- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/01 20:16
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実験 続き
元妻との離婚の原因は被害者の不倫。その相手とされるのが愛人疑惑の女性だ。秘書は普段からパワハラを受けており動機はある。ライバル会社の社長も犬猿の仲であるということは周知の事実らしい。 「ねぇ、犯人推理してみない?」沙織が小声で耳打ちする。 望むところだと俺は推理を働かせる。俺には気になっているところがあった。それは現場のテーブルに置かれていたブルーハワイ。一人で宿泊しているのにストローが二本ささっている。つまり、愛人と一緒に飲んでいたのだと。 「愛人」俺は沙織にそっと呟く。 「あたしの予想はね、……」沙織は周りに声が漏れないよう一層俺の耳に顔を近づけて囁く。距離の近さにドキドキする。
続く
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- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/01 20:31
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実験 続き
そして、物語は解決編に突入する。果たして勝利の女神は俺に微笑んでくれるのか? 「このブルーハワイにはストローが二本ささっている。一つのグラスを二本のストローで分け合うのは愛人以外ありえない! 犯人は愛人だ!」まるで予定調和のように非番で乗り合わせた刑事が叫ぶ。 噛ませ犬じゃねぇか。俺は自分の推理が外れたことを悟った。 「残念ですが刑事さん、そうではありません」名探偵の言葉が無情に響く。 「ブルーハワイのストローが二本あるのは、クラッシュアイスが詰まった時に備えた予備なんです」 「な、なんだと! たこ焼きに爪楊枝が二本ついているのは二人で食べるためではなく、たこ焼きがくるくる回らないためというが、それと同じと言うことか!」刑事が激昂する。 「ちょっと何言ってんだかわかりませんが、犯人はあなただ」名探偵は犯人を指さした。 「ブルーハワイを届けた女性スタッフ?」現場にいる者たちに驚きが走る。最初はしらばっくれていた女性も名探偵の外堀からいやらしくジワジワ攻めていく話術の前に膝をついた。 ルームサービスで部屋に入ったところ、強引に迫られて、咄嗟に近くにあった鈍器のようなもので殴打したということだ。 映画を観終えて、混雑する出口を通り抜ける。 「ね、あたしの言った通りでしょ?」俺の前を歩く沙織が得意気に言う。 「何で分かったの?」 「だって、あの女優さんよく犯人役やってるもん」 それって反則じゃね。 「ねぇ、このあとどこ行く?」 沙織は反則的な笑顔で振り向いた。
おしまい
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- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/02 06:28
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実験 『仕事幽霊飯弁慶その癖夏痩せ寒細りたまたま肥ゆれば腫れ病』 五題噺【どうしても夏が入った名前に惹かれるボク】【焦恋】【パラソルの下で】【アイツ、染まっちまったな】【寝落ちさせたら勝ち】
どうしても夏が入った名前に惹かれるボク。千夏、夏美、夏帆、美夏。今日は夏帆の話をしようか。 夏帆と付き合うことになったのは高三の時だったな。ボクは地元の会社に就職する道を選び、夏帆は東京の大学に進学した。離ればなれになったけど、ボクらの関係は続いた。もともとボクとのおしゃべりが好きだという夏帆は頻繁にメールをくれたっけ。 眠れない夜なんかはチャットを遅くまでやってたよ。いつしか寝落ちさせたら勝ちみたいな雰囲気になったんだ。夏帆はボクの話を喜んで聞いてくれたけど、あまり夜更かしさせるとよくないかなと思ってわざと負けるようにしたんだ。バレちゃうんだけどね。 やっぱり会話だけだと寂しくてさ、会いたくなっちゃうんだよ。そんな時ラジオから聞こえてきた「焦恋」って曲は琴線に触れたな。夏帆は夏休みに帰省すると言っていた。夏帆の事を考えると仕事もミスばかり。寂しさを紛らわそうと過食症になっちゃってね、でも夏バテとストレスで吐き戻して逆に激痩せしちゃったよ。
続く
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- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/02 06:57
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実験 続き
