善王の資質

昔あるところに殺人が禁忌であることが理解できない王様がいました。王国の名前は当麻国といい、現在のタクラマカン砂漠にあった古代オアシス国家の一つでした。

「無能な臣民を殺せば、国は優秀なものだけが残り発展する。そうは思わないか」
王様は微笑んで、左大臣のシンビラに言いました。
「革命が起きますなあ」
「では、諦めて凡人が暮らす普通の国作りを目指すか」
王様の狂気に気づかない民は、それなりに幸せに暮らしておりました。
ところで王様は結構な若造で即位して、まだ三年。齢十代後半で、側室が1人おりました。
彼女は元乳母で、年齢は三十半ばで、彼女が王様の最初の女だったのです。
「我は良き王であろうか」
王様は元乳母の乳房を、まさぐりながら聞きました。

「王様は賢く、善王になる資質があります」
乳母は母の如き慈しみと娼婦のような熟練した性技で王様を喜ばせます。
「善王の素質とは何であろう」
「臣民全てを平等に慈しみ、同時に国の為なら何者でも切り捨てる勇気があるということです」
「ああ、そちは賢者である」
王様は乳母の乳首を舐めるのに飽きて、黙って尻を向けました。
「でも、私だけは特別ですよ」
乳母はにっこり微笑んで王様の肛門を母犬が子犬の世話をするように舐めてあげます。
「ああ、お前は大事だよ。永遠にな」
王様は快樂に目を細めて、答えました。

しかし、隣国から同い年の姫が王妃として嫁いでくると、王様は乳母を王宮から追い出しました。

「私は格別の者だって仰ったではないですか」
王様に恨みをこめた血走った目で睨む乳母に、王様はしかめっ面で言いました。
「妻は強国である樹西（じゅさい）国の王女だ。あやつを怒らすと彼の国を怒らせる。すまぬ」
王様はうなだれて、泣きそうな声で言いました。
「うふふ」
乳母はいきなり笑いだし、王様に握手を求めました。
「やはり貴方様は善王になる。必死に育てた甲斐がありました」
乳母は満足した顔で、王宮から出ていきました。
王様は早速その晩王妃に肛門を舐めさせようとしました。
「ば、馬鹿な。初夜で肛門を舐めろと、どこの夫が言いますか」
「す、すまぬ。これがないと、う、上手くできぬのじゃ」
「はあ。では、他の者に舐めさせた後で臥所に参られよ」
王妃は呆れかえって言いました。
翌日王様は元乳母の女に使いを出しました。
「何、王妃が権高で王様と臥所を共にしないですと」
使者の言葉を誤って聞いて怒った乳母は早速王宮に戻ってきました。
「王様、無礼な女は彼の国へ送り返しましょう」
「いや、それをすれば我が国未曾有の危機となる。我は犬のように頭を垂れて王妃の翻意を待つつもりだ」
「や、やはり、あなたは善王です」
乳母は感動して泣きながら微笑みました。王様は彼女の手を取って居室に連れていき、早速ズボンを脱ぎました。
「すまぬ、自信をつけてくれ」
「はい、未来の善王のために」
そう言って、にっこり笑った乳母は王様の前立腺に優しく口づけしました。

