作家でごはん!鍛練場
オスカー三世

死が二人をつなぐまで。

 どこまでも透きとおった青空と、真っ赤に燃え上がる太陽の下。
 俺、斉藤楓は、不意に響いたブレーキ音と衝撃波に、暑さで朦朧とした意識を覚醒させた。
 顔を上げた目と鼻の先、何事も無かったかのように走り去っていくトラックの背中。
 翻って、排気ガスで曇っていた視界が晴れていく。通行量が皆無な道のど真ん中――
 どろり、
 と血の海をつくりあげ、うつ伏せになった人間を認める。動かない。ぴくりともしない。
 即死。
 そんな単語が脳裏をよぎった。
 あらぬ方向に曲がっている顔がこちらを向いていて、生気の失せた目が見つめてくる。
「……! きゅ、救急車を――」
 その時。まさにスマホの画面をタッチするより早く、俺は、
「うっ!」
 頭がかち割れそうなほどの痛みに貫かれた。
 両膝を灼熱のアスファルトについて、荒い呼吸を繰り返す。何とか落ち着かせようとする。  
 一方、
「うっ、うっ、うっ……!」
 痛みは自己主張を強めるばかり。
 どうして、こんな事になっているのか。もちろん、分かっていた。そうであろう、原因もだ。
 それでいて納得がいかなかった。
「いつもどおり」なら、ここまで急に「来ない」のだから。
 予兆があって、はじめて報せてくれるのだから。
 とはいえ、さすがに数分も耐えれば、絶頂から降りてくる。
「すう、はあ、すう、はあ」
 正常な、吸って吐いてを意識。左胸の下あたりに奇妙な「鼓動」を感じるけど、いつもの事。
 思いきって、上体を起こして。

 眼前、無惨にも肢体を拉げさせて、体じゅうを赤と黒にコーティングされた女の子が、いた。

「――――」
 むこうと視線が交錯する。
 打って変わって、彼女の目には、光が差し込んでいた。
 まるで、今さっきの事故など無かったかのようにして。
 にぃぃ、
 と口角をつり上げ、頬をだらしなく弛ませ、アーモンドみたいな目を細めている。
 どこからどう見たって、致命傷にも拘わらず、グロテスクを体現して立つその姿は、ある種ギャグじみていたけど、残念ながら背中をつたう冷や汗がこれは現実だと教えてくれる。
「ど」
 生唾を呑み込む。
「ど、どうして」
 答えを求めていない、ただただ純粋な疑問が溢れる。
「どうして、きみは何も報せてくれなかったのに。まだ、立っていて」
 一番重要な事を、訊いた。
「死んだはずなのに、甦っているんだ?」
 みるみる、彼女の体は「再生」していっていた。
 当然、そんな事を当人は分かっていないだろう。
 だったらここまで他人を怖がらせる真似も必要無いのだから。
「…………」
 何も答えない。年の頃は十代前半と言ったところか。幼さの残る容姿でも、彼女特有の、小動物じみた可憐な印象を受けた。
 完全に元の姿に戻った、その娘は、自分の額にかかった髪を払いのけて、
「ねえ、あなた」
 微笑む。どこか悪戯っぽく。
「シャワーを貸してくれないかしら?」

 時は遡る。
 深夜。眠りに就いていた俺は、寝返りを打った瞬間、強烈な頭痛に見舞われた。
「呼び出し〈コール〉」だった。
「ッ――。まったく、今日にかぎって、か」
 ついさっき新曲の「ブラッシュアップ」が終わり、音源をレコード会社に送ったところだというのに、早くも次の「仕事」が舞い込んできたのだ。
 もちろん、本当は無視して寝ていたいところだったけど、そうしたら最後、仕事が回ってこなくなる可能性もあるため、行くしかなかった。
 ベッドから起き上がり、自室の灯りを点けるや、壁一面に貼られた地図に手を添える。
 途端、頭痛が引いていき、代わりに心臓の鼓動のようなものが伝わってくる。「それ」を探り当てるため、上下左右に手を這わせ、徐々にその源に近づいていく――
「! ここだ」
 場所が判明した。
「専用車」という名のタクシーを呼び、急いで身支度を整え、「仕事道具」を詰めたリュックを担いでマンションの外へ。すぐにタクシーが来、乗り込むや、電話口で告げていた場所へと出発する。
 いつもの事で、終始、ドライバーとの会話は生じない。
 そのあいだ、意識を仕事のモードへ。普段の「静」から「動」へ。
 辿り着いたのは、都内を三十分ほど走った所にある大きな病院。はじめて来たものの、躊躇わず、夜間外来から入る。こちらも電話口の「協力者〈パートナー〉」が旨を伝えてくれているので、名乗るだけで通される。
「こ、こちらです」
 病室まで案内してくれた、まだ若い女性看護師は、やや迷いのある口振りで、
「えっと、あの、あなたのような方が来られたという事は――」
「ええ。もうすぐ、ここの患者は死にます。それだけの話です」
「……っ。分かりました。それでは頑張ってください」
 すでに「対象」は危篤状態で、医師や看護師、家族が病室に詰め込んでいた。
 その中、
「あなたは、まさか?」
 息子らしき男性が反応し、驚きを隠せない様子でつぶやく。
 彼にも「話」は通っているらしく、
「では、もう、本当に手遅れ、なのか」
 そんなむこうに、正直に言っておく。
「もって五分。今の内に話せる事は話しておいたほうがいいですよ」
 直後、
「この死神!」
 ペットボトルを投げつけられた。俺は避けなかった。避ける理由が無かった。
 患者の妻だろう、家族の中で一番高齢そうな女性は、なりふり構わず腕を振り回しながら、口角泡を撒き散らす。
「あなたみたいな存在がいるから哀しみが、つらさが増すんじゃないの! 人の命を何だと思っているの!? どうせ金儲けのためとしか――」
「はい。そのとおりです」
 俺は即答した。
「自分は、人の死をビジネスだとしか見ていません。なぜならば、それが自分の飯の種だからです」
 いつからか、自分の中で「スイッチ」が仕事用となり、それがちょうど完全に入った。
 ゆえに、と俺は言って、リュックから折り畳み式の固定機材と収音マイクを引っ張り出して、ノートPCと接続させる。
「あまりグダグダ言わないでください。人の死はいつ訪れるか分からない。それを、自分が現れる事で、多少なりとも分かるんです。さあ、一秒でも死に逝く者に寄り添ってやってください」
「ッ――!」
 唇を噛みしめた女性は、キッとこちらを一睨みして、
「あなた、あなた、あなた! しっかりしてえ!」
 ベッドに横たわる禿頭の男性に声をかける。男性は声にならない呻きを繰り返した後、
「あ、あ、あ……。お、お前、か……?」
「そうよ! あなたの妻よ! 源蔵さん!」
 源蔵と呼ばれた男性は、数度、口をパクパクさせ、
「お、お前には、世話になったな。俺が作家として売れなかった頃も、ずっと支えてくれた……。本当に、感謝してもしきれんわ、い……」
 知っていた。
 この男性、いや、喜連川源蔵は稀代の時代小説家として名を轟かせ、数々の傑作を世に送り出した事を。
 だからこそ、自分がここにいるわけだけど。
 俺は無意識に顎をさすりながら、PCのソフトをいじり、マイクと同期させる。
 それから、あっと言う間に喜連川源蔵は旅立っていった。
 医師が死亡を確認したのを見届け、俺は皆にお願いする。
「済みませんが、病室の外へ出て行ってくれませんか。一仕事しないといけませんので」
「…………この鬼。盗人猛々しい」
 いいえ、

