作家でごはん!鍛練場
飼い猫ちゃりりん

憎しみの河

 序章 悪夢

 そこは丘の上の教会。見下ろせば河が刃物のように煌めいている。ステンドグラスから差す光が、七色の模様を床に映している。
 祭壇に茨(いばら)の冠を被ったキリストの彫像があり、台座にラテン語が彫られている。

 Deus meus, Deus meus, ut quid dereliquisti me.
(わが神、わが神。なぜ私をお見捨てになったのですか。)

 静寂に包まれた礼拝堂で、一人の女が懺悔をしている。若い神父はいかにも優等生といった風貌だ。
 神父はひざまずく女に慈愛に満ちた声で告げる。
「あなたの力になりたいのです」
「なら教えてください。悲しむ者は幸いですか」
「はい。その人は慰められるでしょう」
 女は立ち上がり、若者を見据える。
「慰めで幸せになれると言うのですか」
「何が言いたいのですか」
「私の悲しみが、そんなちっぽけなものだと思うのですか」
 女は鋭い十字架を手に迫り、若者は後ずさりする。
「やめなさい。あなたは狂っている」
 女は彼の胸に十字架を突き立てた。
 崩れ落ちた若者は虫の息だ。女が十字架を抜くと、彼は目を開けて笑った。
「あなたは神に見捨てられたのです」
 女は悲鳴を上げて何度も十字架を突き立て、礼拝堂に血の匂いが広がっていく。
「お母さん」と叫び声がした。奈津子が目を覚ますと、娘が抱きついて震えていた。
「綾香(あやか)」
「お母さん、どうしたの」
 寝巻きがびっしょりと濡れていた。
「ごめんね。なんでもないの」
 奈津子は固く握った手を開き、まじまじと見つめる。手にはまだ十字架の感触が残っていた。

カルテNo.A2438
【診断結果】
 PTSD(心的外傷後ストレス障害)
⒈ 事件のフラッシュバック。殺人を犯す夢。血が飛び散る光景。
⒉ 小動物を殺した記憶、及び罪悪感。
⒊ 肉親の死に対する自責の念。亡くなった肉親が鏡に映る。
【治療方法】
 SSRI(セルトラリンなど)、必要に応じて睡眠薬。併せてトラウマ焦点化認知行動療法。

 第一章 奈津子

 時は昭和の終わりがけ。淡い光に包まれた秋の正午。奈津子は妹を連れて、山奥の寂れた神社に来ていた。
 鳥居は朽ち果て、境内は雑草で覆われている。廃墟に等しい神社に、参拝客が来るはずもない。
 奈津子は肝試しのつもりだった。でも夜は恐ろしいから、明るい時間に妹と一緒に来た。
「お姉ちゃん。お化けが出ないかな?」と佳代子。
「昼間だから大丈夫よ」と奈津子。
 お化けは両親の嘘である。
 随分昔、その境内で事件があった。女児が男に襲われ、殺されたのだ。男は遺体を森で陵辱した後、橋から川へ投げ捨てたと供述する。捜索はかなり下流まで行われたが、いまだに遺体は見つかっていない。
 あまりの凄惨さに、いつしか口にする者はいなくなった。
「きゃあ!」
「佳代子!」
 奈津子が振り向くと、平らな岩の上で、小さな蛇がとぐろを巻いていた。なんの危険もないが、奈津子は懸命に妹を守る。足元に落ちている石ころを力いっぱい投げると、偶然にも小蛇に直撃した。細長い体は真ん中で千切れ、やがて動かなくなった。
「お姉ちゃん。あれ」
 佳代子が指差す方を見ると、大きな蛇がこちらを見ていた。
 お母さん蛇?
 当時、奈津子は知らなかった。蛇は殻を破ったら生涯孤独であることを。
 ごめんなさい。
 その蛇は草むらの中へ静かに消えた。

 奈津子たちは肝試しを済ませると、いつもの遊び場へ向かった。
 川原に着くと、曇り空と紅葉が織りなす絵画のような景色が広がっていた。
 奈津子は川辺に咲く花でブーケを作り、妹の手に握らせた。
「お姉ちゃん。ありがとう」
「もっと可愛くしてあげる」
 クローバーで冠を編み、妹の頭に乗せると、可憐な七歳の花が咲いた。
 辺りが陰り、山頂に雲が垂れ込めた。ぽたっと奈津子の顔に雨粒が落ちた。
「佳代子、帰るわよ」
「やだ。もっと遊ぶ」
「姉ちゃんの言うことを聞いて」
 佳代子の手を引っ張って側道に駆け上がると、急に土砂降りとなり、徐々に川の水かさが増す。
 ふたりは増水した川を眺めながら歩き、家に着いたときにはずぶ濡れだった。
「どうしたの」と驚く母。佳代子がくしゃみをすると、母はおでこに手を当てた。
「熱があるじゃない」
 母は佳代子を風呂場に連れていき、湯で体を温めた。
 
 午後十時。既に雨は止み、山間は静けさに包まれていた。両親は上流での決壊を心配していたが、随分前に警報は解除されていた。
 仲の良い姉妹は、二階でいつも一緒に寝ていた。
「佳代子、そろそろ寝るよ」
「お母さんと一緒に寝る」
「どうして」
「風邪をひいちゃったの」
 その夜、佳代子は一階で両親と川の字に寝た。枕元には、奈津子に編んでもらったクローバーの冠があった。
 午前0時。奈津子はぐっすりと眠っていた。
 おぼろげな夢の世界。彼女は妹と一緒に川辺を歩いている。クローバーの冠を被った妹は天使のようだ。
 鮮血のような紅葉と真っ青な空。ふと気づくと妹がいない。
 佳代子。どこにいるの?
 奈津子は夢から覚めた。細かい振動を感じて窓を開ける。また雨が激しくなっていた。山の方から何かが崩れるような音が響いた。振動は急に激しくなり、家具がガタガタと音を立てる。明かりが消え、家屋が小舟のように揺れる。
 彼女が悲鳴を上げると、揺れは収まり、しんと静かになった。
 彼女は懐中電灯を手に、闇の中を駆け降り、足が水に浸かって立ち止まる。
 水面を照らすと、薄く濁った水の中に、ぼんやりと小さな人影が見えた。
「佳代子!」
 奈津子は妹の名を叫ぶが、水面はガラスのように冷たく、どんな叫びも通さない。
 潜れば手が届きそうに見えるが、体が震えて動かない。やがて人影は流され、奈津子の視界から消えた。

 災害発生の翌日、奈津子は仮設された安置所で、家族の遺体を確認する。
 青いビニールシートに三人の遺体が並べられている。両親は傷ついていたが、妹には傷ひとつなく、ただ眠っているようにしか見えない。
「姉ちゃんだよ。起きて」
 佳代子は右手を固く握り締めていた。小さな指を伸ばしていくと、一本のクローバーが現れた。
「姉ちゃんを、待っていたんだね」
 
 牧場を営む親類が奈津子を引き取った。その牧場は祖父母と、叔母とその夫の四人で営まれていた。
「今日からここは、なっちゃんの家だからね」
「おばさん。お世話になります」
 叔母夫婦には子供がいない。叔母は奈津子をひしと抱きしめた。
「思いっきり甘えてね」
 祖父母も孫娘を優しく見守った。その甲斐あってか、奈津子に笑顔が戻りつつあった。明るく振る舞うこともできた。だが時折悪夢を見て悲鳴を上げた。

 また水の音だ。あたしは佳代子を見捨てたんだ。だから、この音が聞こえるんだ。
 
 水中からの救出など、小学生にできるはずがない。ただ佳代子と思われる人影は、すぐ近くにあるように見えた。屈折した光のせいだろう。だが、それで自分を誤魔化せる奈津子ではなかった。

 奈津子が牧場の生活に慣れてきた頃、その田舎町で事件が起きようとしていた。
 拓哉と慎吾が、炎天下の駐車場にバイクをとめ、コンビニの様子をうかがっていた。

 第二章 拓哉

 拓哉は寂れた港町の公衆便所で産声を上げた。臭気が漂う個室で生まれたのだ。
 母親は春を売って酒代を稼いでいたが、相手が見つからないと、眠っている拓哉を指差して、酒と交換しろと酒場の客に絡むこともあった。

 拓哉は父親を知らず、母親からはクズと呼ばれて幼少期を過ごす。
 ある冬の朝、酔い潰れて寝転ぶ母の足元で、凍えながら給食代を乞う。「ゴミクズめ」と怒鳴られ、空き缶を投げつけられた。
 お腹が空いたと言えば、「自分で盗ってこい」と突き飛ばされ、万引きしたパンを持ち帰れば、「なんで一個だけなんだ」と殴られる。顔に青アザを作って登校しても、教師は見て見ぬふりをした。

 そんな拓哉に、温かい手を差し伸べた者がいる。通学路の途中にある、うどん屋の店主だ。店はバラックのようなボロ屋で、ほとんど客がいない。年季が入り、全てが煤けている。店の奥の畳部屋が住居兼倉庫だった。
 年老いた店主が、とぼとぼと歩いている拓哉に、「坊や。うどん食べてきな」と店の前で声をかけた。
「僕、お金を持ってない」
「金なんていらん。毎日食べに来い」
「じいちゃん。ありがとう」
 拓哉は本当に毎日通った。うどんは美味しかったが、それが目的ではない。老人に会いたかったのだ。
「かき揚げも食べてみ」
 拓哉は初めて天ぷらを口にする。
「美味しい」
「そりゃ良かった」
「じいちゃん。僕、うどん屋になりたい」
「よし。わしの弟子になるか」
「うん!」
 拓哉は真剣だった。休日は朝から店の手伝いをした。それに老人も応えた。老人は麺作りを毎日特訓した。
「腰を使って練るんだ」
「こしを?」
「もっと体重をかけろ」
「うん!」
 その日々が続いていたら、拓哉の人生は全く違っていたはずだ。
 ある日曜の夕方。拓哉は折りたたんだ生地に包丁を入れ、麺を完成させる。老人は麺を一本つまみ、ひょいと口に入れる。いかにも職人といった手つきだ。
「おっ。なかなかいい麺だ。しっかり腰がある」
「やったあ!」
 拓哉は老人の胸に飛び込んだ。そのとき二人の男が店に入ってきた。
「爺さん。そろそろ立ち退いてくれなきゃ困るぜ」
「そう言われても、わしにはこの店しかないんだ」
「知らねえよ。そんなこと」
「手荒な真似はしたくないんだ」
 すると拓哉が角材を手に襲いかかった。
「じいちゃんをいじめるな!」
「なんだこのガキ」
「坊や。やめるんだ」
 男たちは子供にも容赦がない。拓哉は腹を蹴られ、呻き声を上げる。
「じじい。言うこと聞けねえなら、そのガキと一緒に沈めるからな」
 拓哉は包丁を握った。
「いかん。やめるんだ」
 老人は何とか拓哉を取り押さえた。
 男たちが立ち去ると、老人は拓哉を抱きしめて言った。
「ごめんな。もうこの店は終わりだ」
「いやだよ。そんなのいやだ」
 拓哉は老人の胸で泣きじゃくった。

 ある日、拓哉は綺麗に整地された跡地の前で立ち尽くす。残酷な現実を前にし、涙さえ出ない。そこには『マンション建設予定地』という立て看板がぽつんと立っていた。
 数日後、拓哉は何時間も建設現場の様子を眺めていた。気に留める大人は一人もいなかった。
 翌日、建設現場で小火(ぼや)が発生した。廃材が少し焦げた程度だから、警察も消防もまともに調べない。結局、誰も気づかなかった。憎しみの炎が広がりつつあることを。

 拓哉は中学生になると、万引きや恐喝に明け暮れるようになり、卒業する頃には名の知れた不良になっていた。
 ある日、彼がシンナーに酔って繁華街をうろついていると、女連れの若者と肩が触れた。
「痛えぞ。謝れ」と拓哉。
「ふらふら歩いてんじゃねえ」
「舐めてんのか!」
 拓哉が刃物で切りつけると、若者の額から血が噴いた。連れの女が悲鳴を上げ、辺りが騒然となる。
「なに見てんだ。ぶっ殺すぞ」
 パトカーが到着すると、拓哉は狂犬のごとく吠えまくる。
「どうしたポリ公。かかってこい」
 ついに警官は拳銃を構える。
「上等だ。撃ってみろ」
「ナイフを捨てなさい」
「おらおら、どうした。撃てねえのか」
 拓哉は調子に乗って腕を振り回し、手からナイフを飛ばす。彼は警棒で打ちのめされ、数人の警官に取り押さえられた。
「奴がぶつかってきたんだ」
「大人しくしなさい」
「畜生! 俺は被害者だぞ」

