作家でごはん!鍛練場
平山文人

Aspiration

 通り過ぎる風がほんの少しだけ私を癒す。七月の照り付ける日差しはいよいよ真夏の到来を予感させて、私は前髪を耳元にかきあげた。額に少し汗がにじんでいる。街を南北に走る川沿いに作られた歩道を歩く私の視界に、水遊びをする親子連れが入ってくる。いいなぁ、私も足だけでも水につけたいなぁ。黒ずんだアスファルトを白のクロックスで踏みながら、高校が夏休みになったらプールか海に行く約束を友達としている事を思い出して一人微笑む。どこまでも澄んだ青空には入道雲が大きく構えている。並び立つポプラや銀杏は燦々と降り注ぐ陽光を緑の葉に受けて喜んでいるように見える。瞳に映る景色を楽しみながら、目的地であるコンビニに着いた。あんまり暑いからアイスクリームが欲しくなったんだよね。店内に入ると冷房がよく効いていて、ふぅ、と声が漏れる。さて、アイス売り場へ、と向かった私は通路の途中で立ち止まった。冷凍食品が入っている冷凍庫の前に、一人の若い女性がいる。まっすぐ肩まで伸びた黒髪、高い鼻、バランスの取れた輪郭の顔、そして、白そのものの膝までのワンピースが私の瞳に眩しさのように焼きついた。なんて綺麗な女の人なんだろう。私は瞬きもせずに彼女を見つめて固まってしまった。視線を感じたのだろう、ゆっくりと彼女がこちらを見た。その大きな瞳は包み込む優しさのようで、口元は静けさを湛えて凛としている。私は身じろぎも出来ずにいた。その美しい顔はほどなく正面に向きなおし、移動していった。彼女が他の陳列棚へと去った後、私はようやく我に返り、ともかく目的のアイスを探すが、全く集中できず、視線はあちこちへ走る。いた。もうレジで会計をしている。私も急いで二個選んだアイスを持って、そっと後ろに並ぶ。彼女は持っている薄いベージュ色のトートバッグに買ったものを入れて、静かにコンビニを出てゆく。彼女が残したほのかな柑橘系の香りが私をくすぐる。軽い陶酔すら覚えた私は、支払いもそこそこに急いで店を飛び出した。左右を見渡すと、幸い、私の帰り道と同じ方向へ歩いている。私は一定の距離を置いて彼女の後ろを歩く。歩みもしなやかで、暑さなど一切感じないかのようだ。後をつける私は彼女の香りを何度も反芻しながら、不審者っぽいな、と軽く自嘲して苦笑いした。が、それはすぐに終わることになった。彼女は川沿いに立つ瀟洒な造りの高層マンションのエントランスに静かに吸い込まれていった。あ、と声をあげた私は思わずそびえる高い建築物を見上げた。ここに住んでるのか……。しばし立ち止まった私は、暑さを思い出しまた歩きはじめた。セミがやかましく鳴いているが、ほとんど気にならない。鼓動が少し早くなっている。なんだろう、この感覚。私は自分自身が、あるような、ないような、浮いているような気持ちで家まで辿り着いた。

 
 お父さん、お母さん、妹との家族団欒の夕食が終わり、私はシャワーを浴びた後、鏡に映る自分をまじまじと見つめている。胸はそれなりに膨らんできたが、腰に括れというものがない。両手でぐいぐい押してみても何も変わらない。顔も目は二重だし鼻もそれなりにあるから、そんなに悪くないはずなのだけれども、いかんせん子どもっぽいと自分でも思う。17歳の私はまだまだ女性として未完成なのだ。私は斜めに顔を傾けたり、両手で頬を押さえたりとしているうちに、妹がお姉ちゃんまだ~? と声をかけてきたので浴室を出た。自分の部屋に戻り、鏡面台の前に座って化粧水を顔になじませる。肌もまぁまぁきれいだよねぇ……。私の髪の毛には若干癖があって、左右共に少し後ろにくねる。まっすぐサラサラの髪に憧れるのだが、ストレートパーマはとても高いので、お母さんには大学生になって自分でアルバイトして稼いでからあてなさい、と言われている。ふん、と唇を尖らせてゴムで後ろにくくる。遠くから電車の走る音が響いてくる。夜は比較的涼しいので窓を全開にして扇風機を強で回せば何とか耐えられる。私はベッドに体を投げ出して静かに瞳を閉じ、昼間会った白ワンピースの女性を思い出す。なんというか、女性としてのお手本というか、ああなりたい、と思わせるに十分なほどの魅力を湛えていたと思う。あんな女性になったら男の人にもてるんだろうな。ちっとももてない私はまた溜息をついてスマホを見るでもなく眺める。幾つかLINEを返し、ふと見た窓の外はすっかり暗くなっていて、マンション四階の私の部屋からも少しだけ見えるネオン街が輝き始める。私はスマホを投げ、読みかけの「ノルウェイの森」を開く。読むうちにどんどん物語に引き込まれ、やがて睡魔に襲われたので、明かりを消してまどろんでいるうちに眠りに落ちた。

