妹について
父は厳格な人で、私が成人になっても、「女は家に居るべきだ」という考え方を持っていたし、私と妹に押付けてきてもいた。
妹は三年前に外交官の人と結婚して、海外に住んでいる為、父の教えに全くと言っていい程逆らっている。
一方私は、実家から仕事に行っているので、影響を受け、休日はほとんど外に出ない。だから肌がこんなにも白いのだ。
母は私より色が白く、そして「かよわい」という形容詞が最も似合うような女性で、ずっと和服を着ている。とても似合っている。それが私の和服を着る理由だ。
家は数代前から継がれていて、住宅街に「大きい家」として認識されるくらいのサイズで鎮座している。
しかし、古い家とは、大人からすれば「美しい」や「趣ある」と言えるだろうが、子供心には「怖い」という気持ちしかない。私はいつも夜になるとトイレに行けなかった。妹に手を繋いでもらってなんとか行ける程だった。
私の妹は、私と対照的にとても外交的で、ずっと本を読んでいる私とは違った。
私の得意科目は理科だったのだが、妹は国語で、本を読んでるのを見た事ないが、素晴らしい文章を書き、いつもまわりには大勢の友人に囲まれていた。
一度、妹に小説の宿題をしてもらったことがある。
文章は、もう忘れてしまったが、内容は、カササギの声が、昔好きだった人に似てるという、あまり腑に落ちない話なのだが、その腑に落ちない感じが、妹の手にかかると「文学」という言葉で片付けられてしまう。私はそれでクラス一の成績を取れた。妹は、どんな環境でも上手くやっていくようで、留学した時も全然現地の言葉を喋れなかったらしいが、身振り手振りでどうやら、顎関節症専門の病院にたどり着くこともできたらしい。
私は妹の事を深く尊敬している。しかし、年に一度ほど帰ってくるのだが、私の前ではいつも力の抜けた、まるで幼子のような様子で居る。
だから実の所、未だに我が妹が、私の周りの人々が言う妹への評価「素晴らしき女性」と同一人物だと言うことが、にわかには信じ難い。
実は私には秘密の他の妹が居るのかもしれないし、あるいは影武者のような者が居るのかもしれないが、ベッドで寝転んだまま起き上がる様子も無く、私にあれを取ってだのこれを取ってだの言ってるのを見ると、そんな手の込んだ事は出来そうにないな、なんて思ってしまう。
執筆の狙い
作文の練習です。ぜひ読んで欲しいです。シンプルにまとめました