 拓哉は身柄を拘束され、お決まりのレーンに乗った。彼は少年院でも些細なことで騒ぎを起こしたから、誰からも相手にされなかった。だが、慎吾は平然と彼の隣に座り、何気ない会話をした。
 ある日の性格検査。『君の大切なものを三つあげよ』という質問。
「なんて書いた?」と慎吾。
「金、女、食いもん」と拓哉。
「正直に書かなくてもいいんだ」
「それを早く言えよ。お前はなに書いたんだ?」
「友達と家族。あとは思い出かな」
「変わってんなあ。お前」
 拓哉は慎吾を前にすると調子が狂ってしまう。拓哉が粗暴な態度を見せても、慎吾は軽い冗談で受け流すのだ。

 第三章 慎吾

 慎吾の父親はパチンコに狂い、持ち玉が尽きれば、幼い彼に玉拾いをさせた。
「このクズが。もっと拾ってこい」
 慎吾も拓哉と同じように、親からクズと呼ばれて幼少期を過ごす。
 殴られて唇を切った慎吾は、ゴキブリのように店内を這い回り、店員に注意される。慎吾から球を没収した店員は、彼を連れて父親のとこへ行く。
「お客さん。玉拾いはだめなんですよ」
「こいつが勝手にやるんだよ。困ったもんだ」
 慎吾は父にトイレに連れて行かれ、散々ぶん殴られることになる。
「この役立たずが」
 結局、慎吾の父は女をつくって出て行った。

 慎吾には美咲という二歳下の妹がいた。
 母親は育児放棄していたから、美咲の面倒はすべて彼がみた。だが教材の費用までは、どうすることもできない。
「お母さん。美咲のノートを買いたいんだけど」
「あたしに何の恨みがあるの。とっとと出て行け」
 母親は髪を掻きむしって声を上げた。慎吾は父の暴力以上に、母の金切り声が怖かった。
 結局、慎吾は万引きに手を染めた。
「美咲、ノートを買ってきたよ」
「兄ちゃん、ありがとう」
 彼は美咲が猫と遊びたいと言うと、スーパーで煮干しを万引きし、河原に通って猫の親子と仲良くなった。河原の草むらで猫たちと対面した美咲は大喜びだ。
「わあ、可愛い」
 しかしある日、処分場の車が堤防沿いに停まっていた。荷台から猫たちの鳴き声が聞こえる。美咲は、いやだ、いやだと泣き叫んだ。
「大丈夫だよ。誰かが飼ってくれるんだから」と慎吾。結局、それは無理だろうと、美咲は友達から教えられた。
 
 慎吾は、美咲から友達がいじめられていると聞けば、すっ飛んでいって悪ガキどもを叱りつけた。
 数人のクラスメイト相手に殴り合いをしたこともある。それもイジメを止めようとしてのことだ。慎吾は粗暴ではあるが、心の優しい少年と見られていた。
 だが、ある事件をきっかけに、人生の歯車が狂う。彼が中三のとき、美咲が河に身を投げたのだ。
 ある日、美咲は工場の跡地にある倉庫に呼び出された。数人の少年が彼女を取り囲み、インスタントカメラを構える。
 写真をばら撒くと美咲は脅迫され、金がないなら稼ぐ方法を教えてやると言われる。
 学校での相談は無意味。教師は隠蔽しか考えていない。それが生徒の中の常識だ。美咲は勇気を振り絞って交番へ行く。
「先生に相談しなさい」
「でも」
「パトロールに行かなきゃいけないんだ。お巡りさんは忙しいんだよ」

 美咲はクズどもに言われるまま地獄にはまり込んで行った。
 慎吾は彼女が命を絶ってから日記の存在を知る。彼が万引きしたノートに、涙で滲んだ文章が綴られていた。
「今日、ホテルに連れて行かれた。兄ちゃん。助けて。でも、こんなこと言えない。言いたくない」
 慎吾は悲しみに打ち震える。
「兄ちゃん。ごめんね。あたし、猫たちのとこへ行く」
 なぜ俺は気づかなかったんだ。この糞野郎。お前が死ね。
 加害者の親たちは、自殺の原因は美咲の家庭環境にあると口をそろえて証言し、学校と警察は事件化を見送った。

 慎吾は美咲が身を投げた橋の欄干にもたれ、運河の先に沈む夕日を見ていた。
 彼は懐かしい日々を振り返る。
 美咲の入学式の日。放課後の校門で待ち合わせをした。「兄ちゃん」と声がして振り向くと、彼女が桜の木の陰から手を振っていた。
 河原で道草をして、猫たちと遊んだ日もある。美咲が猫と遊びたいと言うから、万引きした煮干しを与え、猫たちと仲良くなった。結局その猫たちも、人間の都合で処分された。
 慎吾は妹の後を追おうと思った。だが、すべきことがあった。彼は憎悪を抱きながらも、冷静に復讐の機会をうかがった。
 主犯格の二人は、他のクラスの三年生、彼と同学年の男女だ。
 彼は平静を装いながら一部始終を観察し、彼らが美咲を呼び出した倉庫でやっていることを突き止める。
 彼は二人が卒業式の日も必ずヤルと確信し、式が終わると倉庫に先回りして待ち伏せをする。ただ、まだ迷いがあった。
 本当にやるのか。何を怯えている。妹を裏切るつもりか。
 案の定、二人が現れてヤリ始めると、彼は鉄パイプを握り締め、震えながら時を待つ。女子は作業台で脚を広げ、男子はゼンマイ仕掛けの人形みたいな動きをする。
 猿どもめ。あんな奴らが美咲を殺したのか。
 ゼンマイが回り切った瞬間、男子の後頭部に衝撃が走った。男子がのたうち回る間に女子を手錠で作業台に固定する。慎吾は男子を鉄パイプでいたぶり、スポーツバッグから斧を取り出す。
「おい。まだ死ぬなよ」
 最初の一撃にはためらいがあったが、やがて人形と変わらなくなった。男子を始末し、女子の方に向き直ると、口から赤い泡が溢れていた。自分で舌を噛み切ったのだ。
 慎吾は女の前で膝をつき、その前髪をつかむ。
「どうだ。気分は」
 女は頭を振って命乞いをする。
「俺の妹はな、お前に殺されたんだ」
 刃を抜くと、女はがっくりと頭を垂れた。
 彼は作業台にもたれて煙草を吹かす。
 俺が間抜けだから美咲は死んだ。みんな俺のせいだ。
 彼は吸いかけの煙草を握りしめる。だが肌を焼く火でさえも、悲しみをかき消すことはできない。
 美咲に会いに行こう。
 だが、何かが彼を思いとどまらせる。
 本当に終わったのか。やり残したことはないのか。
 彼は出頭して身柄を拘束され、お決まりのレーンに乗った。少年院で自殺を図ることはなかった。同じような境遇で育った者が大勢いたし、拓哉との出会いが大きかった。
 昼食のとき。「おい。この肉を食ってくれよ」と、拓哉に声をかけられた。
「いいのか?」と慎吾。
「安い肉は食えねえんだよ。俺は上流階級の出だからな」
「本当か?」
「見りゃ分かるじゃねえか」
 慎吾がクスクスと笑うと、拓哉は声を荒げた。
「馬鹿野郎! 俺はセレブだ」
「そうだな。確かにセレブだ。でも悪いから、俺の飯を半分食ってくれよ」
「おう悪いなあ。やっぱ米が一番だぜ」
 慎吾は拓哉といると不思議に心が休まった。拓哉には裏表がない。ただ、ないと言うより、作れないと言った方が正しい。裏表を作る前に、爆発してしまうのだ。
 慎吾はトイレ掃除の際に、死んだ妹のことを拓哉に話す。便器を拭きながら復讐のことを話すと、拓哉らしい言葉が返ってきた。
「そんな奴らは挽肉にしてやりゃいいんだ。生き返らせろ。俺が料理してやるぜ」
 さすがに慎吾も呆れた。
「そんな料理、犬も食わないよ」
「てめえ妹が可愛くねえのか。俺ならソッコーだぜ」
「お前、俺の気持ちがわかるか」
「わからねえよ。俺はずっと一人だったからな。あーあ、俺にも妹がいたら良かったな」
「なあ。ここを出たらどうする?」と慎吾。
「二人でうどん屋でもしねえか。俺が麺の打ち方を教えてやるよ」と拓哉。
「うどん屋。マジか?」
「おう。俺は本気だ」
「でも開業には資金がいるだろ」
「しょうがねえな。一丁派手なことでもするか」
「やっぱそれだろ」
 慎吾は冷たい笑みを浮かべた。

 第四章 愚か者の所業

 その日は猛暑となり、駐車場は焼けるような暑さだった。
 拓哉と慎吾はバイクの横で煙草を吸いながら、コンビニの様子をうかがっていた。
 慎吾は市販の鎮静剤をコーラで流し込み、拓哉に念を押す。
「店員に手を出すなよ。強盗傷害になると面倒だ」
「わあってるよ。くでえ野郎だなあ」
 なかなか客足が途切れない。拓哉はつばを吐き捨て、昔話を始めた。
「うどん屋になるはずだったんだ」
「ほんとかよ」
「ああ。俺は腰のある麺を打てるんだ。うどん屋の爺さんに鍛えられたからな。俺が後を継いで、爺さんに楽をさせてやりたかった。ところが糞野郎が二匹現れてよ、爺さんに立ち退きを迫ったんだ。畜生。あいつら絶対に許さん。いつか八つ裂きにしてやる」
「客がいなくなったぜ。そろそろやるか」
「おう。派手に行こうぜ」
 彼らは煙草を投げ捨てた。
「ちょっと待て」と慎吾。
 小さな女の子がまだ店内にいた。
「ガキなんて気にすんな」と拓哉。
「だめだ。あの子が行ってからだ」
「じれってえな。こういうのはパンパンといかねえと」

 女の子は店を出ると、陽炎の中へ幻のように消えた。
「行くぞ」と拓哉。
 彼らは目出し帽をかぶって突入すると、若い店員にナイフを突きつける。
「じっとしてろ」と慎吾。
「長生きはするもんだぜ」と拓哉。
 拓哉がナイフで威嚇し、慎吾は電話線を切ってレジの札を奪う。
「慎吾、ポップコーンも頼むぜ」
「どうでもいい。行くぞ」
 拓哉は「サツを呼んだら殺すぞ」と脅し、ポップコーンを鷲掴みにして走り去った。
 彼らがアクセルを吹かすと、カラーボールが拓哉のそばで弾け、彼のスニーカーを塗料で汚す。彼はバイクから降りると、リュックからバールを出した。
 慎吾は「ほっとけ」と叫ぶが、拓哉は完全に切れている。
「いくらしたと思う。ディオールだぞ」
「どうせ盗んだ金で買ったんだろ」
「うるせえ! あの野郎。頭叩き割って脳みそ踏みつぶしてやる」
 拓哉はバールを握って店内へ戻っていった。
 サイレンが徐々に近づいてくる。
「ちっ。手間かけさせやがって」と拓哉。彼はバールについた血を店員の服で拭き、店から出てバイクに跨がった。
 警察は彼らを寸でのところで取り逃がし、県下に緊急配備を敷く。サイレンが至る所で鳴り響き、蝉の声がかき消された。
 慎吾の心配をよそに、拓哉はマフラーを吹かして御機嫌だ。鼻歌は尾崎の名曲、当然バイクは盗んだものだ。
 サイレンが徐々に近づいてくる。慎吾は「山に入るぞ」と叫び、左腕を振る。
 彼らは車道から林道に入り、小石を跳ね上げながら走り続ける。拓哉のバイクの前輪がバーストし、彼は派手に転倒した。
「いってえ」
 ジーンズが破れ、膝から血が流れた。
「拓哉、大丈夫か」
「畜生。こんなポンコツを置いときやがって」
 彼らはリュックを背負って山中を彷徨い歩く。やがて薄暗くなり、疲労と空腹が身に染みる。
「ポップコーンがないぞ。転倒したときに落としたんだ。ちょっと探してくる」と拓哉。
「やめとけ。そんなもん腹の足しにならん」
 野犬の遠吠えが響いた。
「食われちまうぞ」と拓哉。
 ふいに森が途切れた。
「あれを見ろ」
 慎吾が指差す先に、仄かな灯が揺れていた。
 光に向かって行くと、大きな木造家屋が見えてきた。窓の下の草むらに身をひそめると、家族の団欒が聞こえた。
「なっちゃん。シチューはどう?」
「美味しいです」
 拓哉は唇を噛む。
「いい気なもんだぜ。こっちは腹ペコだってのによ」
 牛の鳴き声がした。
「牛舎に隠れようぜ」と慎吾。
 鼻輪をした牛たちが、狭い空間に閉じ込められていた。
「こいつら、いつか殺されるんだよな」と拓哉。彼らは牛舎をゆっくりと見物する。慎吾が子牛の前で足を止めた。どうやら雌だ。首に「メリー」という鑑札がある。
「慎吾、どうした?」
「なんでもない」

