君と過ごした季節
第一章 出会いの春
四月の朝。
桜の花びらが校門の前を舞い、あたらしい制服に身を包んだ生徒たちが、少し浮き足立ちながら校舎へ吸い込まれていった。
僕――**高橋 悠斗(たかはし ゆうと)**は、新しいノートと真新しい筆箱の入ったカバンを肩にかけながら、心臓の鼓動を早めていた。
「高校生活が、いよいよ始まるんだ……」
クラス発表の紙の前では、人の波が絶えない。自分の名前を見つけ、安堵しつつも、どんな仲間ができるのかと胸は高鳴っていた。
教室に入ると、窓際の席で外を見ている一人の少女が目に留まった。
春の光を浴びてきらめく黒髪、白い首筋。彼女はぼんやりと空を眺めていたが、僕が視線を送ると、気づいたようにふっと微笑んだ。
「……あの、隣の席だよね?」
柔らかい声が耳に届く。
その少女の名前は、佐伯 美咲(さえき みさき)。
出席番号が近いこともあって、席は隣同士になった。
「よろしくね」
その一言と笑顔が、僕の心を不思議に温めた。
放課後の廊下
クラス替え直後のざわめきの中、僕は教科書を抱えながら廊下を歩いていた。ふと、前を歩いていた美咲が足を止め、窓の外を見つめていた。
「桜、もう散っちゃいそうだね」
「そうだな……でも、この景色、ちょっときれいだ」
「うん。……なんか、映画のワンシーンみたい」
そんな会話が始まりだった。
大げさではない、ほんの些細なやり取り。けれどその瞬間から、彼女は僕の日常に少しずつ色を加えていった。
第二章 友情から恋へ
四月のざわめきが落ち着き、気づけば教室の空気にも新しい生活のリズムが流れはじめていた。
僕と美咲は席が隣ということもあり、自然と話すことが増えた。宿題のこと、先生の口癖のこと、そして何気ない日常のこと。
放課後の図書室
ある日の放課後。僕が図書室で数学の参考書を開いていると、後ろから声がした。
「悠斗くんも勉強してるんだ?」
振り返ると、美咲がノートを抱えて立っていた。
「部活どうするか決める前に、ちょっと予習しとこうと思って」
「偉いなあ。……じゃあ、隣、座っていい?」
「もちろん」
その日から、放課後に二人で図書室に残るのが習慣になった。
勉強の合間に交わすささいな会話――好きな映画の話、家の近所のこと、小学校の思い出――そんな断片が積み重なり、気づけば彼女との距離はどんどん近くなっていった。
文化祭の準備
夏の気配が強まる頃、クラスでは文化祭の準備が始まった。僕たちのクラスは「喫茶店」をやることになり、美咲は看板を描く係に立候補した。
「悠斗くんも一緒にやらない?」
「絵心ないけど、大丈夫か?」
「手伝ってくれるだけでいいんだよ」
教室の片隅、絵の具の匂いが漂う中、美咲は真剣な眼差しで筆を走らせていた。額にかかる髪をそっと耳にかける仕草。僕は気づけば、その横顔を何度も目で追っていた。
「ねえ、見すぎ」
「えっ!?」
「ふふっ、冗談だよ」
小さく笑う彼女の笑顔に、胸が熱くなるのを感じた。
夏の始まり
文化祭が終わった夜。後片づけの帰り道、二人で並んで歩いた。
「なんだかんだで楽しかったね」
「うん……。ねえ、悠斗くんって、もっとクールな人かと思ってた」
「え?」
「でも、結構一生懸命で、不器用で……。そういうとこ、好きだなって思った」
――好き。
その言葉が、冗談なのか本心なのかは分からなかった。けれど、僕の心臓は大きく跳ねた。
執筆の狙い
なんとなく、書いてみました。
多分、結構雑な物語なので、あまり期待しないでください。
コメント、よろしくお願いします。