シコウノシコク
時は、西暦2125年。
二十一世紀末に起きた「東西大戦」から、三十年が過ぎていた。
太平洋に浮かぶシコク島統合要塞。
今は巨大な魔導核が脈動し、紫の輝きを放つこの島も──
かつてはただの 弱い地方、使い捨ての戦力 に過ぎなかった。
2095年 東西大戦
シコクは西側にいた。
しかし、最前線に立つ力も、命令を拒否する力もなかった。
「囮作戦、担当はシコクだ」
「橋頭堡が必要だ。消耗は覚悟してもらう」
「シコクは機動が遅い。捨て駒に適任だ」
会議で平然と交わされる言葉に、四国の名はいつも「消耗」や「犠牲」とセットで語られた。
補給は後回し。
救護は遅れ、撤退命令は常に最後。
戦場で散った仲間の名は、東西の戦果報告書では「その他大勢」として処理された。
生き残った者たちは、その屈辱を忘れなかった。
2125年 現在
シコク島統合要塞・中央司令室
コウチ総司令・坂本大和は、今でも手帳に当時の記録を挟んでいる。
そこには死者の名と、無茶な作戦命令がびっしりと書き込まれていた。
「……覚えてるか。俺たちが“仲間”として扱われなかった日々を」
讃岐榛名は静かに頷く。
「忘れるわけないよ。うどんどころか、水も弾も足りなかった」
阿波迅鯨は拳を握る。
「俺らだけ捨てられとった。せやから……生き残りは決めたんよ。“次は絶対、駒にならん”ってな」
伊予比叡は淡く微笑む。
その瞳は優しいが、奥には鋭い光があった。
「そのために魔導核を統合し、私たちは強くなった。三十年、ずっと準備してきたの。ゆっくり、ばれないように」
シコクは弱かった。
だが弱かったからこそ、試行錯誤し、生き残る術を磨いた。
戦略、魔導、兵装、地形操作、防衛術……
東も西も知らぬまま、シコクは進化した。
坂本大和は地図の中央に、静かに指を置く。
「三十年かけて積み上げたんだ。ちまちま準備して……やっと“今”が来た」
讃岐榛名が微笑む。
「東も西も、まだ四国が弱いと思ってる。だからこそ、チャンスだよね〜?」
阿波迅鯨が獣のように笑う。
「見返したるわ。もう捨て駒じゃないっちゅーとこ、骨の髄まで思い知らせたる」
伊予比叡が魔導灯に手をかざし、虹色の光が司令室に満ちる。
「シコクは……もう誰の下にもつかない。自分たちの未来は、自分たちで決める」
これがシコクの誓い。
弱さを知った者だけが、手にできた強さだった。
そしてシコクは、静かに牙を研ぎ続けた。
これは、最強へ向かっていくシコクの話。
執筆の狙い
「四国が弱いって言われるのは嫌だ〜」と言うとあるスレを見た友達の悲痛な声が聞こえてきたのでそれを参考に書いてみました。
一作で終わらなかったのでどうしたらいいかな?
追記 漢字が読みにくくてすみません。