作家でごはん!鍛練場
夜の雨

ぷくりぷくぷく

 泥の中から顔を出す。
 ぷくり……。
 ひんやりとしていてぬるぬるの顔が陽に照らされてくすぐったい。
 ぬるぬるの顔で辺りを観察する。周囲を見るわけだ。誰かいないかな。いないかな……。
 いるとぷくぷくと面白いんだけれど。

 大阪は泥の中に沈んだ。
「ええ天気やね」
「散歩するのにもってこいやわ、いま、行ってきました」
「散歩もええけど、公園でぼさあとするのもええよ」
 以前はそんな言葉が交わされていた浪速の街も、いまは泥の河から顔をのぞかせている連中が何か言いたげだ。
 泥の河の上を風がそよいだので、ぷくりと泡の中のことばは風に乗っかり移動する。
 あちらこちらからひそひそ声やら、時には叫びが「ぷくり」と、聞こえたりする。
 反応してこちらも「ぷくり」。
 そよ風に力が無くなると、そこにポトリと落ちる。
 風に力があればどこまでも飛んでいく。
 どこまでも行きたいが、街を駆ける風がゆるくなり、ポトリとビルの谷間の泥の河に落ちる。

 いつからだろうか、大阪が泥の中に沈み出しだのは……。
 街が大きくなって名無しの人物がうろちょろしだして、それがどんどん増えて近所のおっちゃんおばちゃん連中がよそよそしくなって、大阪らしさがなくなってから、泥の中に沈みだした。
 名無しの連中は泥の中が棲み心地いいのか、たまに泥の中から顔を出している。
 ただ、名無しの連中が一般人と違う点は、自己中を電波で飛ばすところだ。
「アホ」「シネ」とかを垂れ流す。
 電波はビルの壁に当たるとそのままへばりついたりすることがある。
 やがて「アホ」や「シネ」はビルの側壁で壁について論争する。
 行き着くところは「人間の壁」である。
 だが、「アホ」や「シネ」は石川 達三を知らないからやがて沈黙する。
 何日かすると「静かだな……」どちらかが独り言をくちる。
「まだ、生きていたのか?」
「ああ、なんとかな……」
「お前はアホだったな?」
「いや、お前がアホだろう」
「いや、おれはたしかシネだったはずだが……」
「すると、おれがアホだったのか?」
 ふたたび「アホ」と「シネ」がののしりあう。
 そのうちに雨や風の都合で、いつまでもビルの側壁にしがみついていることができなくなる。
 するとその下を木の板に乗りきょろきょろしながら進んでいる、この間の名無しが通りがかったりする。
「アホ」がまず最初に頭に落下する。
 その次に「シネ」が続く。
 ぶっちゃけた話、順番はどちらでもよい。
 名無しは自分が発した、
「アホ」と「シネ」の直撃を受けて泥の河に落ちる。
 しばらくして名無しは泥の河から這い上がり、木の板に乗り、独り言をぶつぶついいながら親のすねをかじりにいくのだが、言葉を発するたびに口からは大量の泥が吐き出される。
 名無しは他人から声をかけられるのはいやだから、いつもヘッドホーン型のラジオを聴いている。
 「泥予報の時間」
 と、さわやかな女性の声が聞こえてくる。
「今日は午前中から雨風が強く、大量の「アホ」と「シネ」が落下してきました。一般の通行人が被害にあい、かれらは名無しに変身した模様です。午後になれば彼らが愚痴るたびに泥が吐き出されるので、本日の泥の層は三センチ厚くなる模様です」