夏帆は早く寝落ちするようになった。以前のようにキレのあるトークができないボクに飽きてしまったのかもしれない。それとも東京という街が夏帆を変えてしまったのか。 「アイツ、染まっちまったな」 自然とそんな言葉が溢れた。 そんな折、夏帆から今年の夏は帰れなくなったと連絡があった。授業についていけなくて必死に勉強するというのがその理由だった。ボクは死刑宣告を受けた気分だったよ。 ある日、夏帆からメールが来たんだけどさ、そこにはビーチパラソルの下で、とびきりの笑顔を見せる夏帆の写真が添付されてたよ。他の男と肩組んでてさ。後で聞いた話だけど、その男に送ろうとして誤送信したという話だ。 それでしばらくボクは抜け殻さ。胃腸の調子が戻ってきて今度は激太り。事情を知った上司からかけられた言葉は励ましの言葉じゃなくて、ことわざだったよ。仕事はできないくせに大食らいで、なのに夏に痩せ細って、太ったかと思えばそれは腫れ病って意味なんだってさ。 もう夏は懲りごりだね。
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- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/02 20:21
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実験 『仕事幽霊飯弁慶その癖夏痩せ寒細りたまたま肥ゆれば腫れ病』 【焦恋】【パラソルの下で】【アイツ、染まっちまったな】【寝落ちさせたら勝ち】
どうしても夏が入った名前に惹かれるボク。千夏、夏美、夏帆、美夏。今日は夏帆の話をしようか。 夏帆と付き合うことになったのは高三の時だったな。ボクは地元の会社に就職する道を選び、夏帆は東京の大学に進学した。離ればなれになったけど、ボクらの関係は続いた。もともとボクとのおしゃべりが好きだという夏帆は頻繁にメールをくれたっけ。 眠れない夜なんかはチャットを遅くまでやってたよ。いつしか寝落ちさせたら勝ちみたいな雰囲気になったんだ。夏帆はボクの話を喜んで聞いてくれたけど、あまり夜更かしさせるとよくないかなと思ってわざと負けるようにしたんだ。バレちゃうんだけどね。 やっぱり会話だけだと寂しくてさ、会いたくなっちゃうんだよ。そんな時ラジオから聞こえてきた「焦恋」って曲は琴線に触れたな。夏帆は夏休みに帰省すると言っていた。夏帆の事を考えると仕事もミスばかり。寂しさを紛らわそうと過食症になっちゃってね、でも夏バテとストレスで吐き戻して逆に激痩せしちゃったよ。 夏帆は早く寝落ちするようになった。以前のようにキレのあるトークができないボクに飽きてしまったのかもしれない。それとも東京という街が夏帆を変えてしまったのか。 「アイツ、染まっちまったな」 自然とそんな言葉が溢れた。
続く
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- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/02 20:58
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実験 続き
そんな折、夏帆から今年の夏は帰れなくなったと連絡があった。授業についていけなくて必死に勉強するというのがその理由だった。ボクは死刑宣告を受けた気分だったよ。 お題一個抜けてた 【 どうしても夏が入った名前に惹かれるボク】
続き
ある日、夏帆からメールが来たんだけどさ、そこにはビーチパラソルの下で、とびきりの笑顔を見せる夏帆の写真が添付されてたよ。他の男と肩組んでてさ。後で聞いた話だけど、その男に送ろうとして誤送信したという話だ。 それでしばらくボクは抜け殻さ。胃腸の調子が戻ってきて今度は激太り。事情を知った上司からかけられた言葉は励ましの言葉じゃなくて、ことわざだったよ。仕事はできないくせに大食らいで、なのに夏に痩せ細って、太ったかと思えばそれは腫れ病って意味なんだってさ。 もう夏は懲りごりだね。
おしまい
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- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/05 17:46
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実験 『ソーセージは教会の正午の鐘を聞くことを許されない』 【江戸川乱歩】【夏】【思い出】【腸詰】
