作家でごはん!鍛練場
一平

わらし

 
 詩織がやってきたのは、店内に流れる音楽が映画タイタニックのメドレーに変わってしばらくしてからだった。約束の時間より早く入店した僕は、主人公とヒロインの出会いと、詩織との出会いを重ね合わせながら、すでに一杯目の珈琲を飲みほし二杯目を飲みはじめていた。
 僕に気づき、俯きかげんに近づいてくる。襟元の広い黒のTシャツに、同色の水玉模様のフレアースカート。黒を基調としたいつも通りの服装だったが、なぜか醸しだす空気に以前とは違う重さも感じられる。式も直前に迫っているというのに不安に駆られなくもない。店内の曲は、僕の心情を映しだすよう緊迫度を高め、氷山へ近づく場面に突入した。
「遅れてごめんなさい。母のことで話し込んでいて」
「いいんだ。僕も来たばかりなんだし」
 横を見ると、含み笑いを浮かべて店員が立っていた。気まずくなり「雨が降ってきそうだね。傘、持ってきた?」と、たわいのない会話ではぐらかす。けれど詩織はまったくの無反応。
 もしかしたらマリッジブルーに陥ったのかもしれない。ふと、不安になった可能性もある。確かに僕は三十三歳で要職に就いているが、せんじ詰めれば斜陽の一途をたどる本屋の書店員でしかすぎないのだ。詩織が懸念を抱くのは当然だった。
「話というのは?」
「じつは、さとしに返したいものがあって……」
 詩織は少し口ごもり、バッグから見覚えのある小箱を取りだした。それは半年前、僕がジュエリーショップで購入した指輪のようにも見える。
 まさか……婚約解消? 困惑を隠せずに小箱を開けてみると、これっぽっちも疑いのない婚約指輪がそこにあった。
 愕然とした。式は十日後だ。旅行のチケットだってとどいている。曲は氷山にぶつかり、船が沈没する場面に移った。詩織と映画、両方向からバイオリンの切ない哀愁が入り込んでくる。
「どうして……」
 僕は訊いた。詩織は今にも泣きだしそうな目をさせ、「ごめん」とつぶやいた。バイオリンはさらに哀愁を掻き立てるよう哀しいパートを弾き続ける。
「反故にしてほしいの。わたしは、あなたに相応しくない女だから」
「相応しいさ。だからプロポーズをしたんじゃないか」
「それには感謝してる。でも幸せって脆すぎるのね。こんなに簡単に崩れるとは思ってもいなかった……」
 詩織が言うにはマリッジブルーではなく、女手一つで育ててくれた母親が脳梗塞で倒れたことが理由らしい。かなり重症らしく、今後も介護なしでは生活がままならない状態だという。まして事情があって故郷を飛びだした母親には今現在身寄りが詩織しかいなかった。そのため短時間で高収入を得られる風俗の道を選択したようだ。
「別にそんなところで働かなくても、二人で、お母さんの面倒を見ればいいと思うけど」
 詩織の母と初めて会ったときの印象は、北国育ちのせいなのかとにかく控え目で気弱そうな感じだった。でも何度か話をするうちに、ああ、この人は弱々しく見えても芯の強い女性なのだなと思い直した。だから殺伐とした都会で、誰の力も借りずに一人で詩織を育て上げられたのだ。
「そうはいっても二人で暮らせないのよ。障害を抱えた母と三人で暮らすの。そんなこと、あなたにさせられない」
「かまわない、家族になるんだから」
 僕は失いたくない一心で食い下がったが、詩織は頑として応じなかった。
 きっとぎすぎすした未来が見えていたのだ。家族に手のかかる病人がいれば、最初こそ親身になって介護の手伝いができても疲れてくれば面倒くさくなる。特に凡庸な僕にはそれが顕著だと映ったのだろう。だったら相手を嫌いになる前に別れる、それが詩織の導きだした答えだ。
 出された珈琲に口も触れずに席を立つ。僕の目を見て何かを訴えかけるよう唇を噛み、去っていった。選んだ職種はたぶんキャバクラ、そしてこれから面談に行くのだ。詩織が唇を噛むのは、迷った末にする決意のサインなのだから。
 扉の先に姿が消えると、店内のメロディはいつのまにかオーケストラによる漂流場面に変わり、寂しげに物語の終わりを告げていた。
  
 やむ気配のない雨が静かに降っていた。僕は傘をさすことも忘れ、やりきれない思いで駅に向かって歩きだした。ロータリーに着いてもなぜかすぐに電車へ乗る気になれず、雨に濡れない場所を探して行き交う人々を眺めていた。
 同じように傘もささずに歩いている人がいる。見ようによっては思いつめた表情ともいえるし、もしかしたらあの人も僕と同じで苦悩を抱えているのかもしれないとか。足取りがしっかりしているので傷は癒えかけているのだろうと、あっけなく消えてしまった負の感情を押しつけていた。
 その後も三十分あまり人を観察していたら、雨で潤う紫陽花の横に、ひどく郷愁を誘う少女を見つけた。故郷でひと夏を共に過ごした同い年の奇妙な少女、クルミ。面影が酷似していたのだ、本人と見紛うばかりに。
 でも他人の空似だとすぐに否定した。
 なぜなら僕は中年の域に差しかかった三十三歳、とうぜんクルミも少女から大人の女性になっているはずだ。それなのに容姿が当時のままだというのは、いくら年齢にからくりがあるとはいえ腑に落ちない。やはり僕の思考回路は視覚も含めて相当異常をきたしているのだろう。
 いずれにせよクルミと過ごしたのは、ここから四百キロも離れた、ひなびた山村といっても過言のない故郷の町。ことあるごとに騒々しい都会が好きになれないと言っていたクルミが、こんな場所にいるはずもなかった。
 逡巡していると目が合った。一瞬、視線を宙に浮かせたものの、すぐにぎこちないというか不慣れな笑みを返してきた。その懐かしい仕草で、僕はそれまでの疑念をすて少女をクルミだと確信した。
 いくら年月が記憶をうすめようと、クルミと過ごしたひと夏だけは鮮明な記憶が残っている。それほど鮮烈だったのだ。だからその夏、僕たちは僕の部屋で共に暮らし絶えず一緒にいた。
  
 クルミが歩いてくる。雨をまったく気にせず、軽やかに赤いワンピースの裾をひるがえし近づいてきた。
「久しぶりだな、さとし」
 相も変わらぬつっけんどんな口調に、懐かしさを募らせるなんておかしな感覚だと思う。けれど悪意の感じられないトーンに、今も妙な心地よさがある。見た目の違和感は消えそうもないが。
「どうして、ここに……」
「お前のテレパシーを察知したんだ」
「僕のテレパシー?」
 クルミが奇妙な少女だというのは知っていたし、存在も人によっては必要だということも認識していた。けれど、結果として僕の家庭に不幸を招いた張本人であることは事実だ。だからこそ決別したのだし、そんな人間にテレパシーを送るわけがない。
「さっき、水玉模様のスカートをはいた女性が駅の中に消えたぞ。おそらく目的地は吉原だ」
 吉原? だとすれば、職種は僕の想像の範疇を超えている。
「どうして、その女性のことを僕に言うんだ。水玉模様のスカートをはく人なんてざらにいる」
「だったら他人か」
 答えられなかった。クルミは嘘をつかない女。普通の思考では理解できない不思議な力を持っていた。なら詩織が吉原に職を定めたのも事実なのかもしれない。となれば僕と詩織も、喫茶室で聴いたタイタニックのように悲恋としてピリオドを打たれてしまったのか。それを解明するには、クルミと出会った十三歳の夏の記憶をたぐり寄せることしかないと思った。
  
 
 当時僕は、すし職人の父とパート勤めをする母、そして高校生の姉と裕福ではなかったが特にこれといった不満もなく暮らしていた。もちろん父と母が僕と姉のことを中心に考え、自らの贅沢を戒めていたからだ。のみならず、僕と姉がその貧乏な生活を受け入れ高望みをしなかったことも要因の一つだと思う。
 それでも生活は困窮していた。姉の大学受験が迫っていたのだ。
 僕と違ってできのいい姉は、進路指導の先生から県内のA大学を勧められていた。ただ、一応公立であっても入学金などで初年度の諸費用は百万円近くかかる。昨今のコロナ騒動で客足が激減し、その後も活気の戻らない店で働く父親の給料では、日々生活するのが精一杯で到底叶えられそうもない学費だった。そのため姉は飲食店でバイトをはじめ、帰宅するとそのまま夜遅くまで机に向かっていた。
 そんな家族の苦労をよそに、ひとり僕は十三歳の夏を満喫していた。中学校の裏手にある広大な森の一角に、親友のミツルと秘密基地をつくり一日中遊び惚けていたのだ。
 校舎の裏手には町を縦断する大きな川の支流が行く手を遮っており、森の先は小高い山々が連なっていた。周囲には学校以外に家もなく、森へ渡る橋もかなり遠回りしないとなかった。
 また森にはクヌギの木が密生していて、僕らはカブト虫やクワガタ虫を捕まえては町へ売りに行った。その得たお金で木の上に砦をつくり、二人だけの秘密基地を完成させたのだ。枯れ枝と購入した板を麻縄で縛っただけの粗末な小屋ではあるが、僕たちは有頂天だった。森の番人気どりで双眼鏡を覗き、ときおり侵入してくる狸や野犬を、松ぼっくりを弾にした手製のパチンコで追い払っていた。
 そんな折、川沿いの道を軽やかに歩く人の姿を見つけた。こんなところに誰だろう。そう思い双眼鏡を向けると、赤いワンピ姿の少女が何かを追いかけるよう手を伸ばしたり、小走りで跳ねたりしていた。ミツルも目にしたようだ。僕の袖をつかみながら、青ざめた顔をさせて話しだした。
「さとし、お前……この森に狐が住んでいるのを知ってるか」
「何だよ、いきなり」
「いいから答えろよ」
「見たことはないけど、山のほうにねぐらがあるって聞いたことはある」
「あいつがそうだぞ。だって俺たちと同じぐらいの年なのに、今まで見たことがないからな」
「でも人間だよ。しかも超可愛いときてる」
「ばかだな、狐が化ける人間は美人と相場が決まってるんだ。もし……」
「もし?」
「言わねえ。だけど近づかないほうがいいぞ。近づいたら最後、素っ裸にされて尻の毛までむしり取られるからな」
 少しも説得力がなかったが、僕はミツルの話をちょっとだけ信じた。というのも、少し目を離した隙に少女の姿が忽然と消えていたからだ。
 
 日が西へ傾きだした頃、ミツルが時計を気にして急にそわそわしだした。きっと塾の時間が迫っているのだ。
「あ~ぁ、行きたくねえな」
「行ってこいよ。もう少ししたら僕も帰るから」
 ミツルの家は市営住宅暮らしの僕の家と違って、中流。だから常日頃成績の悪いミツルを何とかしようと思っていた母親は、移住してきた外国人夫婦が英会話塾を開いたことを知り、せめて語学力だけは身につけてほしいと入塾させたらしい。
「しょうがねえな。さぼると、おふくろ鬼だし、俺行くわ」
 とたん僕は手もち無沙汰になった。行動力のあるミツルがいてこその番人であり、一人だと案外やることがないんだなと実感した。さがせば鳥や虫の観察とかいくらでもあるのだろうが、いかんせん凡庸すぎて気力がついてこない。
(そういえば、川沿いの道を歩いていた少女はどうしたろう)
 ふと、忽然と姿を消した少女のことが気になりだした。
 思い立ったが吉日。少し時間が経ってしまったけど行動することにした。もしかしたら、まだあの辺りにいるかもしれないのだ。木に縛りつけた梯子をするすると降り、川沿いの遊歩道へ急いだ。
 川岸にはツル科とイネ科の水草が密生していて、幅一メートルほどの道を挟んだ森側には熊笹が覆っていた。しかもほとんど人の通らない道は遊歩道というより小径といったほうが近かった。僕は、遠慮知らずに伸びる雑草を足で踏みつけ進んだ。
 一キロほど歩くと橋のある分岐点にたどり着いた。この橋を渡れば僕たちの暮らす町がある。でも僕は橋を渡らずに川沿いの道をもう少し行ってみようと思った。見つけるのはもう無理と半ばあきらめていたので、特に根拠はなかった。あるとすれば時間だけ。
 そのうち西の空が真っ赤になると森は遠ざかり、名ばかりの遊歩道も熊笹も消えて畦道との境になった。百メートル先には見渡す限りの田園風景が広がっている。
 そろそろ潮時かなと思ったそのとき、川岸から弱々しい気配を感じた。
(まさか、あの少女?)
 僕は目を凝らして辺りを見まわした。すると背の高い葦が群生する川岸で、少女が身体を半分川に沈ませ倒れていた。
 僕は駆けより、川の水に股下まで浸かって少女を押し上げた。たぶん足を滑らせて捻挫したのだろう。意識の混濁している少女の足首は、夕日と同じで真っ赤に腫れ上がっていた。
 それにしても、間近で少女を見ると際立って美しいのに驚いた。睫が人形のように長いうえに鼻すじが通り、まるで何百年も前の時代に暮らすお姫様を見ているような気にさせられたのだ。そればかりかスタイルもよく、もしかしてほんとうに狐? と思うほどだった。
 
