作家でごはん!鍛練場
一平

気づきのとき

 
 山頂を覆う霧が木々を絡めとるように谷をすべり、麓を白くかすませている。そんな幻想的ともいえる風景の中に僕はいた。失った存在の大切さを噛みしめるよう、一心に大木を見つめていた。
  
 僕は同じ高校に通うショットカットの彼女と、しばしばこの場所へサイクリングに来ていた。
 二人とも少し風変りだった。休日のデートであればみな街へ繰りだし映画やテーマパークへ行ったりするのに、そういったことにまったく関心を持たなかった。むしろ少しでもひなびた場所へ行って自然を観察し、建物なり人なりと、ひそかに触れ合うほうが楽しいと感じていた。
 付き合いだすきっかけもかなり風変わりだった。
 一年前、自転車で遠出するのが好きな僕はカメラをリュックに入れ白鳥が飛来するという小さな沼へ向かった。低い山の麓の名もない沼、この場所に毎年白鳥が飛来する。田んぼと水路がつながっているせいなのか水草が豊富なうえ、好物の甲殻類が大量に生息しているからだ。
 だからといって必ずやってくるわけではない。一日の大半はたいてい待ちぼうけ、そのような地味な趣味を多感な他の高校生が興味を持つことはないはずだ。必然と友だちはできなかった。
 それにしてもカメラ小僧が数人しかいないし、飛来すればインスタの閲覧数を伸ばせる絶好のチャンスだった。まして、その数人の中に意中の彼女を見つけた。さり気なく白鳥を撮るふりをして彼女を激写するつもりでいる。
 細おもてで切れ長の黒い瞳、一見冷たそうな印象だが笑うとそれらを吹き飛ばして温かく、なぜか僕の心をなごませてくれる。隣のクラスなのでまだ話をしたことはないが、たがいの顔は十分認識している。そしてたぶん、彼女は僕が向ける視線を察知している。
  
 気づくと、つい今しがたまで晴れていたのに青空が消えていた。なまり色の雲が上空を覆いだした。いつものことだがこの地域は天候が急変する。僕はカメラを首から外し、恨めしげに空を見ながら岩にもたれかかった。
 午後三時、どうするか迷う。白鳥はいっこうに現れないし天候は悪化のきざしを見せている。かといって彼女はカメラを手にしたまま帰りそうもない。初冬の日暮れは思いのほか早い。まして西を山で囲まれたこの場所は平地と違って早く日が暮れる。
 岩にもたれかかったままいたずらに時間がすぎていく。いちだんと雲は厚くなり、沼の向こう岸が見えないほど霧が立ちこめだした。そんな状態になっても決断できない自分をつくづく優柔不断だと思った。彼女も自転車で来ているのだし、一言、一緒に帰らないかと声をかければいいだけのことをうじうじ考えあぐねている。
 いつだって僕はそうだ。母が失踪し、父子家庭になってからは家でも学校でも好きなものを好きだと言えず、嫌いなもの嫌いだとも言えずに黙りこくってしまう。だから風変わりだなんて詭弁で、ほんとうは友だちから相手にされないだけ。
 おそらく父が三、四年周期の転勤族のため、自然と身につけた処世術なのだろう。転校先で本心をさらけだせば白か黒に色分けされる。どっちを選んでも味方がいないのならグレー、相手にされないほうがいいと割りきった。
  
「あの女、さらうぞ」
 不意に、岩の向こうから不穏な声がした。
 声の方向に目をやると、ポケットに手を突っこんだ二十代前半の二人組が肩を怒らせて彼女に近づいていった。到底カメラ小僧には思えない連中だった。ねばっとして醜悪、どう好意的に見てもカメラオタクとは言い難い。
 彼らは彼女を取り囲むような形で、二言三言にやけながら話しかけた。彼女は嫌な顔一つせず対応している。男たちの企みを知らなければ何てことのない男女の一場面。けれど知っている者には欲望まるだしの狼が下半身をいきり立たせ、つかのま羊の仮面を被っているのは明白だ。
  
