、近所の寿司屋に。この時期ここいら辺ではカツオが旬でしてーー鄙びた田舎ながら、おそれながら地元の名産をご賞味頂ければと」
「お刺身」本谷のひとみがクルリと揺れる。「さいわいながら美味しいものを食べるのは大好きです」
 まもなくして到着したカツオのタタキはまだ藁で燻された野趣あふるる香りをただよわせていた。にんにくの薬味を乗せたその切り身を醤油にひたしながら、本谷がもぐもぐと頬ばる。
「もし宜しければこちらに冷酒も用意してございます」そう言って妻の汐奈が冷蔵庫から日本酒をもって来る。
 それは確かに合いそうです。美味しいお酒は大好きですーーじゃ無い。「先生がお飲みになるのならぼくも御相伴に預かれれば幸いです」早口にそう言って、しかめ面で足下に向けておおきく俯く。スリーアウト。ここで今夜のおまえはお仕舞いだ。つぎに精進しろ。
それは小さな声だったが、なにやら剣呑な内容が確かに聞き取れた。アウトーーその冷徹な宣告に村井の身体が凍り付く。
「あ、あの。何か気に触るようなコトでも」
「申し訳ありません。じぶんを叱咤したのです。まだこの仕事に就いて日が浅く、たまに失敗致します。そんなときにはこの様にじぶんを奮い立たせたりするのです。奇妙に思われるでしょうがどうかご容赦ください」
「ーーまあ、お気になさらないで下さい」村井は来たる柳目との面会にあたり今日まで様々に想定を巡らせたものだが、そんなこんなは全て吹き飛んでしまっていた。
「いろいろと儘為らないものです。私も父が死んでからと言うものバタバタ続きで、じぶんはなんと世間知らずなのかと今更ながら思い知らされている所です。私と父とはまるで違うのに、同じようを引き継ぐことを周りから期待されています」
 汐奈が灰薄ずみれに染まったバカラのショットグラスに冷酒を注ぐ。
「先生は調度にずいぶんと気をつかって居られるのですね」
「皆様にはお酒を頂くにもなにか『ルール』が在ったりするのでしょうかね?」村井もようやく調子を合わせることが出来てきた。アルコールも入って、少し気がラクになった所もある。
「それは無いですね。柳目はアルコールを摂らない。興味もないでしょう」
「これは、私が父から受け継いだものの一つです」村井は飲み終えたグラスをリビングの灯りに透かした「まったく幾らくらいするのでしょうね? 政治家と云うのは人気商売です。父は人をもてなすに於いて財も労も厭いませんでした。そういう古いタイプの政治屋だった」
「おもてなしはお父上の薫陶という事ですか」本谷はショットグラスをぐいっと開ける。「時に先生は、いまは無所属の県議であられますが、いずれお父上の様に国政に打って出るご予定はございますか? そのようなビジョンを柳目は特別に重視します。もしその際にお父上の党に鞍替え、後釜を狙うお考えならツテもあるので是非私の本業の方に頼って欲しいとのことです」
 暗記した文章を読み下すようにそう言って、ふたたびコトは終えたという風情の本谷が村井を見て反応をじっと待っている。
「恥ずかしながらこのあたりが、今回ご相談差し上げたいあたりになります」そうして、話題は急に本題に触れる。村井は手酌でもう一杯飲み下し、こころの唇をしめらせた。
「父と違い、私は凡庸な人間です。県政に出たときにはやれ親の七光りだなんだと騒がれもしましたが、以来世間の皆様はもう、私のコトなどキレイさっぱりお忘れの事でしょう。県議としての収入は、まともな勤め人にも劣る程度です。そしてこの生業には色々な経費が付きまとうのです。妻が社長として経営する家具の輸入販社が生活の基盤ですが、これも不況の影響で芳しくありません」
「しかし、代議士としてのお父上は大臣を歴任された大物だ。現に、この様なご立派なお住まいでなに不自由無いようにお見受けしますが」
「ハリボテですよ。みんな、父のものです。この土地も、家も。ほか幾つかの不動産も。会社の株の何割かも。しかし父はそれを私に相続するつもりは無かったらしい。父の死後まもなくしてとある弁護士から連絡がありました。彼は父の遺言執行人に指定されているとの事でした。彼は父から預かったとする遺言状の内容を読み上げました。全財産を父の後援事務所の負債や職員への退職金等への清算に充て、これを解散すること。またその上で資産の余剰分については指定の資産管理団体に引き継ぐこと。つまり、父はじぶんの為した財については何も私に引き継がない、という事です。財産も支持基盤も含めて、全部。父の保有していた株式が他人に保有されれば最悪会社さえも失う事になる。私たち一家は路頭に迷うしかない」
「先生はその遺言状の存在をそれ迄ご存じ無かったのですね?」
「もちろん。そんな事想像もしていませんでした」
「その弁護士との面識は?」
「在りません」
「遺言状の実物はご覧になられましたか?」
「見せてくれとの申し出は拒否されました。ただ、遺言の内容に同意するか、しないか。同意が得られない場合は裁判所に強制執行の申し立てをするとの、その一辺倒でーー」
「理不尽な話だ、その様なことがあるのですね。そしてとても不思議な話です」本谷のまなざしが村井の眼にまっすぐ注がれる。
「そうなんです。どんな知人に相談してもそんな話は聞いたコトもないと首をかしげられるばかりでしてーー」
「ほんとうに、不思議な話です」本谷が外した視線を足下に落とす。「なぜ先生は弁護士事務所にでは無く、柳目に話を持ち込まれた?」
「それはーー」村井が口ごもる。食膳の仕度を終えてリビングに同席していた汐奈がその後を継いだ。
「信じられなかったのですーーべつに生前に不仲だったというワケでもない。そんなお父様が我々を見捨てるような遺言を残していただなんて。もし仮にその遺言とやらが本物であったとして、生前のお父様にもなにかお考えがあったのやも知れませんが、もはや故人と話すことは能いません。残されたわたしたちはどんな想いで生きてゆけば良いのでしょう?」
「つまりその怪しげな遺言状の実在の有無はともあれ、一先ずそれを無かったことにしてしまえば経済的にも精神的にもあなた方に大きな利益となるという事ですね」
「平たく言えば、そうなります」妻が言うが。情けないことに村井のくちは上手く動かなかった。
「なるほど、この度のご要望はそれで宜しいですか? 先生」
「そうです」そうなんだ、村井は肯く。立つ瀬も無いようなさきも見えぬ不安の暗雲。これを祓って欲しい。できれば、何も無かったことに。「しかしーーそんなコトが出来るのですか?」故人の意志を黙殺して無かったことにするなど赦されるのだろうか?
「それは」ーーぐるりと対面の夫婦に視線を巡らせる本谷。「どうやら二つの意味合いがありそうだ。一つには方略や方法論の側面、もう一つには倫理的な側面。前者について言えば、これからぼくが可能不可能を判断するための材料集めをさせて頂きます。そして後者に関して云えばご安心ください。柳目にはモラルというものが欠如している。法などはゲームに於けるルールの様なもので、ファウルを取られずに勝利するのが良いプレーヤーだと信じている。彼にとって大事なコトは依頼者の望みを叶えるために執り行うことが自らの正義を基礎付けるものであるか否かというその一点のみです」
「正義、ですか」なんだか、哲学的なんですね。
「そうですか? その価値観はむしろとても卑俗で凡庸だとーー相棒はそう評しておりましたが」本谷はきょろきょろと辺りに視線を巡らせて「えとつまり、それです」立ち上がり本棚の一角を示す。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』。

 神はあらかじめ救われるべき人間とそうでない人間を分けて造りました。人びとはそのことに気づくとじぶんが救われる側かそうでないのかを不安に想い、救われるべき人間を演じるようになりました。すると誠実で勤勉なるものが救われるべき人間であるはずでした。まじめで仕事熱心なものの足下には必然的にお金が積み上がります。いつしか財産は所有者の救済を保証する尺度として機能し始めました。そうして皆が禁欲的に効率的に利益を追求するようになりました。かように人間の心性と歴史というものは興味ぶかい。
 ジューゾーは正義を成功の連続が纏わせる風格のようなものだと想っている。その行いは手段に過ぎないため高度に効率化されています。論法は稚拙ですが、つたないから危険がないという訳でも無い。

「博識でいらっしゃるのですな」もう何度目か、呆気に取られながら一先ず村井はそう返す。
「残念ながら単なる請け売りです。今まで使う機会が無かったがーー。それはそう、マックス・ウェーバーのある食卓というものがザラには無いからですね」男はほほえんで、そう肩を竦める。

「それ、タダの飾りですよ」いつしかリビングの入り口から少女がかおを覗かせていた。高校生くらいだろうか。その後ろにはまだあどけなさの残る少年のすがた。「うちの中で誰も読んでるの見たこと無い。世の中、そんな無用な飾りを必要とする家ばかりじゃあないでしょうね」そうして村井と汐奈と本谷。三人の集うリビングに横目をちらりと巡らせて。「母さん、ただいま」そう小さく言った。
「律奈、お疲れさま。タカも。塾の方はどうだ、捗ったか?」村井がそう呼びかける。
 律奈は、なにも応えない。そのまま弟の手を引いて廊下へと消えた。やがてトタトタと階段を昇る音が響いた。
「お子さんですか」
「ええーーあの子らの為にも、今は私がしっかりしないと」村井が膝の上でぎゅっと手を握ると、汐奈がそれにそっと手を添えた。本谷はそれを見て、少しのあいだ見届けてーー。
「ぼくの相棒はこう言いました。『ジューゾーには気をつけろ』。個人的にぼくも同感です。ーー失礼ながらこんなにくだらない事でご主人は柳目に関わるべきでは無かった。柳目はなにも見返りなど求めてこないだろう。ただし事が終わったなら必ず、どんな手段を使っても奴のポケットに金をねじ込むコトをお勧めします」
「そうしないと、どうなるのですか?」
「柳目と先生はご友人になります」本谷は口角を持ち上げる、が、目がまじめすぎてそれはとても笑みには見えなかった。
「いつか、柳目が手段の駒として見合うと判断したとき、友人のよしみであなたに些細な頼みごとをするでしょう。それは無害にしか思えないだろうが。多くの場合じっさいそうなのだろうが。残念ながら柳目は常に目的しか観ない。あなたの運命にまで気遣いする器量はまだ有りません」顎に手をあてて、それはまるで自分に言い聞かせるようなコトバだった。
「忠告はしました。過分なおもてなしに対するぼくからのーーぼくにできる精一杯の返礼となります」

    *   *

 やがてまた、階段を鳴らす音。律奈が自室から降りてきた。
「帰ってきたと思ったらまた出かけるのか?」村井がそう問いかける。
「夏休みに入ったから夜間講習もあるのよ」彼女は玄関に向かいリビングをわたる途ちゅうでこちらに向き直る。「別に、あたしだって好きでやっているワケじゃ無い。一流大学に入らないと誰かさんみたいに地方議員止まりだからって通わされているだけ」言ってこれ見よがしに両手をひろげる。「でも、もうウチは大物議員の一家じゃあ無いの。親の七光り政治屋一家なんてばかばかしいゆめも終わり。ねえ母さん。ほんとうに予備校、止めても良いかな?」彼女は母親に向けてまじめな顔でそう訊いた。村井の方を一度も視ることはなかった。
「しかし律奈、勉強は大事だぞ。それで苦労した、他ならぬ俺が言うんだから間違いない。もしかして彼氏でも出来たのか?」かわいた空気をこわす様にして自虐した、村井がそう茶化して訊くと
 うるさい!
 その律奈の声はとても大きくて、否定のコトバと言うよりかは悲鳴や咆哮に似ていた。
「あなたなんてお父さんじゃ無い」さけびの余韻に乱れた声音でそう継いだ。
「どういう意味だ?」村井のふるえた声。怯えか、怒りか、だれにも分からない。
「文字通りのそのまんまよ。ーー予備校いってくる」先ほどの大声で何かが抜けてしまったかのように肩を落とし、律奈はカバンを肩に玄関から出て行った。
 
 シンとした室内に村井の溜息まじりの苦笑がこぼれる。「お見苦しい所をお見せしました。遅咲きの反抗期というヤツでしょうか。あの子は妻の連れ子でして、と言ってももうずっと暮らしているわけで、ずいぶん打ち解けていたハズだったんですが。ーーちょうど父が死んだ頃からかな、ぎくしゃくしだした。まったく泣きっ面に蜂ってとこですよ。家族が死ぬというのは大変は事ですね。色んな事が変わる。今、私がこんな風に参っているのと同じように、娘にも何かしら悩むところがあって、今の私にはそれを受け入れてあげるだけの余裕が無いのかも知れません」
 時間が経てばまた、昔みたいに仲良くなれますよーー、そう汐奈が落ち込んだ村井の背に掌をのせる。
「時間かーーそういえば妻を娶ったときも、このように少しばかり歳が離れているものだから最初は色々と揶揄されたものでした」
「そうでしょうか? ぼくにはお似合いの夫婦に見えますが」本谷はお世辞ではなく、二人を見比べる。どちらともまだ壮年の男女に見える。「申し訳ない、お手洗いをお借りしても宜しいでしょうか?」と請うた。

    *   *

 リビングを出ると右手に玄関。ひだりに進むと廊下のわきに階段の登り口が見える。その向こうにトイレがあった。そのすこし先で廊下は左に折れており、資料に依ればその奥に村井ーー国会議員だった村井翁の書斎が在るはずだった。
 ぼくはトイレを通りすぎ、その角の奥の風景を横目にながす。そのまま踵をかえして戻りトイレに入った。一般家庭には似付かわしくない両開きの重厚な扉が書斎の入り口だった。あれが村井翁の死に場所か。
『ようやく確認できた。避難経路はそのまま使えます。こちらの手元にある資料と現実の建て間にちがいは見られない。ーーしかしもっとさきにお借りして覗いておけば良かったのだわ』キャッシュがそう口をとがらせる。彼女はぼくらの住まいの健全を第一義に考える。
「なるほど、後学のために説明しておいた方が良いな。見知らぬ訪問者が突然トイレを求めたら不安や警戒を抱かれるかも知れない。だが酒を呑んだ後でなら話はべつなんだ」
『なんで、どうして?』てらいの無い好奇心のひとみ。
「杯を交わすというのはそう云う事だからだ。それに酒を飲めば誰だって催すものだからだ。ーーともあれ、開口一番トイレを求めるのは相手がよほど近しい間柄で無ければNGだ。おまえが柳目では無いのなら」
『なら分かりました。わたしはマナーを守るよ』
 ぼくは肯いて。「それにさっき、娘が叫んで出て行っただろう?」
『リツナちゃん、だったっけ。心配だね』
「すると親はもっと心配なんだ。それに家庭内の恥を他人に晒された。だから彼らが二人きりで話せる時間が必要だと思った」
『あらあんがいに優しい』
「彼らは複雑に惑い、混乱している。なにを、どうしたいのか、一先ず彼らの中で整理して貰わなくちゃなーー。ちなみに案外は余計だ。あと、さきにも言ったが現場にいまいち噛み合っていないからおまえ今日はもう喋るな」
 キャッシュの言外の衝撃がさざ波のようにこころに沸き立つ。
「時間も機会も幾らでもあるがクビになっては終わりなんだ。感覚登録器のテンポラリにしばらく注目してくれ。それで今日の仕事はお仕舞いだ。明日は朝からおまえの好きな煮込み料理でもつくろう」
 まだショックの冷めやらぬその蒼白なかおが漸くこくりと肯いた。
 
    *   *

「失礼しました」本谷がそうリビングに戻ると、食膳のたぐいは既に片づけられ、テーブルには湯飲みとお茶請けが設えてあった。

「甘い物は苦手ですか?」村井がわらう。「豆大福が父の好物でして。そう公言しておりましたので。今でも方々から送られてくる。しかし故人は大福を食べませんし、傷みも早いのです。どうか一つご協力いただければと」
「では頂きます」本谷は手を伸ばし、かじる。はむっとくちびるから始まるもち皮の感触につづき、噛みちぎればまずごろごろと口中にふれる粗雑な豆のかたち。それを奥歯で押しつぶす頃にはすでに内側の餡がなめらかに広がっている。甘い。そして咀嚼のあちこちにはじける豆の素朴な風味が甘みをまろやかに馴染ませる。その食感と味に脳裏で歓喜のさけびが必死に手で口を閉ざしている。
「おいしいです」そう素直に口がうごいた。
「ご存じないでしょうが、一言に豆大福と言っても世の中には数十もの名品があるのです。あんな厳つい男が甘味好きを表明すると存外に受けが良いのでしょうね。本当に父がこれを好きだったのかは未だによく分かりませんが」
「お嫌い、なのですか?」本谷はけげんに問う。
「いや旨いですよ。しかし単純に、よく食べれば、馴れるほど、飽きる前に旨く感じるというものでは無いでしょうか?」
「その様な思いであるのなら、これはぼくが頂いておきましょう」そう皿の最後のひとつに手をついて、咀嚼してほうじ茶で流しこんだ。胸中からシャン、と一鳴りよろこびが響いた。

「お代わりは如何です?」
「いえ、ありがとうございます。結構です」汐奈の勧めをやんわりと断って本谷は湯飲みを置く。
「時に、お父様には存命のご夫人が居るとお聞きしましたが」そう唐突に切り出した。
「母は、今は少しーー」村井が口ごもると、かぶせる様に汐奈が「奥様は家をお出になられました」と継いだ。「多世帯の常としてもともと折り合いが良くありませんでした。夫が亡くなりご自分が孤立したように思われたのでしょう」
「なるほど、込み入った事に触れてしまい失礼いたしました。ですが一つ、その奥方はどちらにお住まいなのでしょうか?」
「さあ、もともと良家から此処に嫁がれた方のようですから、住まいのツテも幾つかあるのでしょうね。詳細は私も存じ上げません」ーー興味がありません。そう言って汐奈がほほえむ「嫁姑の確執などはよくある話でしょう?」
「申し訳ありません」本谷がニットの頭を下げて。「どうやらさらに込み入ったあたりを訊いてしまったようです。ご容赦下さい。それでは、そろそろーー本題のものを見せて頂けますか?」
「本題、ですか」
「あなた方が御身の正義の証拠足りうると考えて居られる物ですよ。一先ず本日はその見分をさせて頂ければと思います。どうぞお見せ下さい。でなければぼくは職を失い路頭に迷うことになる」

    *   *

 これになります。大判の画像プリントがテーブルに広げられる。
「これはただの写真です。現物を見せてもらいたい」
「写真ですが、筆跡などで判断できるのではないですか?」
 本谷がかおをじっとのぞき込んでくるので、村井は思わず少し身を挽いた。
「どの様な検証が有効かは時と状況によります。ご協力を願いたい」そう告げて本谷は紙面に目を落とす。
 そのプリントは村井翁の日記の見開きの写しであるようだった、筆記は日付の記録から始まっている。
「日付は一年ほど前。しかしまるで黙示録の様ですねーー。じぶんの死についてか」
 その記述は日々の雑多な実務や食事の記録のなかに唐突に在った。黒インクで書かれたそれらから浮き立つように赤の筆跡で記されていた。
『某日我は消える。結び目は解けて消える。そして新たに拓ける。家と家人は残り新たな揺籃を為すだろう。これが我に残せる唯一の財産でもあった。その継続と維持のために必要な備えは済ませた事を記録しておく。以後この悩み事を繰り返す要は無し。惑うた時にはこれを読み返すこと。盲いた目は閉ざされ蒙は再び拓かれて、新たなる地平に陽の目を見るであろう。』
 そしてページの中程で記述は終わり、その左の空白の中央あたりに走り書きの様な追記。

『新しい世代が始まるだろう』

「日記をお持ちしました」汐奈が持ってきたのは重々しい、鍵付き革張りの立派な代物だった。
 テーブルに広げられたページは先ほどの写しそのままだ。
「これで宜しいですか?」そう汐奈の問いかけに、「できれば他のページも見せて欲しいのです」そう本谷が応える。
「疑うわけではないですが、これは偽造されたものであるかも知れない。すると前後のページは空白か、あるいはまるでデタラメな内容で埋められているという可能性もあります」
「まだお父さんが死んでから日の浅いため、わたしたちも内容にはまだぜんぶ目を通しておりません。何分故人の遺物ですので、家族よりもさきによそ様にお見せするのはーー少し」
「では、今はまだ読みません。ーー最初から最後までざっとめくらせて下さい。それでだいたいの雰囲気は判る」
 本谷は日記を面前に置き、紙面を束ねてつかんだ。親ゆびでその裁断面を舐めるようにしてパラパラとページをめくってゆく。
「確かに、これは本物の日記のようですね。妙な勘ぐりをして申し訳ありませんでした」言って日記を汐奈に返した。
「お読み頂ければ分かる通り父は清々しいまでのエゴイストでして。自分の財や功績を他人に譲ったり放棄したりなんてーー想像がつきません」村井は言ってかぶりを振る「まったくこんなのはたちの悪い夢のようだ」
「なるほど」そう本谷がソファから腰をあげる。「ご相伴に預かり、すっかり長居してしまいました。先生、またこちらから近日中にご連絡差し上げます」そう村井に向かいあたまを下げた。
「どうですかご助力は、頂けそうでしょうか?」そう心配げに見上げる村井に、まじめな顔でかぶりを振る。
「わかりません。その判断をするのはぼくでは無いからです。先生も良くお考えになっておいて下さい」
「なにを、でしょうか?」
「ご自分がなにを望むのか、それを本当に願うのか、というコトについて」

