奈あ`カガミ出mo診Yoヤ〜^
コンビニで飲み物を買う。二つ前が公共料金か何かの支払いをしているみたいで、長く待たされている。長い。手持ち無沙汰で、雑に伸びたヒゲばかり触って待っていた。いつまで待たせるんだろう、もうかれこれ、三分になりそうだ。
ヒゲを触りすぎて少し顎が痒くなってきた時、「すみません」と聞こえた。顔を上げると四十代くらいの男性が列に並ぼうとしているのがわかった。
「あぁ、すみません」そういい僕は身をひねり、その人を後ろへ通した。
また剃り残しのヒゲを撫で始めた。何とか会計が終わったみたいで、列は動き始めた。僕は会計をしてコンビニを出た。
ジムへ行く。ランニングマシンを使っている。付けていたイヤホンが外れてしまい、隣の人が拾って渡してくれた。
「ありがとうございます。」
「いえいえ。」
なにか見覚えのあるホクロを持った人だった。だが気にせずまた走り始めた。
ジムを出た。夕食の食材を買う。
スーパーマーケットへ行き、カレーの具材を買う。人参、じゃがいも、牛肉を買ったあたりで、なにか違和感に気づいた。周りを見渡した。どうにもこうにも、皆、顎にホクロがある。
少し気味が悪くなったので、逃げるようにレジに行った。また、四十代くらいの顎にホクロを持った男性だった。
考えてみれば朝行ったコンビニでもこの男を見た。いいや、ジムでも、街中でも、周りの人間のほとんど全て同じ「その」顎にホクロがある、四十代の男だ。
気味が悪くなった。逃げるように家へ帰った。
妻は妻のままだった。
「おかえり。」
「ただいま。気味が悪い話があってね…」その話をした。疲れてるんじゃないの、と笑われた。
カレーを食べた。私は安心して眠ってしまった。今日あった気味の悪い話は、ほんの偶然だと思った。同じような顔の人は世の中に沢山いるし、そもそも、もし同じ顔であっても僕には一切関係無いし。妻さえいればそれでいいじゃないか。ほんのりと残るカレーの匂いに包まれて眠りに落ちていった。
起きた、忘れていた。今日こそはヒゲを剃らなければ。妻は起きて、味噌汁を作ってくれていた。
「おはよう。お米でいいよね。」
「うん、ありがとう。今日はヒゲ剃るよ。」
「わかったわ。ご飯食べてからでいいでしょ?準備しといてね。私のお化粧もお願いね。」
「うん。」
朝ごはんを食べる。味噌汁は身体が温まって、魚と一緒にお米を食べる。
お腹が一杯になった。幸せだ。よし、ヒゲを剃ろう。
私はカミソリとシェービングクリームの缶を持って洗面所へ行く。泡を顎につける。
「準備できたよ。」
「分かった、今行くわ。」妻が洗面所へ来た。
「じゃ、剃るわよ…動かないでね…。」
ジョリジョリと気持ちのいい音がする。
ヒゲを一人で剃る事は不可能に近い。
ヒゲを剃り終わった。
「次はお化粧お願いね。」
妻の化粧をして、口紅を塗る。
化粧をしながら僕は少し照れて言う。
「やっぱり君はとても美しいよ。」
妻も照れて言う。
「ありがとう。あなたは私が好きな顔してるわ。その目も、鼻も、ホクロも、全て魅力的よ。」
「本当に?一度でいいから、自分の顔を見てみたいなぁ。」
執筆の狙い
あんさん、自分の顔見たことありまっか?ごっつかっこええで。見た事ないならもったいないな〜