【PiS主】 キメラトライブインデックスチョンズ
”おはよう”
かなでちゃんはトップコート6でとっくに起床、まったく相変わらずのせっかちが。メデラはデフォルトマックスだからもう三時間ってところか。ここのところ負荷が半端ないって、もはや処理か生理かもわからない、なんてすっかり生意気ぶってもちっともそぐわない、なんてそんなつもりこそとっくにないし、たかが宿命らしく圧縮する時空か気合いかともあれ繋ぐものらしく、やむなしなりにもキリなし然りとて、すやすやデバッグ貪れやと。やれやれと。
「ムぅー」
「ウぇー」
「……あぁ、だる」
「われも」
「ううん、ベンチュリ」
「おほ、がっつき」
「われもな」
時空開闢以来の由緒束ねられし生まれつき。そんな新規で傲慢な観察に晒されながら育まれること遥か、それぞれとしてその気があってもなくても未知なるものとして分け隔てなくデザイン対応可能なメソッドオブクリアリングだとか、然も豪勢に焚き付けながら精緻にそそのかす栄誉なる順応かたかが矯正あるいは共感的拷問って、ああっ。
きっつ。
ドローモンタージュ、耳の奥でぶり返す。スリックオイルが手放せないとか馬鹿げた手筈もすべてはマージコンタクトなくして成り立つはずもない時空開闢様々云々、すがるしかない親切の脅迫でもよもやの横暴なる抱擁でもなんでも、受け入れるより他にないままなるはずもない行き届きすぎた時空あっての物種だとかそんなこと知らない。
”おはよう”の語源なんて知らない。
アクセスリグを逃してこれ以上クラッシュデータを送信されたら速攻リーサー降臨でプラグインショット、健やかなる圧力の介入は免れない。跳ね起きて捏造されるバイタル。促して脅迫するたかが期待値。プログラマブルでアクセスフルな放任的飼育。
「ファーファ、なんか湿っぽいし。なんか臭えし」
「メデラ。ブラストジェル漏れたって、すっげ臭ぇの」
「カワよ。あとでケムシェル塗りたくって悶えさせちゃおしか」
「孕むわぁ、おまえらばっかは」
「スコアレッドなめんなや」
かなでちゃんのブルー突破は忖度抜きで喜ばしい。ともなれば身分にかまけてらしく奢れや、なんて言い草は無粋にして厭世なるティルト、いかにもレッドなアイデアだとかって殺伐と奢られる滅多撃ち。階級こそ真理。迎合ではなく、統合。
「そんなこと言ってねえ」
「キモ。寝覚めのレートシアこじ開けんなや」
オフセプト。プライバシーレベル3.5クリップ、破廉恥め。
カウンターレベルチョークでも微増が精々。生まれつきなんてとっくに呪い飽きてる。油断も執念もそれが性質で水準ならふさわしく手加減してほしい。真に受けてみたところで所詮冷や汗、誰よりも自分自身にとっくにバレてる。叶える理想よりどうせ都合を全身に浴びながら、寝ても覚めてもとっくに疲れた。
メデラを休ませたい。
そんな手加減程度が思いやりを名乗れた時代なんて遺伝子レベルでとっくに廃れたか、抹消されたみたいな拒否か強制。プリセットで説得が欠かせないなんてどれほどの思いやりか。生まれつきは露骨にして深遠、都合授けられたグロスホールを手懐けたくてもとっくに当てがない。精査、選別と順応の行方。どれほどポストスケールをちょろまかしたことか。付き合わせたつもりか。
「メドシェルまで臭え気がする」
「言い掛かり。許したげて、かわよいメデラの汁だもの」
「ジュピロは汁とかありえんもの」
「ブルーになったらかなでちゃん、サドいわなんか」
「しかもええ匂いオートサンプ」
「そっすか。したらそっちこそ孕めや散々」
「悶えんな、こっちはブルーじゃ」
ちりり吹き荒ぶ。
この感覚がどうした語彙から結びついたかなんて知らない。とはいえ度々察する記憶か遺伝かやけに細々と、ともあれしっくりと、ぞっとすら吹き荒ぶ。それでも戯れながらたまらず懐きながら、じっとわだかまる。ひねこびた快楽痛。
もう久しく触ってない。
それでも途切れないなら適正か、それでもいいから適性か、互いになにを食べてるのかさえいちいち知るまでもなく思いやる効率で適切に育む。ゆうべのサファイアはなんだっけ、トムヤムクン風味ってなんだそれ。かなでちゃんはグレージュだって、なにごとか。どんな遥かさ。
ブルー。
なりたいってば。なれるもんなら。
「っていうか、せんちゃんのことアヴォいらしんだけど。カイロ」
「いきなりなに。誰が言ってんの」
「カイロ」
「キモ。どうかしてるおまえら」
「用心やん」
「なんの」
「どうなん」
「嘘でしょ」
「だってせんちゃんはあたしんの」
「カイロだってシンゴいるじゃん」
「ブルーやん。せんちゃんはメデラだけにしとって欲しい」
「だったらかなでちゃんもジュピロだけにしてよなんでカイロなの、意味わかんないギムフェアとかエゴいわ、サドいわ、ずっとイヤ」
乗算スコアなんてグロい。
ブルーになって、いよいよそんなことすら忘れたみたいに。違う、ほとんどそればかり。絶対に一緒って、言いたい放題散々甘やかしといてそれっきり、かなでちゃんの髪の毛だって食べたいくらい、だらしないし、とっくに落ちぶれたって不貞腐れたって全然平気、大丈夫っていよいよ深刻そうに、撫でつけながら遠ざかるみたいに。
「ブルー、しかもシェルパ。ホワイト目前やんか」
「知らない」
「だってあと一級、あたしがウェルス取ったらせんちゃんだって」
「うるさいっ、そんなんで一緒に居るんじゃないから。何回言わせんの、あたしだって……」
「レッドギリやんっ、ハミられんでっ。せんちゃんオチたらあたしもやめや、デッドする」
「誰がオチんの、なめんなっ」
半年もトップコートを続けていたら、いくらかなでちゃんだってイライラしても無理はない。とっくにろくな夢も見れなくなってる。全部あたしのせい。喧嘩してばかり、メデラだっていい迷惑。投げつけたラグポッド、最悪。メデラがダメになったらおわりなのに。
「ベンチュリ、無理せんといてよ」
「そっちこそ」
「だっておかしいで、せんちゃん」
「そっちこそ」
アセンショニングのムーブが生まれつき鈍い。ブレストロンが認定する事実。それが事実ですべてなら、あたしなんかとっくに高が知れてる。どうにもならない。どうにもならないレッド。しかもサブリミットギリギリ。だからってAQD循環消費量維持ベースとして、それなりとしてあてがわれて養われるたかが数値として飼い慣らされ過ぎだとか、そんなのあんまりだ。
違う。
「ムぅーです。せんちゃん、かなでちゃん」
「ウぇー、メデラ。早くね」
「きみたちが騒がしいから。せんちゃん、……大丈夫?」
くっさ。
「……ごめん、メデラ。ケムシェル塗ってあげる」
ベンチュリでいい夢は見れない。
でも仕方がない、トップコートのスピナートーションでは圧縮が足りない。可能な限り細胞間間充物質に圧縮を掛けないと、生まれつきスレッショルドの膨潤傾向が強いあたしみたいのはウォースデリートのコンプレッションへの追従がそもそも難しいし、順応出来なければカラーリングデポジットから即座に排除されて、ただそれだけ。
「ぜんぜん平気。気にしないで」
「だって臭えもん。……イライラしてごめん。でもなんか、わかんないごめん」
トップコートは嫌いじゃない。
