作家でごはん!鍛練場
エレファントゴリラ

人の子、死の島

「人の子」

 曇天を背景にして、男は立っていた。背後には灰色がかった海が、際涯なく広がっている。彼方に広がる水平線は、鈍いグレーの雲とその境界を混ぜ、果たしてどこまでが海でどこまでが空かを曖昧としていた
 男は、低い煉瓦積みのパラペットの前に立っていた。姿勢は吊るされたようにまっすぐに伸び、両の手は身体の側面に下げられている。身を包むは、黒一色のコートに、白いきれいなシャツ。胸元はかっちりと締められ、赤いネクタイが唯一彩を見せている。頭には、コートと同色のボーラーハットを被っていた。
 彼は、じっとこちらを見ている。否、正確には顔を向けているだけで、こちらを向いているかは分からない。彼の顔は、その表情は、ほとんどが青い果実によって隠されているのだから。
 果実は、まだ未成熟の林檎のように見える。その芯からは葉が四枚伸び、天に向かって伸びている。決して顔のない男でないというのは、果実の隙間から見える目の端や眉から読み取ることができるが、その表情は知れない。ただ、男はこちら、あるいは林檎を見ている。顔色は、何も不自然ではない。
 男は、ずっと変わらず、姿勢を崩すこともなく、ただ立っていた。雲は動かず、波は立たず、煉瓦が崩れることもない。男が動くこともない、林檎が落ちることもない。ただ、何もかもが変わらずにそこにあった。
 やがて、海の輪郭と空の輪郭が、完全に融け切ったと錯覚するとき、男と林檎の境界さえも、徐々に曖昧になっていく。男が林檎に浸食されているのか、あるいはしているのか。どちらとも判別がつかない。むしろ、どちらでもないのだろう。空海の区別がごく自然に不明瞭となるように、男と若い林檎の差異もまた、当然の如くに溶けていくのだ。
 次第に、煉瓦造りの塀が、その色を背後の海と混ぜる。白と黒と赤、きっちりと分かたれているはずの男の衣服は、ゆっくりと時間をかけて混ざり合っていく。
 そうして、その全てが一つの存在へと収斂していく。それにおぞましさを感じるだろうか。あるいは、法悦を感じるだろうか。またあるいは、その全てが当然のことだと受け入れるだろうか。いずれにせよ、男と林檎と海と空と煉瓦とは、まるで最初から一体だったかのように、溶ける。融ける、熔ける、鎔ける。
 はっと気づけば、周囲は昏く、全ては曖昧だった。黒一色が世界を形作り、それ以外には何もない。重い雲に覆われた空も、凪いだ海も、煉瓦造りのパラペットも、ボーラーハットの男も、未成熟の林檎も。何もなかった。