 第五章 惨劇の夜

 その日の晩も、酪農家の食卓は賑やかだった。食卓には牧場ならではの料理が並ぶ。
 味噌汁から湯気が立っていた。生ハムの匂いがして、シチューには搾りたての牛乳が使われている。
「なっちゃん。シチューはどう?」と叔母。
「美味しいです」
「そう言うしかないよな」と祖父が笑う。
「お父さんは黙っていてよ」
 叔母夫婦には子供がいない。彼らは奈津子を我が子のように可愛がり、祖父母も孫娘を温かく見守った。
 だが奈津子は甘えない。彼女は箸を置くと祖父に言う。
「なんでもやります。他人と思ってください」
「よし。朝五時から牛舎で働け」
 すると叔母が怒り出す。
「なっちゃんは小学生よ。意地悪ね」
「お父さんは冗談を言ったんだ」と叔父がなだめた。
 そのときドアが閉まる音が響いた。
「鍵を掛けるの忘れたかしら」
「おばさん。あたし、見てきます」
 奈津子が玄関に行き、鍵を掛けようとすると、メリーの鳴き声が聞こえた。
 どうしたの?
 メリーとは、母を屠殺された雌の子牛だ。肉親を失った奈津子とメリーは、出会った瞬間に打ち解けた。奈津子がメリーに頬ずりをすると、メリーの目に涙が滲んだのだ。
 奈津子はメリーを妹のように可愛がり、メリーも彼女に心を開いた。

 彼女が牛舎へ向かって駆け出すと、叔母の声が響いた。
「なっちゃあん。どうしたのお」
「ちょっと牛舎を見てきまあす」
 メリーは奈津子を見ると鳴き止んだ。
「大丈夫。あたしが守ってあげる」
 彼女はメリーの頭に頬ずりをし、おでこに口づけをする。
 その様子を、物陰から拓哉と慎吾が見ていた。
「なかなか可愛いじゃねえか。やっちまうか」
「おい、いい加減にしろ」
「冗談に決まってんだろ」

 奈津子がドアに鍵を掛けて居間に戻ると、七時のニュースがコンビニで起きた事件を伝えた。
 祖母は箸をとめて祖父に言う。
「あんたがお酒を買う店よ。こんな田舎なのに物騒だねえ」
 ニュースは若い店員の死を伝え、防犯カメラの映像を流す。
 すると牛の鳴き声が響いた。
「見てくるから食べていてよ」
「おじさん。あたしも行きます」
「ひとりで十分だから」
 彼が食卓を離れると、叔母はまた祖父に噛み付いた。
「小学生に朝の作業ができるわけないでしょ」
「わかってるよ。しつこい奴だなあ」
「あんたに似たのさ」と祖母が皮肉を言うと、牛たちの騒ぐ声が響いた。
「なにかしら。見てくるわ」
「おばさん。あたしもいきます」
「なっちゃんはいいの」
「でも……」
「本当にいいから、ご飯を食べてて」
 そう言い残し、叔母も食卓を離れた。

 歌番組の最初の演歌が終わると、祖父は味噌汁を飲み干し、お椀を食卓にことんと置いた。
「奈津子。酪農が好きか」
「はい。動物が好きなんです」
「メリーか」
「ほかの牛たちも大好きです」
「酪農はきついから、まだ無理だな」
「どんな試練も乗り越えてみせます」
 十二歳とは思えぬ受け答えに、祖父は感心したように唸った。
 そのとき木のきしむ音が響き、居間のドアが少し開く。
「お疲れ様。牛舎でなにがあったんだ」
 ドアの向こうから返事はない。
「早く入ってこいよ」
 向こうは暗くて何も見えない。だが、奈津子は不穏な気配を感じた。ふたつの影が手を振りながら笑っていたのだ。
「なっちゃん。試練が始まるよ。なっちゃん」
「誰なんだ」と祖父が怒鳴ると、木のドアが全開し、彼らが姿を見せた。
「なんの用だ」と祖父。
「飯食わせろよ」と拓哉。
 彼らは土足で侵入し、冷蔵庫を物色する。
「娘たちに何をした」
「さあな」と慎吾。
 拓哉はがつがつと料理をむさぼり、うめき声を上げる。
「畜生、いいもん食ってやがる」
 慎吾は鎮静剤をつまみにビールを飲み、静かにテレビを見ていた。
 画面が切り替わり、警察が容疑者を特定したとの速報が流れる。慎吾は錠剤を噛み砕き、拓哉は料理を口に入れたまま固まった。
 キャスターは氏名は公表できないとし、コメントを述べた。
「少年の人権は尊重されるべきです。ただ、何をしても赦されるわけではありません」
「俺たち死刑かな」と拓哉。
「だろうな」と興味なさげな慎吾。
「俺たち未成年だぜ」
「三人殺せば死刑だろ」
「おっさんとオバさんで、まだ二人だぜ」
「コンビニの兄ちゃんは」
「ああ忘れてた。でもさ、確か死刑は二人からだろ」
「だから」
「まだ一人当たり1.5人だ」
 鳴り響くサイレンを聞いた祖父が罵倒を始める。
「人殺しめ。少年だから赦されると思うなよ」
「赦してくれなんて言ってないよ」と慎吾。
「クズどもめ」
 クズ……
 拓哉が爆発する。
「俺はクズなんかじゃねえ!」
「まあ落ち着け」と慎吾。彼は妙なことを言い始める。
「なっちゃん。君はメリーが好きなんだよね」
「メリーは妹なの」
「どうして」
「佳代子がいないから、今はメリーが妹」
「佳代子って」
「あたしの妹。でも、もういない。大雨が降って、泥水に飲まれちゃったから」
「そうか。それは辛かったね」
「でも本当は……」
 奈津子は一瞬言葉に詰まる。
「あたしのせいで死んだ」
 慎吾は息を吞む。
「あの子は水の中で、あたしを待っていた。でも、あたしは」
 慎吾は聞きたくないとばかりに顔を背けた。だが、しばらくして重い口を開いた。
「お兄さんにも妹がいた。彼女も死んじゃったんだ」
「どうして」
「ひどいイジメに遭ったんだ。誰も助けてくれなかった」
「先生は」
「大人はみんな見て見ぬふりさ」
 慎吾はまた黙り込むが、何かを思いついたかのように口を開く。
「ところで、君はメリーの運命を聞いているの」
「運命って?」
「やはり聞いてないのか」
「ステーキになるんだ」と拓哉。
「おい拓哉」
「なんだよ。本当のことだろ」
「納屋に斧があっただろ。持ってきてくれよ」
「なにするんだ?」
「なっちゃん。メリーを助けてあげる」

 拓哉から斧を受け取ると、慎吾は老人たちを見据える。
「なっちゃん。目を閉じていてね」
 奈津子は耳をふさいで目を閉じるが、鈍い振動が伝わってくる。それがやむと、ごとっと音が響いた。
「拓哉。毛布を被せておいてくれ」
「ったくよお。死刑確定じゃねえか」
 慎吾は台所から濡れタオルを持ってきて、奈津子の正面に座る。
「目を開けてもいいよ」
 奈津子が目を開けると、救いようがないほど悲しい目があった。
「お兄さんの顔だけを見て」
 奈津子は慎吾の悲しみを受け入れる。慎吾は奈津子の顔に散った血を、濡れタオルで拭き取る。
「なっちゃん。メリーを幸せにしてあげて」
 慎吾は奈津子をそっと抱きしめた。

 第六章 ただひとつの道

 事件から二十四年。奈津子は三十六歳の主婦になっていた。夫と一人娘の三人家族。閑静な住宅街の一軒家。夫の稼ぎが良く、経済的には恵まれている。
 夫との出会いは偶然ではなかった。奈津子は二十歳まで施設にいた。二十歳の春に彼が施設を訪れ、職員に名刺を渡し、彼女と面会させてほしいと頼む。
 彼の声は慈愛に満ちていた。
「奈津子さん。僕はあなたの力になりたいのです」
 どこか芝居掛かっていたが、とにかく奈津子には助けが必要だった。
 彼は足繁く施設に通った。信仰心が厚く、清潔感がある。絵に描いたような好青年で、不自然なほど欠点がない。
 彼はアメリカ屈指の宗教団体「メシア・フェローシップ教会」通称MF教会の信徒であり、その教会が被害者遺族との結婚を望んだのだ。
 二人は数ヶ月交際した後に籍を入れた。式はMF教会東京支部の教会でひっそりと行われた。結婚から一年余りで綾香が誕生する。

 MF教会は日系の信者を獲得するため、奈津子の夫をカリフォルニア州に呼び寄せる。夫は若い妻と幼い娘を残し、意気揚々と米国へ出発する。彼も野心家だったのだ。
 夫は何年も家を留守にし、帰国しても米国へとんぼ返りした。ただ家族への電話は欠かさなかった。
「教会の偉いさんに布教活動を認めてもらえたんだ。もう支部長も夢じゃないぞ」
「そう」
「嬉しくないのか?」
「いいえ。よかったわね」
「そういえば、日本で買えない珍しいチョコを見つけたんだ。そっちへ送っておいたから。綾香にもよろしく」
 夫からの電話は第一に仕事で、家族は二の次だった。
 奈津子は受話器を置くと、しばらく窓の外を見ていた。チョコが届く頃には、彼はもう次の仕事に取り掛かっているだろう。

 一見幸せな家庭に見える。ただ奈津子は家で一人になると、何時間も鏡を見ていることがあった。すると自分の顔が老婆に見えてくる。
 彼女は家族のことだけを考え、過去を振り返らないよう意識した。だが何かの拍子に牧場での惨劇が蘇った。何かに取り憑かれたかのように、刃物で人を傷つける夢を見ることもあった。
 家族に内緒で精神科にも通った。PTSDと診断され、犯人が処罰されても楽にならないと言われた。薬や心理療法も効果はなかった。

カルテNo.A2438
【診断結果】
 PTSD(心的外傷後ストレス障害)
⒈ 事件のフラッシュバック。殺人を犯す夢。血が飛び散る光景。
⒉ 小動物を殺した記憶、及び罪悪感。
⒊ 肉親の死に対する自責の念。亡くなった肉親が鏡に映る。

 奈津子は些細な記憶にさえ悩んだ。子供の頃、妹と遊んでいるときに、石を投げて小蛇を殺してしまったことがある。偶然近くに大きな蛇がいた。ただし蛇は子供の面倒を見ない。つまり大きな蛇は母蛇ではない。頭ではわかっていても、暗い気持ちになるのだった。

 特に深刻なのは、災害発生時に、妹を水中に置き去りにしたという自責の念だ。
 川のせせらぎが聞こえ、死んだ妹が鏡に映る。妹はいつも奈津子が編んだクローバーの冠を被っていた。それがいつからか、茨(いばら)の冠を被り、奈津子の後ろに立つようになった。
「お姉ちゃん」
「佳代子。ごめんね」

 ついに奈津子は神にすがる。だが夫の教会を信じることはできない。奈津子が何気なくMF教会について検索すると、その創設者の言葉に行き当たった。
 キリスト教の贖罪は、人の罪をキリストが自らの血で贖ったというもの。神の子イエスは、ゴルゴタの丘で磔にされ、「わが神、わが神。なぜ私をお見捨てになったのですか」と叫び息絶えた。
 しかしMF教会の創設者エドワード・M・ハミルトン(1802〜1886)はこう語ったと伝えられる。
『この世には決して赦されない罪がある。それを償うにはキリストの血だけでは足らず、罪人は自らの血をもって償わなければならない。』
 当時、教会は異端と激しく非難されたが、今はハミルトンの言葉を完全に否定している。過激な教義は信者獲得の妨げになり、金にならないからだろう。
 
 奈津子は過激な教義を看過できず、MF教会に疑念を抱いた。彼女は聖書を手に取り、イエスの言葉に救いを求める。
 マタイによる福音書・第五章。
『敵を愛し、あなたを迫害する者のために祈りなさい。』
 だが、それは容易ではない。