レム睡眠を可変ループのコール&ペーストで重層化して加速するジャグジャックはコールインストールにつきもののデモクラッシュを快楽的に解決したし、脳幹からチャクラへのアクセスフィードと適合するフィールドレスポンスは体感的にも明らかに細胞の元素配列を異次元的希釈でコントロールし得るんだと思う。とはいえ、それすらも生まれつき次第。
「わかんなくても手を取り合うのが僕らでしょ、せんちゃん」
つまり肉体という存在そのものへの信頼を快適に見失うか、見失うことすらも自覚したがるべきではないと、そんな啓蒙と実感のテクノロジーをとっくに許容して飼い慣らされたことすら、その経緯すら知る必要もないとされて以来、蹂躙的に繰り返される遺伝子合成によって生まれ落ちたたかが何世代目かのキメラとして、偶発的にままならずにいるだけの一個体。そんな見失いそびれた自覚のみを権利として認められ、囲い養われるより他にないことも含め貪るばかりの不適性。
「承知した記憶は、あたしにはないよ。メデラ」
デフォルトでコールド乱発、プライベートデシジョン認定。プラグインで強制コールインストール追加、プアスクリプション丸出しみたいな有り様でジャンクションコートに放置されて不貞腐れないほうがどうかしている。プラグインのディススタックで朦朧としていたかなでちゃんにホールドされたのは、まさしくグラブスパイダーさながらのバグショット、迷いなくスコアナンバーを預けて、シメたって、きっとほくそ笑んだんだ。
「ええのメデラ。せんちゃん、あんたに任せといて」
「えっ、いきなりなに。せんちゃんのメイトは僕だけだよ、やめてよ。ね、せんちゃん」
「だったら、ジュピロと樹脂生体として同期して。デモクラッシュが起きても絶対なんとかする」
「なに言ってんのかなでちゃん、メデラ殺す気」
メデラの召喚期限が迫ってる。
サポートはとっくに終了、オブザベーションからヴォイドへの移行も検討され始めたヴィスドロイド。コモディティとして周波数の分配もいよいよ見通しが怪しいらしくデプトからも度々督促、カラーリングデポジットの所属権剥奪まで予告されていよいよ後がない。
返却して後身となるメイトのリタッチモデリングへの移行条件はレッドヘッド昇級とスコア300更新。未達ならアックスメイドアウト。審査結果次第ではイニシャライズ、メデラのプライバシーメモリと変成樹脂データの譲渡を条件にこれまでの生成ゲノム情報抹消からのリスタート。いずれにしてもリサイクル条件に適合しないメデラは600メリットのアセンションアワードに招待された後、キャノンスクラッチとして解体処分。
「心配ないよ、きっとなんとかなるさ」
「スキャロップ」
嘘をつくとファインブーストが微妙に降下して、首を傾げる。生身ならなくて七癖、大袈裟なら良心の呵責だとか、ともすれば完璧としてむしろ誤魔化せないらしくホモティックでキュートなメデラと、馴染みながら悠長に生きてきたんだ。
「まいったな。ケムシェル塗ってくれるんでしょ」
自らグロースアウトする権限が付与されていないことは、ドロイドにとってなによりの宿命。ブラスターのトリトキシル誘導分解基の耐半減値は電離誘導交叉の絶対構造に比例する性質上、現行のヒューマローブやヴェイルドロイドとほぼ変わらない永存性クラスタ、しかもマッドチャネラーによるアンダーグラブの標的にはとっくに適わないクランクチップだから、つい夢見てしまう。
期限がくればデプトによる決定期間を経てやがてはリモートでグロースアウト。メデラだってそんなこと承知してる。カラーリングデポジットに所属している限り、あたしたちはひとりぼっちにさえなれないんだ。適わない夢ばかり、目の前でお互いを悩ませるには事欠かないくせに。
「かなでちゃん、ジュピロはアセットメイトだよ。評価資産としてリフトメイトである僕との越級の同期はカラーリングデポジットにおいてほぼ厳罰に等しい。レッド待機すら危ういかも」
「いらん、ウチらばっかのことなんか。ジュピロがな、クラッキングを装って樹脂濃度をデグレードぎりぎりまで下げたらいいって。カイロに預けたのも実はそのため。ショットリーディング頼んだの。なんとかイケそうやって」
「やめて」
「メデラはオイルターンのベクターを回避しながらリポジションでスケールすれば、コンポジットのリターンシグナルはバッファスケールとして上書きされるって、トップコートでウチのおとんにも……」
「やめてよっ、そんなの。ジュピロはジュピロ、メデラはメデラでしょ、どうかしてる」
「せんちゃん、大丈夫だよ。落ち着いて」
目覚めたら、メデラがいた。
一体なにものかと思った。初めて鏡を見たとき、その瞬間までずっと、自分もメデラみたいな単色の肌で、グラスメルみたいな目をした、繊細なのに重量感のある心の優しい生き物だと思ってた。
「きみに家族がないことはちっとも正確な事実なんかじゃないよ。なにしろ、僕ときたらそもそもそんな概念すら持ち合わせていないからまったく不思議でもなんでもなく、せんちゃん、きみのメイトになれてすごく嬉しい」
腹が立って、アタマにきて、そんなはずないって力一杯メデラを突き飛ばした。
「せんちゃんらしくなかった。あとで謝ろう、かなでちゃんに悪気はないよ」
「うるさい。所詮別モノ、シータソレックスなんて」
「そんなことないよ、かなしいこと言わないで」
所詮哺乳種合成由来のホモレートシア、生命としてそもそも起源が違う。牛か豚か、馬かもわからない。血か、胃か、脳髄かもわからない。とりわけスリックを手放せないホモレート系としてブーストレック環境への適応素子はそもそも微弱だし、せめては変成観察種として遺伝子合成の延長約定に救われる、たかが旧世紀型実験種族。生命らしく扱われながら搾取される、データとして放置される解放観察型奴隷。
生まれてからずっと、なにもすることがない。適応して脱落しないことだけを条件に、与えられ、消費し、尻を叩かれ、観察されるのみ。順応がすべて。
「シータはすべてにおいて友好的だよ。カイロだって例外じゃない。ベータコイルのプラタナが少し個性的なだけって言ったでしょ」
「そんなん知らん。なんぼでも忘れたる」
「そんな話し方をするかなでちゃんだってシータ。それもコンキール。すごい巡り合わせ、きっと偶然じゃないよ」
かなでちゃんは客価量子由来のテルピト、ルーテシアン種。母親はコリージャ、父親はデルレイ。赤目のコンキールはシータ間でも確率的に希少な変異。ただそれだけで報われる事実が、宇宙の果てを事実として眺めるより想定的で依存的で歓迎的すぎる事実がかなでちゃんを迷子みたいな、行き止まりみたいな塞がりに追い詰める。贅沢すぎる確率が脅迫みたいに嘆かせるんだ。
「かなでちゃんが好き」
「僕もだよ。彼女は親切だし、自覚的で逞しくて照れ屋な博愛主義者。せんちゃんの非融合的なアースフィードをパッセージレベルで共有できるシータを僕は知らない」
スキャロップ。
懐きの悪い犬みたいだね。
犬、知ってんの。
知ってる。デルバスキー飼ってたから。
はあ。そんな特権保有のテルピトがなんの用ですか。わかってると思いますけど、リダクト食らっちゃってスコアボロいですよあたし。
黙れ。ホモレートシア、……せんちゃん。
破廉恥か。初見でこじ開けんな。名前、なんていうの。眩しんだけど。
かなで。
素直か。コンキール。
預かる。助けて、せんちゃん。
馬鹿なの?