 しばらくすると一人が、狡猾な目を柔和につくろったまま立てかけてあった自転車のサドルに手をかけた。もう一人は卑猥な笑みを口もとに浮かばせ、彼女の肩に手を乗せた。
 ――えっ、自転車を運ぶっていうことは、まさか交渉成立……肩に手を乗せたのも承諾のサイン?
 とたんに全身の力が抜けた。
 それは小学生のとき、貯金箱を壊して母の誕生日にケーキを買って戻ったら、スーツケースを持って出ていく母と鉢合わせをした――そのときの空しい感覚と似ていた。まだ付き合ってもいないのに胸にぽっかり穴が空いている。
 あきらめて帰ろうとすると、彼女が男の手を払った。
 頭に電気が走る。熱い痺れが全身を駆けめぐる。
 ――なにも言わずに去った母とは違う、でも……。
 爽快感と入れ替えに不安が襲う。男たちにとって彼女の拒絶は想定内だからだ。案の定、にやけを一転威嚇に変えた。きっと当初の予定通り、強引に連れ去るつもりなのだろう。
 どうしよう。何とかしないと彼女が拉致されてしまう。車に連れ込まれてしまえば彼女は確実に暴行される。
 犯罪だ。大声を上げて周囲の大人たちに助けてもらおうと辺りを見渡したが、数人いた大人たちは鴨の写真を撮りに沼の反対側に行っている。近くには僕一人しかいなかった。
 だったら僕が助けるしかない。いざ覚悟を決めたけど腕力に自信があるほうではないし、反対に叩きのめされるのがおちだ。そもそも喧嘩なんてしたことがないのだ。
 膝が、がくがくと震えだした。
 これまでクラスメートがいじめに遭っても見ないふりを決め込んできた。その都度、不甲斐ない自分を責めた。けれど、それもこれで終わりだ。もう転勤族の処世術なんて願い下げ、ピリオドを打つ。
  
 僕は草むらに落ちていた恰好の枯れ枝を見つけ、力を込めて握った。返り討ちにあってもかまわない。それによって思いを寄せる彼女の危機を救えるなら、と。
「よし、やってやる!」
 勇気を振り絞ったとき、虚を突かれた。
「きみ、何してるの?」
 背後に彼女が立っていた。
「えっ?」どう答えていいのか狼狽した。「彼らは?」
「追い払った」
 僕は平然と言い返す彼女の言葉の意味を理解できなかった。
 結局のところ、彼女が猛威を振るうコロナの感染者だと告げたので、二人は渋々退散したらしい。醜悪なものは、より醜悪のものにひれ伏す。ほんとうに感染しているかは定かではないけれど機転の勝利だろう。
 そしてその後、僕が枯れ枝を持って戦おうとしたことを知り、彼女は「へぇ、きみって軟弱なだけじゃないんだ」と、信じられないものを見たときのように目をぱちくりさせた。
 僕は得意げに言った。
「学校で見せているのは仮の姿なんだ」
「仮の姿、ね」彼女が笑った。「確かに増長するのは真の姿だわ」
 嫌味っぽく核心を突かれたけど、僕の大好きな温かい笑顔だ。
「一緒に帰ろうか。狼から守ってあげるよ」
「わたしを守れるの、軟弱な羊さんが?」
「いざとなったらお姫さま抱っこをする。こう見えても逃げ足は速いんだ」
  
 それから僕たちは休みのたびにデートを重ねた。ときにバスや電車を乗り継いで遠出することもあったけど、大ていは自転車で自然の探索だった。その日も、山道の入口で古風な民家を目にし、たがいの顔を見合わせると自転車をとめた。そして誰かいないかと庭先を覗き、縁側で日向ぼっこをする老夫婦を見つけて挨拶をした。気づくと談笑し、茶を啜り、しまいには「峠でお食べ」と、軒下につるされる干し柿を持たされていた。
 老夫婦は口を揃えて言う。
「素敵な彼女だね。屈託のない笑顔と控えめなところがたまらんよ」
「確かに笑顔はそうだと思うけど、控えめとは言い難い気も……」
 と、僕は言いかけて言葉を濁した。これまで何度も学校で二人の仲をひやかされたが、僕をかばうよう、懸命に言い返す彼女をずっと見てきた。僕は相変わらず羊のままだったのだ。
「女々しい男の子に控え目でいたら軟弱さを増長させるだけでしょ」
 案の定、手厳しく言い返された。
「まあ、あなた軟弱だったのね。だったら、うちのおじいさんと一緒よ」
「へえ、おじいさんも軟弱だったんですか」
「それが夫婦円満の秘訣だからね。わしは婆さんの幸せを守るために達観したんだ」
「きみもいつか達観してね」
 彼女が意味深な目を向けた。
「もうしてるよ。ここへ来たのだって、君が古民家好きなのを知っているからさ」
「そうね。年を取ったら、古い家で伴侶とお茶を啜ることが私の夢だもの」
「僕だってそうさ。おじいさんとおばあさんのように仲よく手をつなぎ、日がな一日を過ごすんだ」
「こりゃまいった。二人とも、高校生なのに老成しすぎだぞ」
 老夫婦が笑う。つられて彼女も屈託のない笑顔を覗かせた。
 でも……もう、彼女の飾り気のない笑顔を二度と見ることができない。その後すぐに、この緩やかな坂を登りきった所で事故に遭ってしまったのだ。
  
 僕はしばらく佇んだ後、生々しい傷跡の残る大木の前へ跪く。
「どうして……」と、抱える胸の痛みを訴えた。
 もちろん大木が返事をすることはない。
 しかし大木は事故の一部始終を見ていた。ねぎらうかに葉を一枚散らした。僕は手のひらを広げた。でも意思とは裏腹に葉はすり抜け、ひらひら風に巻かれて飛んでいく。
  