 ときどき東京の連中が遊覧飛行にやってくるようになった。
 上空から泥の大阪を見てため息をついている声が聞こえそうだ。
「東京は砂に埋まったのよ、やりきれないわ」
 むかし東京砂漠という歌があったらしいが、東京は、いまではほんとうの砂漠になったという。
 先日その遊覧飛行で東京からやってきた砂女が、泥の大阪に棲みついた。
 そして砂になってしまった腕を青く晴れた空に伸ばしながら気持ちいいなぁ、これって、と叫ぶ。
「シネ、シネ、シネ」と、誰かが反応する。
 女は驚いたように、反応した声の方を振り向く。
「アホ、アホ、アホ、アホ」違う方向から声が飛んでくる。
「誰よ、馬鹿じゃないの、くだらないことを言って!」女はヒステリックに叫び声をあげる。
 その口からは大量の砂が吐き出され、泥の上に散る。
 女の周囲にある泥からぷくぷくと泡が浮かんでくる。
「シネ、シネ、シネ、シネ」
「アホ、アホ、アホ」
 女は不思議そうにその泡が弾けるのを見て、表情が変わり愉快そうに笑いだす。
 その口から声は出ているが、砂は再び出ない。
「ぼけ、ぼけ、ぼけ」泥に半分沈んだおっさんの周辺から「ぼけ」の泡が、ぷくぷくと浮き出る。
「面白いわね、これは」女は意に介していないように、笑い飛ばしながら、言葉の泡を手でつかもうとする。
「シネ」が砂の手につかまれてじゃりじゃりと転ばされ、「シネェ――!」と、むなしそうな断末魔の叫びをあげる。
「アホ」も捕まれたりするが、ぱちんと弾けて消えたりする。
 いくつかの「アホ」と「シネ」は、女の手をするりと抜けて上昇気流よろしく昇っていく。
 女から少し離れたところの「ぼけ」は「ぼけ、ぼけ、ぼけ」と、泡を大量発生させて、泥の河からあぶくを上昇気流に乗せる。
 女が「アホ」や「シネ」が昇っていくのを見ていると雨が降り出した。
 その雨に打たれて「アホ」と「シネ」が落下する。
 下でポカンと見上げている女に「アホ」が直撃する。
 女は泥の上でのけぞる。
 そこに「シネ」が「シネ、シネ」と、連続弾をかませる。
 東京から来た女は泥の河の上でひっくり返る。
「ええやんー!」と、予想もしない大阪弁でのたまう。
 女の口から砂が全く吐き出されないのは、心の底から喜びに満ち溢れているからだろう。
 そこに「ぼけ、ぼけ、ぼけ」と、ぼけのカラダから発生した言葉の嵐が女の脳天に直撃。
「ぼけのおっさん、おもろすぎぃ!」と、笑い飛ばす女。

 このあいだの名無しがヘッドホーン型のラジオを聴きながら、また通ったりする。
 「泥ニュースの時間」
 と、さわやかな女性の声が聞こえてくる。
「名無しが発した「アホ」と「シネ」その他、汚い言葉が泥の中で熟成されて、大量に発生している模様です。こういった汚い言葉を聴いていると気持ちが暗くなるし、悪化すると鬱(うつ)状態になり大量の泥を吐き出すようになるので、外音遮断性(ノイズキャンセリング)のヘッドホンを使うなりして、ご自分の精神と身体を守ってください」

 その名無しの頭にも「アホ」と「シネ」そして「ぼけ」が直撃したが、彼はつい最近購入した外音遮断性のヘッドホンを使っていて、のんきに笑い転げている女の前をちらちら見ながら「ええやん」と、通り過ぎた。



   了 

ぷくりぷくぷく

執筆の狙い

作者 夜の雨
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不条理文学×都市寓話×風刺ファンタジーって感じ!

コメント

ヘツポツ斎
sp49-109-117-205.smd02.spmode.ne.jp

読ませていただきました、というか、
再読いたしました。

なんでしょうねえ。
「あほ」「しね」「ボケ」は
消し去りきれないわけですけど、
だからこそ「ええやん」を
重んじたいんだよなあ、と思います。

「ええやん」と拍手したい気持ち無しで
「あほ」「しね」「ボケ」と
あげつらう面々については、
どうぞご自身の発展に蓋をし続けてください、
という「お気持ち」になります。

えんがわ
M014008022192.v4.enabler.ne.jp

前読んだ時よりも、なんかこう現実の社会に似てるな、特にネット社会に似てるなと思ったのは、それだけ時代が作品の世界に近づいたというかそれは世知辛い気持ちにもなりますが、本作はつまり現代を風刺するだけじゃなく未来を予測しつつ風刺している感じがとても良いと思いました。泥と砂だらけの世界(たとえ自分の見える範囲の世界であっても)になってしまうのは切ないな。なにか「センスいいよ」とか「好き」とか「生きてください」とか光というか砂金というか宝物が埋まっている世界が良いな。まる。