「アーティスト喰らい」

「待ってください」
 俺は去ろうとする女性の肩を掴んだ。その掌に少しだけ、ほんの気持ち、力がこもる。
「誰がアーティスト喰らいだって?」
 失礼極まりない相手に顔を近づけ、
「俺たちは『偲音士〈しおんし〉』。歴とした、ミュージシャンです。馬鹿にしないでほしいな」
 俺は、お婆さんを廊下に押しやって、病室のドアを閉めた。
「さて、と」
 これで邪魔者はいなくなった。
 PCに小型スピーカーを挿し、あらかじめセッティングされた音源――「恩源〈おんげん〉」を流す。

 ――――――――♪
 ――――♪
 ――!

「む」
 三曲目で微反応があったため、四曲目をそういった特徴のある恩源にシフトさせた。
 途端。
 たった今亡くなった、喜連川源蔵だった体から調べが聴こえてきた。
 そう。
 この心地よくも適度に中毒性のあるスルメな耳触りが「偲音」の特徴だった。
 偲音――元々、死音とも呼ばれていて、紛らわしく不吉なために当て字が使われたそれは、主にアーティスト、すなわち世間でクリエイターと言われる人が「死の際に発する音」を表す。
 遥か昔はそれこそ、己の裡側に偲音を荒業で取り込んでいて、一生涯で得られる数は決まっていたとも聞いている。
 しかし、現在は偲音を聴き取り、上手く収音するよう機材をセットアップできるのはかぎられた人間だけであり、その才能は生まれ持ったもの。ほぼ血筋で決まる。
 だから、音楽に携わった事の無い俺でも、血筋ゆえに充分仕事がこなせるし、勝手にアーティストの死を予感できるため成り立っている。
 当然、数自体は少なく、俺以外にも偲音士の家系はあるらしいけど、秘匿されているため詳しい事は分からない。偲音士の存在自体が伏せられており、世に絶対出ていないのだから。
 偲音の中の「雑音〈ノイズ〉」として、喜連川源蔵の家族に話した事も忘れ去られるのだから。
 ただし、一つ言えるのは。
 独自に展開されている「偲音士協会」の中でも当番制があり、健康体で耳がしっかりしていれば、食うに困らない職業だという事だった。
 斯くして、今日も今日とて一つの「収録」が終わり、そして、またレコード会社へ送るために音源化するものが増えた。
 ちょうど、偲音士になって一年が経とうとしていて、
「これで、しばらくのあいだ、休暇、か」
 協会の「研修」を終えたため、休みを貰ったのだ。
 それに、
「ちょうど、地元に帰らないといけないし、なあ」
 その理由を思い出して、俺は自室に帰るや支度をはじめた。
「……ん?」
 またしても。最近気にはじめた、左胸の下あたりの奇妙な「鼓動」を意識しつつ。

 俺は十七歳だけど、偲音士以外の事はしていない。
 厳密に言えば、高校を中退している。それは、自分が直系の偲音士の家ではなく、慢性的な――いつ何時、何人に偲音士の才能が出現するか分からない――人手不足解消のため、遠縁から偲音士を「継承」してほしいと進言されたからだった。
 言わずもがな、最初は戸惑った。それでも、母親が俺を産んですぐ亡くなり、父親も海外出張していて、親戚の元で窮屈な生活を強いられていた身にとって、吉報だったのは違いない。
 そして、今はレコード会社と契約し、偲音士――「ミュージシャン」として何とか過ごしている。

 都内から新幹線、ローカル線、バスを乗り継いで自宅のある、珠竜村〈しゅりゅうむら〉まで帰って来た時。
 俺は、トラックに撥ねられる、なんともまあ夢見が悪くなりそうな事故を目の当たりにして、今に至るわけだった。
「ありがとう。わざわざ服まで貸してもらって。悪いわね」
 綺麗さっぱり。女の子は、汚れをすべて洗い流して、風呂場の方から出て来た。
「ああ~。この部屋、涼しいわねえ。極楽、極楽」
「…………」
 当然の如く、彼女の体は完璧に「再生」していた。おかしい。どう考えても。
「それで」
 咳払いして、あらためて訊ねる。
「きみは一体、何者なんだい?」
「ん」
 女の子は勝手にリビングから隣のキッチンへ。冷凍庫を開け放つ。
「それが、何も憶えてないのよ」
 と彼女は言って、カップアイスの蓋を剥いでから、
「ちょうど、体が吹き飛ばされたところで、記憶が無くなってるみたい」
「はあ?」
 つまり、こういう事か。
「きみは記憶喪失。おまけに不死身」
「そーゆう事になるわねえ。あーん」
 自分の口にバニラの塊を運び、しゃりしゃりと咀嚼する。
「まっ。その内何か思い出すわ。きっと」
 だから、と女の子は、こちらをスプーンで示してき、
「そのあいだ、お世話してちょーだい、ねっ」
「……まさか、泊めるだけじゃなくて、ご飯も?」
「そのと~り」
「そ、そんなの嫌だ」
 よ、と言いかけて。
 インターフォンが鳴る。壁際のディスプレイを確認すれば、案の定、
『楓ー。帰って来たんだろうー。今日の夕食、持ってきたぞー』
 見憶えがあるどころじゃない、ドアップの顔面。引きしまった中性的なそれは忘れもしない。ややあってから、その身を引くと、ボーイッシュ全開なTシャツ・ホットパンツ・野球帽の幼なじみ、柳モモだと完全に判明する。年がら年じゅうそんな格好の彼女は、
『居留守すンなあ! 出てきやがれやッ!』
 ひたすらインターフォンを連打してきて。
「…………」
 さて。どうしようか。
「? 見つめられてもアイスならあげないわよ」
 この娘をどうにかしないと、あの幼なじみがなんて言うか分かったもんじゃあない。
 最悪、俺が無理やり拐かしてきたと思われかねない。
 どうする。考えろ。
 正直に告白するか? 幸い、偲音士の事を、遠縁であるモモは「理解」している。
 いやいや。そうだとしても、女の子が異様に懐いている事は? ましてや泊めるなど、許すだろうか?
 だとしても、嘘で誤魔化せる仲でない事も分かっている。
 そのため、最終的に取った行動は、
「へえ。要するに、記憶喪失のロリっ娘がいるからどうしよう――ってところか?」
 モモを交えての三者対談。
 彼女は、軽そうに見えて、その実口はなかなか堅い。曲がった事が大嫌いで一貫性も備えている。いざとなればお隣さんでもある彼女が終始面倒を見てくれるかもしれない。むしろ、その方が何倍もいい。いくらこちらよりも子供であっても男女。けしからぬ事には変わらない。そう伝えようとした。
「いいンじゃね? どォーせ、楓には手ェ出す度胸も無ェだろうし。あと、童顔の童貞だし」
「な、何だと。って、最後のは関係無いだろ!」
 ここまで言ってのけられると、正直男として傷つく。
「まあ、なンか、女同士でしか話せねェ事があったらアタシを頼れ。なあ、――……」
 沈黙。
「あ」
 ここにきて、女の子の名前を把握していない事に気づく。
「しずく」
 ぽつり。自身の名前を名乗った女の子は、
「わたしはしずくよ。それだけは憶えていたわ」
 それだけ言って、すぐに、
「ね、眠~い」
 ふらふら立ち上がった。
「あ、危なっ」
 慌てて俺は近くのソファにしずくを寝かせる。すうすう。そのまま寝息を立てはじめる。どうやら、甦るのにも体力や気力が要るようだ。それとも、この村まで来る道中、疲れたのもあるか。
 いずれにせよ、
「しずくは、俺たちで見守っていく、か」
「は? ンだよ、『たち』って。アンタが連れ帰って、アンタに懐いてんだ。アンタが責任持って、落ち着いたら駐在に届けろ」
「ご、ごめん。そのつもりだよ」
 腕っ節の強いモモに喧嘩で勝った事が無いため、素直に謝った。
「それでも、料理は多めに昼と夜、持ってくるから。ありがたく思え」
 そう言い残して、幼なじみは帰ろうとする。
「あ。モモ」
 俺は呼び止め、大切な事をもう一つ、確認する。
「今年も、モモとやるのか? 『あれ』を」
「だ・か・ら、せっかく帰って来たんだっつーの。村の爺さんたちに言われたからなあ」
 こう見えて――なんて言えないけど――彼女は今年から村を離れ、都内で一人暮らしをしながら大学に通っている。
「とにかく」
 モモは頭の後ろを掻きながら、うーん、と伸びをして、
「アタシたち以外に『御役目』をこなせる年齢の奴はいねェし。去年もやったンだから、何とかなンだろうけど」
 まったく、
「いつまでも拘るなっての。アタシたちで終わりにしたいもンだぜ。バッカバカしい風習なンてのをさ。楓もそう思うだろ?」
「…………そう、だね」
「ンじゃな。邪魔した」
 閉じていくドアのむこう。心底嫌そうな顔が一瞬、淋しげに翳ったのを見逃さなかった。

