作家でごはん!鍛練場
めめくらげ

邂逅(仮題)

 夜の散歩が趣味だ。
 午後九時過ぎに家を出る。見上げる空は紫色に濁っている。足音が響く。猫の目が光る。昼間とはまったく違う世界を一人で歩いていると、根拠のない全能感がわき上がってくる。たとえば目からビームが発射できそうな気がする。
 人通りの少ない住宅街をぶらぶらと巡り、ぼうっと光を放つ自動販売機でミネラルウォーターを買い、帰宅を急ぐサラリーマンとすれ違い、桜池神社の参道を往復し、もみじ公園の木製ベンチに寝転んで人工衛星を探し、軽いストレッチをして家に向かう。
 誰にも迷惑をかけず、健康的で、実に健全な趣味だと思っている。
 いや、正確には思っていた。
 二日前のことだった。九月初旬の月齢十二の夜、ショルダーバッグに双眼鏡を忍ばせて家を出た。いつものコースをいつものペースで歩き、いつものようにもみじ公園の敷地に入ろうとしたところでパトロール中の警察官二人に声をかけられた。
「こんな時間に何をしているの」
「散歩です」
「散歩? もう夜だよ」
「夜の散歩が趣味なんです」
 警察官の目つきが変わった。
「中学生?」
「高二です」
「ほう高校生ね。どこの高校?」
「桜ヶ丘高校です」
「名前と住所を教えてもらえるかな」
 際限なく続く質問にうんざりし、「本当は何が聞きたいんですか」と問い返したかったが、ぐっと我慢して素直に名前と住所を教える。
「カバンの中を見せてもらいたいんだけど、いいかな」
「えっ、カバンの中をですか」
「お願いします」
 命令口調ではなく、あくまでもお願いモードという体裁だが、ここで断ると面倒なことになるだろうことは小学生にだってわかる。でも断りたかった。タバコやナイフが入っているわけではないけれど、カバンの中というのはプライベートな空間で、たとえ空っぽであっても気前よく他人に見せるものではないと思うのだ。どうしようか。断るとすればどんな理由とするのがいいのか。落ちついて考えれば妙案が浮かぶかもしれないが、二人の警察官にじっと見つめられているという状況では、あせるばかりで頭が回らない。
「どうしました。見られるとまずいものでも入ってるの?」
 駄目押しの〈見せない=不審物所持〉という論理だ。これで断るという選択肢は封じられた。ぼくはわざともたつきながらショルダーバッグのファスナーを開き、警察官の目の前に、プライベートな空間をぐいっと突き出してやった。
「ほう、双眼鏡とはねえ」
 二人の警察官は意味ありげに目配せをした。
「これで何を見るの?」
「月を観ます」
「月?」
 ぼくは南南東の空を指さした。
「あのマンションの右上に出ています」
 二人の警察官は同時に空を見上げた。
「今夜は月齢十二なんです」
「月齢十二? それと双眼鏡とはどういう関係があるの」
「この月齢のときのクレーターが一番きれいなんです」
「ふうん」
 反応が鈍い。たぶん、伝わらなかった。
「この双眼鏡、ちょっと借りてもいいかな」
「どうぞ」
 背の高い方の警察官がショルダーバッグから双眼鏡を取り出し顔の前に掲げた。
「なるほどな。これはよく見えるわ」
「間違いないか」
「ええ、ばっちりですね」
 二人の警察官は顔を見合わせ、うなずき合った。
 よかった。これでようやく解放される。
 ぼくは、強張っていた肩の力を抜き、少し青みがかった月を見上げた。
「ここでは長話もできないので、交番まで来てもらえますか」
「は?」
 聞き間違いだと思った。すべての質問に素直に答え、不快な要求にも誠実な対応をしたぼくに、これ以上何の話があるというのか。
「これはすごく性能がいい双眼鏡だね。あのマンションの最上階の部屋に立派なシャンデリアがあるのがくっきり見えたよ。うん、こういうものを持っていると、他にもいろいろ見てみたくなるんだろうな」
「ぼくがのぞきをすると言うんですか」
「するの?」
「しません。さっきも言いましたけど、それは月を観るために持ってきたんです」
「でもねえ、月なら自宅の窓からでも見えるでしょ。わざわざこんな公園にまで出かけてくる必要はあるのかな」
「だから散歩なんです。月を観るのは散歩の中でのルーティンみたいなもので――」
「その辺のことを交番でくわしく聞かせてほしいと、そう言ってるんですよ」
 そうか。こういう理屈でくるのか。やっぱりショルダーバッグの中を見せたのは失敗だった。でもあの流れで断るのは無理だった。そして今も、交番行きを拒むことはできそうにない。交番でも同じようなことをしつこく聞かれ、らちが明かず、親が呼ばれ、下手をしたら学校にも連絡が行って――
「どうかしましたか」
 背後から男の声がした。
 公園の入り口にある公衆トイレの前に、すらりとした体形の男性がこちらの様子をうかがうようにして立っていた。