 
 よし、これでバッチリだ。私は鏡に映る自分にそれなりに満足した。普段引かないアイラインもアイシャドーもしっかり入れた。服もお気に入りのINGMIのスカイブルーのワンピースにGERRY BEANSの花柄のサンダル。高校が夏休みに入った最初の土曜日に、お母さんと妹と一緒に百貨店に夏服を買いに行くのだ。録画していたメジャーリーグの試合を興奮しながら見ているお父さんを尻目に私たち三人は出かけた。土曜日の繁華街は流石の人出だった。広い国道をまたぐ交差点は人、人、人で溢れかえっていて、ただでさえ暑い夏が更にむしむしと私に沁み込むように思えてうんざりした。が、それも百貨店に入るまで。ああ涼しい、と私は満足した。一階はなぜかどこのデパートも百貨店も化粧品売り場だよね、と中学三年生の妹が嬉しそうに言う。そうねぇ、なんでだろうね、とお母さんが返事をしている間にも私は目ざとく目に入る商品を片端からチェックしていた。フロアには幾つもの化粧品のブランド店が並んでいる。独特のいい香りで満ちているな、と来るたびに思う。そして、あれこれと必死に視線を走らせている私に「いらっしゃいませ」と声をかけてくれる店員さんがいた。何気なく見て、私の心臓は飛び出しそうになった。一目見ただけで分かった。一週間ほど前にコンビニで見たあの白ワンピースの女の人だ。うわわわああ、と私が思考停止状態になっていると、お母さんが怪訝な顔で、あなたどしたの、と聞いてきた。店員の女の人は表情を変えず、柔和な面持ちでこちらを見ている。私はとっくに視線を外しているのだけれども、見られているのは分かる。べ、別に大丈夫、と言って私はその場を離れたが、早鐘のような鼓動の中、女性のお店のブランド名はしっかりと記憶した。エレベーターは混んでそうね、エスカレーターで行こか、などとお母さんが言っている中、私はあえて振り返った。あの女の人はもう他のお客さんの相手をしていた。……よし、今度一人で来て、あのお姉さんのお店で化粧品を買って、お化粧を教えてもらおう。私は心中固く決意していた。