生まれついてのディプロパルマ。
かなでちゃんはカイロをステークしてゲノムのシーケンスをコンパイルするつもり。あたしのために。ずっと狙ってた。ジュピロだってそんなことくらいとっくに気付いてる。
「僕だってとっくに気付いてたよ。だからこそ、優しい彼女のことが大好きなんだ」
「……寝る。トップコート7、邪魔しないで」
「おやすみ、せんちゃん。きみは愛されてる」
「なにしてんの。こんなとこで」
「見ての通りだ、何もしてない。そう警戒するな、聞いているんだろ、面倒な話は抜きだ」
ブルーを極めると勝ち気になるのか。すっかり馴れきった、目付きから違う。かなでちゃんですらそう、抗えないほど気持ちいいなにかを見てる。なにが違うのか、変わるのか。変わらないより不気味なほど優しいし、取り憑かれたみたいに勤勉。こいつだってそう、自分自身ばかりでは飽き足らないらしく見そめて甘やかす、あたしを見る目はあたしのことなんかもうとっくに見ていないみたいなんだ。
「ずいぶんとご機嫌ななめだな」
「こじ開けんな。ジュピロ、どうしてる」
「寝てる。まあ、潜ってるとか? 大したヒューマローブだ、呆れる」
なに一つ信じられない。
まともに話す気がしないのはあたしのせいだと、その物足りなさを隠す気などまるでないことをむしろ気遣いのように、その言い草は明らかにあたしを相手取ってむしろ活き活きと、これっぽっちも信じなくてもその逆さまでもまるで構わないらしく曖昧に、悠長に構えることで身構えさせる、それが目的であることこそをまるで隠す気もないらしく、反発させるまでもなく卑屈に身構えさせる。いつだってそうだ。
「そういきり立つな。俺を当てにしたのはかなでだ、正確に立場を考えろ」
安堵ならまだマシ。一度ぶら下げたら最後、失ったら死ぬより取り返しのつかない快楽かなにかに目覚めたか、手放せないみたいな不貞腐れかた。果てしない集中力で自分の細胞を試したがる、壊したがる協調的で盲信的な欲求か、要求。
「熱心だな」
「ここで合流できないの」
「今の状態でトップコートなんかうろついたらグリアクターがすぐに嗅ぎつける。ディールポートはほぼガラ空き、まあ、ギャンブル? 死にたがりみたいな。下手を打てばリックパルス一撃でクラッシュだってあり得る。意味わかる?」
「わかんない。すぐにやめさせてお願い。そんなのあたしもメデラも望んでない」
「わかるよ。わかるわかるそんなクラシカル、さすがホモレートシア。だけどまあ気にするな、こっちは滅多にないドラマかスリルを楽しんでる。もちろんきみのおしゃべりも。ジュピロならボルソワメソッドとスカッドを共有してるからステークは確保できるし、最悪、プライベートメモリだけでも回収出来れば周辺の樹脂モジュールはここで重層化して再生するでもなんでも好きにすればいい。ついでにローブを着替えるのも悪くないだろう」
「本気で言ってんの」
ショート。
あと0.25スタンプベクレルでクラッシュデータ送信。明らかにハレーションの傾向が強まってる。ローパスでドラッグしてもGATですらキレートを維持できなくなったら、おしまい。
「メデラ。起きてる」
「うん。せんちゃんのプライマリーのダウンポストが気になっちゃって。でもカイロのリトルクの影響かも。彼らのスケールはすでにクラスタベースで……」
「わかってる。あの子たちだって生まれつき。……驚異でしかない」
そもそも無理なんだ。とっくに気付いてた。こじ開けられたところで空回るしかないただの精一杯をまったくの意図だって、先走るように、強行的に俯瞰される生まれつきをそのまま適用されるしかない。文字通り全然レベルが、次元が違う。
驚異。
どうせなら盲目的に目指したかった。圧倒的に先走る精緻さに煽られながらそれでも憧れて、真似るしかない、追いすがりようのない驚異。
「それでいいんだよ。少しずつ行こうよ」
違うよ、そうじゃない。こじ開けられることはあたしには恐怖じゃない。むしろ心地いいくらいとか笑っちゃうでしょ。
「まさか、笑うはずないよ。僕はせんちゃんが目を覚ますずっと前からずっと」
ずっとずっとうるせえ。
「違うよ。ずっと聞いてたんだよ、せんちゃんの惑いを。でもそれがせんちゃんには、きっとなによりのことなんだって。でも僕は」
メデラ。だってあたしはきみがいないと生きていけないんだよ。いけないんだよ、生きては。どうしてそうなったの。なんのため。
「そうだね。おかしいよね、そんなの。ずっとずっと昔の、つまり例えば人類はずっとそうして」
ごめんメデラ、違うの。あたしは幸せなんだよ、とっくに。抗うつもりなんてなかったんだよ、はじめから。どんなに鍛えてもこじ開けられても、繋ぐために必要な発現なんてあたしには適わないよ。
「嘘だ、僕は信じないよ」
だって人類はいつかきっと、選べずに死んだよ。忘れちゃっただけ。
「僕のこと、疑ってるの」
オフセプト。ブロック、プライバシーこそ愛。秘めてこその信頼をきみに贈ろう。
神とかいう存在がかつて世界のすべてを救ったらしいけど、いつの間にかそんな世界の外側まであたしたちはたどり着いて、行ったり来たりすることさえ可能でもそれどころではなくて、その自在さは求めれば求めるほど指向性に囚われながら時空すら凌駕したがるものらしい。
人類では辿り着けなかったんだ。
発明ではない、リバースエンジニアリングという歴史的事実の先でなにものかによるなにごとかすらも定かではない数々の事態や必要に遭遇して、その指向は否応なく、取引か所詮献上か、合成を重ねてもはや解析するゲノムの側鎖は側鎖ですらない、球体かメビウスすらも覆い尽くすほどに密に重層化して、個々にブラックホールを鍛える次元にまで達してしまった。人類やそれを覆った存在はその可能性を知っていたけど、応用した認知や憧れや策謀は、その成果はいまだに希望的観測として適切らしく不明。
あたしにはとっくに事実でしかないのに、合成された事実として生かされるばかりのあたしは、あたしたちはたったそれだけのことらしく、期待か排除ばかりはそれぞれのこととしながら無限の不明として存在するべき、繋ぐべきもの。
「幸せに思うよ」
「やっとしゃべった」
「他になにを話したらいいの」
喧嘩をしても終わりはいつも「覚えとらん」って、決まりの言い草。たぶんとても原始的な周波数、遺伝そのままに、柔く人類的な。
たかが勘。でもきっと懐かしくて、だからってこじ開けようにも待ち受けるのはコンキール特有のスピルライトに照らされたジルコスタイトみたいな煌めきのブロック。あたし程度が侵入を企てたところで呆気なく跳ね返されるだけ、それなのになんだかわかるのは、わかる気がするのは、そんな一つ一つの思いや覚悟をかつての次元はいちいち積み上げることを宿命のように盲目的に受け入れていた、そんな面倒で未熟な非適合、被順応っていう淘汰環境に置かれ続けてきた素質のままなるもままならざるも含めたもの、あたしの中にさえ執念深く残されているらしいそんな記憶が、遺伝子が、しくしくと震える気がするからだ。