 しばらくすると、少女が頭を左右に振って起き上がった。
「助けてくれたのか、ありがとう。夢中になって蝶々を追っていたら足を滑らせたんだ」
 顔立ちからしっとりした口調を想像していただけに面喰ったが、トーンとリズムは不思議と心地よい。
「でも足を挫いてるみたいだし、歩けないよ。家の人に来てもらおうか」
「その必要はない」
「どうして」
「お前が、おぶればいいだけのことだ。助けた以上責任はある。それに服も濡れていることだし着替えも必要だろう」
 なぜそういう発想になるのかわからなかったが、こんな場所に、怪我をしている少女を残して帰るわけにはいかない。
「いいけど、僕に背負られて恥ずかしくないの」
「恥ずかしいのは、お前だろう」
 図星だった。おぶるというのは少女を背中に乗せて、両手でお尻を支えることだ。まだ異性の身体に手も触れたこともないのに同級生に見られたら何て言葉を返していいかわからない。そればかりか背中に異性の乳房が押しつけられるのだ。どぎまぎして歩けそうもなかった。
「肩を貸すだけじゃだめかな」
「同じことだ。わたしの身体を抱えるように支えなくてはいけないし、より顔が密着する」
「おぶることにする」
 僕は即答した。背負うなら、しまりのなくなった僕の顔を見られないし少女の視線も浴びなくて済む。
 背中に、やわらかい少女の乳房を感じながら立ち上がった。案外軽かった。でも手のひらでお尻を支えるのはさすがに気恥しく、裏返しにして手の甲で支えた。そして道すがら立て続けに質問した。
「君の名前はなんていうの、年齢は?」
「質問の多い奴だな。まあ恩人でもあるし答えるけど、名前はクルミだ。牛乳しか飲まないから自分でつけた。ちなみに年齢は不詳だ。年はわたしにとって大した意味がない」
 年齢不詳で、自分で自分の名前をつけるなんて有りえないと思いつつ、僕はそれ以上何も聞かなった。言ったところでまたはぐらかされるだけだろうし、聞いて新たな謎が生まれるのなら聞かないほうがよっぽどいい。
「あそこだ、あの家に住んでいる」
 クルミが指をさしたのは町いちばんの金持ちの家だった。家というより屋敷、それも大邸宅といったほうが相応しい建物だった。屋根は鈍い光沢の銅板が敷きつめられており、くすみながらも緑色に輝いていた。高い塀とがっしりした門の中にはきっと庭園がある。手入れのなされた松の木が至る所から姿を覗かせていた。
「君はお金持ちの子だったんだ」
「子ではない、客だ。わたしは天涯孤独、生まれたときにはすでに親はいなかった」
 クルミが僕の耳に息を吹きかけながら続けた。「それとわたしを君と呼ぶのはよせ。クルミという名前がある」
「それって、もしかして牛乳からとったとは言わないよね」
「お前は、あながちばかではなさそうだ」
 クルミが一瞬、笑ったような気がした。単に憶測かもしれないが映像として頭の中に入り込んできた。でもそれは、悲惨な戦争で笑うことを忘れた難民の子のような、奇妙というかぎこちない笑みに思えた。
 近くまでくると、門の前に立っていた年配の男がクルミを見つけ慌てて駆けよってきた。僕はそっと膝をまげてクルミを降ろした。
「御帰宅が遅いので心配しましたぞ、クルミ様」
「申し訳ありません。川で足を滑らせて意識を失っていたらしく、この者に助けてもらわなければ、今頃どうなっていたか……」
(へぇ、普段はこんな上品な言葉遣いをするんだ)
 と感心していたら、年配の男が僕に目を当ててきた。濡れて泥だらけのズボンと身なりを見て、すぐに視線を外した。
「それはそれは大変だったでしょう。さあ、爺が手を貸しますので中へお入りください。旦那様が大変心配しておりましたぞ」
 年配の男は僕に礼も言わず、一瞥しただけでクルミを門の中に引き入れた。去り際にクルミが僕を見て、とても寂しそうな目をさせた。たぶんあのぎこちない気がした笑みは、この家のせいかもしれないと思った。
  
 しばらくの間、僕は森へは行かなくなりクルミとの進展もなかった。なぜ行かなくなったといえば、ミツルの母親が僕と森で遊び惚けていることを知り、半ば強制的に図書館通いを命じたのだ。
 最初の頃は一人で森へ行っていたけど、やはり一人だとすることもなく、そのうち飽きてしまった。だったら僕も図書館へ行こう。元々冒険小説好きで、本の世界へ入り込むと時間を忘れて読み耽るタイプだったし、そのほうが有効的に時間を使えると考えた。
 ロビンソン・クルーソーやピーターパン、宝島といった少年ものは小学生のときに読んでいたので、映画だけを見て、まだ読んでいなかったハリーポッターを手に取ってミツルの横に坐った。ミツルはどこから持ってきたのかワンピースを読んでいた。
「こんなところに来て、森は大丈夫だろうな」
「鳥の糞だらけさ。一人じゃ掃除する気にもならないよ」
「隊長の命令でもか」
「無責任な隊長の命令は却下する」
「じゃ、これから行こう」
 とミツルは威勢よく立ち上がったものの、すぐにお尻の穴を両手で押さえて座り込んだ。どうしたのかと周りを見渡すと、僕の後ろにクルミがいた。
「さとし、あのときは悪かったな」と謝り、続ける。「ところでこいつは、なぜお尻を押さえてるんだ。痔でも患ってるのか」
 僕が笑いだすと、ミツルが顔を伏せたまま目だけをクルミに向けた。
「この子、狐じゃなかったのか」
「ああ人間だよ。奇妙だけど」
「奇妙とは失礼だな。不思議と言え、不思議と」
 その二つに大した違いはないと思ったけど、クルミにはクルミのこだわりがあるのだろう。僕はミツルの肩を軽く叩いた。
「この子は不思議な少女、クルミだよ」
 ミツルが頭を上げる。クルミの顔をまじまじと見つめだした。
「ほんとうに人間なのか、すっげえ美人だ」
  
 その後、「どこで知り合ったんだ、どこに住んでるんだ、どういった男が好みなんだ」と、急にしつこくなったミツルを置いて、僕たちは図書館を出た。
「騒々しい場所は苦手だけど、思うことがあって来た」
 僕がとつぜん現れたクルミの意図を聞かないので、焦れたのか、踏切の手前でぽつりとつぶやいた。
「思うこと?」
「まずは町を案内してくれるか。それから説明する」
 さあ、どうしよう。案内しろといっても田舎町、こちら側にはあの金持ちが牛耳る町役場と図書館ぐらいしかない。駅の反対側にかろうじて数軒の商業施設があるだけだ。とりあえず踏切を渡って向こう側へ行くことにした。
 真夏の昼下がり、役場の温度計は三十六度を指している。あまりに暑いせいかほとんど人が歩いていない。サマージャンボ発売中と書かれた宝くじ売り場も開店休業状態だった。それでも商業地区へ差しかかると、数軒の飲食店にパチンコ屋、そしてお目当てのゲームセンターが侘しい飾りつけで営業していた。
「あそこへ入る? でも十分ぐらいしか遊べないよ。僕は五百円しか持っていないんだ」
「お金ならあるぞ」
 クルミが背負っていたリュックを下した。「大きな声を出すなよ」と意味深に言って中を見せた。
 見たこともない大金が入っていた。「これは……」
「屋敷を飛びだしてきたんだ。ついでにくすねてきた」
「それって犯罪だよ」
「心配ない。元々はわたしの金だ。それもほんの一部でしかない」
 リュックに入っていたのが二束二百万円として、それがほんの一部なのだとしたら、クルミの金は天文学的数字になる。天涯孤独の少女がそんな大金を持っているはずがない。どうもクルミの話は咀嚼できないことが多い。
「納得できたか」
「できそうもない」
「煮えきらない奴だな。しかしお前が入ろうと勧め、わたしが入ると決めたのだから従うしかないはずだ。あっ、その前に」と言って、クルミが僕のズボンのポケットに何やら押し込んだ。
「何これ?」
「助けてくれた御礼だ」
「いらないよ」
「どうしてだ」
「だって大人じゃあるまいし、御礼なんか必要ない」
「じゃ、キスのほうがよかったのか」
 その言葉を聞いたとたん、僕は顔に熱を持って思考停止状態になった。煽るかに、クルミが顔を近づけてくる。目が黒く澄みきっていた。その中心にある瞳がとても眩しく神々しい光を放っていた。僕は抗うこともできずに、ただ呆然と立ちつくすことしかできなかった。
 渋々受け取った。封筒に入っているので断定できないが、たぶんお金だ。それも感触からすれば十枚くらいの厚さ。
「さ、楽しめる場所へ行こう。強欲な人間どもに囲まれてきた憂さを晴らしたい」
 少し抵抗があったが、ゲームセンターに入った。まず入口近くにあるクレーンゲームを指さして「やってみたら」と、うながした。クルミは「そうか」と言ってトライしたものの、最初はまったく取れなかった。けれど慣れてくるとコツをつかんだのか、立て続けにクマのぬいぐるみをゲットした。そのときだけはガッツポーズをし、あのぎこちない笑いではなく自然な笑みを浮かべていた。
「楽しそうでよかったね」
「ああ、愉快だ」
 クルミはその後も、太鼓の達人やらポケモンで一喜一憂していた。なかでもチュウニズムにはまったみたいで、最高難度を選択しては夢中で興じていた。僕はやりたくてもできなかった太鼓の達人に時が経つのも忘れて没頭した。
  
 ひと汗を掻いたので、ポケットをまさぐって小銭を取りだしコーラを買った。飲もうとすると、クルミが険しい目をさせて「気をつけろ、あいつの手下がいる」と囁いてきた。
 コーラを口につけたまま視線を流すと、目つきの悪い男がクルミを凝視していた。
「誰なの、あの人?」
「屋敷の主が手引きした、ごろつきだ」
「でも、何かしようとしてきても、ここなら人が大勢いるし大丈夫だと思うけど」
「あたりまえだ。あいつは今じゃこの町の名士、それに人一倍体裁を気にする男だ。こんな場所で襲わせるわけがない。だがここまで登りつめたのは、何ごとにも用意周到だったからだ。おそらく外に数人待ち構えさせている。問題はこの店を出てからだ」
 僕はぞくっとした。こんなときにスマホを持っていたら警察に電話できるのにと、このときばかりは貧乏な家庭を恨んだ。
「あいつらに囲まれたら、二人で戦うぞ」
「あの人たちと……」
 勝てるわけがない。僕はもう一度、男を見た。短髪で顔が浅黒く、いかにもならず者という感じだった。シャツの上から筋肉が盛り上がっているし、そうとう喧嘩慣れしているのに違いない。
「戦う前から怖気づくな。お前は凡庸のせいにして、何事にも真剣に向き合ってこなかった。もっと強い気概を持て」
「どうやって」
「大切な人を守るために、覚悟を決めるんだ」
 大切な人の定義はわからないけど、クルミが傍にいるだけでうれしいのは事実だし、どうでもいい人では絶対にない。
「うん、やるだけやってみる」
 きっと負ける。いやそれだけでは絶対に済まないだろう。血だらけになって地べたに這いつくばるのだと思う。でも弱いのだからあたりまえだ。そう考え、少し覚悟した。けれど膝の震えはとまらない。
「よし、ならこの店に裏口はあるか」
「火事になったときの非常口だったら知ってる」
「そこを抜けて逃げよう」
「逃げるの? どこへ……」
「お前の家だ。ここをしのげば、こっちにも手の打ちようがある」
 僕はクルミの打つ手がどんなものか聞かなかった。ただそれまでの言動から、なぜか安心できるものが感じられた。なら逃げることに全力を注げばいい。僕にとって逃げることはそんなに難しいことではないのだから。
「急ぐぞ、さとし」
 その瞬間、膝の震えがとまり、クルミを守るために心の中で変化が起きたのを感じた。今まで何をするにも先頭に立って向き合ってきたことがないのに、そのときばかりは刑事ドラマの主人公のように勇敢になった気がした。クルミの手を強く握り「ついてくるんだ」と、これまでミツルの二番煎じで甘んじてきたのが信じられないほどの行動をとった。
 そしてすぐに店のカウンターへ行き、「あの人は凶器を不法所持して、危険です。外にも仲間がいたし、襲ってくるかもしれません」と、話を誇張させて伝えた。もちろん肝心の非常口が開いているか、それを確認するのを忘れなかった。
 その後、店の人がどう対応したか知りようもないが、僕とクルミはざわざわしだしたゲームセンターを無事脱けだした。
 外は暗くなっていた。けれどまだ数人の仲間が闇の中に潜んでいる。店の騒ぎを知って、きっと追いかけてくるだろう。僕はクルミの手を握ったまま無我夢中で走った。足音が聞こえると速度を速め、車のライトが見えると物陰に身をひそめながら走り続けた。気がつくと家の近くまで来ていた。
  