 ここ、珠竜村には「よくある」言い伝えがある。
 その昔、かつてこの地に逃れてきた落ち武者と、地域一帯を牛耳っていた豪族の姫が恋仲となり、長の手勢に追い詰められた挙げ句の果てに二人で川へ身を投じた、という。
 以降、二人が祟らないよう、鎮めるため、毎年夏に村から一組の若い男女が選ばれて、夜の珠竜川を渡り、両岸から歌い呼びかけあう、妙な「しきたり」がある。
 それに、俺とモモは選ばれてしまった。
 関東と一口に表現しても、かなり田舎なこの村にはもう、俺たちより若い子供はいない。だからこそ、俺たち二人が村にとっての最後の希望なのだと安易に想像がつく。
 実際、こんな事も耳にした。
 ――一度だけ、突然の体調不良で、急遽しきたりができなかった時、ものすごい災いが降りかかったのだぞ。
 あいにく、俺は親からも正確な事実は聞けずじまいで、親戚からも真相は聞いていないし、聞く気も無い。
 だけど、祟りうんぬんを除いたとしたって、簡単にすっぽかしていいものじゃあない。
 伝統なのだから。
 伝えていかなければ。少なくとも、俺たちの代で下手に断ち切りたくない。
 だから、俺は東京から帰ってきたのだ。相手役であるモモと示しあわせたわけでもなく。
 せめて、生まれ育った故郷に対する、最低限の恩返しをしてあげたいと思っていた。
 閑話休題。
 俺は、しずくと名乗った女の子を手元に置こうと考えてもいた。
 明確な理由がある。
 あの時、しずくをはじめて見た時に襲われた頭痛。
「あれ」をしっかりサンプリングすれば、充分に「使える」と踏んでいたからで。
「しずく」
 隣家のモモが家族と出掛けたのを見計らって。
「問題そのもの」を広い庭へと誘い出した。
 もう夜だ。いくらでも眠れそうなしずくは、
「なぁによ? わたし、おなか減った~」
 寝ぼけ眼を擦りながら出て来た。
 すう、と俺が認める世界が遠のく感覚。偲音士をしている時のモードに切り替わる。
「ごめん」
 と言って、俺は後ろ手に隠し持っていた包丁で一突き。
 ぐ、とも、が、ともつかない音をこぼし、しずくは赤い液体を吐いて、くずおれた。
 それでも極まらなかったようで。
「ごめん。本当に。許してくれ。頼むよ」
 彼女が真っ赤になった顔を上げたところで、その首を横一文字に掻っ捌く。
 血しぶきが飛び散り、こちらにも少しかかる。レインコートを着ているから構わない。
 ここまできたら後戻りできなかった。
 その一方、予感というか確信が芽生えた。
 しずくは特別な存在なのだという。
 かといって、殺人の免罪符になるわけではない。罪悪感は無いわけじゃあなかった。
 でも、それ以上に、「どうなるのか」という好奇心が勝っていた。
 また、もう一つ、俺にはマイナスの思いに対する勝算もあった。
「よし」
 即座、レインコートを脱ぎ捨てて、出しておいたテーブルの上に設置したノートPCと音響機材たち――当然起動済み――を操作。
 あっという間。偲音が形成され、科学の叡智がそれら結晶を取り込んでいく。
「やっぱり!」
 その数値が、従来よりも高い。
 具体的には偲音の密度や振れ幅が、いい「音楽」となる要素の指標が、圧倒的に強かった。
 安堵が胸に広がる。
 もにょ、もにょ、もにょ、
 と徐々に再生していく彼女の体を横目に。
 録れた音たちをしっかりフォルダに収めて。
 にやあ、
 と口角が上がっていくのを、自覚していた。
「……本当に、済まなかった」
「すべて」が終わってから。俺は、しずくに頭を下げた。
 さあ、どうなるか。
「? 何の事かしら」
 こちらの言葉の真意を掴めず、小首を傾げる。
「わたし、眠いから、寝るわ。ふわあ~」
 やった。
 どうやら、本当らしい。
 トラックに撥ねられた時もそうだった。
 彼女は、甦生すると、その前後の記憶を失うのだ。
 だから、俺の事を咎めない。咎める意味も知れない。
 先に玄関から家へと入っていく後ろ姿に、
「ひ、ひぐ」
 ますます表情がひきつる。
 濃い笑みのそれに。
 これで、村にいても――しずくさえ手中に収めていれば、どんどん偲音が録れる、録り放題じゃあないか!
 その分、協会に申請すれば、特別ボーナスが支給される事だろう。
「…………待てよ」
 一旦、浮かれた意識を引き寄せる。
 だとしたら、だ。
 そんなしずくは、もちろん、ただの人間ではない。
 それに、珠竜村へ来た――あるいはいた――のにも、何か関係があるかもしれない。
「しずく」
「なあに」
 俺は、彼女にあてがった、元は両親の寝室へ入り、
「約束はできないけど、きみが何者なのか、調べられるだけ調べてみるよ」
 現代では、どんな事であったとしてもネットで調べられるのだから。
「……分かったわ」
 ありがとう、と弱々しく笑う、しずく。
「それと、わたし、ぐっすり眠りたいから、この部屋に入ったらもう起こしに来ないでちょうだい」
「了解」
 あれだけの事をこの娘に強いているのだ。一つや二つ、願い事を聞いてあげなければ。
「おやすみなさい」
「ああ。おやすみ」
 こうして、激動の一日が終わった。