 今思うと、悲惨な事故が起きたのは不運が幾重にも重なったせいかもしれなかった。
 厳しい冬に備えて木々はいっせいに葉を落して幹に養分を蓄える。その日もかなり冷え込んだため、みなが葉を落しはじめた。さながら落ち葉の吹雪の感がするほどに。
 けれどその毎年くりかえされるいとなみによって、屈託のない笑顔を僕から奪いとってしまった。たがいの夢であった茶を啜ることも、手をつなぐこともできなくさせてしまった。
  
 数日前、坂の上からやってきた一台の車のフロントガラスに、木々の落した葉が大量に降りそそがれた。折り悪く、その車はワイパーに不具合が生じていたらしく大量の落ち葉を掃ききれなかった。それによって視界が狭くなったのだろう、危険を感じた運転手は崖に気を取られ山側へ車を寄せた。
 そんな車の異変に彼女が気づいた。
「逃げて!」
 と、押し迫った声で叫んだ。
 その声に運転手も気づき、急ブレーキをかけた。しかし車は横すべりしながら蛇行した。まさに制御不能状態、自転車の速度を上げれば僕は避けられても、後続の彼女と激突してしまうのはあきらかだった。
 いや助かる方法は一つある!
 僕は逆に速度を落とし、彼女を突き飛ばした。彼女が自転車ごと大木の横へ転がった。
  
  
 やがて跪いていた僕は立ち上がり、あの民家の庭を覗くとぎこちなく口元をゆるめ、縁側で茶を啜る老夫婦に視線を当てた。事故の報告をしようと二人に向かってゆらっと歩きはじめた。落ち葉が一枚、今度は僕の身体をすり抜ける。

気づきのとき

執筆の狙い

作者 一平
119-171-161-196.rev.home.ne.jp

いつまでも上達しないので一年半ほど創作から離れていたのですが、ふとまた書こうと思い立ち、当サイトに投稿させてもらいました。拙い作品ですが目を通してもらえると幸いです。

コメント

偏差値45
KD106180000180.au-net.ne.jp

うーん、冒頭の三行がどの時間を指すことなのか、
全体を通して読まなければ、分からないので、個人的にはストレスかな。
特別、あってもなくてもという内容なので。
だったらカットしてもいい、そんな気がしましたね。

>ショットカットの彼女
これはどういう意味なのか。悩みましたね。「近道、直ぐに」みたいな意味でしょうか。
またはショートカットの誤りなのか。

>「あの女、さらうぞ」
個人的には、登場人物の立ち位置が分からないのですが、
第三者に聞こえるように話すというのは、マヌケでしょうからね。
簡単に言えば、ありえない気がしましたね。
で、ありえないついでに言えば、周囲に主人公(目撃者)がいるわけですから、
二人の男性が犯罪が出来る状態ではないと考えますので、嘘臭さがしましたね。

>コロナの感染者
冷静に考えれば、コロナの感染者がそんな場所にいるわけがありません。
病院か自宅で療養が普通でしょうからね。
つまり、嘘だとバレても不思議ではない気がしましたね。

>そして誰かいないかと庭先を覗き、
縁側で日向ぼっこをする老夫婦を見つけて挨拶をした。
社交性が高過ぎ。あまりいないタイプかな。

>「それが夫婦円満の秘訣だからね。わしは婆さんの幸せを守るために達観したんだ」
「きみもいつか達観してね」
うーん、なんだろう。達観という言葉。
僕は日常で使用したこともないし、周囲の人からも話し言葉の中で聞いたことがないので
違和感を感じますね。
で、ついでにもう一つ。これはおじいさんの台詞だと思うけど。
「きみもいつか達観してね」、これは誰の台詞なのか。断定できませんでしたね。

>数日前、坂の上からやってきた一台の車のフロントガラスに、木々の落した葉が大量に降りそそがれた。折り悪く、その車はワイパーに不具合が生じていたらしく大量の落ち葉を掃ききれなかった。

なんとなくは分かるけど。明確に理解できないかな。
数日前? この時間の指定するものはなんだろうか。
で、人が見えなくなるほど落ち葉が降ることがあるのだろうか。
これが濃霧のような場合だったらあるかもしれないけれど。
経験していないことなので疑問の方が先行しますね。

で、やはりハッピーエンドではないので面白味はないかな。
例えば、老夫婦との会話の中で何かしらの教訓があって、
その教訓によって事故から助かった。そんな展開だったら、
小説としての構造は悪くないと思うけど。
現状だと老夫婦との出会いが空振りになっているので、
何の為に登場させたのか、分からないですね。

金木犀
sp1-73-146-38.smd01.spmode.ne.jp

上達するって言うほど簡単じゃないですよね。文章力は僕もほしいと思ってます。

まずはのびのび書きましょ。

一平
119-171-161-196.rev.home.ne.jp

偏差値45さん、拙い作品を読んでいただき感謝します。
 
>うーん、冒頭の三行がどの時間を指すことなのか、
全体を通して読まなければ、分からないので、個人的にはストレスかな。
・ごめんなさい。かなり時間軸をいじってしまい(その中には小説でやってはいけない禁じ手も数ヶ所あります)ストレスを感じさせてしまったようで申し訳なく思っています。
そして不要とのことですが、この冒頭が時系列的には現在なので、自分にはミスリードの意味も含めて必要でした。
 