「あなたは?」
 背の高い方の警察官が警戒しながら問いかけた。
 男性は無言のまま一歩、二歩と近づいて、ぐいっと顔を突き出した。
 短く切りそろえられた口髭がまず目に入った。よく見ると少し白いものが混じっているが肌つやは良い。四十代前半から半ばぐらいだろうか。さらりとした清潔感のある髪型、優しげな目、すっと通った鼻筋など、どれもが品の良さを漂わせていた。
「お、やっぱり守山君じゃないか。どうしたの、迷子になってお巡りさんに帰り道をたずねてるのかい」
 誰だこの人は。なぜぼくの名前を知ってるんだ。
「それとも家出少年に間違われたのかな。今は散歩の途中です。いつもここで星や月を観てるんですって、ちゃんと説明したかい」
「ちょっと、あなた、質問に答えなさい」
「ああ、これは失礼しました。私は東堂という者です。学習塾の講師をやっています」
「塾の先生ですか。じゃあ、この――」
「ええ、守山君は桜ヶ丘高校の生徒です」
「それは先ほど聞きましたがね」
「守山君の趣味は夜の散歩なんですよ。ああ、そうか、不審者と間違われたんですね。そりゃあ、双眼鏡を持って夜の公園をうろついていたら怪しまれても仕方ないなあ。どうもご迷惑をおかけしました。守山君の身元については私が保証します。あ、これ、名刺です」
 名刺を受け取った警察官は、「東堂塾ですか。ああ、あの駅前のビルに入ってるところか」とつぶやきながら、もう一人の警察官に名刺を回した。
「わかりました。そういうことでしたら問題ないでしょう。でも、高校生が夜遅くに外をうろつくのは控えた方がいいですな。面倒事に巻き込まれる可能性がありますからね」
「おっしゃるとおりです。以後気をつけるように、私からも注意しておきます。いつもごくろうさまです」
「先生もお疲れさまです」
 どうやら事態は収拾に向かっているようで、警察官は撤収の体勢に入っている。
 ちょっと待ってほしい。ぼくはこの男性を知らない。なのにこの男性は一方的にぼくのことを知っているみたいだ。名前だけでなく、通っている高校、さらには個人的な趣味まで。でも、それっておかしいだろう。やばいだろう。お巡りさんたち、この得体の知れない男性と二人きりにしないでくれ。
 という願いもむなしく、二人の警察官は、「それでは、あとはよろしく」と言い残して去っていった。
 どうする。逃げるか?
 ぼくはつま先に体重をかけ、いつでも走り出せる体勢をとった。
「では、私も失礼しますね」
 男性は軽く手を上げると、くるりと背を向け、警察官たちの去った方角とは反対の方へと歩き出した。
 え?
 関わりを持たれることを怖れてはいたが、かといってまったく何もないままサヨナラでは肩すかし感が半端ない。いやそれよりも、ぼくのプライベートな情報が見ず知らずの男性に知られており、さらにはその背景がわからずじまいとなってしまうというのは気持ちが悪い。
 ぼくは胸に手を当て息を整えた。
「あの、すいません」
 男性は声をかけられることを予測していたかのようにぴたりと立ち止まり、回れ右の動きで振り返った。
「はい、なんでしょうか」
 男性は小さく首をかしげた。
「えっとですね、もしぼくが忘れてしまっていたらごめんなさい。これまでにどこかでお会いしたことがありましたか」
「初対面ですよ。でも、最近はこのあたりをよくぶらついていますから、どこかですれ違ったことぐらいはあるかもしれませんね」
 そう言ってから、男性は、「ああ、そうか」と胸の前で手を打った。
「頼まれもしていないのに横から口を出して、しかも馴れ馴れしい口調で話しかけて――もしかすると、よけいなことをしてしまいましたか」
「あ、いえ、そのことについては助かりました。ありがとうございます」
「なら、よかった」
「差し支えなければ教えてほしいんですが、ぼくの名前とか、通ってる学校とか、夜の散歩のこととか、どうしてご存知なんですか」
 男性は、「先ほどのお巡りさんには内緒にしておいてくださいよ」と言って、片目をつぶった。
「家に帰る途中だったんですが、ここから少し先の交差点にさしかかったあたりで急におなかが痛くなりましてね。この公園に公衆トイレがあったことを思い出して駆け込んだんです。間一髪のタイミングでした。個室に入ってズボンを下ろし、ほっと一息ついたところで聞こえてきたんですよ。お巡りさんとあなたとのやりとりが」
 たしかに公衆トイレはすぐそこにある。
 この距離なら聞こえたかも――いや、聞こえたんだ。
「悪いかなと思いながらも、つい聞き耳を立ててしまいました。夜の公園ってとても静かなんですね。細かいところまで全部聞こえました。あのお巡りさんたちもそれが仕事ですから、夜遅くに見かけた未成年者に声をかけること自体は問題ないと思います。でも、話の持って行き方がちょっと強引でしたね。あれだけのやりとりをすれば、守山さんが特に問題のない高校生だってことはわかったでしょうに。それで、よけいなお節介かなとは思いましたが、口を挟ませてもらいました」
 学校名、氏名、住所、趣味――すべてはぼく自身の口から出た情報だったんだ。 
「そうだったんですか。でも、客観的に見れば、ぼくの行動はたしかにあやしいですよね。警察官とのやりとりを聞いて、不審者だとは思わなかったんですか」
 男性はにこりと笑って南南東の空を見上げた。
「あれが月齢十二で、双眼鏡で観るとクレーターがきれいだなんて、とっさに思いつく説明ではありません」
 そうか、この人には伝わっていたんだ。
「本当にきれいなんですよ。ちょっと観てみますか」
 男性の返事を待たずに双眼鏡を手渡した。
「ほほう、思った以上に立体的に見えるんですね。まさに空に浮かんでいるって感じがします」
「そうなんです。ぽっかりって感じがいいんです。三日月だと照らされている部分が狭くて、満月に近いとのっぺりしてクレーターの凹凸があまり楽しめません。球体であることが実感できて、クレーターの美しさも堪能できるのが月齢十二の月なんです。十四番目よりも十二番目の月が好きって歌があってもいいと思っています」
「ユーミンですね。若いのによくご存じだ」と言って、男性は薄く笑った。
「ユーミンもいいけど、スピッツのもいいですよ」
「ん?」
 男性は首をかしげ、ぼくは肩をすくめた。微妙な空気。そしてまあいいかという感じで会話はフェードアウトした。
「双眼鏡をお返しします。では、そろそろ失礼しますね」
「あ、はい。長々と引き留めてしまってすいません」
 男性は、「おやすみなさい」と告げて、外灯の向こうの暗闇に溶け込んでいった。
 おやすみなさい。
 ショルダーバッグに双眼鏡をしまい、最後にもう一度空を見上げた。
 月は薄雲の向こうに隠れ、滲んだ輪郭が白く光っていた。