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-251-40.msb.spmode.ne.jp

前のときより、短くなりましたか?
前のときより丁寧になった印象だけど、その分面白みも減ったような気がする。
前の作品はもっとぶっ飛んでいた。綺麗にまとまったけど、もっと醜い描写があってもいいかな。例えばアホとシネが抗争を始めて、最後は全員お好み焼きの具になって焼き殺されて家畜の餌になり、💩になって泥の河に還るとか。
でも独特の発想で良い作品であることには変わりはないです。

夜の雨
ai193088.d.west.v6connect.net

ヘツポツ斎さん、ご感想ありがとうございます。

>読ませていただきました、というか、
再読いたしました。<

前作は「泥男」という作品で、今回は肉付けしてより面白くしたつもりですが。

>なんでしょうねえ。
「あほ」「しね」「ボケ」は
消し去りきれないわけですけど、
だからこそ「ええやん」を
重んじたいんだよなあ、と思います。<

>「あほ」「しね」「ボケ」<
ネットの匿名性を描いたものです。
匿名なので、みなさん好き勝手なことを言っているが、それらは自分に返ってくるという塩梅です。ネットで飛ばした情報が何かの拍子に自分を攻撃してくる、とか。
>「ええやん」<
ラストで使われた言葉ですが、これは情報を遮断したので自分に外からの情報(攻撃してくるものも、為になるものも)が入らなくなったという意味です。

>「ええやん」と拍手したい気持ち無しで
「あほ」「しね」「ボケ」と
あげつらう面々については、
どうぞご自身の発展に蓋をし続けてください、
という「お気持ち」になります。<

ネットに垂れ流したことばが自分に返ってくるので、それらの情報を遮断して自分の世界に没入しているから「ええやん」と、お気楽な言葉を発してしまう。


という感じですね。

ありがとうございました。

夜の雨
ai224156.d.west.v6connect.net

えんがわさん、ご感想ありがとうございます。

前読んだ時よりも、なんかこう現実の社会に似てるな、特にネット社会に似てるなと思ったのは、それだけ時代が作品の世界に近づいたというかそれは世知辛い気持ちにもなりますが、本作はつまり現代を風刺するだけじゃなく未来を予測しつつ風刺している感じがとても良いと思いました。泥と砂だらけの世界(たとえ自分の見える範囲の世界であっても)になってしまうのは切ないな。なにか「センスいいよ」とか「好き」とか「生きてください」とか光というか砂金というか宝物が埋まっている世界が良いな。まる。

「泥男」は改稿前の作品ですが、話をストレートに描いてしまっています。
つまり遊び心があまりない。そのぶん、話は分かりやすい。

>本作はつまり現代を風刺するだけじゃなく未来を予測しつつ風刺している感じがとても良いと思いました。<
ネットとかの闇の世界が自分たちの周囲に蔓延としているわけですが、まあ、大阪が人間から吐き出された泥というゴミの世界に埋もれてしまう。東京では、大阪の泥の代わりに「砂」が吐き出されているという、物語です。
えんがわさんがおっしゃるように、たまに「金」とかダイヤとか、「虹」とか美しいものが泥から砂から出て来るとよいかもしれませんね。泥の中から見つかる「オチ」てきなものは「愛情」にすればよいかも。

「あほ」「しね」「ボケ」が、愛情表現だったとか。そういった逆転的な発想をすると、あんがい素敵なオチ(締め)になるかも。

ありがとうございました。

夜の雨
ai248023.d.west.v6connect.net

飼い猫ちゃりりんさん、ご感想ありがとうございます。

>前のときより、短くなりましたか?<
「泥男(改稿前)」より、長くなっています。

前のときより丁寧になった印象だけど、その分面白みも減ったような気がする。
前の作品はもっとぶっ飛んでいた。綺麗にまとまったけど、もっと醜い描写があってもいいかな。例えばアホとシネが抗争を始めて、最後は全員お好み焼きの具になって焼き殺されて家畜の餌になり、💩になって泥の河に還るとか。
でも独特の発想で良い作品であることには変わりはないです。