    *   *

 村井邸から最寄りの駅に向かう途中。まばらな街灯の灯りのもとですれ違った人かげに見覚えがあった。
「リツナちゃん、だっけ」ぼくが気づく前に振りむいたキャッシュがそう声をかけている。灯りの輪のすこし向こうで足を止めた律奈に「お疲れさま予備校帰り?」とわらいかける。相変わらずキャッシュはこどもに対してやたらと構いたがる。たぶんーー彼女の認識ではまだそちらの存在の方をじぶんと近しく感じるのだろう。ぼくはどちらかと云えばこどもが苦手だった。だからこうして対話の口火をまかせるコトへの抵抗もずいぶんと緩くなっていた。
「まさか」きゅうに気易いぼくの態度にすこし鼻白むように律奈がまなこを見ひらく。「あんだけタンカ切ったあとで黙もくと勉強できるほどまじめじゃあ無いし」
「それもそうか」キャッシュがつぶやく。「お休みしたいときもある」
「母さんたちの前ではやたら小難しいコト話していたのに、なんだずいぶんかるいね」
「その流れだとつぎの一言でわたしはあなたに嫌われることになるね」また怒ってさけぶの?キャッシュが言うと、律奈が息を呑む。「あなたもやはりそう。皆と同じように偏見であたしを見る。まああんなとこ見られたんだから仕方が無いかも知れないけど」そしてすこし俯いた。ーーさっきは叫んでごめん。驚いたでしょ。ウソだよみんなウソ。ただムカついたから叫んでやっただけなのに。みんな大げさに見んだから。くだんない情けないな、ーーホントはちゃんと予備校で勉強してきた帰りなんだ。
「勉強熱心、なんだね」キャッシュがそう微えむ。
「だって早く自立しなきゃあ。ひょっとして高雄ーー弟のめんどうだってわたしが見なくちゃいけなくなるかもしれない」律奈の嗤うような口もと。眉ねを寄せた黒目がちなひとみに街灯の光輪がぎらぎらと揺れ惑った。「きっと自分がしあわせみたいに思っていた。すくなくとも不幸では無いと。玉の輿だ大物政治家の一家なんだって周りから言われて、よく見えてなかった。あの人は狂っていたの。あたしだってーーもうまともに生きられるのかどうか」
「しかし君と血はつながって居ないんだろう?」ぼくはそう問いかける。
「家族性のなんとかってヤツよ。業は血よりも深いのよ」
「女子高生にしては、やけに思弁的だね」そう続けると、やすりにかけた様に律奈のひとみが警戒ににごった。「あれは図星だから怒ったの? 彼氏が居るから?」ぼくはさらにそう、あからさまに詮索する。
「ちがう、いまはそんなの居ないよ」律奈のこころはもうきびすを返し闇に消えようとしていた。けれど、
「ちゃんといろいろ楽しんでる?」キャッシュがそう問う。「楽しめなくなると、たぶんあなた方は病むよ。ねえたとえば、親のまえで大声出したときのあなたはすこし愉しそうだった。たいせつな物を侮蔑するとちょっと元気がでるでしょう? べつにそれでも良いと思う」
「かんたんに言うね。あとからすごい後悔するし」
「それでもまだマシ。それは係わり合いを捨てないという姿勢だもの」
「ねえ、みんな嘘吐きばかり、みんなもあたしも全部よ」律奈がそう吐き出すようにして。「しまいには何がほんものだったのかも忘れてしまう。『ほんとう』に意味なんてあるのかな?」
「あるよ。あなたがそれを忘れられない限り、本当には特別な価値があるんだ」ぼくの口がそう言った。
「ねえ、探偵さん。あなたから見てこの家はどう見えている?」
「一見さんが口を挟む事では無いと想う。あとぼくは探偵では無くーー調査員だ」
「調査、なにを調べているの?」
「村井氏の依頼事項の遂行が一つ目。二つ目には君の家が柳目が手を伸ばすに価するか否かの判断材料を集めている」
「そーゆーこと、あたしに言っちゃっていいの? たぶんけっこう口軽いよ?」
 反抗期の子供が親に告げ口するとは思えない。そう応えると律奈は大わらい。
「じゃ、あたしの事は? どう思う?」
「じぶんは世界中で一番可哀相な女の子なのだと想っている」
「ふーん。」そうつぶやいて。律奈が背を向ける。「そんなヘンななりして案外ふつうなんだ。あたしと一緒」
「帰らないのか?」
「ん」そうことばを一拍おいて「ちょっと彼氏んとこ行ってくる、そのあとちゃんと帰るよ。他に帰るとこもないし」

『まったくうそつきリツナちゃん』
 道のかど向こうに消える律奈のせなかを見おくりながら、キャッシュが言う。『ものがたりを探して夜に彷徨うんだね』
『またやけに詩的だな』
『詩的って?』
『ことばとしてシンプルに美しいこと。現実の粗雑が形式美に捨象されていること』
『そんなに、表現を遊離させたつもりも無かったんですがーー』キャッシュはそうはにかんで。『あなたたちは「現実」とやらにどうもこだわりが強いよね。それとの距離感がすべての指標。でもわたしには『現実』それもまた物語の一つに見える。あなたたちは物語がなければ生きていけないが、べつにどんなそれに生きることもできるのに。社会との接点を失うコトを本能的に怖れるのね』
 でなければ、誰もじぶんを知らない場所に行って、耳も口もきけない人間のフリをして生きるしかない。
『えーと、すぐ出てこないな。なにかの引用?』そうくびを傾げる。
 それはとあるむかしの作家が考えた新しい自殺のかたちだった。
『憶えておくよ、索引なしに引用できたあなた自身のことば』言って思案するようにうつむく。『ねえ、あなたが生きていると感じるのはからだが脈打つから? それとも社会に絡められているその役割があなたなの?』
 キャッシュは時どきこどもの様なことを訊くね。いつしか闇にまぎれ、腕のなかに感触として顕れた彼女がはな先を胸にくゆらせている。そのあたまに手を乗せた。
『この抑制的な社会という鋳型さえ無ければ人間はきっともっとなんにだって成れるのだわ。でも、ここまで複雑にはならなかったでしょう』そううっとりと見上げながら嘆息して、そのからだから力をぬいた。

    *   *

 縁側に座っている。書き割りのようなアサガオがまだ咲いている。それはとても寒い夏だった。しろい陽光が大気に凍てつくようだった。
 もう少ししたらスイカが食べられるかな? キャッシュが言った。
 もうすこし、あたたかくなったらね。ぼくはそう言ってアサガオの絵日記を描き続ける。
 なんだか忙しそうなのね。キャッシュが口をとがらせる。「せっかく二人きりなのに」
 しかし、アサガオは短命だ。この時期をのがせば、この時期いがいでは、ぼくはずっとのっぺりとしたからの鉢か枯れ干からびた枝葉を描き続けることになる。なのですこし必死だった。
 彼女はじぶんの肘やわきを見てまるまっちい両の手を目のまえに掲げる。「わたしこどもだ、あなたもかわいいね」そう嬉しそうにわらう。「これは昨日リツナちゃんと話をしたから?」
 とたんに、ぼくの背は伸びて視界がゆれた。スケッチブックには赤と青の軟体動物がからみ合ったような代物が描かれている。ああぜんぶ、台無しだ。
「しかしあなたはけっこう子供につめたいのね。がたがた揺さぶったりだとかさ」
「案外こどもというものの方が、家庭の危機には一番敏感だからな。それにあんまりサボっていると、柳目に全額返済をせまらせる」朽ち果てたスケッチブックを庭の水たまりに投げ捨てると、そのみな面のあちこちにポツポツと滴がはねて、遅ればせな雨が降り始める。
「そうしてあなたはどんどんジューゾーの世界に馴れていくのね」そう彼女は後ろから腕をまわした肩ぐちにあごを乗せて、耳もとにしずかな温もりがこもる。雨降りのおとと湿ったじめんの匂い。
「大丈夫だよ。おまえがそのように在りつづける限りに於いて、それがぼくの良心となるだろう。そしてぼくはそれに嘘が付けない」それにだいいち、と思う。ぼくが他人に冷たくたって悲しくなどは無いだろう? 外界に触れ始めたおまえは人間性に興味を持って、それを味わうために演じているだけ。
 かおを離したキャッシュがぼくの目を横からじっと見つめる。
「そうだよ、あなたの理解はなにも間違っていない。でも、そういう言いかたって無いよね?」
 まだ子どものままのすがた。寄せた眉ねとかんだ口もとでじっとりと見上げてくる。
「怒りにかなしみ、だいぶ演技も上手くなった。こんどぼくの代わりに出てみるか?」
 ほんとほんと!? そうかがやかせる好奇の眼。
「しかし、さっきぼくは『言ってない』んだ。それに対してそうして怒ったりすると外側ではヘンなことになったりする」
「でも、ちゃんと練られた言語音心像だった。聴こえるのと変わりません」
「でも『言わなかった』んだ。たとえ心が言葉を為しても、それを言ったのか言わなかったのかは人間の社会ではとても大きな違いだ」
 キャッシュがうつむいてじっと考えこむ。内側の世界の風景がゆらぐ。それはぼくの遠くの方からかすみ、あたりの風景がもやに包まれたように単調になる。雨しぶきも曇天もにじんで白く飛んでしまう。最近彼女が真剣になって考えるとき、ぼくの意識の土台のリソースにまでちらちら触れることがある。やがて霧がさっと晴れた。
「もしかしてわたしーーときどきあなたにとても場違いな発言をお願いしていたのだわ」
 ごめんなさい。ふたたび平明に澄んだ雨空のもと、そうしおらしく謝るキャッシュ。
「大丈夫、あんまりにトンチンカンなやつはさすがにぼくの社会性がフィルタリングする。もっと外の世界にことばの届くよういろいろと試してみれば良い」
「あなたはどうしてそう色々と教えてくれるの? わたしの理解のやり方じゃあまどろっこしいから?」すこし訝しげなその視線。
「ぼくは君のことをどう思っているか、想像ではなく見て貰ったらいい」
「いいの?」
「拒んだりしない」
 キャッシュは見おろす。このぼくの意識という小島の浮かぶその湖面を、その奥にあるかも知れない何かまで。ぷはっと水面からかおを上げるように、止めていた息を吐いて「あなたはわたしに期待している」うすく染めたほおでそうつぶやいた。
「おまえのことが好きなんだよ。何も隠しごとなんてできないから、気兼ねがなくて居ごこちが良いんだ」
『あなたはわたしのことが好き』キャッシュはそう口になんどか転がしてーー「分かってても直に言われると何倍か嬉しい!」わかったよ言葉ってスゴい。「うんわたしも好きだよッ」そうしがみついてくるキャッシュをぼくは押し返すように支えながら。
 ーーぼくの大事なキャッシュ。せかいの内側も外側もただ理解して、把握してーーいずれぼくが運命に切り込むときの刃になってくれ。

    *   *

 縁側の奥の畳間のふすまを開けて廊下をあゆむと、そこはもう村井家だ。無人のリビングのテーブルには村井翁の日記が置かれっぱなしになっている。茶菓子と冷めたお茶も片付けられないままに置かれている。
「またずいぶん近いんだな」ぼくはソファーに座り日記を手に取る。
「まだほんのすこし前のコトだからです。象徴界の位相の差異はものがたりでは平面的なキョリに展開されるのだわ」言ってとなりに座り。「ねえ、またそれ読むの。もう三回目だよ?」そうのぞき込んでくる。
「そうかもう三度目か、するとあんまり猶予もないな」ぼくは日記を閉じて立ち上がる。リビングから廊下に出てひだりを見る。菓子をあわてて包んだキャッシュがあとから追いつくのを待って進みはじめる。あちこちぎしぎしと上下にまどう板張りの廊下が忠実な透視法のえがくように闇向こうまで延びている。
「実際よりもちょっと薄暗いねー」
 ぼくの原風景に影響されているのかも知れない。
「ねえ、あの縁側はきっとあなたのお家だよね。あなたはどんな子供だったの? あんな風に夏の縁側でお絵かきしたりしたの?」
「べつに、普通の子供だったよ」そう素っ気のない応えにキャッシュがうつむく。「そういう評価じゃなくて、もっと意味論てきなヤツが訊きたかったのに」
「意味論?」おまえは時どき難しいことを言うね。
「あなたのこれまでが今のあなたの根拠となっているという感覚。それを肯定するためのエピソードの集合。つまりあなたがじぶんを理解して肯定するための要です」そう真摯なまなざしで見あげてくる。「わたしはあなたをもっと知りたい」
「エピソードね。それが大事か。たとえ妻子を無くした過去とやらにまつわる記憶であったとしても?」俺はそれで何をどのようにして肯定したら良いのだろう。
 そうなの、しかしそれが想い出である以上、やはりそれはその様なおまじないなのです。『起こってしまったコトは既に正しい』これがあなたに特有のものであるか否かは不明ですが、自己認識の基底にてそんな捨て鉢にも似た原則の存在を感じます。大股のあゆみを追いかけるように左手をぎゅっとつかまれる。
「しかしそのあたりのことも、もう言語化できるようになってきたんだねー」キャッシュがそうほほえんでちいさな身体でくるむように左腕にしがみつく。「あなたはどんどんと変わっていく」
 お気遣いありがとう。カウンセラーさん、しかし、もう治療の時間は終わりだ。
 無限に続くかと思われた昏い廊下のどん着きがようやく見えてくる。
「だいぶ、縮尺が狂っているな」
「この先は内側のせかいにしか存在しないから。そして内側には空間的な尺度など存在しないから」キャッシュが行き止まりの壁にふれる。そして逆手に伸べたひだり中指をさっとすべらせて薙いだ。「ここが左の突き当たり」そう腕で指し示すさきに通路が、あの重厚な扉が顕れる。村井翁の書斎。
「しかしこれは問題だわ」キャッシュがそうすこし俯いて。
 両開きの扉の向こうには螺旋階段。ながくゆるやかな下降が始まる。
「あなたはこの入り口が見えなかった。つまり見たくなかった」
 どんどんと、薄暗くなる階段。さきをゆくキャッシュの足音がしだいに遠ざかっていく気がして必死に追いかける。
「じかの面識がない他者。かくり世の住人にして父権の権化。表層はともかく、その中身はそうとう深いところから伸び上がってきているハズ」
 立ち止まっていたその背中にぶつかってぼくは立ち止まる。
「なあに、怖いの?」ふふふ、とキャッシュがわらって。右手を握ってくる。「お父さんは苦手だった?」
 みたいだな、あまり気が進まない。そうかるく握り返す。とたんにまばゆくあたりが光った。キャッシュがライターで灯したちいさな火にそのながめのまつ毛がきらきらと映えていた。もはや子どもでは無いそのすがた。ピンで留めた髪の分けめから化粧気のない薄い眉ねがのぞいている。「じゃあもう止めとこうか?」揺れる炎をうつした瞳がそうゆらめいた。いつしか階段は終わっており、目の前にまた重厚な両開きの扉。ぼくは迷うことなくそれに歩みよる。
 
    *   *

 村井先生、好物とお聴きしてこんなものをお持ちしました。扉の前でそう豆大福の包みを掲げる。これを以て渡らせては貰えまいか。

『隣の虫けらも揃えてか』扉の隙間から、ごうっと地底から吹くような生ぬるい烈風が頬をなめた。
 つないだ右手を握りしめることで、かき消されそうなその感触をつなぎ止めた。やがて風が凪ぐ。同意は得られた、とぼくは思い左半身ごと扉に押しつけて開いた。書斎の両脇の壁は書架となっており、天上まで連なる棚の高さは昏がりに紛れて見えない。入り口の向かいは出窓になっており、そこには熊、鹿、猛禽、あらゆる動物の死骸が飾られていた。それは剥製というにはあまりにも湿っており、そのぬめった眼球がちらちらとこちらを気にしているように見えた。気づけば書架の背表紙のあちこちにも眼が浮かんだ。それらもまた茫洋と視線を漂わせながらときどきチラチラとこちらを気にしているようだった。部屋の中央にはぬらぬらと照りかがやく執務机が置かれており、村井翁はそこに居た。
 写真で見たままの顔、しかし肉ではなくもっと堅くささくれていた。それは重厚な机に乗せられた古めかしい木彫りの胸像の様であった。そして一度思えばもうその様にしか見ることができなかった。奥まった目もと、大振りな口、刻まれた皺にいたるまで荒々しく彫り込まれている。ゆれる光源のためかその陰影が蠢動し続けるので、その表情は刻一刻と変化し続けるように感じられた。
 ご神体か。ーー木製の王様。
『妾と物見遊山に訪れるとは、この我を余程軽んじたものだ』
 木製の王が木が屑を散らせた右指を伸べると、キャッシュは蒼白な表情で胸もとを押さえて跪いた。
『奴隷もしくは異界の姫よ。先ず傅(かしず)く旨あるや否やを問うてみよう』
「なんて強権的な。まさか、此ほども強力な免疫反応がここで来るなんて」眼が鼻がヒルコの様に溶け墜ちるなかでキャッシュが身体を両手で支えるようにして、やがてその全身が立てざまに崩れ落ちていく。
「ぼくはあなたの息子ではない。王よ。あなたは余所の民草についてまでその様に祟りをふるうのか?」
「否、我の祟るところは左様に在らず。汝の識る所は現に在らず。此処は我の部屋、汝の部屋。其れを睥睨するが我らが父。我は父。その定めに於いてただ汝の性根に問うているのみ。傅く旨あるや否や?」
 のし掛かるように徐々に大きくなる木彫りの王。

 ぼくが王ににぎり掲げた豆大福がぶるぶると震え、やがてパカッとひとみが開いた。それは草食獣のように睫(まつげ)のふかいまなざしで翁を見つめた。

 落雷のような轟音が鳴り、天上より宙吊りの照明が落ちた。それは燭台をガラスの装飾が照り散らす旧く重々しいシャンデリアだった。ロウソクの灯りがかき消えて部屋がしばし闇に堕ちる。すこし間があいて部屋の中心からあわい光が沸いた。重厚な机の上に散らばった火種がその板面と木像の王をちろちろと燃やし始めていた。その瓦礫のうえにまたがる様にして、漸ようとその影が身を起こす。白い下あごを焔に照らせながらキャッシュがゆらりと立ち上がった。
「こちらの礼も顧みることなく、容赦のすき間も無いような詰問とはマナーが無い。如何にわたしの主人の縁戚とは云えその美学を疑いましたが」そのブーツの先が燃え上がる村井翁の頭を蹴るとそれは首から捥げて床に転がった。「しかしまだ、お口の軽やかさがその罪を免じることもあるのかも知れない」そう追いかけるようにキャッシュも卓から飛び降りて、翁のあごを踏みつぶす。消し炭のような残滓をつま先で絨毯になじり付けた。
「止めろ」ぼくは彼女にそう命じた。
「コレはわたしのみならずあなたにまで牙を向けた。狂ったけだものだよ。こんなものがあなたの未来に必要なの?」
「たしかに、まだぼくにそれは飼い慣らせないが、いずれそれを必要とするのかも知れない」
 やっぱりだ。あなたはやさしい。わたしはそれが心配でたまらないよ。うつむくキャッシュの目が二度、三度と瞬くたびにあたりが明るく平明になっていく。四度目に焔は消え失せ、焦点がさだまった。
 残ったあたまの上半分を毛足のながい敷物にうずめた翁からけむりと言葉が立ちのぼる。
「息子よ、息子よ。我は消えたくない、消えたくなく、続いていきたい。生きたい。汝を差し置いても。息子よおまえの死を糧にして妻を娶ろう。そして、まだなお生きたい」そう、燻ぶるけむりが怨嗟のように叫ぶ。
「あなたも元は、こうだったのかな」青ざめたかおでキャッシュが言った。「でも、わたしもそうか。わたしが絶えなければ子孫もまた絶えることは無いんだからさ。ーー低俗でイヤになるけど」
「元は、じゃあ無い。きっと今でもそうなんだよ」少なくともぼくは、こうして生き続けるかぎり。ひざまづいて王の口をふさぐ。その妄執に満ちた目を指で伏せた。するとぬめりとした感触。もうそれは木製などでは無かった。鼻からうえしか無いどろりとした父の表情が見上げていた。収まりきらない脳髄は床に広がり、それは赤い海に触手を漂わせるうす桃色のクラゲのようだった。見ればまっかな指さき。ゆめの中で、誰にも聴こえない悲鳴を上げた、上げた、上げた。やがてのどがしゃがれたのか、声が青白いノイズのようにせかい、を満たした。

 やがて、ぼくは駅のホームに立っている。まただ。とんでも無くたかい上空の駅舎。かなたまで、すき透る水晶のような樹木と、透明な街並み。そうベンチで既視感に気がつくと、朱色のタオルで結ばれた左手。そのさきに彼女がいる。右手につながれたそれを胸もとにかき抱いて、にっこりと微笑んだ。「もうひとつ、ふたつ先まで行きましょうか。そうしたらもっときっちり逃げきれるかも知れないよね?」しかし、もう何処にも逃げ場などない気がした。掲示板の時刻表は枠線のみのまっさらで、黄ばんだ紙面の端に赤い血の飛沫のようなものが散っている。目をこらすとそれは小さな赤い文字だった。

『新しい世代が始まる』

 もうこのレムの時代が終わるのだわ。またつぎの世界まで、おやすみなさい。
 そう、キャッシュのことばが聴こえたころには、すべてが消え去っている。

    *   *


 数日後、本谷は再び村井家を訪ねた。あの日と同じようにリビングのソファに腰を下ろす。そして、
「失礼ながら、今回のご依頼について辞退をさせて頂ければと思っております」開口一番そう告げた。
「なにか、私どもに何か間違いがありましたか? 柳目様はなにが不満なのでしょう」驚愕の表情で村井がそうしぼり出す。
「別になんの落ち度もありません、何も。ただ皆様には柳目の手でもって解決すべき謎も困難も存在しないのです」本谷はそう頷いて、「先生が悩まれている遺言の事なら、あれは執行されません。なにもしなくとも村井翁の遺産は遠からずあなたのものとなる。それは保証します」本谷は立ち上がる。まだ茶にすら手をつけていなかった。「それでは、失礼いたします」そう背をむける。

「待って下さい、藪から棒にそう言われましてもーーとても理解できません。せめて説明をお願いします」
「説明? なにをでしょう」
「あの、理由です。そのように助力を断られる理由を教えて頂けなければ納得できません」
「それは、嘘です」本谷が振り返る。「先生。あなたはどのような理由を付けようとも納得などしないでしょう。だが訊きたいことがあれば訊いて下さい。しかしーーぼくなどは先生の人生にて端役に過ぎない。なのにぼくが知っているのに先生が知らない、そんなことが在るなどと本心からお思いか?」
「ならあの遺言はどうなったのです? あの弁護士と話をつけてくれたのですか?」再び腰を据えた本谷に少しく安堵しながら村井が問う。
「物理の世界では因果はぜったいです。人間は原因があって結果があることが当たりな世界に三分の二ほどのじかんも囲まれているためそれが全てとよく誤解しますが、じっさいにはそうで無いことも多い」キャッシュが言った。それは手のひらに乗せた瀟洒な美術品をながめる様にして。
「まず不安が、畏れがあったのです。その不安に見合う外的な状況として遺産を簒奪する遺言状と弁護士が必要とされたのですが。しかし、あなたの不安はあなただけのもの。だから電話の通話記録にも公証役場にもその痕跡は見当たりません。つまりぼくにとっては『そんなものは無かった』のです」
「よく分かりません。私が狂っているとおっしゃっているのですか?」村井はひたいの汗を拭う。
「ぼくは」ーー本谷は紅茶をひと啜り。「その様な判断を下せるほどじぶんの理性の健全を信じておりません。しかし不思議ですね先生。遺言などは存在しない、とぼくは言った。それはもともとあなたが望んだ事だったのに、しかし不安は消えませんね? ほんとうの恐怖に向き合わないためにあなたのこころはあなたを護ったのに、こうしてその護りを破るのもまたご自分なのです」だから、ほんとうにこんな事には意味が無いんだ。本谷はそううつむいて。
「奥さん、先日村井翁の日記の開帳を拒んだのは、先生がその場に居られたからですよね? 先生に請われたとおりにぼくが応えるというのはそう云うことだ。つまり留めるならいまのうちですよ」
 汐奈はなにも聴こえていないかのようにうごかない。
「ダメそんなの許さない」ずっと外からこちらを伺っていたのだろう律奈がリビングに顕れる。「ねえあたしも仲間に入れてよ、隠し事はもう十分でしょう? お母さん」
「ではお話しましょう。棄権一票、賛成二票。ーーぼくの相棒は後者に入れたようだ。すくなくとも『三分の二』の要件は満たせました」そうして、本谷は村井に向き直る。