   ◇

 学校からの帰り道、母から頼まれた木綿豆腐を買うために、駅前の商店街にある小さなスーパーに立ち寄った。五時を過ぎて値引きシールが貼られ始めたらしく、生鮮品と惣菜売り場は年配の人たちで賑わっていた。明日が賞味期限の木綿豆腐は三十円引きになっている。少し迷ってそれを買った。
 店を出ると、淡い夕闇が道行く人を景色の中に溶かし込み、レトロな映画のワンシーンを見ているような感じがした。夜もいいが夕暮れもいい。少し遠回りして帰ろう。右や左に目をやりながら駅前通りをのんびりと歩く。古びた雑居ビルの前にさしかかり、ふと顔を上げると、それを待っていたかのようなタイミングで二階の窓に明かりが灯った。

 東 堂 塾

 それは三枚の窓ガラスに貼られた紙に一文字ずつ、黒々とした明朝体で印刷されていた。頭の中で「とうどうじゅく」と声に出してみる。月齢十二の月と品の良い男性の顔が浮かんだ。そうだ、あのとき名刺を受け取った警察官が「東堂塾ですか」と言っていた。
 ここだったのか。
 あらためて窓を見上げた。ちらりと人影が動いた。
 ちょうどいいじゃないか。お礼をかねて顔を出してみよう。
 いやまてよ、もう塾の授業が始まってるかもしれないな。やっぱりやめておこうか、と迷いつつも、足は雑居ビルの方へと向いていた。狭い階段を上った先に薄暗い廊下があり、一番手前のドアに、「東堂塾」と書かれた白いプレートが掲げられていた。

