ぬっ
Solar System: Prequel
かつて水と生命に溢れたこの星、チキュウは、今滅びようとしている。
この星の核の冷却時、核の液体中の重元素と軽元素が分離を起こし、安定した二層構造となった。その結果、対流が鈍化し、対流が生み出していた磁場は消滅した。磁場が防いでいた太陽風が大気を剥ぎ取り、酸素濃度、気温が低下。水が蒸発し宇宙に流出。海、川、植物が枯れた。
高緯度に居住していた人間は気温が比較的高い赤道付近に避難し難民化。社会問題となっている。
「ここも気温の低下が目立っている。紫外線の貫通も激しい。もうすぐ居住不能地域に指定されるだろう...。赤道の方に避難した方がいいんじゃないか?」
と同僚が言う。
「次のニュースをお伝えします。
DNAを凝縮したバクテリアが、緑星へ到着した模様です。
今日午後14時、宇宙技術開発社、星外移住研究会の合同開発会によりますと、DNAを凝縮したバクテリアが、緑星へ到着した模様です。緑星には安定した磁場や、地下に水がある可能性が予測されており、生命の播種に適していると専門家は指摘しています。えー研究報告会の中継へと繋ぎます。
えーバクテリアを載せた探査機が、『[太陽系第三惑星:緑星]へと突入したことを報告いたします』。えー内容としては.....」
「緑星は死の星だろ!緑星で生き残れるかも分からないのに?そんな金があるならこっちを支援してくれよ!お隣に希望を託してご満足ってか?」
「.....落ち着け。怒鳴っても何も変わらない。」
私は同僚を宥める
「だが!その金を支援に回せば何億人も救われる!」
「この星は滅ぶ。政府はこの星を捨てた。そして人類の存続に賭けたんだ。」
「ニュースをお伝えします。北極大陸で大規模な地震が発生しました。最大震度はM8.1。この地震による津波の心配はありません。また、この地震による熱で凍っていた地下水が湧き出している模様です。」
「....またか。最近地震が増えたな。このチキュウの最後の鼓動さ。」
「今更か...。もっと早く出てきてくれたら良かったのになぁ.....もっと....もっと早く...水が出てきてくれたら.....何十億人も...救えたのにな....」
「過ぎたことを言っても仕方ない。行くぞ。」
「14:32分ヌヴァ・ファート行きの飛行機にお乗りのお客様は、パスポートを装置にスキャンし、3番ゲートをお通りください。 また、グランドパスをお持ちの方は、グランドクラス専用の10番ゲートをお通り下さい。」
「グランドパスなんて手が出ねえよ...一般人なんて3万のエコノミーに立ちっぱなしが関の山だ。」
私は一枚のファイバーカードを出す
「それは...グランドパス!?600万はするだろ???」
「前職の退職金だ。」
「その歳で600万を軽く出せるほどの退職金...。前は何をしていたんだよ?」
「...」
「...まあ、言わなくても良いさ。...搭乗手続き宜しく。」
「ああ。行ってくる。」
「...行ったな。よし...何か前職の手掛かりはっと.....。...これは.....カード...社員証...?星外移住研究会...研究主任...!?星研の職員証じゃないか!...前職って星研だったのか...」
「...見たのか。」
「あ...」
「見るだろうと思っていたさ...。いずれ説明しなければと思っていたが...丁度良い機会だ、説明してやろう。そうだ。私は星研に居た。 緑星の緑は岩や危険物質じゃない。緑星には液体の水が大量にある。緑に見えるのは水の中にいる光合成をするバクテリアだ。」
かつて星外移住研究会に所属していた時、私達は移住に適している星を捜査していた。そして、重要な発見をした。
人類に適した惑星は存在しない。
この事実に職員は深く絶望していた。
移住計画の打ち切り間際、死の星と言われた緑星に原始生命体を観測したのだ。
移住計画は播種計画へと移行し、過酷な環境にも耐えられる特殊なバクテリアの開発に着手した。
それと同時に国家は特殊シールドを用いた地下都市の建設に着手した。
地下都市は公務員、官僚を中心とした政府関係者、選定された一般市民を対象に建設される。
そこには目の前の公務員、同僚も含まれる。
バクテリアの開発が完了したと同時に私は星研を退いた
「光合成をするバクテリアだって?生命がいるって事か?それなら緑星に移住すればいいじゃないか!」
「緑星はまだ到底人間が住める環境ではない」
「数十億年かけて、緑星は生命の揺籠になる。
「お前...それ国家機密じゃないのか?一般人に簡単に話して良いのか?」
「地下都市の移住者にはいずれすべて説明することになっている。...少し早いが、いい機会だ。」
「続きは機内で話そう。グランドクラスは私達二人だけだ。」
「間も無く離陸いたします。当旅客機は、ヌヴァ・ファート市行きです。到着時刻は......」
「お前は地下都市に将来的に移住する事になっている。」
「地下都市?」
「政府が建設している巨大シェルターだ。勿論、お前のチケットもあるぞ。故郷での幼少期からの仲だしな。....南の故郷は赤く錆びたがな。」
設定資料
主人公:公務員、国家科学者。冷淡、冷静、合理主義。星研に影響力を持つ
同僚:公務員、元警官。感情的、正義感が強い
緑星:太陽系第三惑星
チキュウ:太陽系第四惑星
執筆の狙い
自分の文才を確かめたく、好きなSFで書きました。
テーマは「今ある命か、種の未来か」です。
誤字脱字等があるかもしれません。
科学知識は要約されていたり、間違っているかもしれません。