「もういいだろう。いいかげん手を離してくれないか」
 僕は慌てて手を離した。「ごめん、忘れてた。あっ、クマのぬいぐるみも……」
「そんなものより、手を打つから耳を塞いでろ」
 クルミが辺りを見まわした。市営住宅までぽつんと外灯が一本立っているだけで、人は誰もいなかった。
「何をするつもり」
「雲を呼ぶ」
 雲? 僕は拍子抜けがした。この切迫した状況と雲があまりにかけ離れていたからだ。呼べるのか、仮に呼びだしたとしてどうする。どう状況が好転するのだ。それよりも警察に連絡して事情を説明するほうが先決だと思っていた。
 そんな僕の気持ちをよそに、クルミは両手を空にかかげて祈りだす。すると少し離れた上空に雷雲が発生し、たちまち星が消えた。稲妻も走り、夜空を切り裂いた。耳をつんざくほどの大音響が轟き落雷した。その間わずか十数秒、事象は跡形もなく消えた。
「終わった、お前の家へ行こう」
 何が何だかわからなかった。確かに耳を塞がなくては痛くなるほどの雷の音はしたが、それは一瞬で、しかも数キロ離れた場所だった。ここには雲も雷も出現しなかった。
「これで?」
「そうだ、これで追ってこなくなる」
(やっぱりクルミは狐だ、いや狸かもしれない)
 そう思いながら住宅の階段を上った。
  
「大丈夫かな、女の子を部屋に連れ込んで。僕の両親は生真面目だから、クルミを家出少女だと決めつけて警察に連絡するよ」
「心配するな、バリアーを張るから」
「バリアー? ということは見えなくなるんだよね。……僕にも」
「おそらく見えるはずだ。煮えきらない奴だと言ったが、足を挫いてまで目論んだわたしの都合もある。それにお前には誠実という武器が備わっている」
「それがバリアーとどんな関係があるの。だって両親は僕より誠実だよ」
「変わらなければな。お前が自慢していいのは、両親と違って変わらない誠実さだ。だからわたしがいくらバリアーを張ろうと、お前は永遠に見続けることができる」
「それって、凄いことなの」
「おそらく」
 扉を開けて家に入った。案に違わず、母親は隣にいるクルミに気がつかなかった。僕は「これ、人を助けた御礼」と、クルミからもらった封筒を渡して部屋に消えた。
 翌日、目を覚ました僕がリビングへ行くと、母親と姉がテレビの前で立ちつくしていた。
「どうしたの。何かあったの」
 僕は、二人が真剣にテレビを見ているので気になった。
「町長の家に雷が落ちて、全焼したのよ」
 姉が言った。母親も「不幸中の幸いね。一人も怪我人が出なかったから」と付け足してくる。
(まさか、これがあの拍子抜けする祈りの正体だったのか)
 僕は部屋に戻ってクルミの姿をさがした。クルミはベッドの端に座って平然としていた。
  
 その日は森を抜けて川の上流まで行った。山から染みでる澄んだ水の溜まる場所で、そこなら思う存分水浴びができるからだ。クルミは到着するなり着ている服を全部脱いで、惜しげもなく裸体をさらした。そして僕に「お前も脱げ、一緒に泳ごう」と誘う。けれど僕はクルミの裸身を興奮して見つめるだけで、服を脱ごうとも泳ごうともしなかった。その様子を見てクルミが言った。「ばかめ」
 暗くなってからクルミと帰宅した。二日目も至って普通で、両親はまさか僕が女の子を部屋に隠し住まわせているなんて、これっぽっちも思っていないようだった。ただ、僕がコンビニの袋に牛乳を入れているのが不思議らしく、怪訝そうに首を傾げていた。
 気がかりといえば、かろうじて四畳半の部屋を確保しているとはいえ夜遅くまで起きている姉の目だ。もしかしたら、ゲームセンターにいたごろつき以上の脅威を感じていたかもしれない。
 僕は気をつかって声をひそめるのだけど、線が細くても豪胆なクルミの言葉は姉に筒抜けだった。ときどき部屋をノックしては「誰と話をしてるの。誰か来てるの」としつこく迫ってきた。朝食のときなどは「おかあさん、さとし女の子を部屋に連れ込んでるかも」と、大きな声で吹聴するしまつだ。母親は笑って本気にしなかったが冷や汗ものだったのは言うまでもない。
 またクルミは夜明けと同時に起きた。畳で眠りこける僕の足をちょんちょんと蹴飛ばすと、しきりに森へ行こうと催促する。
「まだ早いし、朝食を食べてからにしようよ」
「じゃ、それまでかくれんぼでもするか」
 と矢継ぎ早に、顔立ちと反比例するようなことを言いだす。見るとバリアーをとき、まったくの無警戒、まるで童心に帰ったような無邪気さで接してきた。
 それでも「四畳半一間のどこにかくれんぼをするスペースがあるんだ」と僕が反論すると、「なら本を読んでくれないか」と、今度は無雑作に積み上げてあった本の中から遠野物語を引っ張りだしてきた。
 僕は眠たい目をこすりながら受けとった。
  
 遠野物語は、岩手県遠野地方に伝わる謎めいた昔話だ。けれどその話が生まれた背景には人が生き抜いていくのに厳しい現実があったと聞く。僕は地勢から静かに読みはじめていった。
 クルミは目を瞑り、一つ一つ頷きながら聞いている。しかし十七話の座敷童という妖怪の話に入ったとたん、ぶるぶる唇を震わせ動揺しはじめた。でも、まだ座敷童が男の子だったからいいようなもの、山口孫左衛門という家の話になったときには目頭をうっすら赤くさせた。
「殺生なんかするからだ」
 何のことかわからなかったが、読み進めていくと、神の使いである大蛇を家の者が総出で殺したらしい。それも面白半分で。
 僕は、本から目を離してクルミに聞いた。
「その通りだったけど、以前に読んでもらったことがあるの」
 クルミは首を横に振る。
「続きを読んでくれないか。以前、遠野に住んでいたことがあるんだ」
 僕はふたたび本に目を移す。読み進めていくうちにオシラサマの話に入った。するとクルミがまた深刻な表情を浮かべた。
「遠野に限らず人はみな二心を持っている。そのオシラサマは福をもたらす存在であるがため、あいつと同じで、強欲になってしまった家の者にたびたび閉じ込められた」
 へぇー、と僕は驚いた。
「けど、閉じ込められても逃げられないのかな。だってオシラサマなんだから」
「なかには結界を張る者もいるらしい。じつはわたしも、結界こそ張られなかったが幽閉されたことがある」
「それは、あの似非名士にだよね。それも親を亡くしてすぐの頃。あいつならやりかねない」
「そのどちらでもない。遠野に住んでいた頃だからずいぶん前の話だ。わたしが野原で花を摘んでいたら、純朴そうな少年が岩に腰かけて泣いていた。その少年はもの覚えが悪いせいで奉公先から叩きだされたらしく、途方に暮れていた。わたしは少年を慰めようと摘んでいた花をあげた。少年はそれがよほどうれしかったのか『お粥しか出せないけど、うちで飯を食べてくれ』と、自分の家にわたしを連れていった。土壁のひび割れが目立つ、とても貧しい家だった。それなのに家族はわたしを歓迎してくれた。気がつくと、そこの家の客として厄介になっていた。どうやらみながわたしのことを気に入ったらしい。そんなある日、わたしは少年を誘って川へ魚掬いに行った。世話になっていたので魚を捕ってくれば多少でも家計の足しになると考えたからだ。しかし掬えたのは小さな魚数匹だけ。でも代わりに大きな金の塊を数個見つけた。少年の家は一夜にして大金持ちになった」
「なんか、あの金持ちの話と似てるね」
 クルミはその問いには答えず、話を続けた。
「金塊を拾ったことで、きっとわたしが福をもたらす存在だと勘違いしたのだろう。欲に取り憑かれた少年とその家族は、新たな座敷を離れに造り、わたしを閉じ込めた。頑丈な板壁で囲まれた薄暗い部屋で、わたしが発狂しないていどに日の光が漏れていた」
「食事は?」
「貧しい頃と違って豪華な食事を出されたが、わたしはいっさい手をつけなかった。ヤギの乳だけを飲んでいた。楽しみといえば小さな覗き穴から見える風景を眺めることだけ。そんなわたしに変化が起こったのは、満開だった桜の花が散って艶やかな花魁草が咲きはじめた頃だ。とつぜん顔じゅう皺だらけで、歩くのも覚束ない老人がやってきた。最初は誰だろうと思ったが、すぐにわかった。この家にわたしを連れてきた、あの純朴だった少年だ。どうやらわたしの一日は他の人の一年にあたるらしい。だからここで二ヶ月過ごしただけなのに、座敷の外では六十年という月日が流れ去っていたのだ」
「それが年齢不詳の答なんだね」
「そうかもしれないが、そうじゃないかもしれない。実際わたしにもこのからくりがわからないのだ。それはそれとして、どうやって抜け出すことができたのか続きを話そう」
 なぜかクルミが目を険しくさせる。「老人は衣類を手に持っていた。何の意図があるのか、わたしを入浴させるつもりらしい。不安はあったが、わたしとしては座敷の外の世界にずっと恋い焦がれていた。それで文句も言わずに、用心棒を配置させた長い廊下を老人の跡に従っていった。母屋へ入る途中に納屋が見えた。鳴き声も聞こえるし、きっと山羊の小屋なのだろうと思いながら素通りした。脱衣所に着くと、『お前は不思議だ。この顔、この肌、そのすべてが瑞々しいままだ』そう言って老人が一枚一枚わたしの服を脱がしていく。乳房を揉み、秘部にも手を伸ばしてきた。わたしは抗わなかった。ずっと一人で人恋しかったせいかもしれない。しかし入浴が済んで、また廊下を歩いているとき、使用人が面白半分に老いた山羊を殺している場面に遭遇した。そのときわたしの中で何かが弾けた。殺生もそうだが、それまで為すがままに生きてきて、自分の生と真剣に向き合ってこなかったのが恥ずかしくなったのだ。こんな場所にい続けてはいけない、ほかにやるべきことがある。わたしはそれを見つけるために屋敷を飛びだす覚悟をした。そう思ってすぐだ、老人と用心棒たちが騒ぎはじめた。きょろきょろ辺りを見まわして狼狽えだしたのだ」
「どうしたの」
「そういったものがあるとは知らずに、バリアーを使っていた」
「それで、無事に脱け出せたの」
「ああ」
「じゃ、その家は没落したね」
「そうかもしれない」
「ならクルミは、もしかして……」
「その先は言うな。わたしにもわからないんだ」
 その日はそこで本読みを終えたが、僕の心には遠野物語の世界がずっと引っかかっていた。森へ行っても、森の先の水場に行っても、クルミを見る目が微妙に変わっていたのだ。もしかしたらクルミは歌を忘れたカナリヤのように、自分の本分が何であるか答を見つけていないのかもしれない。同時に何者であるかも。
  
 すっかり恒例になった本読みを済ませ、森へ行こうとすると、クルミが新聞を見ろと言いだした。てっきり金だとばかり思っていた封筒の中身は、サマージャンボの宝くじだったのだ。その当選番号が発表されていた。
「一等が当たっていたらどうしよう」
 冗談がてら母親と一緒に新聞を広げ、記号と数字を目で追うとまさかの二億円が当たっていた。
 母親は寝ていた父親を起こして狂喜乱舞する。でも見たこともない大金を手にした二人は、それまでの質素な暮らしを忘れて派手に金を使いまくる。母親が散財した服や装飾品は許せても、父親が酒とギャンブルに狂ったのには辟易した。それだけで済めばいいが、結局若い愛人をつくり、母親とすったもんだのあげく離婚する羽目に陥った。
 僕はそんな両親を見て、純朴だった少年が大金持ちになった話を思いだした。間違いなくクルミには、その家を金持ちにする力が備わっている。でも金は魔物だ。強欲になれば少年や両親のように人の心を失ってしまう。
 僕はクルミに言った。「出ていってくれないか」
「いいのか、わたしといれば金に不自由しないぞ」
「代償が怖いんだ」
「裕福になれるのにか」
「裕福でなくとも幸せになれる」
「変わった奴だな。今までいろんな人間と何度も暮らしてきたが、初めてだ、お前みたいのは」
「貧乏に慣れているんだ」
「そうか。じゃ、お前の望むように消えよう」
 クルミが僕の顔を見て、寂しそうに息を吐いた。
「ごめん」
「気にするな、お前と過ごして楽しかった」
 この言葉がクルミとの別れになった。クルミはさよならも言わずに姿を消した。
  
