今朝の夢の話
今朝の夢は、ひどく愉快で、奇妙なものだった。
立体作品のように不合理な構造をした巨大な建造物の中を歩いていた。見覚えない女の子が付いてきた。私はすぐにその女の子のことを好きであるということに気がついた。全然知らない人なのに、自分が彼女のことが好きであると感じるのが不思議だった。
彼女とふざけ合いながら建物の中を探検していった。心躍る時間だった。網で編まれた階段、斜めに傾いた部屋、透き通るガラス張りの床──建物内の空間は、未就学児の頃に感じたデパートや遊園地のような途方もない広大さだった。
進むべき道を決めるために、時折双眼鏡をのぞいてみたりした。彼女は「この望遠鏡はあまり精度が良くないね」と文句を言った。
建物の中には稀に人がいた。すれ違う人は、皆が無表情で、虚ろな目をしている。不気味なので話しかけたりはできなかった。
しばらく歩き回り疲れたので、ちょうど見つけたベンチで休憩をした。連れの肩に寄りかからせてもらってぼんやりしていた。
「そろそろイチャイチャするのは終わりにしようか」同伴者がそう言い、私は深く考えることもなく「そうだね」と応じてしまった。彼女は振り返ることもなくそのまま去ってしまった。
取り残された私は、しばらく立ち尽くしていた。遠くに人の群れが見えた。双眼鏡を使って確認すると何かボール遊びをしていた。彼らが興じるその球技を私は知らなかった。
ふと気づくと、自分の背後に二人組の男女が立っていた。誰なのか分からないのにたぶん知っている人たちだった。記憶としては判然としないけど自分は彼らをよく知っていて、かつ彼らのことがたまらなく苦手であることを瞬間的に理解した。
彼女らに話しかけられたが、言葉を返す気になれず、私は走って逃げ出した。
下へ、下へと急いで進む。陸橋とジャングルジムと工事現場が混ぜこぜになったような、奇妙なエリアに辿り着いた。
追いかけられている気配を背中で感じるので焦りながらそのまま進んだ。
どこからともなく「そこの方! そちらへは進まないでください!!」という警備員らしき声が響く。警備員の姿は見えないのに確かに近づいいるような気がする。今度はその声から必死で逃げた。
下へ逃げ続けるとやがて暗い階段へと追い込まれた。息を潜めて物陰に身を隠す。警備員の声が下に通り過ぎた隙を見て、上へと逃げる。梯子やトランポリン、室外機に自動販売機などにしがみつきながら必死に登っていくと、いつの間にか建物の最上部近くに着いてしまった。
下からは追跡者の集団がじりじりと笑いなが迫りくるように感じられた。逃げ場はない。私は観念したが、その瞬間、足を滑らせ、また謎めいた建物の下方向へと落ちていった。何枚か薄布を突き破りながら、落下していった。
目を覚ますと、私は箱のような空間で横たわっていた。中年の男の男が真上から私を覗き込んでいた。べそべそに泣きじゃくり、鼻水を垂らしている。汚らしいなと思った。
その時、ここが棺桶の中で、自分は既に死んでしまったのだということが、自然と理解できた。
よくよく観察してみると泣く男が、自分の恩師だということに気がついた。小学校だか、中学校だか、高校だか、大学だかいつの恩師なのかはちっとも思い出せないが、先生が私の為にこんなに泣いてくれるのを嬉しく思った。
懐かしい気持ちで先生を見つめていると先生は鼻をかんた。事もあろうに、その丸めたティッシュのを、私の眠る棺桶の中に放り込んできた。
なんと不潔で無礼なのだ。「葬式の花入れの儀は聞いたことあるけど、鼻入れは勘弁してくれよ……」そんなツッコミを心の中でしたところで、アラームが鳴った。私は目を覚ました。全て夢だったと気づいた。
おはよー!
執筆の狙い
取り留めもなく、突拍子もなく、整合性もない夢が好きです。夢の話をしたいけど、忘れちゃうので覚えてるうちに文章にしました。