「奥様、先ほど中村と名乗る男が奥様に渡して欲しいとこのような包みを持ってまいりました」 「中村? どのような方でしたか」 「はぁそれが、醜男《しこお》といったら良いのでしょうか、奥様に合わせて欲しいと懇願しておりましたが、奥様は江戸川乱歩賞に向けて小説の執筆でお忙しいのでとお引き取り願ったのですが」 お手伝いの女性はそこで一旦言葉を切り、奥様と呼ぶ主人の顔色を窺った。 「するとその男は、自分は怪しいものではない。いつもお中元を送っている。訳あって今年は直接手渡しにきたと。とにかく急いで渡して欲しい。それで拒まれれば仕方がない。その時は処分して良いと」 「見せていただけます?」 包みには大きく「至急」と書かれている。その下には加藤時子様と宛名があり、続いて中村征四郎の名があった。 「お知り合いでございましたか?」 「ええ、知人です」 「申し訳ありません。そうとは知らず私失礼を働いてしまいました」 「いいのよ、後で私から連絡しておきます。ありがとう。下がってよいですよ」 「失礼します」 包みを開けると一通の手紙が入っていた。中身はソーセージ。時子はしばし中学の思い出に浸る。ある夏の日、同級生にいじめられている征四郎を気の毒に思った時子は同じ図書委員をやるよう誘い、面倒を見るようになった。征四郎は以来時子に恩義を感じ、こうして両親が営む精肉店のソーセージを送ってくるようになった。そんな気を使う必要などないと繰り返したのだが、それは征四郎が両親の後を継いだ今も続いている。
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- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/05 17:57
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実験 つづき
いつもなら宅配便で届くのに、今年はなぜ手渡しなのだろうと時子は首を傾げた。去年結婚して住所が変わったからだろうかと一瞬考えたが、直接やってきたのだからそんなはずはない。ともあれ、時子は手紙を手に取る。
「ソーセージは教会の正午の鐘を聞くことを許されない」
手紙はそのような見出しで始まっていた。ソーセージとは挽肉の腸詰めを燻製にしたものであり、保存がきくイメージだが、このヴァイスヴルストと呼ばれる白いソーセージは鮮度が命であると。元来早朝に準備をして朝食と昼食の間のスナックとして食することから、ドイツにはそのような言葉があるのだと言う。 時子が時計を見やると11時を回ったところだった。時子は征四郎が書き記してあるようにヴァイスヴルストをボイルするようお手伝いに頼むとぼんやり征四郎のことを考える。時子は征四郎が自分に想いを寄せていることに気づいていた。時子自身にはそのような感情を持っておらず、地元名家の男と結婚した。それを機に征四郎からの贈り物も途絶えるものとばかり思っていた。 「お待たせしました」お手伝いがボイルしたヴァイスヴルストを運んできた。 「気が効くわね」時子は一緒にトレイに乗せられているビールのグラスを見て言う。 「ごゆっくりお召し上がりください」お手伝いは笑みを浮かべて去っていった。 夫は三日前から出張に出ている。時子は一人ヴァイスヴルストにゆっくりとフォークを沈ませた。柔らかな感触が指に伝わる。マスタードを少量つけて一口齧ると、普通のソーセージとは違う、フワフワした食感がした。
続く
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- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/05 18:05
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実験 続き
「奥様、お電話です」お手伝いが動揺した様子で部屋に入ってきた。 「どうしたんです? そんなに慌てて」 「それが、警察からなんです」 「警察?」
警察の話を聞いて時子は受話器を床に落とした。 出張に出ていた夫が殺された。そしてその遺体からは腸が取り除かれていたと。
「ボーン、ボーン、……」
柱時計が正午の鐘を鳴らした。
おしまい
※誤字訂正 ×合わせて ○会わせて
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- アン・カルネ
2024/09/06 19:44
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実験 ぷりもさんへ
ヴァイスヴルストにしちゃったんですね。 読みました。 私にはとても面白かったです。ラストもぞっとさせられましたし。 ちゃんと乱歩テイストの物語にもなってると思いました。
因みに『運命のナポリタン』読まれました? あれ読んで、ぷりもさんはmonoに向いてるんじゃないかな?って思ったんですよね。 もし読んでなかったら読んでみてくださいね。
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- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/06 21:20
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実験 アン・カルネさま ありがとうございます。 参考にした【人間椅子】はあらすじ読むだけでも面白さが伝わってきました。そのラストも見事だったのですが、同じような話にならないようホラーテイストにしてみました。 『運命のナポリタン』読んでみたいと思います。 色々情報ありがとうございます。
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- ぷりも@浮離ちゃんイジメてゴメンね