ショットカットの彼女
>これはどういう意味なのか。悩みましたね。
・はい、ショートカットの誤りです。まったく気がつきませんでした、ご指摘ありがとございました。推敲をしたつもりなのに恥ずかしい。
 
「あの女、さらうぞ」
>個人的には、登場人物の立ち位置が分からないのですが、
第三者に聞こえるように話すというのは、マヌケでしょうからね。
簡単に言えば、ありえない気がしましたね。
・大ざっぱに書きすぎたようです。一応、岩の向こう側にしたのですが、立ち位置、確かに分かりづらいと思います。有りえない、噓くささ、この状況だけでなくコロナの感染についても同じでしょうね。
自分としても、さすがにこの事態をコロナ感染者で切り抜けられないだろうと思っていました。痴漢撃退用スプレーだとか防犯ベルとかいろいろ考えましたが、感染者にしたほうが彼女の口達者なキャラを活かせると思いそうしました。
 
そして誰かいないかと庭先を覗き、縁側で日向ぼっこをする老夫婦を見つけて挨拶をした。
>社交性が高過ぎ。あまりいないタイプかな。
・はい、二人とも風変わりなんです。
 
「それが夫婦円満の秘訣だからね。わしは婆さんの幸せを守るために達観したんだ」
「きみもいつか達観してね」
>うーん、なんだろう。達観という言葉。
僕は日常で使用したこともないし、周囲の人からも話し言葉の中で聞いたことがないので
違和感を感じますね。
・偏差値さんとは違い、高齢のおじいさんの言葉なので妥協してくれると嬉しいです。
それと「きみも~」は彼女のセリフです。主人公は彼女のことを「君」、彼女は主人公のことを「きみ」と呼ばせました。そして主人公と彼女に名前をつけなかったのは、意図があって読み手との間に曖昧な距離を置きたかったからです。たぶん失敗していると思いますが……。
 
数日前、坂の上からやってきた一台の車のフロントガラスに、木々の落した葉が大量に降りそそがれた。折り悪く、その車はワイパーに不具合が生じていたらしく大量の落ち葉を掃ききれなかった。
>なんとなくは分かるけど。明確に理解できないかな。
数日前? この時間の指定するものはなんだろうか。
・大木の前にひざまずいているのが現在軸として、事故が起きたその数日前を指しています。
人が見えなくなるほどの落ち葉に関しては、そんなこともあるかと、さらりと読み進めてくれると嬉しかったです^^ ワイパーも調子悪かったですし。
 
>で、やはりハッピーエンドではないので面白味はないかな。
例えば、老夫婦との会話の中で何かしらの教訓があって、
その教訓によって事故から助かった。そんな展開だったら、
小説としての構造は悪くないと思うけど。
・痛いお言葉です。ハッピーエンドではありませんが、とりあえず少年の成長物語として書きました。
老夫婦の教訓は相手を守る、達観でしょうか。主人公はその言葉通り、最後の最後で実践したのです。そこを未熟なので伝えきれませんでしたが。
 
わかりづらい作品を丁寧に読んでいただき心から感謝します。ありがとうございました。
8面に偏差値さんの作品を見つけたので、近いうちに寄らせてもらいますね。

一平
119-171-161-196.rev.home.ne.jp

金木犀さん、拙い作品に感想を頂きありがとうございます。
 
>上達するって言うほど簡単じゃないですよね。文章力は僕もほしいと思ってます。
・ほんとそうですよね。それで何度も挫折しました。でも、また書きだしたのは、もしかしたら本を読むことも書くことも好きなのかもしれません。
 