「死の島」

 糸杉が天を衝くように、黒々とした葉を茂らせて生えている。幾本ものそれは、さながら大きな壁の如く、互い違いに不揃いな姿を見せながら暗い影を落としていた。
 私は、キイキイと鳴る不愉快な音を聞いていた。オールが水面を叩き、その中をくぐってまた水面を今度は後ろから叩く音を聞いていた。凪いだ海にある音は、それくらいのものだった。
 音を立てているのは、私の知らない男だ。髪が長く、黒い服を着ている。ずっと俯いていて、表情はよく分からない。否、顔ははっきりと見えるのだが、そこに浮かぶ感情の正体が掴めないのだ。まるで、無機質で心を持たない人形を見ているかのようだ。男は、規則的な動きでボートを漕いでいた。もう長い間、どのくらいかは分からないがとにかくあくびが出そうなほどに長い時間、オールを動かし続けているというのに、動作が鈍ることはない。それも相まって、矢張り機械仕掛けの人形のようだった。
 漕ぎ手の男の前には、白い人間が立っていた。背筋を真っすぐ伸ばしたさまは、小さいながらも糸杉によく似ていた。黒く大きな糸杉、白く小さな人、まるで違うのにどこか同じように見える。不気味だった。白い人影は、ボートが陸を離れてから一度も身動きを取っていない。呼吸をしているのだけは確かだが、それ以外の動きはない。揺れる小舟の中心に立っているというのに、一度もよろめくこともなかった。不気味だった。
 白い人間は、まっすぐに前を見ていた。その瞳は黒く、一切の光を宿していない。不気味でもあり、美しくもあった。その恐ろしい瞳に映るのは、糸杉だ。空を目掛けて生える糸杉の群れは、小さな島に根を生やしていた。
 その島は、ボートで一周するのに三十分もいらないであろう、小島だった。しかし、その規模に似つかわしくない威圧感を放っていた。それはきっと、糸杉のせいでもあり、周囲を取り囲む岩のせいでもあっただろう。島は、到底人が足を踏み入れられるとは想像もつかない有様だった。糸杉を中心にして、手入れのされていない岩々が存在を主張し、さながら巨躯の怪物のように見えた。以前神話の本で読んだことのある、ゴーレムという異形に似ていた。
 ボートは岩の隙間を抜けて、糸杉の茂る岸へと接岸した。そこで初めて、私は島の異様さを思い知った。まるで手つかずのように見えた岩壁に、無数の穴が空いているではないか。その穴は長方形に整えられ、明らかに人工物であることは疑いようがなかった。人ひとりがすっぽり入ることができるであろう穴は、巨大な口を開けて私を見下ろしていた。私はそこで初めて、恐怖を感じた。
 漕ぎ手がオールを船上へ引き上げ、ボートを岸へと固定した。白い人間は、ボートが勝手に流れて行かないことを確認して船を降りた。呼吸以外のはじめての動作だった。白い人間は、ボートの船先に置かれていた、大きな箱に触れた。すると、漕ぎ手の男も立ち上がり、箱の前に立った。二人は、何の意思疎通もないまま、静かに箱を持ち上げた。
 箱には白い布が掛けられていた。私はその中身を知っている。そして、彼らもその中身を知っているだろう。二人は無言で箱を運んだ。足場が悪い中を慣れた様子で歩き、岩の隙間を縫うように登り、辿り着いたのは大きな穴の前だった。長方形の奇妙な縦穴は、目の前で見るとさらに不気味で恐ろしい。私は、恐怖心から思わず後退りをした。そして、白い人影に「やめてくれ」と声をかけた。
 しかし、当然何の意味もなかった。人影と男は、矢張り一言も発さずに、箱を穴の中へと押し込み始めた。私は抵抗が無意味だと悟り、大人しくその光景を見ていた。重い箱なのに、二人は平然とした様子を崩さない。何度もこんなことをしているのだというのは、容易に想像ができた。やがて、その時がやって来た。
 箱は完全に穴の中へと押し込まれ、もはや外からでは見えなくなっていた。二人は、仕事を終えたと言わんばかりに息を吐いて、ボートへと戻っていく。二人が乗り込んだ小型の船は、箱がなくなったせいか、いくらか寂しく見えた。男はボートを岸から離し、オールを手にした。白い人影は船に乗り込み、行きと同じように中央に立った。
 ふと、男が顔を上げた。
「座ったらどうですか」
 私は、驚いて漕ぎ手をじっと見た。彼の顔には、変わらず感情というものが欠落して見えたが、じっと見ると精悍な顔立ちをしているのだと分かった。町を歩いていれば、きっと年頃の女性に思慕の視線を向けられることだろう。
 白い人影は、男の言葉に返事をしなかった。しなかったが、男を振り向いて、ゆっくりと首を横に振った。漕ぎ手の男は肩を竦めて、オールを動かし始めた。私は、去っていくボートをただ見ていた。
 振り返れば、糸杉があった。天を衝くように、黒々とした葉を茂らせて生えている。私は糸杉に近付き、そっと幹に触れてみた。ひんやりとしていた。その冷たさを感じながら、きっとこれは、死人の体温が移ったのだろうと思った。俗世間から打ち捨てられた、こんな恐ろしい墓場では、生命を持つ木々でさえも冷たくなっていくのだ。触れるうちに思った。私の体も、こんな温度をしていたのだろう、と。

人の子、死の島

執筆の狙い

作者 エレファントゴリラ
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絵画をモチーフに、SSを書くぞ! という試みです。タイトルがそのまま絵画の名前なので、それと比べて見てもおもしろいかもしれません。