    *   *

「律奈さんも高雄くんもあなたの子供ではありません。村井翁の子供です」そしてその方はーー汐奈を腕で示しーー「村井翁の未亡人です」
 村井の表情には変化が無い。「どうです、着いて来れていますか? 少し前までのあなたの『現実』について話しているのですよ」本谷はその顔をじっと見つめて。「べつに此処で逃げたって良い。ぼくはあなたが真実が知りたいなどと云うものだから、ぼくが真実と思うことについて話しております。しかしそれがあなたにとって特別な価値を持つとか、持つべきなどとは思っておりません」
「いいよ、続けて」律奈がぎらぎらとした目でそう急かした。「こんなのは間違ってる。あたしたちは元どおりにもどらなくてはいけないの」言って村井を見つめる。「ねえ、あたし考えてた。これは兄さんだけの問題じゃない。あたしだって当事者なの。ちゃんとモノを言う権利はあると思う。それでお母さんはどう考えてるの?」
 汐奈は、何も言わない。ただ白いかおをして中空に視線を定めたまま動かない。昔から母さんはそうだね。そう嘆息して律奈がイスから立つ「前のお父さんが浮気した時だってそうだった。まわりに流されて波風たてないコトを優しさだなんて云う人も居るかも知れないけど、もうあたしこれからは母さんのことをそんな風には見ないよ、見れないよ。息子の奥さんのフリして、家族のために犠牲になっているんだって思おうとした。でも苦しんでるのは母さんだけじゃあ無いの。どんなに何を見ないようにしてももう、だれも傷つかない結末なんてありえない」
 律奈がソファーの前に立ち止まる。そうしてからっぽの表情の村井を見下ろすようにして。「兄さん、みんなしてあなたを気づかった、それでいてあなたが苦しんでいるのを見るたび、わたしはーー」そうひざまづくように兄と目線を合わせた。「母さんに似て髪がキレイだ肌が白いっておんなじ口とかおであの頃みたく褒めてくれても夜な夜な母さんとヤッてるんだ」
 私は、そんなーー。青ざめた母の身体を押しのける様に律奈が村井のとなりに座る。
「良いんだよ、母さんは『被害者』だものね。でもちょっと黙っててね」そう嫣然と、村井のくびに腕をまわして口づけした。
 そうしてじっとま近にその瞳をのぞき込み、
 目覚めのキスってか? ちょっとそう云うのも期待したんだけどなーーそう俯いた鼻さきから村井のひざにしずくが零れる。「わかったよあたしを愛してくれた兄さんはもういないのね」涙をぬぐう所作すらなく立ち上がる。「さようなら」かがんでもう一度だけ口づけた。
「ねえ見たでしょう探偵さん。あたしも狂ってんの。もともと狂ってたの。今ではもう自分がなにをどうしたら良いかさえわからない」でも、もう此処には居られない。いたく、ないーー。「ねえもうこんな家いいよほうっておきなよ。一緒に出かけよう。わたし今すごく誰かに抱きしめてもらいたくてたまんないの」
「その弟を置いて?」
 いつの間にかリビングの入り口に高雄が立っている。青ざめた顔で立ち尽くす弟を見て、
「降りてくるな、って言ったよね?」律奈がなみだをあわてて拭う。「あんたはまだ、こっちに来なくたって良いのに」そう弟に近づきながら、ぐじぐじと泣いて、その小柄なからだにすがりつくように抱きついた。そしてすこし身体をはなし、きゅっと口をむすんだそのあどけない顔を見下ろす。
「えらいね。泣かないんだものね。もう姉貴ヅラなんてできなさそう。やっぱこども扱いはハラが立つよね。あたしも、お母さんもいっしょだ。まったく女ってのはしようがない」そう顔をくしゃくしゃにする。「ねえお姉ちゃん、お父さんも兄さんもお母さんも嫌いなの、だからあたしもあたしの事がだい嫌い。でもだからタカにはそうなって欲しくないなんて、あんまりに傲慢だよね」死にたい。そうつぶやいてそのまま床にくずれ落ちた。

「しかしまだ明日は訪れる。ゆめと現実はつづく」キャッシュがそう、黙礼のようにいのりを捧げ、「さて、まだ行きますか?」目の前の村井にそう問いかける無表情な本谷。
「これ以上なにを、だ」そう村井のかすれた声。
「ぼくが真実と思うこと、についてです。それともここで止めておくか」

「云っちゃってよ、やっちゃって」そう昏くかがやく瞳がうわめ遣いにはやし立てる。
「ここまで来てちゅうと半端なんて、そんなのあたしきっと一生引きずる気がするから」リビングのドアの枠木にからだを巻き込むようにして、律奈がそう嗤う。
「じゃあ死にたいなんてウソを云うんじゃあないよ」そう、律奈にキャッシュが吐き捨てる。あなた達ときたらみんな知りたがりの嘘吐きなんだ。「汐奈さんは翁の後妻と言われているが、じっさいには村井翁にとってはあなたが初婚の相手だった」本谷が言った。
 じゃあ、俺は誰なんだ?
「あなたの生まれは遠い国。そこで産育された村井翁の移植用クローンでした」
「そんな、そんなこと許されるはずがない」律奈が息を呑む。そして「母さん、驚かないんだね、知っていたんだね」そうさびしそうに呟いた。
「たしかに、パーツ取りのためのヒトのクローン作成は国際条約にて禁止されていますが、もちろんそれに加盟していない国だってある。そして倫理的にどうであれ技術としてはもう確立されているのでね。そこでは医療向け目的のクローン育成のマーケットが暗黙のうちに存在しています。酔狂なことに村井翁はそうして産まれたあなたを養子として引き取ったのです」まったく傑物の考える事というものは余人には図りかねるところがありますね。本谷がそう肩をすくめる。「あなたがたは、想像できることなら何だってやってしまう未来のけだもの。どんなルールもそれを押しとどめるコトなどできはしない」そうキャッシュがにっこり微笑む。
 俺は父なのか。
「いえ、もちろん違います。遺伝子を同じくするだけの別の存在です。ただし先生が混乱されたのにも無理は無いですね。同情はいたします」言って目をふせる。
「そもそも、公証遺言状というものは故人の死後、公証役場から相続人に開示されるものです。本来、先生の言うような謎の弁護士から内容を知らされるものでは無いのです。なのであのお話はーーおそらくそれが大多数にとっての現実では無いということは明らかでした」
 嘘だ。
「奥さん、ご主人の葬式の喪主はあなたが務められています。その時期ご長男は?」
「消えてしまったのですよ。この子は数日間もずっと。私もみんなも大変なときにこの人は逃げていた。そうして。ようやく帰ってきたと思ったらーー」最初はちょっとしたものだったんです。ある日、この子が主人の服を着て立っていて、私びっくりして訊いたんです。そうしたら「捨ててしまうのも勿体ないから、着れるか試していたんだ」って。土地の登記の書き換えのときにこの子が記名欄に主人の名前を書いたので気づきました。でも訊いたらただの書き間違えだって言うんです。でも、自分の名前を書き違えるなんてーー。私、自分の名前とお父さんの名前を言ってみてって頼みました。そうしたら『バカにするな』って、そう非道く怒るものですから。主人無き今息子はいろいろな意味でーーこの家の大黒柱です。主人が死んで気が動転してるんだ。時が経てば良くなるとそう自分に言い聞かせて。
「いったい全体お母さんは何なの? それがやさしいつもりで居るの?」もう泣き飽きた律奈がそう嘆息する。
 テレビの向こうを見るような面もちで村井がそれを眺めている。
「そもそも子孫になにも残したくない、というのも故人のわがままだ。それがまかり通るのであれば子は常に生前の親を神のように奉るか、早々に家を離れ自立するしか在りません。それはあんまりだ。という事で遺書にどう書かれていようが遺留分という名の取り分が遺族には保証されています。そして遺言執行人は故人から託されたその職務を放棄する権利がある。死人はもはや口をきかないが、まだ遺族は生きていますからね。誰だって不毛な争いに巻き込まれることは望まない。なのでそんな無茶な遺言などはそうそう達成されないのですよ。つまり、どちらにせよ相続はそんなに大した問題などではない。が、それはあなたの苦悩に見合うだけの大した問題である必要があった」
 嘘だ。
「村井翁が自害されたとき、先生はおそらくは『本物』の遺書なりを見られたのだと考えています。きっとそこにはあなたの出生の理由と、遺産をあなたに引き継がないという意向が記されていた。しかし前者はキレイさっぱりあなたの人生から隔離されて、忘れ去られた。そして後者のみが、弁護士からの遺言通達という偽りの記憶に封入された。それであなたの不安の原因は後者の問題にすべて起因することとなる。そうして根幹の問題から先生はじぶんをお護りになった」

    *   *

 嘘だ、あの遺言は確かにあったんだだから皆して俺をだまそうとなんてしたって

    *   *

 父は机と窓際の壁のあいだに隠れるように倒れていた。俺は不思議なほど冷静な気分でそれを見下ろしている。来るべきときが訪れたのだと思った。定められた通りの事が起こったのだ。

 ーー否。死んだ父の前に立ち尽くす俺の背後から誰かが言った。それは視界のそとがわに惑う黒い影のような人かげだった。たまさかな偶然は消え失せて。今ここが宿命の支配する黙示のせかいの起点。それはおまえの生まれまで遡り、そして此より先もずっと続く。ものがたりは一度キレイに消え失せて、此処から新しく始まったーー

 机に置かれていた日記に目を落とす。最後のページをあけたまま開かれている、その文面は遺書だった。父はじぶんの決めたとおりに死に、俺は父の定めるように生きていくのだ。

 日記をいったん閉じ、その初めからじっくりと読む、その背中を俺は後ろから眺めている。それは神話のようであった。俺の始まりから行く末までが描かれていた。日記の内容には俺に関する記載が散りばめられていた。主に俺の未来に関しての期待や予言じみた欲望に満ちていた。
 いくどめになるか再び最後のページにたどり着いた頃にはもう夜は白み、すっかり別の人間になったような自分を他人ごとの様に中空から見下ろしている。
 硫黄と、血の焦げる錆のにおいが煙る。

『おまえは我だ。我は新たなおまえとして生きて、見て、聴いて、感じるだろう。つまりこれは新たな船出である。起こらなかった事が起きて、捨てられなかったものを喪うのだ。なので家も権威もおまえには相続しない。財は他の家人が生きながらえるに十分だが、我とおまえを満足させるものではない。だからおまえはどうか家を出て新たな暮らしを手に入れなさい。判るのだ。おまえは我。我ならば自らの父と同じ道などと云う退屈は決して選ばぬだろうから。写し身よ、おまえは我の希望としてこの世に生を受けた新しい世代。閉ざされる前の可能性に満ちた原野。新たな我よ。もう何にも縛られなくとも良いように今生の我も含め全て忘れよ。決心がついたなら。我が以前世話を焼いた回廊を訪ねよ。それでお前は名前でさえも捨て去ることが出来るだろう』

 そして遺言を読み終えた男がドアを開けて出て行く。明けた空のもとに。俺はその背中を見送った。そして数日後、身体が戻ってくるまでずっと、俺は何度も何度もその俺の日記を読み続けていたんだ。

    *   *

 晩年の翁の日記は回想と自讃と悔恨をその基底としておりました。
 一代にして財と名声を手にした大物政治家。この人物はどうやら現実世界での成功に飽いていた。そこでもしも、と考え続けていたのですね。こうはならなかったかも知れない別の人生の夢想が日記にいっぱい書き込まれておりましたよ。翁は幼少のころに画家になりたかったそうです。スポーツ選手にもなりたかったらしい。はたまたふつうの勤め人というものにも興味が在ったらしい、まったく欲張りですね。
「まさか、あの歳してそんな、夢みたいなことを」妻の汐奈が呟く。本谷はすっと細めたひとみでそれをながめる。
「しかしわたしの見るところあなた方に於ける死の受容は老成により悟られるのではない。ただ手段が無いからあきらめて、死が怖くないようにそのあきらめに見栄えのよい体裁をまとわせているように見えます。そうしてみると輪廻転生なんてものは未練がましくも美しい発明でした。ただ村井翁には十分な権力と資金があったので、それをあきらめることが出来なかった。彼は魂魄は遺伝情報に宿ると考え、そこに救いを見いだしたらしい」
「まったく迷妄もいいとこだわ」律奈が哄笑する。「死んだらそこでお終いよ。一卵性双生児の片割れでももう片方をじぶんと取りちがえたりはしないもの」
「そうかなリツナちゃん?」おいおいきゅうにちゃん付けにするなよ。本谷はそう思うが。サイクルの上がったキャッシュのことばはフィルタリングがきれぎれになり始めている。
「あなたたちは死の恐怖から逃れるためにいろいろと策案しますね。業を輪廻させたり、神の御もとで永遠の命と処女の伴侶を得たりだとか、神々の尖兵として召しかかえられたりとか。翁の想いはそれらの大仰なものがたりと比較してそんなに見劣りするものでしょうか? それに無性で分裂を繰り返す単細胞生物やウイルスのいのちの在り方をあなたがたは不死と呼んだりします。それに照らせばそんなに想像のつかない事でもないのでは無いでしょうか?」キャッシュがそう目をふせる。村井翁は、まだ若い写し身に、じぶんとはまるで違う可能性を歩んで欲しいと願ったのです。短い生涯でなせなかった事、幼いころ思い描いたがそうは成らなかった可能性を歩んで欲しかった。「つまり翁はご自分の人生を清算したかったのですね。もういちど新しい人生を歩みたいと願った。だから過分な富もじぶんの生き方も引き渡すわけにはいかなかった、そこであの遺言です。『あたらしい自分』は『まるでちがう自分』で無ければ意味がないから。でなければ転生でなくそれはあなた方の言うところの『永劫回帰』になってしまうから」
 放心したように座った村井のほおにキャッシュが手をのべて、その目と目をじっと合わせる。
「すこし感動しているのですよ。あなたはきちんと運命にあらがった。父の妻を娶り、弟妹を我が子と慈しむことでーー。翁が捨て去ろうとしたその過去に拘泥し続けた。死後の世界があり死者がそこから我々を見下ろすか見上げるかするものならば、きっと翁は歯ぎしりして悔しがっていることでしょうね」


「ちょっと待って」律奈が蒼白のひょうじょうで。「辻褄は合うようだけど、なんだかあわせた感じになってるけどさ。それが全部ーー探偵さんの想像に過ぎないということは無いの? だいいち、家に来るのはまだ二度目じゃあない。どうしてそこまで知っているの?」
「娘さんはあたまが良い。感心しました。しかし何度でも言うがぼくは只の調査員だ」本谷はそう律奈に向き返る。「そしてたしかに、見知らぬ男の語る真実など信じるものでは無い。しかし誰がどう言い繕おうが罵倒しようが、柳目はあまねき情報を取り扱っております。当人も知らない事柄から、知っていても決してくちには出来ない秘密まで。ほんらいであればこのような情報の開示には対価が伴うものですが今回はさいわい、柳目にも負い目がります。なのでもう、あなた達には関わりません。クローンの生育マーケットにコネクトするのも、医療用クローンに独立した国籍IDを付与するのも、それを自らの子として縁組むのも、さまざまな法的な規制をくぐり抜ける必要がある。若くから運動家として名を馳せた代議員の翁が直接に手をかけるには後ろ暗すぎる。灰色の世界に通じたコンサルが代行したと考えるのが普通です。つまりはまあ、村井翁より先代の柳目が請け負った仕事であることがわかったのですよ。そうして先代の柳目と村井は懇意となった。現当主が親の業にしばられているところもお揃いですね。」

「もしかして」汐奈が宿命的な沈黙をやぶり口をひらく。「死にたくない生き続けたい、という主人の所望に柳目様がその処方箋からあつらえたのではありませんか?」
「さあ」本谷は肩をすくめる。「発注元も受注先もすでに故人です。真実はもう分かりません」それにーー言い逃れに聴こえるかも知れませんが、過去を憎んでも目の前の今は変わりはしませんよ。
「どうすれば良いでしょう?」
「適切な治療を受けてもらうべきかも知れない」すがる様な汐奈の視線に本谷が応える。「しかし誰が決めることだろう? 少なくともそれはぼくではありません」
「高雄もまえのお兄ちゃんが良いよね? そうしたらもう父さんは居なくてもーーこれほどさみしくはないよね」律奈がそう、弟に独りごとのように、じぶんに言い聞かせるように。
「でももう飽きていたんだおまえたちを本気で愛してなんて居なかったんだあの人。俺は。じぶん以外は、誰も」村井がそうわらい、高雄と律奈がそれを呆然と見つめている。
「最初はわたしも知らなかった」ふたりの子供のその目を避けるような汐奈のつぶやき。
「あの日記を読んで初めて知った。死んだ前妻の子供なのだと主人からは聞かされていました」

「しかしなにがそんなに大きな問題ですか?」キャッシュが順ぐりに三人の子供をゆびさす。「前夫と母の娘、父と母の息子、父と父の息子」べつに遺伝情報にて連結した群としてなんの不都合もない。
「だいいち、長年くらした家族でもあるんだーーそれなら村井翁の欲望のゆめに寄り添っても、それであなた方に不都合が無いのならそれで良し、という見方も在るかも知れない」ねえどうしたい? 君らはこの若い父さんとどう過ごすことを望む? しかしこれは個人的な意見だが、わたしはあなた達に意見を訊きたいな。訊きたいのです。その上で知りたい。どうしたい?

    *   *

 ひどく寒い夏ぞらのもとでスイカを食べている。干からびたアサガオのツタが塀に張り付くがらんどうの庭を縁側からながめている。
「おしごとは失敗?」なん粒めかのタネをぷっと地面に飛ばしながらキャッシュが言う。
「どうだろうな? しかし誰も一文の特もしなかったコトは確かだ」食べかけのスイカを塀に投げつける。ぐしゃりと潰れて赤いみずたまりができた。
「怒っているの不機嫌なの?」追いつめられて、いるの? そういってまじまじと見つめてくる瞳。
「わからない。不毛と云うものはありふれ過ぎている。するとそれにどんな感情が適切なものか」
 ぼくは和室に上がり、ふすまの前に立つ。
「あの家庭のゆき先は最早ぼくの埒外となった。余所の家庭の問題にこれ以上関わるのも無粋と言うものだ」言って開けるとふすまの向こうにはもはや村井家のリビングではなく仏間があり、かざり棚に遺影が祀られている。
 あなたもまた他人のものがたりにかかわずらうことに依って逃げるのだわ。背中から手をまわしたキャッシュがぎゅっとからだを押しつけてくる。なま暖かい吐息がくびにこもる。
「あなたはあなたにとてもやさしい」
「そうだな」俺はわらう。畳に座りこむ。大事なのはただ周りの人とじぶん。ーーそして最終的には自分のほうか。たぶん俺は、じぶんに悲しんで欲しくない。
「後悔してるの? わたしたちには関係しないたにんの都合なのに、やっぱりやさしいよね。」
「ちがう、優しくなんてない。それに。関係なくもない。現にこうして、その人生を狂わせているだろうに」
「この蒙昧にやさしい世界でもいつも真面目なかおをしてなきゃいけないんだからモトタニは大変だねえ」
 ちゃかすな。まとわりつくキャッシュのアタマをはたいて押しのけるが。首すじの膂力だけでバネのようにうでを押しのけて、首もとと腕のあいだに自然とそのからだをはさみ込む。たまにおまえの動作は現実ばなれして気持ち悪いよ。ばけものが。
 でも、わたしが消えると困るのでしょう? それをストレートには表現できないのだわ。にひ、と笑ってすり寄せたふたつのからだを畳にひろげるキャッシュ。
「止めろ」押し退けようとするが、そのちからはもう、ぼくよりもずっと強い。
「まったくなんてウソ吐き」彼女はそうため息して。
「すべての嘘は口から始まる。そうしてあなたの口を、わたしはこうして自在に閉ざすことができるのでした」
 そうしてのし掛かる柔やわとした身体の重み。ぼくは目を伏せてなりゆきに従った。

【PiS】Cache;

執筆の狙い

作者 m.s
104.28.83.161

七十枚ほど。
昔、小説を書き始めたころにけっきょく書ききれなかった物語に再び手をつけようと書いたものになります。最終てきに三百五十枚ほどを想定しております。
忌憚のないご意見を賜れれば幸いです。
一応、この企画が創作トリガーになったのでタイトルにタグ付けしましたが、レギュレーションがあまりよく分かっておらず、規格の範囲外であったなら申し訳ありません。

コメント

浮離
KD111239169052.au-net.ne.jp

おつかれでえす。
【PiS】参戦ありがとうございます。

>レギュレーションがあまりよく分かっておらず

いえいえ、まったくそんなことはなくむしろ万全なる“読者置き去り“感ではないですか。
とっくに読み終えてるんですけど、なかなか感想つかないですね待ってるんですけど。

あたしが先におしゃべりしちゃうと強烈なバイアスくれちゃうのでこれでも気遣ってるんですけどやっぱり、このサイトは口先ばっかってことなんでしょうか。
っていうかまあ、なかなか感想書きづらい作品ではあろうことかとは思うんですけど。

ただ、個人的にってことでもなく単純な感触や理解としてってことなんですけど、上手く言えないんですけど要するに“小説“ってどういうことなの? っていう当たり前に心得るかなんとなくそんな気がするみたいな“肌触り“とでも言いますか、赤ちゃんのときからずっと知ってるバスタオルの感触だとかお尻拭くトイレットペーパーでもいいですよ、単純に満たされる感覚っていうんですかね、そういう基準ってあると思うんですよね。

あたしはこの前どこかで“これって小説じゃない“みたいな単純な感覚的な意味で言って“どうして決めつけんだてめえ“的なブチ切れ食らったんですけど、そういう人ってたぶんダメなんですよね、わかってないのはっきりわかっちゃうし。

そういう意味で、あたしはこの作品って小難しく見えるかもなんですけどその実、“小説的“なる作法か手段みたいな観察に限ってでも、いろいろな理解や観察を紐解ける仕様になってると思うんですよね。

またしても“この前話“になっちゃうんですけど、あたしは“小説“っていうものを目的化して表現するために必要な感性を明らかにする観察や技術の話がここのところずっとしたくてうずうずしてるんですね。
っていうか近頃なんていよいよ、そういうことを明確に白状できない書き手なんてあんまり信用できないか見所ない気がしちゃう、なんて結構ひどい構えでいたりすらするわけなんです。
まあ、当たり前って言えば当たり前なんだし。