「ねえ、どうしてこんな場所まで来るの~?」
「まあまあ。そう言わずにさあ。後でアイス買ってあげるから」
「ほんと? うれしい~」
 村のはずれに、俺としずくは来ていた。
 言い換えれば、人目の無い場所だった。
 それに、足元を見おろせば、遥か下方、激しい勢いの渓流がある。
 橋の上だった。
 しかし、しずくは、
「見て見て~! すっごいでしょ~!」
 怖いもの知らずなのだろう――欄干の上に立って、「すでに」構えてくれている。
 そう仕向けたのだ。アイスで釣ったのだ。
 言わずもがな、偲音をサンプリングするため。
 抽出する「録音環境〈シュチュエーション〉」を変えて、その「性質」の根本を弄るため。――偲音の録れ具合に変化がある事は既知の上だったからだ。
「……あ!」
 俺は、ある方向を指差した。古典的な手法。
「えっ、何?」
 どん、
 と何も無い方向を見ていた彼女の体を押す。
「ぇ――…………」
 真っ逆様に落ちていくのを認める。やがて、水流に呑み込まれていく。
「ふう」
 ため息。
「たぶん、大丈夫だろう」
 自分自身に言い聞かせて、帰路に就く。
 ずきん、
 と頭痛がはじまる。
「――――」
 今日も酷暑。背中や額、剥き出しの手足に汗が這う、嫌な感触。自然、熱くなっていく呼吸。
 そんな事は気にならない。
 ずきん! ずきん! ずきん!
 とどんどん頭痛がその存在を誇示しているからだ。
 そして、
「ふう」
 ついに、家まで辿り着く。
「さぁて」
 果たして、どうか。
 不安と期待に揺れる手を伸ばして、ドアを引く。

「あ、おかえりなさい。かえでさん」

 上がり框に、しずくが立っていた。
 まるで、何事も無かったかのように。
 激流へと突き落としたはずの彼女は、目の前に存在している。目立った外傷も無く。
 実際は、すべて計算どおり。川は、家の付近で緩やかになり、カーブに当たれば自然、ここまで這い上がって来れると踏んでいた。
 それでいて。
 ぽたり、ぽたり、ぽたり、
 とモモのお古の服からは、水滴が垂れている。
「着替えてきていいよ」
「はぁい」
 終始、笑顔で。しずくは奥に引っ込む。
 かつん、
 と硬い音がして、そのポケットからこぼれ落ちた物がある。
 それを拾って、俺は床を拭くのを後回しに、自室へ。
 高鳴る鼓動を抑えながら、机に向かい、イスにかける。
「ちゃんと入ってるかな?」
 回収した、耐水機能を備えるICレコーダーをチェック。外傷は無い。よし。スマホに同期。
「OK、OK」
 鼻唄を歌いながら、いつもどおり大事なデータを機械に取り込み、恩源に「ぶつけて」みる。
 彼女から得た偲音は、かなり完成度も高く、ほとんど手を加えなくてもいいほどよかった。実際の音を聴いた編曲担当者も言っていた。
 通常の偲音であれば、多少、おかしな部分が見つかるものだったけれど、しずくのそれは非の打ち所が無かった、と。
 加えて、作詞家・歌い手・演者などに於いても、すぐイメージが湧く、と言って、後は本番のレコーディングを控えるのみで、スムーズすぎるほど容易く世へ放たれる事が決まっている。
「ありがたい事だよ」
 また、これ以上無い「手応え」も、偲音士である俺に与えてくれる。
 本当に、一音一音の粒が素直なのだ。
 まるで偲音士に合わせてくれるかのように、ストレスフリーで、サンプリングができていて、その上、
 ――きっと、いや、絶対にコレは売れるよ!
 興奮気味に、レコード会社の担当さんも評価してくれた。
 そもそも、レコード会社は偲音士の事を知っていても、偲音に触れた瞬間、それを録音する時居合わせた一般人たちが記憶を忘却するのと同じ原理――「物事の調和」と俺は呼んでいる――によって、「なあなあ」で済ませてくれている。同時、協会の方のバックアップも強く、細かい指摘も無い。
 翻って、「一定以上」の距離が生じると、偲音士はアーティストの死を感じる事ができないため、今この村にいるのは骨休めのつもりだったけど、こうなれば、仕事に取りかかるしかない。
 それでも「楽しい」と思えるのは、しずくが謂わば俺にとって、福の神だからだ。
 ただ、
「変な『鼓動』が、まだあるなあ」
 と、頭痛〈コール〉とは異なる、胸の痛みに対して、都内へ戻った時、続くようであれば病院に行こうと考えていた時。
「……かえで、さん?」
「――!」
 我に返る。壁掛け時計をあおげば、夕食の時間だった。
 おなかが空いたらしいしずくが、半開きのドアからこちらをじっと見つめている。
「ご、ごめんね。もうすぐモモが来るから」
「……違う」
「う、ん?」
 しずくは言う。見透かすように。
「なんか、かえでさん、楽しそう!」
「そ、そうかなー」
 無邪気な視線と、その微笑みが、少しだけ胸を刺した。
 ネットには、しずくに似た事象のたぐいは見あたらなかった。
 結局、彼女に報いたいのであれば、己の体を動かすしかないらしく。
 そうと決まれば。
「明日、行ってみるか」

「本当に久しぶりなんですよお。ここを見学したいなんて言う人。……それに」
 ぐるん。管理人のおじさんは、俺の方を首だけ回して見やり、
「あなたみたいな若い人が、村の事を調べたいだなんて。どうして、また?」
「はあ。それが、仕事でして」
「なるほど。まあ、深くは訊きませんので、どうぞ、ごゆっくり」
 あまり長居しないよう、と言って、管理人さんの足音が遠ざかっていく。同伴するのも面倒くさいのか。さすがは田舎クオリティー。
「よし」
 そうとなれば、話は早い。
 俺は、ぐるり、部屋じゅうを見回す。
 そこは、珠竜村の資料室だった。
 もちろん、訪ねたのは、しずくの正体を掴むため。
 俺は、年代別に分かれている展示コーナーを順番に見ていく事にした。
 ところが、大きな問題があった。
「江戸時代の大火で、それ以前の資料が失われたのか」
 そういえば、学校の授業で習った気がしたけど、忘れていた。
 つまり、ここに存在する物々は、村の「すべて」ではないのだ。
 言うなれば、欠けた記憶。不完全な、過去からの呼びかけ。
 それらに応えるには、当時を生きているか、
「言い伝え、か」
 うむ、と俺はすぐさま踵を返した。
 今日の調査はやめておき、帰宅するとチラシがポスティングされていて、
「『夜から朝方にかけて、村人が襲われる事案が発生しています。外出はお控えください』、か」
 何だろう。こういう事をする気が知れない。いや、おそらく動物だろう。こんな本能に従って行動しているなんて。
「――あ?」
 平静を装う。誰にも見られていないのに。
 思えば、だ。
 自分のような、人の死に際の魂を扱う、傍から見れば残酷な仕事をしているのは、穿った見方では「ただの動物」なんじゃないか?
「…………ッ」
 胸の裡には、今さらながら自分に対するひどい嫌悪感が渦巻いていた。