>例えばアホとシネが抗争を始めて、最後は全員お好み焼きの具になって焼き殺されて家畜の餌になり、💩になって泥の河に還るとか。<
壁にへばりついている状態ではアホとシネが喧嘩をしていますが。それで壁から落ちたりする。
「アホとシネが抗争」この発想は面白いですね。
東映のやくざ路線みたいな感じで、アホとシネが抗争するとか。

【消えた文字と這い寄る怪奇】という以前こちらのサイトに投稿した作品では文字が文章になったりして動き出す。ある目的をもって、というような物語を投稿していますが。

「文字やらことば」が、抗争したりするのも、その発展性かもしれませんね。
そして現実を動かす、とか。

ありがとうございました。

西山鷹志
softbank219054162233.bbtec.net

拝読致しました。


不条理文学×都市寓話×風刺ファンタジー
なんとも不思議に世界ですね。

どうコメントして良いのか(笑)
夜の雨さんは関西の方ですか
関西は「アホ」と「シネ」は挨拶みたいのもでしょうか
東京は下町調で行くとベランベェこちとら江戸っ子よ。
てな感じです。

と、感想にならない感想でごめんなさい。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

夜の雨さん、作品を拝読させていただきました。

>ときどき東京の連中が遊覧飛行にやってくるようになった。
円城塔的な、ああ、もうそういう事は普通にあることなんだ、と。
一度頭の中の常識を取っ払った上で二回目を読みました。

本作からは二つテーマを読み取れます。最後、砂の女は泥のオッサンたちに勝利する、と。
「泥の河」(売春女性の悲哀を泥に例えた)、「人間の壁」(封建的、男尊女卑への反抗)と
「砂の女」(女性が自由を奪われる形、妊娠という女性の役目を果たしたので脱出できたという皮肉)。
登場する文学作品とその主題を深読みして、女性の権利と自由に想いを馳せさせよう、という狙いがあるなら
流石というか、素晴らしいというか。実に興味深いです。表テーマはネット上の誹謗中傷だと思いますが、
私個人はこちらの裏テーマのほうに強く惹かれました。いや、そういうことじゃないよ、と仰られるかもしれませんが、
そう言う深読みも出来るという点でも良い作品だと思います。もう少し長くてもいいかな、とも思いました。

それではこれからもお互いに頑張りましょう、それでは失礼します。

夜の雨
ai227012.d.west.v6connect.net

西山鷹志さん、ご感想ありがとうございます。

>不条理文学×都市寓話×風刺ファンタジー
なんとも不思議に世界ですね。<

カフカの変身などもかなり変わった作品と思いきや「不条理文学」という事でしたが、あの作品のように家族愛とかを絡ませて描けば文学になったかもしれませんが。
話題を取ろうと思ってネットで飛ばした汚い言葉がどうやら上っ面でしか描けなかったようです。
やはり深い作品にしょうと思えば、人間愛が必要なのでしょうね。

>どうコメントして良いのか(笑)
夜の雨さんは関西の方ですか
関西は「アホ」と「シネ」は挨拶みたいのもでしょうか
東京は下町調で行くとベランベェこちとら江戸っ子よ。
てな感じです。<

西山さんは、エンタメの正統派なので、あまり無理をしないで笑っていただけると、それだけでいいのですが(笑)。

ありがとうございました。

夜の雨
ai226179.d.west.v6connect.net

平山文人さん、ご感想ありがとうございます。

>ときどき東京の連中が遊覧飛行にやってくるようになった。
円城塔的な、ああ、もうそういう事は普通にあることなんだ、と。
一度頭の中の常識を取っ払った上で二回目を読みました。<