 
 これが思いだした回想の全容だ。
 そして僕がどれだけのあいだ過去に思いを巡らせていたのかわからないが、クルミは雨に濡れながらずっと待っていた。黒い髪に小さな雨粒が無数に溜まり、長い睫からこぼれ落ちた滴も頬にたれていた。赤いワンピースも濡れて濃彩なエンジに変色している。
「どうだ、答を見つけたか。金が必要なら、幸運が舞い込むまでわたしと暮らせ」
 クルミが値踏みするような目で僕を見る。
 確かにお金があれば、詩織の母の介護費用が賄える。でも幸せはお金じゃないと十三歳の夏にクルミから教えてもらった。
「やめとくよ。問題は僕が真剣に詩織と向き合うことで、お金じゃない」
「それは本心か」
「本心だよ。二度と凡庸のせいにして逃げない。詩織を僕の力で幸せにする」
「彼女がその言葉を信用すると思うか。切羽つまってるんだぞ」
「させるよ。僕にはとっておきの武器がある」
「武器? それは何だ」
「クルミが言っていた変わらない誠実さ。だから、この先どんな困難が餅受けていようと乗り越えてみせる」
「合格だ、お前は成長した」
 クルミが満足そうに僕を見つめ抱擁してきた。濡れた身体なのに、じわじわ温かさが伝わってくる。
 しばらく抱き続けると、クルミは絡めた腕を離して背を向けた。
 僕は「ちょっと待って」と引きとめた。
「何だ、もう心変わりをしたのか」
「そうじゃない。クルミは見つけたの?」
「何をだ」
「本分」
「ああ、それなら二十日前、いや二十年前に格好の居場所を失ったときに見つけた。今夜、お前に会ったのはその仕上げだ」
 クルミが頬にとびっきりの笑みを浮かべた。「もう会うことはないだろう」と中指を突き上げ、名残惜しそうに踵を返した。
 僕はその背に、小声で言った。「きみは、自分が何者であるか思いだしたんだね」
  
 クルミへの未練を断ちきると、急いで改札口へ向かった。早足で階段を駆け下り時計を見た。午後七時三十分、詩織と別れてからすでに一時間以上経っている。向かった先が吉原と想定すると、今ごろ詩織は迷いながら浅草付近を歩いているはずだ。
 僕は電車に飛び乗った。はやる心を、息を何度も吸って落ち着かせ、喫茶室の会話を思い起こした。
 詩織は一度たりとて僕を嫌いになったとは言っていなかった。そればかりか唇を噛みしめて救いのサインを送っていた。僕はそれに気づきながらも行動に移そうとしなかった。
 無理やりにでもやめさせる決意を示さなければいけなかったのにだ。ならクルミに教えてもらった強い気概を持つ。大切な人を守るために、覚悟を決める。
 あのときクルミは、もしかしてこのことが見えて僕に告げたのかもしれない。間違いない、クルミにはこの事態がわかっていたのだ。だから僕に足りないものを、あの緊迫したゲームセンターの中で暗示した。
 僕は詩織に電話した。けれどなかなか出ない。もしかして液晶画面の名前を見て、躊躇しているのだろうか。それともすでに過去の男になってしまったのか。時間だけが刻々と過ぎていく。
 と、不意に呼び出し音がとまった。か細い声が聞こえた。僕は震える声を抑えながら言った。
「今、どこ?」
 詩織が口ごもりながら答える。「浅草……」
「今、そこへ向かっているから待ってくれないか。僕は大切なものが何であるか思いだしたんだ。どんな状況になっても心は変わらない。式だって旅行だっていらない。詩織のそばにいて、詩織とお母さんを守れればそれでいいと思ってる」
 なおも僕は懸命に訴えた。「詩織がいちばん大切な人なんだ。だから一人で詩織を育ててくれたお母さんを、二人で守ろう。恩返しをしよう」
 スピーカーから詩織のすすり泣く声が聞こえてきた。いつのまにか雨がやんでいた。
 
 
 
      了

わらし

執筆の狙い

作者 一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

80枚書いて50枚に削りました。特に冒頭は、ああでもないこうでもないといじりまくりました。

吸引力のない作品なので、最後まで読むのはつらいと思われますが、読めたところまでの感想を頂けると嬉しいです。

たぶん冒頭で挫折されるような気が……

コメント

浮離
KD111239168137.au-net.ne.jp

この調子では50枚なんてとてもではないですけど読めるわけないレベルの普通の読者です。

端的には、“タイタニック、必要ですか?“ なんて、そんな言い方一つに、この作品が抱える問題か課題のようなことは集約できる気がするんですけど、伝わるでしょうか。

伝わらないなら、残念ですけどあなたの熱心な執筆活動ははっきりと無駄骨です。

読む力がないと、正確に書くことは出来ない。
っていうのはもちろんあたしという一読者のごく個人的な見解というか揺るぎない決定、っていう遠慮してるのか図々しいのかよくわからない言い草なんですけど、多分まちがってないはず、ってことだと理解してもらえたなら有難いなと。

その根拠は? と問われればもちろん、“この作品の有り様そのものですわかんないですか?“ って酷い答えを憚らずぶちまけてしまうので聞かないで欲しいんですけど、もう言ってしまったのでつまりそういうこと。

書きたい場面や気持ちがあるのはわかるんですけど、それを客観的に“読める“ことが、あるいは“書ける“ってことだと個人的には思わないでもなくて、そんな意味においてこの作品っていうのはどんなにこねくり回してみたところで書き手自身の“客観性”というものが覚束ないらしいことには何度こねても繰り返しても無駄でしょう、という現状そのままの有り様のはずだよな、ってことだと思うんですね。

“タイタニック、必要ですか?“

って、そんな“客観性“一つで、書き手はこの作品、っていうかあたしはアタマの章だけでギブアップだからたったそれだけの分ってことでもいいです。
それ以降に言い訳の余地が残されてる気がするのは書き手の勝手だし思い入れでこそあるんだとは思うんですけど、読み手をそこまで案内できないなら、結局それってどこか足りないか間違ってるかしてるだけだと思うんですよね。

一定水準に満たないもの、として限った話をしてるから勘違いしてほしくないんですけど。


ちょっとくらいはまともに“小説“的な向きで話すなら、例えば“必然性“を感じないだとか。

わかりますか?

タイタニックばっかじゃないですよ、黒Tに水玉スカートだってあたしはそれ必要な情報? って思ったし、必要ならもっと素敵な装いを授けたい気がしちゃいますよね、結婚年齢の魅力的な女の人のファッションセンスとは思えないし、なんならあたしなんか“コップのフチ子っぽいセンス“だとか寄るべもないこと考えちゃったりしたくらいで。

勘違いしてほしくないんですけど、それって馬鹿にしてるでもなんでもなくて、むしろ“情報“として致命的なことだと思う、って話なんですよね。
だって、お話に素直に没入できないってことでしょ? 情報として読者の想像の足引っ張ってどうするんですか。
水玉であるべき事情がこの先語られるのかもしれない、でも別にいいんですけど、そんなことさえ“先入観“ってことを意識してデザイン出来てるのかなって、やっぱり信用できない印象としてあたしは“ダサいだけ“って処理したくなります。


お母さんの介護が大変だから吉原行きますごめん。

っていうのも、平板通り越して今どきとしたらもはやコンプラ抵触の可能性も否定できないかもしれない角度の設計の仕方だと個人的には感じさせられなくもないだとか、とはいえもちろんそんな冷静な観察を余裕で振り切る“古臭さ“っていう退屈さがなにより読者の興味と信頼をこてんぱんに叩き潰してくれる気がしないでもないだとか。
同じ設定で同じこと書いても、陳腐なコンプラ違反になるか、リアリティに落とし込めるかはやっぱり書き手のデザイン次第であって題材の是非ではないはず、ってことこそ感じさせられるわけで。

もちろん最後まで読んでない人がそんなこと言ったらダメなのはわかるんですけど、それも程度問題だと思うんですよね、個人的には。
言える人と、言えたものじゃない馬鹿の区別はあって当たり前、っていう感じの悪さにおいて言い逃れるつもりなんてこれっぽっちもない話。


ちゃんと先まで読みたくさせる、読ませる水準の書き方になってないです。

原稿用紙五枚でいいから、書きたい文章をちゃんと正確に書けること。
正しく書くために必要な基本的な技術、その認識や観察する力を身につけること。

そのためにまずやることっていうのは、書くことじゃなくて“読む“ことのはずなんですよね。
“ちゃんと読める“っていう前提が、“書く“っていうその最低限を実現してくれるっていう当たり前の構造をあまり甘く見ないほうがいいって個人的には当たり前に思うわけなんです。


あたしがあちこちで他の人の感想の揚げ足をとるのは、嫌がらせでもこれみよがしのマウントでもなんでもなくて、“そんな程度じゃ意味ないから“っていう冷や水くれてるだけなんですよね。
それで腹を立てるのは、馬鹿とど下手クソだけですし。

あたしがエラいんじゃなくて、あたし以外のほとんどがボロいだけ、って言ってるだけなので勘違いしたらダメです。


>特に冒頭は、ああでもないこうでもないといじりまくりました。

その結果のこれかよ、ってあたしは思ってます。普通に。
全然正しくいじれてないはずなので、やり直しましょう。

50枚なんてはっきりと無駄骨ですから最初の章だけ十分です。
それだけでも一つのお話を作れるのが“小説“ってことだと思うし、それができるまで残りは無理だから諦めること。
っていうか黒歴史のつもりで忘れちゃってもいいと思う。


頑張ってください。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

浮離さん、感想ありがとうございます。
 
じつは以前にも感想をいただいたことがあります。ぬいぐるみの見える姉妹の物語で、やはり今回の服装と同様、ソバージュのことについて教えてもらいました。もちろん感想も書きました。当時掲載されていた、ネット上で善人(占い師?)を演じている女性の、気持ちが揺れ動く物語と記憶しています。ダメ彼氏に対する葛藤、行動、外にも内にも世界が広がっていく深いストーリーだったような気がします。
 
で、今回いただいた感想についてですが。
 
>端的には、“タイタニック、必要ですか?
・BGMと主人公の置かれる立場をシンクロしたかったのです。
それでなぜタイタニックにしたのか。それは大ヒットした映画なので読み手がイメージしやすいと考えたからです。でも指摘されたように失敗なのでしょうね。
 
>書き手自身の“客観性”というものが覚束ない
・これはBGMにタイタニックを取り入れただけでなく、自分の課題です。おそらくここの鍛錬場に作品を掲載されているほとんどの人に言えることだと思います。
ただ冒頭の書き方が間違っていただけで、この場面は重要なのです。この場面があるから物語が発生したからです。一つには伏線であり、中盤、終盤において回収されていくストーリーでもあります。
ですがもう少し客観性があれば、この冒頭の伏線だけを残してエピソードを変えられたのにと悔やみます。
 
>フッションセンス
・これについては以前、女性のソバージュのことを、男のパンチパーマなんだよと教えてもらいました。
黒いTシャツに水玉模様のフレアースカート、確かにヒロイン(自分も)センスありませんよね。これは夏服の画像を検索して、モデルさんのイメージとヒロインのイメージが似通っていたから取り入れました。
でも自分としては一般的なファッションではなく、あまり人がはかない水玉模様のスカートが必要でした。
「ジーンズをはいた女性が駅の中に消えたぞ」
これでは物語としてインパクトがないのです。主人公に伝わりません。
 
>意識してデザイン出来てるのかなって
・センスがないということですよね。それはわかる気がします。
確かに介護費用をまかなうために、短時間で高収入を得られる風俗へ転身するのは安直だと思います。これについては客観性の話に戻りますが、これしか思いつかなかったというのが本音です。情けないですが。
でも普通の職場では介護費用も賄えないし物語が進展しない気もしたのです。ご都合主義かもしれませんが。
 
>その結果のこれかよ
・残念ですけど、その通りです。
やはり読書量が足りていないのかもしれません。以前は週に二冊必ず読んでいたのに、今では月に三、四冊、週に一冊も読んでいないのです。それも好きな作家は全作読むのに、今自分が必要とする作家の作品は手に取りません。これからはジャンルの違う作家の作品も読んで、別方向から物語を創造できればなと思います。
 
ありがとうございました。
またいつか話ができれば嬉しいです。

浮離
KD111239168137.au-net.ne.jp

じゃあせっかくなので、もうちょっとお話してしまうんですけどこれもタイミング良かったっていうあなたのラッキーになれ、みたいなやつのつもりで。


やっぱ伝わんないですか、も仕方のないことであたしももう少し自覚するか伝わるように書けかとも思うんですけど、タイタニックが悪いとか要らないって言ってるんじゃないんですよね。
書いてもいいんだけど、書くための認識が備わってないんじゃないかなあ、って読み取れるよっていう話をしたかったんですね。

タイタニックのせいで、語りの視点がブレてるんですよ。
わかる人にはすぐわかることだし、これってけっこう致命的なこと、基本的な観察点だと思うんですね。
わからないかもしれないんですけど、書き出しの章しかあたしは読んでいないんですけど、そんな短い中でも多分なんですけど、視点で分けると語り手は三人くらいいるんですよ。
それにはそれぞれの理由があって。

意味わかりますか?