 その日の夜。俺は思いきって、しずくに対して、彼女の事を調べていると打ち明けた。
 当然ながら、自分の職業の事。そのためにしずくに苦痛を与えた事。包み隠さず、ぜんぶ。
「……そう。ありがとう。わたしのために動いてくれて」
「い、いや。いいんだ。俺としても、きみにひどい事をしていたわけだから。……等価交換とはいかないだろうけど、俺はきみのおかげで稼ぎができたのだし、きみのためになる事を、と思って」
 それから、と言いづらくても、続けた。
「きみの事、きみに関係のありそうな事を村の資料館で調べてみたんだけど、資料が無くて」
「……そう」
 何だか反応の薄いしずく。どうしたのだろう。自分の事が分かったかもしれないのに。
 それで、と俺は言葉を接ぐ。
「きみがいいのなら、もう少し調べてみて――」
「ううん。いいのよ」
 首を横に振って、しずくは、こちらの頭を撫でてくれた。
「……あ」
「それじゃあ、また、明日」
 夜九時。しずくの就寝時間だった。
「おやすみなさい」
「あ、ああ。おやすみ……」

「――ん」
 不意に、目覚めた。朝、五時。もう少し寝ていられる時間。にも拘わらず、起きたのは。
「しずく?」
 何かが家の中を歩いている気配を感じたのだ。そういえば、ここ最近よく目が覚める。
 スマホに入っていたモモのメッセージを一瞥。
『直で話したい事があるから、明日ウチに来い』
 幼なじみらしい、脅迫めいた呼びつけだった。
「ふ、ふわあ~」
 俺は大あくびして、確認がてら水を飲みに行こうとした。
「ん?」
 後ろ手にドアを閉じ、耳を澄ませる。
 ぽたり、ぽた、……た、
 と水音。
 何だろう。風呂場から聞こえてくるような。
「っ!? ど、どうした。こんな時間に」
 びっくりした。灯りを点けないまま、脱衣所にしずくがいたからだ。
「…………何でも、無いわ」
 力無くしずくは言って、あてがわれた寝室に戻っていく。
「――ん」
 足拭きマットが濡れていた。
 はて? どういう事だろう。

「そんなの女の子の日に決まってンだろうが!」
「ひっ」
 デリカシーと配慮の無さを、モモに散々指摘された。
 モモの自室。まるで女の子らしくない、簡素で、必要最低限に纏まっている。
「と・に・か・く。アンタが思ってた以上にバカな事は分かった」
 ため息をついた彼女は、
「しずくの事を、しっかり気にかけてあげろよな」
「わ、分かった」
 と、モモは何やら棚の抽斗を開けて、
「こっち見ンな」
「は、はいっ」
 俺は指示に従った。
「いいぞ」
 やがてむこうが肩を叩いて、紙袋を差し出してくる。
「これをアイツに渡してやれ。それと、中見たら殺すから」
「か、畏まりました」
 押し出されるようにしてそのまま柳家からだされて、
「――そうだった」
「ごっ」
 むんず。後ろ首を掴まれる。
 それから、息も重なりそうな距離でモモは、
「明日の夜。忘れるなよ」
「……! う、うん」
 すっかり忘れていたとは口が裂けても言えなかった。

「ライト、消すぞ」
「おう。いいぞ」
 頼もしいモモの返事。俺は手元のライトをオフにする。
 ふっと一気に辺りが暗くなる。
 ここは、珠竜川の上流付近。
 なぜこんな時間にひと気の無い場所にいるのかといえば。
 すべては、珠竜流し――落ち武者と姫の魂を鎮めるしきたりをこなす、御役目のため。
 ここは浅瀬。流れも緩やかだった。
 手はずどおり進めば、このままモモがむこう岸へと渡り切るのを俺はこちらで待って、見届けてから、村のお婆さんたちから教わった独特の節回しで、互いの事を歌いあう。
 やがて、大人たちが現れ、叫びながら俺たちを確保。そのまま御輿に乗せて退散して、おしまいだった。
 まあ、去年もまったく同じ事を経験しているため、特に何の心配もしていない。
 今、予行練習をしていて、彼岸に渡ったモモの呼びかけに応じて川へ入る前だったのだけど、
「…………あれ?」
 なかなか、むこうは合図を送ってこない。
 ばかりか、
「痛ッ!」
 短い悲鳴と、水を掻く音が聞こえた。
「も、モモ!?」
 俺はざぶざぶ川に浸かり、モモの方へ。
「ご、ごめん。ちょっと足がつったみたいだ」
 こちらに身を預けてくる彼女は、いつもの毅然とした様子ではない。
「どうしたんだ、一体」
 遅れてやって来た大人たちに事情を訊かれる。
 俺は、モモの足がつった事を話そうとして――
「何でもありません。ただ、コイツがちょっとよろけただけです」
「え」
 俺のせいにされたけど、なぜ?
「何だ、何だ。『前準備』の段で失敗したのかと思ったぞ」
 緊張から弛緩の雰囲気に変わる、大人たち。
「あの、どういう事ですか? 今日は練習なんじゃ」
「いや、まあ、そうなんだが」
 吐息をおいてから、告げられる。

「一度でも、何か支障を来したら、落ち武者と姫が怒るらしい」

「え」
 はじめて聞く情報。
 さあと血の気が引いていく。
 先ほど、自分は、段階を踏まず、モモに何か言われる前に川へ入ってしまった。
 明らかな「規定違反」だった。
 そんなこちらの事など知る由も無く、大人は続ける。
 さらに衝撃的な事を。
「要は、二人を呪ってしまうんだよ。特に、失敗した方を、ね」
「…………」
 何も言えず。俺とモモは顔を見あわせる事しかできなかった。
「まっ。でも、大丈夫だったのなら一安心だよ。ははは。さあ、寒いだろうからすぐ御輿に乗って」

「……ただいま」
 俺は帰宅するや、いつもどおりの癖でしずくを探した。
 それどころでないのにも拘わらず。
 一応、出掛ける前に戸締まりするよう念を押していたからか、玄関のドアは鍵がかかっていた。
 だから大丈夫だろうと思い、
「しずくー?」
 両親の寝室をノックする。
 まだギリギリ九時になっていない。
 でも、
「?」
 返事が無い。
 どころか、さっきから気配すら感じられない。
 この家もとい部屋にはひと気が無かった――
「っ! しずく」
 ドアを開け放つ。
 誰もいない。
 ベッドとガラス窓を確認するも、
「いない。開いていない」
 忽然と、しずくは姿を消していた。
 呪い。
 たった一つの単語が、俺を縛めて、
「痛っ」
「鼓動」が一つ、撥ねた。