「どうぞ、開いてますよ」
 三つめのノックにかぶせるように中から声が返ってきた。ほぼ同時に足音が聞こえ、内側にドアが開かれた。
「やあいらっしゃい。入塾希望ですか?」
 細身で色白の男性が、愛嬌のある笑みを浮かべて立っていた。
 違う。髭がない。
 あの夜の口髭の男性が迎えてくれるものだと思い込んでいたので、一瞬言葉に詰まってしまった。
「あ、そうではなくて、先日こちらの先生にお世話になった者です。近くを通りかかったので、ご挨拶をと思って」
「ほう。先日といいますと、いつのことでしょう」
「二日前の火曜日の夜です」
「お世話とはどのような」
「あの、こちらの先生はおられないのですか」
「いますよ。ここに」
 男性は自分の顔を指さした。
「え?」「ん?」
 内側に開かれたドアの上部にあるプレートを確認する。「東堂塾」で間違いない。駅前のビルという条件も満たしている。ということは、あの口髭の男性は塾長で、このくせ毛の男性は講師の一人ということになるのだろうか。
「すいません、ちゃんと説明していませんでした。ぼくがお世話になったのは東堂先生の方なんです」
「東堂ですか」
 なんとなくだが会話がかみ合っていないのはわかる。
「東堂先生、今日はおられないんでしょうか」
「いますよ。ボクが東堂です」
 くせ毛の男性は自分の顔を指さした。
 念のため、もう一度よく見てみる。三十歳前後だろうか。髪だけでなく眉も濃い。まつげも長いし目は切れ長で深い二重だ。すっと通った鼻筋や頬からあごにかけてのシャープな輪郭は先日の男性と似ているような気がするが、髪の質が違っているし、目の前の男性の方が明らかに若い。
 間違いようがない。二日前の夜に出会った口髭の男性とは別人だ。
「ややこしい話になりそうですか」
「あ、いえ、ぼくの勘違いだったみたいです。すいません」
「あなたが二日前にお世話になった男性が東堂と名乗ったのですね」
「はい。『とうどう』と聞こえました」
「そしてあなたがここを訪ねてこられたということは、その男性はここの住所もしくはこの塾のこともあなたに教えたのですね」
 正確には、ぼくにではなく警察官に教えたのだが、別人になりすましていたということには変わりはない。その嘘にはどんな意味があるのか。なりすまされた当の本人だって気になるところだろう。
「えっと、警察も関わっている話なので、最初からちゃんと説明した方がいいですよね」
「おやおや、ここで立ち話という感じじゃなくなってきましたね。生徒たちが来るまでまだ少し時間があります。とりあえずお入りください」
 くせ毛の男性――本物の東堂さんに招かれて中に入ると、そこは長机が整然と並ぶ昔ながらの学習塾の教室だった。

「トイレの水を流してないなあ」
「え?」
「今の話の中に、公衆トイレの水を流す音のことが出てきませんでしたが、どうです、あなたは音を聞きましたか?」
 どうだったか。今一度、もみじ公園についたときからのあれこれを思い起こしてみる。
「聞いてないですね」
「ということは、おなかが痛くなって公衆トイレに駆け込んだというのが嘘ということになりますね。いや、嘘じゃないと困ります。使用後に水を流さないなんて、そんなのだめでしょう。想像もしたくない」
「でも、水を流したら、トイレの中で警察官とのやりとりを聞いていたってことがばれてしまいませんか。ぼくのことを前から知っていることにするためには、それはちょっとまずいだろうって考えて、とりあえず流さずに出てきた。水は帰る前に流せばいいやって」
「帰る前に流してましたか」
「――流してないですね」
「おなかが痛くてトイレにこもっているときに、あなたたちのやりとりを聞いたというのが本当であれば、音なんか気にせずに水を流して、堂々とトイレから登場すればいいのです。聞き覚えのある声が耳に入ったので、とかなんとか言いながらね。あなたの塾の先生だという設定はいかにもありそうですから、警察官もそこに関しては疑いませんよ」
「いろいろ納得ですが、結局、何が問題なんでしょうか」
「警察官に対して、自分は東堂だと名乗った嘘は、あなたを助けるために必要だったのでまあよしとしましょう。でもね、警察官が立ち去った後のあなたへの説明の中で、腹痛でトイレに駆け込んだ云々という嘘をつく必要性がね」
 東堂さんは天井を見上げ、眉をひそめた。
「とにかくその男性はあやしいということです」
 あやしいのはわかっている。普通の人は他人になりすましたりはしない。
「ちなみにその男性の容姿はどんな感じでしたか。ボクに多少は似てるのですか」
「こうしてお話をしていると、雰囲気は似ているような気もしますが、髪の質とかは違ってますし、年齢も少し上だったと思います。あと、わかりやすい特徴としては、鼻の下に短い口髭を生やしていました。全体の雰囲気からは、そうですね、紳士っていう表現がしっくりきます」
 それまで饒舌だった東堂さんが、「口髭を生やした紳士ねえ」と言ったきり黙り込んでしまった。
 唐突に生まれた沈黙の時間に、どうしたものかと周囲を見渡し、そういえばここは塾の教室だったということを思い出した。
「まあ、いいでしょう。結局、誰も不利益はこうむっていないようですし」
「いいんですか、名刺が勝手に使われたみたいですけど」
「ボクの名刺はいろんな人に渡してますし、何度か落としたこともあるので、どこかの誰かが持っていても不思議ではありません。書いてあるのはボクの名前と塾の住所と電話番号だけですから、ボクに連絡を取るため以外の利用価値はないものです。本来なら身分証にもなりません。でもその男性はうまく使ったようですね。結果的に、あなたのピンチを救うことになったわけですから、有効活用してもらったということになるのかな」
 物は考えようだ。東堂さんがそれでいいと言うなら、ぼくがこれ以上こだわる必要はないのだろう。