2024/09/06 21:55
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実験 アン・カルネさま 運命のナポリタン読みました。 あれは面白いですね。あの続きを書くのはハードルが高そうですが、ちょっと考えてみたいと思います。
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- ぷりも
2024/09/10 05:48
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トイレ掃除 前編 「先生ー! ハジメくんが昨日もトイレ掃除サボってました!」 生徒の一人が手を挙げて言う。 熱血教師の私はクラスの調和を乱す者を許しはしない。とは言え、頭ごなしに叱るのは素人のやることだ。まずは理由を確認しよう。 私はハジメくんの前に来て同じ目線で話そうと腰を屈める。 「なぁハジメくん、きのうトイレ掃除サボったってのは本当かい?」 ハジメくんはバツが悪そうに目線を外し頷いた。 「どうして?」 「だってばっちいじゃん。だから僕トイレ掃除するの嫌なんだ!」 「いいかい、ハジメくん。確かにトイレはばっちいよね。それを掃除するなんて気持ちのいいもんじゃないね」 ハジメくんの心に寄り添った私の言葉が響いたようで、ハジメくんは私をまっすぐ見つめる。 「だけどね、その嫌なことを他の誰かがやってくれているんだよ。ハジメくんが気持ちよくトイレを使えるのは掃除してくれている人がいるからなんだ」 ハジメくんは目を逸らした。 「トイレ掃除だけじゃない。みんながみんな嫌だからやりたくないなんて言ったら世の中回らないだろう?」 黙って聞いているハジメくんをよそに私は続ける。 「そういう人が嫌がることを進んでやりなさい。そうすれば皆んなに感謝される立派な人間になれるんだ」 「うん! 僕やってみる!」 「わかってくれて先生も嬉しいよ」 ハジメくんは元気よくトイレに走って行った。ちゃんと掃除するか確認しようと私は後に続く。 ハジメくんは、ブラシをとり汚れた便器を一生懸命擦っている。 「偉いぞ、ハジメくん」 その声に気づいたハジメくんは笑顔を浮かべて私を見ると、そのまま私の元に歩いてきた。
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- ぷりも
2024/09/10 05:56
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トイレ掃除 後編 すると突然ハジメくんは持っていたブラシで私を攻撃してきた! 「ちょっ、何をするんだハジメくん、やめなさい!」 ハジメくんは嬉しそうに攻撃を続ける。 「何やってんだハジメ! やめろ!」 一向に攻撃の手を緩めないハジメくんの手からブラシを奪い一喝する。 ハジメくんは不満そうに言った。
「人の嫌がることを進んでやれって言ったじゃん」
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- 通りすがり
2024/09/11 10:32
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実験 人の嫌がることを進んでやります 美徳とされるような行動、場面 人の嫌がることを進んでやります 日本人にたいする某国人とかw
伝言板を見ていたら「家」の存続に必死ですね。 古参の方々とも前ほどいい関係ではなくなってきたし、 よそでは、何を試みても閑古鳥だからでしょうか。 10年以上、好き放題できていて、最近は新規の信者が開拓 できないけど、ゼロから始めるよりは勝率があると思って いるのか。一人多役劇場ゲルニカ。
昨年の2月の企画の頃ですけど、作品、コメント、 読めるみたいですね。 https://web.archive.org/web/20230301210607/https://sakka.org/
7月の「日記」、運営にお願いして、削除したから読めない作品が あるのでしょうかね。だったら、それは何故そうしたのかと、 また勘ぐってしまいますね。
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- ぷりも
2024/09/11 12:23
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実験 通りすがりさま
その頃のうきりんこはわりと普通の文体ですよね。 一文長いけど。
うきりんこは以前、壮絶な人生を経験してきてるみたいなことを言ってたんですよ。 主観なので、私それ話半分でとってますけど、ここまで見た感じ、男性、それも年長者に対する憎悪が強い。 男尊女卑に過敏。「なんであたしばっか」「あたしが女だからですか?」とか。
例えば、男兄弟がいて、親が息子には甘く自分には厳しいといった幼少期の思いを拗らせてるような印象です。