 奈津子は悩み抜いた末、郊外の丘に建つ古い教会を訪ねた。
 石造りの礼拝堂は静まり返り、ステンドグラスから差す光が、床に七色の模様を映していた。
 彼女が頭を下げると、神父は慈愛に満ちた声で告げる。
「悲しむ人は幸いです。その人は慰められるでしょう」
 ひざまずこうとする彼女を神父は止めた。
「椅子に掛けて話してください」
 彼女は座って十字を切ると、小さな十字架を握りしめて懺悔を始めた。
「私は子供のころ、家族を災害で失いました。あのとき、小さな人影が水中に見えたのです。なのに私は飛び込まなかった。自分の妹を見捨てたんです」
 涙がこぼれ、言葉が続かない。
「無理に話さなくても良いのです」
「大丈夫です。聞いてもらいたいのは、災害のことではありません。私を苦しめる憎しみについて、話したいのです」
 彼女は震える声で牧場での事件を語る。
「災害の後、親戚に保護されました。優しい人たちでした。私を我が子のように愛してくれたんです。ある日、その人たちは殺されました。犯人は二人の少年です。彼らは虐待されて育ったと聞いています。彼らも被害者なのです。それがわかっていても、ひどい憎しみが湧いて気が狂いそうになります。このままでは、誰かを傷つけてしまいそうで怖いのです」
 彼女は核心へ迫る。
「どうしたら、憎しみを断つことができますか。それをできるのは、復讐ではないですか。犯人が殺せば、憎しみも」
 言葉が途切れ、長い沈黙が訪れた。風の音が聞こえ、木漏れ日が七色に揺れた。
 やがて神父は穏やかに話し始める。
「自分はアーミッシュと暮らしたことがあるのです」
「アーミッシュ?」
「古い生活様式を守るキリスト教の一派のことです」
 神父はアーミッシュの村に滞在したときのことを話した。
「彼らと一緒に聖書を読んでいると、遠くで銃声が響きました。武装した男が、学校に押し入ったのです。十人の少女がショットガンで撃たれ、五人の命が奪われました。
 その夜、犠牲となった少女の祖父は、孫たちに言いました。『犯人を憎むな。彼を赦せ』と。
 村人は犯人の家を訪ねました。赦しを乞う妻に向かって、『私たちは彼を赦し、あなたと、あなたの子供のために祈ります』と言いました」
 奈津子は神父に問う。
「赦したのですか。子供が殺されたのに」
「復讐をすれば、心はより深く傷つきます」
「私は、その人たちのように強くありません」
「赦しとは、主が人に与えた、ただひとつの道なのです」
 彼女は声を震わせて問う。
「神父様は、自分の子供が殺されても、犯人を赦せますか」
 神父は穏やかに言う。
「私は、ただひとつの道を選びます」
 奈津子の顔が引きつった。
「本当の憎しみを知らないから、そんなことが言えるんです」
「そうでしょうか」
 奈津子は髪を掻きむしって悪態をつく。
「嘘つき! あたしの苦しみなんか、これっぽっちも知らないくせに」
 彼女は頭を抱えて涙をこぼす。
「顔を上げてください」と神父。
「いやよ!」
 彼女は十字架を神父に投げつける。
「もう死んでしまいたい」
 神父は泣き止むのを待つ。やがて礼拝堂は静寂に包まれ、小鳥のさえずりが聞こえた。
「では、真実を話しましょう。私は人を死に追いやった人間です」
 奈津子は顔を上げた。
「私は町役場に勤めていました。職場結婚です。でも結婚してすぐ、交通事故で妻を亡くしました。轢いたのは、その町に住む会社員です。彼は何度も家に訪れ、玄関で土下座をして謝りました。でも私は、金で済むと思うのか、命で償えとまで言ったのです」
 神父は苦悶の表情を浮かべた。
「彼は自殺しました。後を追うように、彼の妻も河に身を投げました。彼女のお腹には、子供がいたのです」
 神父のこぶしが震えていた。
「死んで欲しいなんて思っていなかった。でも、もう遅い。私に同情してくれていた同僚も、不審の目を向けるようになり、私は職場を去りました。こんな格好をしていても、本当は罪深い人間なのです」
 神父が崩れ落ち、床に手をつくと、奈津子も床に膝をつき、両手で彼の手を包んだ。
「神父様。顔を上げてください」
 奈津子の手の甲に、神父の涙が滴り落ちた。

 第七章 悲しみの河

 奈津子は二人の死刑に反対する。彼女は匿名で雑誌の取材に応じた。
『私は彼らを赦したいのです。どうか、私から赦す機会を奪わないでください』
 犯罪を助長するとの声が世間を騒がせると、彼女は再び雑誌に意思を表明する。
『悲惨な経験が教えてくれたのです。負の連鎖を断てるのは、赦しだけだと』
 被害者遺族Xの意志が死刑反対運動に勢いを与え、当局が刑の執行をためらうと、死刑囚の一人である拓哉は手を叩いて喜んだ。
 彼は面会に来る支援者に、いつも愚痴をこぼしていた。
「俺がやったのはコンビニの兄ちゃんだけだ。牧場の奴らを皆殺しにしたのは慎吾だぜ。俺まで死刑なんて、おかしいじゃねえか」

 慎吾は相棒とは真逆な意志を表明する。彼は死刑反対運動に反対したのだ。
 慎吾は面会を拒んだから、奈津子は密かに刑務所に書簡を送り続け、愚かなことはやめて欲しいと訴えた。
「私は憎しみを捨て、あなたを赦します。お願いです。生きてください」
 返信には頑なな意思が綴られていた。
「なっちゃん。もう死刑に反対しないで欲しい。俺は偽善者どもに殺しをさせたいんだ。そうなれば奴らも殺し屋だからな」

 カリフォルニアから電話がかかってきた。
「奈津子、こっちでも君の記事が話題になっている。教会の偉いさんが、信者の妻の赦しは、教会のイメージアップになるって言うんだ」
「あなた、私の気持ちをわかっているの」
「わかっているさ。君の力になりたいんだ。教会も君を支援する。なんなら与党の政治家に働きかけるとまで言っているんだ。選挙協力しているから嫌とは言えないさ。奈津子、そろそろ実名を出してもいいんじゃないか」
 電話を切ったあと、奈津子はしばらく窓の外を見ていた。夫の声に愛を感じることはできなかった。

 奈津子は家族の目に触れないよう、局留めで書簡のやりとりを続けた。
 慎吾の手紙を読むたび、憎しみが悲しみに変わっていくような気がした。

「あれは雪の降るイヴの日だった。保育園には飾られたツリーが立っていた。友達の母親が、部屋の後ろから見ていた。『みんなで歌いましょう』と先生が言うと、美咲と俺は無邪気に賛美歌を歌った。『みなさん、さようなら』と先生が言うと、みんなは一目散に駆けていき、自分の母に抱きついた。うちの母は来ていない。俺は美咲に言ったんだ。河原で雪だるまを作ろうって。ふたりで河原へ向かって駆け出した。美咲は白い息を吐きながら、赤いほっぺで笑っていた。翌日は晴れて、どこも雪が溶けていた。でも美咲と作った雪だるまは、きらきらと河原で輝いていたんだ」
 慎吾の言葉には間違いなく愛があった。そして、こんな書簡も届いた。

「美咲は猫を欲しがった。でもアパートじゃだめなんだ。俺は河原に通い、猫の親子に煮干しをやって仲良くなった。美咲を河原に連れて行き、猫たちに会わせると大喜びだ。でもある日、処分場の車が堤防沿いに停まっていた。荷台から猫たちの鳴き声が聞こえた。美咲は『いやだ、いやだ』と泣き叫んだ。俺は嘘を言った。『大丈夫。誰かが飼ってくれるから』って」
 手紙を読む奈津子の手が震え、涙が頬を伝う。あの人を死なせない。死なせたくない。

 実は、奈津子の他にもう一人、慎吾の手紙を読んでいる者がいた。ひっそりと目を通し、慎吾の過去に、己の現在を重ね合わせる者が。
 復讐の否定は言い逃れ。愛する者に対する裏切り。その者には、そうとしか思えなかった。

 第八章 綾香と麻弥

 奈津子には一人娘がいた。名を綾香(あやか)という。
 彼女は中学校に入学し、美術部に入ると、たちまち周囲を圧倒する。部員たちは彼女の作品に言葉を失い、気づけば、県展への出展は彼女が独占していた。
 綾香は媚びることが嫌いで、周囲に合わせようなんて気はなかった。放課後も声をかける者はいない。だが彼女にはその方が良かった。
 中二の春、一人の女子が綾香の前に現れる。麻弥(まや)はおどおどしながら教壇に立ち、クラスメイトに挨拶をする。
「よろしく、お願いします」
 淡い花びらのように影が薄く、綾香でさえも、その才能に気づかなかった。
 麻弥は美術部に入り、綾香を驚かせる。
 綾香の絵は異様なほど写実的で、妥協を許さぬ性格が滲み出ていた。
 片や麻弥の絵は、牧歌的な光に包まれ、穏やかな性格をうかがわせる。
 素人の評価は圧倒的なものに傾きがちだ。綾香だけが、麻弥の才能を見抜いていた。
 綾香は晩飯時に奈津子に言う。
「お母さん。凄い子が転校してきたの。あたし、その子と友達になるつもりよ」
「良かったわね。なら、遊びに来てもらったら」
 綾香はキャンバスに向かう麻弥のそばに立ち、しばらく彼女の筆使いを観察していた。
「上手だね。あたしなんて足元にも及ばない」
 麻弥は振り向く。
「綾香さん」
「さん付けなんてやめて。綾香って呼んで」
「あやか」
「麻弥。あたしの部屋で絵を描こうよ」
 こうして綾香の部屋は、ふたりのアトリエとなった。

 麻弥は綾香の部屋に入ると、壁に飾られている模写に注目する。
『聖セバスチャンの殉教』
 有名な絵画だ。当然麻弥もよく知っている。一見すると正確に写しただけに見える。だが麻弥の意識は、磔にされた若者の目に注がれる。
 なんて悲しい目なんだろう。
「綾香、誰の目を描いたの?」
「えっ、どういうこと?」
 綾香は知らないうちに、母の目を描いていたのだ。
 
 彼女たちは絵ばかり描いていたわけではない。様々なことを語り合った。
「あたし、本当は印象派が好きなの」と綾香。
「好きな画家は?」と麻弥。
「モネかな。プールヴィルの断崖とか、すごく素敵だと思う」
「意外だな。綾香は写実派かと思った」
「あたし、画家になって、個展を開きたいな」
「綾香ならできるよ」
「今のままじゃ無理よ。麻弥みたいに、優しい光を描けないと」

 ある日、綾香はかねてからの疑問を麻弥にぶつけた。
「ねえ麻弥。聖書を読んだことある?」
「ないよ。綾香は?」
「真剣に読んだことはないけど、お母さんがよく読んでいるから、興味があるの。ねえ麻弥。聞いてもいい」
「なんにもわかんないよ」
「いいの。麻弥がどう思うか知りたいだけ」
 綾香は、ゴルゴタの丘で起きた悲劇を話した。イエスは茨(いばら)の冠を被せられ、十字架に釘で打ち付けられた。神の子イエスは空を見上げ、叫んだのだ。

『わが神、わが神。なぜ私を見捨てたのですか。』

「麻弥。神様はなぜ彼を見捨てたと思う」
「神様の考えはわからない。でも、あたし、神様が気の毒でならない」
「どうして」
「自分の子供を見捨てるなんて、すごく悲しいことだと思うの」

 ある日、彼女たちは恋について語り合う。
「麻弥は好きな子がいるの」
 彼女は何も答えない。
「ねえ。教えてよ」
「いないと思う。綾香は」
「えっ、あたし。あたしも、いないかな」
 綾香は慌てて取り繕うが、麻弥に目を見つめられて観念する。
「麻弥。あたしの好きな人はね」
 すると麻弥が言葉を遮った。
「綾香ごめん。あたし、嘘を言った。本当は好きな人がいるの」
「だれ?」

 夏休みに入ると、ふたりはクーラーの効いた部屋で大胆な手法を採用する。
「麻弥。あたしを描いて」
 綾香は震える指で、一番上のボタンに触れた。
「脱いでもいい」
「うん」
 麻弥の眼差しは、綾香の真実を容赦なく捉える。
 麻弥は描き終わると言った。
「綾香。あたしも描いて欲しいの」
「そう来ると思った」
「綺麗に描かないでね。嘘はいやよ」
「あたしが、そんな間抜けだと思う」
 綾香は妥協なき曲線を描き、麻弥の真実に迫って行った。