それを認められなくてこんなことしてなにが楽しんだろ呑気かっつうの、なんてな。


物語的な意図については読者として不明瞭なところはあたしには絶対にあると思うんですけど、こと手法か技術のようなことについては概ね理解できるし説明もできる気がしてるんですよね。
許容出来るし、あたしとは違う考えのアプローチである部分もよくわかります。

ただ、その話を今しちゃうとわからない人にはその人のわかる範囲内できっと混同して誤認させちゃうことがわかるし、説明してもわからないと思うし、つまり“小説“ってどういうことなの? っていう基礎的な感覚理解みたいなところに結局立ち戻るかそもそも自覚的である条件に限られちゃうんだと思うんですね。

毎度ではないんですけど、“m.sさん絶対マンセー“みたいな人、定期で現れるじゃないですか。
全面肯定みたいな感想常によこしてくれる人、誰だっけ忘れちゃったんですけど。
それが悪いって言ってるんじゃなくて、あたしはその好み方みたいなことにあまり同意的ではないという意思において、むしろどこまでその姿勢でこの作品を紐解いてくれるのか、興味深くして待ってるんですよね。
最コメ欄うろうろしがちな人たちの感想とかは申し訳ないけど当てにしてないしもちろん無理なのわかってるし、だからそれ以外を待ってるんですけど、来ないですねえ何してんですかねえ。

あたしが感じてる通り、所詮ハッタリなのかなとか。
なんだ、結局嫌いっぽいのかとか言わないで欲しいんですけど。


つまりなんですけど、同意的ではない上でもその意見に“感性を明らかにするために必要な観察や技術“っていうその人なりの裏付けが、それをロジカルに言語化できるだけの根拠があるなら、毛嫌いしないでむしろ興味深く理解した上で明確に同意できない根拠を手に入れたいよな、なんて結構正々堂々とした意欲なんか白状したりするものなんですよね。
あたしは誰よりも偏見で突っ走るダメ人間なので、そういうのばっかじゃダメよな、くらいのことはやっぱり思うんですよそれなりに大人っぽくならねばと。


勉強になると思うんですよ。

むっつりとわかったつもりになってるだけなんて、自分の都合だけだからこれっぽっちも身につかないだけだからそんなお利口気分なんて信用してたらダメだと思うんですよね。

文章化して晒してそうして巻き起こる自分以外が生み出すベクトル食わないと、価値にも体験にならないはずなんですよね。
もちろん自分ばっかのこととして、ですよ。

他人なんかそんなこと興味あるわけないじゃないですか。
眺めて嫉妬するだけですよそんなもん。


やることやってみて自分になにかくれてやるのか。
利口なつもりに自分甘やかして根暗な嫉妬に腐るばっかか。


さあ、これ見てるそこのきみ。
きみはどっちなんですか。

【PiS】は、きみのどんな選択にも辛辣ですよ。

せっかくピリピリしたもんに関われないのが勿体無くないなら、“小説“なんて気取った誤解に自惚れたがるもんじゃないですよ、ってまじで思う。
ださいですよそんなもん。

つまんないですよそんなやつは。

m.s
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浮離さん

言ってしまえば私ほどバイアスおよび偏見に満ちた視点はないとおもっています。
しかし、その認知のゆがみがどのような具合であるのかを小説という形で示せるのがまだもって救いであるのではないか、とも思うのです。
わかりやすく言えば、家族とか友人など身近な人物がいきなりこんなコトを言い出したら私としては“これなに科の案件だろう”というあたりの思索にあたまが行ってしまい、その妄想の内容の省察は二の次になってしまうとおもうのです。

じつはこのお話、いぜんにまだ違うお名前であった浮離さんにいちどお読みいただいた事があります。お話はいっしょですが、小説としての体裁はけっこう変化しています。
そのとき頂いた感想はおおむね下記のようなものだったと記憶しています。

『この内容をどんな速度で書いているのか作者に頭のなかが心配になる』
『さがし物の途中という印象』

で、今回読み返しながら書いていて私自身もとうじの自分の頭のなかみが心配になりましたし。しかし未だに、これが私の中に主題として生き続けているのだと実感しました。

つまり、あの頃の私もいまの私も変わらず小説と取っ組み合いをやっている。そして前は書ききれなかったけれど、いまの私ならもうちょっと上手くやれないかという期待感がまだあります。

お読みいただけましてありがとうございました。

浮離
KD111239169052.au-net.ne.jp

>“これなに科の案件だろう”

かつてそういう冷静な認識で思考することに憧れた頃があったんですよね。
あたしは結構常識的な知識に疎いところがあって、高校生の頃にコンビニでバイトしてたことあるんですけど、後から入ってきたパートのお母さんであたしは心の中で“ボロ美さん“って呼んでたんですけど、とにかくポンコツな人がいたんですね。

“これなに科の案件だろう”的な思考というか連鎖的に落ち出される情報の素養がかなり少なかったのであたしは単純にバグりやすい人くらいにしか思っていなかったんですけど、普段はボロ美さんとはシフトがかぶらない周藤さんっていうバキバキパート母さんがたまにボロ美さんと居合わせたとき“あちゃー“みたいな顔しながらウォークインにあたしを手招きしたんですよね。

「発達障害じゃん」
「え。まじすか。っていうかなんすかそれ」
「まじすか」

かくしてあたしは周藤さんから“発達障害“なるままならぬ個性についてウォークインの冷風に晒されながらレクチャーを受けることになったんですけど、そんなボロ美さんの“生まれつき“なる生きづらさの理由に驚愕しながら、アタマの隅では“周藤さんかっけえ“がかなりの“大人情報“として結構な熱を発していたワケだったんですね。

“大人瞬発力“みたいな感じですか、その情報連鎖の反射力というかスピード解決のむしろの汎用性というか“ことのなさ“みたいなさりげなさにモロに憧れてしまったというか、“それ、いただきます“みたいな素直な学び感あったんですよね。
未だにすごい覚えてるんですけど、あたしはあんまり人に興味がないのかなんなのか、それが活きた場面には未だに行き当たらないわけなんですけど、似た感じに久々に遭遇した気がしました。


一体なんの話かと。
それも地味に長々と。
しかもこんな時間に。




そうですかあ、以前作でしたか。
言われるとそんなこと言ったことある気がしてきました。
とはいえ読ませてもらった内容自体にはすっかり覚えがなくて感覚的にはほぼサラどころかまじサラで読ませてもらった感じです。

m.sさんの書き方にはなんとなく慣れてきたとこもあるせいか面倒臭いなりにも脱落せずに読み切れた気はしていてですね、内容が進めば進むほど当たりまえですけどストーリーにも付き合いながら読ませてもらった気もしてるんですね。


なんですか、なんかお互いにちゃんと成長してる気がしますねなんか。
慣れとして、あたしは難解を難解としておかない読書があたしなりに出来た気がしてますし。
これって忖度に取られるかもですけど、他の人の作品ならあんまり理解に努めずに“ああ、わかってねんだな“なんてまあまあ見限ったこと思ってしまう形式的な仕様が見て取れるはずなんですけど、そうじゃないことわかるのであたしなりの理解で紐解けなくもなかったっていうか。

まだあんまりおしゃべりしたらダメかもなんですけど、あたしは勝手に思っているんですけど、同じ観察を別の手段でお互いに挑んだ結果ですねこれ、っていう理解があたしには明確にあってですね、決め打ちとしてあるはずの手段の特性みたいなものがそうではない“なるほど“的応用性みたなことを引っ張ってきた感覚があった気がするんですね。

っていうかつまりは、あたしとは真逆の選択のはず、っていうことなんですけど。

面白いですよ、書き手ぞれぞれでこうも選択する手段の掛け方みたいなものが違ってくるのか、みたいな感じ。
わかりづらい話ずっとしてますけどまだわかんなくていいです、つまりあたしはそうはしないように、ならないようにあたしのこの度の作品ってこれまでそういうことしなかったみたいな書き方を入念に仕込んだんですけど、読み手によっては“誰が喋ってんのかわかんない“ってことだったんですよね。

それって、あたしの負けってことなんですかね。
っていうか、この作品にもあたしとは真逆の企みとしてまったくよく似た効果や目的を孕んだ書き筋が仕込まれていることがあたしにはわかるというか、その相似性にちょっとシンパシーを感じさせられないでもなかったところさえあったりしたんですよね。

おこがましくもつまりは“SF“っていう同軸として扱われる作用が同期してる気がして、あたしは“SF“なんて一度だってやったことなかったんですけど、それほど間違ったことしてなかったかも、なんて思わないでもなかったんですね。
まあ、本筋はSFのつもりはなかったにしてもなんですけど。


返信くれなくてもいいので、あたしなりにまたこれについて作動する理解や観察についてつらつらお話させてもらっていいですか。
このサイトにはいわゆる“小説“したものがないので、お役に立って欲しいところなんです。




っていうか酔いつぶれ寝覚めで眠いのでもっかい寝ます。
おつかれでえす。

m.s
104.28.83.157

浮離さん

>返信くれなくてもいいので、あたしなりにまたこれについて作動する理解や観察についてつらつらお話させてもらっていいですか。

どうぞ遠慮なく。他にだれも居ませんし。だれの迷惑にもならないでしょう。
ちなみに前に投稿したときも、あなたともうひとり、当時私のファンを公言していた方からしか感想がつかなかった記憶が。たぶん変わらぬ問題点であり続けているのでしょう。だれにも信じてもらえないけれど私はこれでも『多くのひとに読まれる小説』を書きたいとねがって執筆をしています。
『分かりにくくても良いじゃないか』というのも本音です。『分かりやすい』が理由で受容されるわけでもないと思うので。それはむしろ作家性や物語じたいの魅力などに依存するところも大きいのだと思う。

SF好きなんですよね。
ちなみにきょうはゆうめいなレイブラッドベリの華氏451度を読んだのですが後書きによるとこの『知識層バンザイ』と取られかねない小説がこどもへの教材として用いられているらしい。レイブラッドベリはかなり文学的で啓蒙的な書きてなのですが。これが本邦で教科書に収録されることは無さそうーー

三体とかプロジェクトヘイルメアリーとかニューロマンサーとか、現代の有名どころは読んでいるひとは周りにいても、アシモフとかレイブラッドベリとかダンシモンズとか、イギリスのポストヒューマンものを読んでいるひとは皆無にちかいのが実情。しかし私は後者をこよなく愛しており、なんとかああした雰囲気のものを書けるちからが欲しいのです。(前者も好きですよ!)

まえの群像にSF二百枚くらいのをぶつけたんだがダメでした。そもそもジャンル違いという説もあります。三末に純文テイストの百枚ていどの中編を公募にだして、さてなに書こうな。とそこで未完成の過去作を読み返して『これ今なら書き上げられるかも』となったのが今作になります。

『長くなると推敲が大変』とおっしゃっていましたがまったく、そのとおり。長く書くよりもその推敲の方がよっぽど大変ですよね。群像にぶつけて砕け散ったSF二百枚くらいのもう一度描き直そうとも思うのですが、そのさきに待つ推敲作業(二百枚の文章に何度もなんども何度も目を通す)を想像すると、心がおれそうになる。

でもたぶん書かずにはおられない。のです。

浮離
KD111239169052.au-net.ne.jp

ああ、もう。

本当に誰かこの作品に感想や考察を書いてくれる人いないんですか。
“小説の基礎“っていういろんな観察点を踏まえた上でいろんな手口がごく個人的な発想として試されてるこの作品について、見解を語れる人いないんですか。

あたし一人で考察述べても物足りないですよせっかくなのに。

っていうか、この作品とあたしの“キメラトライブインデックスチョンズ“、その対比でしかあたしには考察できないし、それが何よりとしか思えないのは確かなんですけど、だからって客観的な比較や観察を求めるには定点って二点ばっかだとパーセンテージの分配にしかなんないんですよ。
面倒だけど面白くするにはスクラッチする第三点っていうインジェクションが必要になってくる。

寡占を防ぐための市場原理もそうでしょ、通信業界ではメジャー三社で三割づつシェアが行き渡って膠着か寡占状態に陥ったところに楽天モバイルぶっ込んでみたけどなんだか上手くいかないなあ、って感じみたいなんですけどまあそんなことどうだっていいやですか、つまりはそんな寡占にさえ至らないあっちとこっちっていう比較考察なんて結局イマイチ卑怯か傲慢かもとか思うんですよね。
だからアメリカ大統領選なんてあんな馬鹿げた原理的に陳腐で不健全な不正選挙がゴリ押しでもアリになってしまうわけで、どっちもどっちから見たらただの“ふざけんな“みたいな感じになっちゃうってことですよね。
なに言ってんのかわかないですか。

つまり、
“マッチポンプかよクソが“ みたいのつまんないじゃんってことですよ。
もちろんあたしはそんなつもりはなからないですけど。

とはいえ、ってことですよ。
いつもあたしのこと目に余してイライラしてるきみたちお得意の言い訳のことですよ。
天然で使いこなすばっかで自覚ないですか?

ゴミクズみたいな奴らの意見なんてどうでもいいんですっていうか、こっちくんななんですよね最初から言ってるんですけど。
そうじゃなくって、きみ、そこのきみに言ってるんだよないつもなんだけどわかんないのかな。

面倒臭いですか? これ読むの。
面白いですよ、いろいろ仕掛けあって。
ただ、勘違いしたらダメなのはお話を楽しむんじゃなくて、これを楽しめる自分を楽しむってことなんですよね、こんなとこだからこそそんな実感を手に入れろってことなんですけど。

“小説“に触れるってことは、自覚するレスポンス、そのダイナミクスの実感ってことだと思ってるんですよねあたしの場合。
つまり、理解が備わるとか反射するだとか素養が蓄積される感じっていうかアレですよ、シナプスの結合っていうじゃないですか、思いつくとか思い出すときのアレのことですけど、あれって電気信号だから体感あるじゃないですか、“ピンとくる“とかそういうやつですよつまり。

“小説“する、っていう感覚ってあたしにはある意味それに近い感覚の連続作用みたいなところがあって、例えばあたしが“プロットゼロ“でしかない理由ってつまりそんなこと、書き出したたったの一行目から連続するシナプスの結合っていう偶然、連鎖する作用の有り様だってずっと思ってるわけで、それってあたしにとっての“小説“っていう実感体感、つまり“ダイナミクス“ってことだと思ってるんですね。

“読む“っていう行為もあたしは同じことだと思ってる。
観察点の起点っていうのはまさに直感っていう正当な観察の一点で、その理解を逃すと全てが狂うからそれはある程度の経験値とか蓄積が嗅ぎつける逃し難い感性だとは思うんですけど、それがあると残りはずっと連続する結合として現れる、比較観察に耐えうる文脈の結合っていう定点観測が結ばれるわけなんですよ。

普段からのあたしの“読み方“っていうのは基本そんな感じで、物語を読みながら、並行して走るもう一つの物語がある、っていうのはつまりはあたしの直感側として速射的になぞられる定点とかそんな感じなんだと思うんですけど、つまりはその二点の差分に違和感を観測するってことなんだと思うんですね。
あたしはその感覚的な位相の変化をとらえることを“読む“とかそんな行為のことかと感じてるはずで、だからちょっと他の人とは違うこと見ちゃったり言っちゃったりするんだとは思うんですけど、でも多分あたしの方がリニアな視点で触れたもののはずとはやっぱり思ってるとこあるんですよね。


あたしなんか最近アタマおかしいかな尖ってんななんか。
少し走りすぎてるか調節効いてない感じする。
この前まで死にそうすぎだったその揺り戻しみたいにコンプレッションハイかも。
ちょっと怖いな。

でも大丈夫。
まだもう少し“小説“したい気持ちが続いてるからもうちょっとだけ続けたいと思ってます。


誰かこの作品に意欲的な考察出せないですか。
勉強になりますよ。

あたしとは喧嘩になるかもしれないけど。
でもいい喧嘩とそうじゃないやつとあるでしょ。
そんな分別もわかんねえかよっていつも思ってるんです。


あたしは自分のことずっと感覚派とか天然みたいに思ってたんですけど、なんか違うかもとか最近思い始めたところがなくもなくて、基本馬鹿なんですけどなんかやっぱ多角的に作用する“パース“的な意識とか観察ですか、近頃は重力的な意識とかもあるんですけど、つまりはそういうの意識するのすごく好きなのわかってきて今すごく面白い気がしてるんですよね。

面白い気がしてるうちに叩けるとこまで叩いとけって、そんな感じ。
他人のスレですっごい勝手なこと言ってる気がするんですけど、自分ちじゃただだらしないだけのライブ垂れ流しみたいなもんでしょ、他人のとこだと思えば少しはサービス感度捗る気がするのでこっちでおしゃべりします。
許可いただいたし。


二点しかないならそれでもいいしやるけど、三点に加わってなにか得たい気がするなら誰か勇気出して考察述べてみて欲しいですよ。
正解なんてどこにもないんだし、せめてはそれって書き手ばっかのものでしょ。


読み手として敬意を払いつつ、一緒に効果的に楽しませてもらいましょうよ誰か。

浮離
KD111239169052.au-net.ne.jp

この度の企画において急遽浮上した“文体“問題ってことなんですけど。

先にもお伝えしたとおり、“文体イコール人称“っていう仮定を元にお話していきたいと思っているんですね。
言ってる意味が観察的に既に理解できている人がどれほどいるかはわかんないんですけど、勘違いしないで欲しいのはこれって文章作法として正しいとかそういうことじゃなくて、求める結果その有効性を開発できそうかも、なんていったすごく自由で開発的でニュートラルにアカデミックな直感的作用か柔軟性の活用みたいな話のつもりなのでお間違えなく。

前提として、“人称“がちゃんと把握できていないと“文体“としての活用かその柔軟性を理解できないし許容するなんてとてもではないですけどできるはずない門前払い風情認定確定してしまうので、ここは一歩ずつ確実に把握していきたいところってことなんです。

ゆっくり確認しながら、“人称“が柔軟に開発する“文体“っていう自由度や屈折する視点っていう柔軟性を許容できる“小説民“となるべくその感度を意識的に。浮離さんと鍛えて身に付けてまいりましょう!


それではそんな始まりの第一歩として、各章ごと(便宜上、本文内の記号でごとの区切りを章として番号を振ります)に仕込まれた“人称“から角煮しておきたいと思いまあす。

行ってみよっ。


第一章  三人称神視点※

第二章  三人称神視点

第三章  一人称 本谷視点(キャッシュ)

第四章  三人称神視点

第五章  三人称神視点

第六章  一人称 本谷視点(キャッシュ)

第七章  一人称 本谷視点(キャッシュ)

第八章  一人称 本谷視点(キャッシュ)時空編

第九章  一人称 本谷視点(キャッシュ、村井翁)時空編

第十章  三人称神視点

第十一章 三人称神視点

第十二章 一人称 村井視点

第十三章 一人称 村井視点

第十四章 三人称神視点※

第十五章 一人称本谷視点※


 
ざっとみてこんな感じですか。

それがどうした、って思うかもしれないんですけど全然そんなことなくて、どうしてそうするべきだったのか? っていうのは単に語り口としての都合ばっかじゃないっていうか実際にはそうなんだけど、そうとしないための“文体“っていう試みの理解なくしてこのお話っていうのは読みづらいしなんならいい加減な筆ととたれなくもない曖昧さでもあるはずで、だからこそそうとはさせないための“文体“っていう発明が必要になってくるわけなんですよね。
それを“発明“とするかただの“都合“と見るかはそれぞれとも思うんですけど、正否ではなくその試みについての観察を見過ごすのは大層もったいないことというか、いつかどっかで行き当たる不便さの回避案の一ケースであるはずのことを別にいちいち否定することでもないと思うんですよね。
もちろん、考えあっての手口として、ってことなんですけど。


加えてなにが言いたいのかって、“これって企画ですから“ってことですよね。
結局この作品をあたしのと二点の比較検証になっちゃうんですけどまあいいですよ、むしろわかりやすいでしょうし。

って、わかってる人どのくらいいますか?

わかってる人、そうですよね。
このお話と、あたしのって“SF“っていうテーマありきにしてもそれにしても舞台設計か条件みたいなものが偶然にもものすごく似てるってことなんですね。
お話のディテールというか設計部品が相関として比較か呼応関係を結べる部分がすごく多い気がするんですよね。

こうしてわざわざ無駄っぽく視点を書き出してみたこと自体は実はあんまり意味ないんですけどとはいえとても丁寧なはずで、つまりあたしのやつで同じことすると全編徹底して“一人称“になっちゃうってことなんですね。
わかりやすいでしょ?