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- ぷりも
2024/09/11 15:11
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実験 ※これは匿名希望さんの投稿作をベースにしたオマージュです。ぷりもオリジナルではありません
『生彩(仮)』 ep.1
「おうヒロシ来たか! 盆も過ぎちまったから今年はもう来ねぇかと思ったよ」 「ああ、ちょっと立て込んでてな」 「盆に墓参りもさせてもらえないなんてつくづく警察ってのは因果な商売だね」 「盆も正月もねぇ坊主に言われたかねぇよ」 「違いねぇな。時間あるんだろ? 上がって茶でも飲んでいけ」 「そうさせてもらうよ」 二人は寺の中へと入っていった。
「もう何年になる?」 「七年だ」ヒロシはグラスに入った麦茶を一気に飲み干す。 「それで、犯人の目星はついたのか? いやスマン、部外者にそんなこと話せるわけないよな」 「かまわねぇよ、何の進展もなしだからな。だが、犯人は俺が必ずあげる。じゃなきゃ芹沢さんが浮かばれねぇ」 芹沢はヒロシの先輩刑事で七年前に殉職し、以来ヒロシは毎年盆になると芹沢が眠るここ龍福寺に足を運んでいる。
「兄さん、買ってきたよ」 「おお、スマンな」 「兄さん、って、そういえばお前弟いるって言ってたな」 「ああ、弟の竜二だ。美大に通ってる」 「よろしく竜二くん。孝一とは大学からの付き合いで斎藤と言います。それにしてもまだ九月なのにマフラーなんて暑くないかい?」 「これはマフラーじゃなくてストールですよ刑事さん」 「なぜ、俺が刑事だと?」 「なんとなくです」 「気にするな、コイツ昔から変に敏感でな。あといつも首に何か巻いていないと落ち着かないらしい」 「それで、斎藤さんの依頼は何ですか?」 「依頼?」 「竜二! ヒロシはただの友人だ。今日は墓参りに来ているだけでお前は関係ない」 「待て、待て、どういうことだ? 説明しろ孝一」 孝一は無言で竜二を見る。
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- ぷりも
2024/09/11 18:42
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実験 「構いませんよ兄さん」 ふー、と孝一は大きくため息をつき口を開いた。 「コイツには妙な能力があってな、生きた人間から溢れる念をスケッチして可視化するんだ」 「超能力ってことか? おいおい、そんな話するなんてお前らしくないな」 「斎藤さん、試してみますか?」 「試す? 俺でか?」 「そうです。斎藤さんは、お墓参りでここに来た。その方を思い浮かべて下さい。僕は斎藤さんから溢れる念を読み取ってスケッチします」 「思い浮かべるだけ? 輪郭がどうとか、つり目ですかとか聞いたりしないのか?」 「ええ、思い浮かべるだけです」 「疑うわけじゃないが、俺の念が君には今どんな風に見えている?」 「それは疑っている人の言うセリフですよ刑事さん。残念ながら描いてみないと僕にもわかりません。漠然としたイメージをキャンバスに重ねていくことで具体的なイメージが次第に浮かび上がってくるんです」 「面白い、じゃあ竜二くん頼むよ」 竜二は小脇に抱えていたスケッチブックを開き、鉛筆を手に取ると、迷いなく描いていく。 ヒロシはその様子をただじっと見つめる。竜二は線を書かない。鉛筆を寝かせて色の濃淡を乗せていく。やがてそこから徐々に輪郭が浮かび上がり、一人の男が描かれた。 「まさか」ヒロシは驚きの声を上げる。 「信じてもらえましたか? それとも兄から写真を見せられたことがあるんじゃないかと思っちゃいます?」 「いや、信じる。信じるよ。この無念な表情はまさに俺の心の中にある芹沢さんだ。いつか犯人を捕らえたら俺の中の芹沢さんは笑顔になると、そう思って俺は今も捜査を続けている」
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- ぷりも
2024/09/11 20:22
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実験 「いいかヒロシ、このことは他言無用だぞ。この能力のせいで竜二は苦労してきたんだ」 「悪い、孝一、ちょっと頼めないか」 「お前言ってるそばから」 「いいじゃないですか兄さん、とりあえず聞いてみましょう」 「すまない、先日起きた宝石店強盗殺人事件は知ってるな?」 「確か、宝石店の店主が強盗に殺され貴金属が奪われたとかいうやつですね」 「そうだ、目撃者である店主の妻の証言によると、犯人は目出し帽を被りカタコトの日本語を話していたという」 「外国人ということか」 「あまり詳しくは言えないが、複数の可能性を考慮して捜査を進めている。そこで竜二くんにお願いしたいのは犯人のモンタージュの作製だ」 「おい、犯人は目出し帽を被っていたんだろ? いくら竜二でもその素顔を描くことは無理だ」 「すまん、詳しい理由は説明できないがとにかく協力して欲しい」 「僕は構いませんよ」 「おい、竜二」 「いいじゃないですか、困っているお友達のためですよ」 「全く。お前のような弟を持った俺のこともちょっとは考えろよ。いいか? くれぐれも目立ったことするなよ」 「わかってますって。じゃあ斎藤さん行きましょう。でも僕課題の絵を何枚か描かないといけないので、移動中に描いててもいいですか?」 「ああ、構わないよ。よし! 善は急げだ」