「で、夜の散歩はどうなりました」
「どうなったとは?」
「今回のことがあって、もうやめてしまったとか」
「やめた方がいいでしょうか」
「夜の散歩、いいじゃないですか。嫌気がさしたのでなければやめる必要はないですよ。ただし――」
「ただし?」
「また不審者だと疑われる可能性はありますね」
「ですね」
「では、こうしましょう。散歩のときに持ち歩くカバンの中に、数学の問題集とノートを入れておく。失礼ながらあなたは少し幼く見えますから、生徒手帳もあった方がいいでしょう。それだけの準備をして、家を出たらまずこの塾に立ち寄る。ああ、入塾しろと言ってるのではありません。うちは小中学生が対象ですから入りたいと言われても困るのです。だから本当に立ち寄るだけです。ちょっと顔を出すでもいいし、なんならこのビルの前を通りかかるでもかまいません。で、あとはこれまで通り、あなたの好きなように散歩をする」
「すると、どうなりますか」
「こんな時間に何をしているのかと聞かれたら、塾からの帰りですと答えることができます。公園のベンチに座っているときなら、帰宅の途中にちょっと息抜きをしていましたとでも付け加えればいいでしょう。あなたは高校生ですし、夜の十時ぐらいまでなら十分通用するはずです。この対応をしておけば、カバンの中の確認を求められることはまずないと思いますが、もし見られても大丈夫という安心感があなたの言動をより自然なものにしてくれます。実際のところ、万が一見られても問題ありませんしね」
 まわりくどいやり方だなと思ったが、よく考えてみれば、これまでの散歩のルートを少し変更するだけで実行できる。
「塾からの帰り――嘘ではないのか」
「ええ、嘘はだめです。ばれたとき、それ以外の嘘ではない言動まで疑われてしまいます」
 嘘ではないがごまかしではあるように思う。嘘はだめでごまかしはOKなのか。その辺の線引きは人によって違うだろう。いずれにしても、誰かに迷惑をかけるわけではないし――
「こんばんはー」
 キンキンした声にふりむくと、ランドセルを背負った男の子がドアを押し開け入ってきた。
「やあ、ショーヘイくんか。今日は早いね」
「終わりの会が教頭先生だったからすぐに終わったんだ」
「山下先生はお休みだったのかい」
「ぎっくり腰だって」
 ショーヘイくんは机の上にランドセルを置くと、ぼくに向かって、「中学生ですか」と聞いた。
「高校生だよ」
「塾に入るんですか」
「この塾は中学生までしか生徒になれないんだって」
「じゃあ何者?」
 東堂さんはにやにやするばかりでフォローする気はないようだ。そうするうちに、ほかの生徒たちも次々にやってきて、「誰?」「新入り?」「あ、西川先生の知り合いとか」「英才アカデミーのスパイでしょ」「変な服」「値引きの豆腐を持ってるぞ」と言いたい放題の小学生たちに囲まれてしまった。
「いいんですか、授業を始めなくても」
「そうだね。よし、そろそろやるか」
 東堂さんが席を立ち、教室の前に向かって歩き出すと、小学生たちは自分の席へと戻っていった。
「では、ぼくはこれで失礼します」
「またいつでも顔を出してください」
 小学生たちの乱入で謎の口髭紳士の件はうやむやになってしまったが、自分の名前を騙られた東堂さん自身はあまり気にしていないようだ。モヤモヤは残るが、まあいいということにしよう。
 ぼくは東堂さんに軽く会釈をして、後ろのドアからそっと教室を出た。

邂逅(仮題)

執筆の狙い

作者 めめくらげ
59x159x122x24.ap59.ftth.ucom.ne.jp

ライトミステリー(長編)のプロローグにあたる部分です。長編の導入パートとしての役割は果たせているでしょうか。
※タイトルは今回の掲載にあたって仮につけたものです。

コメント

えんがわ
M014008022192.v4.enabler.ne.jp

惹き込まれる導入でした。

月を観に散歩する、というのはありふれているようで、月齢12の時の月のクーデターが美しいから、というディテールを差し込むことで、説得力がぐんと増しました。

警察の職務質問からの流れはある種緊張感が立ちこみ、ぐいぐい読ませます。

一つ気になったのは、物語が都合よく動きすぎているような……偽東堂さんの介入も偶然にしては出来過ぎだし、学習塾のリアル東堂さんも物分かりの良い大人すぎるような。警察の介入以外にちょっとした理不尽。深夜まで散歩させるのを良しとする家族や、その深夜に散歩してしまう主人公の孤独感など。が匂い立つと面白くなるかなと思いました。
もちろんこれはまだ冒頭なので、「これから」や「伏線」なのかもしれませんが。
あまり都合よく物語が展開し過ぎるとどうかなーと思った次第です。

それは置いといて、情景、シーン、会話している空気が浮かぶ、良い作品だと思います。
完成を願って。それでは。

山田
180-199-36-223.area58a.commufa.jp

めめくらげ様

『邂逅(仮題)』拝読しました。
コメントをいただいたご縁で少し覗いてみるつもりだったのですが、思いのほか引き込まれてしまい、気づけば最後まで一気に読んでしまいました!