「そっか。しずく、いなくなったのか」
「おいおい。何でそんなあっさりしているんだよ」
「うっせえな。いなくなったンなら、いなくなったのに変わらねェだろうがよ」
 翌朝。俺は、モモにしずくの事を報告した。
 けれど、モモはいっさい心配の色を見せず、
「昨日の夜、しずくが夢枕に立ったんだよ」
 その時、と自らの全身を示して、
「体じゅう噛まれた気がしてさあ。たぶん、アイツは人の血でも吸って生きてたンじゃねェのか? ンで、この土地の血に飽きたから余所へ移ったんだろうよ」
 それと、

「足がつった時も、何だか、しずくの顔がよぎった気がしたンだよ」

「――――」
「まっ! あンまり気に病むな」
 一度、モモは言葉を区切る。
 こちらをじっと凝視して、

「いずにせよ、これで、しずくで金儲けしなくてもよくなって、良心も痛まないわけだ」

「――ッ!?」
「ははは。このアタシを騙せてたとでも思ったか?」
 呵々大笑した後、モモは言う。
 幼なじみの間柄であっても、なかなか聞いた事の無い、真剣な声音で。

「最初から、アイツがトラックに撥ねられた時から、知ってるよ」

「……どうして」
「偶然、偶然。暇だったから、コンビニにジュースでも買いに行こうとしたら、な。アンタを見つけて。それでだ」
「…………だったら」
 覚悟を決めて、告げる。
「俺が、しずくを、殺していた事も、か」
「あー。それは薄々、半分くらい感じてた」
「俺を軽蔑するのか」
「別にィ。ただ」
 モモは笑みと苦笑の中間みたいな表情で、
「アタシは、アンタが普通に仕事してくれればいいと思ってるよ。それでも、しずくが来て、楓、うれしそうだったし。共通の妹ができたみたいで、アタシも。だから快く受け容れたんだ」
「……モモ」
「まっ、アンタの幼なじみは世界じゅうでアタシだけだから、よっ!」
「わっ!?」
 バン。俺の背中を思いきり叩いて、モモは立ち上がる。
「しずくの事も、そう、呪いの事も気にするな。明日、しっかり乗りきろうぜ」
 ありふれた行事なら今日、決行なのだろうけど、珠竜流しは基本的に土地の気を「鎮める」ため、一日、予行から日をまたぐ事になっている。
「分かってるよ」
 俺はこの際、何も考えず臨もうと思った。
 ある「一点」を除いて。

 そうこうして、珠竜流し、当日の夜。
「おやおや。休日出勤ですなあ。楓さァん?」
「う、うるさい。俺にもいろいろあるんだよ」
 俺はやや遅れて、集合場所の村役場に来た。
 そして、時間はすぐだったので、事のための「衣装」である正装に着替えた。
 最中。
「なあ、また出たらしいぞ」
「何がだ?」
「あれだよ。見境無く襲ってくる、化け物の話」
「まさか。どうせ、今日の祟りとは関係あるまい」
「…………」
 なんやかんや、口々に言う大人から、俺は注意を背ける。
 そのまま、何も考えていなそうな体で、
「なあ、モモ」
「ん?」
 振り返る姿は、化粧をほどこされ、冗談抜きで美しい。
 幼なじみは、普段こそ精悍さが前面に出ているけど、かなり整った顔立ちをしている。
 そんな事はおくびにも出さず、言葉にする。
 大切な事を。
「モモは、何が起きても動じないでほしい」
 それと、
「二人で、乗りきろうね。絶対に」
「……あたぼうよ。またミスはしねェよ」
 任せろ、と力強く言ってくれる。
 本当に頼もしいかぎりだ。
 こうして、いよいよ、珠竜流しがはじまった。

 煌々と月明かりが闇の世界を照らす中。
 徐々に、ただでさえ川上では稀少な人家が遠ざかっていく。
 さすがに慣れる事は無いけれど、一人ではないと考えれば、断然よかった。
 ようやく、待ちに待った、その時がやってくる。
「楓」
 モモの呼びかけ。すべてを察する。
 その後、むこうは何も言わず、まっすぐ、俺が照らすライトの中、川へ入って行く。
 ――かくん、
 とその姿が、掻き消える。
「モモ!?」
 咄嗟、そちらへ踏み出そうとする足を、
「――ッ!」
 唇を噛みしめて留める。
 直後、まばゆい閃光が迸った。
「う」
 パチパチと点滅する視界の中。
 認めるものは人影、一つ。
「…………しずく?」
 いなくなったはずの、女の子。
 彼女は、今まではつけていなかった、蝶々の髪飾りを光らせながら、笑う。
 モモを後ろから抱きしめ、その肩に首をのせて。どことなく、青白い顔で。
「わたし、思い出したの」
 そう、
「わたし、ここで死んだのよ。だから、もう一度、生き返るために」
「だから、俺を呪った、のか?」
「まさか。呪いだなんて。みんなが適当にある事無い事、勝手に言ってるだけでしょ」
 それより、としずくは、真っ白なモモの頬に指を這わせる。
「あなたを呼び出して。あなたの日頃からまとわりつく魂の残骸たちを使って。また、生き返るために。ここに」
 そこから奇妙な現象が起こる。
 ぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ、
 と二人の輪郭が揺れ歪みながら、同化、くっ付いていくのだ。いや、より正しくは、しずくがモモの事を「裡側」に取り込んでいっているように見えた。
「うっ」
 こちらには止める術も無く、むこうはやがて一つになる。
「い、一体、何が目的なんだ。すべて遥か昔に終わった話じゃないか。いつまでも過去に縛られず、成仏してくれないか」
 だって、と繋がった物事を言葉にする。
「村の人を襲っていたのも、きみじゃあないか。だから、夜な夜な家を抜け出して、そのあいだ、俺に絶対部屋を覗かせないように言いつけて。五時頃、足を洗いに風呂場にいた事が何よりの証拠だ」
「目的? ふん。そんな可愛いものじゃない」
 それは、