 第九章 踏みにじられた官能

 夏休み明け、麻弥のカバンが教室から消えた。散々探すと、廊下の一番端で見つかった。だがカバンを開けるとスケッチブックが消えていた。
 そこには綾香の裸体が描かれていた。想像で描いたそのデッサンは、綾香への贈り物だった。
 麻弥はカバンの中にノートの切れ端を見つける。
『明日の放課後、一人で体育館の倉庫においで。来なかったら、絵をコピーしてばらまくからね』
 麻弥は綾香に相談をしなかった。
 なんて馬鹿なんだろう。綾香の裸をカバンに入れて、教室に置いておくなんて。
 彼女は翌日の放課後、薄暗い体育館に行き、重い倉庫の扉を開けた。
「よく来たわね」
 女は仮面を付けているが、同じクラスの女子だと声でわかる。仮面の女も美術部員で、綾香を心底憎んでいた。
「お願い。スケッチブックを返して」
「これがそんなに大切なの」
 女は麻弥の足元に投げ捨てる。麻弥が拾って倉庫から出ようとすると、三人の男子が行く手をふさいだ。全員仮面を付けているが、同じクラスの男子だと声でわかる。
 彼らは麻弥の腕をつかみ、床に押さえつける。泣き叫ぶ姿を、女が麻弥のスケッチブックに描く。
「こんなことして大丈夫かな」と一人の男子。
「びびってんじゃねえよ」
 麻弥はハイエナの餌食になる子羊のようだ。
「じっとしてろ!」
 鈍い音が響いた。
「こいつ、鼻いったな」
「兄貴に車を回してもらうから、マットのカバーをはがせ」
「なんで」
「トランクが汚れるだろ」

 翌朝、麻弥の携帯からメールが届く。
『郵便受けを見て』
 綾香は郵便受けから麻弥のスケッチブックを取り出すと、何度も彼女の携帯を鳴らす。しかし、いくら呼んでも彼女は出ない。綾香はメールを送る。
『何があったの?』

 警察は容疑者を割り出すが、少年たちが麻弥を河に突き落とした証拠はない。
 彼らは、麻弥は自分から車に乗ってきたと口を揃えて証言し、急に一人になりたいと言うから、橋の近くで降ろしたと全員が供述した。
 麻弥には精神科への通院歴があった。軽い鬱症状で治療を受けていたのだ。それが自殺という判断を後押しした。
 犯行を疑われた少年の中に、地元を牛耳る議員の孫がいた。それが捜査に影響した可能性もある。鼻骨の損傷は落下の際にできたとされ、ついに自殺として処理されてしまった。

 綾香には犯人がわかっていた。彼らは綾香を横目で見ては、あからさまに笑っていたからだ。
 やがて彼女は、クラスの誰もがニヤニヤと笑っていることに気づく。麻弥が描いた裸体が、密かに拡散されていたのだ。
 だが綾香は学校に訴えなかった。教師は隠蔽しか頭にない。そんなことをしても、犯人たちが警戒するだけ。
 両親にも頼れない。父に相談すれば、学校で相談しろと言うだけ。父の頭には仕事しかない。
 片や母は人を憎んではいけないと、口癖のように言っていた。
 綾香は平静を装う。毎日クラスの風景を麻弥のスケッチブックに描き、彼らを静かに観察していた。
 林間学校が数日後に迫った日の晩。綾香は麻弥が描いた自分をずっと見ていた。麻弥が絵に込めた思いを、綾香は痛感していたに違いない。綾香の脳裏に復讐の二文字がよぎる。
 麻弥を裏切るなんてあり得ない。でも。

 綾香には身を投じる勇気がなかった。奈津子もそうだった。水に飛び込む勇気はなかった。それで良かったのだ。だから綾香と出会うことができたのだ。
 綾香は震える声でつぶやく。
「麻弥。ごめんね」
 綾香は震える指で、麻弥のタッチをなぞる。指先に麻弥を感じ、涙が頬を伝う。
 そのとき、指先に違和感を覚えたのだ。ページをめくると、裏に消しゴムで消した鉛筆の跡があった。それを慎重に復元すると、泣き叫ぶ麻弥の姿が浮かび上がった。犯人は一度描いたが、まずいと思って消したのだろう。
 綾香はスケッチブックを閉じると、机の引き出しの奥に仕舞う。体が小刻みに震え、爪が膝に食い込む。
 ただ怒りはすぐに消えた。いや、消えたのではなく、何者かが怒りを制御した。それが冷静なのか、冷酷なのかは知る由もない。
 その夜、綾香はほとんど眠らなかった。天井を見つめながら、麻弥が描いた自分の裸体を思い浮かべた。優しい輪郭線だ。綾香の体を純粋に愛した証だ。
 翌朝、教室に入ると、いつものように彼らが笑っていた。授業中も隣の生徒にちょっかいを出し、教師の目を盗んでは私語を交わす。
 ふと気づくと、そのうちの一人が綾香に手を振っていた。口をすぼめて舌を出す。明らかな挑発だ。
 綾香は驚くほど自然に、にっこりと微笑み返した。その男子はえっと首を傾げる。
 麻弥。あたしの「最高傑作」を見せてあげる。

 第十章 憎しみの継承

 麻弥の死からほどなくして慎吾の元に薄い封書が届く。封を開けると、一枚の便箋に、奈津子の筆跡で書かれていた。
『一度だけ面会してください。それでも死を望むなら、私は諦めます。』

 被害者遺族と死刑囚の面会は厳しく制限されているが、奈津子の背後には死刑に反対する団体が控えていた。拘置場も面倒は避けたいだろう。
 その女は拘置場の受付で申請書を書くと、サングラスを外して免許証を提示する。係員は何度も顔を確認し、女を面会室に案内する。
 やがて慎吾が現れた。ふたりはアクリル板越しに見つめ合う。女はサングラスを掛けたまま黙っているから、仕方なく慎吾から話しかけた。
「家族がいるんだろ。こんなことは、しない方がいい」
 女は何も言わない。
「俺の意志が変わることはない。だから、もう死刑に反対しないでくれ」
 女はサングラスを外すと、アクリル板に顔を寄せ、そっとささやく。
「あたしが、誰かわかる?」
 奈津子の顔は慎吾の目に焼きついていた。化粧をしていても、見間違えるとは思えない。だが、目の前の女を見ていると、なぜか二十四年前の少女の顔が、そのまま重なって見えた。
「君は誰だ」
 女は刑務官をちらっと見ると、さらに声をひそめる。
「やっぱり、お母さんにそっくりなのね」
「彼女の娘なのか」
「しっ。小さな声で話して」
 綾香はペンと便箋を出すと、『私が手紙を書いたのよ』と書いて見せた。慎吾は筆跡が奈津子にそっくりであることに気づく。
「なんの真似だ」
 綾香は慎吾の目を見つめる。
「知っているのよ。あなたが優しい人だって。美咲さんのことも、復讐のことも知っている。あなたの気持ち、よくわかるわ」
「黙れ。お前に何がわかる」
「お願い。ひとつだけ教えて。そしたら、すぐに帰るから」
「何が聞きたい」
「復讐したことを、後悔してる?」
 慎吾は悲しげに綾香を見つめた。

 綾香が林間学校に出発する日の前夜、奈津子は夫と電話で口論をしていた。
 奈津子は綾香を林間学校に行かせたくないと言うが、夫は耳を貸さない。
「お願い、わかって。どうしても行かせたくないの」
「どうして」
「なにか悪い予感がするの」
「綾香には普通の友達が必要なんだ。なぜわからないんだ」
 あることが奈津子の不安を駆り立てていた。
 先日、綾香の部屋を掃除しているときのことだ。机の引き出しを開けると、見覚えのないスケッチブックがあった。最初のページに綾香の裸体が描かれていて、後はすべて教室の風景だった。ただ、どの生徒の顔にも、目が無かったのだ。

 奈津子がいくら訴えても、夫は一切耳を貸さない。ふと気づくと、綾香がそばに立っていた。
「お母さん。あたし、みんなと仲良くなりたいの」
「でも」
「奈津子。そこに綾香がいるんだろ。代わってくれ」
 奈津子は娘に受話器を渡す。
「綾香。絵ばかり描いてちゃいけない。気持ちを切り替えて、新しい友達を作りなさい」
「うん。わかってる」
「持ち物は全部用意したのか」
「大丈夫。もう準備はできているわ」
 綾香はわざわざ郊外の山奥まで行き、カレーに入れる『特別な食材』を採ってきていた。

 林間学校へ出発する日の早朝。綾香は持ち物の最終チェックをする。彼女は四つに分けられた『特別な食材』を手に載せ、じっと見つめていた。
 麻弥。あたし、逃げたりなんかしないから。

 その頃、拘置所の廊下に刑務官の足音が響いていた。二人の死刑囚は仏壇のある教誨室に順に移され、椅子に座ると刑務官が言った。
「何か食べたいものはあるか」
 拓哉は珍しく黙り込み、しばらくしてから小さな声で言った
「爺ちゃんのうどんかな」
「祖父がいたのか」
「いや。昔、親切にしてくれたうどん屋の爺さんだ」
「申し訳ないが、うどんは無理だ。でも手紙を書くことはできる」
 刑務官はペンと便箋を机に置いた。
「いいよ。もう死んでると思うから」
「なら、何か言い残すことはあるか」
「聞いてもいいか」
「もちろん」
「天国って、あると思うか」
 刑務官は悲しげな表情を浮かべた。
「うん。きっとあるよ」
「そうか。なら今度こそ、うどん屋になるよ」
「自分もいつか逝くから、そのときは店に寄るよ」
「腰のある麺を食わしてやるぜ」
 二人は声を上げて笑った。

 片や慎吾。
「何か食べたいものはあるか」
「ない」
「書き残したいことは」
「特にないが。まだ拓哉が生きていたら、俺がすまないと言っていたと伝えてくれ」
「悪いが、それは難しい」
「そうか。なら、仕方ないな」

 その日は早朝から青空が広がり、絶好の遠足日和となった。
「みんなでカレーを作るのよ」と綾香はやけに嬉しそうだ。紅葉を迎えた渓谷で飯盒炊爨をし、キャンプ場の近くで合宿する予定だ。ただ奈津子の不安は募るばかりだった。
「綾香、行かないで。なにか悪い予感がするの」
「大丈夫、心配のしすぎ」
「本当に、みんなと仲良くなりたいの?」
「あたしは嘘が嫌いなのよ」
 綾香はテーブルにつくと、目玉焼きを箸で食べ始めた。
「お母さん。フォークとって」
 食器棚からフォークを取り出し、テーブルの方に振り向いた瞬間、奈津子はそれを手から落とした。
 朝のニュース速報が、事件当時十八歳だった二人の死刑囚の最期を伝えたのだ。
 奈津子は床に崩れ落ち、手をついて打ち震える。結局間に合わなかった。
 綾香は思わず声を漏らす。
「可哀想な人」
 奈津子が顔を上げると、綾香が目の前に立っていた。
「お母さん。なにがあったの」
「なんでもないの。気にしないで」
「お母さんは、なにか恐ろしい経験をしたんじゃないの」
「なに言ってるの。そんなことないわ」
 綾香は悲しげに母を見つめる。
「どうしても行かなくちゃいけないの。ごめんね」
 綾香はリュックを背負い、部屋から出て行った。

 第十一章 憎しみの決壊

 その日の正午、綾香はクラスメイトと一緒にキャンプを楽しんでいた。
 真っ青な空と鮮血のような紅葉。最高傑作に相応しい背景に、綾香は珍しく神に感謝した。
 たまには、いいことをするのね。
 綾香は飯盒炊爨を楽しんでいるように見えた。その笑顔を見れば、彼女を嫌う者でさえ気を許した。
 ある生徒が玉ねぎは入れたかと聞けば、綾香はルーをかき混ぜながら「やば。忘れてた」と舌を出す。ただ、その視線の先には、女一人と男三人のグループがいた。麻弥を手に掛けた連中だ。綾香は服の上から四つの感触を確かめる。
 彼女は四つの皿にルーを盛ると、大きなお盆に乗せて、彼らの元へ運んだ。
「あんたが作ったの」と女が聞くと、綾香は「頑張って作ったの」と笑みを浮かべる。
「不味かったら許さねえぞ」
「体で責任取らせるからな」
「綾香ちゃん。どうするう」
 彼らは笑い転げる。
 一口、二口と、彼らはカレーを口に運んだ。
「なかなか美味いじゃねえか」
「ご苦労ご苦労」
 女は味見を済ますと、綾香を見ながらスプーンを口に運んだ。しばらくすると、女は綾香を見つめたまま固まった。
 綾香は心の中でつぶやく。
 麻弥。完成したよ。あたしの最高傑作。

 やがてキャンプ場は阿鼻叫喚の地獄と化す。綾香は一人その場を離れ、暗い森へ入っていった。少し歩くと森は開け、見下ろせば河が刃物のように煌めいていた。綾香は高い崖の縁に立ち、真っ青な空を仰ぐ。
 お母さん。ごめんね。
 身を投げようとしたそのとき、綾香は微かに視線を感じた。振り向くと、岩の上から小蛇がこちらを見ていた。
 死の間際になると、蛇でさえ、こんなにも愛らしい。
 そのときメールの着信音が。
『綾香。何があったの。お願い。返事をして』

