作家でごはん!鍛練場
からあげ

気まぐれ ※リスカ、えずきなど自傷行為の表現あり

腕に刻まれた傷跡が、
午後の陽光に白く浮かび上がった。
新しいもの、古いもの。
幾重にも重なった赤黒い線が、
袖口から覗いている。
それを見た瞬間――



部屋のドアの向こうから、
カッターの刃が皮膚を滑る音。
しゃっ、しゃっ。
規則的で、淡々としたリズム。
それが突然、量を増した。
肉を深く抉る音に変わり、
鈍い湿った音が混じり始める。


床に血が垂れ、
フローリングに赤黒い染みを作っていく。
太腿にも同じことをしている。
貧血で視界が白んでくる頃が、
ちょうどいい。
頭がぼうっとして、
世界が遠くなる感じ。
それが好きだった。
あのときからずっと。




ベッドの縁に座り、
手首から太腿まで赤く濡らして、
恍惚とした顔をしている。
カーペットに血溜まりが広がり、
鉄錆の匂いが部屋に充満していた。


首に残る圧迫痕。
縄の跡。
一本や二本ではない。
何度も繰り返した痕が、
首周りにくっきりと刻まれていた。
手首や太腿の傷だけではなかった。
もっと深い場所に、
ずっと前から手を伸ばしていた証拠が、
そこにあった。



びちゃびちゃと、
胃液と血の混じったものが袋に落ちる
何度も、何度も。
体が痙攣するように波打って、
目尻に涙が浮かぶ。
苦しいはずなのに
その顔は――



顔色が赤から紫へ変わっていく。
舌がわずかに突き出され、身体をよじるたびに体が言うことをきいてくれなくなる。
落ちない。意識がなかなか落ちてくれない
それが一番残酷だった。

気まぐれ ※リスカ、えずきなど自傷行為の表現あり

執筆の狙い

作者 からあげ
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気まぐれに書いたやつです。
今の自分のことをもとにして書きました。
突発的に思いついた文章のまとめなので、文章終わってます。

リスカ・えずきなどの自傷行為の表現があります。苦手な方は読まないほうがいいかもです。

コメント

黒川憐
M014011049192.v4.enabler.ne.jp

からあげさん、コメント失礼します。
『きまぐれ』読ませてもらいました。作品の感想を書こうと思ったのですが、いちばん初めに浮かび上がったのが『心配』でした。

>今の自分をもとにして書きました。
からあげさんのこの文章をみた瞬間心配で仕方ありませんでした。心配されるのがお好きでない方もいらっしゃるので、からあげさんはどう思うかわかりませんが、とりあえずすごく心配になりました。
これが過去の自分を題材に、とかならまだご苦労されたのだろう、と思っただけだったのですが〝今の自分〟とのことなので心配で。
からあげさんがどのような経緯でこのような逃げ道を取ったのかはわかりません。
ですが、心配と一緒に少し安心もしました。自分の思いを文字にして、逃げ道を作れている。自分の思いを文字にする能力があって良かったな、なんて思いました。
どうかからあげさんから、この逃げ道を奪われませんように。

作品自体は痛々しくて好きだなって思いました。ストーリー性とかそういうのじゃなくて、ただ自分のひたむきな思いが文字に現れてる感じが好みだなって思いました。
ラッピングされた綺麗な文書も好きなのですが、その人の心そのものみたいな黒い文章も好きなんです。私。
なのでからあげさんの言葉選びとかは結構好みです。
ここにストーリー性を付けていくと、もっと面白い作品になるんだろうな、なんて思いました。

夜の雨
sp49-109-71-113.nnk01.spmode.ne.jp

からあげさん「気まぐれ」読みました。

てへへ^^(苦笑い)という、感じですね。
作者さんは、緊迫感を出しているつもりかもしれませんが、私に言わすと、主人公の深い心理状態が描かれていないので、「普通の掌編だな」と、いう感じです。
お気に障ったら、ごめん。

御作を読むと、リストカットやら太ももなどにもカッターで血が出るほど、傷をつけたのかもしれませんが、主人公がどうしてそういった心理状態になっているかの本質が描かれていません。

つまり、結果だけを描いている。

他人様に読ませる小説の場合は、「どうして、そういったことになっているのか(なったのか)」の、「原因」を書く必要がありますが。
御作には、その原因が描かれていません。


>気まぐれに書いたやつです。
>今の自分のことをもとにして書きました。
>突発的に思いついた文章のまとめなので、文章終わってます。

だから、原因が描かれていない、となるのです。

明智小五郎のように、論理的に考えると、何をなすべきかがわかってきます。
つまり怪人20面相は、事件を起こす前に作者である江戸川乱歩に、マリリンモンローとの間に産まれた自分の娘をあてがうとか。
そうすると乱歩は「てへへ、なかなかよかったなぁ。さすがに怪人20面相だわ。となると、明智小五郎よりも一枚上手である男に怪人20面相を描く必要があるわな」と。
江戸川乱歩は思って、『明智小五郎は、どんなグラマラスな女を私によこすのだ、てへへのてへへ』と、なるわけだ。

ところが明智小五郎は冷静な男なので「この作者の江戸川乱歩は自分が創った創作物のキャラクターに吞み込まれているのではないのか、これは、大変だ。悪が栄える物語が江戸川乱歩という有名な小説家に書かせると、今後の青少年へ悪影響を与えるのではと、明智は江戸川乱歩と一緒に酒を飲みながら人生を深く語る機会を作ったのでありました。

江戸川乱歩いわく「それで明智君は私にオードリーヘップバーンの娘を夜伽に与えてくれるのかい」
「先生、何をおっしゃっているのですか、ヘップバーンには娘などいませんが」
「なるほど、それでは明智君とヘップバーンの間に娘ができたという設定にした小説を書くとするか」

とか言っていたが、結局は「陰獣」という変態性欲小説を江戸川乱歩は書いた。
横溝正史(当時の探偵小説の雑誌『新青年』の編集者)により「前代未聞のトリックを用いた探偵小説」と絶賛されている。

ということで、とりあえずリストカットした「原因」を描いてください。
ちなみに「小説」として、という事です。

こんなところですかね。

中村ノリオ
KD113158017146.ppp-bb.dion.ne.jp

読ませていただきました。

文章、終わってないです。むしろこの手のシーンを書いたものとしては上手いんじゃないでしょうか。それだけで終わっている感がありますが。

一つ気になったのは視点がどこにあるのかが明瞭でないように感じられる点です。人物を外から見た描写があるかと思うと

〉頭がぼうっとして、
世界が遠くなる感じ。
それが好きだった。
あのときからずっと。〈

と内面を書いている部分もある。それが微妙に居心地の悪い靄になって不気味さにつながっている面もあるので悪いとばかりも言えませんが。生々しさはある。

実体験を元にして書かれているのでしたらご自愛ください。
人生は長いです。

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