 あの日から一週間経った。私は手を付けずにいた、お年玉を貯め込んだ銀行の通帳と、キャッシュカードの入った財布を大事にCORCHの白のバッグに入れて、朝からシャワーを浴びた。今日、私はお姉さんに会いに行く。ただ、一人で行く勇気は遂にもてなかったので、友達のアイコに一緒に来てもらうことにした。ただし、事情は一切話していない。どう説明すべきか困ったのと、自分でも、一体お姉さんにどんな感情を持っているのかはっきり分からないのだ。憧れか、好意か、どちらでもあるようだし、どちらとも言えないような気もする。ただ、恋愛感情ではないのは間違いないけど……。とにかく会って話してみたい、それが今の一番の欲求だ。今日はメイクはほどほどにした。教えてもらうのに、余り塗りたくっているとまずいと思ったからだ。それに、下手くそなメイクを見られるのも嫌だし……。服は今日はあえてGYのシンプルなTシャツにGパンにしておいた。変に着飾って誤解を受けるのは望ましくない。8時30分には家を出て、駅前の銀行でお金を下ろした。そして駅の入り口で待ち合わせていたアイコと合流し、電車に乗り込む。今日も混んでるな、と思っているとアイコがとめどもなくおしゃべりをはじめる。内心緊張している私はそれなりに応対はするが、心ここにあらずなのが自分でもわかった。アイコは何も気にせずお昼はタルトゥーンのビュッフェバイキングにしようね、1100円で二時間食べ放題は超お得だから、と瞳を輝かせている。それはお得ね、と相槌を打っていると、目的の駅に着いた。この瞬間に、胸に何かを入れられたかのような重みと、息苦しさを感じた。この一週間、毎日あのお姉さんに会う事、化粧品売り場で会ったら、こんな事を聞こう、こんな質問をしようと言うようなことばかり考えていた。そして、いよいよ今日それが実現するのかと思うと、足がすくんでくる。しかしアイコは陽気そのもので、私の腕をつかんで引きずるかの如く歩く。そのおかげで私も開き直ることができ、真夏の暑い空気をかきわけ、なんとか〇X百貨店に到着した。クリスチャンデオーレだよね、あそこだね、とアイコは目ざとく一階の地図を見つけて教えてくれる。私は、もうここまで来たら行くだけ、と無の境地に辿り着いて進む。あと20m……というところで、お姉さんを発見した。お姉さんも私に気づき、目が合った。その瞬間、お姉さんが小首をかしげた。……少なくとも私にはそう見えた。私は次の瞬間、左に曲がり、全速力で歩く。
「ちょちょ、そっちじゃないよっ。デオーレはまっすぐだよ」
「分かってるけど、急にお腹が痛くなっちゃったの、トイレ行く」
 あらそうなんだ、じゃあ行ってらっしゃい。私ここのイスで座って待ってるから、とアイコはエレベーター前にある長イスにちょこんと腰かける。私は行きたくもないトイレに行き、まず便座に座って、さっきのお姉さんの表情を思い出す。もう、「私」を認識しているのじゃないかしら。この前も来た子。その前にコンビニで会った子。それで今日も来たのかしら、という事で小首をかしげたんじゃないかしら。一旦そう考えると、とてもじゃないけれども直接話したりなんか出来そうにもなかった。勇気が出ない。私は三分ぐらい目を閉じて考えた末、止めることを決意した。足取り重くトイレから出て、アイコの横に座り、正直に全てを話した。と言ってもたいした内容はないので1分ぐらいで説明は終わる。アイコは、えぇー、気にし過ぎじゃない? とは言ってくれたものの、私が断固として話には行かないと決意表明すると、わかった、んじゃ私がサンダルを見たいから三階に行こう、と立ち上がってエレベーター横の▲ボタンを押した。私はうつむいたまま、とにかく早くエレベーターに乗り込みたかった。この場を離れたかった。……ようやく来た。乗って、扉が閉まったあと、何かとても大きな失敗をしたような、恥ずかしい事をしたような気持ちに捕らわれて、体が縮んでいくような感じがした。喉が渇いた。隣にいるアイコの付けている香水の匂いが今は不快に感じられて仕方ない。張り切って銀行で下ろして持ってきた三万円が泣いてるや。三階についた。アイコの後をついてブーツやサンダルを見ても、なんの関心も抱けない。お客さんでごった返しているフロアにいる私は、場違いそのものの存在に思えた。……もういいや、忘れよう。お姉さんがどうでも、なんでもいいのよ。私は……もっとキレイになってやる。そう考えると楽になった。熱心にお洒落なサンダルを見ているアイコが急に愛しくなって、思わず背中に抱きついた。(終)

Aspiration

執筆の狙い

作者 平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

今回は全く趣向を変えて、友人女性の若い頃の体験をヒントに、
思春期の女の子の「大人の女性への憧れ」を書いてみました。
多感な女の子の感受性を表現したかったのですが、上手くいったかどうか……。
内容の感想や文章などの指摘をいただけると嬉しいです、皆様よろしくお願いします。

コメント

神楽堂
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読ませていただきました。
おもしろかったです。
ぐいぐいと読んでいくことができました。

早速ですが、文体についての指摘から。
「私」が多すぎます。
一人称の物語ですので、それが「私」であることが明らかな場合は主語を省略しましょう。
(例)
私は前髪を耳元にかきあげた。

前髪を耳元にかきあげた。

この場面にいる人間は「私」しかいないので省略できますよね。
このような文がほかにもいくつかありました。削れるところは削りましょう。
テンポが良くなり、読みやすくなります。

次に、私がこの作品でいいなと思った表現。
>黒ずんだアスファルトを白のクロックスで踏みながら、高校が夏休みになったらプールか海に行く約束を友達としている事を思い出して一人微笑む。どこまでも澄んだ青空には入道雲が大きく構えている。並び立つポプラや銀杏は……