「約束よ。生まれ変わる事ができたなら、もう一度、ここで落ちあおうって」

「何を言って――」
「そうでしょう?」
 一息の間。

「かえでさん。いいえ、わたしの若殿様」

 瞬間、二つの事が起こった。
 一つは身に覚えの無い、圧倒的な「記憶」の数々。
 二つ目は。しずくの方から「何か」が飛んで来て、
「うっ!?」
 たちまちの内に俺は呑み込まれた。
 場所自体は変わらない「そこ」に、二人の若い男女の姿。
 真上から、その光景を俺は見おろしている。
「姫。この川、珠流に秘められた意味は何でしょうか」
「ふふふ。珠は魂。竜は流れ。この澄んだ色あいは、魂を清め、あちらの世まで流して運んでくれるの」
「なるほど。そんな大層な意味が」
「だから、ね。わたしたちも、死んだら、せめて一緒にこの川へ流してもらいましょう。そうすれば、二人の生まれ変わりは、確実に来世で再会できるわ」
「姫」
「若殿様」
 見つめあう、凛々しくも、はかない印象を受ける二人。
「姫。いえ、しずく」
「若殿様――――」
 そこで、すべては途絶える。
 代わりに、彼女と、しずくと過ごした日々が、掛け替えの無い何かを伴って、甦り、
「……はっ」
 我に返ると、俺はまた、現実にいた。
 さっきよりずいぶん近づいてきた、モモの姿をしたしずくが、
「どう? かえでさん。あれが過去、この地で、珠竜であった事よ」
「――そうだね」
 俺は大きく、一度だけ、首を縦に振った。
 忘れていた事に、今さらながら、気づいたから。
「確かに、あの頃、俺はきみを愛していた」
 胸の裡から溢れ出す感情にのせて、言う。
「この想いは、きっと、変わっていないと思う」
「若殿様……!」
 感激に身を震わせる、しずく。
「ああ。よかったわ。無理をして、毎夜毎夜。あなたに会うために――少しでも長い時間を共にできるために、村人たちから生気を吸っておいて。だからこそ、この娘の体も借りていられるの」
「返すんだよね」
「?」
 俺は、頭上を、星々が燦めく果てしない夜空を見あげて、
「この夜が明ければ、モモから離れて、すべて終わらせるんだよね?」
「うん」
 言われて、しずくは躊躇うような素振りを挟んでから、
「そうなるのよね。わたし。もう、若殿様と一緒にいられなくなってしまうのね」
「もう? また、元のしずくの姿になれないのか」
「できないのよ。今まで、わたしは村人たちから生気を吸って、この世に在る事ができたわ。でも、一度でもやめてしまえば、もう、存在する力は失われてしまうの。途切れてしまうの」
 ああ、としずくは、モモと一体となる前まで付けていた髪飾りを拾い上げて、
「せめて、ここで、あなたと、姿形は違っても、会えただけうれしい。だって、ここには珠竜流しの夜にしか立ち入れなかったのだもの。そういう約束だったのだから」
「……そんな」
 俺はしずくが語る真実に、打ちのめされるばかりだった。
 せっかく、俺たちはもう一度、出逢うことができたというのに。
 なぜ、どうして、また引き裂かれなければならないのだろう?
 できる事なら、まだまだ、しずくと、姫と、時間を共有したい。
「何か、何か、策は無いのか」
 しばらくすれば、大人たちがやって来る。そうなれば、強制的に珠竜流しは終わってしまう。
 募る焦燥感。無情にも過ぎていく時間。
 為す術も無い――そんな風に思った時。
「そういえば」
 しずくが切り出した。手元に視線を落として、
「この、蝶の髪飾り、とっても綺麗だわ。ねえ、せめて、わたしが消えても、これを大切に持っていてくれないかしら」
「あ、ああ」
 それどころではない。まだ、何かあるはずだ。忘れている事が、些細な何かが――……
「ん」
 そういえば、
「俺のちからは」
 声にする。最後の望みをかけて。
「アーティストの魂の音しか拾えない」
 でも、
「どうして、きみの事を偲音にできたんだろう」
 それに、
「この珠竜流しは、むこう岸に女の子、こちらに男の子が分かれて、『歌い呼びあう』……!?」
 もしかしたら?
 俺は、とある「事」に触れた感触を得た。今まで暗黙の了解として存在したものに。
 どきっ、
 と左胸の下あたり、心臓に近い所で時折脈打つ「鼓動」を感じて。
「それと、不意に感じるこれは、何か関係がある――?」
「どうなのかしら」
 しずくにも思い至らない事らしい。
「わたしも、どうしてあなたの近くに現れる事ができたのか、分からない」
「…………」
 思考が巡る。やがて、加速していく。
 現実世界で、最も古い、しずくの記憶に辿り着く。
「そうか。だから、はじめて会った時、しずくが撥ねられる事を、把握できなかったのか!」
 ずっと感じていた、仕事に入る時の意識の切り替えがあまりにも淡々としすぎではなかったか、と。いくら何でも、平時の俺は簡単に人を傷つけたりしないだろう、とも。
 その要因こそが、左胸の下あたりに感じていた「鼓動」――そこに「在るもの」だとすれば、話は分かる。
 つまり、
「俺の『心の裡側〈なか〉』に、きみの存在があり続けていたから、そうやって、偲音士をしてから、か」
「! そう、それよ!」
 大きく、何度も頷く、しずく。
「わたしも、あなたの裡側に在るものを辿ってきて、甦る事もできた。それが、すべての元よ」
「だったら」
 言いかけた時。むこう、遠くから声が聞こえてきた。
「まずい!」
 もう、大人たちがやって来ていた。
「あら。もう、おしまいかしら」
 しずくは目を伏せる。
「もう、そんな事、関係無いのよ。来るべき時間がきてしまったのだから」
 言って、モモのシャープな容貌とは不釣りあいな、哀しみに満ちた表情になる。
「ま、まだまだだよ」
 このままじゃあ、しずくの言うとおりに事が運んでしまう。
「な、何とかしないと」
 考えろ。考えるんだ。せめて、しずくの事を何らかの形で残せる方法はないか?
 ぐるぐると、今さっき甦った過去の記憶と格闘しながら、鈍くなりつつある頭を回す。
「待てよ」
 そうだ。その手があった。
「しずく」
「何?」
 どうして、そこに思い至らなかったのか。でも、これはある種の賭け。俺自身にもリスクが伴うもの。
 俺は、おもむろに、しずくの方へ歩み寄り、
「今から言う事を、真実だと思って聞いてくれないか」
「ええ。この際、何だってするわ」
 そして、話を済ませた直後。
「……さて」
 と、いざという時のICレコーダーと折り畳みナイフ――懐と腿の内側に仕込んでおいた――を、しずくに向かって掲げる。
「え?」
「説明している暇は無い」
 飛び散る赤。
 俺は、自らの左胸の下あたり、「鼓動」を鎮めんと、勢いよく突き立てたのだ。
「ぐぅ――!」
 激痛は、それ以上の衝撃に掻き消される。
 頭部全体を襲う、「呼び出し〈コール〉」にだ。
 まがいなりにも、自分自身、音を扱い、つくりだすクリエイターに変わりない。
 だから、自分自身の偲音を「外」に追い出す必要があり、
「し、しずくッ」
 それの塊であるところである、彼女を録音できれば、いい。
 当然、サンプリングには恩源が必要になってくるけど、それは確認済み。
『――――――――――――――――♪』
 己の口から聞き憶えのある響き。自動的に溢れ出すのは、
『――――――――♪』
 現代機器から出力するより、少し小さいけど確たる音の群れは、偲音士が扱う、恩源だった。
『――――♪』
 その昔、まだ科学が発達する前は、偲音士は恩源を自力で唱えていたと言われている。
 俺自身、一度もその訓練を受けたり、自主的にちからを得ようと努力した事はなかった。
 でも、前世の記憶の中には、あった。若殿様にも、偲音士の才能があったのだ。
 そして、歴史は時に改変されるもの……美化されるもの。
 本当は二人で入水したわけじゃなかったらとしたら?
 偲音士ゆえに、その恩源で、己が裡側に取り込もうとしたのではないか?
 しずくは、俺が前世からわずかでも引き継いだ「魂の欠けら」を追ってきたのではないか?
 今、当の本人はこちらが指示したとおり、むこう岸にいる。
 そこで歌っている。聴き知れない、遥か昔に失われた調べを。
『――!』
「いつもどおり」恩源は、反応した。
 瞬間。フラッシュバックする光景。曖昧だった記憶。鮮明に呼び覚ましたくなかったそれ。
 俺は捕らわれ、身動きができず、複数人に抑え込まれていて。
 そんな中、唯一自由な口を動かして、恩源と認識できるものを発していて。
 むこう岸、逆光でも分かる可憐な姿があって。悠々と舞っていて。
 否。その影は降り注ぐ矢の群れに貫かれ、踊るように倒れて。
「なぁんだ」
 ひとりごちる。もう届かない、誰も聞こえない言の葉をのせて。
「きみは昔から、自分さえ傷つけば、誰かが助かると勘違いしていたのかい」
 一呼吸した後。哀しみの絶叫でもって最後の音を吐き出して。
 首と胴体が斬り離れる、おぞましい感覚を最後にして。
 後は、波が引くようにして、現実に引き戻される。
 すぐ傍。正面では、
「…………あ?」
 しずくが、みるみる、その姿を透けさせていく――存在する力をこぼしていく。
 こちらの胸の「鼓動」が消えていく。        
 ナイフによる傷は治って、痛みも引いていく。
 わずかな時間、呼び覚まされた記憶すら消えていく。
「ありがとう。わたしの我儘に最後まで付き合ってくれて」
 しずくは感謝をにじませた口調になる。
 最後の一音がフェードアウトするまで、抜かりなく恩源に当てていたその偲音は、かつて聴いた事が無いほど、美しい音色だった。
 それでいて、本人は過去に対して恨み言をこぼさなかった。
 その頬をひとすじの光がつたう。
「わたしは、かえでさんと、また会えたもの。満足よ。もう、あなたの傍には代わりもいるし」
「違うよ。きみの代わりじゃない。それに、きみから引き継ぐんだよ。意志と願いを、共に」
 そう、と俺ははっきり、告げた。
「しずくが心から望んだ自由をありがたく思いながら、生きる事を謳歌していこうと、俺は思うんだ。それが最大の恩返しになる」
「……フッ。なかなかいい事、言うじゃないのよ」
 最後に、しずくは今までで一番の笑みを夜闇に刻んで。
「それじゃあ、あなたたちに託すわ。よろしくね。これからの事は」
「分かった。約束する」
 やがて、ゆっくりとこちらに倒れかかったモモを、俺は抱きしめ、しばらくそのままでいた。