実は「執筆の狙い」(ライトミステリーであること)を読まずに本文から読み始めてしまったため、双眼鏡を貸したあたりで「警察とほのぼの月を愛でる展開になるのかな」と勝手に妄想して読んでいました(笑)。思いのほか警察が強引に仕事をしてきてハラハラしましたが、そこからの展開がとても面白かったです。

現場の既知情報だけから見事にアドリブをこなす偽東堂さんはすごいですし、「名刺にそんな使い方が!」と驚かされました。後半の、本物の東堂さんと塾の子たちとのわちゃわちゃしたふれあいも楽しくて好きです。

普段ミステリは全然読まず、こういったコメントをするのも初めてなため、大したことが言えず申し訳ないのですが、純粋に物語としてとても楽しませていただきました。

あ、しいて最後に一つだけ気になった点(?)を挙げるとすれば、冒頭部分、最初は「女の子のモノローグかな?」と誤読してしまいました。途中で「ぼく」という一人称や男子高生らしい振る舞いが出てくるまで、勝手に物静かな女子を想像して読んでいたので、そこだけ少し脳内修正が入りました。

続きが気になる作品です。長編の執筆、応援しております!

飼い猫ちゃりりん
sp1-75-227-99.msc.spmode.ne.jp

めめくらげ様。邂逅(仮題)を読みました。

まず文章が丁寧で読みやすい。ただ、一部に高校二年生らしくない語り口があったような。

> ちょうどいいじゃないか。お礼をかねて顔を出してみよう。

飼い猫なら

> ちょうどいい。お礼をかねて顔を出してみよう。

と書きます。

>長編の導入パートとしての役割は果たせているでしょうか。

はい。話の展開のさせ方も面白い。

あと非常に細かいことですが、

>いつものコースをいつものペースで歩き、いつものようにもみじ公園の敷地に入ろうとしたところでパトロール中の警察官二人に声をかけられた。

パトロール中と断定するのは少し変だし、損。警察官はパトロールだけが仕事ではない。近所で事件があって現場確認をしていたかも。とにかくパトロール中は削除した方が謎が多くなって面白い。

実は一番最初の文章で少しつまずきました。

> 夜の散歩が趣味だ。

文法は問題ない。でも飼い猫なら、

「趣味は夜の散歩だ。」
または
「僕の趣味は夜の散歩だ。」

と書きます。ホメホメクラブの人たちは、「また飼い猫がイチャモンを付けている」と言うでしょうけど。
大きな違いがある。まあ、めめくらげ様なら説明の必要はないでしょう。

めめくらげ
59x159x122x24.ap59.ftth.ucom.ne.jp

えんがわ様
感想ありがとうございます。
自分なりに、気になる部分はいくつかあったのですが、物語が都合よく動きすぎているという自覚は皆無でした。
ですが、そう受け止められるような書きぶりとなった原因には思い当たることがあります。
本作は、このプロローグから書き始めたのではなく、メインとなるエピソードをある程度書き進め、キャラクターの言動や関係性が固まってきた時点で、主要登場人物の紹介が必要だなと思って書き足したものなのです。なので、この後の展開にスムーズに繋がるようにというのを意識して書いています。また、ご推察の通り、伏線となる台詞や展開もいくつかちりばめています。
そのあたりのさじ加減によって、都合良く――という印象に繋がったのかもしれません。
たんにご都合主義的作風なだけかも知れませんが。

めめくらげ
59x159x122x24.ap59.ftth.ucom.ne.jp

山田様
感想ありがとうございます。
本作は物語冒頭の登場人物紹介パートとして書いたものなので、かなり読み進めるまで主人公の性別がはっきりしなかったというのはちょっとまずいかもです。
作者の頭の中では当然のように高二男子が散歩しているので、あえて<男子高校生>と明記するようなことはしていなかったのです。
では、どこまで読めば男だと明確にわかるのかなと思って読み返してみたのですが、最近、「ぼく」という一人称を使う女性もいるし、女性を「君」付けで呼ぶこともなくはないので……どこにも性別を判別する情報が書かれていないということに気づきました。
だからといって、<ぼくの名前は守山。桜丘高校に通う二年生男子だ。>なんていうのは絶対にやりたくないし――悩ましいところです。
ちょっと考えてみて良い案が浮かばなければ、まあいいかってことで、このままにしておきます。

めめくらげ
59x159x122x24.ap59.ftth.ucom.ne.jp

飼い猫ちゃりりん様
感想ありがとうございます。
自分ならこう書くという文例を読ませてもらって思ったのは、人それぞれ感性の違いがあって、だからこそ短い文章の一つにも個性が出るんだな、ということです。
特に<夜の散歩が趣味だ。>に関するコメントで、その違いを強く感じました。
実はこの冒頭の一文、今回掲載した文章の中で、私が一番気に入っているフレーズなのです。
飼い猫ちゃりりん様に挙げてもらった<僕の趣味は夜の散歩だ。>は、日本語として一番整っており、外国人向けに日本語をレクチャーするならこれでしょうという教科書的な文例だと思います。
>実は一番最初の文章で少しつまずきました。
ということは、悪い意味ではありますが、印象に残ったということなのだと思うのです。私的には、冒頭の一文で「ん?」と思ってもらえたなら、ある意味成功なのです。(負け惜しみではなく)
日本語として多少ぎこちなくても、このエピソードの書き出しはやっぱりこれだよなと思っています。