 午後一時。奈津子が洗濯物をたたんでいると、学校からメールが入る。
『林間学校で深刻な食中毒が発生し、警察と救急隊が来ています。詳細は追って連絡します』
 テレビをつけると、黄色いテープが張り巡らされたキャンプ場が映し出された。鮮血のような紅葉を背景に、若い女のリポーターが早口で伝える。
「カレーを食べた四人の生徒が救急搬送されました。意識不明の重体とのこと。警察は毒物混入事件として捜査を開始しました」
 電話は繋がらず、奈津子はメールを送る。
『綾香。何があったの。お願い。返事をして』
『大丈夫。心配しないで』

 残飯から、植物由来とみられる毒物が検出された。
 病院で死亡した四人は、いずれもいじめの常習犯として名前が挙がったため、捜査は報復の線で進められた。容疑者は多数にのぼり、捜査は難航すると思われた矢先、綾香の名前が浮上した。
 被害者たちがキャンプ場で彼女を脅していたとの目撃証言を、警察は聴取したのだ。

 事件から一ヶ月後、二台のセダンが奈津子の家のそばで待機していた。一台は警視庁、もう一台は所轄の警察署の捜査用車だ。
 警視庁の若い刑事がダッシュボードに駐車禁止除外車標章を置くと、ベテランの刑事が彼に指示をする。
「二人だと構えられるから、お前だけで行け。居間に入ったら、さりげなく娘の部屋を見ていいかと聞け。無理はするなよ」
「わかりました」
 若い刑事だけで玄関に向かい、所轄の捜査員は車で待機する。若い刑事がインターホンを鳴らした。
「どちら様ですか」
「警察の者です。少しお聞きしたいことがあるのですが」
 奈津子がドアを開けると、背広姿の若者が手帳を見せた。
「警視庁捜査一課の稲垣といいます。綾香さんのことで、少しお聞きしたいのですが」
「なんでしょうか」
「ここではなんですから、上がらせてもらっていいですか」
 奈津子は稲垣を居間に通し、熱いコーヒーを出す。
「娘が何かしたんですか」
「例の事件のことで、生徒全員の家を回っているんですよ」
「そうですか」
「事件のことで、綾香さんは何か言ってませんでしたか」
「家で事件のことなんて話しません。暗い気持ちになるので」
「もし良ければ、ちょっと綾香さんの部屋を見せてもらえないですか。無理なら結構ですが」
「いえ、別に構いませんが」
 稲垣は部屋に入ると、壁に張ってある絵画の模写に注目する。
『聖セバスチャンの殉教』
 グイド・レーニ(1575〜1642)の有名な作品である。
「綾香さんは絵が上手なんですね」
「あの子は美術部だったんです」
「今は違うんですか」
「周囲に馴染めなくて、辞めてしまったんです」
「それにしても上手だなぁ。綾香さんはきっと天才ですよ」
「いえ、そんなことは」
 稲垣は机の上の分厚いスケッチブックに指先で触れた。
「見てもいいですか」
「どうぞ」
 彼は描かれた人物を確かめながら、ゆっくりと紙をめくる。
「これはお母さんですね」
「はい」
「この男性は知ってます。確か俳優ですよね。ご主人の絵はないのですか?」
「主人は仕事で海外にいるんです」
「ふうん。そうですか」
 ほとんどが奈津子の肖像画で、たまに俳優の絵が現れる。だが、やがて異様な肖像画が連続する。クラスメイトらしいのだが、ことごとく目が描かれていなかった。
「綾香さんは、なぜ目を描かないのですか?」
「私にもわかりません」
 次第に絵は途絶えて白紙になる。それでもめくり続けると、最終ページ近くで一枚の絵が現れた。
 それはイエスの受難を描いた『茨の冠を戴くキリスト』の模写だった。天を仰ぐイエスの表情に、奈津子は一瞬戦慄を覚えた。この眼差しは……

『わが神、わが神。なぜ私をお見捨てになったのですか』

「綾香さんはキリスト教に興味が?」
「いえ。そんなことは。気に入った絵を写しただけだと」
「そうですか」
 もう一枚めくると、暗い目をした男の肖像画が現れた。稲垣は眉をひそめた。
「この男性は誰ですか」
 奈津子がその男と出会ったのは二十四年前。当時彼は十八歳で、奈津子は十二歳。彼の目は悲しみに満ち、一切の救いを断たれたかのようだ。
 綾香は悲しみが氷結したような眼差しを、たった一度、それも数分会っただけで描き切った。
 奈津子は目眩がして稲垣に支えられた。
「大丈夫ですか」
「貧血がひどくて」
「すみません。立たせたままで」
 稲垣は奈津子をソファーに寝かせた。
「突然お邪魔してすみませんでした。今日のところは、これで失礼します」
 彼は名刺を机に置き、車に戻るとベテランの刑事に言った。
「暗い目をした男の肖像画があったんです」
「それがどうした?」
「どこかで見た顔なんです」
「どこだ。思い出せ」
 若者はハンドルを抱え、しばらく黙り込む。
「そうだ。古い事件の資料ですよ。地下の倉庫で見たんです」
 
 最終章 憎しみの大河

 その夜、奈津子は綾香に過去を打ち明ける。牧場での惨劇を語り、幼き日のことを振り返った。
「母さんは子供のころ、災害で家族を亡くしたの。あの夜で、すべてが変わってしまった」
「なぜ話してくれなかったの」
「これは凄く恐ろしいことなのよ。こんなことに、あなたを巻き込みたくない」
「お母さん。あたしを警察に連れて行って」
「だめ。そんなことをしても、亡くなった子は戻らないのよ」
「なら、明日一人で行く」

 その夜、奈津子は綾香と一緒に寝た。眠りたくなかった。娘を抱いていれば、束の間の幸せを感じられたから。
 綾香は母の人生に思いを馳せ、その胸を涙で濡らす。
「お母さん。ごめんね」
 今やそのベッドは、憎しみの大河へ乗り出す扁舟だった。奈津子は何かを予感し、娘を抱きしめる。
「綾香。何があっても離さない」

 十年後。ある展覧会で河を描いた油絵が話題になっていた。モネの再来と言う者までいたが、作者の正体は謎に包まれていた。
 かなり大きな風景画である。優しい光に包まれた河原の風景が、繊細なタッチで描かれていた。
 ただ妙なことに、堤防を歩く人々の目がない。描こうとした痕跡すらない。人垣から声が漏れていた。
「盲目な大衆を風刺したんだ」
「きっとフェティシズムよ」
 人垣の中に背広姿の男がいた。
「彼女には見えないんだ。人の目が」
 薄いサングラスの女性が、少し離れたところから、その絵画を見ていた。彼女は彫像のように微動だにしない。ただ唇だけが微かに動いていた。
「綾香、どこにいるの」

憎しみの河

執筆の狙い

作者 飼い猫ちゃりりん
sp1-75-225-6.msc.spmode.ne.jp

『憎しみの河』は、赦しと憎悪の狭間に揺れる人間の魂を描いた、冷徹にして哀切な物語である。
幼くして災害に家族を奪われた奈津子は、牧場で再び惨劇に見舞われる。犯人たる少年たちは、自らも深い傷を負った者たちであった。二十四年の歳月を経て、奈津子は娘とともに静かな日々を営むが、過去は決して沈黙しない。やがて娘・綾香もまた、友を失った悲しみから同じ河へと足を踏み入れる——。
世代を超えて流れゆく憎しみの大河。赦しは果たして人に許された道なのか。読後、長く心に澱を残す一作である。

【内容に関する注意】
本作には、未成年者に対する性的暴力、殺人、毒物による報復、自殺に関する描写、強いトラウマ・PTSDの描写が含まれます。こうした内容に敏感な方はご注意ください。

※上記はAIによる紹介文です。
※26000字。13の章からなる作品です。

コメント

ぷりも
180-198-195-96.area1b.commufa.jp

飼い猫パイセン【憎しみの河】の感想①

拝読しました。以前投稿してたものを推敲に推敲を重ねてというか、色々こねくり回して




ますます訳がわからん




というのが第一印象ですね。あと先考えず寄せ集めて適当にくっつけたらこんな感じになるのかなみたいな。
一通り読んだけど、いくつか区切って手隙の時にコメントするね。

まず【序章 悪夢】


>若い神父はいかにも優等生といった風貌だ。

からの

>女は立ち上がり、若者を見据える。

文脈上この若者は神父を指すと思うのだけど、女性と同じ礼拝者とも取れる。
そうかと思えば

>女は彼の胸に十字架を突き立てた。

今度は彼になっとる。

このごくごく短い序章においてなぜ呼び方をコロコロ変えるのか。

つづく

ぷりも
KD106146064174.au-net.ne.jp

飼い猫パイセン【憎しみの河】の感想②

第一章 奈津子

>奈津子は妹を連れて、山奥の寂れた神社に来ていた。

なので
 
>「お姉ちゃん。お化けが出ないかな?」【と佳代子】。
>「昼間だから大丈夫よ」【と奈津子】。

【】いる?

佳代子の名前を紹介したいなら
→奈津子は妹の佳代子を連れて、山奥の寂れた神社に来ていた。
としたらいいような。



> 奈津子が振り向くと、平らな岩の上で、小さな蛇がとぐろを巻いていた。なんの危険もないが、【奈津子は懸命に妹を守る。】

からの

>足元に落ちている石ころを力いっぱい投げると、【偶然にも】小蛇に直撃した。細長い体は真ん中で千切れ、やがて動かなくなった。

それは偶然ではないのでは。まるで包丁で刺して殺すつもりはなかったと言ってる人みたいな印象です。


> 佳代子の手を引っ張って側道に駆け上がると、【急に土砂降りとなり】、徐々に川の水かさが増す。

からの

> ふたりは増水した川を眺めながら歩き、【家に着いたときにはずぶ濡れだった】。

なんて言うんですかね。





そりゃそうだろう以外の言葉が見つかりません




ってか、家に着く前にずぶ濡れでは。

 
 
> 仲の良い姉妹は、二階でいつも一緒に寝ていた。
>「佳代子、そろそろ寝るよ」
>「お母さんと一緒に寝る」
>「どうして」
>「風邪をひいちゃったの」
> その夜、佳代子は一階で両親と川の字に寝た。枕元には、奈津子に編んでもらったクローバーの冠があった。

風邪だからお姉ちゃんではなくお母さんと寝るという理屈がわからないけど七歳の子供の言うことなので目を瞑ります。とはいえ、この後の展開に合うようにした作者のご都合主義が透けて見えますな。

がっつり引用>
 午前0時。【奈津子】はぐっすりと眠っていた。
 おぼろげな夢の世界。【彼女】は妹と一緒に川辺を歩いている。クローバーの冠を被った妹は天使のようだ。
 鮮血のような紅葉と真っ青な空。ふと気づくと妹がいない。
 佳代子。どこにいるの?
 【奈津子】は夢から覚めた。細かい振動を感じて窓を開ける。また雨が激しくなっていた。山の方から何かが崩れるような音が響いた。振動は急に激しくなり、家具がガタガタと音を立てる。明かりが消え、家屋が小舟のように揺れる。
 【彼女】が悲鳴を上げると、揺れは収まり、しんと静かになった。
 【彼女】は懐中電灯を手に、闇の中を駆け降り、足が水に浸かって立ち止まる。
 水面を照らすと、薄く濁った水の中に、ぼんやりと小さな人影が見えた。
「佳代子!」
 【奈津子】は妹の名を叫ぶが、水面はガラスのように冷たく、どんな叫びも通さない。
 潜れば手が届きそうに見えるが、体が震えて動かない。やがて人影は流され、【奈津子】の視界から消えた。
<がっつり引用ここまで

奈津子と彼女と使い分ける意味はなんだね?


妹の遺体と対面するシーン
> 佳代子は右手を【固く握り締めていた】。小さな指を伸ばしていくと、一本のクローバーが現れた。

死んだら筋肉弛緩してクローバーこぼれ落ちますよ。その後死後硬直にしてもその前に弛緩してるんだから握ってないでしょ。

とりあえずここまで
つづく
 
 

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-159-37.msc.spmode.ne.jp

プリモ様。お読みいただき嬉しく思います。

>>>
まず【序章 悪夢】
>若い神父はいかにも優等生といった風貌だ。
からの
>女は立ち上がり、若者を見据える。
文脈上この若者は神父を指すと思うのだけど、女性と同じ礼拝者とも取れる。
そうかと思えば
>女は彼の胸に十字架を突き立てた。
今度は彼になっとる。
このごくごく短い序章においてなぜ呼び方をコロコロ変えるのか。
>>>

なぜコロコロ変える?
その方がいいと思ったからです。結論、プリモ様の見解は神父で統一した方が良いということですか?