>まずはのびのび書きましょ。
・はい、難しいですけど、のびのび書くように努力します。
ありがとうございました。アドバイス心から感謝します。

こばち
f213-216.ip.avis.ne.jp

初めまして。執筆の狙いから、作者さんの上手くなりたいという意志を感じたので読みました。あまり色々言ってもあれなので、ポイントを絞ってお話ししますと、
・時系列の曖昧さ・語彙の選択・視点のブレ・テーマの見せ方
を意識してみたらいいと思います。おそらく、考えたこともないままに、今は楽しく書いているのではと思います。具体的に例をひきます。
・時系列の曖昧さ
作品全体を通して、何がおきて、どうなっているのか、わかりにくいです。たとえば、冒頭が『今』で、主人公は一心に大木を『見つめて』います。そこから回想に入って、ラストでは老夫婦に事故を知らせるために『歩き始めて』いるわけで、同様に全シーンで時系列の筋が通っていないので、作品世界で迷子になってしまいます。
・語彙の選択
美しい文章を書こうという努力を感じます。でも、伝わらなければどんなに美しくても意味がない。そしてそれは少し配慮すればできることです。たとえばですが、
私を守れるの? と訊いた彼女に対し、
『いざとなったらお姫さま抱っこをする。こう見えても逃げ足は速いんだ」と主人公が言う台詞があります。これは『いざとなったら(戦わずに)君をお姫様抱っこして逃げるよ』という意味だと思います。少しの工夫でわかりやすくなります。凝った表現をして余計にわかりにくくなっている箇所もたくさんあります。森の描写が美しいですが、そことほかの部分の落差も大きいです。
・視点ブレ
読者は文字でしか情報を得られないので、書かれていない空白部分を知ることができません。御作はシーンとシーンの繋ぎが粗く、おそらくは、書き手に映像が見えていないか、途切れ途切れに書き足してそのまま完成としているのだと思います。
ぼくが彼女を助けようと枝を拾って戦う決意をするシーン。ここで
>「きみ、何してるの?」
 背後に彼女が立っていた。

彼女は背後から声をかけています。いままさに、彼女を救いに行こうとしている者が、彼女の顛末を見ていない。これでは読者は、声をかけてきた彼女が彼女とは別の誰かと思ってしまう。

・テーマの見せ方
タイトルが『気づきのとき』ですが、今作で書きたいと思ったことはなんですか?
羊のようだったぼくが、事故で彼女を救えたことでしょうか。
暴漢から助けようとしたことや、老夫婦との会話などを通して、主人公は少しずつ成長しているわけですね。そうなら、身を挺して彼女を救ったシーンがクライマックスということになります。だから一番言いたかったこと、一番見せたいシーンをしっかり描くというのが大切だと思います。各シーンの厚みを調整するのです。
あと、勘違いしがちなことですが、語彙を重ねて飾るより、時にストレートに響く表現が読者の胸には残るもの。書き終えたあと、書き手ではなく読者になって自分の作品を読めたなら、格段に上達することでしょう。書くことと読むことが好きならば、きっと世界を作れますよ。^^

一平
119-171-161-196.rev.home.ne.jp

こばちさん、課題をずばっと指摘していただきありがとうございます。
感想を読みながら、まるで心を覗かれたようすべて見透かされていたので驚きました。
 
まず時系列の曖昧さですが、これに関しては、ざっと書き終えた時点で今の半分以下の枚数でしかありませんでした。そのほうが乱れもなくよかったかもしれませんが、書き込んだ人物設定がまったく活かされていませんでした。
そこで視点のブレでずばり指摘された、とぎれとぎれで書き足してしまいました。母の失踪時やら、付き合いだしたときの学校内の冷やかしなどです。気がついてみれば回想内回想という禁じ手を使っていました。もう読み手は迷子ですよね。投稿するなら倍の枚数を書いて削るべきだったなと、今になって思います。
 
語彙の選択
読み返して反省しています。お姫様抱っこ以外にも、わかりづらいというばかりでなく物語をとめてしまっている箇所がずいぶんありました。ずばっと削除すればいいのに、それによってシンプルになり、読み手に伝わりやすかったのにと反省しています。
 
視点のブレに関しては、僕の一人称で書くことを決めたものの、読み手と距離を置きたいがために主人公と彼女に名前も付けず、神視点のような書き方をしてしまいました。
またシーンとシーンのつなぎはほんとうに粗いです。加筆すべき所を加筆しなかったせいで唐突すぎますし、よけいなところに心情描写などを入れてしまった弊害なのでしょうね。
「きみ、何してるの?」
これなどは読み手がついてこれない典型です。もう少し読み手のことを考えないと、いつまでたっても上手くなるはずがありません。
 
テーマは自己犠牲です。
優柔不断、軟弱、父子家庭によって身につけた処世術、また老人によって気づかされた、大切な人を守ることへの達観。これらを最後の最後で実践することです。
でも、このテーマのシーンが指摘されて初めて気づきましたが、わかりづらいうえに書ききっていないのでしょうね。いちばん見せたいクライマックスをしっかり書く、各シーンの厚みを調整する。これらを頭に入れ、次の作品を書こうと思います。
 
ありがとうございました。心から感謝します。

クレヨン
softbank060106195091.bbtec.net

 中編を短編にしたようなかんじがしました。なんでそうなっているかというと多分、出会いとデートのあいだにあった仲良くなる過程をすっとばしてる、っていうようにしていろいろ抜かしてるからだと思います。全部書ききったらいいってものでもないですが。
 風景の描写が繊細でかつ細かいところまで書かれていたのがすごいと思いました。

「白鳥が飛来するという小さな沼へ向かった。低い山の麓の名もない沼、この場所に毎年白鳥が飛来する。田んぼと水路がつながっているせいなのか水草が豊富なうえ、好物の甲殻類が大量に生息しているからだ」