あと、パトロールの件ですが、当該段落の冒頭に<二日前のことだった。>と書いています。
つまり、この後に語られるエピソードは主人公の回想にあたるので、語り始めた時点では、警察官二人はパトロール中だったこが判明しているという設定となっています。

平山文人
zaq3d2eff12.rev.zaq.ne.jp

めめくらげさん、作品を拝読させていただきました。

まず、文章はよく書けていると感じます。過不足なく説明がなされていて、読みやすいです。

導入部分という事で、「フック、物語の引き」を意識して読みましたが、偽藤堂は一体何者で、なぜ主人公の守山くんの
個人情報などを知っていたのか、なぜ助けたのか、など気になるポイントがあるので、続きを読みたい、という意味で
フックもしっかり書けていると思います。導入として成功していると思います。

それで、他の方からも指摘を受けて、ご自分で説明されていますが、本文を先にある程度書き終えた後にここの部分を書いたということですが、そういう作りのせいもあるかもしれませんが、私個人は本物の藤堂がちょっとご都合的に、事態の把握、理解が早いかな、と感じました。水を流す音とか、初対面の高校生の主張から連想するかな、と。この辺り改稿するといいかもしれません。

視点について思ったことがありまして、ミステリーにおいて「一人称」で書くことは、読者が守山くんと同じ目線で悩み、驚きを共有できる大きな強みがありますよね(もしや、守山くん自身の語りに仕掛けがある『信頼できない語り手』のような展開もあるのだろうか、などと妄想が膨らんでしまいます!)

一方で、守山くんの知らない裏の動きを描くために、今後もし情報の開示に悩まれることがあれば、カメラを少し引いた「三人称主人公視点」という選択肢もあるかもしれません。

最終的にどのような結末(あるいは驚き)を用意されているかによって、どちらの視点が生きるかが変わってくるかと思います。この「邂逅」がどんな事件へと繋がっていくのか、物語の着地点がとても楽しみになります。

それではこれからもお互いに頑張りましょう。

めめくらげ
59x159x122x24.ap59.ftth.ucom.ne.jp

平山文人様
感想ありがとうございます。

ミステリーにおける一人称の扱いについては、言及していただいたように、信頼できる語り手かどうかというのが重要なポイントになりますが、本作における主人公は完全に信頼できる語り手として設定しています。なので読者さんには「ぼく:守山」と同じ目線で物語の中に入り込んでいただき、「ぼく」と一緒にだまされてもらいたいと思っています。なので、できるだけ癖のない(無難で無個性な)、巻き込まれ型のキャラクター設定となっています。その対極として設定しているのが東堂さんで、皮肉屋で、頭の回転が早く、冷静沈着な探偵役という、ライトミステリーでは良くあるタイプのキャラクターとしています。今回のプロローグ部分は、この二人のキャラクター紹介のイントロぐらいになればいいなと思って書きました。

ちなみに、この後の展開でも、基本は主人公一人称視点で話は進むのですが、話中のいくつかのエピソードは、別人物の一人称視点や、三人称やや神視点で話が進行するところもあります。それぞれミステリーの仕掛けとしての視点変更ですが、読者を飽きさせないように、所々で気分転換してもらおうという狙いもあります。(ここに掲載していない部分について、あれこれ論じても仕方がないのでこの辺でやめておきますね)

塩瀬ヨリ
KD106154157254.au-net.ne.jp

めめくらげさま
「邂逅(仮題)」拝読しました。
ライトミステリーとして読みました。
するどい観察眼とメタ思考の高校生守山と、安楽椅子探偵の東堂と、謎の紳士はどのような謎を追求していくのだろうと(多少なりとも)ミステリー好きとしてわくわくしております。
テンポもよく、迷わず読み進められる文体と感じました。

ミステリーであればことさら、伏線か揺らぎなのかを明確にすべきと感じます。
気になった点を、お伝えしますね。

〇警察官の職質
警察官たちは、当初守山を「中学生」と推測しているにも関わらず、家出などではなくなんらかの不法行為の容疑者としてあたりを付けてる状態と思われます。
それが、偶然登場した成人男性の証言だけで疑惑がはれたように見えるのは、不自然です。
成人男性の発言は、主人公が受け答えした以上の情報が提示されてない。新しくなにも担保されてない。
駅前に実在する塾の講師である(名刺を持っているから)というだけで、放免されるのは警察官のカンの鈍さに救われた印象です。