単に絵画の描写をするだけにはとどまらず、なるべくストーリーを入れたいと思って書きました。できてるかはわかんない。
あと、情景描写とか、人の動作の表現とかが苦手なので、そこから逃げないようにしました。できてるかはわかんないけどね。
もしかしたら、「この絵はこんなんじゃねーよ!」とかあるかもしれませんし、絵の設定と矛盾する描写があるかもしれないんですけど、一応「絵に関する情報(作者とか、制作意図とか)はまったく見ないで、あるいは無視して書く」ことにしているので、ガチで許して下さい。

感想待ってます!

コメント

えんがわ
M014008022192.v4.enabler.ne.jp

随分と硬い文章だなというのが第一印象でした。
そして話の素材となった絵を見たとき、それも納得出来ました。

どちらの絵も不条理というか、なにかしらの「死」の匂いが漂ってくるのですよね。

もちろんもう少し柔らかく親切に書く。
という方法もあると思うのですが、実直に絵を見つめて書いているのが伝わってくる文章でした。

「人の子」はシュールリアリズム?でしょうか。そんな面白さがありました。
反対に、死の島のストーリーはちょっと分かりにくかったです。
糸杉というとどうしてもゴッホも浮かべてしまいます。

両方の絵とも難解(?)なので、筆者も難解な言葉や表現に寄せられてしまったのかなという気もしました。
本来はもっとライトな文体で書いているのかなとか。
それはそれで味はあるのですが。

エレファントゴリラ
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>えんがわさん

コメントありがとうございます!

>随分と硬い文章 >もう少し柔らかく親切に書く >普段はもっとライトな文体で

痛いところを突かれた気分です! 文章が詰屈というか、読みづらいのは私のクセです。普段からもこんな感じで書いています。自分の中では難解な表現をしたつもりは無く、「かっこいい文章書くぞ~!」的なノリで書いているのですが、確かに硬い印象は受けますね……客観的な印象を知ることが出来て嬉しいです! ありがとうございます!

>死の島のストーリーはちょっと分かりにくかったです。

ストーリーとしては、死体を墓場に運ぶ様子を死体になった本人が見ている、というそれだけなのですが、どのあたりが分かりづらかったでしょうか? 雰囲気を重視するために、視点主が死んでいると直接的な言及を避けたのが分かりづらさの原因でしょうか? そういうところも、難解っぽい雰囲気を出してしまってるのかな、と自己反省😢

次はもっと軽い文章を書いてみたいと思います! コメントありがとうございました!

えんがわ
M014008022192.v4.enabler.ne.jp

再訪です。

>硬い文章

はこの絵の素材には、合っていると思いますよ。
適材適所としては、硬く書くというのは正解だと思う。
無理して変える必要はないかと。
ただ、お返事をいただいた感じだと、肩に力が入っていたのかなという気もします。

>死の島
いや、わかんないって言って混乱させてしまいごめんね。
ちゃんと二読目になると、なんか良く考えて作ってるなって思いました。

初読では最後の文の。「私の体も、こんな温度をしていたのだろうと」
で、僕も死者の話だと分かったのですが、
それまでで何か「誰の視点だろう」、と分からなかったです。
靄の中を進むように読んだ感じ。
今思えばタイトルからも、謎かけがあって、その、僕はその謎が最期までわからなかった不出来な読者なんだろうかなん。

どこか途中で気付いても可笑しくない描写もあって、僕の読解力の浅さが浮き彫りになってしまいました。

ただ一読で読み終える一般の読者と、作品を何度も読んでいる作者さんの間の「距離」というか「溝」みたいなものを、
なんか考えたりしました。

エレファントゴリラ
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>えんがわさん

何度もコメントありがとうございます!

>それまでで何か「誰の視点だろう」、と分からなかった

これは、むしろこれでいいんです! なんだこれ? 誰なんだろう? と思わせておいて、最後に「そゆことね」ってなる感じを目指したので! 多分察しがいい読者とか、こういう変な話を読みなれている人だと、これ視点主死んどるねってその前で分かる人もいると思うんですけど、全然読解力ないとかじゃないです! もっかい読むと、ギミックに気付けるくらいの感じで書いてます!

