作家でごはん!鍛練場

手記

昨夜の月、美しかった。

世界には美しいものが溢れていて、それとおなじだけ哀しみも溢れていて。

わたし、何を感じているんだろう。

なんにもないな。


川面に浮かびふわふわ流れゆく泡に似て、知らぬまに生まれて流れてふと気がつけば消えている。そもそも人生はそんなもんで、泡が消えようが消えまいが質量はかわらない。だからこそ色を美しいと想うのかもしれない。だからこそ二度と再び廻りくることのない瞬間を大切にしたいと想うのかもしれない。
川はどこまでも続いている。それが大きな何かしらの流れというものなのかもしれない。
とてつもなく小さいわたしはいかんともしがたい枠に囚われて、ただ生まれただ消える線香花火みたいに。
想いはいつも空回りで、どこかに流れてただ消えていく。何度生み出しても流れてどこかで消える。寂しさだけがふわふわ漂ってて時間だけが前に前に。

ただ笑いあって手を繋いで 一緒に歩いて同じもの食べて、他愛ない話しして、隙あらば、くっついて。とにかく出来る限り一緒にいたくてただ好きだと言いたくて。
そういうのが幸せで。

いつからなんだかズレちゃったんだろ、がんばったらどうにかなる?
そんなものでもないことを実感し続けて今に至る。ただ抱き締めてほしいだけなんだろうなわたし。と独り勝手に思ってみる。

わたし、どうしたいんだろ。
どう生きたい?



もうすぐ 夜が明ける

夜明け前が 一番冷え込む












――ある自殺者の手記より――



手記

執筆の狙い

作者
fj168.net112140023.thn.ne.jp

昨日の月は美しかった。今夜はどうだろう?

さらっと書いてみました。
さらっと読んでみてください。

コメント

クレヨン
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 途中まで淡く穏やかな雰囲気で進んでいて、全然つらくなさそうだったんですが最後でびっくりして。でも読み返してみるとちゃんとつながってるんですよね。
 この人は苦しいっていうよりもなにもないっていう気持ちだったんだなって思いました。

中小路昌宏
softbank060105252139.bbtec.net

 さらっと読みました。

 凪さんというのは、もう少しボリュームのある作品を書く方だと思っていました。2週間に一回というのを自分のノルマのように思って、無理やり投稿した? というわけではないのでしょうか?

 失礼ながら、さらっとし過ぎているように感じました。ごめんなさい。

fj168.net112140023.thn.ne.jp

クレヨンさん、はじめましてかな。
お読みいただき感謝します。

なにもないと思い込んでしまったんですかね。ただこの時点では、死のうなどとは思っていませんでした。

感想をありがとうございます。

fj168.net112140023.thn.ne.jp

中小路さん、お読みいただき感謝します。

>失礼ながら、さらっとし過ぎているように感じました。ごめんなさい。

いいえこちらこそ、月夜に絆されてついついさらっと 笑。

でもね、いつもこんな感じで小説の構想を練っています。おかげで今回はミステリーのストーリーが浮かんでいます。
私の長編は、不幸な女がけっこう登場するんですよ。

夜の雨
ai202167.d.west.v6connect.net

「手記」読みました。

ラストまで読んで「えっ⁈」と思いましたが。

それとも自殺者ほど人生を真剣に考えるという事ですかね。

御作を読んでみると結構人生とはなんぞいやというところを考えているように見受けられますが、それで、どうしてそこから自殺へと行くのかと思いますね。
これだと詩人はみなさん自殺しなければなりません。

普通に人生を考えている人、という具合に取りました。

が、

これって、小説のネタになっているようですね。
私もいろいろ、妄想して勝手に他人様の小説を膨らましています。


お疲れさまでした。

fj168.net112140023.thn.ne.jp

夜の雨さん、お読みいただき感謝します。

夜の雨さんも、クレヨンさんも、この独白に違和感を感じでくれて嬉しいです。
確かにこの文には憂いこそあれ、自殺するよりも、「生」に対する想いが書き込まれています。

>私もいろいろ、妄想して勝手に他人様の小説を膨らましています。

ありがとうございます!

金木犀
sp49-96-230-246.msd.spmode.ne.jp

綺麗な独白だと思いました。

語り手が無理してなくて本当に眠る前に母親に語りかけているような素直な感じを受けました。興味が引かれましたね。


そっか~死んじゃうのか(ToT)

ということで続編あるなら続編はよ

渡辺沙羅
114-134-212-157.fnnr.j-cnet.jp

自殺したらもっと苦しくなるそして苦しみは次の人生を前より苦しくする。そのサイクルは変わらない。
しかし花を美しくしたり、人に施しをしたり、席を譲ったり。そういう善をした者は良いところに生まれる。
そのように当たり前になる。難しいことを考えることではない。悪因悪果,善行善果。良いことをするのは難しい。
しかしそれをしないと地獄行だ。

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金木犀さん、お読みいただき感謝します。
私は本格推理よりも、ハウダニット系の心理を描いた物語が好きなのです。この独白と最後の一文から、読者様がミステリーを感じてくれただけで嬉しく思っています。

向こうで読んでくれているのですね。
ありがとうございます!

fj168.net112140023.thn.ne.jp

渡辺さん、お読みいただき感謝します。

因果応報
これもひとつ、テーマとして描いてみたいものです。

自身で命を断つことを、その方法を、後の世界を……細部まで突き詰め、後は実行する日時をいつにするか決めるだけ。となった時、人が最後に想うことってなんでしょうかね。
そんなものを描けたらいいなと考えています。

パイングミ
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拝読しました。前作の2作目の時も思ったのですが、凄く雰囲気のある書き方が上手ですね。泡の場面は人魚姫がパッと浮かんだのですが、そういえば彼女も海に身を投げて死を選んだのを思い出しました。「夜明け前が 一番冷え込む」の文章も効いていますね。私的にはふとした瞬間に死に引き寄せられちゃったのかな…といった気持ちになりました。読めて良かったです。

November
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【手記】読ませてもらいました!
いつも感想くださるので、僕も感想を伝えます!面白かったです!ラストがびっくりしました!短くて良い内容の話でした。

fj168.net112140023.thn.ne.jp

パイングミさん、お読みいただき感謝します。

>私的にはふとした瞬間に死に引き寄せられちゃったのかな…といった気持ちになりました。


「通りもの」

願いというものは儚いものですね
まるで手から離れゆく風船のよう
腕を伸ばしても
背伸びをしても
失ってしまったものはその手に戻らない

ある作家が表現する。
人を殺めるときの心の様を「通りものに当たる」と……
通りものとは「通り悪魔」のこと。
気持ちがぼんやりとしている人間に憑依し、その人の心を乱すとされる日本の妖怪。


自身を絶つ時も同じなのかな

fj168.net112140023.thn.ne.jp

《参考音源》
「Dream Jypsy」
ビル・エヴァンス&ジム・ホール

https://youtu.be/Melqtb-Eb-E

fj168.net112140023.thn.ne.jp

Novemberさん、お読みいただき感謝します。びっくりしてくれて嬉しいです!

感想をありがとうございます。

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