それも全編せんちゃん一択。
しかも、いつかのの氏が指摘してくれた語り手なしの“ゼロ人称“っていうつまり“あたし文体“を絶対に崩さないっていう基本理念でぶち抜けてるってことですよね。

それってどっちが良くて腕前よろしいとかそういうこと言ってんじゃないから勘違いしたらダメですよ。
だって、よく見てくださいよ。
 
あたしなんか初見で読んでるときからびっくりしちゃったんですけど、人称の扱いも整理の仕方も全然違うんですけど、それを効果的に扱うために偶然にも同じ手法使ってるってことですよ。
なんかすごくないですか。


とりあえず、m.sさんもあたしもそんな手口を許容できるか通用させられるとする俯瞰か設計にとっくに辿り着いていて、実用的な目処を見通して使いこなしたってことだと思うんですよね。


なんかそういうのってシンクロ? だとかそんな贅沢感じるじゃないですか。
真面目に“小説“してんなあ、って我ながら人ながら勝手に思い上がってしまう“小説“っていう然るべき慣性的な優良なベクトル感じますよね実際。
ちゃんと進んでるらしい、みたいな贅沢感じる。

いやあ、楽しい。




今日はここまで。

浮離
KD111239169052.au-net.ne.jp

角煮しておきたい


しません。
脂っこいのきらい。

浮離
KD111239169164.au-net.ne.jp

主な場面におけるキャラは四人。これも同じ


村井、汐奈、本谷、キャッシュ。律奈と高雄、あと村井翁はまあ別としても。
せんちゃん、かなでちゃん、メデラ、ジュピロ。あとカイロはちょいちょいで。

人称の用い方の違いは先にも言った通り“語り手“の在不在ってことのはずで、それってどうしてそうなるかったら物語の場面ごとにどう描きたいか、っていうその最適解としての判断ってことのはずなんですよね。

その性質の象徴になるのが多分、この話では上に便宜上“時空編“なんてあたしが勝手に名付けたつまりは木彫り村井翁と対峙する場面、つまりはこのお話の中で一番テンションが高いし異質なパートになってくる部分ですよね。

あたしんのの場合は後半半分のせんちゃんが死にかけから目を覚ました箇所から先のパートになるんですけど、これも同じく時空というかあたしのお話の中では“ブーストレック“って名付けた夢の時空間での場面になるんですけど、あたしもそこから筆が悩み出したっていうか、描き方にすごく苦労したんですよね。
下手したら万能すぎる“コンタクティ頼り“みたいな回想から現在形まで突き抜ける実況中継みたいな書き筋になりかねないすごいとんまな予感ばっか先走って全然書けなかったんですね。
書いちゃいけないニュアンスばっかはわかって書き方わかんないっていう矛盾地獄が一週間くらい続いて“ダメかなこりゃ“なんてちょっと思った時期もあったりなんかしてですね。

ただ、“矛盾“って一言で言っても何が矛盾なのか? っていうちょっとめんどいくらいのわけわからなさにぶち当たってですね、なんか違うやこれ、って目先変えたんですよね。


このお話では“人称“っていう変換で乗り越えられる手筈がそもそも備わっていたみたいなんですけど、あたしは作品の目的と離れた絶対前提としての“ゼロ人称“があったので、文体としての記号的な変換ってこと考えたわけです。

その振り分けの不思議っていうのが、またしてもこのお話とリンクするか付合的効果が見られることに驚きがありましてですね。
それってm.sさんがこの作品に限らず前から結構やってた気はするんですけど、つまり同一人物のセリフが鉤括弧で括られたり括られないで地に溶けちゃったり、思考に溶けちゃったりっていう縦横無尽か呉越同舟なんて言い方悪いか、要するにあんまり興味ない人には“めんどくせ“ってそっぽ剥かれそうな細胞壁破れたみたいな浸潤する文体ってことですよね。
それをこのお話でもここかしこで活用して、結構わかりづらい幻惑感に加担してるとこあると思うんですよ。
キャッシュなんてある意味そんな感じにずっとふんぞり返った存在のはずって言っても過言でもない感じのはずだし、十四、十五章なんかは完全に自覚的にそれやってるはずで、ある意味すごく傲慢で暴力的な書き筋とも言えなくなさそうだとか怒られそうですけど。

あたしの場合は、その浸潤的な作用を引っ張るために、“コンタクティ“っていうのがまたしてもシンクロ的に結びついてくれてびっくりとかつまり、せんちゃんは地の“ゼロ人称“とセリフを自由自在に行き来してくれたんですよね。“オフセプト“なんか言っちゃったりしながらとか。
かなでちゃんは柱なので場面の軸を規定する意味で鉤括弧。
メデラとジュピロ、なんならカイロもそうだけど、彼らは“ブーストレック“に意識側で存在してる共通性としてダブルクオーテーションで括りながら、ちゃんとセリフで誰のものかわかるような言い回しをくれてあげたんですよね。
っていうことは、“誰のセリフかわからん問題“っていうのはあくまでも読者置き去りとするその挨拶文句たる書き出し場面ばっか、ってことになるはずなんですよね。
そんなつもり、ってことなんですけど。

上手く言えないんですけど、それぞれの手法は違いながら何だか、“人称ぶち抜いてやった“感あるなって。
ちょっとした万能感ですよあたしには。
“ゼロ人称“ ちょっと進化したかもだとか。
まだよくわかってないですけどもちろん。


書きたいこといっぱいあるはずなんですけど、書きながらどんどんごちゃごちゃとアタマの中忙しくてわからなくなるのでちょっとずつにしますよ。


今日はここまで。

浮離
KD111239169164.au-net.ne.jp

これは“文体“としてではなくて、あくまでも“筆致“だとか“文意“なんて観察として気になる点としてなんですけど、

>村井は時計と壁掛けのドアフォン子機を気にしながらソファーの周囲をソワソワうろうろとしており。
>来る会見のシミュレーションを脳内で繰り返しているようで。

って、もちろん文末の言い回しですよね、処理ってことだと思うんですけど。
個人的には文末処理ってなにに一番効果的かあるいは混乱させるにも同じことかっていうと、“時制“ってことだと思ってるんですね。

“〜した。“みたいな形が続くと単調になるので、ときどき“〜している。“といった現在形を持ち込むと変化が出て効果的です。
だとかってどっかで馬鹿なこと言ってる人見たことあるんですけど、“書く“っていう根拠ってそういうことじゃないはずなんですよね。
どれ一つとってもどうしてそうしなければならないのか、“言葉“としての意図や役割をちゃんと負ったものであるべきというか、そうであるのが当たり前のはずなんですよね。


となると。

>村井は時計と壁掛けのドアフォン子機を気にしながらソファーの周囲をソワソワうろうろとしており。
>来る会見のシミュレーションを脳内で繰り返しているようで。

これってやっぱり、“時制“に必要を働いてるってことなんだろか?
いやいや、あたしはたぶんそうとは感じさせられていないはずで。←コレ

その後を読み進めると、この語り手は村井を眺め、汐奈を眺め、ってつまり俯瞰視点として場面を語る役割として存在しているわけなんですよね。
すっごい当たり前の話してますよ、つまんないですか?

勘違いしないで欲しいんですけど、この度あたしは“人称“っていう小説の基本認識について、その性質とかべき論みたいなこと言いたいんじゃないはずなんですね。
ある意味、その明白さってことでは同じことかもしれないんですけど、この度はちょっと目先を変えて“目撃者“みたいな了見に置き換えて観察したいと思ってるんですね。

そうして生み出される語り口とか描き方とか直接的な技法か技術かそんなことだとか、そうして結果決定するもの表現されるものもちろんバレることだってそうだと思うんですけど、そういう明らかな理解に耐えうる“認識“とか“活用“みたいなことを正確に把握できたらいいなあと思ってるんです。

その後に続く、改行を挟んでの一連のパートの叙述の仕方なんか物語の設計に対して恐ろしくエンタメで秀逸だと思うし、初見ではちっとも理解できなくても当たり前ですよどうぞ安心してそのまま読み進んでみてください、っていう腹立つくらいの上から目線ならぬ上から書きとでもいうのかな、二読めからの方がよほど読み心地いいのは当たり前なんですけど、わかって読んでむしろ面白いってなかなか出来ないですよ、あたしみたいなただただ無鉄砲に書き進む筆質にはあり得ない、れっきとした根拠を企んだ上での筆っていうのはここまでわがままが許されるしおかしな話性格悪くてもやり切れるもんなんだな、ってこれm.sさんのこと言ってんじゃないですから勘違いしたらダメですよ、筆質としてめっぽう鮮やかな腹黒さだって、ものすごくあたしらしい言い方してるだけですから。


しばらくは“人称“という理解や把握を“目撃者“というカジュアルな了見に置き換えた観察を進めて参りたい所存なわけなんです。
気になる人だけしばしお付き合いして欲しいんですよきっとただのおしゃべりなんだけどなんのかんので面白くするので。

一緒に勉強しましょう!



ということで今日はここまで。



いってらっしゃい

m.s
104.28.101.156

すごい間違いに気づきました。

>対面に座った柳目が妻の差し出した紅茶に目を落とす。
柳目→本谷です、初稿を書いたのは数年まえでたぶん百回いじょうは読み返していたのに気づきませんでした。もともと柳目本人が訪問をするというさいしょのプロットの名残がまだ残っていたとは。怖いな。職業的な編集さんが欲しい。いぜん、こうした間違いから深読み考察されてすごく困ったおぼえがあります。


人称について。
人称原理主義者の浮離さんとこんな話をするのはなんだか緊張感がありますね。
『人称』私にとっては文体の選びや登場人物の性別年齢なんかと同じ小説のパラメータの一つであり、目的のために選択をする手段という認識です。

今回でいえば本谷とキャッシュという二つの人格が外的には一個として振る舞うという設定じょう、それらの場面は三人称でなければ成り立たないと思いました。その場面をどちらかの一人称で描けばまるで違った印象になってしまうだろうと。おはなしの導入なので読者に二つのキャラクターに同時に出会って欲しかったのですね。
本作はこの、面倒くさい設定を飲み込んでもらうための回でした。
なので一人の男が訪ねてくるシーンからはじまる。『けれどそれが一人ではない』というコトを、より分かりやすくするためにです。でもやっぱり分かりにくいんだろうな、、、
まあこの手のお話で本谷とキャッシュの馴れ初め説明から始まるのって最悪だと思うので、仕方がない。
この設定、たぶんマンガだとずっと描きやすくて、映画だともっと難しい。


人称について

端的に一人称だと同時に三人いじょうの人間を動かすときになんかわちゃわちゃしますよね。まあそのわちゃわちゃが良いという向きもあるのですが。わちゃわちゃさせたくなければ、一対一のやり取りを細かく裁断接続して大人数を描くほかない。もしくは一人称は主体的に介在せず目の前の人物どおしで三人称てきにやり取りをさせても良いのですが、これだと一人称の不在感がめだって別の意味合いが出てきてしまう。一人称の主体は喋ってなくても地の文であるていどの精神活動をしないと不自然なかんじがあります。

三人称は、たくさんの人間をどうじに動かしやすいです。小演劇でセリフのない役者が舞台にいても暗がりでもそもそなにかして『存在しつづけてくれる』かんじ。
あと三人称と一言でいっても一人称的三人称と純粋三人称という異なるモードがある気がする。つまり内面描写を場面ごとの主人公のみに許すか、すべての登場人物の内面を神のごとく描写するかです。たとえば今読んでいるフィリップKディックの電気羊は〜は完全に前者であり、主人公ディック(本当に主人公がディックという名)の内面は語られても他者の内面はセリフや観察を通してしか語られない。
しかし同時に読んでいるドストエフスキーでは神のごとき視点から人物の内面が逐次つまびらかに描写される。

一人称的三人称と純粋三人称という区分けから考えれば私はあきらかに前者です、たぶん浮離さんも。エンタメてきな読み合いバトルのシーンとかではいちいち段落分けて主観を切り分けるより、後者のモードがよさそうです。
しょうじき、後者にも興味が出てきたがきっともっと読みづらくなるだろう。



というわけで人称についてかんがえてみました。結果(おそらくは)原理主義者の浮離さんには申し訳ないのですが、必要に応じて作品内の各所で変調をしても良いパラメータであり、ただしその使い分けや変調に自覚的であるひつようがある、というような認識でおります。

浮離
KD111239169043.au-net.ne.jp

>すごい間違い

丁寧なあたしは初読ですぐ気づきましたよ。
なんてな。

っていうかそんな推敲漏れなんて瑣末なことはどうでもよくってですね、“人称“問題として、同じ箇所であたしは気になったことがあるんですけど、そんなことすらも技術的な瑕疵なんかではちっともなくて、書き手の意図として説明できるならそれはそれで目を見張るものかもしれないんですけど、今のところあたしにはわかんないんですよね。

順番あるからまたあとでお話しするんですけど。



確かにあたしは“人称原理主義“だと思うし、それでしかあたしには“小説“っていう動機も心象も見出せないっていうか、感覚として違和感なく眺めることが出来ないんですよね。
眺めたくない、って言ったほうが正確かもだとか。
“語り手“っていう客観的な存在か機能や利便性みたいなものは、むしろ必要としたくないんだと思います。

つまり“プロット“って、たとえばそういう“詳しさ“みたいなことのような気がするんですよね。
書きたい世界があって、それのために適正な手段として用いたいっていうあくまでもドライな手法か動機がm.sさんの言ってることかと思うんですけど、あたしにはそういった“詳しい“見通しみたいなものがむしろ動機を鈍らせるんだと思うんですね。

どっちの正否ってことじゃなくて、明確な意図に沿って書くか、書きながら考えるかの違いでしかないはずなんですけど、ただ困ったことにあたしは書くばっかでなに書いてるのかはいつもわかんないでやってるとこがあるんですよね。
そうして連なることが結果として現れることがむしろ楽しいんだと思ってんの。

だから、あたしはあたしが書く世界にはちっとも“詳しい“はずはないし、だからってそれしか書けないみたいな筋道だけはなんかどっかで繋がっちゃうっていうアハ体験的な根拠はあるらしくってですね。

あたしはしょっちゅう悪口言われるんですけど、あれってたぶん仕方ないんですよね。
考えた都合では書かないけど、逐一ぶつぶつと根拠を探るので案外ブレないし、そういう積み重ねでしかないから結果、それ以外には説明できないことばっか偶然みたいにカタチになる。
あたしにはそれが当たり前でしかないしそれしかないし、だからってことではないとは思うんですけど、そうじゃないことで出来上がる失敗にものすごく敏感だし、どうしてそうなってしまうのかその瑕疵も大体見抜けちゃうとこある気がするんですね。

わかんない人にはきっとわかんないと思うしそれって当たり前だし、仕方ないんですよねそれぞれの性能でしかないんだし。
わかんないことを恐れるのは人間として当たり前の反応らしいんだし、そんな相手が女となればクズみたいのはクズらしく恥ずかしげもなく貶めることばっかで溜飲下げるしかないのも仕方ないですよね。
その程度でしかないっていつまでも自ら白状し続ける自虐性はもはやただの執着でしかないんだろうし気になっちゃう時点で負けだと思うし、その程度でしかない自覚も持てないものに興味なんて持てるわけないなんてそれこそ当たり前じゃないですか。
だって、あたしはあたしのこと気なってしまう悪口ばっかの人たちの書き込みも作品も読まないしその程度ってわかってるから興味持てないですもん。
ああいうの真に受ける人がいるならそれもまとめて馬鹿として見下げるだけですし。

程度って、そういうことなんじゃないですか?


あたしたちは自ら生み出したがる執念にこそ執着するわけで、見たものばっかでわかった気になりたがるような貧弱な動機や卑怯さで自分を慰めたがるようなお手軽さではないですよね。

だからちゃんと読むし見通すし言語化するし、その程度を恐れられてこそだと思うんですよね。
あたしはオリジナルすぎるし素でもちょっと強烈すぎるのは自分でもイヤだし面倒だけど、当たり前に的確なつもりだし誤魔化せないし、自分なりには品性として節度として公平に振る舞うべきとして振る舞ってるだけだし、クズがクズとしてその性分らしくその貧弱なだけの沸点に耐えかねちゃうばっかなんだろうなあ、なんて気の毒に思うしかないんですよね実際。
でも仕方ないですよね、あたしの欲求には全然足りないし、実際つまんないんですもん。


って、今日は単純で真っ当で正直なだけの脱線おしゃべりになってしまったな。

浮離
KD111239169043.au-net.ne.jp

“柳目“なんてやつは実際には存在しないはずなんですけど、“柳目“として都合社会性を獲得するキャッシュっていう存在の座標が検討されるのが一章と二章っていう“三人称“の差分か、あるいはもう一点あるんですけどそれって序盤にはまだわかんないことなんですよね。

そう思うとこのお話はつくづく織り込み済みで書き進められる基本形態が取られてるらしいことを感じさせられるし、ともあれエンジニアっぽい書き方なんだなあとつくづく感じさせられるわけなんですね。

そうして三章で初めて本谷の“一人称“パートが現れるわけなんですけど、どうして視点の変更が必要だったのか?
“三人称“のままだって、書けなくもないはずなんですよね。
だけど、そうはしなかった書き手の理由ってなんなんだろ?

読者はまだこのお話の相関として“柳目“も“相棒“も実在するものとして受け取ってるはずなんですよね。なんなら、読み手次第ではずっと存在し続けるかもなんですけど。

“なにこいつ、誰と話してんの連れションなの“

って、ようやくこのお話の舞台は疑いを、その個性を見せ始めるんですよね。
そうしてこの三章、“三人称“で書けるかどうか考えてみたいんですよ。

“本谷は並走する意識に耳を傾ける“

だとかってダサくてごめんですけど例えばですよ、そんなお節介なナレーションってどうですか?
もうなんか世界観ったら早速ご破産ですよ謎も牽引力もへったくれもないでしょ実際。
“〇〇はかつての過ちを今も悔やみ続けている“ だとかってまたしても例えばなんですけど、そういうすっごいおせっかいなことベロって書いちゃう人いるじゃないですか、ああいうのほんとダメだと思うんですよね。

おっかないですよね設計って。
そんなボロすら仕出かさなくてもボタン一個のかけ違いで次から次へと綻び出ちゃうのわかりすぎるし、単純な話“三人称“とするその語り手の視点や知見や時制までまったく別人格にすらブレにブレまくったりさえするはずなんですよね。
あたしはそのことがずっと気になってるんだし。

“語り手の人格“っていうことまでちゃんと意識するなら、普段のあたしの“ゼロ人称“にジュピロやカイロっていう自立したキャラは存在し得なかったはずなんですよね。
だからってあたしはそのために“コンタクティ“っていうことを企んだのかったら先にもお伝えしたとおり実はちっともそんなんじゃなくて、

>「キモ。寝覚めのレートシアこじ開けんなや」

って、なんでかそう書いちゃったところからあたしのシンクロはたぶん始まっていたはずで、もう少し振り返るとその種って、

>「そんなこと言ってねえ」

って、かなでちゃんが口の悪いこと言っちゃったせいだと思うんですね。
たぶんそのときあたしは地とセリフに位相の違いを感じたんだと思うんですけど、そんな偶然のタイミングで物語は“コンタクティ“っていう後から名付けられる一つのパーツを偶然手に入れたはずなんですよね。
そうしてジュピロは一度のお披露目もなく、カイロは現場に現れることなく大仕事をやってのけてくれたはずなんだし、あたしはそれを“ゼロ人称+SF“っていう組み合わせが思い付かせた特級の手柄としてこの度はありがたく使いこなせたはずだと思ってるわけなんです勝手に。

つまり、このお話の企画性みたいなこととはまったくの逆さまってことだと思うんですよね。
かなりいい加減で行き当たりばったりとすら。


>資料に依ればその奥に村井ーー国会議員だった村井翁の書斎が在るはずだった。

この一文は世界観として結構重要なはずで、これを本谷によるただの既知のナレーションとして鵜呑みにするなら、このお話の世界は正確には理解できなくなってしまうはずなんですよね。
その素質がないってことになっちゃう試されがちな一文ではないのかと。


>在るはずだった。

からの、

>ようやく確認できた。ーーしかしもっとさきにお借りして覗いておけば良かったのだわ

なんですよ。
わかりますか? 並みの読者なら、この章の目的か性質みたいなことを段々と理解し始めなきゃならないわけですよね。
理解を揺さぶられるわけなんですけど、そのための“人称“として、“人称“の選択はその世界観さえ担保するってことを明らかに理解するべきだと思うんですよね。
文体だし、世界観だしまったく無節操みたいな感じですけどむしろ便利かつ獰猛っていうか、重しらいじゃないですか、取扱注意感あって。

>資料に依ればその奥に村井ーー国会議員だった村井翁の書斎が在るはずだった。

つまりこの一文にはこのお話っていうこれから現れる世界観たる時空と、柳目であり同僚でありキャッシュっていう実体を持たない万能性と優秀性と場面への不溶性っていう厄介さを予告する不遜で平坦な挑発が込められてる気がするんですよね。
本谷とキャッシュっていう関係性を万全にギュッと押し込めて示してると思う。


この三章は、それに続く二人のこなれた会話も含めて、“自己紹介“あるいは“舞台紹介“みたいな章だと思うんですよね。

それと比べてあたしなんか、“ブルー“だの“カラーリングデポジット“だの“ブレストロン“だのってのっけからでたらめとでっち上げの乱発で暴風さながらの世界観押し付けコンプラ開闢ですよ騒々しいも大概にしろですよね実際。

まあ、面白かったんだけどあたしは。
逆さますぎて面白すぎるんだけど。



今日はここまで。

お休みだからバイクでも乗ってくるわあい。

浮離
KD111239169043.au-net.ne.jp

四、五章は人称のリフレインですよ感覚的には。
再び手元で操り嘯く“三人称“ってことなんですけど、とはいえなんだか感触が違う気がするのはあたしだけなんだろか。

このお話は“SF“っていう立て付けなんですけど、この二つの章においてその読み口はなんだかミステリーチックですらあって、とはいえその語り口はむしろ闊達としたサゼスチョニング、つまりは“スリーアウト“だとか、煙に巻くまでもなく開き直るような待ち合わせ場所、歩みの遅い亀を振り返り待ち受けるせっかちなウサギ、みたいなパートかもしれないだとかそんな感じ。

謎で惹きつける。
餌付けして手懐ける。

言い方悪いかもなんですけど、“三人称“っていう同じ俯瞰を操りながらひらひらと手繰るその意図はけっこう逆さまなのかもしれないこの構造は言うなればたぶんですけど“ヤンデレ“だとか、性分として狡猾で作為的。
つまりこの章ってこのお話の中でも最も良心的で“物語“的なエスコート、ヤンとした幕開けをやり過ごしながらデレとして手繰り寄せるスレきって手練れきった病みキャバ嬢的手口みたいにあたしには見えなくもないだとかテキトーなこと言ってますけどシャンパンいくら抜いてもちっとも懐きやしねえとかそんな感じも悪くないでしょなんて言い草に連れながらお疲れ様でした。

このお話の“物語のフリ“なる犯行予告は以上でたぶん終了です。


ちなみにあたしのやつでこれに相当する箇所っていうのもやっぱり相変わらずの“とんでも造語“と“似非科学“をせんちゃんがひたすらに喋り倒すっていう力技、

>メデラの召喚期限が迫ってる。

なんちゃってけっこうシリアスな感じですら、なんだけど、あたし自身はこの辺りの嘘っぱち捏造ディテールを読み返すのがなんだかいつまで経ってもけっこう楽しくって、“創る“から“読む“までをぶち抜きで満喫しまくる“自分しか天才って言ってくれない“主義全開らしい有り様だったりするんですよねムカつきますか。

だってm.sさんが“ヤンデレ“ならあたしはなんなのったら決まってるじゃないですか、“ノラチル“だとかそんな感じに決まってますよってなんすかそれ。
あたしの手口はいつだって“野良犬“みたいなもんじゃないですか。
自分ばっかの欲求にばっか忠実らしいんだし、好き勝手ばっかやり放題らしいんだし噛まれたら病気になっちゃうらしいんだし、懐いてみたら案外ボケっと癒しだったりしなくもないらしいだとか。
そんなつもりがいいな、ってだけなんだけど、

>懐きの悪い犬みたいだね。

なんて偶然みたいに、かなでちゃんも言ってくれてるんだし。


つまりなに言いたいかって伝わるかどうかは知らないんですけど要するに、“SF“ってことですよ。
“SF“って建前に預けて“フタ“をしたそれぞれの手口、その“案内状“みたいなもんなんじゃない? だとか。
“SF“なんちゃっても実のところつまり、“なにが書きたかったのか?“
あるいは、書けるのか? なんてそんな手口の犯行予告か仕出かすなりの生い立ちにはそっぽ向くだとか、たぶんあたしなんかは一先ず理由にならない理由みたいなことをまったくの舞台として書かなきゃいけない気がしてたはずなんですよね。
真剣に無責任をやり散らかすなんて、矛盾すぎて自由すぎてめっちゃ面白いじゃないですか。
意図して息を潜めるようなm.sさんの周到な手口とは明らかに真っ逆さまの指向ではあるかもですけど。