竜二は斎藤の車の後部座席に座るとスケッチブックを開いた。
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- ぷりも
2024/09/11 20:52
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実験 被害者の妻の元へと向かう車中で二人は簡単な打ち合わせをした。 「芹沢さんを殺した人のことを聞かせてもらってもいいですか?」 ヒロシはルームミラー越しに竜二を一瞥したあと当時の出来事を語りはじめた。 「七年前の話だ。俺と芹沢さんは、連続殺人犯ピエロを追っていた」 「ニュースで見たことあります。ピエロの仮面を被った猟奇殺人犯ですね」 「そうだ、俺と芹沢さんはあと一歩というところまでヤツを追い詰めた。だがそれはピエロの罠だった。勇み足で踏み込んだ俺を庇って芹沢さんは命を落としたんだ」 「やっぱり、その時もピエロの仮面を被っていたんですか?」 「ああ、素顔は見てない。だが、あの犯行の手口は間違いなくヤツだ。ここ数年なりをひそめているが、またいずれ現れる。これ以上犠牲者を出すわけにはいかない。そうなる前に何としても俺が止める」 竜二は何も答えることなく鉛筆を走らせる。その様子をミラーで確認したヒロシは、大袈裟にため息をつくと黙って宝石店へと車を走らせた。
「ここだ」 車を降りると竜二は斎藤の案内で店内へと入っていった。
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- ぷりも
2024/09/11 21:34
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実験 「刑事さん、もうお話できることはありません。それにこちらの方は? 警察のようには見えないですけど」 「すいません、こちらは今回モンタージュを作製しようと協力をお願いした学生の方です」 「モンタージュ? 言ったはずよ、犯人は目出し帽を被っていたの。無駄よ」 「事件解決に向けてあらゆる手段を講じております。御面倒でしょうがご協力お願いします」 夫人は不快感をあらわにしつつも、先を促した。 「それで? 何から話せばいいの?」 「ありがとうございます。ではまず犯人の輪郭はどのような形でしたか? 目出し帽の上からの印象で結構です」 事前に打ち合わせた通りヒロシが夫人に質問し竜二は一切口を挟まない。ヒロシなりの孝一に対する義理立てである。 「そうねぇ卵型かしら」 「目は?」 「鋭い目つきをしていたわ」 「体格はどうでした?」 「なんでモンタージュに体格が関係あるのよ」 「外国人の線で捜査を進めています。身体的特徴から国籍が推察できるかもしれません。国籍がわかれば顔の特徴も絞れるかもしれないんです。例えば日本人の歯列はUの字ですが、黒人ならコ、欧米人ならV字型という特徴があるんです」 「身長180くらいで体重はどうかしら80キロとかかしら? がっちりしてたわ」ヒロシの質問を訝りながらも夫人は淡々と答える。竜二はスケッチブックをせわしなくめくっては描きを繰り返す。 「できました」 そんなやり取りをしばらく繰り返し、竜二はスケッチブックをヒロシに手渡した。
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- ぷりも
2024/09/11 22:03
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実験 「やっぱりそうか」 ヒロシはそう言ってスケッチブックを閉じた。 「どれ? 見せてみて」 「こちらです」その問い掛けにスケッチブックを再び開き手渡す。 「こんなことだと思ったわ。目出し帽から目がのぞいているだけ。とんだ茶番ね」 「お時間取らせて申し訳ありません」 「そう思うなら早く犯人を捕まえて!」 「尽力致します」 二人は車へと戻った。 「斎藤さん、この方知ってる人ですか?」竜二は目出し帽のモンタージュのページをめくって尋ねる。 「ああ、あそこの息子だ。保険金目当てで妻と子が共謀して犯行に及んだんだろう。もともとその線でも捜査をしていたんだが、これで捜査を絞れる。ありがとう竜二くん」
数日後、宝石店強盗殺人事件解決のニュースが流れた。 「おてがらだったな」 「そんなんじゃないですよ」 「そのスケッチ見せてみろ」 孝一はスケッチブックをひったくる。 「どれどれ、ん? お前なんでヒロシの顔なんて描いてんだ?」 「人物像を描く課題ですよ」 「ふーん」 竜二は車中での会話を思い出す。
「芹沢さんを殺した人のことを聞かせてもらってもいいですか?」
ep.1 終わり
※匿名希望さんのオマージュ作でした