入口として基本的な“一人称“の難しさって、まずはそういう語りの“視点“からバレるものだと思うんですね。
書きたいことはわかるんですけど、その書きたさに“視点“っていう意識が完全に負けちゃってるんです。
書きたい都合に付き合わされちゃってる、ってことだと思うんですけど、それって単純に“わかってない“ってことでしかないはずなんですよね。
それを“わかってなくない“とするその根拠をそれぞれに提案して規定したかったのが、ついこの前やってた“視点談義“ってことで、あれって実は結構レベルの高い話で、つまり現状このお話はそういう視座に立てていないということだと思うんです。


“視点“って一口に言ってしまうとただのカメラの話みたいに考えてしまう人って少なくないと思うんですけど、そうじゃないんですよね。
“視点“が限られるっていうことは、そこから見えるキャラクターすらも限定してしまうことですらあって、ものすごく手段や角度として限られるし、だからこその面白さ、上手さでこそあるはずだと思うんです。


ということは、このお話のいろいろ手にし損ねている点っていうのは、結構少なくないはずってことが考えられるんですね。

わかりますか?
伝わるといいんですけど、“タイタニック“っていう不可抗力を見咎められることに気づけないっていうことは、書き手という立場からも、読み手という立場からもその“楽しさ“、想像する余地っていうものを反故にしちゃってるってことだと思うんです。
みすみす放棄しちゃってるんですよ、書き手自ら。

あたしは誰にも負けないくらい一人称にうるさい人だとは思うんですけど、そこまで追い詰めるまでもない基本的な過失であるはずなんですよね。
それって責めてるんじゃなくて、もっと楽しめる余力があることに気づいて欲しいです、っていう
“ススメ“のつもりなんですけどなかなか伝わりにくいですか。
味わえてないと思うんですよ多分。
もったいないじゃないですか? そういうのって。


伝わるのなら、試しでもこれまでとは違う意識で取り組んでみて欲しいです。
っていうか、さっさと変えて気づくべきだと思うし。
きっと今とは比べ物にならないくらい窮屈かもしれないけど、自分が想像する世界にもっと上手に手が伸ばせると思うんですよ、育てるみたいに楽しめるはずだとか。



お返事は要らないでえす。


じゃあな。

読む力がないと、正確に書くことは出来ない
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単純に誰もが思ってる当たり前のことです。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

「が」と「は」でしたら、よくやらかしてしまうのでそのことでしょうか。
というより、このぐらいいいだろうと安易に使ってしまいます。それが読み手に不快感を与えているとも気づかずに。
でも、もし違う箇所でしたら完全にわかっていません。
 
伝言板、見てきました。
ののあドールさんですね。読んでもっともだと思いました。それで見ていないものを描写していないかチェックしてみました。喫茶室ではありませんでした。
だったら、やはり「が」と「は」なのでしょうね。
修正をしてどのように変わるか読み直してみます。
それと違う箇所であっても答は言わないでください。自分で見つけるつもりなので。
 
うといので、せっかく頂いたアドバイスが無駄になるかもしれませんが、丁寧にありがとうございました。返信は本当にいりません。

浮離
KD111239168137.au-net.ne.jp

これは書き手への書き込みじゃないから気にしないでください。



受け売りしかできないのクソ真似こじき馬鹿生えてるんですけど、有り難く見かけたものパクるだけならそんなもんこそ誰でも一緒なの

履き違えんな馬鹿



当たり前こそ難しいんだし、それを自ら積極的に具体的に言語化できないなら、わかってないのと一緒なの
このクソこじきが反射で下衆の本性晒しやがってみっともない


鈍臭いだけの馬鹿がみすぼらしいことばっかで強がりたがるな卑怯者

クレヨン
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 一平さん、拝読しました。

 ところどころでずれてるな、って思うところがありました。特に人の心情に関するところです。風俗のところとか、例をあげたらきりがないってぐらいありました。キャラクターの過去とか、好き嫌いとか、悩みとかを考えたうえでその状況でそういうことを言うだろうかって考えてみると、ちょっと違うってところがたびたびありました。

 あと気になるところがあるとしたら、女性の心理(男だから言うほど知りませんけど)でちょっと納得いかないところがありました。女性も男性もおんなじ人間で、異性に対する感情も多分似てると思うんです。だから男性が女性からされたら嫌なことは男性から同じことを女性にしても嫌だと感じられると思います。女性脳男性脳とかも存在しません。脳梁の太さが違うなんていうのはサンプル数十七から生まれた迷信です。

 あとはひとつ誤解されそうなので訂正しておかなくてはならないところがありますが、この作品は退屈な作品ではないと思います。ちゃんと面白い作品だっていう自信をもったほうがいいと思います。

 物語の進むテンポがよくて、ところどころ目をひく箇所もありました。二人の少年を登場させて対照的な人生を歩ませるところとかは面白かったです。

 

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

クレヨンさん、粗だらけの作品に感想ありがとございます。
 
>ところどころでずれてるな、って思うところがありました。特に人の心情に関するところです。風俗のところとか、例をあげたらきりがないってぐらいありました。
・恥ずかしいです。でも、その冒頭のほとんどが計算づくといっても信用なさらないでしょうね。説得力がありませんものね。ですが冒頭は、とにかく主人公を凡庸にすることに力を注ぎました。そして変わる。その変化を見てほしかったのですが、躓かせてしまいました。
 
>あと気になるところがあるとしたら、女性の心理(男だから言うほど知りませんけど)でちょっと納得いかないところがありました。女性も男性もおんなじ人間で、異性に対する感情も多分似てると思うんです。だから男性が女性からされたら嫌なことは男性から同じことを女性にしても嫌だと感じられると思います。
・正直、ここまで考えていませんでした。人物設定をしっかり作り込んだと思っていたのですが、客観性ですね。それが欠けていました。たぶんそれで読むのを断念した人が多くいるのでしょう。どうしたら身につくのかわかりませんが、とにかく本を読んで盗もうと思います。
 
>あとはひとつ誤解されそうなので訂正しておかなくてはならないところがありますが、この作品は退屈な作品ではないと思います。ちゃんと面白い作品だっていう自信をもったほうがいいと思います。
・ありがとうございます。冒頭がこんな状態なのに、少しでも良いところを探そうとする気持ちに嬉しくなります。
ありがとうございました。感謝をこめて。

通りすがり
119-173-128-20.rev.home.ne.jp

一平さま「わらし」を拝読いたしました。

吸引力。あると思いました。
ないなら作る、少ないなら増やしましょう、引力。
80枚を50枚に削ったそうですが、くるみとの出会い、交流が細かく書かれて、
今現在の主人公のこと、フィアンセの窮状、別れ、ラストなどが駆け足ぽいので、
削ったのはその辺かなと。
80枚を50枚にするんじゃなくて、生き生きしたディティールを
増やして、100枚にしましょうよ、と思いました。

自分は冒頭の「タイタニック」いいと思いました。
ですが、「タイタニック」、「ハリー・ポッター」は時期を特定しすぎてしまうので、
文学史に残り、児童文学の定番の「宝島」「トム・ソーヤ―」みたいのは
そのままでいいと思いますが、割と最近のものは、大ざっぱなあらすじを語らせ、
さらにアレンジを加えて(こんな映画あるの? お話あるの? 知りたい)と
思わせぶりなくらいでいいかなと。

ぱっと見た感じの字面が純文学寄りかなと感じましたが、
内容は、中間小説~ラノベっぽいかなと。
もっと面白くできると思いました。
用事でこれから出るのですが、あらためて、述べさせていただきますね。
どこかに応募しませんか?

積ん読にしていた「雲の上で散歩」(集英社文庫)にとりかかったのですが、
一方的に恋人に去られた男女が出会って~みたいな話のようですが、
こちらの作品も、偶然、そういう風かなと思いました。
もっといろいろ濃く、良くできる作品ではないかな、と。

前の方とのコメントにある、ぬいぐるみと姉妹のお話も読みたいと
思いました。力作、おつかれさまです。ブラッシュアップなさるなら楽しみです。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

通りすがりさん、感想ありがとうございます。
 
吸引力あるんですか? 何か信じられないお言葉です。
でも、ないならつくる。そういうことですよね^^
読んでいただいた浮離さんとクレヨンさんの返信にも書いたのですが、どうしても自分よがりの方向へ行ってしまうので、本を読んで客観性を身につけようとしているところです。
 
30枚削ったのは、詩織の母親と三人であったときのエピソードと、無駄な文章、無駄な描写です。それで50枚に圧縮しました。ラストはそのままです。あっさりを心がけました。
 
えっ、100枚? どうなんでしょう。その枚数に耐えうる物語でしょうか。
じつは前作が継ぎ足し継ぎ足しで失敗したばかりなのです。だから今回は書けるだけ書いて削ろうと思っていました。それによって現在と回想のバランスが崩れたのは否めませんが。
でも書きたかったのは、読ませたかったのは、タイトルでもあるようにわらしのことです。
少女クルミは主人公に悟らせるようにいろいろ仕向けるのですが、じつはクルミも主人公によって救われていたという物語です。
 
ジャンルについてはわからないと言ったほうが正解でしょうか。ただ、純文学ではないと断言できます。目指しているのは恩田陸さんかな。端麗な文章でありながらファンタジックでもあり謎も多い。素晴らしいと思います。
 
ブラッシュアップ、自分にできるのでしょうか。浮かぶものはありますけど……。
それとぬいぐるみの物語でしたら、短いのでこの感想欄に載せましょうか。五分もかからずに読めてしまいます。人に読まれることもなく、ずっとお蔵入りしていたので読んでいただけるのなら嬉しいです。
 
忙しいところに感想を頂き感謝しています。ありがとうございました。

ラピス
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一読して感じたのは描写が殆どないなあ、と。地の文(台詞以外の文章)がほぼ説明になってるんですよね。
それから、誰がこのように思ってると解説し過ぎてます。読書の楽しみは台詞や描写を読んで「ははーん、Aは〇〇と思ってるんだな」と予想することでもあるのです。

冒頭のタイタニックは必要でしょうが、手垢のついた映画なので、掴みとしてインパクトに欠けます。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

ラピスさん、感想ありがとうございます。
 
>一読して感じたのは描写が殆どないなあ、と。地の文(台詞以外の文章)がほぼ説明になってるんですよね。
・言われてみればその通りかもしれません。説明多すぎです。服装、動作、心情などの描写は少しだけ、ほとんど説明でした。
案外気がつかないものですね。いずれこの冒頭はゼロから書き直すつもりでいたので、いいアドバイスを頂いたと感謝しています。

でも自分がもっと気になったのは、「読者の楽しみはセリフや描写を読んで予想することでもあるんです」この部分でした。
完全に頭から抜け落ちていました。でも知っていたのです。自分の悪癖だから。過去何度も指摘を受けたことがあります。描写と説明がくどすぎると。
行間を読ませる技術。ですが、これが難しい。できているのは神楽堂さんの「線香花火」ぐらいでしょうか。自分もいつかは身につけたと思っています。
 
タイタニックについては読み手がイメージしてくれる、しやすいと思って取り入れました。最初はライムライトにしようかと思ったのですが、迷った末にタイタニックにしました。最近の映画は取り入れるつもりはまったくありませんでした。名作でなければ意味がないのです。
確かに最近の映画であれば手垢がついていないかもしれません。でも、仮に10年という長いスパーンで考えると忘れられた映画になっていないでしょうか。
 
自分では気がつかないことを教えて頂き感謝しています。
ありがとうございました。

ラピス
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最近の映画がいいなんて一行も書いてないですよ。手垢のついてない=最新の、と解釈されたんでしょうか? だとしたら違います。
タイタニックよりライムライトが渋くていいですね。タイタニックは知られ過ぎていて、俗っぽいのです。

クレヨン
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 一平さん、再訪失礼します。

 まずは僕のコメントに対して真摯に返信してくださってありがとうございました。そのうえで誤解があるようでしたので訂正させていただきます。

 主人公の言動は計算づくで作ってあるとのことでしたが、僕が言っているのは一平さんのキャラづくりが下手、ってことではないんです。そもそも人の感情って計算では動かないじゃないですか。一平さんが僕のコメントを読んで何を感じるかっていうのって、計算は関係ないですよね。それと一緒で、主人公だって計算だけで動かないはずです。

 凡庸な主人公が変わっていく、っていう流れは面白いです。ただ凡庸さを出すなら環境とかスペックで出すべき(作中のように貧乏であるとか、スポーツできないとか)であって、主人公の言動に関しては彼ならどうするか、ってところをくみ取るべきだと思うんです。凡庸で多感な思春期の少年、なんてカテゴリは存在しません。他人がそういう風にカテゴライズして人間性を否定するのは仕方ないとしても、それを生みの親がやるのはよくないと思います。

 あとは女性心理を知るために本を読んで盗む、ということですが女性の書いた漫画とか本を読むといいかもしれません。確かに脳の構造自体は男女で差はありません。しかし生きてる状況は違います。男は女子トークに参加することなど一生できませんし、男から色目を使われることもあまりないと思います。そういうのを知るためにはそういうものを経験した女性の視点は不可欠だと思います。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

ラピスさん、再訪させてしまい申し訳ありません。
 
はい、勘違いしていました。
やはりライムライトのほうがよかったかもしれません。バイオリンの音色がとにかく悲恋を誘うので。
恋愛をテーマにした名作映画、ほかにも探してみますね。
 