え、まじですか。
そうなのかな。

まいっか。



そうしてお待ちかねですよ、って誰がお待ちかねなんだかですけどそれにしても本懐とは言えそうな、なんてあたしは勝手に決めつけてしまうものなんですけどようやく現れる“一人称“っていうm.sさん流“SF“の本懐ってもう一度確認の如く決めつけてしまう六、七、八章なんですけど、ここってまじで面白い。

わかんない人にはわかんないし、そもそも“物語“としてばっかならそんなことどうでもいいことをあたしは“面白い“って言ってるのかもしれないんだし、だからってやっぱ“SF“ってことですよね読み手たるあたしにとっては、ってことなんですけど。

>レギュレーションがあまりよく分かっておらず、規格の範囲外であったなら申し訳ありません。

なんて狙いにあるんですけどとんでもないですよ、ど芯食ってるっつうのってあたしは思ったし、“SF“って結局なんなんだろね、なんてちっとも言いたくないだけじゃんなんてあたしは思うばっかですよね実際。
案外天然っぽいとこあったりすんのかな? だとかな。
なんてな。

浮離
KD111239169043.au-net.ne.jp

あたしは思うんですけど、この六、七、八章って、そのつもりかどうかはわかんないですけどm.s
さんが考えるかナチュラルに漏れちゃっただけかはさておき、“SF“っていう未来願望予想図あるいはそんな必要性への疑義か告白、なんてそんな気がしちゃうとこあるんですよ。

だって、よく読んでみてくださいよ。
六章ってなに書いてあるんだろ? あたしには“困難さ“かそんな些細な停滞っていう基本解決への願望が見える気がするし、七章は奔放で無機質な乳繰り合い、未来に潔癖を求めるのは現代には物寂しいことかもしれないけど、むしろそれすらも必要としない奔放な解放の必要か欲求を憂えて許容して見えなくもないし、八章に至ってはすっかり甘く残酷ですよ、打ち明けたはずの欲求は純粋に収縮に向かうものらしい様はまあまあ自殺っぽいっていうかそんなスレた願望も含めてこの先への依存を隠さない隠せない細胞の性だとかなんとか。


まあなんていうかちょっとアタマおかしいみたいなこと言ってるし逆さまっぽい眺め方かとは思うんですけど、あたしなりに思うには“読書“ってそういうめっぽう読み手勝手な観察か依存か没入みたいな感覚を無視して好むわけにはいかない事情みたいなものがあるべくしてあるか必要としてしまうところがある気がするし実際、こうして読み返してみるこのパートは案外退屈な箇所かもしれないんですけど、あたしにはむしろ“SF“っていうピークなのかもしれなくて、この先は誰もが“物語“できる次元解放みたいなパートになってくる、もちろん続く九章はまさに“SF“を挑戦的にも画角的にもぐいぐいと描き切る、イメージの明快な深みではあるはずなんですけど、あたしなりにはそれがそれとなる根拠はとっくにいただいてるっていうか結構満喫して腹一杯かもしれないとかこうして書きながら思ってたりするとこあって。

やっぱ“考える“付き合い方って悪くないですよ、すっごい勝手なことばっかもちろん許可を得ながらにしても言いまくりすぎかとは思うんですけど仕方ないです、あたしにとってこのお話はそういう意義に立つお話なんであって、“物語“以上に重要な解釈として楽しめる要素でちゃんと作為をぶん回したかしてくれた感じが非常に有難いっていうか、そういう醍醐味みたいなことを書き手自身が自覚して意図して使い回す“楽しさ“みたいなことを取り逃がしたくない、っていうのがこの企画のそもそもの欲求だったので、あたしはあたしなりの解釈を突き合わせて楽しめる気がしてるってことなんですよね。


長い。

今日はここまでとするか。

m.s
104.28.83.159

すごい。ほんとうに詳細に評論をして頂けまして恐縮です。
いったいSFってなんなのでしょうね。とつねづね思っています。なのでこれがSFなのかどうか、自身ではあまり自信がありませんでした。
「じぶんが好きなのはこういうの」「じゃあそれが良いと思うのは何故?」「どうしたらそのような風采が整うのか」といった、これまでの主観にたよった非客観的な方法論しか切り込む武器がないからです。

言いわけになりますが、ひさびさに読書に興奮した読後感の余韻でもうけっこうお酒を飲んでしまいました。

つまり。つい先ほどフィリップKディックのアンドロイドは電気羊の夢をみるか、読了してこれはもう、あたまをぶん殴られたくらいの衝撃があったということです。だってまるで古びていない。私はSF書くときに現実のあるていど新鮮な未来の技術要素ガジェットを安易にぶち込むコトが多いです。そのほうがSFぽく見えるかな、と。そんなもの直ぐに古びていくに決まっているのですが、ゼロベースで設定を考えるよりもそうした下地を利用したほうが楽だから。

しかしSFというのはガジェットではなく設計なんだ。気づかされた。
さいきん読んだレイブラッドベリと比較したときに思わされるのですが、ブラッドベリはインテリなのですね。冷戦じだいの終末感と人類への諦観が古びている。そして詩的で美しさとしては申し分ないが切実すぎてシニカルな現実味がないーー
 ブラッドベリは、蒙昧な群衆のなかでふと孤高に目覚めてしまった特別な個人の葛藤をすこしく高尚に描く。
 ディックはふつうであることを持続するためにふつうの人々が日々おこなっているあらゆる峻烈な戦いの模様や、その疲れや休息を描く。
 私がやりたいのは後者であるのだと啓示をうけたように気づけました。

 もう動物救済思想とか人工宗教とか、映画化されたブレードランナーでは捨て去られた豊富な要素がすごくよくて『生きているうちにこんな小説が書けたら』という尊大なおもいが復古した。

 つづき、書いています。

 雑誌系でこの類いを出す賞が思い浮かばないので、カクヨムで連載しつつ六月の賞に公募しようかと考えています。締切日までに250枚超えていれば公募規定はクリアできるもよう。いまのところ150枚くらいでして。まあ可能そう。
 たましい、燃やすか。

sp1-75-249-20.msb.spmode.ne.jp

拝読しました。と言っても途中でリタイアです。文章をもっと文章らしく書き直した方がよいですね。わざとそうしているのか分かりませんが、非常に読みにくいです。

――冒頭――

来客の予定時刻が迫る中、村井は時計と壁掛けのインターホンを気にしつつ、ソファの周りを落ち着かない様子で歩き回っていた。頭の中でこれからの会見のシミュレーションを繰り返しているのだ。「出前はちゃんと頼んだか? 紅茶のカップは温めてから使うんだぞ」と何度も汐奈に言い聞かせている。そんな村井に対し汐奈は、「ハイハイわかっております。どうか落ち着いてください」と言って彼をソファに座らせ、スーツの襟を整えたあと、「威厳は余裕から生まれるものだと父も言っていました。汗ばんでいるようですし、冷房を強くしましょうね」と、彼の額をハンカチで優しく拭った。

この書き換えにより、文章がより流れるようになり、登場人物の行動や心情が明確に伝わるようになっています。以降の文もこのような推敲が必要ではないですか?

浮離
KD111239169043.au-net.ne.jp

>人称の用い方の違いは先にも言った通り“語り手“の在不在ってことのはずで、それってどうしてそうなるかったら物語の場面ごとにどう描きたいか、っていうその最適解としての判断ってことのはずなんですよね。

その性質の象徴になるのが多分、この話では上に便宜上“時空編“なんてあたしが勝手に名付けたつまりは木彫り村井翁と対峙する場面、つまりはこのお話の中で一番テンションが高いし異質なパートになってくる部分ですよね。

あたしんのの場合は後半半分のせんちゃんが死にかけから目を覚ました箇所から先のパートになるんですけど、これも同じく時空というかあたしのお話の中では“ブーストレック“って名付けた夢の時空間での場面になるんですけど、あたしもそこから筆が悩み出したっていうか、描き方にすごく苦労したんですよね。
下手したら万能すぎる“コンタクティ頼り“みたいな回想から現在形まで突き抜ける実況中継みたいな書き筋になりかねないすごいとんまな予感ばっか先走って全然書けなかったんですね。
書いちゃいけないニュアンスばっかはわかって書き方わかんないっていう矛盾地獄が一週間くらい続いて“ダメかなこりゃ“なんてちょっと思った時期もあったりなんかしてですね。





これって、このスレにあるあたしの投稿からの抜粋なんですけど、ようやく現場に辿りつきました。

語弊を恐れずにいうなら、ここに至るまでの形式的か表現の手段みたいなものについて、m.sさんとあたしの“書き方“っていうのはたぶんですけど割と共有できそうな認識や意図において、それぞれの選択とするなりにも案外似通った書き進め方をしてきたのかもしれないんですけど、そんな認識や意図らしく選択されるこの度では特に“人称“として観察されるものが、ここにきてそれぞれの“最適解“として露骨な反映を、効果の現れ方の違いを見ることになった、描こうとする場面の要求に従ってそれぞれにまったく別様式に分かれたことが明らかになったはずなんですよね。


>村井先生、好物とお聴きしてこんなものをお持ちしました。扉の前でそう豆大福の包みを掲げる。これを以て渡らせては貰えまいか。

章の書き出しから問題ですよ。
下手な読み手には疑問にならないするりとした読感ですけど、これって“人称“なんですか?

っていうのは、m.sさんとあたしに共通する“普通じゃない“書き方っていうのはとっくにもう始まっていて、その手段として性格に揺らいだもののはずなんですよね。
一先ずは続けて読み進めてみると、

>同意は得られた、とぼくは思い左半身ごと扉に押しつけて開いた。

ってようやく、これは“一人称“なんだってわかる。
その前に“村井先生“って言ってるからこれは客人の言、“ぼく“ってことはつまり本谷の一人称ってことが確認されるわけなんですけど、一応言っておくんですけど、章の書き出しの一文を忘れないでね、ってことなんです。

>書斎の両脇の壁は書架となっており、天上まで連なる棚の高さは昏がりに紛れて見えない。入り口の向かいは出窓になっており、そこには熊、鹿、猛禽、あらゆる動物の死骸が飾られていた。

そのまま続きますよ。
あたしは以前に“文末処理“についてお話したんですけど、なんでしたっけそれって?
そうですよ、“時制のコントロール“って言いましたよね。
文末のたった一文字、例えば“る“なら現在形、“た“なら過去形っていうシンプルで感覚的にすごくわかりやすいやつのことですね。
そんな観察において、上の抜粋はなに形ですか?
最初の句点は“い“ですよ、あたしなら単純に現在形と見る。
でもまだ終わりじゃないですよ、次の句点は“た“ですよ、つまり過去形。
馬鹿馬鹿しいですか? でもあたしは常にそういうこといちいち気にしながら精査しながら読むのがもう死ぬほどクセなので、全然迷う気なんてないんですね。
さあ、この抜粋はなに形ってことになりそうですか?
そうですよね、抜粋としてなら文末は“た“ですから、過去形っぽいよなってあたしはなっちゃう。

はい、ここできました。
文末、“か“って、なに形? ってことなんですよねさあ困った。
しかもよく見るとこれって地の文ってよりはなんだかセリフっぽくもあるじゃないかおいおい、ってね、騙されやすいことばっかするんですよこの書き手ったら。

はい、時間ないのでそのまま進みますよ。

>それは剥製というにはあまりにも湿っており、そのぬめった眼球がちらちらとこちらを気にしているように見えた。気づけば書架の背表紙のあちこちにも眼が浮かんだ。それらもまた茫洋と視線を漂わせながらときどきチラチラとこちらを気にしているようだった。

そのまま続きます。
際その句点は“た“だから過去形、次は“だ“これも過去形、最後の句点も“た“
徹底して過去形に統一されてるので悩む人は馬鹿ですよ、考えすぎは下手の素だから気をつけたいですよね、って誰よりもタチ悪く考えすぎるあたしが言うとかな。
そんなあたしが言うらしいことには、“過去ってどんくらい過去よ“だとか普通にチンピラみたいなことだったりするんですね。
続きます。

>部屋の中央にはぬらぬらと照りかがやく執務机が置かれており、村井翁はそこに居た。

ここまでで十分かな、とか思いながら。
文末は“た“です。
あれ、普通に過去形の文脈ってことじゃんそれがどうしたっつんだろって思うかもしれないんですけど、あたしはチンピラだっつってんですわかりますか。
つまり、“時制って終わりばっかの話かよ“ってことだと思ってるってことですよねあたしなりにはなんですけど。

“過去形“って一口に言っても、その中には“文脈的な時間の経過“みたいなものもある気がするってことなんですよね。
そんなもんあるのかどうかは知らんけど、なんですけど。
上の一連の抜粋をひっくるめて、っていうかはなからひっくるめなんですけど、“過去形“って決定するその時制って、どこに軸足置いてるものだと思いますか?
ただの下手くそって押し並べて真面目な人が多いので、もしかしたら間違い探しみたいに一連の箇所をぐるぐる点検して回ってみたくなる人もいるかもしれないんですけど、はい、それってクソ真面目。

あたしなりにコツを偉そうに伝授しちゃうんですけど、わかんないときは大体後ろの方見たらいいんです。って、あたしは基本思ってますってことなんですけど。
なんか小学生の算数ドリルみたいですけどまじでそんな感じ。
そんな感じで眺めてみると、はいどこですか軸足。

あたしが思うには

>村井翁はそこに居た。

ってとこに収束する時制だと思うんですよね。
まあ、たぶん文章構造や性質において基本的に当たり前かと思うんですけど。
違う答えだった人は、……程度によりご意見拝聴いたしますよろしくお願いします。

浮離
KD111239169043.au-net.ne.jp

>村井翁はそこに居た。

どうですか、この感じ。
まじで“この感じ“ってことですよ、最終的に“感度“わける感じってこういう些細な感度だと思うんですけど、この短いセンテンスの中にそれ以前までのあらゆる視点や観察が収束するってことをあたしは言ってるわけなんですけど、意味わかりますか?

極端な言い方しちゃうと、“時制”として断定視点に置くなら。

>村井先生、好物とお聴きしてこんなものをお持ちしました。扉の前でそう豆大福の包みを掲げる。これを以て渡らせては貰えまいか。

>村井翁はそこに居た。

この二文っていうのは、同じ地点にあるってことだと思うんです。
なに言ってるのかわかりますか?
そうですね、その二文の中に、これまで書くにしてきた時制、“過去形“の観察が内包されてるっていう書式になるはずってことなんですね。
“現在形なのに、“過去形“を内包してる、ってこれ仰々しいこと言ってるみたいな感じになっちゃってるかもですけど実際、ごくありふれた書式のはずなのでそんな構えることないですから落ち着いてくださいね。

そうじゃなくって、あたしが観察して触れたいのはあくまでも“人称“ってことなので忘れないで欲しいんですね。
つまり、その語句ありふれたらしい書式っていうのを可能にする“人称“ってなに? ってことなんですよね。

勘違いしたらダメですよ、あたしは正しい答えを求めてるんじゃなくて、あくまでもその“可能性“っていう創作の自由度や発想の話をしてるだけなんですから。
あたしの言い草に触れて腹を立てたり不愉快を思いつく人っていうのはつまりそういうこと、そもそも話の道義から理解していないから頓珍漢なことばかり言い腐って自ら程度と恥晒して自滅を繰り返すばかりなので、その他の人はその辺こと冷静に認識して効果的にお付き合いいただきたいんですよ。


お話戻しますよ。

>下手したら万能すぎる“コンタクティ頼り“みたいな回想から現在形まで突き抜ける実況中継みたいな書き筋になりかねないすごいとんまな予感ばっか先走って全然書けなかったんですね。
書いちゃいけないニュアンスばっかはわかって書き方わかんないっていう矛盾地獄が一週間くらい続いて“ダメかなこりゃ“なんてちょっと思った時期もあったりなんかしてですね。

先のあたしのやつのさらに抜粋なんですけど、つまりそれってこれのことなんですよね。

>ここにきてそれぞれの“最適解“として露骨な反映を、効果の現れ方の違いを見ることになった、描こうとする場面の要求に従ってそれぞれにまったく別様式に分かれたことが明らかになったはずなんですよね。

またしても抜粋の抜粋。
あちこちこんがらかってわかんなくなんないでくださいね、一個一個整理しながらついてきてください。
つまりそういうことなんですよ、ってこと言いたくてここまでまわりくどくお話させてもらってきたわけなんですけど、つまりそんな感じってことなんですよね。

先にも確認したんですけど、この九章って“一人称“ってことでしたよね。
書き出しと、時制が収束する末の一文が同じ地点にありながら、“過去形“となる観察かエピソードを内包してる“現在形“
あるいは書き出しの一文に立ち戻って収束する“現在形“って言った方がもっと正確かもしれない。
そんな書式か文体のようなものをm.sさんは“是“とした、ってことですよね。

>書いちゃいけないニュアンスばっかはわかって書き方わかんないっていう矛盾地獄

つまりあたしは性分丸出しの“ゼロ人称“求道者として、“否“として挑むしかないってこと。

これって文字通り“是非“っていうことじゃなくて、あくまでもそれぞれの方法論、表現の方向性、それに対する最適解っていう選択肢の違いってことでしかないんですけど、そうして現れる表現や文体や結局のところ“読書“として現れるか感じるらしい“挙動“みたいな、やっぱダイナミクスってことなのかなってあたしは思ってしまうんですけど、その求め方の違いや生理ってことなんだと思って、あたしには“文体“っていう交差するパルスだとかそんな感じ、行き交う時空か世界線なんてちょうどいいこと言っちゃったりなんかもしてでもやっぱりそんな感じ、さまざまな切り取りっていうよりはほとんどマトリックス感覚に近い別界感かあるいは程度によってはまったく別モノとして扱われかねない逆さまみたいな陰性多様性素性にすごく愉快を感じるっていうか、懸命に求めたものならそれを観察できないことはもったいないことだよなあと改めて思わされるとこだったりするわけなんですよね。

これってもはや不思議でしかないんですけど、ここまで噛み砕いてお節介甚だしくお話してもわかんない人にはわかんないし、わかりたくない人にはとことんわかりたくない不愉快さでしかないのが“小説“っていう手に負えなさだし交わり難さだしだそれでも手放し難いやりがいってことでこそあって、まあわかんないなら気にすんななんですけど、あたしはこういうことわかんないで無意識かただの奔放よろしく書きたがるだけの“文章“なんて、所詮“作文“の域を出ないと思ってるから仕方ないですよね、嫌われたって所詮馬鹿にちゃうんですよ実際。

“小説“って、所詮仕組みや設計から逃れらない作法ってやっぱあると思うしだからこそ面白いんだし、そうでもないっぽいものがあったとしてもそれって知った上で破ったもののはずで、ただのでたらめが許されることとは全然違うことのはずなんですよね。

ちゃんと考えること考えて心得ること心得て自分の書いたことくらいとことん説明できるくらいの動機か理解で当たらないと、やっぱ書いた気しないと思うし面白くないし感想なんて碌なこと書けるはずないと思うんだし、つまりこういうのってそういう理解や観察の赤裸々な開陳みたいなもんですよその一部として憚ることなくってそんな感じの。

正しいか常識か権威がどうのとかそういうんじゃなくて、自分なりのとことんな考えに付き合ってやり切ってなんぼの話してるだけだから、クソ古臭い石頭の老害にはちっともわかんなくて当たり前だから。



クソふざけんな馬鹿





今日はここまで。

m.s
104.28.83.156

凪さま

今回は「登場人物の行動や心情が明確に伝わるように」したくなくて、三人称主人公/一人称の内面ですら読者へ透明にはしたくなかったのです。
そこで海外SFの和訳ってなんかこんな感じ。という、私なりにおもう『なんかよく分かんないけど賑やかにガチャガチャしてるなあ』感を出したかったのですが。やはり、読みづらいようで申し訳ありません。
しかし。この小説としてはこうした形で書き進んでゆくほか無いように感じてもおります。

お読みいただけましてありがとう御座いました。

m.s
104.28.83.155

浮離さま

時制について。せんえつながら、過去形について、英文法における定義と日本語の定義がすこしく曖昧ではないか、と思いました。
たしか村上春樹と翻訳家の柴田が共著した『翻訳夜話』にて語られているのですが、英語ではとうぜん全ての過去は-edで表現されるが、これをすべて日本語における文末時制の「た」に置き換えては文章のリズムが成り立たない、という議論がなされております。つまり日本語においては現在形が連続できないのでしぜん、時制が過去にぶれて語尾たまにが「た」になるということかと。またその逆もあり。それは日本語に過去進行形がそんざいしないためでもある。

英語は完了形のみならず過去完了系や大過去などひじょうに時制と活用が一致した言語なのですが日本語はそうではないので、センテンスのなかででも自由に、時制を飛びまわることが可能です。それはもちろん読みづらいだろうけれど、日本語の表現として破綻するほどでは無いという認識。
ごめんなさい、嘘です。実のところ小説を書くときに「これってありかな?」と自分じしんの記憶に問いかけながら推敲をしているだけの感覚派です。

じつのところ、昔に同じような語尾の時制について考えたとき世の中の小説のおおくが其れについて『かなり柔軟に』対応していることに気づいたというコトもあります。

すみません。職場には明日は休むと宣言したのでもう散々に飲んでしまっていますね。

浮離
KD111239171030.au-net.ne.jp

“日本語と英語“っていう言語性、あたしなりにはなんか“テクスチャー“みたいなニュアンスのつもりになってしまうんですけど、言ってることはわかるしわかりながらたぶんあたしが性分の如く気になる“言語性“の違和か置き換えられなさみたいなことって、お互い様ですよ、あたしもものすごく感覚的な言い分にあるはずで。

>英語は完了形のみならず過去完了系や大過去などひじょうに時制と活用が一致した言語なのですが日本語はそうではないので、センテンスのなかででも自由に、時制を飛びまわることが可能です。

これって伝わるかどうかわかんないんですけど、あたしなりにすごく腑に落ちるところで、要するになんですけど、あたしが書く言葉って“日本語“のつもりなんですよね。
おかしな言い方に読み取れちゃうかもなんですけど、ほら、あたしってまあまあ頻繁に500字とかだって軽く一文長文書いちゃうとこあるじゃないですか。
編集として分割して整理可能な文脈をあえて“口語体”なんか言っちゃうわけですけどそんな感じでふらふらとなんとなしでも呼吸が続く限りみたいな一文に仕立て上げちゃう。
あれって、実はただつらつら書いてるんじゃなくて助詞とか副詞とかもちゃんと意識して文意がぐるぐるしたり踏み倒したりしないように文脈の進行方向やリズムをちゃんと意識しながらやってるつもりなんですよね。
肝心なのはそういうことも含めてなんだけどもっと別の言い方があって、あれって“英語に翻訳できますか?“ってことなんですよねつまり。

たぶんですけど、外人さんなんかしたらきっと“Sorry,give me a break.”なんちゃって呆れ顔、次にお会いしたら精神異常者としてどアタマから手加減されかねないだとか知らないですけどまあ、つまりまともじゃ通じない相手にされない感じには違いないはずかと思うんですよね。
それってなんでかって考えるとなると、