コメントありがとうございます!

ぷりも
180-198-195-96.area1b.commufa.jp

【エレファントゴリラさん『人の子、死の島』】

拝読しました。
硬質な文章ですが、読みやすく可読性は高いと思いました。
絵画からストーリーを起こしたというのも試みとして面白いのでは。私はどちらの絵も知りませんでしたが、後から調べてみて、ああなるほどという感じになりました。

多分ストーリーというよりかは、絵の持つ雰囲気をショートショートで表現することに注力されたのではないかと。
となると、ターゲット読者層としては絵画を好む方々でしょうか。ストーリーを期待する人には物足りなさがあるかもしれません。

ちょっと異質な感じがしますが、ソムリエのテイスティングコメントを聞いてからワインを飲むように、作品を読んでから絵画を確かめるという楽しみ方もあるのではないでしょうか。

エレファントゴリラ
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>ぷりもさん

コメントありがとうございます!

>硬質な文章ですが、読みやすく可読性は高い

そういってくださり、とても嬉しいです! 特に読みやすい、と言ってくださってありがとうございます!

>ストーリーを期待する人には物足りなさがある

これはその通りですね……私自身がそもそも、大きなストーリーを考えるのが苦手で、掌編に逃げがちなのが問題なのですが、いつもこんな感じの話ばかり書いてしまいます。もっとストーリーを練り込んだ作品も書いてみたいと思います!

褒めていただいて、とっても嬉しいです! コメントありがとうございました!

夜の雨
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エレファントゴリラさん「人の子」読みました。

ルネ・マグリット
見えるものと真実は同じではない。

執筆の狙いに
絵画をモチーフに、SSを書くぞ! という試みです。タイトルがそのまま絵画の名前なので、それと比べて見てもおもしろいかもしれません。
とありましたので、背景を調べて感想を書きました。

「人の子」
ルネ・マグリット
1898年11月21日 -1967年8月15日は、ベルギー・レシーヌ出身のシュルレアリスムの画家。
で、マグリットの晩年1964年に描かれています。

「絵の題名は説明ではなく、絵は題名の図解ではない。題名と絵の関係は詩的である。つまり、この関係によって、二つの相反するものに共通する側面が表現されなければならない。

絵画とは「この世界に関する私たちの知識を深める手立て」「見えるものと真実は同じではない」
などとも言っています。

それともうひとつ「人の子」を調べていると「イエスキリスト」という側面もありました。
聖書にはキリストが人の子と書いてあるところがいくつもあるという事で。

そうなってくるとマグリットはキリストを意識して「人の子」というタイトルを自身の絵画につけたのではないだろうか、という解釈もできる。

そういった背景を鑑みながら、御作を読むと、男の顔を隠している「林檎」も「アダムとイブ」と「林檎」の関係と似ていると思ってしまう。

しかしマグリットの人生は小市民的なまじめな生き方をしていたということで、芸術家にあるような奇行なことをする事はなかったと。

「自分の絵画は思想の自由を表す物質的な記号だと考えている」とも、言っている。

ちなみに1922年(24歳の時に)には幼なじみのジョルジェット・ベルジェと結婚している。かなりな美人。

それで御作だが、このマグリットの「人の子」を文章化しているわけですが、

「絵の題名は説明ではなく、絵は題名の図解ではない。題名と絵の関係は詩的である。つまり、この関係によって、二つの相反するものに共通する側面が表現されなければならない。
と、マグリットが言っていますが、「人の子」という絵画を文章による表現をエレファントゴリラさんがしているわけですが、マグリットの、「人の子」という絵画を観て御作を読むと、どこか不可思議な世界があるなぁと思いました。

AIへの質問と、やりとり。

今回の質問の背景には「マグリット」という画家の「人の子」という晩年の絵画に、身なりが整った男が顔を「林檎」で隠しているのを見て、これは、アダムとイブの「林檎」と関係があるのではと邪推した次第ですが。
そのあたりのことも、お聞きしたいのですが。
「マグリット」の「人の子」という絵画とアダムとイブの「林檎」と関係があるのか、ということですが。