ありがとうございました。
 

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

クレヨンさん、再訪ありがとうございます。
 
>主人公だって計算だけで動かないはずです。
・冒頭の主人公がまさにその通りで、凡庸とした計算以上の動きはしませんでした。ですので冒頭がつまらないのはキャラが作者に創り込まれただけであって、自ら動いてくれなかったせいだと思います。ここも言われるまで気がつきませんでした。
 
>凡庸な主人公が変わっていく、っていう流れは面白いです。ただ凡庸さを出すなら環境とかスペックで出すべき(作中のように貧乏であるとか、スポーツできないとか)であって、主人公の言動に関しては彼ならどうするか、ってところをくみ取るべきだと思うんです。凡庸で多感な思春期の少年、なんてカテゴリは存在しません。他人がそういう風にカテゴライズして人間性を否定するのは仕方ないとしても、それを生みの親がやるのはよくないと思います。
・一応、家庭環境だけでなく友人の二番煎じで、友人がいなければ何もしない、何もできない、そういうエピソードを入れました。少女と出会う場面やゲームセンターの出来事では、その凡庸さ以外に誠実さと勇気を取り入れました。このときはたぶん主人公が動いてくれたのでしょうね。一気に枚数が進みましたから。
ですので少年時代の主人公はほとんど計算外の行動をとってくれています。自分では思いつかない言動やセリフですね。
 
執筆の狙いで、たぶん冒頭で挫折する気が……と書いたのは、中盤終盤の主人公に比べて冒頭の主人公が、自分でもつまらない(計算通りで)と感じていたからです。だからといって人間性を否定などしていませんから安心してください。書き方は否定できますけど。
 
ありがとうございました。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

通りすがりさん、ぬいぐるみを蔵から出してきました。よろしくお願いします。
  
 「赤い蝋燭の燃えるとき」
  
「どうして、あの子の後ろに狼のぬいぐるみを被った人がいるの」
 朝の通学路で、姉の背に隠れながら、それまで聞けなかった疑問を口にした。
 すると姉が、振り向きざま私の肩へ手を置いた。異様に険しい瞳。その形相に怪訝そうな顔を向けて学童たちが通りすぎていく。
「サヨ、あなた見えるの」
「うん、横の女の子は狐だよ」
「そのことを誰かに話した?」
「ううん、お姉ちゃんが初めて」
 その言葉で、姉が瞳をいくぶん穏やかにさせる。私の唇に人さし指を押しあててきた。
「じつはわたしも見えるの。でも、誰にも言ってはだめよ」
 うん、と首を縦に振って歩きだすと、とつぜん姉に突き飛ばされた。えっ? と目を疑うと、姉の身体は宙を舞っていた。
 暴走車が歩道に進入したことによる事故だった。私は膝を擦りむいただけの軽症で済んだが、姉は搬送先の病院で亡くなった。十一歳だった。
  
 父が、姉の死の間際に「この事故は、お前たちに課せられた運命かもしれない」
 と、ぽつりとつぶやいた。
 どうしてと聞き返すと、また、ぼそりとつぶやく。「おそらく業だ」
 物心ついたときから私は人の背後に奇妙なものが見えた。父は兎だった。四年前に蒸発した母の影響だと思う。兎のぬいぐるみにくるまれた人と過ごす父は、母の能力を敏感に嗅ぎとり、さり気なく問いかけていた。しかし逆に、母から「何のこと?」と聞き返されたら、性分なのかそれ以上何も訊こうとしなかった。
 そのとき母の血を色濃く継ぐ私は草食的な父の懸念が理解できた。なぜなら記憶の隅にある母の背後には、皆と同じような獣はおらず、青い花柄の着物を花魁のように着た女性がいるのが見えていたからだ。それはつまり父にとっての安心、そして私にとっては父と源が違うということにつきる。
 着物を着た人は縮れた長い髪をふんわり垂らし、目と目の間隔の広い痩せた女性だった。手に赤い蝋燭を持って、ときおり私に謝罪を乞うかのよう涙を流していた。そのことをぼかして姉に聞くと、透明の涙は癒しを、赤い涙は死を意味すると教えてくれた。記憶の隅にある、母の背後の女性は両目から血のような色の涙が流れていた。
  
 私に備わった力はほかにもあった。濃淡はあるにせよ、つど生きていた頃の記憶を覚えていたのだ。そして必ず姉と同時期に女としての生を授かった。ときに姉は妹であったり母であったりした。ただ残念なことに、姉の記憶は生まれ変わるたび消去されてしまっていたようで、私とのめぐり合わせを宿縁と感じていなかった気もする。
 女にしか生まれない理由は、おそらく子孫を残さないためではないかと思う。人のいとなみに不必要な力、いや、むしろ邪魔とさえ感じられる能力。そのような奇妙な能力を持つのは過去世でも私と姉だけだったが、今世には母もいた。微々たる力でしかないけど、これ以上増えたら魔女狩りの対象になる恐れもある。
 だから女に生まれる必要性があったのだと思う。仮に一夜限りの情交を異性と結んだとして、男であれば女が身ごもったかどうか知りようもないが、女ならわかる。確実に堕胎できるのだ。
 そのせいもあり、あるときは修道女として表向きは慎ましやかに、またあるときは遊女として奔放に暮らしていた。両極端な生の中で何度も子を身ごもった。遊女のときには廓専門の医者の手によって胎児を掻きだされ、堕胎の赦されない修道女のときは子ともども死を選んだ。
 残酷だったのは遊女として生きた二百年後、姉の命を私が絶ち、追従しなければならなかったときだ。修道女のときは自らの命を絶つだけだったが、そのときは姉の命を奪ったうえに自害しなければならない状況に追い込まれていた。
 尊皇を旗印に国が真っ二つに分かれた江戸末期、私と姉は幕府側の武家の娘として生を受けた。姉は勝ち気で、どちらかというと女々しい私を守りながら生きていた。混沌とした時代を反映するかに、男たちの背後には熊や狼、狐や蛇などの肉食、雑食性のぬいぐるみを被った者たちが多くいた。
 革命とはいえ、指導者の一部を除いて純粋な大志を持った者などそれほどいるわけではない。敵を滅ぼせば我先にと金品の掠奪、姦淫に走る者ばかり。私たち家族が帰藩した土地でも同じだった。それを知る武家の女たちは幼子を道連れに大半が自害した。けれど勝ち気な姉は戦うことを決意した。私も姉に従い参戦した。
 その最中、薙刀に未熟な私をかばい姉は銃で胸を撃たれてしまう。お願い、介錯を。という言葉を私に託して地に伏した。私は迷うことなく懐刀を取りだし姉の心臓に突き刺した。息絶えたのを確認すると、すぐさま自らの喉笛に当て真一文字に掻き切った。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

通りすがりさん、続きです。
 
 今思うと、不思議なことに必ず姉が先に死ぬ。それもすべて私をかばったうえで。もしかしたら姉と私の後ろにいる女性たちが起因しているのではないかと思ったりもする。母と同じで獣のぬいぐるみを被らぬ、十代後半と十代前半の着物を着た少女。
 姉のほうは長い髪をたすきに縛り、白っぽい蝋燭を手に持っていた。私のほうの少女は右脇に分厚い本を抱え、左手に薬の小瓶を掲げていた。そしてたがいの着物は一つの帯によって継がれていた。
 その繋がれた帯が業なのだと、これまでの人生を振り返り、悟った。でも姉と私の業が帯で繋がるとして、ぬいぐるみが見えるのはどうしてなのだろう。確かに狼と狐には極力近づかないようにはなった。ただそれだけで、町ですれ違うカップルに注意を促したり、街頭で選挙演説をする候補者に注文をつけたりはしなかった。他人のことなどかまわず、災難を見て、見ぬ振りをしてきたにすぎないのだ。また左手に持つ薬の小瓶も謎だ。私は何かしなくてはならないのだろうか。
  
 夕食を済ませると一人海へ向かった。
 死を連想させる暗い海。その波間に半分欠けた、やはり死を意味する月が浮かんでいた。そしてその光は蝋燭が燃えるかのよう妖しげにゆれて、赤く滲んでいた。私は吸い込まれてしまいそうな暗い海面を見つめながら、薬の小瓶を手に取り意味もなく思う。すべきことを見つけられない人は、漠然と死を待つしかないのかと。
 答を探せないままふらふら町へ向かい、雑踏を夢遊病者のようにさまよった。煌々と照りつけるネオン看板に気圧され、逃げるように横道へ入った。すると時代錯誤を感じる奇妙な赤レンガの建物に吸いよせられた。
 正面に、緑色の木枠に組み込まれたショーウインドウがあり、そこから腹話術師が使いそうな大きな人形や、こすると魔人が出てきそうな古めかしいランプなどが覗けた。それら無造作に陳列されたアンティーク品の中で、特に私が興味を惹かれたのは白い蝋燭だった。一本一本に、見たこともない深海の魚や貝のイラストが赤い絵の具で描かれていた。
 私は導かれるよう扉に手をかけた。
 開けると潮の香りがして、目の前に店主が立っていた。着物の帯を花魁のように前で締め、縮れた長い髪をふんわり垂らした細身の女性。母の背後にいた人だった。
 女性が哀しげに笑むと、右手で火のついた赤い蝋燭を私の前に掲げた。
 小瓶の薬を飲まれたのですね。お帰りなさい、海の底へ。
 
       了

通りすがり
119-173-128-20.rev.home.ne.jp

一平さま、ぬいぐるみの出てくるお話ありがとうございます。
でも、もしかしたら、2週間ルールに抵触してしまうかもしれませんね。
そのことを説明不足で、かえって申し訳ございません。
投稿者さんは、投稿したものの変更とかできるのでしょうかね。
早速読ませていただいて、めっちゃ嬉しいですが、
後日、「赤い蝋燭~」は、2週間ルールで再投稿していただいて、
コメントは改めて、そちらに、って感じでいかがでしょうか?
こちらも、いくつか想起した作品もあり、長くできるのでは、と。

昨夏、某賞に応募したいけど、周りには小説読みが少なくて、という方と
楽しくやりとりしていたら、最終選考に残られて、選評が文芸誌に掲載されて
こちらも非常に参考になったので、またそういう展開になるといいなと、ふふふ。
上の、他の方とのコメントも拝見して、描きたいことは、こういう風かなと
思う事もあるので、全体についてではなくて、冒頭からいくつかに区切って、
ささやかですが、色々お伝えしてみたいなと思っています。
文章が上手、語彙力もおありなので、謙遜なさってるけど、
かなり読んで、書いてきておられる方だなと感じましたよ。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

通りすがりさん、二週間ルール、うっかりしていました。今、運営さんに削除の要望を出しました。
 
それと、いろいろ温かい言葉をかけていただきありがとうございました。
でも、どうなんでしょう。ここ数年のパターンは2作ていど投稿して2か月ほど滞在しては消え、そして1年ぐらい経ってから、HNを変えてまた投稿するのくり返しでした。前回は翔平という名前。
 
なぜ、この荒れる鍛錬場へ来るのかというと、やはり上級者がいるし、その都度気になる作品、書き手がいるからです。それにいつかは通りすがりさんや夜の雨さんのように、気になる作品に励ましの感想を届けられればなと思っています。
 
何を言いたいかといえば、公募は正直あまり関心がないのです。この鍛錬場でも最低一人は感想を書いてくれます。確実に一人は読んでくれるのです。ときには思っても見ない人からも。たぶんそれで満足しているのだと思います。
ごめんなさいね、通りすがりさんの情熱に水を差すような返信で。
 
そういえばずいぶん前になりますが、翔平という名で投稿した作品に感想を頂きありがとうございました。
最終面で、気がついたときには数時間で消えそうだったので、返事は書けませんでしたがありがたいなと思っていました。感想もほとんどつかない作品だったので返信したかったのですが、申し訳ありません。どんな作品か覚えていないと会話にもならないので、概要だけ書きますね。
 
一世を風靡したダンサーがとつぜん引退して、養成所時代に基礎から教えてくれた女性に会いに行くというストーリーです。家にその女性はいないのですが、母親から余命数週間だと聞かされます。
そこで主人公は、なぜ自分の開かれた道を断念してまでレッスンをしてくれたのか真相を知ります。主人公は女性に会いに病院へ行きます。
ニット帽に隠されるやつれた顔、はだけたガウンから覗く痩せこけた胸、それでも主人公は結婚を申し込みます。両隣のベッドからすすり泣く声が聞こえて、物語は終わります。
 
と、ありふれた内容です。感想を書いた通りすがりさんはもう覚えていないかもしれませんね。でも、もらった方はいつまでも覚えているものです。
 
ありがとうございました。感謝をこめて。

通りすがり
119-173-128-20.rev.home.ne.jp

翔平さん! でしたか!