 専門的になりすぎず簡潔に鶴が集まる理由を説明できているうえに主人公が自然に詳しいっていうのも印象付けられるのでいいなって思いました。
 

一平
119-171-161-196.rev.home.ne.jp

クレヨンさん、感想ありがとうございます。
 
>中編を短編にしたようなかんじがしました。なんでそうなっているかというと多分、出会いとデートのあいだにあった仲よくなる過程をすっとばしている~
・じつは中編を短編にしたのではなく、手のひらを短編にしたというほうが正解です。だから指摘いただいた「すっとばしている」と感じられたのだと思います。ほんと自分でも見事につぎはぎだらけだなと反省しているところでした。
 
沼の場面をお誉めいただきありがとうございます。
風景の描写に関しては冒頭の山と霧の場面もそうですが、ネットの画像を見ながら書いています。沼もそうですね。霧と沼で検索して、ひたすら気に入った画像をじっと見つめます。そうしていくうち一つの文章が生まれると次の文章が呼び起こされます。まだ溢れ出るまでには至っていませんが、あとはそれを何とか立体化させるだけです。上から下とか奥から手前にとか。してはいけないのが、あちこちから描写してしまうことだと思います。そうすると自分のストーリー構成みたいにつぎはぎだらけになってしまい、読み手に伝わらなくなります。
 
クレヨンさんの作品はしっとりしていて物語の中にすっと入り込めました。書きなれていない部分も見受けられましたが、随所に光る筆力は羨ましい限りです。そして物語をつくるのが好きなんだなと、一文、一文に滲み出ているのが感じられました。
 
ありがとうございました。
時間がかかるかもしれませんが、いつか必ず寄らせてもらいますね^^

夜の雨
ai202167.d.west.v6connect.net

「気づきのとき」読みました。

充分かけていると思いますが。
アニメにしたらよいような作品でした。
冒頭のサイリング先の景色がよい場所で隣のクラスの美少女と「一緒にいた」という偶然ぐらいでしょうかね。問題点というかもう少し説明などがいると思ったのは。

彼女が二人の男に拉致されかかるエピソードやら、主人公が彼女に好意を持っている様子などはよく描かれていますよ。これはおもろいなぁと思いながら読んでいました。

棒をもったのはよいが、すでに問題は解決しており彼女から声を掛けられるというところなどはいいですね。主人公のアカンタレキャラと彼女の機転が利く美少女ぶりがわくわくします。

そのあとは、老夫婦とのエピソードとかも将来への伏線になっているし、ラストの山場へとうまく盛り上がりました。

登場人物のキャラクターの設定がかなりなモノでした。
話しもエピソードで展開しているしね。
ラストは彼女を助けて主人公が……、というオチでしたか。
残念な展開ですが、小説としてはこれでよいと思います。

充分、作者さんは才能があると思いますが。


お疲れさまでした。

一平
119-171-161-196.rev.home.ne.jp

夜の雨さん、感想ありがとうございます。
 
課題点の多い作品を好意的に読んでいただき感謝しています。いくら彼女が風変わりといっても、白鳥の飛来する沼に都合よくいるというのはご都合主義そのものでした。もっと長くすれば……でも結局自分よがりの偶然をつくってしまうのでしょうね。
 
それにしても回想主体の読みづらい作品なのに、よく迷子になりませんでしたね。おそらく夜の雨さんは、ここに投稿された作品を読み、極力よいところだけを探していくというスタンスなのだと思います。そうでなければ途中で投げだしてしまうはずです。ので、自分みたいな未熟な書き手には心強い存在です。
 
>棒を持ったはよいが~
・かなり場面が欠落した部分ですのに、ありがとうございます。でもここは修正しなくてはいけない箇所だと思っています。
それとおもしろいのは、夜の雨さんが彼女を美少女と思っているところです。自分としては風変わりで口達者という部分を前面に押しだしているだけで、美少女というイメージは持っていなかったのです。一つには夜の雨さんが切れ長の瞳イコール美少女と定義づけているのか、どちらにせよ発見です。ありがとうございます。
 
それと老夫婦とのエピソードやら主人公と彼女のキャラクターに優しい目を向けてもらい、今回投稿してつくづくよかったなと思います。問題点ばかりなのにややこしいラストも読み取ってもらい嬉しい限りです。そのうえ最後に顔に熱を持つような言葉をかけられて夢心地以外の言葉が見つかりません。
 
ありがとうございました。感謝をこめて。

匿名希望者
nat-ftth1.kkm.ne.jp

拝読しました。

すでに他の読者の方から適切な指摘がありますので、2重になることを避けたいと思いますが。

>>落ち葉が一枚、今度は僕の身体をすり抜ける。
これに関して、主人公の実体がないという表現なのでしょうか? 身を挺して彼女を助けたのであれば、イベントの良し悪しは別として「自己犠牲」にななると思います。