「アダムとイブ」と「林檎」の関係を教えてください。

実は、聖書にはアダムとイブが食べた果実が「林檎(リンゴ)」だとは書かれていません。

聖書(旧約聖書の「創世記」)に登場するのは、単に「善悪の知識の木の実(禁断の果実)」という記述のみです。それにもかかわらず、なぜ林檎として広く知られるようになったのかには、歴史的な理由があります。

1. ラテン語のダジャレ(語呂合わせ)

4世紀末に聖書がラテン語に翻訳(ウルガタ訳)された際、「悪(Malus)」という言葉と「リンゴの木(Malus)」という単語がまったく同じ綴りだったため、翻訳上の掛詞(戯利)として結びつきました。

2. 西洋美術の影響

中世からルネサンス期にかけて、多くの画家(ルベンシスやデューラーなど)が「アダムとイブ」を描く際、画面上の「禁断の果実」として視覚的に分かりやすく美しかったリンゴを採用し、これが人々のイメージに定着しました。

3. 神話的象徴

ギリシャ神話(黄金のリンゴ)など、西洋の伝統においてリンゴは古くから「誘惑」「美」「知恵」の象徴とされていたことも影響しています。

ちなみに、実際の聖書に登場する「禁断の果実」については、リンゴ以外にもイチジク(食べた後に葉で体を隠したため)、ブドウ、ザクロ、小麦などであったとする説が様々存在します。


続く。

夜の雨
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今回の質問の背景には「マグリット」という画家の「人の子」という晩年の絵画に、身なりが整った男が顔を「林檎」で隠しているのを見て、これは、アダムとイブの「林檎」と関係があるのではと邪推した次第ですが。

そのあたりのことも、お聞きしたいのですが。

「マグリット」の「人の子」という絵画とアダムとイブの「林檎」と関係があるのか、ということですが。

ルネ・マグリットの『人の子(The Son of Man)』に描かれた林檎とアダムとイブの「禁断の果実」は、非常によく関連づけて解釈されるモチーフです。邪推どころか、美術史や作品解釈において極めて自然で本質的な着眼点と言えます。

ルネ・マグリット『人の子』(1964年)
この作品とアダムとイブの「林檎」の関わりについては、主に以下の3つの観点から読み解くことができます。

1. タイトル「人の子」が示す宗教的背景
絵画のタイトルである『人の子(Le fils de l'homme)』は、聖書においてイエス・キリスト、あるいは人類そのものを指す言葉です。最初の人間であるアダムの子孫=全人類を象徴しているとも取れるため、顔を覆う青リンゴが原罪(アダムとイブの禁断の果実)を連想させる仕掛けになっています。

2. 欲望と隠されたものの対比
マグリット自身は、この絵画について次のように語っています。

「目に見えるものは、常に別の目に見えるものを隠している。私たちは隠されているものを見たいという欲望を抱くのだ」

アダムとイブが知識の木の実(林檎)を食べたことで「自分たちの裸(真実)に気づき、それを隠そうとした」ストーリーと同様に、『人の子』でも林檎が男の素顔という真実を隠し、鑑賞者に「その奥を見たい」という知的な欲望を抱かせています。

3. 現代の「アダム」としての男
絵に描かれた山高帽にスーツ姿の男は、当時の西洋社会における「どこにでもいる平均的なサラリーマン(普通の人)」の姿です。つまり、かつて原罪を背負った古代のアダムが、現代のスーツを着た男として再解釈されているという見方が強く存在します。

マグリット自身は自作に対して固定的な意味付け(「これは〜の風刺だ」など)を嫌い、観る人の言葉や謎掛けを楽しむ画家でした。しかし、西洋文脈において「人間」というタイトルに「林檎」を組み合わせた時点で、創世記の禁断の果実を暗示した重層的なメタファーであることは間違いありません。

という事は、人間という闇を生きる生き物には「林檎」という。『悪』と、関連しているという事ですかね。                「悪(Malus)」という言葉と「リンゴの木(Malus)」という単語がまったく同じ綴り。