「円城塔」って、なんだろうかと調べてみると芥川賞ほかたくさんの文学賞を受賞している方なのですよね。
顔も特徴があるので俳優さんとしても活躍できそうな。

私の作品ですが、何か面白いネタはないかといつも頭の中で妄想しています。

>本作からは二つテーマを読み取れます。最後、砂の女は泥のオッサンたちに勝利する、と。
「泥の河」(売春女性の悲哀を泥に例えた)、「人間の壁」(封建的、男尊女卑への反抗)と
「砂の女」(女性が自由を奪われる形、妊娠という女性の役目を果たしたので脱出できたという皮肉)。
登場する文学作品とその主題を深読みして、女性の権利と自由に想いを馳せさせよう、という狙いがあるなら
流石というか、素晴らしいというか。実に興味深いです。表テーマはネット上の誹謗中傷だと思いますが、<

「砂の女」は映画で観ました。
「泥の河」は小説を読んでそれから映画も観ました。
「人間の壁」はネタ的に使っただけで石川 達三の小説は読んでいません。
大長編みたいですね。

>私個人はこちらの裏テーマのほうに強く惹かれました。いや、そういうことじゃないよ、と仰られるかもしれませんが、
そう言う深読みも出来るという点でも良い作品だと思います。もう少し長くてもいいかな、とも思いました。<
本来なら平山さんがおっしゃるように裏テーマを意識して書くべきなのが本筋かもしれせんね。
今回の作品は多少は文学を意識して描いているのですが、もう一つ壺に入りきりませんでしたね。
また、発想をひろげて人間を少しでも描けたらと思います。

ちなみに「グリ下」の少女たちと少年やら大人をからめて今回のような泥の世界をからめたような作品を描くとよいかなと思ったりしています。

ありがとうございました。

fj168.net112140023.thn.ne.jp

具体的なストーリーラインやキャラクターの成り立ちに乏しいと感じます。

名無しの存在や泥・砂の対比などは面白いテーマですが、それが読者に強くメッセージとして響くよう工夫されているとは言い難いですね。具体的な行動やキャラクターの目的が薄いため、モチーフに対する感情移入が難しいと思いました。

あと、

掛け合いが物語の後半でやや単調になっています。
「ぷくりぷくぷく」が後半に向かいエスカレートしていくなかで『ぶくりぶくぶく』や『ぶくぶくぶく……』などと変化させたり、同じく「アホ、ぼけ」と最初はやや弱い誹謗表現から、中半は『バカ、シネ』との失言に変化させ、最後は『コロス』と、あからさまな殺意にする等、段階的に言葉を変化させるなど。
要は、「シネ」の登場がちと早い。「アホ」「ぼけ」が物語の初期では軽く投げかけられる俗語として描かれ、中盤では強い侮辱や殺意を示すものへ変化し、最終的には読者の倫理観を揺さぶるほど過激な様相を呈するようにすると、緊張感が増します。また、議論の末に意味を失い、ただ音の羅列に変わる、あるいは反復の果てに虚無感を醸成するといった工夫も。

で、

加えるならもう一キャラクター欲しいところ。そうですね~

オチがこれでは弱いので、

そんな様相を、西成辺りで骨と化した古参キャラが、「ソウボウどもが、イミンめが」とゲラゲラ笑って見ている──とか。

では、頑張って下さい。

紅月麻実
softbank060066098154.bbtec.net

 拝読しました! いつものことながら、深いお話を書かれていて、尊敬します。
 その……語彙力なさすぎてうまく表現できないのですが、泥に、名無しに、アホにシネ。まるで現代の社会のように感じました。
 色々と、ドロドロですもんね() 聞きたくないものは、聞こえないふりをして、笑う。
 自分が鬱にならないためだとしても、助ける等の行いに走らないところがまたリアルだなと思いました。


 ……だめですね。テスト勉強にかかりきりで小説を読んでいなかったのが悪いのか……全然うまく感想が描けません。私も頑張って復帰します。応援します!