「色」を連想させる単語が並んでおり、情景がカラフルに浮かんできてステキな表現だと思いました。

逆に、もっとおしゃれな表現にしてほしかったのが、
>その美しい顔はほどなく正面に向きなおし、移動していった。

美しい顔に対して移動という単語は風情がないかなと、
ここは別の表現に変えてみてはいかがでしょうか。

ドキドキしながら女性を追っているのに、全体的に説明口調でそこが残念です。
ところどころにひねった表現を入れてみましょう。
例えば、
>幸い、私の帰り道と同じ方向へ歩いている。
これを
私の帰り道と同じ方へと歩いているの見て、~~

状況→感情
の順で書くことで、読者は主人公の心情を追体験しやすくなります。

>お父さん、お母さん、妹との家族団欒の夕食が終わり、

説明臭いですね^^;
夕食では、父も母も、いつも通り無口だった。妹は学校で嫌なことがあったのか、少々落ち込んだ顔をしている。そんな中、私だけが饒舌に話しており、そんな浮かれた心を家族に悟られるのではないか心配した。しかし、それは杞憂だった。
私だったらこんな風に書いてみるかな。

>妹がお姉ちゃんまだ~? と声をかけてきたので浴室を出た。
説明くさいですよ^^;
鏡の自分に見とれてついつい時間が経ってしまい、妹の声ではっと気づき、こんなところ妹に見られる訳にはいかない! と焦るような描写にしてみてもいいかも。

>遠くから電車の走る音が響いてくる。
こういう表現、私は好きです。
ただ、ですね……
ここでは主人公が自分の容姿に夢中になっていた場面ですので、周りの音はかえって聞こえにくくなっているはずです。
けれども、電車の音が聞こえてきた。
となると、主人公の思考が落ち着き、周囲の音に気づく状態になった、ということです。
なので、そのような描写があると、この表現がより生き生きとしたものになります。

>変に着飾って誤解を受けるのは望ましくない。
気持ちはわかります。
物語的におもしろくするには、よく見られようとはじめはいい服を着ていこうとするも、変に思われたらどうしようと葛藤し、結局は地味な服で行く、みたいな流れがあってもいいかなと思いました。

>駅前の銀行でお金を下ろした。
説明だけで終わるの、もったいないですよ。
高校生が通帳からお金下ろすんですよ。
ここでも心理的な葛藤を書いて欲しかったなぁ……
暗証ボタンを押す時に、これでいいんだ、とつぶやいてから押すとか、いろいろおもしろく書けそうなところです。
>張り切って銀行で下ろして持ってきた三万円が泣いてるや。
とラスト近くで書いているのですから、それを活かすためにも、ね。

>もう、「私」を認識しているのじゃないかしら。

ここ、とってもいい場面です!
自意識過剰になってしまうところとか、リアリティがあっていいですね。

結局買わないで帰る展開もおもしろかったです。

ただ、ラストでアイコに抱きつく動機は、もうちょっと丁寧に書いてほしかったです。
気持ちはわかりますよ。
こういうとき、親友に抱きつきたくなる。うんうん。
ただ、この作品は心情をメインにしたストーリーですので、最後ももっと丁寧に。

と、いろいろ書いてしまいましたが^^;
なんだかんだで私は楽しく読めてしまいました。
説明的な文体を変えればさらにいいかな、と私は思います。

作品を読ませていただきありがとうございました。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

神楽堂様、長文の感想をありがとうございます。

おもしろかったと言っていただいて嬉しいです。

「私」という一人称、確かに多いかもしれません。重複その他、なるべく減らしたつもりでしたが
もっと減らせたようなので、改めて推敲してみます。

情景描写は、主人公が女子高生ということもあって、言葉選びはかなり考えたのですが、
少し凝った書き方がしたかったので、村上春樹の「ノルウェイの森」を読んでいる程度だという
設定にしたのですが、どこまでどう書きこんでいいかはなかなか難しいものがありました。
白ワンピースのお姉さんを表現するのにも語彙やレトリックをどこまで使うかも悩みました。

部分部分描写が説明的なのは間違いないですね。物語を進めたいがために手抜きしたというところで、
良くないと私も思います。もう少し長い作品にするのを覚悟で丁寧に書けばよかったと思います。