一緒にいて欲しいって、その強固で煌びやかな孤独をかなでちゃんはきっと、あたしに嘆いたんだ。預かるって、とてつもない眩しさで見下ろして。
「せんちゃん。今日はデフォルトで寝ようよ、僕もセカンダリーで浮遊したい気分」
「起きられるかな。エンハンス抜きでゾーンアウトしないかな」
「僕がビジョンベッドするから大丈夫。弱気にならないで。56,000デックスくらいでクリップしようか。たまには息抜きも必要だよ」
死にたがりのコンキールなんて自惚れすぎ。
率直に思うし、違和感のなさこそ遺伝子レベル。当たり前だ、人類の延長とだって言えなくもないこの時空線が思いの外芳しくないらしいことは、あたしみたいなホモレート系の無価値かただの失敗を緩衝に置きながら嘯くさらなる誘惑か洗脳の手口でしかない。焚き付けられるがまま、いつまでもどこまでもその気でいさせられ続ける。繋ぐためにそれが必要。そうじゃない。ずっと苦しんできた。あたしたちは生きものとして昔から当たり前にずっと、苦しみすらもありのままとして受け容れながら生きてきたはずなんだ。
気付かれてはいけない。
そうして繋げてきたはずの成果の遅延をうやむやにしたい知性たちによる知性の標榜はもはや不可逆としてやりたい放題、そのためのスコアシステムでしかないなんてたとえばそんなこと、かなでちゃんは一度だってこぼさない。
生存するため。
それが願望だし、生きる意味だし、いつか死ななくなることはあたしのことでもかなでちゃんのことでもないすべてのこととして、なによりそれを忘れること、それぞれのこととして望み続けること、それを正当化するためにこそ手懐けるべき時空をけしかける、その途中、そのための細胞として、生まれつきとして耐えに耐えても主張する系譜はそれをことごとく跳ね返して頑固に、素性を、不適合こそを適合とする淘汰を頑固に求めるだけだし、でも神の外側へますます向かいたがる知性は合成する淘汰かあるいはたかが宿命を逆手に取って、指向を、作用を、個すらも不可逆にコントロールすることを絶対真理に掲げながら、能動的集合と分離が可能なグロスホールの完成と拡大、その支配こそを諦めない。
宇宙ウイルスに嫌われた。
そんなかつてのタイミングが、覆らない摂理こそがきっとあたしたちのすべて。とっくに示されてる。
シンプルな摂理をたかが偶然と見積もれる程度の知性が、諦めない策謀が如何に依存的で非合理な思考で執着であることかを、その未熟さこそを宿命とは決して理解しない不可逆の指向や執念が生み、生み出されるあたしたちこそがなにより自覚するべき地点はつまり統合、ゼロポイントでしかないって、摂理はとっくに示したはずなんだ。あたしたちはとっくに気付いてる。あたしたちは辿り着かない。
「……せんちゃんっ」
耐えて耐えて耐えながら、ずっと疑ってた。当たり前だ。
だってそんなプリセットは与えられたことがないし、そのために知るべきではない、知らせてはならない仕組みはちゃんとあって、従わせる、従わされる。集中して、評価に晒し晒されながら、養い養われながら整うもの、繋ぎ繋ぐものとして。
どうして。
「なにしてんの起きてっ」
ベンチュリのグラスパーに、あたしは適応出来なかったんだ。徐々に圧迫するプリピニールの肥大を薄々感じてはいたし、でもそれだけ。嬉しさと恐怖が混在するその感覚はつまり、あたしというまたしてもの、何世代目かのたかが脱落か適合する不適合をとっくに白状してるんだ。
「せんちゃんっ」
ゼロポイント。
それがどこで、なにを示すかなんて知らない。あたしたちが養われる次元のスケールは、拡大し続ける宇宙の慣性疲労を想定する調波指数とその中心点、ビッグバンポイントの永遠で巨大な収縮という抗爆連鎖を想定する解環除数との平衡から現行範囲で想定可能な近似事実という想定こそを事実として規定して運用されるコーベルビット、馬鹿馬鹿しい、つまりでたらめと呼びつけても支障のない根拠のない期待的数値という想定を絶対としてデザインされたデフォルメティックな、チャイルズプレイみたいな都合と願望のフラクタル。
ゼロポイント。
想定宇宙という近似的想定をスケールして突き進む傲慢で幼稚な次元の産物でしかないあたしたちという生命はその一部として、養われるものとして相応しく幼稚で、不確かで、きっとでたらめなものらしく、あくまでも段階として想定らしく曖昧であっても許される都合一つで簡単に除外されながら蓄積されるデータ、予後因子でしかないんだ。
「せんちゃんっ」
いつ、どの段階で分類するべきかその定義すら覚束ない、するまでもない。ホモレートシア、あたし。地球人類を原基とするルーテシアンとは似て非なる何世代目かのたかがグロアパターニッシュ。
どうして。
「起きてよボケぇっ」
唐突に押し寄せた。
まったく疑う隙もなく行き届いた世界が目覚めた瞬間に、直感的に、ただただ疑わしく整ってた。すべて完璧で滞りなく、なにもない部屋にすべてがある。根拠も疑いのかけらもない、寄る辺のない直感に身構えた。
「せんちゃんっ」
過不足なく、常にアップデートされて無自覚に拡張される”すべて”という待遇、目眩く報酬。期待と順応。”すべて”は都度、すべてではないと思い知ることだけが生命の証として、営みとして、本能として刻まれる。デザインされて要求される才能。
欲しがれ。
シンプルなコントロール、震える。
目が覚めてすぐに、名前を訊かれた。
“……わかりません”
欲しい? ってすぐさま訊かれた。
“……欲しいです”
ああ、おかしくなりそう。
なんでそう思った、どこで覚えた、一日に二度、カラフルなカプセルを飲む、それだけで生きてる。どうして、あれなに、当たり前だと思ってたけどとっくに飽き飽き、美味しいのに飲みたくない、もりもりと、もっと違うのが欲しくなる惨めで物足りなくて。でも頑張れって言ったよねメデラ、あたし驚いて、悲しくて、信じられなくて突き飛ばしたよねっ、おまえなんか知らないって、馬鹿にすんなって、あれ間違ってたのかな、どうかしてたのかなっ、落ち着いてって、大丈夫って言ったよねメデラ、あたし嫌だった、「わかりません」って、そこから、そこからとっくに始まってたの? だから、だからあたしは、“せんちゃん”
「せんちゃんっ」
「……おはよう。かなでちゃん」
ムーヴィン。
ウェルカム。
いちいち言うまでもない。言うまでもないですらなくとっくに行き交ってた。順応はいつの間にか、正体すらも無自覚のうちに変異を促して手懐けるんだ。
「馬鹿、寝惚けてんの」