乳母に尻を舐められて勃起した王は、若くて美しい王妃を強く抱きしめました。
「王よ、そんなに強く抱きしめられると骨が折れてしまいます」
「すまぬ、王妃よ」
哀れ、王は王妃のその言葉で萎縮してしまいます。
「仕方ない、王ですわ。その者をお呼びなさい」
「その者とは」
「あなたの肛門を舐める元乳母ですよ」
「よいのか」
「私たちは庶民のツガイではないのです」
王妃は真面目な顔つきで言いました。
「貴方が私に子種を与えられないと、当麻国と樹西国の関係は悪くなる、逆に言えば子さえ生まれればなんとでもなるのです」
「ふむふむ、そなたは賢明である」
王はさっそく乳母を寝所に呼びつけました。
「そなたがおらぬと、我が夫は役立たずというぞ」
樹西国の威を体現するが如きほほ笑みを浮かべて、王妃は庶民出身の乳母に言いました。
「王は子供の頃大病を患って睾丸の動きが少し弱いのです」
乳母は思い余って王妃の顔をまっすぐ見つめました。
「そこでそなたが、肛門を舐めてあげれば当麻国王は機能するのですね、あははは」
王妃は莞爾と笑って、乳母の乳房を着物の上から強く握りました。
「お、王妃様、な、なにをなされます」
「わらわにもそなたの乳房を触らせて欲しい」
「何を言うのじゃ、王妃よ」
王は慌てて王妃を止めます。
「男と臥所に入るのは怖い。初めてなので」
王と乳母は、王妃の言葉を聞いて顔を見合わせました。
「だから乳房を握って破瓜の痛みに耐えたいのじゃ」
「そ、それは」
王は乳母に目で合図します。
「王妃の仰せのままに」
乳母は形良き乳房を自然に着物の隙間から出しました。
「このような物でよければ」
「ああ、大きくて柔らかい」
王妃は少女のように微笑み乳母の乳房に頬ずりしました。

一刻後に、年齢にしては少し小さめの尻を揺らして王妃は全身で王の律動を受け止めておりました。
「あああ、痛い、い、痛い」
まだ娘のようにあどけない王妃。その悲しい声は、王のサディズムを刺激し、不必要に陰茎を硬く雄々しく成長させます。
「もっとゆっくりと、お願いです」
「いや、すまぬ。気持ちよくて抑制できぬ」
王の陰茎は大国樹西国出身のやんごとなき王妃の膣を血と精液で汚した後も、怒張がおさまりません。
「王妃様、手を緩めてください」
乳母は王妃に乳房を強く握られて苦痛に顔を歪めておりました。
「交代しておくれ」
「え」
王と乳母は、王妃の言葉に慌てます。
「女とはなんと苦痛大き生であることか」
王妃はため息をついてベッドの上に四肢を投げだしました。
「うむうむ、そなたは休むが良かろう」
そう言って王は乳母を組み伏せました。
「あ、あああああ、ああああ、王様、王妃様の御前でそんな」
それこそ陰茎の無駄使いというものです。乳母は快楽に無意識に腰をひねります。初老の女の悲しい性でしょうか。
「王様、精を放たないで」
乳母の願いもむなしく、王は慣れた乳母の膣にも王家の種を注ぎ込みました。
そして翌年王妃と乳母はそれぞれ王の男の子を産みました。王妃の子供が弟になるところを、重臣たちの相談で順序を替えさせられました。
王妃は乳母とその息子を王宮に留めることを許した代わりに、乳母の視力を侍女に命じて毒薬で奪いました。
「お前の目はどうなってしまったのだ」
「歳でございますよ」
何も事情が分からないまま、二人は時々同衾しました。王妃は二度と王のふらちな陰茎の侵入を許しませんでした。大国の姫の矜持なのか樹西国から連れてきた若い側近の男のせいかは分からずじまいでした。

時はさらに十五年流れ、正嫡の王子は凡庸で、乳母から生まれた王子は戦も政も非凡で王位継承権はなくとも親族筆頭の立場におりました。

そして乳母と王が秘かに恐れていたことが起きたのでした。家臣団が長男と次男で別れて党派争いを始めたのでした。勢力は拮抗して、内乱が発生しそうになったのです。

「早く、ルシャン殿を追放してください」
樹西国出身の王妃は強国の実家の勢力を頼りに王に弟の追放を要求してきました。
「あれを慕う兵士は多い。追放すれば反乱が起きるぞ」
皺が増えたとはいえ経験もついた王様は王妃に威厳を込めて言いました。
「乳母に子など産ませるからです」
「そんな昔の話をするな」
「いい考えがありますわ」
「何だね」
「我が王子にも武勲を建てさせましょう」
「ルシャン殿の兜首を我が皇子ミシャンに譲らせるのです」
下策であると思ったが、王は王妃の我がままを許した。結果は