「この辺りでいいですかー?」
「はい。ありがとうございます」
 俺は、珠竜川の上流付近――しずくと前世の俺が果てた場所に、石碑を建ててもらっていた。
 当たり前だけど、鎮魂のために、自費でだ。
 一応、村の許可は得ているし、親戚の伯父さんに村会議員がいたため、話はとんとん拍子で進んだ。
「これで、弔いは終わり、かな」
 季節は秋に差しかかっている。
 あれから、しずくは現れていない。村人が襲われる事も無い。前世の記憶も呼び起こせない。
 そして、「しずくそのもの」を収めたデータはしっかり大切に保存して、世には出していない。
 しずくの事は、俺だけがずっと、心の裡に仕舞っておけばいいのだから。
 明日から、俺はまた都内に戻る。
 むこうで、偲音士協会の力を借りながら、地道に職務をまっとうするつもりだ。
 俺はあの後、大人たちに提言しておいた。珠竜流しを、村総出の、お祭りにすればどうかと。
 すると、むこうはそれに前向きな姿勢を示した。それもそうだ。今回、準備の段階で失敗したにも拘わらず、何も災いが起こらなかったのだから。
 しずくがいなくなった今、無理に彼女の存在を形式上でも留めておくのはよくない。
 もはや、過去に囚われる必要も無い。
 うん、と俺は最後に左胸を叩いて、身を翻して、
「行こうか」
「おせェぞ」
 俺と同じく、膨れたリュックサックを背負って待っている幼なじみに頷きかけ、
「いつもありがとう。モモ」
 礼を言って、並んで踏み出していく。前よりも強い一歩一歩を。
 ちらり。傍らを一瞥すれば、蝶々の髪飾りが揺れている。
 確かに彼女はいたと、端々が削れている事が訴えていた。
「ふう」
 吐息をこぼし、頭を振って、すべてを追いやった。
 どこかで、夏の終わりを後押しするような、蝉の鳴き声がした。

死が二人をつなぐまで。

執筆の狙い

作者 オスカー三世
p2590008-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

小説を書きたいという気持ちがなかなか形にならず、書き上がっても客観的な意見や感想がほしいと考え、今に至ります。
最低限、読める作品にはなっているかと思います。
ゆくゆくは長編を書くためのステップの一つとして書きました。

コメント

神楽堂
p3339011-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

読ませていただきました。
設定はユニークだと思いました。
冒頭、交通事故から始めるのは、読者を引き付けるのには効果的だったと思います。

全体としての感想ですが、何を主張したい作品なのか、それがあまり明確ではない作品だな、と思いました。

物語はいくつかの場面から成り立っていますが、それぞれのつながりが感じられず、出来事が羅列的になっている感じがします。

主人公としてはこの先どうしたいのか、その思いをもっと書いて欲しかったです。

「偲音士」という設定が肝のお話なのだと思いますが、普通のミュージシャンとの違いを読者に分かりやすく伝えて欲しかったです。
この仕事は、なぜ必要なのか、どういう需要があるのか、社会的地位はどうなのか。
この仕事に、主人公はどのような気持ちで取り組んでいるのか。
やる気があって、使命感に燃えているのか。

一応は本文中に説明はありますが、あまり伝わってこないんですよね^^;
主人公の葛藤、悩み、人生の課題などを書いてくれたらより伝わってきたかなと。

後半、何かの儀式に参加する場面になりますが、動機は

> せめて、生まれ育った故郷に対する、最低限の恩返しをしてあげたいと思っていた。

急に降って湧いたような設定で、前の場面ともつながりがなく、違和感がありました。

主人公は、「あれ」「使える」「どうなるのか」などの括弧つきの単語で読者に対して匂わせをしていますが、これは読者に伝わるのでしょうか?

>具体的には偲音の密度や振れ幅が、いい「音楽」となる要素の指標が、圧倒的に強かった。

「偲音」という設定において、どういうものが「いい音楽」になるのか、読者は価値観をもっていません。
この主人公にとっては「いい」なのでしょうけど、それは読者に理解されるのでしょうか?

作者は自分で設定を考えているので、それがどういうものなのかよく分かっていますが、読者は与えられた文章だけで想像するしかありません。
なので、架空の設定で物語を書くというのは、けっこう難易度高いと思いますよ。
逆に言えば、ファンタジーで設定をうまく読者の脳内に描くことができれば、その作品はとても魅力的なものになるともいえます。

長々と書いてしまってすみません。
この作品のテーマは何なのか。
読者にどのように思ってもらいたいのか。
それが明確になるとさらに魅力的な作品になるように私は思いました。

読ませていただきありがとうございました。

オスカー三世
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神楽堂 様、貴重なご感想ありがとうございます。
自分ではハッキリ分からなかった改善点が見つかり、とても勉強になりました。
テーマ…大変ですが、よく掘り下げてから書いてみます!

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

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