語り手の時間(&場所)
>>僕は手のひらを広げた。でも意思とは裏腹に葉はすり抜け、ひらひら風に巻かれて飛んでいく。
語り手は幽霊であるのでしょう。語っている場所が交通事故の現場。冒頭の、この時間や場所の状況が分からないと、読者にはちんぷんかんぷんだと思います。
他の方の感想欄を見ても主人公が幽霊という記述は見当たらないように思います。他の方の感想をどうこう言うつもりはなく、逆に冒頭から幽霊であることを遡って理解していらっしゃるかもしれませんが、一人称小説の主人公は死なないという、(暗黙の)常識があるため、小説途中で臭わすのなら、(一人称小説の)冒頭で表明するなり、伏線を貼っておくなりした方が読者にはフェアだと感じました。
※通常語り手は読者の前で語っている。
※大木が沼のほとりになるように勘違いする。
>>失った存在の大切さを噛みしめるよう、一心に大木を見つめていた。
>>気づくと、つい今しがたまで晴れていたのに青空が消えていた。
が、対になっていると思った。
※「見つめていた」も、更に振り返って話している印象を与える。語り手を主人公にした小説の語り手。

「自己犠牲」がテーマとおっしゃったので、純文学に寄せた作品を目指されたのだと思います。ですが、イベントの誘拐、交通事故の2つの異例な出来事が重なってしまうことと、「コロナの感染者だと告げたので、二人は渋々退散したらしい。」という文言は、エンタメ小説っぽく感じてしまいます。
他人への愛と自己への愛の天秤の傾き加減が、交通事故という形で終結したためか、遣る瀬なさや不甲斐なさが書ききれていないように感じます。

名前がないのは、純文学を意識され個性を排除しようとされたからど想像しますが、ペットにも名前を付けているわけで、名前がないと読者は感情移入しにくいと思います。
※御作で、名前と幽霊以外のステータスについては、ある程度情報提供されていると思う。ただし、過去に遡って
の父子家庭の件は必要ない説明であるように思う。説明は読者を冷静にさせる。

参考動画
【小説・ライトノベル】冒頭で書くべきキャラクター描写【新人賞・小説大賞】
わかつきひかるの小説道場
https://youtu.be/OznFXYzJ3IY?si=jL-unxRd7LQJEhkB
動画に出てくる「まぎわのごはん」文体は好きではないですが何度も涙がこぼれませした。主人公の感情をどのように表現するか?

御作をよんで感じたことは、筆力やテクニックはお持ちだとは思います。
>>いつまでも上達しないので一年半ほど創作から離れていたのですが、
を、見て思ったことは「初心忘れるべからず」だと感じました。

今後のご活躍を願っております。
頑張って下い。

匿名希望者
nat-ftth1.kkm.ne.jp

追伸
>>他の方の感想欄を見ても主人公が幽霊という記述は見当たらないように思います。
分かっていると書かれている読者さんもいらっしゃいましたね。
失礼しました。m(__)m

匿名希望者
nat-ftth1.kkm.ne.jp

誤字報告
×「自己犠牲」にななる
〇「自己犠牲」になる

×語り手を主人公にした小説の語り手。
〇語り手を主人公にした小説を語る。

×伏線を貼って
〇伏線を張って

×ペットにも名前を付けているわけで、
〇巷ではペットにも名前を付けるわけで、

度々失礼しました。

一平
119-171-161-196.rev.home.ne.jp

匿名希望者さん、的確な感想ありがとうございます。
 
落ち葉が一枚、今度は僕の身体をすり抜ける。
>これに関して、主人公の実体がないということなのでしょうか?
・はい、実体がないのに、ないことを自覚していない主人公です。一応タイトルで仄めかしてはいるのですが読み取りづらいですよね。
 
>一人称小説の主人公は死なないという(暗黙の)常識があるため~
・えっ、知りませんでした。そうなんですか? そうしたらこの物語は、仮に公募であったら即ゴミ箱行きになってしまうでしょうね。知識不足を露呈させてしまいました^^
 
>「見つめていた」も、さらに振り返って話をしている印象を与える。
・う~ん、難しいんですね。感覚だけで書いている自分には咀嚼できそうもありません。ここでも知識のなさを痛感させられました。
 
それとテーマは確かに自己犠牲ですが、純文学は自分には敷居が高すぎて無理です。ほんとうはエンタメ、しかも路線的にはサスペンスのほうが書きやすかったりします。それが読みやすさにつながるとは思えませんが。
 
やるせない、不甲斐なさについては、じつのところそこまで頭がまわりませんでした。書けと言われても、たぶん書けないような気がします。そこまで力のある書き手ではないんです。だから書かずに終わらせたほうが余韻が残るのではという浅い考えでラストにしました。
 
主人公と彼女に名前をつけなかったのは、読んでくれた人が少しでも主人公と距離感を取ってくれたならという浅智恵でしかありません。それで結局視点をブレさせてしまい失敗したのです。
わかつきひかるさんの添削動画拝見しました。とてもわかりやすく添削していますよね。自分でも気がつかない所もあったので勉強になりました。匿名希望者さんの言われるよう、初心に帰ったつもりで見直すのもいいかもしれませんね。
 