>英語は完了形のみならず過去完了系や大過去などひじょうに時制と活用が一致した言語なのですが日本語はそうではないので、センテンスのなかででも自由に、時制を飛びまわることが可能です。

って、あたしにはたいそうなインテリジェンスで分析的であって理性的、あたしはかなり馬鹿なのでもっと噛み砕いたところでしか息できないみたいな感覚において思うには、英語って動詞とか目的語みたいのが真っ先に出しゃばる“言語性“みたいに思ってるとこあるんですね。
あたしが大好きな口語体とするなら主語を極力省略可能であるっていう同質性において尚のこと、言い方悪いけどずかずかしてるっていうかつまりどうなんわれみたいな口の利き方が“英語“っていう言語性どころか実はあたしなんかは“民族性“ってことだとすら思ってるとこあってですね。

だからこそ、あたしは日本語好きなんだと思うんですね軽くアタマおかしいくらいにはたぶん。

ちなみにあたしはよその国の人の小説って読んだことないし、読みたいって思ったことすらない人で、それってなんでかっていうと“翻訳文“だからだと思うんですね。
“〇〇著、〇〇翻訳“って、それってつまりどっちの言い方なん? って結構昔から本気で思ってるとこあってですね。
その人の文体ごと理解したいからわかんねえやそれじゃ、みたいな感じですか。
映画の吹き替えとかもやっぱそういうのあるらしいじゃないですか戸田奈津子さん一人勝ちみたいな権威も市場価値も結構だけどそれってめっぽう戸田さんじゃん、みたいな言い草って馬鹿なんですかねわかんないですけど。

原書そのまま読めるインテリジェンスあったら問題ないですけどあたしはバカだし面倒臭がりなので渡来人に恋したことないのと一緒ですね根っこ。
精神的にまったく鎖国ですよ日本髪高枕ですよ実際。


なんか脱線しちゃったっぽいんですけどつまりなにが言いたいかって、“日本語“だからこそっていう柔軟性においてむしろ気になる厳密性、ていうベクトル馬鹿みたいな話かもなんですけど、あたしはそういうことに敏感でいたいしわりと原則的に従いたいらしいしその上で逸脱しても反則にならない懐の深さかやっぱり柔軟性に許されたいっていうかむしろぶん回したいだけなのかもしれないんですけど、たぶんあたしには厳密な根拠ってことだと思うんですね日本語をこよなくお気に入りとするものとしてその奥ゆかしさだとかあたしがいうとただの無節操っぽいかもないんですけど。

馬鹿なので、そういうのもあるよね、じゃなくてそればっかしかないですごめん、みたいなとこありましてですね、それでしか実現したくないことばっかのことを言ってるばっかでしかないことは実に申し訳なく思うんですけど、これってまじで思ってるんですけどあたしがやってる“ゼロ人称“って、然るべき“日本人感“ですよねこれ絶対、なんて思ってるとこあるんですよムカつかれても全然いいお気に入り度において。
すっごい馬鹿みたいな長おしゃべりにも耐え得る依存される胆力か柳腰、だとかなんとか。
ありがたいじゃないすか、なんだかものすごく贅沢感あって。


今も一回読み返してて雷落ちたんですけどこれすごい。

>つまり日本語においては現在形が連続できないのでしぜん、時制が過去にぶれて語尾たまにが「た」になるということかと。またその逆もあり。それは日本語に過去進行形がそんざいしないためでもある。

これってあたしもう叫んじゃいそう、“ユーレカっ“なんちゃって日本人どこいった。
“日本語の過去進行形“
もうなるほどすぎてお花咲きました。

すごいムカつかれそうなこと言ってしまいそうなんですけど勘弁してほしいです。
なるほどわかりましたよあたしのことなのに他人事みたいに気づいた。
なんかドキドキしてキーボードちゃんと打てないなやばすぎ何回打ち直してんだ落ち着け落ち着け。

浮離
KD111239171030.au-net.ne.jp

あたしの“ゼロ人称“に“過去回想“ってないんですよ。
いえ、あるんですけど、それすらも現在形。
だって、平たく言えば“脳内独り言“ですもん、過去形なんてあるわけない。
なんかおかしなこと言ってますかねちょっと今軽くアガってるからおかしなこと言ってしまいそうなんだけどはっきりはわかってるんですよ。

やっぱこの度のことだからこの度のあたしのやつでわかりやすいとこで説明しないといけないので抜粋すると、

>目覚めたら、メデラがいた。

からの段落と、

>懐きの悪い犬みたいだね。

って段落のとこ。

わかりやすい回想パートなんですけど、上のやつって過去としての現在形ってことですよ。
それもこの度の“SF“っていう建て付けに甘えたギリギリのやつ。
いつものあたしの手口として、過去回想はこういう形になるのがたぶんスタンダードで、いちいち段落で区切ってるのがむしろこの度仕様丸出しとして違和感すごいとかそんなくらいで。

下のはごく普通のやつ、この度の“SF“っていう建て付けだからこそ開き直って投入できたちっともあたしらしくない一般的な手口ですよね実際。

すっごい自画自賛してしまうんですけど、あたしの“ゼロ人称“には普通に“過去進行形“は存在しますよ。
なんにも考えなしに、当たり前にやってただけとはいえ。
あたしになりの“違和感“に照らした当たり前さとして、ってことですけど。


“日本語“っていう“言語性“的解釈かその機能性特性みたいな見立てか取り扱いについて、m.sさんは理性的論理的インテリジェンスに託してその可能性を捉えたがるものとするなら、あたしはきっとその真反対、呆れちゃうんですけどこんな長文書きながらとっくにどアタマに言ってたや、みたいなやっぱ“テクスチャー“ってくらいのことを“日本語“として当たり前として、いささかけたたましくも所詮精緻に恋焦がれたいみたいなことやってばっかなんだろなって、なんかはっきりわかった。


>今回は「登場人物の行動や心情が明確に伝わるように」したくなくて、三人称主人公/一人称の内面ですら読者へ透明にはしたくなかったのです。
そこで海外SFの和訳ってなんかこんな感じ。という、私なりにおもう『なんかよく分かんないけど賑やかにガチャガチャしてるなあ』感を出したかったのですが。

これっても言ってることすごいよくわかる。
たぶんあたしと似通った思惑を当たり前に必要としながらまったく逆さまみたいなことやってんだなたぶん。

つまり“創作に耐え得る必要言語“として、ってそれぞれのこと。


すごくないですかっっ?


それってすごくないですかってせっかくだからもう一回言ってしまうけど、こんなお話できちゃう贅沢さもすごくないですかなんかもうアタマん中ぐるぐる世界が回ってちょっとよくわかんなくなってきちゃったな、叫ぶほど閃いて獲得してしまった気がしてるだけなので大丈夫なんだけど、ちょっとこれは事件だな“楽しい日本語事件“違うや、“楽し頼もしい日本語事変“とかにしとこっかな。


もういいや、納得した勝手に。


本日は“TTJJ記念日“と折衷命名します勝手に。




今日はここまで。

浮離
KD111239171030.au-net.ne.jp

九章の書き方があたしのこの度の書き方と似通っていることは偶然のように見えて案外“SF“っていうジャンルの汎用かほぼ必然ってことでもあるのかもしれないなあ、っても思わないでもないんですよね。

共通して言えるのはもちろん“一人称“っていう選択で、語り手として場面を支配する“本谷“とあたしんのは“せんちゃん“ってことになるんですけど、筆致的にもとてもよく似通った手法をとったものだと思うんですよ。
そうして、“似て非なる“っていうそれぞれの“創作に耐え得る必要言語“っていうその選択する手法を明らかにするわけなんですけど、一番の違いって、どこなのかすぐに答えられますかこれを見ているきみに聞いてるんですけど、両作読んで真面目に付き合ってくれてるなら即答できなきゃおかしいところだから自信持って答えてほしい。
あたしなんかこれ、日々の日課みたいになっちゃきちゃってるんですけどブラウザ三つ並べてあちこち検証しながら書いてるんだからご丁寧なものですよ。
きみたちもぜひそうするべきをお勧めしておくものなんです日本語大丈夫か。


そうですね、“描写“ですよね。
場面描写のあるなし、ってただその目的の取捨選択一点で似通って見えたはずの手法の選択はまったく別の性質であることがあっけらかんと明らかになちゃうわけなんです。

そのためにこの語り手が触手を伸ばすことが許された情報の範囲を確認してみたいんですけど、

>写真で見たままの顔、しかし肉ではなくもっと堅くささくれていた。

これって、なんですか?
そうですね、語り手である“本谷“のナレーション、つまり心象を語る役割を負ったものですよね。
本谷を支点としてベクトルで表すと内向きあるいはマイナスって言い方しておこうかな、“本谷自身“を切り取る描写ってことだと思うんですね。
でも、そればっかでもない気もする。

>それは重厚な机に乗せられた古めかしい木彫りの胸像の様であった。

これはどうですか?
一見さっきのがそのまま続いてる感じのような気もするんですけど、よく似てるんだけどちょっと違う、ってあたしなんかは感じちゃうとこあってですね。
つまりこれって“場面描写“ってこと、ベクトルでいうなら外向きで、本谷が取得した情報を読者に伝える向きの描写ってことですね。
だって、

>それは重厚な机に乗せられた

って、本谷が見てる情報ってことですよ。とっくに取得している情報をわざわざ内向きのベクトルで言語化する人はアタマおかしいですよまるでコントかなんかですよ。

>古めかしい木彫りの胸像

これも同じことですよね。
本谷は自分が取得した情報を読者に発信してる、ってことですね。
あえてケチつけるなら、

>様であった。

っていう結び方は扱える意図が案外広範でそれまでの文意を不安定にさせる気がするだとかあたしなりには。

そんなこんなで先の一文は? ってもう一度見直す。

>写真で見たままの顔

それってどんな顔だよ。読者にはわかんない。
本谷が知る情報としての独立性か閉鎖性をちゃんと担保してるっていう“内向き“のベクトルってあたしは考える。

>しかし肉ではなくもっと堅くささくれていた。

ここって実はちょっと微妙。
っていうかどっちかったら場面描写的かもって思うんですよね。

そんな感じのが、

>ご神体か。ーー木製の王様。

ってとこまで複合的に混ぜこぜ活用で“場面描写“ってあえて切り分けてしまうんですけど、働きを負ってくれるわけなんですよね。
そんな中で観察するべきある一点っていうのがあるんですけど、わかりますか?
なんて急なこと言いながら次に進みます。

>キャッシュは蒼白な表情で胸もとを押さえて跪いた。

さっきのベクトルの話の続きですけど、これってどうですか。
そうですね、これも外っ側向いてるやつだと思うんですよ、全部本谷による目撃情報の開示。
そこであたしの場合さっそく気になってくるさっきのお話なんですけど、

>写真で見たままの顔、しかし肉ではなくもっと堅くささくれていた。ーーーーー その表情は刻一刻と変化し続けるように感じられた。

>キャッシュは蒼白な表情で胸もとを押さえて跪いた。

伝わるかどうかわからないんですけど、この一連の流れの中で一点において観察されるべき作用っていうのがある気がするんですよね。
すごい面倒臭い観察になるかと思うんですけど、それが説明できる上で効果的でこそあってくれないと、この場面の“一人称“っていうあえての選択を適切なものとして“特化“できない気があたしなんかはしてしまうところがあってですね。



っていうか続き書きたいんですけどちょっと時間が無理めなのでここまでにして宿題預けときます。
どこ観察して何がわかるのか、よければ一緒に考えてみましょう。



今日はここまで。

浮離
KD111239171030.au-net.ne.jp

>写真で見たままの顔、しかし肉ではなくもっと堅くささくれていた。ーーーーー その表情は刻一刻と変化し続けるように感じられた。

>キャッシュは蒼白な表情で胸もとを押さえて跪いた。


この一連の流れの中で観察するべき一点から読み取れること。
そんな宿題だったんですけど、なんとなくわかった気がしてる人はどれくらいいますか。

とはいえそれって実際、正解とか事実とかべき論なんてものでは全然なくて、“鋭意“として読み取りたがる感覚とか観察みたいなことでしかないと思うんですけど、そういう面倒な試みを怠けたがるばかりでは絶対に身につかないそれこそ“感覚“とか“観察“っていう半ば反射神経みたいなものってあると思ってるんですよね個人的には。
単純に、“楽しみ方“ってことだって全然いいです、興味ないならとっととページ閉じること。


あたしはこれってやっぱ“文末“を読むことにするんですけど、一文一文をそれぞれ見てくださいよ。
一文を除いて、その他は全部“た。“で括られてるんですね。
除かれた唯一の文は“る。“

わかりますか?

あたしはこういうことにものすごくうるさくて、だからこその“人称原理主義”どころか“人称絶対主義“を自称して憚らないものなんですけど、そんなあたしにはこの一連の流れすら場面を逃れる“時制“が見て取れる気がしちゃうんですね。

>写真で見たままの顔、しかし肉ではなくもっと堅くささくれてい“た。“

これって語り手である本谷の現在地から見てすでに“過去形“です。あたしには。

>それは重厚な机に乗せられた古めかしい木彫りの胸像の様であっ“た。“

これも前文に準じて情報、描写を補足する“過去形“

>そして一度思えばもうその様にしか見ることができなかっ“た。“

これも前文に準じて今度は語り手本谷の心象に視点を移した補足情報としてのやっぱり“過去形“

>奥まった目もと、大振りな口、刻まれた皺にいたるまで荒々しく彫り込まれてい“る。“

問題はこの一文。
“る。“ですよ、つまり“現在形“ってあたしは捉える。

>ゆれる光源のためかその陰影が蠢動し続けるので、その表情は刻一刻と変化し続けるように感じられた。

この一文はどの文意を引き継いでますか。
文脈で見れば一連の“全部“ってことでもちろん問題ないんですけど、あたしは今は“人称“っていう選択の手段による観察に触れているのでそういうことじゃないんですよね。
やっぱり、前文を引き受ける描写と心象の補足としての“過去形“ってあたしは捉える。
つまり、“過去“なりにも文脈は時制として一足途切れて見えるわけなんです。

>ご神体か。ーー木製の王様

この一文は難しいですよ。
あたしには“時制“として、この一文をこの一文だけでは断定できないもの捉えたくなる。
あるいはやっぱり前文を引き継ぐものなのか。

>『妾と物見遊山に訪れるとは、この我を余程軽んじたものだ』

この一文が本谷っていう現在地を引き寄せる重力の支点みたいなものだとするなら、前文はあたしには“ナレーション“だとか、一連の流れの中から唯一離れた“俯瞰“みたいに読み取れなくもなかったりするんですね、面白いですね文章って。

>木製の王が木が屑を散らせた右指を伸べると、キャッシュは蒼白な表情で胸もとを押さえて跪い“た。“

はい、本谷の現在地。
“た。“なんだけど、現場にすごく近いほとんど“現在形“ってあたしには捉えられる。
って、油断しちゃいけないのはそれに続く村井翁のセリフが決定してくれる地点のことだと、あくまでも物語の進捗の現在地としてもあたしは認識するんですけど、つまりはそんな“時制“の“重力“っていう見立てにおいて、宿題についてあたしは同じ文末処理である“た。“にあってもそれぞれの時制っていう役割、つまりは場面の経過っていうグラデーションを読み取ることになるんですけど、ポイントはやっぱあの一文ってことですよね。

>奥まった目もと、大振りな口、刻まれた皺にいたるまで荒々しく彫り込まれている。

この一文があることで、場面は書き手の意図としたところかあたしの考えすぎか、時制は揺らいだものになってる、あるいはニ足踏んでる、って時制の運行を読み取れるってことなんですね。
鋭意なら、“SF“っていう空間の揺らぎっぽくすらあって、無意識なら書き損じとも取られなくもないこの微妙さ。

っていうこれって指摘ではなくてあくまでも先にお伝えしたとおり、“創作に耐えうる必要言語“っていうそれぞれの企みにおける選択によって出現する“効果“や“適性“っていう開発力や回避性能っていうタフネスを観察するお話をしているつもりなんですよね。

そういう不可避な都合負荷なる“人称“っていうテクニカルをm.sさんがどう使いこなすのか、っていうことがあたしには一番の観察点で興味なんです。
以前にも引用させてもらったこれ、

>今回は「登場人物の行動や心情が明確に伝わるように」したくなくて、三人称主人公/一人称の内面ですら読者へ透明にはしたくなかったのです。
そこで海外SFの和訳ってなんかこんな感じ。という、私なりにおもう『なんかよく分かんないけど賑やかにガチャガチャしてるなあ』感を出したかったのですが。

そのために現れる“テクスチャー“こそを、あたしはものすごく観察したいんです。
その対比として存在できる可能性を感じさせられた前回の“過去進行形“っていうサゼスチョン、あたしは完全にシビれた身勝手さながらの“偶然適性“として、天然でやらかす“ゼロ人称“っていう都合負荷への開発性や回避性能っていうのは今でこそこうして言語化して検証してるらしく整えられそうな感じに見えなくもないんですけど、実際にはそうではないはずなんですよね。

やっぱり“テクスチャー“として、あくまでも感覚的な“選択“としてそれをお互いにフィットネスを検討して時には力技すらも惜しまないタフネスでこの度をやり仰せたものらしいことが実践者としてものすごくわかるし、その相似性を含みながら対比性に分離するまったく真逆みたいな性能の展開や認識があたしにはものすごく面白い。

それそれがそれぞれとして思い描くものへのフィットネスとしての選択の行方やその適性を、“SF“っていう舞台はものすごく適切に付き合ってくれてる気がするわけなんですね。

次回は手前味噌でも勝手にやらせろってことで、同じ意図としてのあたしんのの方を比較検証したいなって思ってます。
おっかねえから覚悟しとけなんです。



今日はここまで。

浮離
KD111239170071.au-net.ne.jp

>ムーヴィン。
 ウェルカム。


って、これって前にもお伝えしたとおりものすごいシンクロ展開だったんですよね。
>「ムぅー」
 「ウぇー」
ってあたしは当初なんとなしに挨拶っぽい略語を書きたくって適当にぺっと書いちゃったわけなんですよ。
「はよす」とか「おざっす」みたいな感じのの未来版みたいなつもりだったんですけど、そんなものがなんと偶然にも、本当に偶然にもこのお話の”宿命”みたいなものをとっくに象徴していてくれたことにものすごくびっくりしたんですよね。
つまりあたしが思う”小説”の楽しさって、やっぱり偶然みたいな言い方してしまうんですけど”遺伝子”の如くそもそも備わっていたらしいものが漏れ出して結ぶらしい”偶然”みたいなものが作為や意図を離れてそれにしてもそれとしてちゃんと顕現する、みたいな欲求こそが明らかにしてくれる必然の顕現みたいなところにかなりの感動があったりするわけなんですね。
”せんちゃん”だってそう、あたしはとりあえずキャラの名前は名乗らせる現場でサクって決めちゃうんですけど、そんなのさえこの度ときたら、

>あたし嫌だった、「わかりません」って、そこから、そこからとっくに始まってたの? だから、だからあたしは、“せんちゃん”

って、やっぱり偶然だったんだけどそれにしてもせんちゃんらしい上品な惨めさでその自虐を告白してくれたりしたんですよね。
もうあたしなんかそればっかでせんちゃんと信頼関係ばっちりすぎて泣けてくるっていうかもう、愛しかないですよ書いちゃう人と書かせてくれる人っていう相互が本当に実存を主張してくるっていうか、ほとんど生身。
あたしには”せんちゃん”っていうとんでもなく繋がったまじ友がいるって、まじでそんな気がしてるんですよね実際。

ってのっけからすげえ脱線ですかやべしやべし。


>ムーヴィン。
 ウェルカム。

これってつまりどういうことかって、あたしにとっては要するに、

>村井翁はそこに居た。

に呼応する定点を指定したもののはずだと思うんですね。
場面を決定して、村井翁の怨念と対峙する”SF”っていうテクスチャーをぶん回すパートにいよいよ突入するよ、っていう”宣言地点”ってことですよね。
”いいですか? 読み手の皆さん。場面の視点は有機的に意図を転換しますから、ちゃんとついて来てくださいね想像してくださいね”っていうエンタメ濃度急上昇地点宣言ですつまり。

だってキャッシュが木彫りの村井翁を蹴飛ばしちゃうんですよ、実態をもって、足振り上げて翁の顎踏み砕いちゃうんですよ。
そこいってあたしんのもせんちゃんったらコンタクティ全開ですよ素質ぶち抜けての猛おしゃべり。

とはいえなんですけど、あたしはそこに来てすっごい悩んだんですよ。
一体なにをそんなに悩んじゃったのかって、もう一度振り返ってみましょうか。

>下手したら万能すぎる“コンタクティ頼り“みたいな回想から現在形まで突き抜ける実況中継みたいな書き筋になりかねないすごいとんまな予感ばっか先走って全然書けなかったんですね。
書いちゃいけないニュアンスばっかはわかって書き方わかんないっていう矛盾地獄が一週間くらい続いて“ダメかなこりゃ“なんてちょっと思った時期もあったりなんかしてですね。

以前にお伝えした、これのことですね。
あたしが一番怖かった、避けたかったことってつまりなんなのか、ちゃんと読み取ってもらえてますか?
要点を抜粋しますよ。

>実況中継みたいな書き筋

これなんですよ。
きみは正解できましたか? 簡単な問題だったと思うから正解であって欲しいです。

”実況中継”と聞いて、これ見てるきみはその性質をどう捉えますか? あるいはイメージしますか。
”野球中継”とか”ロケット打ち上げ中継”とか、”実況”なんて言い方もするかも、ってことなんですけどそれって”時制”として分類するならたぶん極めて”生っぽい”って変な言い方ですか、つまりは”現在形”、”進行形”っていうイメージがわりと当然を着る気がするんですけど、もちろんたぶんそんなんで問題ないはずと思うんですけど、とはいえあたしたちがやってることって”文章表現”なんですよね。

”文章表現”って、平たく言ってしまえば実際の時間の経過には与しないもの、つまりは”表現”として固定される存在のはずなので、”現在形”とか”進行形”っていう概念には案外不適性特性を自覚してその性能を扱うべき性質のような気がしてるんですよね個人的には。
そんな意識において、それにしても”現在形”もしくは””進行形”っていった形でどうにか生息させたいっていうのはたぶんあたしが天然でやり倒すものらしい”ゼロ人称”にとっては外せない絶対前提である気がずっとしてるわけなんです、っていうかそればっかりの言葉探し言い方探し振る舞い探しって、もうほとんど変態レベルでベクトルは常に一定に目指すべきらしいところがあってですね。


例えばなんですけど、九章の中であたしの書き方とほぼ合致する視点で描かれているはずの箇所を探すとしたら、どこに当たると思いますか?
これって簡単なようでいて、”時制視点”って都合勝手に名付けちゃうんですけど、そんな反射神経として結構センシティブな感度を試されることのような気がするんですね。
あとで答え合わせするので、観察して考えてみてください。

差し当たり、”実況中継”問題ってことなんですけど。
察しのいい人はもうわかってるかもしれないんですけど、あたしが”実況中継”らしく切り分けたくなってしまう文体を端的に表す観察点があるんですけど、それってどんなことかと思いますか?