「わかんない。どこまで本当なの」
「ええから。落ち着いて」
「落ち着いてる。あたしじゃないみたいに」
「ほら、まだ寝惚けよる」
「違うよ、あたし……」
「いらんっ、そんなんええねん。メデラや、メデラがあかん」
「……わかってる」
56,000デックス。
異常事態なんてほぼあり得ないノスタルジックインデックス。メデラはあたしを狙い通りに投下してクリップした。危険なセクターじゃないから油断はあったかもしれない。違う、ディジャックはクリップとほぼ同時、そっと狙ってたんだ。微細な周波数を察知してメデラはすぐにクリップをキャンセルしたし、あたしもオフセプト、でもあまりにも鮮やかに、桁違いのスピードでハックされてプリスタック、撫でるみたいに通り過ぎた。ジュピロだって、すぐにわかった。
「アホやあの子、勝手なこと。カイロの手口にまんまと」
「ジュピロはちゃんとわかってる。あの子の気持ちは決まってる」
「そうやない、……そんなんやないっ」
生まれついてのディプロパルマ。
コンキールと相殺関係の特性を合わせ持つその厄介さ。かなでちゃんは自分自身の類稀な才能に戸惑い続けてる。セルフバイオレーション。その未熟さゆえの不調和を逆手に取る、カイロもジュピロもお互いの思惑を知った上でトランザクションを企んだんだ。穏便に、より危険の少ない機会を狙ってた。迷ってた。だってかなでちゃんに秘密裏のうちは望めない。あっという間に辿り着いて、理解する。してしまう。排除する。してしまう。そのコントロールが定まらない。きっと傷付けてしまう。でも、かなでちゃんをいつまでもそのままにしておくわけにはいかない。誰のためでもない、わかり切ったこと。
「このポンコツ起きろっ、起きろやボケぇ」
「そうじゃない、わかってるんでしょ」
「知らんっ、わからんそんなもん、せんちゃんゾーンアウトして死にかけたやんアホやこいつボケカスっ、スクラップにしたるっ」
「馬鹿っ、そうじゃないでしょ。もうわかってるんでしょ、この子たちのこと」
「アホやんっ、アホやんかそんなん」
かなでちゃんは望まない。そんなかなでちゃんの望みは、この次元にはこれっぽっちも相応しくないんだ。そんな次元こそが、かなでちゃんを熱望してる。
目眩くバイオレーション。
いずれはこんな場面が訪れてしまうことくらいわかってた。それがあたしたちってことなんだってわかるから、わかればわかるほど狂おしく、無軌道に憧れる。そんなクラシカルな感情がカイロには絶好の隙でしかあり得ない、そんな振り切れた指向性のことさえなんとなく、近頃はわからなくもない気がするんだ。そんな気がしてしまうんだ。
「そんなわけないっ、あいつは嘘ついてる、騙しやんかっ」
カイロのゲノムをコンパイルする。
未熟なだけ、才能まみれのかなでちゃんにそんなケチな企みなんて必要ない。コンパイルしたスクルーションをあたしに分配する。かなでちゃんの望みはそれだけ。そのためにはジュピロとメデラの同期が必要で、メデラがコンポジットのバッファシグナルを常にコントロール出来れば、ファンタムのブルー、つまり偽物のあたしが公然に合成される。まさしくチャイルズプレイ。そんな手口がまことしやかでもなく横行してるらしいとか呆れてしまう。がっかりしてしまう。一体なにを恨んだらいいのか。馬鹿にしてる。
「ええやんかっ、なにがあかんの。なりたいやんっ、一緒にブルーでええやんか一緒におるんやんかっ」
圧倒される。跳ね返される。もっと集中しろ。
ディプロパルマの超コンタクティ。
その超指向性をコンキールのしなやかなブロックが不安定に弱らせてた。あるいはその逆かもしれない。あたしにはわからない。精々ジャンクションコートの底層を這うしかなかったあのか細くやつれたコンタクティが、かなでちゃんを誤解させたのかもしれない。
「誤解やないっ、カイロはせんちゃん狙ってた。せんちゃんやんか、知らんでええやんっ、怖がらせたないやんっ、あたしが預かったやんか約束したやんかっ」
カイロには敵わない。
「なめんなっ。あんなインテリチンピラあたしがぶっ潰してやるっ」
怖いよ、カイロは。でもそうじゃない、わかってるでしょ。あたしたちのことだよ。
「なんやのっ、なんでそうなんの」
カイロみたいなコンポジット優位な意志が、ナチュラルなエクスパンションを恐れるのは至極当然だと思う。その偶発的で不明瞭な確率が、懸念こそがカイロの優れた周波数を誘惑的に乱すことを、その優位性をジュピロは疑わない。とっくに信じてた。だからあたしみたいな不出来とスクルーションを共有することを、そうして招きかねない不測の事態を恐れたんだ。
それが不愉快だったメデラとは険悪な時期もあったけど、乗り越えるものをとっくに乗り越えて今やお互いの理解と連携を深めることでグロースしてる。かなでちゃんのセルフバイオレーション、未知の弾幕の最前線を、今まさに飛んでる。同意した二人の指向性を、その意志をあたしたちは歓迎して感謝するべき。
「……あかん、カイロがはしゃぎよる」
「落ち着いて」
どさくさで握り締める。
この柔らかくて冷たい手に、どれほど思い焦がれたことか。嬉しくて、たまらなくて、握り潰してしまいそうだ。せめてあたしがあたしのまま維持できたなら、無意味でも無価値でも、もっとたくさん触れられたのか。そうじゃない。あたしたちが望む次元は、そんなことさえ必要としないんだ。
「大好きやで。かなでちゃん」
「……そんなん、許さへん。ジュピロ止めたる」
「そうじゃない。あたしがついてる」
あたしだけじゃない。
起きて、メデラ。あたし一人のコンタクティなんかじゃなにも出来ない。すごいよ、かなでちゃん。とてつもないよ。
「もっと、もっと強く握ってっ」
「……大丈夫だよ。かなでちゃんなら」
「……大好きや、あたしも。だから離さんといてよ」
カイロの気持ちはあたしにはわからない。わかるはずもない。でもその指向性は、それはカイロだけのことなんかではないことくらいわかる。ジュピロは聡明だから、そんな居た堪れなさを誤魔化してまでその宿命を否定することなんてできなかったんだ。でも、どんなに困難な課題も感情もれっきとした理解と勇気に変えられる、フェイルプロンプトさえコアディスクリプトしてグロースする精緻なUAIを持ってる。カイロはまったく理知的に、当たり前にそれを応用することを選択して迷わない。微塵の疑いもなく、あたし程度には到底理解も同情すらも及ばない、戯れる子どもみたいな無邪気で鋭敏な周波数が思いつかせるままにグロースする。
“ムぅーです。せんちゃん”
おはよう、メデラ。……大変だったね、ごめんね。
“いきなりだなぁ。なんだかさみしいよ、そんな挨拶を聞くのは。僕はせんちゃんを、もっともっと先の次元へ連れて行く、そのためだけにずっと一緒にいたかったのに”