夜の雨
ai195240.d.west.v6connect.net

凪さん、ご感想ありがとうございます。


>具体的なストーリーラインやキャラクターの成り立ちに乏しいと感じます。<
ああ、なるほど、泥や砂の世界の成り立ちを描く必要があるという事ですよね。すると、全体像が見えるかも。

>名無しの存在や泥・砂の対比などは面白いテーマですが、それが読者に強くメッセージとして響くよう工夫されているとは言い難いですね。具体的な行動やキャラクターの目的が薄いため、モチーフに対する感情移入が難しいと思いました。<
「名無し」の「キャラクターの目的が薄いため」 ある意味「敵キャラ」なので、アンパンマンに対する「バイキンマン」のノリでいいでしょうか。

あと、

掛け合いが物語の後半でやや単調になっています。
「ぷくりぷくぷく」が後半に向かいエスカレートしていくなかで『ぶくりぶくぶく』や『ぶくぶくぶく……』などと変化させたり、同じく「アホ、ぼけ」と最初はやや弱い誹謗表現から、中半は『バカ、シネ』との失言に変化させ、最後は『コロス』と、あからさまな殺意にする等、段階的に言葉を変化させるなど。
要は、「シネ」の登場がちと早い。「アホ」「ぼけ」が物語の初期では軽く投げかけられる俗語として描かれ、中盤では強い侮辱や殺意を示すものへ変化し、最終的には読者の倫理観を揺さぶるほど過激な様相を呈するようにすると、緊張感が増します。また、議論の末に意味を失い、ただ音の羅列に変わる、あるいは反復の果てに虚無感を醸成するといった工夫も。

大半のネット民はお気楽に「アホ」と「シネ」とかを使っているのではないかと。
だから、軽いノリで描きましたが、

>中半は『バカ、シネ』との失言に変化させ、最後は『コロス』と、あからさまな殺意にする等、段階的に言葉を変化させるなど。<
かなりなインパクトがありますね。
こうなってくると、キャラクターをしっかりと作り込む必要が出てくる、背景部分も。

>また、議論の末に意味を失い、ただ音の羅列に変わる、あるいは反復の果てに虚無感を醸成するといった工夫も。<
なるほど、これは面白くなる予感。

で、

>加えるならもう一キャラクター欲しいところ。そうですね~
オチがこれでは弱いので、<
アンパンマンにはバイキンマンのほかに「しょくぱんまん」とか「ドキンちゃん」「カレーパンマン」とかが出てきますからね。やっぱりキャラをふやしたほうが。

>そんな様相を、西成辺りで骨と化した古参キャラが、「ソウボウどもが、イミンめが」とゲラゲラ笑って見ている──とか。<
ははは、ソウボウって、珍しい言葉を使ってきますね。
わからないので検索してみました。
まあ「イミン」と、書いてくれていますが。

これって、アメリカでも使えそうな気がしますね。

アメリカが泥の中に沈んでしまう、とか。
移民政策がどうたらと、あちらの国では。
といか、近ごろは日本でも外人さんが増えてきました。


>では、頑張って下さい。<
ありがとうございました。

夜の雨
ai202150.d.west.v6connect.net

紅月麻実さん、ご感想ありがとうございます。

 >拝読しました! いつものことながら、深いお話を書かれていて、尊敬します。
 その……語彙力なさすぎてうまく表現できないのですが、泥に、名無しに、アホにシネ。まるで現代の社会のように感じました。<
>泥に、名無しに、アホにシネ。まるで現代の社会のように感じました。<
いやぁ、その通りです。そこらを面白おかしく描こうとしたのですが。
読み取っていただき、ありがとうございます。

 >色々と、ドロドロですもんね() 聞きたくないものは、聞こえないふりをして、笑う。
 自分が鬱にならないためだとしても、助ける等の行いに走らないところがまたリアルだなと思いました。<
そあたりは、現代の社会そのものでして。
政治で何とかしてほしいが。
それがだめなら、町内会が何とかしてくれないかい、と。もちろん、そのあたりは描いていませんが。漫画になるようで。

>聞きたくないものは、聞こえないふりをして、笑う。<
まさに現代ですね(笑)。
耳栓の特殊なヘッドホーン。

> ……だめですね。テスト勉強にかかりきりで小説を読んでいなかったのが悪いのか……全然うまく感想が描けません。私も頑張って復帰します。応援します!<
紅月さんの感想は、核心を突いています。