削除依頼のお手間をかけてしまってスミマセン。
期間をあけたら「赤い蝋燭~」あらためてぜひ。
秋の終わりくらいから仕事が忙しく、8面コメントがかなり
停滞しています。体制が変わって、少し解放されるので、
また再開と思っております。

体調を崩し、集中力、記憶力が削がれ、体験4コママンガみたいな
面白いものでも数ページで寝てしまうという状況から、リハビリを
かねて、かつて見ていた投稿サイトや、賑わっているサイトなど
あちこち回ってみて、投稿数が200で、コメント欄も充実しているので
相当久しぶりに、こちらに来ています。あっという間に1年半、
1000作は読ませていただいたなぁと。

いまのところ公募にはそれほど関心は、とのことですが、
冒頭だけでも、もう少し五感にリアルに響く感じに
変えてみませんか?
「タイタニック」に思い入れがおありなら、そのままでいいのですが、
いつもこのお店で待ち合わせするのか、天気や気分で他の喫茶店にも行くのか?
いつから、外装か内装に惹かれたのか、二人の職場や家との距離や時間が
手ごろだから? 安いから? ちょっと背伸びするのにいいから?
店主やスタッフや客層がいいから? いつもどちらかが先に来るのか?
お店の前で待ち合わせて一緒に入る? 好みの席はあるか?
あるならどうしてその席がいいのか? ワンシーンでも作り込んでいくと
キャラへの愛着、立体感につながり、吸引力がおのずと生まれる、増えると
思います。
この出だしは、断るために、彼女のほうから日時を指定して、誘ったのかな。
読者に小さく「?」と思わせ、その答えを次に出していく感じで、
日常的なデートから始まって、お話は面白く走り出すと思います。
あと十日で結婚式なのに、彼女のほうから「なしにして」ですもんね。
こりゃ大変だ。と。

主人公はどうして書店勤めを選んだのか。
いまの彼女とのなれそめ。どのくらいつきあっているのか。
どっちから交際を申し込んだのか。二人とも言えず、でも、
いつのまにかしっかり彼氏、彼女になっていた? とか。
そうして進めていったら、指輪も真剣に考えて選んだのでしょうし、
「見覚えのある小箱」「指輪のようにも見える」とはならないと
思いました。
これでいくなら、淡白で、万事に執着がないとか、子どもの頃の
一家の激変で、情愛が薄い、あるいは、別れがつらいから深入りしないように
どこか留意している。それで彼女が風俗に行くつもりだとわかっても
「ふーん、そうなの」という感じなのが、わかるように、後の描写に描きがいが
あるのでは、と。
今の人間関係をしっかり築くことで、忘れえぬ出会いと関りも、
いっそうくっきりしていくと思います。ではまた。力作を次々ありがとうございます。

夜の雨
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「わらし」半分過ぎまで読みました。

ゲームセンターから逃げる、ところ「まで」です。
冒頭からここまでは、かなり面白いですね。
登場人物のキャラクターが抜群です。
とくに「クルミ」がいいですね。
町一番のお金持ちと関係がある、親戚(?)の様ですが。
どうも、その親戚とトラブルがあるようで。
このあたり設定がややっこしそうですね。
ラストまで読むのが楽しみです、上の設定をどうこなしているのか。
これは、つじつまを合わすのが大変です。

それと冒頭の「詩織」と主人公の「さとし」との婚約解消の顛末がなかなかのエピソードです。
母親が脳梗塞で倒れたとかで、お金がいるとか。
「キャバクラ」かと思いきや、「吉原行」というのが、なんとも凄いなぁと。
それに関連して「クルミ」が出て来て、そのクルミがただものではないので、(年齢の不思議)後半がどう展開するのやら(笑)。
ただ、現在から物語が始まり「クルミ」が出て来たあとは、過去形(13歳当時の話し)になっています。
その過去形で、事件のようなものが起きても、現在ではすでに解決しているはずなので、このあたりの設定は物語としては、面白みに欠けますが。

どちらにしても、これは、期待大ですね。


それでは、ラストまで読んで読んだら感想を書きます。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

夜の雨さん、感想ありがとうございます。
もう感想がつかないと思っていたので驚きました。それと面白いと言っていただき励みになります。
 
>どうもその親戚とトラブルがあるようですね。
・じつは親戚ではないのです。クルミはわらしなんです。ですので辻褄を合わすのはそんなに大変ではありませんでした。読み終えてがっかりさせるかもしれませんが。
 
冒頭を評価してもらいありがとうございます。でもここは納得がいかないので、ゼロから書き直すつもりでいます。自分でも吸引力がないと感じるんですね。それなのに好意的に読んでもらい嬉しく思います。
 
>ただ、現在から物語が始まり「クルミ」が出て来たあとは、過去形(13歳当時の話し)になっています。
その過去形で、事件のようなものが起きても、現在ではすでに解決しているはずなので、このあたりの設定は物語としては、面白みに欠けますが。
・こればかりは難しいですね。自分では面白いと思っていても、読んでくれた人が面白いとは限りませんから。まして客観性が自分にはないので。
ただ、感想で終盤部分に触れてくれるのは夜の雨さんだけなので楽しみです。
 
ありがとうございました。

夜の雨
ai203177.d.west.v6connect.net

「わらし」読了しました。

なるほど、クルミは「座敷わらし」でしたか。

この座敷わらしの設定が遠野物語とからめてしっかりと描かれていました。
さとしはクルミとの生活の中で何が人にとって大事なのかが分かったようですね。
金よりも大事なものがあるという事が。
話の中ほどまでで町の名士がクルミの親戚かと思っていましたが、そこに棲みついた座敷わらしでしたか。
どおりで逃げても追っかけられるはずです(笑)。
追手を防ぐのに雲を呼び雷を落とすとは、凄い展開でした。
この雷のエピソードはあとのニュースの話が出て納得しました。うまいアイデアです、さすがわざ座敷わらし。

クルミと別れた後のさとしは詩織に連絡して二人で母親を守ろうというあたりも流れからしてよい終わり方でした。

作品的には児童文学の小学高学年から中学生ぐらいが読者ターゲットというあたりかなと思いました。
ほかには青年誌(漫画)(小説部門、原作とかも)に掲載してもよいかなと。

御作の良いところは、結構細部まで描かれているところですかね。
なので、書いてある内容には不満はありませんでした。

子供のころの隠れ家の周囲の風景とか、クルミと出会ったときのエピソードとかよく描かれていました。

そういえば宝くじで二億円当たったひろしの家庭崩壊の顛末は描かれていませんでしたね。
母親が買い物を好き勝手にやるのはまだしも父親のギャンブルとか外に女を作るとか、離婚までなったりで。姉は、どうなったのでしょうね。
●クルミが座敷わらしということで金にまつわるエピソードは納得しますが、少し考えればうまく座敷わらしと一緒に生活できると思いますが。
結局は金の使い方が凡人には難しいのですかね。

全体では、よく練り込まれている作品だと思います。
適当に創ったというのではないことがよく伝わりました。
それにしてもクルミは魅力的でした。
ひろしもよかったですが。


お疲れさまでした。

夜の雨
ai201107.d.west.v6connect.net

再訪です。

冒頭のシーン。
>店内に流れる音楽が映画タイタニック<
これをやる場合に効き目があるのは「映画タイタニック」がヒットして話題になっている時期ですね。
>『タイタニック』(原題: Titanic)は、ジェームズ・キャメロンが監督・脚本・共同製作・共同編集した、1997年のアメリカ合衆国のロマンス映画。<
ということで、冒頭の「シーン」が1997年の映画公開時なら意味があります。
つまり設定が色あせないという事です。御作の背景部分の時代が読み手にわかるということです。
なので御作が1997年という設定で物語が紡がれているのならわかります。
現代(2024年)だと、タイタニックの映画音楽を流す意味がありません。

服装について。
結婚直前の婚約破棄という流れになっているので、地味な服装で来たという設定にしたらよいと思います。
ちなみに主人公は詩織と結婚まじかに迫っての打ち合わせとか話をするために待ち合わせたと思うので、さとしからすると「ラブラブ」をイメージしているので自分がプレゼントした衣装で来ると思っていたということで、頭の中に描いていたところ予想とは違った地味なべつの衣装で来たので驚いた。
ということになるでしょうか。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

夜の雨さんありがとうございます。
 
>なるほど、クルミは「座敷わらし」でしたか。
・座敷わらしといってもかなり脚色しているので、原作とはかなりかけ離れていて違和感ありますよね。
雷に関しては、おそらく読んで拍子抜けしたと思うのですが、あまり仰々しく書いても作品に合わないと思い、朝のニュースで補足しました。
 
>作品的には児童文学の小学高学年から中学生ぐらいが読者ターゲットというあたりかなと思いました。
ほかには青年誌(漫画)(小説部門、原作とかも)に掲載してもよいかなと。
・自分の書く物語のジャンルがわかりませんでした。そうですか、児童文学ですか。通りすがりさんからもラノベっぽいと言われたので、大人受けする作風ではなさそうですね。残念ですが、こういった少年少女のほうが書きやすいので、そこに焦点を定めて磨きをかけてもいいのかなと思ってもいます。
 
>そういえば宝くじで二億円当たったひろしの家庭崩壊の顛末は描かれていませんでしたね。
母親が買い物を好き勝手にやるのはまだしも父親のギャンブルとか外に女を作るとか、離婚までなったりで。姉は、どうなったのでしょうね。
・大まかには考えていましたが、そこは気にもとめないでストーリーを追いました。ただ、東京にはいないという設定で。
 
>クルミが座敷わらしということで金にまつわるエピソードは納得しますが、少し考えればうまく座敷わらしと一緒に生活できると思いますが。
・クルミの抱擁で、わらしとの関係は終わりました。もう二度と会うことはないのです。それで中指を立てたのは彼女なりの感謝のしるしのつもりで書きました。彼女も主人公によって悟ったから。
 
全体では、よく練り込まれている作品だと思います。適当に創ったというのではないことがよく伝わりました。
それにしてもクルミは魅力的でした。
・ありがとうございます。褒め上手な夜の雨さんの言葉とはいえ嬉しいです。それとクルミ、こんなキャラにして受け入れられないかと思っていましたが、案外受け入れてくれるものなのですね。それを知っただけでも勉強になりました。
  
それとタイタニックと詩織の服装についてのアドバイス、感謝しています。タイタニックは不評なので書き換えるつもりでいます。服装は自分の思惑もあるので考えさせてください。
 
どうもありがとうございました。感謝しています。

パイングミ
flh2-221-171-44-160.tky.mesh.ad.jp

拝読しました。退屈ではなく面白いお話だったと思います。クルミの正体が徐々に分かっていくのでちゃんと引きもありますし、物語としての動きもあり先が気になる設計でした。クルミのキャラも魅力的です。

■冒頭
みなさんには不評とのことですが、個人的にはタイタニックのBGMは効果的に活用できていると思いました。私は映画は未視聴で曲もサビの部分しか聞いたことがありませんが、タイタニックが沈没することは知っています(これは世代・性別問わず多くの人がそうでしょう)。なので、具体的に曲を知らなくても主人公の心情とリンクさせやすいのかなと。どのターゲットに向けて書くかで変わるとは思いますが、わりと良いチョイスだった気がしました。

■時代設定
細かくて申し訳ないのですが、これは2040年頃の話でしょうか? 回想シーンで「コロナの影響で客足が戻らない」とあったので、二十年後の未来の話になるのかなと。あと、「チュウニズム(調べたら初代が2015年)」などのゲームもです。未来にする必然性があまりない気もするので(20年後ならではの価値観や設定が出ていないので)、普通に33歳(2024年)の設定でもいいのかなとは思いました。読み落としで勘違いしていたらごめんなさい。

■凡庸について
凡庸さが感じられるエピソードがあっても良いかもしれませんね。もちろん全然描かれていないわけではないのですが、「凡庸過ぎて気力が~」みたいな感じで主人公が自分で言っている箇所が多いので、あまり凡庸感が伝わらないかなと。むしろキツネの変化とクルミを恐れるミツルの方がそっち寄りな印象を受けました。

色々書きましたが、各場面がしっかりイメージできる文章力もお持ちで、質の高い作品だと感じました。個人的にはクルミ側の視点で描いたサイドBのお話も読んでみたいです。(結果的に)人を不幸をし続けてきた少女のお話とかは面白そうだなと。良い作品ありがとうございました。

一平
119-171-161-10.rev.home.ne.jp

パイングミさん、感想ありがとうございます。
 
面白いと言っていただき、キャラも魅力的に感じられたのこと、とても嬉しいです。
また冒頭のタイタニックのBGMも好意的に受けとめてもらい感謝します。
 
でも、まったく気がつきませんでしたが、こんなにも重大なミスを犯していたんですね。知らされるまでわかりませんでした。
コロナは食中毒に直します。そしてチュウニズムは別のものに変えるか、太鼓の達人を交互にさせるつもりでいます。
それにしてもこんな疵があったら公募なんてとても無理ですね。よかったです、教えてもらって。でも公募に対してはそんなに興味がないので、たぶん応募していないとは思いますけど。
 
凡庸について。
これは自分が凡庸なので、自分と同じだったらきっと凡庸だ、そのつもりになりきっていました。
人物設定では姉と比べると平凡、家族の苦労にも手伝いをしないで友人と遊び惚ける。その友人との間柄も常に二番煎じに徹している。一つだけ長所をつくったのが、誠実さでした。
でも何か一つ、エピソードを考えないと記号だけになってしまいますよね。
 