鋭いご着眼点です。まさに「人間(人の子)」という存在の背後に潜む原罪や「悪」の示唆、そしてラテン語のダブル・ミーニングは、美術史や文化論において切っても切り離せない重要なポイントです。

言葉の面と、解釈の面から整理すると以下のようになります。

ラテン語『malus』の一致
指摘されている通り、ラテン語では形容詞の「悪(malus)」と名詞の「リンゴの木(malus)」が同一の綴りを持ちます(果実のリンゴ自体は malum ですが、これも「悪 malum」と同一です)。キリスト教世界においてリンゴが「悪」や「原罪」のシンボルとして定着した最大の要因は、この言葉の一致にあります。

人間の「闇」と林檎の象徴性
創世記において、アダムとイブが禁断の果実を食べた行為は「神の言いつけを破る(悪の始まり)」と同時に「善悪の知識を得て、自分たちの影や愚かさ(闇)を認識する」プロセスでもありました。そのため、西洋文化における林檎は単なる果物ではなく、「知識への欲望」「倫理的な禁忌」「人間の不完全さや悪」を象徴する重要なアイコンとなっています。

マグリットの『人の子』との結びつき
マグリットの絵画においても、身なりを綺麗に整えた紳士(理性的な人間)の「顔(本性・真実)」を覆い隠しているのが、まさにその「林檎(malus=悪・原罪・欲望)」であるという見方は非常に説得力があります。整った外見の下に隠された人間の闇や、見えないものを見ようとするエゴを象徴していると捉えることができます。

人間が抱える闇や罪深さの象徴として「林檎」が重なり合っているという見解は、歴史的・言語的な背景からも非常に理にかなった深い解釈です。

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ということで、AIとマグリットの『人の子』の奥に隠されているものが、なんだったのか、話し合ったのですが、人物に表裏があり、この紳士はその裏の面を林檎で隠しているのではないかと。
それで、顔に林檎を重ねている。
だったら、そのあたりを鍛練場の作品として描く必要があったのではないかと思いました。


以上です。

エレファントゴリラ
sp1-73-140-7.smd01.spmode.ne.jp

>夜の雨さん

コメントありがとうございます!

正直、むつかしいお話だったので、何割かは理解できていないんですけど、AIを使って考えってくださったんですね! 私は小説を書く際にAIを使わないようにしているので、新しい視点だなと思いました!😁

> 人物に表裏があり、この紳士はその裏の面を林檎で隠しているのではないかと。
それで、顔に林檎を重ねている。
だったら、そのあたりを鍛練場の作品として描く必要があったのではないかと思いました。

うーん、確かに作者の意図に沿った形での作品制作も大切だとは思うんですが、私はこの作品を書くにあたって「絵のみを知っている状態で書く」ことを前提としているので、今回に関しては当てはまりませんね。まぁこれは裏コンセプトみたいなものなんですけど。
また、色々と考えてくださったのはありがたいのですが、それは結局夜の雨さんとAIの考察ですよね? それが「人の子」の解釈の正解とは限らないので、それを書くのであれば夜の雨さん自身が書かれるといいと思います! 難解な解釈の「人の子」モチーフ小説も読んでみたいです!
私は芸術に接する時、その裏に隠された解釈を理解せずともいいと思っているので、そこは個人の好みだと思いますが、参考になる視点でした!😆

コメントありがとうございました!

夜の雨
sp1-73-27-44.nnk01.spmode.ne.jp

返信ありがとうございます。

私がAIを使ったのは情報収集のためです。
自分でこれだけの情報を集めるのは、時間がかかるので。

ちなみに御作は「人の子」ルネ・マグリットの作品でしたが、この手のシュール作品ではダリなどが有名です。
かなり不可思議な絵画を描いています。
ので、ダリの作品を膨らますと面白いかなとかは、考えたことがあります。

それではエレファントゴリラさん、これからも創作を楽しんでください。

偏差値45
KD059132255001.au-net.ne.jp

>ボートは岩の隙間を抜けて、糸杉の茂る岸へと接岸した。
ここで挫折ですね。
一言で言えば、「意味不明」かな。

何を描きたいのか、何を伝えたいのかが僕には分からない。
文章を読んでいるというより、意味を探す作業になってしまいましたね。
正直、時間の無駄だった、そんな気がしますね。

エレファントゴリラ
203.181.239.5

>偏差値45さん

コメントありがとうございます!


