ルパン三世VS名探偵コナン
どこかの小国の王女と王子が頓死し、残されたもう一人の王子も女王に即位する前に怪しからぬ陰謀に巻き込まれて横死しかねないと危惧した側近は一計を案じて彼女を極東へと送るが、王子は王子で若者にありがちな人生の不満から機を見てホテルを抜け出し途中で出会った自分と外見が瓜二つの女子高生と入れ替わることで自由への逃亡を試み、試みは成功して取り替えられた女子高生のほうが警察に身柄を拘束されるものの、その女子高生を目にした頭の切れる側近はここでさらに一計を案じ王子をこのまま遠国で遊ばしておけば本国にいるよりも安全ではないかと考え、とはいえ空手で帰るわけにもいかないのでこともあろうに目の前の女子高生を誘拐し王女の替え玉として本国に連れ帰る。
この女子高生にはふとした事件の結果外見だけ子供並みになってしまった高校生のボーイフレンドがいて、もともと学生に探偵家業を兼ねる程度には精神と肉体の能力が卓越していたので彼女を連れ去るべく離陸をはじめたジェット機にも主脚の格納部を経由する離れ業で果敢に乗り込みそのまま彼の国へ秘密裏に入国しようとするが、王宮で例の頭の切れる側近と腹を割って話したところ王女殺しの下手人という真に戦うべき巨悪の存在に気づかされ、その度胸と明晰さを買われて王子が本国へと戻るまでのあいだに犯人を見つけ出すように依頼される。探偵は現場の綿密な観察と豊かな想像力と冷静な推論を駆使して稲妻の如く事件の殺人犯を見破り、その人物の正体を天下に知らしめるべく王宮でみずからの推理を披露しようとするが、犯人の卑劣な姦計によって窮地に陥り万事休すかと思われたそのとき、王子の戴冠式を奇貨として偶然かの国に潜入していた極東の怪盗の闖入によって難を逃れ、巨悪は討たれて王国は新しい王女のもと平和な国へと戻っていく。
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2009年当時にテレビ放送を見た記憶があるので、14年振りということになる。
最後まで観て驚いたのだが、ルパンとコナンがまったく対決しない。というか、ルパンがあまり出てこない。序盤で活躍するのはむしろ峰不二子で、一番盛り上がるのはおそらく峰不二子とコナンのチェイスの場面である。興味深かったのは善人と悪党の造形。国内で見つかったレアアースを採掘することで国際政治の中心に躍り出ようとし、そのためには汚職も自然破壊も殺人も手段を択ばない野心あふれる壮年男性が問答無用の悪人として、開発によって国内の美しい自然が失われることを危惧した保守的な前王女が純粋無垢な善人として対比的に描かれているのだが、この政治性に時代を感じた。基本的に有名キャラ同士の邂逅という以外ほとんど見るべきところはなく、その邂逅もあまり効果的に演出されていないのでかなり残念な作品なのだが、これを見て胸をときめかしていた当時の自分が懐かしい。
執筆の狙い
ブログにアップしようと思って書いたものですが、小説のようにも見えてきたのでここに投げておきます。
皆様今年もお疲れ様でした。良いお年を。