とろい
ナイフを鞄に詰めて、グループホームのドアを開けた。雲一つない青色の空の下、自宅に向かう。
僕がグループホームに入居することになったのは、両親がもうお前の面倒を見るのが、負担と言ったせいだ。
グループホームに入居する前、両親との車の中で、吐き捨てるように、僕は母に言う。
「原さんとはもう付き合わないでほしい」
母は、絵画教室で原さんと親しくしている。原さんの、子供、聖に三十数年前、僕は中学の頃、犯罪を犯されていた。僕の目の前での器物破損罪だ。
「いじめられるのは、とろいからだ。京子と誰が交際しようと、お前には無関係だ」
僕は拳を握りしめ、ルームミラーに映る父の顔を睨んだ。
それ以上、会話は進まなかった。
グループホームに入居してから、1日しか経っていないけれど、ここでは暖かさを感じていた。
でも、沸々と血液が沸騰しているのを感じる。
実家の玄関のドアを鍵を開けて回し、ドアを叩きつけるように開いた。
リビングに両親がいて、僕の顔を見て、びっくりした表情を浮かべていた。
「グループホームに放り込んだだろ、戻ってくるな」
父が、目尻をあげて怒鳴る。
「父さん言ったよね? いじめられるのは、いじめられるやつが悪いって」
「それがどうした!」
僕は、バッグからナイフを取り出して、置物のように、静観している母の喉元に、ナイフを突き刺し、抜く。
赤いものが、宙に吹き出す。
「殺されるのは、とろいんだよ」
そう言って、父にナイフを向けた。
「待て」
とろいやつの言うことは聞かない。
僕は父を滅多刺ししてやった。
執筆の狙い
皮肉が効いているでしょうか? 遠慮なく様々な意見お待ちしています。