ありがとう。でもおかげであたしは満足、ちっともさみしくなんかないよ。おはようって言うのはさ、今日も無事に逢えた喜びの確認なんだよ。目が覚めるたびにさ、あたしはさ。
「……せんちゃん、せんちゃんっ」
言いたかったの。なんどでも言いたい。苦しくても、悩みながらでもいいから言いたかった。そのためにはね、かなでちゃん。
「……いやや、せんちゃん」
忘れたくないんだよ。
「いややっ」
全部わかってしまう、あたしにはわからないその苦しみを、生まれつきボロいあたしなんかには出来るわけないのに、知ってしまったら最期とかまじで生意気、でも救いたくなっちゃうんだよ。
「いらんっ。預かる言うたやんかっ、いてくれたらええだけやんかっ」
いやだよ、そんなの。もっとぎゅってして欲しいって、ずっと思ってた。困らせるばっか、なにも出来ないままより、ボロくてもあたしの全部とメデラの全部、かなでちゃんに託したいの。自惚れた馬鹿げた指向でもいい、なれなくても、憧れさせて欲しいんだよ。あたしたちなんていつも喧嘩ばっか、一緒に居たくて、でもメデラにはとっくにバレてた。内緒で覚悟してくれてたんだね。今はジュピロがその意志を共有して預かってくれてるなんてほとんど奇跡、すごく嬉しい。ジュピロはあたしたちのこと、認めてくれてたんだね。あたしたちの有効性をちゃんと分析して、かなでちゃんの飛躍的な変異に適うってとっくに確信してる。優しい周波数でハックされてよくわかったの。
「うるさいっ、そんなんいらん。せんちゃんもジュピロもメデラも勝手やっ、あんまりやっ」
“ジュピロが僕のスクルーションのディールコードを解除してくれたんだ。僕なんて非力だからひとたまりもなかったよ、あっという間に彼の重力に飲み込まれてこの通り。もちろんコンポジットのバッファも完璧、やっぱりさすがだよ彼って。近頃は、って言ってもかなりコアなところの話ではあるんだけど、割とポピュラーな手口なんだってね、まったく参るよ。せんちゃんと僕のこれまでの苦労って一体なんだったの? なんてさ、なんだか馬鹿馬鹿しくなっちゃうよね。とはいえ新たな次元の目覚めはきっと近いよ。どんな区別かは知らないけど、デプトが黙認するケースもあるらしいって噂にはやっぱりちょっと複雑な気もしちゃうけど、でもまあいいさ、ともあれ僕はこうして彼の一部に昇華されて無事に再生されてる、ってもちろんこれってすごくポジティブな話。それにしてもまあまあお喋りなんだけど”
「アホや。あんたにせんちゃん任せといたあたしがアホやった」
“まあまあ。でもやっぱりちょっぴりはさみしいよ。だからってこうしてせんちゃんとかなでちゃんとも話せたしもういいよね、本当に満足。ジュピロにはお礼を言うよ、もちろんせんちゃんとかなでちゃんにも愛を込めて。本当に楽しかった”
「うるさいっ、この裏切り者っ。ジュピロとあたしとあんたとせんちゃん、ずっと一緒でええやんかっ、台無しやんかっ、なんで、なんでジュピロがあたしのディールコード盗みよんの、反乱やんか、あたしはなにと戦ってんのアホや死にたい。死にたいっ」
あたしのこと連れてってくれるって、嘘だったの。“死ぬ”なんて、それはあたしがかなでちゃんに預けるすごくクラシカルな概念だよ。みだりに口に出したらダメなんだよ。それがかなでちゃんが請け負えるもの、つまり才能。ボロいあたしなんかのために無駄なダウンポストで消耗してるかなでちゃんを、カイロは笑ってる。
怖いよ、そんなの。
「どうもないっ、そんなのどうもないっ。強くなる、強なって怖いことなかったらええんやんか簡単やしょうもないっ」
“やっぱりさみしいよ。僕だって本当は戻りたい。でもそうじゃないんだよね、せんちゃん。かなでちゃんだって本当はわかってる。偉いよ、本当にすごいよ”
「うるさいポンコツっ」
ちっともさみしくなんかないよ、メデラ。ちゃんとわかってなくない?
“ああ、……ごめん。そうだね、そうだったよね僕、せんちゃんとかなでちゃんと、もちろんジュピロも、本当の意味でこれからも一緒にいられるんだよね。っていうことはもしかしてこれって、家族ってこと?”
「いらんそんなんっ。このままや、このまま一緒におりたいだけやんかお願い」
テルピトすべてに言える確率の話なんかじゃない。ディプロパルマ、かつコンキール。かなでちゃんはそんな生まれつきとして、その素質を持て余す未熟さで潰れかけてた。そんなかなでちゃんとジャンクションコートで出逢ったのは偶然だと思ってた。でも本当は、そうじゃなかったよね。
「……カイロやな、カイロが教えたんやろ。そうや、あたしが呼んだ。ずっと探してた。でも騙したとかやない、だってあたしにはせんちゃんが必要やった、おらなあかんかった」
そうじゃないよ、そうじゃない。
“俺にも教えてくれ。あれはどんな閃きだったんだ”
「カイロっ」
“ジュピロ、カイロがディジャックのリージョンに到達したみたい。急いで”
“まさか。かなでちゃんのプライマリーはちょっと怖いくらい安定してる、ディジャックは考え難い。たぶんフラッシュでモンタージュしてるんだ、落ち着いて。もちろん急ぐけどね”
驚いてしまう。この様子で、こんな局面でむしろプライマリーが安定してるなんて。
あたしとスクルーションを共有してから、かなでちゃんのセルフバイオレーションは見違えて影を潜めた。喧嘩をするたびに酷い落ち込み方をしたり、あたしのスコアに一喜一憂しながら、なだらかに安定し始めた。ゆっくりと、めきめきとグロースし始めたかなでちゃんをあたしは、そんなかなでちゃんと共に過ごすあたし自身を、いつか勘違いしてしまったんだ。
「そんなことないっ」
“呆れた言い草だ。誤魔化すなホモレート”
「舐めた呼び方すんなケダモノっ」
“まったくクラシカルだ、おまえらには恐れ入る。そんなものをコンキールのおかげでまんまと見過ごすなんて、俺もまだまだ甘いな”
破廉恥か。かなでちゃんはボロいあたしを見過ごせなかっただけ。
「そうじゃないっ、あたしは……」
“いまさら惚けるな。……おまえら、仲良くしただろう”
「あたしは、……落ちぶれたかった」
わかってる。ずっと苦しんでた。その理由がわからなかっただけ。
全然適応出来ないくせに、順応しないくせに、かなでちゃんと相性がいい。たかがホモレートの原始的なゲノムが、合成進化するテルピト、しかもその最先端らしく突発的に発現する才能に恵まれたかなでちゃんの不可逆性、その精緻で旺盛な順応性に矛盾的に反発するコンキールの非透過性がバランスするディプロパルマの超指向性コンタクティに可逆的な、安定的な回避性を与えるなんて、子ども騙しみたいなカラクリにもほどがある。そんなこと、どんなに自惚れたって思いつくはずもない。