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- 通りすがり
2024/09/11 23:19
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実験 せっかく、いい小説の談義をなさってるのに、 お目汚しでスミマセン。 waybackに残ってないかなと行ってみました。
残ってなかったのですが、自分も「強いうえに、口が悪く、 そもそも言葉、説明が足りないのに、何でも(察せよ)なお父さんに抑えつけられて、殴られたりして育ったのでは」ということは 去年の2月の企画前後に、伝言板に書きました。 未読なんですが「じゃりン子チエ」をもっと殺伐として暴力的に したような雰囲気で。「ちびまる子ちゃん」が穏やかな上流階級に 見えるような、ね。 そしたら「アタシが口が悪いのは、自然の摂理」とか、また 論点ずらしをして、ウィルスがどうとか、戦争がどうとかwww
「平和の国の島崎へ」っていう漫画面白いですが、1巻に出て来る 学生運動の夢破れた女性が、なんかイメージが重なります。
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- ぷりも
2024/09/11 23:35
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実験 幼少期にトラウマレベルの男性不信イベントがあったのかなと。 んで、バンドに逃げて。 そこにきて、大事な人から「君は許すことを知らない」と言われたとかでますますでしょうか。 田嶋陽子レベルであります。
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- 通りすがり
2024/09/12 01:00
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実験 田嶋陽子さんは、お母さんがとにかく強い方だったようですね。 体が弱かったのか、ご病気だったのか、寝ている事が多いのに、 定規でビシバシだったとか。 英国留学していた時は、モテモテで、貴族と婚約していたそうで、 おそらく色々な抑圧から解放されて、いい面がたくさん発動 したのだろうなと。 「ヒロインはなぜ殺されるのか」という本は面白かったです。 いま尼で検索したら、新版が出ていました。 再読してみようかな。さりげなく、都合のいいように改稿した 箇所もあるかも、なんてww
昔、ビートたけしの「TVタックル」だったかな。 女性の性だけが商品化されて云々というフェミニズムがテーマで、 筋肉少女帯の大槻ケンヂ氏と田嶋さんが隣りあって座ってて、 大槻「うーん、確かに女性の裸、とか、アソコとか見たいですけど」 みんな、ウンウンという同意な感じ。 大槻「でも、誰でも見たいってわけでも。(と、田嶋さんを見て) だって、悪いけど、ボク、見たくないですもん」 田嶋さん、大きく顔をのけぞらせて、声は出さないけど、大爆笑 +苦笑いとなり。 楽屋でその後、どんな会話をしたのやら。
「いいとも」で江頭2:50氏が、橋田寿賀子氏にキスした時は、 控室にお詫びにいったら、橋田さんは「いーのよ、気にしてない」とおっしゃったけど、横で、制作の偉い人が正座してたとか(笑)
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- ぷりも
2024/09/12 06:44
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通りすがりさま 田島陽子が海外で求婚されたって話はありましたね。 私信じられませんが。 あーゆー人がいてもいいんですけど、極端すぎなんですね。 女性の権利じゃなくて、男性が憎いだけみたいな。 うきりんこもいっしょですね。あーゆー書き手がいてもいいとは前から言ってるんですけど、周りをこきおろして唯我独尊なのがなんともかんとも。
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- 通りすがり
2024/09/12 07:20
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実験 あいかわらず早起きですね。
まあ、プロの作家でも、時折、そういうミスはありますけどね。 何かをホメるのに、他の何かをけなしてしまい、反感買って、損。 栗本薫「魔界水滸伝」って、途中までは、すっごく面白かったの ですが、日本の影の支配者の孫娘で、絶世の美女を描写するのに、 どこまでこってりと描写できるか実験してみたという場面で、 イヤリングの描写に、「そこらのちょっと名の知れた会社の、 役職クラスの年収ではとうていおっつかないような高価なもの」 というような描写があって、熱心なファンでも、興ざめでしたね。 「おっつかない」って言葉がイヤだなあと思ったのと、比較の 仕方が低レベルだなと。高名なデザイナーによる一点ものとか、 美術館や博物館が寄贈の打診をされたら、断るところはあるまい とか、言い方があるのではと。 ではまた〜♪
