海で生きるもの、空に昇る
「海で生きるもの」である彼は、孤独を手放したくて「空で生きるもの」の世界に憧れた。生物の形態を変え空に昇った。その時、彼の身体から血しぶきが弾けた。「空で生きるもの」の一人、彼女は「海で生きるもの」だった彼に興味を示し、彼の身体に触れた。でも、彼女は結局の所、震えている手を止め、もう個人的な関わりは持たないと彼に言った。彼の身体から血が全身に滲んだ。彼女は、彼に溜息をつきながら、空の掟の話をした。個人的な関係を結ぶと空では生きられない。痛みをずっと抱えた彼は彼女と個人的に関係を結べないのなら、海に戻ると言う。穏やかな空のもと、「空で生きるもの」の一人が、それをわがままだと言った。お前の話はもう聞かないとまで言う。「空に生きるもの」の別の者達は無反応だ。彼は空の掟を守って彼女との浅い付き合いのまま、えぐられる痛みに耐えるのなら、わがままでよかった。だから、彼は孤独を恐れず海に行くことを選んだ。彼女は彼の名を呼ぼうとしたが、喉で止まった。海に降りた彼は泳いだ。海では影もなく、触れるものも見つからない。それでも、彼は泳ぎ、血の痛みだけが残った。滲み続ける血は乾かない。
執筆の狙い
魚が、鳥と関係を結ぶというような話ではなく、象徴や抽象として、海で生きるもの、空で生きるもの、としています。