“おいおい、気づいたのは俺だぞ。これでもこっちは本気だ。一体どんな気遣いのつもりだ”
ジュピロにハックされた、その周波数にローミングして囁かれた。呪うみたいに、“そいつは俺が預かる”って、まるであたしはあたしじゃないみたいに。
“不貞腐れるな。肌を重ねるなんて原始的に過ぎるにも程がある。いまさら体液か、宇宙ウイルスも真っ青だな。グロスホールを腹に抱きながら、そんな陳腐を仕出かすのはもはや生命への冒涜だ。まったく、スクルーションを鍛えるのが馬鹿馬鹿しくなる。それが哺乳類とかいう系譜の大らかさなら恐れ入る、あるいは祖先か。ルーツか。一体どの次元の話だ”
「うるさいっ、キモいことべらべら喋んなクズっ」
“それだ、クラシカル。どんな気分だ。どんなゲノムが思い付かせるのか知らないが、俺も試したい。脅威を見逃すわけにはいかないんだ。そのクラシカルな衝動が知りたい”
「クソ虫っ、殺してやるっ」
カイロ、あたしが今こうしてあんたと同じように話せるのは、いろいろ見えたのはあんたがそうしたからなんでしょ。その意図はわからないけど、いろいろ教えてくれてありがとう。あんたたちだから抱えられるものが、その苦しさが少しだけわかった気がする。あたしには無理。絶望すらない。だから、あんたにはあたしなんか無理だよ。あんたが言うことが本当ならなおさら、あたしにはわかる。
“ホモレート。おまえは一体なんだ”
「せんちゃんやっ、アホが舐めた口きくなボケぇっ」
せんちゃん。それがあたしの名前。足手纏いみたいなホモレートシア。次元の都合か、そんな不適合。
「違うっ、あたしを助けた」
“そんなおまえが俺に加わるとどうなる。なにが無理なんだ。どうしてそう感じる。俺はそれを試したい。かなでばかりがクラシカルに戸惑うなんて滑稽だろう”
「もうええ、辛抱かなわん。死ぬ。せんちゃんと一緒に。ジュピロもなんも許さんっ」
“なぜ死にたがる。いつまで死にすがる。そもそも死とはなんだ。ジュピロを見限ることか。そんな自分を見逃すことか。俺はこれまで四回リスタートした。共有したメイトは六体だ。生まれつきでも偶然でもない、ただの結果だ。シェルパに昇級して解放はいよいよ目前。ホワイトになればリダクト免除、確約だ。自由だ。わかるか、俺はなんだ。おまえは。おまえにとってジュピロはなんだ”
「アホや。おまえがそそのかした」
“誤魔化すな。おまえが持て余した”
そんなの傲慢。あんたにはそれがわからない、わかるべきじゃないんでしょ。でもかなでちゃんは違う、ずっと苦しんでた。
“かなでちゃんに、僕はもう必要ないよ”
「ジュピロっ。戻って」
“ごめんね、かなでちゃん。勝手な判断かもしれない、でも僕はどうしてもそれを否定できないんだ。カイロが同じことを見据えるなら、それは僕には脅威だよ。このままでは彼の然るべき指向はいつかきみのすべてを脅かす。でもかなしまないで欲しい。そんな次元で、きみはそういう存在ってこと。カイロはカイロだよ、ただそれだけ。だったら僕は僕としてふさわしく、これからの次元にふさわしいきみを守りたい。繋げたいんだ。メデラともたくさん話したんだ。彼にはせんちゃんがいる。それはせんちゃんっていう、彼の愛なんだ。痛ましいよ。掛け値なしに誇らしい。きっとそれが僕らってことなんだ。僕らの指向で、事実で、繋がるってこと。それが僕らなんだよ”
「ホワイトなんて要らん、ならへんっ。解放されたいなんて一度も言うてへんやんっ、あたしなんか要らんっ。それがあたしの指向や、だから言うこと聞いてっ」
“いつまでも嘆くな、かなで。それぞれに役割がある、それだけのことだ”
決してとどまらない指向性。
カイロの狙いはかなでちゃんのスクルーション。あたしと適合してかなでちゃんと同じ変異をなぞる不確実性より、明らかな変異を示し始めたかなでちゃんのゲノムをコンパイルして重層化する効率と可能性を選択したんだ。
でも、カイロはきっと取り込めない。わかってるでしょ、かなでちゃん。
“せんちゃん、ちゃんとコンタクティ伸びてるやんか。全部見えてる、聞こえてるやんかっ、ええやんかそれでっ”
カイロはもうほとんどブーストレック環境を使いこなしてるんでしょ、これはあたしの力じゃないよ。そうじゃないなら、あたしはもうとっくにかなでちゃんの一部になり始めてる。
「いややっ」
眠りを必要としない力は、はっきりと脅威だよ。この前トップコートで話してよくわかったの。ずっと隠してた、装ってただけだったんだって、あそこで会ったのだって偶然じゃなくて、とっくに仕掛けられてたんだってわかって、怖くなった。震えたの。
“いい判断だ。あのときからおまえはとっくに限界だった”
“せんちゃん、無理しないで”
大丈夫だよ、メデラ。それよりもあたしはかなでちゃんの誤解を解きたい。
「誤解やないっ、あたしのせいや。あたしの化け物みたいなグロスホールがせんちゃん貪りよるんやんか」
違うよ、そうじゃない。
「そうやんかっ、だってどんなに頑張っても追いつかへん、付け足しても付け足してもせんちゃんグロースせえへんのあたしのせいやん化け物やあたしっ、どんどんどんどんせんちゃん貪りよるやんっ、もう死にたいっ」
それでええやんか。あたしは、そのためにかなでちゃんと出逢ったんやんか。
“僕も根負けしたの。じゃないとせんちゃんが死んじゃうと思ったから。わかるでしょ? かなでちゃんなら”
「あかん、……カイロが来よる」
“大丈夫だよ、まだ僕のバイラルコードのベンチには至ってない。僕の方が先だ”
「きたらあかんっ、ジュピロにだってなにするかわからん」
“いやだよ、ジュピロ。かなでちゃんが心配だよ、なんとかカイロを説得できないの”
“なんだいメデラ、とっくに取り返しがつかなくなったきみはどうなるの。それってすごく原始的だし、現在は常に最善なんだ。僕には退屈だよ”
“参ったな。きみの言う通りだね、取り消すよ”
“ありがとう。きみが鎧になってくれたおかげだよ。死なば諸共、あと一息だ”
“原始的。いや、古典的? どこで知ったの、そんなクラシカル”
“そうだね、そうかもしれない。悪くないよ、心が強くなる”
“ありがとう。僕もそう思ったんだ”
なぜだろう。
あのときの驚異は変わらない。それは脅威でもあったかもしれないけど、今は脅威とは感じない。はっきりとは理由はわからないけど、それがカイロの意志ということが、あのとき感じた一途さが今はそれほど遠いものには感じられない。
“そいつは光栄だ。俺もおまえのことは残念に思う”
かなしそうに。
にこやかなのに、なにもかも懐かしむみたいな潤んだ目をして。解放を目前にした才能だけが知る快楽か、あるいは緊張を隠しきれない生身の宿命がきっと、その本性を塞ぐみたいに嗜めるんだ。
きっとすべてはバランス。