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- ぷりも
2024/09/12 12:44
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Devils go to the school. 以前「バナナのいいところを10個あげて下さい」といった本を見かけました。中身見ていませんが、物事を多角的に見るということでしょう。それは物書きに求められるスキルと言えるのではないでしょうか。ひとつ私もやってみましょう。
@栄養価が高い 朝食に良いですね。 A低価格 庶民の味方です。 B常温で保存できる むしろ冷蔵庫に入れない方がいいんですね C誰にでも親しまれる味 南国系フルーツにありがちな強い主張がありません D包丁不要 手でむけます E手が汚れていても食べられる 中身に触れません F食物繊維豊富 お通じよくなります G血圧を正常に保つ 高血圧の方にも安心 H満腹感を得やすい 上手に使ってダイエット効果 I実は野菜 バナナの木と言いますが、木ではありません。故に果物ではなく野菜なのですが、果実的野菜に分類されます。という小話はコンパで使えそうです。 ちなみに、バナナの皮で滑って転ぶことはありません。
さて、前置きが長くなりました。本題です。 Devils go to the school. について考察します。 単純な英語ですが、果たしてどれだけ語れるかやってみましょう。
まずデビルズですね。悪魔の複数形ですが、悪魔のような人ともとれます。 次はgoです。現在形です。もっというと、単純現在というものです。ここでのポイントは単純現在は、今のことではなく、今を中心にぼんやり過去と未来に広がっている習慣を表すイメージです。
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- ぷりも
2024/09/12 13:02
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Devils go to the school. 例えば、I eat breakfast. 今朝、朝食たべたという意味ではないですよ。それは過去形でateです。今現在食べているなら、I’m eating breakfast. 現在進行形ですね。 これから行くよなら、Devils will go to the school. もしくはwillの代わりに、is going to でもよいですね。未来形なんですが、大手質問サイトの英語カテでそういうこというと稀に、英語に未来形はないと絡んでくる人がいるかもしれないので、その際は「すいません現在形の未来表現でしたね」とでも言って怒りを鎮めてもらいましょう。面倒くさいので。 脱線しました。これは普段朝食たべる習慣があるよという意味で今朝食べたかどうかは無関係なんです。 他にも未来を表す現在形というものがありますが、これは自分の意思では変えることの出来ない公的なスケジュール、例えば二分後に電車がくるというのは、時刻表に基づいていることなので、現在形です。
ということは、Devils go to the school. は、習慣的に学校に行っているという意味です。
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- ぷりも
2024/09/12 15:01
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実験 デビルズは学生でしょうか? というと、事はそう単純じゃないんですね。次に注目すべきはtheです。 学生が普段学校に通っていますということなら、冠詞は不要なんですね。その場所に行くことが焦点ではなく、そこで行われることが目的の場合は冠詞がつかないもいうことです。 Devils go to school. になるということですね。なので寝るということでベッドにいくなら、go to bedです。 さて、この冠詞というのはなかなかに厄介です。冠詞には限定を表す定冠詞と、不特定を表す不定冠詞があります。theは定冠詞です。直訳するなら、「あの」「その」「例の」と言ったような、それを聞いた人が「あーあれね」と分かるであろうものにつけます。 日本語でも、何の前置きもなく突然「あの学校行くよ」と言われても、どこのことを言っているんだお前はとなるかと思います。 対して不定冠詞aは、まだ話題に登場してない名詞につきます。不特定多数の中からどれか一つということです。
Devils go to school. 普段学校通っている。 Devils go to a school. 自分の通っているところとは違う学校に行く習慣がある。 Devils go to the school. 例の学校に行く習慣がある。
まとめます。
意味がわかりませんでした。
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