>今後のご活躍を願っています。
・はい、温かい言葉をありがとうございます。勉強になりました。またいつか会える日を楽しみにしています。

匿名希望者
nat-ftth1.kkm.ne.jp

再訪します。

>>一人称小説の主人公は死なないという(暗黙の)常識があるため~
どこかに書いてあったと思いましたが見当たらず。
基本、主人公が死んでいるなら語り手は誰?ということになり、幽霊を許容できない世界観の小説では、ラストで読者はポカンとなると思います

”まれに、一人称小説の語り手となる主人公が、物語の途中で命を落とすこともある。古典的な作品ではしばしば、主人公の遺した手記や手紙を読むこととなった編集者や文通者といった他の語り手が登場し、物語がどのように決着したのかを語る手法が用いられる。作家によっては、語り手が体験する死の瞬間を描くためにさまざまな手法を凝らす場合もある”
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「主人公」より引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%BB%E4%BA%BA%E5%85%AC
『まれ』なので、あらかたの一人称主人公は死なないと思われます。(死ぬ可能性のない作品を含めてだとは思うが)
夏目漱石「こころ」の後半は『下 先生と遺書』で、先生の遺書の主人公語りになっています。

>>>「見つめていた」も、さらに振り返って話をしている印象を与える。
以下の引用の通り、「~~いた。」話している時より前の、一定時間の行動や状態を示します。

(1) 子どもはテレビを見ていた。
(2) 車が止まっていた。
 皆さんの頭の中に浮かんでくるのは、次のように、過去のある時点の「その時(は)/そのころ(は)/その時点で(は)」+「~ていた」ではないでしょうか。
(1)’ 私が帰宅した時、子どもはテレビを見ていた。
(2)’ 夕方5時ごろ、ここに車が止まっていた。”

日本語教育通信 文法を楽しく ~ている・~ていた(2)「~ている・~ていた(2)」より引用
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/tsushin/grammar/201403.html

>>初心に帰ったつもりで見直すのもいいかもしれませんね。
意味が伝わらずすいません。テクニックに頼らず、情熱で書いた方が良いのでは? ということでした。m(__)m
この作品で読者に伝えたいことは何か? ということです。

頑張ってください。

匿名希望者
nat-ftth1.kkm.ne.jp

追伸
>>まれに、一人称小説の語り手となる主人公が、物語の途中で命を落とすこともある。
『途中』を見落としていました。(;^ω^)
失礼しました。

ぷりも
softbank060111105211.bbtec.net

文体が美しいと思います。こりにこった厚化粧ではない、品の良さを感じます。
ただ、状況の描写で首を捻るところがありますね。枯れ枝を拾っている間に、男二人がコロナ感染の話を聞いて逃げ去った上に、彼女が僕の背後に回り込むというのはなかなかの手練れかと。
あと、ひ弱な僕が人を抱えて走って逃げるというのも想像し難いと思いました。
あんまり事細かな状況説明を入れてしまうと、せっかくの持ち味である文体を壊しかねないので、シンプルな設定にするのも良いのでは。
個人的に叙述トリックは結構好きです。

一平
119-171-161-196.rev.home.ne.jp

匿名希望者さん、自分の理解力が足りないため再訪させて申し訳ありません。
でも、いただいたアドバイスはもっともだと認識しているのでご安心ください。
初心に帰ったつもりで見直すという件も、好意的に声をかけてくださったことが伝わり、ありがたく思っています。
それにしても匿名希望者さんは律儀で誠実な人なのですね。
再訪ありがとうございました。

一平
119-171-161-196.rev.home.ne.jp

ぷりもさん、感想ありがとうございます。と同時に時系列の乱れた未熟な作品をお誉めいただき感謝します。
 
>ただ、状況描写で首を捻るところがあります。~
・もっともです。彼女は口達者ですが手練れにはしていませんので。正直、この場面はどうしたものかといろいろ考えました。スプレーとかベルとかですね。でも自分がいちばん書きたかったのは主人公の驚きでした。当然ながら二人組と戦うことは排除していました。
 
>あと、ひ弱な僕が人を抱っこして逃げるというのも想像しがたいと思いました。
・有りえませんね、絶対に。これについては小説を書く人なら誰でもそうだと思うのですが、乗ってくるとセリフが溢れてくるのです。キーボードを叩く暇がないほどに。それで有りえないと思いつつ採用しました。一つには主人公は軟弱ではあるけれど口では負けたくないと言い返したにすぎないのです。もちろん彼女がそれを信じたとは思えません。
 
状況説明と描写については自分の悪癖です。しきりに書いていた頃はぷりもさんの言われるようシンプルを心がけていたのですが、久しぶりに書いた今回は付け足し付け足しのつぎはぎだらけになってしまいました。
 
温かい感想ありがとうございました。心から感謝します。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

テクニカルサポート

3,000字以内