>ボートは岩の隙間を抜けて、糸杉の茂る岸へと接岸した。
ここで挫折ですね。

確かに、分かりづらい表現だったかも🤔 今ここでかみ砕いて表現しようとして、全然できない! と気付きました! 全然できない! やばい!
伝えたい絵はあるのに、それを表現するための語彙力や表現方法を持っていないことに気付きました……愕然。

>何を伝えたいのかが僕には分からない。

確かに、別にこの作品で伝えたいことがないんですよね。一個目なんかは特にそうですし、二個目もこゆ雰囲気の作品好きだな~的なノリで書いちゃってました! それだと読者が楽しめませんね! 読者のことを考えていたつもりで、全然考えてないことに気付きました! 自分の好きを発信するだけじゃダメなんですね……小説難しい😞

次は偏差値45さんが、有意義だった! と思える作品を描けるように頑張ります!

厳しいお言葉ありがたいです! コメントありがとうございました!

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-153-106.msc.spmode.ne.jp

エレファントゴリラ様。感想返しです。率直な感想をお許しください。
偏差値さんと同じように、時間の無駄と思いました。
頑張って書いているとは思いますが。
飼い猫が今代わりに書いてみますね。始まり始まり。

題名「人の子」、「死の島」

ネットで題名の絵画を見て楽しんでください。

終わり

これで同じか、より良く書けていると思いますが。絵画の説明を読むくらいなら、直接見た方がいいと思います。

ちょっと伝わるかわからないけど。
絵画の説明は、小説や詩、または音楽でする。
音楽の説明は、小説や詩、または絵画でする。
小説の説明は音楽や絵画でする。

つまり芸術の説明は芸術でするしかないのです。

山田
180-199-23-51.area58a.commufa.jp

どうもです。拝読しました。

物凄いハンドルネーム(失礼)なのに、硬質な文章と変わった試みだなと思いました。
2作とも、先に絵のほうを見てから読み始めたのは、良かったのか悪かったのか。
というか、哀れな私は2作とも全く存じ上げていませんでした。

なかなか写実描写力がありますね。散文詩のような印象を受けました。
物語らしい物語にする方向性ならば、必ずしも絵画を隈なく描写するのではなく、
作者様が作品に読み取ったメッセージ性のようなものから手掛かりに、
意外と心理描写などから入ると、
かえって解像度の高いストーリーらしくなるのではないか、などと思いました。
すでに描写力は高いですので、それに濃淡をつけるという感じでしょうか。


とまあ、ずいぶん勝手な印象と抽象的な発言で申し訳ないですが、
上の方よりはマシかもしれない笑

余談ですが、「死の島」といえば、
私の好きだった福永武彦が同名の長編小説を書いていました。
クソ長くて、読んだのはずっと以前のため、今やあらすじもぼんやりですが、
ベックリンの「死の島」とヒロシマをかけているようで、
記憶にないですが、Wikiによればベックリンの絵画のことも出てきていたようでした。

私としては「忘却の河」の方が好きですが、そんな本がありましたよ、という紹介です笑

エレファントゴリラ
sp1-73-130-200.smd01.spmode.ne.jp

>飼い猫ちゃりりんさん

コメントありがとうございます! 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません!

>ネットで題名の絵画を見て楽しんでください。

た、確かに!! これじゃあ、単に絵画を説明しているだけで、小説とは言えませんね……目の前のものに囚われて、大切なことを忘れていました! 次書くときは、斯くならないように、ストーリーをしっかり考えてみます!

コメントありがとうございました!

エレファントゴリラ
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>山田さん

コメントありがとうございます! 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません!

>必ずしも絵画を隈なく描写するのではなく

その通りですね……自己反省です。小説らしさを見失ってしまった作品になってしまいました!

>すでに描写力は高い

とても嬉しいです! 次はもっと、良いストーリーが書けるように頑張ります!

コメントありがとうございました!

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