幾つかの場面の指摘、大いに参考になります。特にラストはもっと心情を細かく書いた方が
締まりが良くなったかと思います。なにしろ筆者は男性ですので、想像力の限りを尽くしましたが
至らない点がやはりあるよなぁ、と改めて思います。挑戦の作品でした。

楽しく読めたと言っていただけてありがとうございます。励みになります。本当にありがとうございます。
それでは今から神楽堂様の作品も拝読に行きます。それでは失礼します。

偏差値45
KD106180000195.au-net.ne.jp

一言で言えば「退屈」かな。
とはいえ、個人の好みなのであしからず。
もしかしたら、女性が読めば共感もできるのかもしれません。

要約すると、こんな感じかな。
①出会い
②比較
③偶然の再会
④会話(親睦)を求めて行動するが、失敗。

小説の構造としては悪くはないと思います。
では、どうすれば良いか、という問題。
何かいい味付けがあれば良いのですが、思い付かないですね。
言わば、戦略は間違っていないのですが、戦術が弱い。そんな気がしましたね。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

偏差値45様、感想をありがとうございます。

確かに、男性が読めば退屈と感じると思います。なかなか想像が及びにくい感情を
書いていると思いますし、読者としての想定は女性であったのも正直なところです。

起承転結を入れたつもりではあったので、構造は悪くないと言われて嬉しいです。
もしも男性にも興味を持ってもらいたいなら、恋愛の要素を入れれば良かったかな、と
思っています。実は初期のプロットには入っていたのですが、冗長になりかねないと
懸念してバッサリ切りましたが、この判断が良かったかどうか、難しいところだと思います。

戦術、というのは、いかに多くの読者を惹きつけられるか、というような意味合いだと
思いますが、まだまだそこまで考えられず、一から物語を書く、というところで
今はまだ精一杯ですが、今後の作品はそういう考えも含めて書こうと思います。
貴重なアドバイスをありがとうございました。それでは失礼します。

夜の雨
ai203159.d.west.v6connect.net

「 Aspiration」読みました。

>思春期の女の子の「大人の女性への憧れ」を書いてみました。
>多感な女の子の感受性を表現したかったのですが、上手くいったかどうか……。
うまく書けていました。
コンビニに行く道すがらの風景を「心情とともに書いておき、店内で素敵な女性に出会うところも「私の瞳に眩しさのように焼きついた。」というところなどは、結構インパクトがある表現だと思いました。
>彼女は川沿いに立つ瀟洒な造りの高層マンションのエントランスに静かに吸い込まれていった。<
これなどは、主人公が高校生女子なのでよいのですが、男子とかだとドラマが始まりそうな期待感がありますね。
おっさんだと、ちょいあぶねぇなぁ、というところか(笑)。
主人公が刑事だと、先のドラマが複雑そうという予感。

>あ、と声をあげた私は思わずそびえる高い建築物を見上げた。<
この文章は、すでに相手の女性を上に見ている証拠ですね。
相手の女性が自分よりも高い位置にいる、それがすなわち大人の美しい女性であこがれるといったところ。

>鼓動が少し早くなっている。なんだろう、この感覚。私は自分自身が、あるような、ないような、浮いているような気持ちで家まで辿り着いた。<
アイドルにひとめぼれしたときのような感覚ですかね。

浴室で鏡を見ていると「妹がお姉ちゃんまだ~?」というエピソードは定番ですが、高校生の姉と中学生の妹との年齢差が伝わりますね。
たぶん妹ならコンビニであの奇麗な姉さんを見ても、なんにも感じないだろうとかの主人公との年齢差。

母親とのパーマ代のエピソードも立場の違いがよくわかります。

>夜は比較的涼しいので窓を全開にして扇風機を強で回せば何とか耐えられる。<
これはちょっと気になりました。
「窓を全開」ということで、どんな住居環境かを書いておいたほうがよさそうですね。
庭があって樹木やら塀などがあるとか。
通りから見えるような環境だと困るので。
また、先の女性が高層マンションなので、その対比といったところかららも主人公がどんな住居にいるのかを書いておくと、主人公の相手の女性へのあこがれている程度のイメージがしやすい。

百貨店で白ワンピースの彼女を見つけたときの衝撃が伝わってきました(笑)。
ドラマの展開がうまい。

>女性のお店のブランド名はしっかりと記憶した。<
そりゃ、そうでしょうね。
この百貨店でのフロアのエピソードは「と中学三年生の妹が嬉しそうに言う。」妹のはしゃぎぶりが主人公と対比されていて、よく書けているのでは。