サイドBですが。
正直、クルミの評価がいいので驚いています。ほかの方からも言われたのですが、少しはキャラが立っていたのでしょうね。
そしてそのクルミを主人公にして物語をつくる。
どうなのでしょう。原作とあまりにかけ離れているキャラなので、読み手が受け入れてくれるかですね。でも彼女をもう一度ステージに立たせてみたい気持ちはあります。思う存分動かせる舞台をつくってあげたい。そんな気持ちも少しあります。
 
丁寧な感想、ためになるご指摘、ありがとうございました。

一平
119-171-161-244.rev.home.ne.jp

通りすがりさん、ごめんなさい。
ぬいぐるみの物語の掲載をあきらめました。せっかく再掲載を提案して頂いたのにもうしわけありません。
じつは浮離さんの企画のSFを書き上げたのです。土くれが主人公のSFファンタジーです。書き手として純粋に挑戦したくなりました。
今までこのサイトで企画に巡り合えなかったので、上級者と競い合ういい機会だと思い、参加させて頂くことにしたのです。
 
通りすがりさんの気遣いを無にして、ほんとうにごめんなさい。心から感謝しています。

通りすがり
119-173-128-20.rev.home.ne.jp

一平さん、気づくのが遅くて、ごめんなさい。

ピンとくるお題に出会えたから書いてみる、のは良い事です。
でも、個人的には、投稿する時期を変えてもいいかなと思ったりしてます。
寝かせているうちに、新たにアイディアやお話が広がるかもしれないし、
子分認定されるんじゃないかと、ちょっと心配です(笑)
自分は、こちらのサイトに来るようになったのは、おととしの夏からで
1年半ほどなんですが、ちょいちょい企画を立ち上げて、断った方に暴言の数々、
とか、ご覧になってないですか?
去年の2月などひどいものでしたよ。
一応参考までに、去年の秋の事例です。
https://web.archive.org/web/20240218031103/https://sakka.org/opinion/thread/index.cgi?mode=view&no=1843
最後のほう、ご注目ください。魅力のない人たちが同じ事ばかりやっている、とか
言ってますよ。なのに戻ってくる不思議。
本当は、昨年の2月の暴言のをお知らせしたいところですが、言われた方は、
本当に体調を崩してしまったようなので、もし目にしたら悪いなと思い、貼りません。

昨年の夏ごろは、新人さんが登場して、あの方が絡むたびに、このように過去の名言を
引用宣伝して絡んでいました。こちらのサイトは250作を超えると、前の作品から
消えてしまうので、その前に、ぎりぎりでコメントをお送りする事がほとんどなので、
「すみっこぐらしの8面ストーカー」とあだ名を頂戴してました(笑)
古参の方に「さすがに目に余るよ」と言っていただいて、以来、控えておりますが、
いちおうお知らせまで。
企画、企画というけど、タイトルを指定してきて「1面25作が全部同じタイトルで
埋まったら、あたし、ここ辞めます」と言ってみたり、鍛錬とか、腕を競う、磨く
のではなく、支配欲と自己満足のためにやってるのだと見ています。
利用するつもりで「そこに山があるから登る」ように「お題がありピンと来たので書く」
なら安心、良い事だと思います。

アマゾンのレビューに「このスパイの息子さんとつきあっていた」という面白い
レビューがあり、KGBスパイの回想録を中古でポチって読んだのですが、
身辺調査、尾行には2通りあり、「相手に絶対に気づかれないようにやる」のと
「あからさまに「あなたをマークしてますよ」と、アピールしてつきまとう」のが
あるそうです。自分は後者をやってた、やってるのだなと苦笑しました。

2週間ルールを守ればいいのですし、どこかのタイミングで、他の作品も
楽しみにしています。「わらし」長くして、応募してみていただきたいです。

浮離
KD111239169152.au-net.ne.jp

あの、いいですか?

馬鹿な人の言い分がそれならあたしはそれで全然構わないんですけど、そういう見苦しい言質を憚らないなら憚らないなりの自覚をもっと確かに持って欲しいと思うんですね。

そういった意識ももちろんあってのことなら、むしろお前がやってることっていうの、あたしじゃなくて直近誰を馬鹿に見積もってもの言ってることになるかわかりますか?

だから、すみっこぐらしの8面ストーカーって言われるんでですよ。

いいですか?
勘違いしたらダメなんですよ、あたしが言うこと言って憚らない相手っていうのは、それなりの馬鹿であること見切って言ってることだっていう絶対前提に則った言質であること舐めたらダメなんですよ。

わかりますか?
だってほら、あたしが見切った通りおまえはこうして見苦しい人格をちっとも憚れずに真面目な人に恥かかせて巻き込んでるじゃないですか。
あたしの見立て通りに。

おまえはそれを自らダメ押しで白状してるんですよ、自覚してください。
自覚できない馬鹿だから、あたしがいちいち言ってあげるわけなんでですけどね。
穏便な庶民はおまえみたいな馬鹿に触れるのもイヤなんですよ、わかりますか? つまりあたしはむしろ優しくて気遣いのある反面教師かもしれないんですね、それを真に受けて勘違いして仇のつもりでさらに恥をかき重ねているのが、つまりおまえっていう現状なんですね。


伝言板よく読んでください。
おまえみたいな馬鹿のことひとくくりに解説してます。

いいですか?
どんなに言葉や言い草を気取っても所詮馬鹿は馬鹿、その言質や行動原理っていうのは破廉恥なほど明らかで、あたしみたいな人はなおのこと、その臭みに気付かないはずないんです。


あたしがこれまでにどんな振る舞いをして、どんな言質を憚らなかったか。
おまえの言い草が事実ならそれでいいです。
ただし、事実なら事実としてすべて正直に詳らかに理解して居直ることです。

いいですか?

おまえがニヤニヤと言い腐りたがるらしいあたしのこと、それが一体どんな相手に向けて常に行われてきたことなのか、そんな何よりの道義には蓋をして、まるで自分はそれ以外みたいな言い腐りすらもすり替え損ねてるんじゃないですよみっともない。

どこまでもみっともないんですよひねこびたすみっこ腐れのこじき馬鹿が身勝手な自己愛ばっかのヒステリーで薄暗く捩じ切れやがって





いいですか?

馬鹿以外にこれ読んでる普通の人。

並の知性と感度があればわかってると思うんですけど、あたしはこの上にいる馬鹿の言い草を打ち消しにきたんじゃないんですよ、わかりますよね?

むしろ、それが事実だと思うなら思えばいいし、その程度の感性の馬鹿に構うつもりなんてないことをやりたくてあたしは好き勝手にやってるんですよ。
わかりますよね?

文字読んで、鵜呑みにするのが”小説”って、そんな程度の感度ぶら下げた馬鹿があたしの企画にどんな勘違いでも絡んでくるなって、絡めると思うなって言ってるんです。

わかりますか?

ああいう馬鹿げた魂胆が罷り通るレベルの馬鹿相手にするためにあたしはここにいるんじゃないです。
っていうか、それを明らかにするためにあたしは常に馬鹿を晒して粛清喰らわすつもりではあるんですけど、その手法を変えつつあることにちゃんと気づいてくださいね。
すごく危ないですからね。




ということで、真面目なスレ主には申し訳ないんですけど、たかが卑怯な馬鹿がヘラヘラとちょっかい出してもいい気がする程度の書き手に見えるらしいことが本当なら、その程度ならあたしには用がないです。

わかりますか?

あたしに関わるっていうことは、試されること少なくないですから。
あたしはあたし以外のまともなだけの人にも、そういう緊張をくれてやりたいんです。
そうして鍛えられる言葉の成長こそを目覚めるみたいに体験して、実感して欲しい。

いいですか?

勘違いしたらダメなんですよ?
それってあたしにひれ伏せなんて言質はこれっぽっちも混ぜ込まれていないどころか、まったくあなたばっかの”書き手”としての矜持が問われるだけのことを言いてるんだし、あたしはきっかけくれるだけでその先のことなんて関係ないですから。

強いてなら、あたしはそれに見合う最低限の素養を見定めることに躊躇がないし、あたしの当たり前でしかない見立てにもとる人間なんかと”小説”なんて交わしたくもないんです。
厳しいですか?
あたしにはただの当たり前です。

そういう当たり前に露呈する緊張が、自分の筆を鍛えてくれる気がするなら、できる気がするなら自分の中からそれ引っ張り出して、楽しみに来てください。
卑怯で薄暗くて腐れてばっかの恥知らずの言質にも気遣いが必要な程度なら、あたしはお断りです。


参加を表明してくれてありがとう。


子分だとかって、みすぼらしくひねこびた言質をまんまと印象操作らしく見過ごせる程度の人間に何を思われようがあたしはどうとも思わないですし、だからってそういう根暗な精神に逃れるばかりの腐れた言質や楽ばかり選ぶ人格を徹底的に嫌うことは別問題なんですよね。

わかりますか?
あたしはそういうひ弱なヒステリー程度には到底理解できるはずもない、これっぽっちも縁のない動機で勝手に、当たり前にやってますから。


怖かったり恥ずかしくて迷うくらいなら手を引くことです。
格好悪いとは思うけど、清々と声を上げてくれたことがそもそも馬鹿の腐れたプライドに障って本性引き摺り出しただけなので、とっくに一役働いたと思うし気にしないことです。
ここからは荷が重いし、中途半端はさらなる怪我のもとかもしれないですよ、お勧めしません。
そういう行方のいちいちを見過ごせなくて口惜しくて出鱈目に捻じ曲げてさらに恥を重ねずにはいられない馬鹿の腐れた言い草で場を汚すのも巻き込むのも、面倒臭いんですよあたしだって。
察してください。




わかってると思うんですけど、あたしに返信なんてしないこと。
行動で示すこと、迷惑なので。


すみっこぐらしの根暗馬鹿とはいくらでも次作の相談してください。


あたしは気にしません。

一平
119-171-161-244.rev.home.ne.jp

通りすがりさん、貴重なアドバイスありがとうございます。
 
自分がこのサイトを離れた時期と、通りすがりさんが感想を書きだしたのはたぶん同じ頃だと思います。とはいってもいつも二ヶ月程度でいなくなりますが。
 
浮離さんのことは以前から知っています。個性の強い人だと。
それとこの二年近くは創作に挫折し、大それた夢を抱いてゴルフに没頭していたので、正直このサイトのことは忘れていました。ですので事情がよくわからないというのが本音です。
でも彼女と感想のやりとりを一度しましたが、自分はそんなひどい印象は持ちませんでした。たぶん自分に対してそれほどの関心がなかったからかもしれません。同時に、他の方々も自分の作品にあまり関心がなかったように記憶しています。
感想をくれた方は夜の雨さん、月さん(ほぼ全員に書いている)、そしてアン・カルネさんぐらいでしたから。だからひっそり投稿して、ひっそり消えるタイプの参加者でした。
 
そんな地味な自分にめぐってきたのが、今回の企画。ましてこれまで書いたことのないSF、一書き手としてそそられるものがありました。
他意はまったくなく、通りすがりさんの言われる、そこに山があるから登る。そんな純粋な気持ちで参加を決めました。今も変わりません。企画者から拒否されない限り参加させて頂くつもりです。
ただ肝心の作品が、3日寝かして読み返してみたら、あまりにがらんどうすぎて物足りなさばかりが残るものになっていました。
偉そうに参加表明して、それで皆さんから嘲笑されるのは仕方がないと覚悟しています。でもいくら下手でも自分のような地味な存在を気にもとめない気もします。すぐ消えてしまうので、すぐ忘れるのでしょうね。恥はいっとき。今までもそうでしたから。
 
通りすがりさん、忠告の数々ありがとうございました。いつか渾身作を引っ提げて、またここへ来たいと思います。

通りすがり
119-173-128-20.rev.home.ne.jp

一平さま、こんばんは。
夜の雨さん、アン・カルネさんにコメントいただいた事があるのは
「自分には何かある」と思って、自信をもって良いと思います。

土くれが主人公、面白い着想だと思います。自分は読みたいです。
描きたい、発表したいと思った時は、トライなさってみては?
「このあたりに特にコメントを求む」とか、ねらいに表明してみては?

ゴルフ、ですか。そんなタイプじゃないと思ってたのに、昔の上司が
ハマってて驚いたことがあります。広々として気分転換にもいいのでしょうかね。
運動神経はどういう方向に恵まれていると楽しいのか、上達が早いのか、
このあたりが劣っていると苦しいかもね、とか、運動音痴でも読んでて面白い作品に
昇華なさる時を楽しみにしています。
寺沢武一さんの「コブラ」、昭和のマンガですが、女性たちはTバックの衣装だったり、
「スター・ウォーズ」は、もしやインスパイアされたと思うくらい、様々な形態の
宇宙人が交流する酒場や賭博場が描かれたり、書いてたら読み返したくなりますが、
アメフトや野球を作中に取り上げてる作品もいくつもありました。
ゴルフをアレンジしたスポーツをこしらえて、SFにできないかな、とか期待してます。

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