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-159-37.msc.spmode.ne.jp

プリモ様。ありがとうございます。

>>>
第一章 奈津子

>奈津子は妹を連れて、山奥の寂れた神社に来ていた。

なので
 
>「お姉ちゃん。お化けが出ないかな?」【と佳代子】。
>「昼間だから大丈夫よ」【と奈津子】。

【】いる?

佳代子の名前を紹介したいなら
→奈津子は妹の佳代子を連れて、山奥の寂れた神社に来ていた。
としたらいいような。
>>>

なるほど。確かにそうですね。

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-159-37.msc.spmode.ne.jp

プリモ様。ありがとうございます。

>>>
> 奈津子が振り向くと、平らな岩の上で、小さな蛇がとぐろを巻いていた。なんの危険もないが、【奈津子は懸命に妹を守る。】

からの

>足元に落ちている石ころを力いっぱい投げると、【偶然にも】小蛇に直撃した。細長い体は真ん中で千切れ、やがて動かなくなった。

それは偶然ではないのでは。まるで包丁で刺して殺すつもりはなかったと言ってる人みたいな印象です。
>>>

なるほど。【偶然にも】は不要というか変ですね。
ただ、奈津子としては狙いしまして石を投げたわけじゃない、半ばパニックで投げたというニュアンスを含ませた。でも結論、ない方がいいです。

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-159-37.msc.spmode.ne.jp

プリモ様。
>>>
風邪だからお姉ちゃんではなくお母さんと寝るという理屈がわからないけど七歳の子供の言うことなので目を瞑ります。とはいえ、この後の展開に合うようにした作者のご都合主義が透けて見えますな。
>>>

感染予防のため、親は姉妹に一緒に寝ることを許すとは思えません。

>>>
がっつり引用>
 午前0時。【奈津子】はぐっすりと眠っていた。
 おぼろげな夢の世界。【彼女】は妹と一緒に川辺を歩いている。クローバーの冠を被った妹は天使のようだ。
 鮮血のような紅葉と真っ青な空。ふと気づくと妹がいない。
 佳代子。どこにいるの?
 【奈津子】は夢から覚めた。細かい振動を感じて窓を開ける。また雨が激しくなっていた。山の方から何かが崩れるような音が響いた。振動は急に激しくなり、家具がガタガタと音を立てる。明かりが消え、家屋が小舟のように揺れる。
 【彼女】が悲鳴を上げると、揺れは収まり、しんと静かになった。
 【彼女】は懐中電灯を手に、闇の中を駆け降り、足が水に浸かって立ち止まる。
 水面を照らすと、薄く濁った水の中に、ぼんやりと小さな人影が見えた。
「佳代子!」
 【奈津子】は妹の名を叫ぶが、水面はガラスのように冷たく、どんな叫びも通さない。
 潜れば手が届きそうに見えるが、体が震えて動かない。やがて人影は流され、【奈津子】の視界から消えた。
<がっつり引用ここまで

奈津子と彼女と使い分ける意味はなんだね?
>>>

なんとなく、そのほうが読みやすいかなって。奈津子統一の方が読者は迷わないですか?

ぷりも
KD106146067044.au-net.ne.jp

飼い猫パイセン【re:憎しみの河】

> なぜコロコロ変える?
その方がいいと思ったからです。結論、プリモ様の見解は神父で統一した方が良いということですか?

飼い猫パイセンは読者に考えさせてはいけないというスタンスだったと思うけど、若者は神父と違うかもしれないと思わせたらダメなのでは。神父に統一でも、神父のあとは彼に統一でも良いけど、

>いいと思った

いつもながら飼い猫パイセンは主観的抽象的よね。

ぷりも
KD106146065053.au-net.ne.jp

飼い猫パイセン【re:憎しみの河】

> 感染予防のため、親は姉妹に一緒に寝ることを許すとは思えません。

パイセンの口から感染予防なんて言葉が出てくることにちょっとした驚きがあるのだけど、ちょっと何言ってるかわからんですばい。

僕は佳代子は奈津子と寝るべきだとか言っとらんのだが。感染予防で何で川の字になって寝てるのだね? 両親は感染しないのかね?

> なんとなく、そのほうが読みやすいかなって。

やっぱり主観的抽象的でふわっとしとる。

>奈津子統一の方が読者は迷わないですか?
何か意図があるなら良いけど統一するか2回目以降は彼女か、もっと言えば




もっと削れるでしょ?




> 午前0時。【奈津子】はぐっすりと眠っていた。
 おぼろげな夢の世界。【彼女】は妹と一緒に川辺を歩いている。クローバーの冠を被った妹は天使のようだ。

→ 午前0時。【奈津子】はぐっすりと眠っていた。
 おぼろげな夢の世界で妹と一緒に川辺を歩いている。クローバーの冠を被った妹は天使のようだ。

とか

>  【彼女】が悲鳴を上げると、揺れは収まり、しんと静かになった。
> 【彼女】は懐中電灯を手に、闇の中を駆け降り、足が水に浸かって立ち止まる。

→奈津子が悲鳴をあげると、揺れは収まり、しんと静かになった。暗闇の中、懐中電灯を手に闇の中を駆け降りると、足が水に浸かって立ち止まった。

とかさ。

あと、妹と佳代子も揺れまくっとる。

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-159-37.msc.spmode.ne.jp

ぷりも様。削れる言葉は可能な限り削ったほうがいいけど、音読したときのリズムも考えないと。

ぷりも
180-198-195-96.area1b.commufa.jp

飼い猫パイセン【憎しみの河】の感想③

【第二章 拓哉】の前に前章のラスト

> 【拓哉と慎吾】が、炎天下の駐車場にバイクをとめ、コンビニの様子をうかがっていた。

 当たり前のように出てくる初出の人名が唐突感。

ここは
→二人の男が、炎天下の駐車場にバイクをとめ、コンビニの様子をうかがっていた。

で良いのでは。

【第二章 拓哉】
>母親は春を売って酒代を稼いでいたが、相手が見つからないと、眠っている拓哉を指差して、酒と交換しろと酒場の客に絡むこともあった。

ここは状況が想像し難い。これは例えば

①酒場で客引きしてて、客が取れず一緒に来ていた拓哉が寝落ちしたところ

なのか

②立ちんぼとかしてたけど客取れず、一旦帰宅して眠っている拓哉を連れて酒場に乗り込んだところ

それとも別のシチュエーションなのか。


 
>すると拓哉が角材を手に襲いかかった。

なぜうどん屋に角材が転がっているのか。もちろん改装中とかいう可能性もあるけど、のし棒なり箒なりなら自然にスッと入るのに、何でわざわざ引っ掛かりを作るのか謎。


あと、ちょっと気になったのが

> ある日、拓哉は【綺麗に整地された跡地】の前で立ち尽くす。残酷な現実を前にし、涙さえ出ない。そこには【『マンション建設予定地』】という立て看板がぽつんと立っていた。
> 【数日後】、拓哉は何時間も建設現場の様子を眺めていた。気に留める大人は一人もいなかった。
> 【翌日】、建設現場で小火(ぼや)が発生した。【廃材が少し焦げた】程度だから、警察も消防もまともに調べない。結局、誰も気づかなかった。憎しみの炎が広がりつつあることを。

この【廃材】ってなんですかね?
綺麗に整地されていたマンション建設予定地。数日後であるならまだ基礎工事では。

 

ぷりも
180-198-195-96.area1b.commufa.jp

飼い猫パイセン『憎しみの河』の感想④

【第三章 慎吾】
>「お母さん。美咲のノートを買いたいんだけど」
>「あたしに何の恨みがあるの。とっとと出て行け」

これは前も書いたと思うけど、母親の受け答えおかしいけど、そういう精神状態ということにしておきます。

 
>男子を始末し、女子の方に向き直ると、口から赤い泡が溢れていた。自分で舌を噛み切ったのだ。

武家の娘でもあるまいに舌を噛み切れるものかと。

からの

> 女は頭を振って命乞いをする。

舌を噛み切ったあとに?


> 昼食のとき。「おい。この肉を食ってくれよ」と、拓哉に声をかけられた。
>「いいのか?」【と慎吾】。

【】いる?
「いいのか?」と慎吾は眉をひそめる。とかならわかるけど。


> 慎吾がクスクスと笑うと、拓哉は声を【荒げた】。

セリフなら流すけど、物書きとしては「荒らげた(あららげた)」として欲しいところ。


>「なあ。ここを出たらどうする?」【と慎吾。】
>「二人でうどん屋でもしねえか。俺が麺の打ち方を教えてやるよ」【と拓哉。】

ここも。
【】いる?

飼い猫ちゃりりん
118-105-111-182.area1a.commufa.jp

ぷりも様。

>>>
 当たり前のように出てくる初出の人名が唐突感。

ここは
→二人の男が、炎天下の駐車場にバイクをとめ、コンビニの様子をうかがっていた。

で良いのでは。
>>>

第二章と第三章へのつなぎだから、どうなんですか? 読者は迷いませんか? でも、プリモさんが正しい気がする。

ぷりも
180-198-195-96.area1b.commufa.jp

飼い猫パイセン『re:憎しみの河』

>ぷりも様。削れる言葉は可能な限り削ったほうがいいけど、音読したときのリズムも考えないと。

パイセンに言ってなかったっけ?
僕は音読(実際には音に意識した黙読)派なので、その上で気になるという話ですよ。

と奈津子
と佳代子
と拓哉
と慎吾

そうですか、気になりませんか。パイセンがリズムいいと思うならいいんでないの。

飼い猫ちゃりりん
118-105-111-182.area1a.commufa.jp

ぷりも様。ありがとうございます。

>>>
>すると拓哉が角材を手に襲いかかった。

なぜうどん屋に角材が転がっているのか。もちろん改装中とかいう可能性もあるけど、のし棒なり箒なりなら自然にスッと入るのに、何でわざわざ引っ掛かりを作るのか謎。
>>>

なるほど。のし棒に変更。

>>>
あと、ちょっと気になったのが

> ある日、拓哉は【綺麗に整地された跡地】の前で立ち尽くす。残酷な現実を前にし、涙さえ出ない。そこには【『マンション建設予定地』】という立て看板がぽつんと立っていた。
> 【数日後】、拓哉は何時間も建設現場の様子を眺めていた。気に留める大人は一人もいなかった。
> 【翌日】、建設現場で小火(ぼや)が発生した。【廃材が少し焦げた】程度だから、警察も消防もまともに調べない。結局、誰も気づかなかった。憎しみの炎が広がりつつあることを。

この【廃材】ってなんですかね?
綺麗に整地されていたマンション建設予定地。数日後であるならまだ基礎工事では。
>>>

なるほどー! 時間的に不自然か。廃材ならある程度工事が進んでからですね。

ぷりも
180-198-195-96.area1b.commufa.jp

飼い猫パイセン『re:憎しみの河』

>第二章と第三章へのつなぎだから、どうなんですか? 読者は迷いませんか? でも、プリモさんが正しい気がする。

慎吾と拓哉って誰? って迷うような。
そういえば、前の時って吾郎いなかったっけ?
SMAPのメンバーの名前だなと思ったのよねその時。

飼い猫ちゃりりん
118-105-111-182.area1a.commufa.jp

ぷりも様。吾郎は「夢のからく」の時です。この作品にはもともと登場していません。SMAPの拓哉と慎吾は仲悪いでしょ。小説の中くらい仲の良い友達でいてほしいと思いました。

飼い猫ちゃりりん
118-105-111-182.area1a.commufa.jp

ぷりも様
>>>
【第三章 慎吾】
>「お母さん。美咲のノートを買いたいんだけど」
>「あたしに何の恨みがあるの。とっとと出て行け」

これは前も書いたと思うけど、母親の受け答えおかしいけど、そういう精神状態ということにしておきます。
>>>

精神を病んだ母親は〜 に変更。

>>>
>男子を始末し、女子の方に向き直ると、口から赤い泡が溢れていた。自分で舌を噛み切ったのだ。

武家の娘でもあるまいに舌を噛み切れるものかと。

からの

> 女は頭を振って命乞いをする。

舌を噛み切ったあとに?
>>>

恐怖のあまりってこと

>>>
> 昼食のとき。「おい。この肉を食ってくれよ」と、拓哉に声をかけられた。
>「いいのか?」【と慎吾】。

【】いる?
「いいのか?」と慎吾は眉をひそめる。とかならわかるけど。
>>>

いらないっすね。削除します。

>>>
> 慎吾がクスクスと笑うと、拓哉は声を【荒げた】。

セリフなら流すけど、物書きとしては「荒らげた(あららげた)」として欲しいところ。
>>>

その方がポピュラー?