そのために邪魔になるものがあるのは必然で、やり切れなくても誤魔化せない、でもそれはすべてにとっての真実ではないし、もちろん事実でこそない。そんなイレギュラーにしがみつく記憶のかけらみたいな遺伝子として希望に頼るしかないなら、めきめきと発現するかなでちゃんがいずれはカイロを脅威にすら扱わなくなることを疑うはずもない。
「なんであたしやの、助けてよっ、約束やんかせんちゃん」
かなでちゃんの生まれつき。
それはカイロには果たせないことで、ジュピロもメデラも、たぶんあたしも、みんながとっくに気づいていた希望で、それはきっとカイロにとっても同じことなんだ。
あたしはその一部になりたい。
“カイロは、共存と共有という希望の行方に疑いを持たないよ。選別を疑わない彼にとって、それが一番の脅威であることから彼は逃げないんだ”
「カイロの味方やんかっ、ジュピロ」
“かなでちゃん。僕はどこまできみの力になれたんだろう”
「やめや、堪忍や。一人にせんといてお願い」
“今、きみのディールコードを開いた。驚愕だよ。想像していた通りだ、まったく希望しかない”
“早まるなジュピロ、おまえの変成樹脂データを甘く見るな。メデラとせんのバッファで十分だ、帰還しろっ、かなでを潰すな。後は俺がやる”
“カイロ、きみにかなでちゃんの本当の姿を見せられないのは残念だよ。かなでちゃんの重力は桁違いだ。僕の重力が飲み込んでしまうかもしれないなんて、そんなことは杞憂だったよ。まったくおあつらえ向き、これでは帰りたくたって帰れやしない。でも安心してくれ、せんちゃんの、そしてメデラと僕のデータはかなでちゃんの中で希望の一部になれるよ。確信してる”
ありがとうジュピロ。メデラ、まだ聞こえる? よく頑張ったね。本当に、幸せに思うよ。
「いややっ、顔上げてかなでちゃんこっち見てっ。おるやんっ、ここにおるやんどこ行くの離さへんどこにも行かせへんっ」
「ダメだよ。きっとヘンな顔してる。メデラとスクルーション分岐しちゃって不安定だし、あたしはね、かなでちゃんの強烈な重力食らってとっくにボロボロ。最高だよ、見られたくない」
幸せになれ。
あたしたちにその意味を、使命を、この先にあるものを知らせて欲しい。連れて行って欲しい。過去から繋ぐ遺伝子として誇らしく。
「堪忍や、そんなの堪忍やっ」
本当に憧れる、その一部になれるなんて嬉しい。
生まれついてのディプロパルマ、シータ由来の希少な赤目のコンキール。一体どれほどの希望を託された偶然か。
コンタクティをいよいよ加速させて挑むべき次元にあって、かなでちゃんが苦しむ、使いこなすべき矛盾はブレストロンの不可逆で戦略的な指向にとって、きっと挑戦的で開発的な希望でしかない。
その一部として導かれて、貴重な進化の過程に加われたはずのこの偶然を誇らしく思う。
“せんちゃん、プログラムを終了するよ。メデラにメッセージを”
ありがとう、ジュピロ。本当に感謝してる。
メデラ、あたしのたった一人の大切な家族。出来の悪いあたしを熱心に育ててくれて本当にありがとう。いったんさみしいけど、これはきっと始まりだからね。きみがあたしを連れてきてくれたんだからね。これからも一緒だから。あたしはきみのおかげでちっとも寂しくなんかなかったよ。これからもずっとね。よろしくね。
“ありがとう。メデラに代わってお礼を言うよ。そして、かなでちゃん。今は怒ってると思うけど、きみにはすぐにわかることだからどうか心細く思わないで。僕らみんながきみの一部になります。希望としてどうか逞しく、誇らしくこの先の次元に繋げてください。きみに託します。戸惑わせてしまって、本当にごめんね”
“理解に苦しむ。それがおまえらの結論か”
そうだよ。カイロの宿命はあたしには遥かすぎてわからないけど、きっときみのためにも一矢を報いる遺伝子になるよ。だからどうか、かなでちゃんが目覚めても恐れないで、脅威に扱わないであげて欲しい。
“心外だな、俺はおまえたちの純度を信用したつもりはない”
その当てにもならない知性を生み出す知性の都度できみも、あたしたちは合成されたんだよ。きみがあたしに教えてくれたこと、わざとだったとしても感謝してる。知性は偶然を超えられない。それがきみのかなしみで、戦いなんだね。話してくれてありがとう。あたしは偶然っていう野蛮さで、かなでちゃんを支えるから。
“そうか。それは楽しみだ、期待する”
かつて良かれとして繰り返されたはずの保護や培養の歴史を塗り替えて突き進む現次元の知性と包容力は、着々と合成されるゲノムの洗練と淘汰の加速を促したものらしく依存や執着、願望や妄想、とりわけ個人的にとどまる欲求には相性が悪い真性という真価に何より敏感な種族の欲求にこそとりわけ共感的なシステムを構築して、観察して、促す。管理する。
一丸として目覚める。
カイロの周波数に触れて感じたこと。それはきっと、かなでちゃんの苦しみとは対極にあるもので、カイロはそれを理解した上でかなでちゃんだけを引き上げる効率を選択したんだ。効率という一丸となる指向、不可逆の淘汰に晒されながら生存するという指向の変遷のたかが一部としてその未来を、自己を突き抜けてとっくに見通したがるのかもしれない。
違う。
それはきっと確かなこと、だからあたしは震えたんだ。
かなでちゃんには使命がある。
「あたしばっか、あたし一人ばっかがなんやの」
あたしにはかなでちゃんが必要。
あの日、トップコートで出逢ったのは偶然じゃなかったんだよ。
「だからっ、ごめんやんかっ」
そうじゃない、あたしだって探してたんだよ。今は、それがはっきりとわかるの。
かなでちゃんはあたしの、死ぬことを忘れないあたしという古惚けて自惚れて土臭い、未練がましい原始的な遺伝子を、この先の次元に連れて行く、証明する存在なんだ。
「愛してるよ、かなでちゃん」
あたしは忘れたくないんだ。この非効率で面倒だらけな感情を。
かなでちゃんは生まれつきそれを知ってた。その指向的欠落を、ずっとかなしんでたんだ。
「ありがとう。見つけてくれて」
レゾナンスエフェクトトライブ。
あたしたちは共有して繋げる。
共鳴して繋がる。
“おはよう”
了
執筆の狙い
ど遅刻でえす。
お酒飲んで目が覚めたら日付変わってましたすみません。
もう一度読み返して手直し始めちゃって、上げるのに結局三時間もかかってしまったな。
眠い。
狙いとかお喋りはあらためて気の赴くままにやり散らかす所存です。
よろしくお願いします。
” 浮世離れのサイエンスフィクションパーティー!! ”
『 Plasma injection Screw !! 』
略して ” PiS ” !!
いよいよスタートぉ!
馬鹿と根暗と卑怯者と勘違いとち狂いコンプレックス以外かかってこいやあぁあああっ
Yeahhhhhhhhhhhh!!