>録画していたメジャーリーグの試合を興奮しながら見ているお父さんを尻目に私たち三人は出かけた。<
この父親が自宅で録画のメジャーリーグの試合を興奮しながら見ている、というところが笑えます。


一週間後に友人のアイコを誘って、それに貯金を下ろして奇麗な姉さんに会いに行くところなどは万全の準備ですね。

この展開で相手の女性に会ったとしてアイコはどういう反応をするだろうかと思っていると、主人公は相手を発見したがトイレに逃げ込んだ。
このエピソードはわかる気がします。
今までの流れからするとかなり意識しているようですし、

アイコにすべてを話して「気にしすぎ」とか言われるのは第三者だからしょうがないですね。
こういう醒めたところが、ラストの一行につながるのでしょうね。

>張り切って銀行で下ろして持ってきた三万円が泣いてるや。<
たしかになぁ、三万円降ろしてやるき満々だったのになぁ、結構面白いですが三万円のくだり。

あとラストのアイコの背中に抱き着くあたり、良い友達を持ってよかったね、でした。
それだけ、気を許せる友人が近くにいるという事で。

全体によくできていました。
「大人の女性への憧れ」を、思春期の女の子の立場で感受性豊かに描いたのではないでしょうか。


お疲れさまでした。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

夜の雨様、今回も私の拙い作品に丁寧な感想を本当にありがとうございます!

うまく書けていたとのお褒めの言葉、とてもありがたいです。正直自分では全く評価が分からないのです。

主人公の女性の何とも言えない感覚は、私が若い頃にイケメン俳優や歌手に憧れた感覚に近いと思います。
男性であっても、多感な高校生の頃にそういう感覚は誰でも少しは持つのではないかと思いますね。

マンション四階に住んでいるとは書きましたが、レースのカーテンは閉めてあるので部屋の中が見られることは
ない、という想定でしたが、ここは記述不足でした。

物語の展開に無理がなかったか、などが気になっていたところですが、そう言った指摘もなく
趣向を凝らして書いた場面を誉めてもらえるのは本当に嬉しいです。うんうんうなりながら書いた甲斐がありました。

いつも感想を書いてくださって本当にありがとうございます。次回作もよろしくお願いいたします。
夜の雨様の次回作も期待して待っています。それでは失礼します。

西山鷹志
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拝読いたしました。

新しい感覚の小説だと感じました。
女子高生がコンビにで出会った大人の女性と遭遇。
主人公にすれば、まさに理想の女性。
これが男だったら恋愛に発展すと思いまず、相手は女性。
女性が女性の魅力の虜になる。この発想は新鮮ですね。

その女性と再び再会する所が百貨店の化粧品売り場。
主人公はドキドキ憧れの人がそこに居る。
ところが主人公は化粧品売り場迄20センチの処で引き返してしまう。
まるで恋人に告白したいが恥ずかしくて行けない。そんなもどかしさ。

結局合わずしまいで終わってしまうのですが
憧れの人は諦めたのか? この辺に違和感を感じました。
憧れの人に会うために、努力して来たのに。
年頃で感受性が高いから方向転換したのでしょうか。
面白い小説なのですが、最後はモヤモヤさまーずかな(笑)
お疲れ様でした。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

西山鷹志様、感想をありがとうございます。

確かに、既存の小説には余り見ないのかもしれません。
男性作家が女子高生の心情を書いたものに、例えば太宰治の「女生徒」がありますが、
参考にはしていません。挑戦のつもりで書きました。

そうなんですよね、これが主人公が男性なら恋愛がはじまるのですが、
女性なので、違う趣きの物語が展開したのです。とはいえ、作中にもあるのですが、
恋愛ではないけれども少し似た感情でもあるというか、表題のAspirationは
フランス語で「憧れ」という意味なのですが、なりたい自分、手に入れたい姿、と
いうニュアンスを主人公が抱いた部分が表現できたか、というところだと思います。

最後は確かにモヤモヤしますよね。ですが、自分自身の高校生の頃を思い出すと、
こういうモヤモヤした中途半端な行動してましたので、若さってそういうことでも
あるんじゃないかな……と思っています。これに読者の方が同意してもらえるかは
分かれるところだと思いますが、あえてこういうラストにしてみました。

それでは西山様の作品を拝読に行きますね。失礼します。

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