>>>
>「なあ。ここを出たらどうする?」【と慎吾。】
>「二人でうどん屋でもしねえか。俺が麺の打ち方を教えてやるよ」【と拓哉。】

ここも。
【】いる?
>>>

いらないっす。削除します。

ぷりも
180-198-195-96.area1b.commufa.jp

飼い猫パイセン【re:憎しみの河】

>その方がポピュラー?
ポピュラーで判断するなら「荒げた」
誤用率のが高くなって許容されるけど、物書き的には気をつけたいところ。パイセンがそれでいいならいいんでない。

ぷりも
KD106146069146.au-net.ne.jp

飼い猫パイセン『憎しみの河』の感想⑤

【第四章 愚か者の所業】

例によって

と拓哉
と慎吾

冗長。

【第五章 惨劇の夜】

 慎吾と奈津子が長々と話している間に一切介入せずだまっている祖父母に違和感。

【第六章 ただひとつの道】

 MF教という宗教団体についてです。リアリティがありました。まるでパイセン自身がなんかカルト教にでも入信したことあるんじゃないかと思うくらいのリアリティだと思います。

つづく

ぷりも
180-198-195-96.area1b.commufa.jp

飼い猫パイセン『憎しみの河』の感想⑥

【第七章 悲しみの河】

> 慎吾は面会を拒んだから、奈津子は【密かに】刑務所に書簡を送り続け、愚かなことはやめて欲しいと訴えた。

刑務官経由で本人に届けてるのだから密かにではないのでは。


> 手紙を読む奈津子の手が震え、涙が頬を伝う。あの人を死なせない。死なせたくない。

大切に育ててくれた叔母夫婦と祖父母を殺されたのにそういう心理になるのはちょっと理解できない。


【第八章 綾香と麻弥】

> 奈津子には一人娘がいた。名を綾香(あやか)という。

なんでプロローグでふりがなつけていた綾香にまたふりがなつけてるのかね?
読めない名前でもあるまいに綾香だけ。


【第九章 踏みにじられた官能】

> 女は仮面を付けているが、同じクラスの女子だと声でわかる。

からの

>全員仮面を付けているが、同じクラスの男子だと声でわかる。

冗長



>「こんなことして大丈夫かな」と一人の男子。

からの

>「びびってんじゃねえよ」
>「じっとしてろ!」
>「こいつ、鼻いったな」
>「兄貴に車を回してもらうから、マットのカバーをはがせ」
>「なんで」
>「トランクが汚れるだろ」

ここまでくどいくらいに、と慎吾、と拓哉と書いていたのに誰が喋ってるのかワカラン。このセリフの中に女子生徒はいるのかね。




>『何があったの?』

からの

> 警察は容疑者を割り出すが、少年たちが麻弥を河に突き落とした証拠はない。

唐突。


順番前後するけど

>綾香の脳裏に復讐の二文字がよぎる。

と脳裏を覗く神視点なのに

>麻弥が絵に込めた思いを、綾香は痛感【していたに違いない。】

ここはなぜ推測なんですか。


> 綾香には身を投じる勇気がなかった。奈津子もそうだった。水に飛び込む勇気はなかった。それで良かったのだ。だから綾香と出会うことができたのだ。

ここも非常にわかりにくい。綾香は麻弥の件で飛び込み自殺する勇気はなかった。という話から、奈津子は飛び込み自殺する勇気がなかったから綾香と出会えて良かったねと話がすり替わっていて、何が言いたいのかワカラン。

つづく

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-159-37.msc.spmode.ne.jp

ぷりもさん。

>>>
>その方がポピュラー?
ポピュラーで判断するなら「荒げた」
誤用率のが高くなって許容されるけど、物書き的には気をつけたいところ。パイセンがそれでいいならいいんでない。
>>>

うーん。迷ったけど、「荒らげた」にします。自分の意思だから、ぷりもさんは気にしないでください。

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-159-37.msc.spmode.ne.jp

ぷりもさん。

>>>
飼い猫パイセン『憎しみの河』の感想⑤
【第四章 愚か者の所業】
例によって
と拓哉
と慎吾
冗長。
>>>

あっざーす。修正します。

ぷりも
p4295049-ipxg00q01tokaisakaetozai.aichi.ocn.ne.jp

飼い猫パイセン『憎しみの河』の感想⑦

>被害者遺族と死刑囚の面会は厳しく制限されているが、奈津子の背後には死刑に反対する団体が控えていた。拘置場も面倒は避けたいだろう。

ここ論理の流れがワケワカラン。
面会は厳しく制限にゃ→でも死刑反対団体がバックにいるにゃ→面会は避けたいにゃ→よし!面会許可にゃ!
なんていうんでしょうか、






は?





でした。



>だが、目の前の女を見ていると、なぜか【二十四年前】の少女の顔が、そのまま重なって見えた。

 当時の奈津子は十二歳だから現在三十六歳。綾香は今、中二なので十三、四歳。

順番前後しますが

> その女は拘置場の受付で申請書を書くと、サングラスを外して免許証を提示する。【係員は何度も顔を確認し】、女を面会室に案内する。

何度も確認してその年齢差を係員は気づかないものか。



>「知っているのよ。あなたが優しい人だって。美咲さんのことも、復讐のことも知っている。あなたの気持ち、よくわかるわ」

なぜ綾香がそれを知ってるんですか?
奈津子は慎吾とのやりとりを家族に知られないよう手紙を局留めにまでしていたのに、開封して読んだ後はそのへんにポイと置いてたんですか。





 

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-159-37.msc.spmode.ne.jp

ぷりもさん。

>>>
【第五章 惨劇の夜】
 慎吾と奈津子が長々と話している間に一切介入せずだまっている祖父母に違和感。
>>>

拓哉に納屋のロープで縛って口に手拭いを詰めてもらいます。

>>>
【第六章 ただひとつの道】

 MF教という宗教団体についてです。リアリティがありました。まるでパイセン自身がなんかカルト教にでも入信したことあるんじゃないかと思うくらいのリアリティだと思います。
>>>

猫はカルトが大嫌いです。

飼い猫ちゃりりん
115-37-235-121.area1a.commufa.jp

ぷりもさん。

>>>
飼い猫パイセン『憎しみの河』の感想⑥

【第七章 悲しみの河】

> 慎吾は面会を拒んだから、奈津子は【密かに】刑務所に書簡を送り続け、愚かなことはやめて欲しいと訴えた。

刑務官経由で本人に届けてるのだから密かにではないのでは。
>>>

「密かに」は削除。あとでわかるから。

>>>
> 手紙を読む奈津子の手が震え、涙が頬を伝う。あの人を死なせない。死なせたくない。

大切に育ててくれた叔母夫婦と祖父母を殺されたのにそういう心理になるのはちょっと理解できない。
>>>

自分の妹佳代子と、慎吾の妹、美咲が重なって見える描写を入れます

飼い猫ちゃりりん
115-37-235-121.area1a.commufa.jp

ぷりもさん。

>>>
> 綾香には身を投じる勇気がなかった。奈津子もそうだった。水に飛び込む勇気はなかった。それで良かったのだ。だから綾香と出会うことができたのだ。

ここも非常にわかりにくい。綾香は麻弥の件で飛び込み自殺する勇気はなかった。という話から、奈津子は飛び込み自殺する勇気がなかったから綾香と出会えて良かったねと話がすり替わっていて、何が言いたいのかワカラン。
>>>

修正

 綾香には渦中へ身を投じる勇気がなかった。奈津子もそうだった。水に飛び込む勇気がなかった。それで良かったのだ。だから綾香と出会うことができたのだ。

飼い猫ちゃりりん
115-37-235-121.area1a.commufa.jp

ぷりもさん。

>>>
【第八章 綾香と麻弥】

> 奈津子には一人娘がいた。名を綾香(あやか)という。

なんでプロローグでふりがなつけていた綾香にまたふりがなつけてるのかね?
読めない名前でもあるまいに綾香だけ。
>>>

読みがな削。

>>>
【第九章 踏みにじられた官能】

> 女は仮面を付けているが、同じクラスの女子だと声でわかる。

からの

>全員仮面を付けているが、同じクラスの男子だと声でわかる。

冗長

>「こんなことして大丈夫かな」と一人の男子。

からの

>「びびってんじゃねえよ」
>「じっとしてろ!」
>「こいつ、鼻いったな」
>「兄貴に車を回してもらうから、マットのカバーをはがせ」
>「なんで」
>「トランクが汚れるだろ」

ここまでくどいくらいに、と慎吾、と拓哉と書いていたのに誰が喋ってるのかワカラン。このセリフの中に女子生徒はいるのかね。
>>>

(修正文)

 女は仮面を付けているが、同じクラスの女子だと声でわかる。その女も美術部員で、綾香を心底憎んでいた。
「お願い。スケッチブックを返して」
「これがそんなに大切なの」
 女は麻弥の足元に投げ捨てる。麻弥が拾って倉庫から出ようとすると、仮面をつけた三人の男子が行く手をふさいだ。
 彼らは麻弥の腕をつかみ、床に押さえつける。泣き叫ぶ姿を、女が麻弥のスケッチブックに描く。
「こんなことして大丈夫かな」と一人の男子。
「びびってんじゃねえよ」
 抵抗する麻弥の姿は、ハイエナの餌食になる子羊のようだ。
「じっとしてろ!」
 鈍い音が響いた。
「こいつ、鼻いったな」
「車を回してもらうから、マットのカバーをはがしてよ」
「なんで」
「車が汚れるでしょ」

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-159-37.msc.spmode.ne.jp

ぷりもさん。

>>>
>「知っているのよ。あなたが優しい人だって。美咲さんのことも、復讐のことも知っている。あなたの気持ち、よくわかるわ」

なぜ綾香がそれを知ってるんですか?
奈津子は慎吾とのやりとりを家族に知られないよう手紙を局留めにまでしていたのに、開封して読んだ後はそのへんにポイと置いてたんですか。
>>>

修正

 第十章 憎しみの継承

 ある日、奈津子が慎吾からの手紙を読み返そうと箪笥の引き出しを開けようとしたら、鍵がかかっていなかった。彼女はかけ忘れたのだろうと思い、特に気にしなかった。

 麻弥の死からほどなくして慎吾の元に薄い封書が届く。封を開けると、一枚の便箋に、奈津子の筆跡で書かれていた。

ぷりも
KD106146057216.au-net.ne.jp

飼い猫パイセン『憎しみの河』の感想⑧

【第十一章 憎しみの決壊】

特に関係ないけど

>警視庁捜査一課の【稲垣】といいます

あ、吾郎じゃなくて稲垣だったか、以前読んだ時にSMAPのメンバーの名前が三人いるなと思ったのよね。


【最終章 憎しみの大河】

余白というにはやや読者が補完する労力が大きいように思うけどまぁいいかと総評です。


【総評】
殺人を犯したものは赦されるべきかそうでないかというテーマは文学的ではある。
なので設定が大雑把でも多少のことは目をつぶるのだけど、これまで書いたとおり気になる点が多すぎて物語よりそっちが気になる。
パイセンは割とその場の雰囲気で色々付け加えるから整合性が取れなくなることしばしば。
要は書きすぎて失敗する感じ。
んでも、前回に比べたら、割とあちこち修正されてるのでは。

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-159-37.msc.spmode.ne.jp

ぷりも様。
>>>
【第十一章 憎しみの決壊】

特に関係ないけど

>警視庁捜査一課の【稲垣】といいます

あ、吾郎じゃなくて稲垣だったか、以前読んだ時にSMAPのメンバーの名前が三人いるなと思ったのよね。
>>>

そこ一番気づいて欲しかったとこ! 笑

>>>
【最終章 憎しみの大河】

余白というにはやや読者が補完する労力が大きいように思うけどまぁいいかと総評です。
>>>

もっと書き込んだ方がいいか。最終章が一番短いってのも、なんだか変ですね。

>>>
【総評】
殺人を犯したものは赦されるべきかそうでないかというテーマは文学的ではある。
なので設定が大雑把でも多少のことは目をつぶるのだけど、これまで書いたとおり気になる点が多すぎて物語よりそっちが気になる。
パイセンは割とその場の雰囲気で色々付け加えるから整合性が取れなくなることしばしば。
要は書きすぎて失敗する感じ。
んでも、前回に比べたら、割とあちこち修正されてるのでは。
>>>

今回ぷりも様にご指摘いただいた点を丁寧に修正してみます。付け焼き刃じゃなくて。今26000字。30000字になりそうです。

ありがとうございました。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

テクニカルサポート

3,000字以内