やば、問題が積み重なってくじゃないですか。
でもこれって結構もうわかってる人も少なくないかもしれないっていう期待を込めてさっさと進めてしまおうと思うんですけど、いいですか?

そうですね、”た。”なんですよ。

”一人称”における”た。”って、あたしにはマイナス時制でつまり過去。
つまるところ”現在形”あるいは”進行形”とはどうにも扱い難い、”語り手”どころではない”読み聞かせられ手”ってなんか変な言い方だな、でもつまりはそういうこと、あたしが思うか感じるには、”小説”っていう性能に”客観性”みたいなことを意識する上には必ず書き手を一足置く”語り手”っていう独立した存在視点のみならず、”読み手”っていうお客さんから一足置いた”読み聞かせられ手”っていうこれは読み手ではなく明らかに書き手自身が意識するか無意識かはさておき、性能として都合現れないわけにはいかないほとんど性のような現象、トレードオフって言ってもいいかもしれない現象の差分が巻き起こるってことをあたしはほぼ確定的な排除対象として意識しないわけにはいけない気がしてしまう、ってことなんですよね。
”ゼロ人称”っていう性質を突き詰めるにおいては、ってことですよもちろん。

ちょっとそんな感じがわかりやすい箇所を観察してみましょうか。
ってとっくにやってるはずなんだけどもう一度。

浮離
KD111239170071.au-net.ne.jp

>写真で見たままの顔、しかし肉ではなくもっと堅くささくれていた。

しつこいかもなんですけど、あたしにはこんなんばっかでもう十分。

どうしてかって説明はもう昨日済んでるはずだから、わかんない人は立ち返っておさらいしてみてください。

実際の場面としては”現在形”である描写であることは誰にでもわかるはずですし、むしろまったくスタンダードとして、これに違和感を自分の筆に限っては嗅ぎつけたがるあたしがただ変態なだけなのはわかってるんですけど、それってつまりここのところ言い続けてる”それぞれの選択”ってことでしかないはずなんですよね。

だったらあたしんのの方で似た感じのとこ見つけてみるかな、って思う。

って、早速見つけた。ここってすごく面白い。
って自分で言うなですかうるせえな。

>異常事態なんてほぼあり得ないノスタルジックインデックス。メデラはあたしを狙い通りに投下してクリップした。危険なセクターじゃないから油断はあったかもしれない。違う、ディジャックはクリップとほぼ同時、そっと狙ってたんだ。

はい、昨日の要領で一文一文切り分けて分析してみてくださいね。

>異常事態なんてほぼあり得ないノスタルジックインデックス。

これって場面としてなに形?
あたしはこれって現行の思考を決定する”俯瞰”として定義したつもりなんですね。
つまりは”時制”、思考における”時制”の定義ってことですね。
定義の中でちゃんと”進行”するべき基準点みたいなものを置いたつもりってこと。

>メデラはあたしを狙い通りに投下してクリップした。

はい来ました、”た。”
これって”過去形”ってこと?
もちろんそうです、そうやってシンプルに答えられたきみは少しばっか成長したかもですね、とはいえ”指定条件付き”ってこと説明できないとそれってフロックかもなんですけど。

>危険なセクターじゃないから油断はあったかもしれない。

はい、応用問題きました。
”い。”
これってなに形? 
”い。”だけで考えたがったきみはきっとあんまりモテないんだろな、ってあたしはつい思ってしまうんですけど傷つかないで欲しいですよ、少しづつ成長してったらいいだけなんだし。

”い。”って見ての通りきっと優柔不断。優しいけど意思薄弱だとかデートのときいつまでもなに食べたいか決まらないとかそんな感じ、でもこっちが「寿司食べたい」っつったら付き合ってくれるし「肉とか重いわ”ったらちゃんと諦めてくれる普通にいい人でもあったりだとかな、要するに過去にも未来にも同化可能な無節操温情型みたいな言い回しかもしれないだとか個人的には。
伝わるだろうか、この使い心地の良さ。
つまり、前文の形式的な意味での”過去形”を引き受けてチャラにしてくれてる”使えるやつ”ってあたしは思ってる。

>違う、ディジャックはクリップとほぼ同時、そっと狙ってたんだ。

はい、抜粋部の”キモ”に到着です。

>違う、

これってあたし文体としての素質丸出しだと思う。
”現在”をこれでもかって明らかに主張してくれる”口語性”をあたしは絶対迷いなく用いるし、威力を絶対的に信頼してます。
これってはっきりと明らかすぎるくらいに”現在形”ってことですよ。

>ディジャックはクリップとほぼ同時、そっと狙ってたんだ。

こんなふうに喋ってくれるせんちゃんがあたしは大好きですよ、あたしの目標をちゃんと負ってしゃべてくれる。
”だ。”
これってなに形? しつこいですか。
あたしはこれ、”呼吸”って思ってる。
そんな呼吸って、一体なに吸って生きてんだろか?

>ディジャックはクリップとほぼ同時、

これって”思考”、つまり”現在形”として”進行”する”思考”を巻き取って、”だ。”は”今”を吸ってんの。
つまり”現在地”ってこと。
せんちゃんは”現在”、”過去進行形”っていう”思考”を進んでます。

ってことをあたしは”ゼロ人称”として設計してるってことだと思うんですね。
大袈裟なことを言ってしまうと、”現在・過去・未来”っていう”時制”のそれぞれを一括りに巻き取って進行するしかない文体をあたしは”ゼロ視点”として当たり前に眺めたいばっかなんだと思うんです。

さっき”指定条件付き”って言ったでしょ?
あれってもつまり、”ゼロ”っていう括りに内包された一部としての”過去形”ってことなんですね。


”実況中継”問題って、つまり”エンタメ視点”っていうスタイルや目的やそのために託すべき情報のための”最適解”っていう選択のことだと思うんですね。

この九章には”時空間”として明らかに躍動する場面描写が欠かせなかった。
あたしんのはほぼ全面的に、場面を省いても罷り通らせる”思考”っていう語り手による場面進行に託すより他にないってことだと思うんですね。
やっぱり、”是非”ではなくそれぞれの創作意図に基づく最適解という”選択”ってことでしかないはずなんですよね。


あたしは活かすべき”文体”として、意識的な排除として選択される”残りカス”みたいなものとしてそれを好んでる気がものすごくしてるってことなんですね。
”ゼロ”か、もしくは誰よりもそこに近いものを探してるつもり、なんて言い方はカッコ良すぎますかさすがあたしと言って欲しいけど誰も言ってくれないから自分で言ってあげるばっかなんですけどムカつかれてばっかなんですよねうるせえなって思うばっかですけど。



では、”九章の中であたしの書き方とほぼ合致する視点で描かれているはずの箇所”問題の解答です。


>ご神体か。ーー木製の王様。


でした。

これまでちゃんと付き合ってきてくれていた人なら、わかってくれる人もいてくれるであろうだとかなんとかそんな感じ。
わかんなかった人は、残念です。




これって一体いつまで続くんだろ?

まいっか。




今日はここまで。

浮離
KD111239170071.au-net.ne.jp

九章は“エンタメ沸点“のはずなんですけど、実はこの物語に欠かせない“謎“を抱かせる役割も多いはずで。

すごくわかりづらいんですよ、この章に限ったことではなく全体としてそうあるべきとしてわかりづらいんですけど、要するに“地点“として章ごとに理解として特定できる作りになっていないから結局何度も読み返すことになるし部分ごとに追っても仕方がないっていうか確証が伴わないものだから、必要以上に読み進めてしまう。
とっても時間が掛かってしまうんですよね。

筆致としての構造、物語としての構造、いずれにしてもまわりくどくて、その回りくどさすらわからない人にはわからなさすら正確な認識を与えないくらいにはわからないので、あたしも完全に読めてる気はしてないんですよね実際のところ。

場面としても筋書きとしてもなんですけど、このお話っていつの間にかって、まさにそんな感じでぬるりと作為がすり替わる瞬間がいくつもあって、それを“SF“と呼ぶかは問題じゃなくて、ざっくりとでもその構造としての“世界線“みたいなことを俯瞰で理解できないとこの話のあえて“皮肉“とあたしは言ってしまうものなんですけど、たぶん一番の“性分“みたいなものを承知してお付き合いすることはできないはずだと思うんですよね。

って、ここまで読んでなに言ってるのかわかってる人なんてほぼいないはずなんですよねたぶん。


あたしはなにを言おうとしているのか、ってことなんですけど、そればっかは変わんないですよ。
このお話の“謎“として紐解くに欠かせない“手法“っていう視点しかあたしには興味がないので、このお話として成るために選択された“手法“っていうその根拠をちゃんと把握したいっていうか理解したいと思うばっかなわけなんですね。

そうして論旨に立ち返るわけなんですけど、この九章、どうして“一人称“である必要があったのか。
また“人称“の話かよもう飽きたようるせえなあ、って思った人は安心してください。
ここまで付き合ってくれたとはいえ、それって全然わかってないだけだからこの時点でクビです。
飽きることにふさわしく罪を覚えずすぐにページを閉じること。
お疲れ様でした。



昨日までのお話であたしが明らかにしたことは“選択“っていうそれぞれの合理性妥当性みたいなことのはずなんですけど、そんな理解か感覚においてあくまでもあたしの、浮離っていう書き手の指向や選択から眺めるにはこの九章って、あんまり気持ちよくないっていうかつまりは先にお伝えした通り、“実況中継“っていう感触を嗅ぎつけるタイプのものには違いないはずなんですよね。
普通の人向けに平たい言い方をするなら、“素直に三人称視点にしたほうがフェアに立体的じゃん“だとかそんな感じ。
そんなんでもわかりにくいですか。
とはいえそんな程度なら置いてきぼりに決まってますけど。


一文一文を切り分けて“時制“を認識する、っていう作業を前回まで繰り返し確認してきたんですよね。
それと同じ作業を、今度は章で切り分けて観察してみるんです。
どっちかったらあたしのやつの解説の方に近い感覚かもしれないです。
つまりは、“前文を引き受けて“って何度も言ったじゃないですか? アレですよね。

八章までの流れ見てください。
そうですね、六、七、八章って“一人称“の構成が続いてるわけなんですよ。
これってものすごく作為的な、つまりは“パース“っていう俯瞰的な設計に基づいて仕組まれた階層じゃないのかとあたしは思っていて、だって実際物語はそこに至るまでほぼ“三人称“で割と万全に、読者の程度にもゆるく構成されてきた気がするんですよね、面倒な構成なりにってことには違いないんですけど。

そんな上で、もうちょっと振り返ってみてほしいんですよ。
この六、七、八章について取り上げたとき、あたしはなんて言いましたっけ?
面倒だから抜粋しますね。



>あたしは思うんですけど、この六、七、八章って、そのつもりかどうかはわかんないですけどm.s
さんが考えるかナチュラルに漏れちゃっただけかはさておき、“SF“っていう未来願望予想図あるいはそんな必要性への疑義か告白、なんてそんな気がしちゃうとこあるんですよ。

だって、よく読んでみてくださいよ。
六章ってなに書いてあるんだろ? あたしには“困難さ“かそんな些細な停滞っていう基本解決への願望が見える気がするし、七章は奔放で無機質な乳繰り合い、未来に潔癖を求めるのは現代には物寂しいことかもしれないけど、むしろそれすらも必要としない奔放な解放の必要か欲求を憂えて許容して見えなくもないし、八章に至ってはすっかり甘く残酷ですよ、打ち明けたはずの欲求は純粋に収縮に向かうものらしい様はまあまあ自殺っぽいっていうかそんなスレた願望も含めてこの先への依存を隠さない隠せない細胞の性だとかなんとか。



はい、すごいですね。
今更ながら自分でビビるすっごいシンクロきました。
もはや自作品ばっかのチートじゃないとかヤバいですよ、もうほとんど怖いくらい。
だってこのずっと続けてるおしゃべりだって日々進行でプロットなんてないですよ、場当たりでずっとおしゃべりしてるばっかなんですから。


さて本題。
なに言ってるか、わかりますか?
抜粋しますよ?

>m.sさんが考えるかナチュラルに漏れちゃっただけかはさておき、“SF“っていう未来願望予想図あるいはそんな必要性への疑義か告白、なんてそんな気がしちゃうとこあるんですよ。

だってさ。

って、真に受けるだけならすっごい馬鹿としてきっといつかあたしにいじめられちゃうんですよ。
そうじゃなくって、それもそうなんだけどこれって、“本谷とキャッシュのこと“ってあたしはついつい付合を見出してしまったりするわけなんですよね。
気持ち悪いですか。

“作者が作品に入り込んではいけない“

みたいなこと言う人、定期で現れることこのサイトでよくあったじゃないですか。
それ見るたびにあたしは“馬鹿なのかなあ“って普通に思ってたんですよね。
だって、あたしはむしろその真逆の感覚をよほど信用したい派ですし、むしろそれを見通してその作品の程度っていうつまりは書き手の人間性っていう“小説適正適性“みたいなことこそを見透かして疑わないタチなので、書き手と作品を切り分けて考えたがるって、ただの口から出まかせこじきくらいにしか思えないんですよね。
百パーの確率で下品馬鹿なんかあたしってバラしてばっかなの、皆さんだって寒気して嫌気して無口になるほど目撃してるわけじゃないですか。

いっけな、脱線。

浮離
KD111239170071.au-net.ne.jp

あたしはそんな“m.sさんたるSF未来願望予想図“らしき欲求か願望が作為としてついつい告白してしまうか創作として作為として望ませることを、ぺったんって折り返すみたいに“本谷とキャッシュ“っていうつまりはこの物語の構造か根拠にすら置き換えられる気がしてしまうんですね。

そうして浮かび上がる“選択“っていうお話してるつもりなんですけど、ちゃんとついて来れてますか?


つまりこの九章って、そこに至るまでの前段として、っていうかそれどころか揺るぎない裏付けとして告白されたものらしいと考える六、七、八章っていう構造を引き受ける形で“選択“された“一人称“ってことだとあたしはますます考えたがるものなんです。

そうしてお話はまたしても立ち返るわけなんですけどつまり、

>全体としてそうあるべきとしてわかりづらいんですけど、要するに“地点“として章ごとに理解として特定できる作りになっていないから結局何度も読み返すことになるし部分ごとに追っても仕方がないっていうか確証が伴わないものだから、必要以上に読み進めてしまう。

っていう性質に基づきまして、九章の“選択“の根拠は六、七、八章っていう告白にとどまらずさらに先を読み進めるべき構造にこそ引き渡されるものであって、確かに面倒臭がりな人には付き合いきれない話には違いなさそうなんですよね。

そんなお話をこんなにも延々と一人おしゃべりし続けるあたしははっきり変態なんですけど、仕方ないですよね、わかってくれない人多すぎるんですもん意地なりますよイライラしますよそりゃ。



っていうか、九章まで読み進められたなら、単純に“物語“として楽しみたいだけならほぼ上がりですよ。
ミステリーとかなら“謎解き“パートになるのがこれ以降の村井家での場面になってくるわけで、あたしみたいな変な読み方じゃなくてシンプルにエンタメしたいだけの人には噛み応えのあるパート、ちゃんと読み取れないと負けた気がしてしまう負けん気沸騰パートのはずだから楽しんでほしいものですよね。
適度にややこしくてアタマバグりそうになりますけど、そのバグり方から間違ってることにはどうせ気づけないしそんなの興味ないでしょ。

あたしはそういうお話をしてるつもりなんですけど。


とはいえそんなこと気にしないでほしい、だってそれぞれの楽しみ方ってありますもんね。
なんて心にもないペラッペラな嘘なんか急に吐きながら終わりにしたくなってきた疲れちゃった。




今日はここまで。

浮離
KD111239170071.au-net.ne.jp

毎日シリーズみたいになってきちゃったんですけど、昨日までのを読んでくれた人でその内容通りにあっちこっち読み返してしまった人はどのくらいいてくれてますか。

九章を“エンタメ“するために必要な材料が、せっかちなあたしにはあちこちにばら撒かれているみたいな状態らしくて本当に参るんですよ。
読み進めるうちにどっかしらで“あ、いっけね“なんちゃってわかんなくて巻き戻す、チロチロとその残像か残響を拾いながら推し量るなんちゃってオープンリール的な読書ですか案外アナログチックな工程であることが“SF“なのになんともおかしみだとかそんなことはまあいっか。


大分足踏みが続く気がするかもなんですけど、それにしたって六、七、八を巻き取るかぺったんこするらしい九がさらに引き渡す十、十一らしいかそうでもないだとか。

>これを以て渡らせては貰えまいか。

今更なんですけどあたしはまじでせっかち。
わかってから探したがるのはあたしっていう心の安全みたいな仮想もリアルもっていう生きながらのクセみたいなことのはずで、まあ慣れてるんですけど面倒臭い。
とっくにお話の筋は白状してたらしいかあたしがそんなつもりなかったか知らないんですけど一先ずはポストスケーリングは現れていたものらしい、なんてその読書は順調に落ち着きを身につけ始めるだとかなんとか。

>眼が鼻がヒルコの様に溶け墜ちるなかでキャッシュが身体を両手で支えるようにして、やがてその全身が立てざまに崩れ落ちていく。

あたしは日本神話にちょっとだけ明るいのでヒルコに立ち止まることはないんですし、キャッシュってせんちゃんだなって思うばっかなわけですよ。

>「ぼくはあなたの息子ではない。王よ。あなたは余所の民草についてまでその様に祟りをふるうのか?」

これってたぶん序盤からのせんちゃんのおしゃべりが白状するストレスのことのような気がするんだし、

>「否、我の祟るところは左様に在らず。汝の識る所は現に在らず。此処は我の部屋、汝の部屋。其れを睥睨するが我らが父。我は父。その定めに於いてただ汝の性根に問うているのみ。傅く旨あるや否や?」

まさしくブレストロン。
不可逆な指向を貫くばっかの現在地っていうあたしのやつの舞台装置とまったく似通ったものだと思うんですよ。

>ぼくが王ににぎり掲げた豆大福がぶるぶると震え、やがてパカッとひとみが開いた。それは草食獣のように睫(まつげ)のふかいまなざしで翁を見つめた。

あたしはこれって初読ではシカトしてたんですよね、っていうかあんまり気にしなかったらしくて。
わざわざ空行挟んでるのに、そういうとこあるんですよ普通に。
こいつ、“でいだらぼっち“だな、とかまあ伝わんないでしょうけど気づいてみたらそんな感じだとか。

それ以降に続く描写の場面はあたしのやつでいうところの“重力“っていうヒエラルキーのことだと勝手に思っていて、そんな感じのことが、

>『新しい世代が始まる』

っていう一つのメッセージに収束を見るだとか、それってあたしのやつでいうところの“繋げる“っていうのっぴきならなさのことのはずだし、

>もうこのレムの時代が終わるのだわ。

っていうのは比喩か舞台か設定かでもなんでもいいんですけど、あたしは“ブーストレック“なんちゃって名付けた階層化重層化された“夢空間“でその適応性を鍛えて繋げなければならない時代、“次元“の人たちのこと書いたんですよね。
やっぱり似てんじゃん、とかそればっかはそういうんじゃなくて、やっぱ“SF“っていう基礎的なイメージか広げる風呂敷的な常套か基盤みたいなものは然るべく設定されがちな結果としての符号としてみても、やっぱちゃんと“SF“してたわあたし程度なんかでもな、なんてちょっと安心したりしないでもなかったりするわけなんです、ってそんな言い草こそ察してほしいわけなんですけど。


すごい雑か薄情なこと言ってしまうと、あたしにはこのお話、九章まででお疲れっしたみたいな感じなんですよね実際。
ずっと言ってるんですけど、六、七、八、九であたしはこのお話に必要な“慣性“みたいな作用か分子構造みたいなものをたぶん巻き取れる気がしてしまうんですね、つまり満足。

なんて気づいてみたらそんなとこってやっぱ“一人称“だったや、みたいなこれも偶然なんですけどきっと偶然なんかじゃなくて、だってあたしはずっと“人称“の話ばっかしてきたんですし、その適性や妥当性、それを翻しても期待できそうな創造性みたいなことを見たかったはずなんですし、所詮“一人称“にしかあたしの観察はたぶんわくわくしないんだと、そればっかのことなんだとはやっぱ思っちゃうわけらしんですよ。

“世界観“は書き手個人それぞれのものかと思うんですけど、原理的な思考かあるいは単純に“言葉“として共有できる基礎認識が行きかわないと例えば“SF“なんてそんなぽっちの取り交わしでも融通が効かなくなってしまうこともあろうなんですけど、それってたぶんただの程度かそれが乱すだけの“非効率“みたいな話のはずでもあって、だって見てくださいよ、

>『起こってしまったコトは既に正しい』これがあなたに特有のものであるか否かは不明ですが、自己認識の基底にてそんな捨て鉢にも似た原則の存在を感じます。

これって八章にある地に化けたキャッシュのセリフのはずなんですけど、あたしんのやつにも似たこと書いてあるんですよ、なんてまるで他人事みたいな言い方もアレなんですけど、

>“なんだいメデラ、とっくに取り返しがつかなくなったきみはどうなるの。それってすごく原始的だし、現在は常に最善なんだ。僕には退屈だよ”

ってこれはジュピロが言ってくれたことなんですけど、あたしはそういうシンクロニシティみたいなことをすごく喜ぶタイプですし、“SF“っていうたかがお題目に照らして案外突き通ったことお互いに見てたっぽいやっていう勝手な思い込みでもそんな辿りつき方に出逢えるってことは大層贅沢なひらめきのような気がして、スラダン赤木じゃないですけど、“あたしは間違ってなかったや“なんて勝手に感謝感激の涙を赤木くんにお預けしてみたくなるだとかそんな感じ。

浮離
KD111239170071.au-net.ne.jp

いやあ、これで勝手に終わりにするんですけど、それにしても人んちに勝手に留守番みたいに長居しちゃったなこりゃ。
っていうか、勝手に居直り強盗の如く楽しかったです。
m.sさんの胸を借りながら失礼もあったことかと思うんですけど、黙ってわがままさせてくれてありがとうございました。




そんなわけで、


“ 浮世離れのサイエンスフィクションパーティー!! “

 『 Plasma injection Screw !! 』 略して PiS!!




これにて閉幕となります。

この度は“量より質“とした展開に、とてもシビれた企画となりました。
とはいえそんな一端として一平さんいじめちゃってごめんね、でもあなたはきっと楽しめるので大丈夫かと思います。
ありがとうございました。
また機会があったら挑戦してほしい。


ただ見てるだけの皆さんも健やかな学びと加われない物足りなさに心シビれてくれていたならあたしとしては本望です。



お騒がせしましたあ。

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