テストの方は、お疲れさまでした。

ありがとうございました。

sp1-75-254-237.msb.spmode.ne.jp

>ははは、ソウボウって、珍しい言葉を使ってきますね。
>わからないので検索してみました。

て……

石川達三の『蒼氓(そうぼう)』は、昭和初期に貧困からブラジルへの移民を余儀なくされた人々の群像劇です。第一回芥川賞受賞作品ですよ。

夜の雨
ai249156.d.west.v6connect.net

凪さん、再訪ありがとうございます。

>2025-09-24 20:39<
この返信のときに

>石川達三の『蒼氓(そうぼう)』は、昭和初期に貧困からブラジルへの移民を余儀なくされた人々の群像劇です。第一回芥川賞受賞作品ですよ。<

ということは、検索しているので、情報を得ています。

わざわざのお運び、ありがとうございました。

fj168.net112140023.thn.ne.jp

>ということは、検索しているので、情報を得ています。


いやはや……

本文に『石川達三』とあったものですから、私としては《気をきかせて「オチ」をつくった》までです。
ただ、
当の作者様が私の意図するところに、《すぐに気が付いていただけなかった》ご様子なので、再訪させていただきました。

ムニエルの城
211.7.99.228

『ぷくりぷくぷく』を読みました。率直に言えば、「落書きの延長」でしかなく、文学作品と呼ぶにはあまりに粗雑でした。

まず文章。全体が断片的で、描写が稚拙なために頭に映像が浮かびません。「アホ」「シネ」「ぼけ」といった言葉が泡のように飛び交う光景を描きたいのは分かりますが、それが「どんな場なのか」「なぜそうなっているのか」といった基本的な状況説明が皆無です。読者はただ「意味不明な言葉遊びを延々と読まされている」という疲労感しか残りませんでした。

次に構成。筋がほとんどありません。女が泡をつかむ、雨で泡が落ちる、直撃して倒れる、笑い飛ばす……という繰り返しに終始し、物語的な緊張や変化が一切ない。せめて「なぜこの女は楽しんでいるのか」「なぜその言葉が泡になるのか」といった因果を示せば寓話性が生まれるのに、それもないため、ただのナンセンスごっこにしか見えません。

さらに致命的なのは、テーマの浅さです。ラスト近くで「汚い言葉が鬱を引き起こすからヘッドホンを」と唐突に説教が差し込まれますが、それまでのふざけた調子と乖離しており、作品全体を支える思想にもなっていません。結果として、風刺にもならず、笑いにもならず、ただ白けただけです。

表現についても、「ぷくりぷくぷく」「ぼけぼけぼけ」とオノマトペを連打するだけで、読者の想像力を喚起するどころか、稚拙さを強調しています。小学生が自由帳に書いた落書きを無理やり清書したかのようで、創作としての成熟度が極めて低いです。

総じて、本作は「アイデア以前の段階」で止まっています。アイロニーや寓話性を狙うなら、言葉の泡が社会や人間心理にどう作用するかを掘り下げるべきでしたし、笑いを狙うならもっと大胆で尖った展開が必要でした。今のままでは、読者に与えるのは「時間を浪費した」という徒労感だけです。

夜の雨
ai201220.d.west.v6connect.net

ムニエルの城さん、ご感想ありがとうございます。

率直なご意見、真摯に受け止めました。ご指摘いただいた点――構成の弱さ、描写の粗さ、テーマの浅さなど――は、確かに自分でも課題として感じていた部分であり、改めて言葉にしていただいたことで、より明確に認識することができました。

本作は、都市の言葉の暴力や匿名性、そしてそれに対する感情の揺らぎを、寓話的に描こうと試みたものでした。泥や泡、オノマトペを用いたのは、現代の都市に漂う言葉の軽さと重さを視覚的に表現したかったからです。ただ、その意図が十分に伝わらず、読者に徒労感を与えてしまったことは、私の力不足です。

「アイデア以前の段階」とのご指摘も、創作の出発点としては非常に重要な視点だと思います。今後は、物語の構造やテーマの掘り下げ、読者への伝達力をより意識して作品づくりに取り組んでいきたいと思います。

厳しいながらも真剣なご批評、本当にありがとうございました。

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