〇>この距離なら聞こえたかも――いや、聞こえたんだ。
論理的でメタ的解説が多い守山にしては珍しい飛躍です。疑義を断定するだけのロジックがないですが、伏線かもしれませんね。

〇>たとえば目からビームが発射できそうな気がする。
>駄目押しの〈見せない=不審物所持〉という論理だ。
>お礼をかねて顔を出してみよう。
守山のキャラが、老成/子供っぽさの二面性があるように見えます。
中学生に間違われるくらいあどけないのに、中身は大人びているギャップのある魅力的なキャラクターですが、外側の視点で語られないと不整合にも見える可能性があります。
例えば、母親が「その偏屈は誰に似たんだか」とか「だから年寄りみたいな趣味はやめなさいって言ってるでしょう!」とか守山が外部からはどう見えているかが描写されていると、より立体感が出る気がします。

〇「では、こうしましょう~あなたの好きなように散歩をする」
東堂がこの申し出をする合理的理由が不明でしたので、若干ご都合主義的と感じました。
その直前の「口髭を生やした紳士」だと聞いた東堂が黙り込んだ何か理由が、守山への申し出=今後の関わりを暗示するフックとなるのだとしたら、黙り込んだシーンにもう一匙サスペンス要素が欲しい気がします。

〇小学生がわちゃわちゃとしてうやむやになるオチはとても作品の雰囲気に合っていると感じました。小学生の乱入が謎の宙吊りを自然にフェードアウトさせ、読者に不完全燃焼感ではなくヒキの余韻を残すのに効果的だと思われます。
月齢とともに、どんな謎が解かれていくのか楽しみな展開です。

執筆おつかれさまでした!

めめくらげ
59x159x122x24.ap59.ftth.ucom.ne.jp

塩瀬ヨリ様
感想ありがとうございます。

警察官の職質については、この時点で主人公は何ら不法行為はしていないので(双眼鏡はカバンの中)、知り合いだと称する塾講師(偽者ですが)によって、主人公の証言(氏名、通っている学校、夜の散歩が趣味等)についての裏付けがとれたので、問題なしと判断されたということにしていて、作者的には自然な流れじゃないかなと考えていました(今もそう思っています)。

<この距離なら聞こえたかも――いや、聞こえたんだ。>
現実に聞こえたとしなければ説明がつかないので、聞こえたんだろうというロジックです。

守山のキャラについてはおっしゃるとおり、二面性があるかもしれません。というか、私も含めて、たいていの人は二面性(多面性)を持っているのではないでしょうか。一人で夜の散歩をしているときには、小学生が妄想するような世界に入り込み、警察官の職質に対しては、現実的な思考で事態の解決を図ろうとする。こういうのは二面性というほどのものではなく、状況に応じた切り替えという感じかなと思います。

「では、こうしましょう~あなたの好きなように散歩をする」
本作はプロローグにあたる部分なので、東堂のキャラ紹介として、このような提案(発言)をさせてみました。ちょっと変わった人だなというのが伝わればいいなと思っています。

小学生のわちゃわちゃ感は、「ああこういう状況ってあるよね」と、読者に共感してもらうことで、この物語世界にリアリティを感じてもらえたらなと思って書いてみました。

なんか、言い訳っぽく思われたかもしれませんが、こんなことを考えて書いていますということをつらつらと述べさせていただきました。

通りすがり
116-220-47-204.rev.home.ne.jp

めめくらげ様。「邂逅」を拝読いたしました。

投稿なさってすぐに読ませていただいてました。のんびりしてたら、もう3面なので、暑いのに、
みなさまの投稿ペースに今さらながら驚嘆です。と前置きはさておき、感想です。

冒頭、ぽん、ぽん、ぽんとリズムのいい短文で、うまいなと思いました。
が、ひっかかったのは、この一文でした。

たとえば目からビームが発射できそうな気がする。

ちょっと昭和の特撮ぽいというか、別のことに変えられないかなと。
発射してどうなる、さらに、なにか焼きつくし、燃やしつくす、みたいな加害性にはつながらないのかとか、
思ってしまいました。

猫の目、双眼鏡、と「眼」が仕掛け、装置としてあって、かなりうまい、書きなれた人だと感じました。
で、散歩するのは夜と、静かな感じなのに、眼からビーム発射、いきなり激しい、ちょっとチープかなと思いました。

職質されて、セリフの応酬が長いので、二言三言くらいで、主人公の気持ち、動作、警察官のっ表情とかをいれて、
緊迫感や、不愉快さ、心細さを出しながら、主人公が高校生というのを、もう少しだけ、先に出してもいいかなと。
夜の散歩は、受験勉強の息抜きなのか、それとも、まだ1年か2年だけど、いつから散歩するようになったのかな、
だとか、知りたいです。
勤め帰りの人とすれ違うくらいだから、深夜ではないのですね。
その時に(こんな時間にご帰宅かな)(終電にも間に合わないよね)(タクシー? 自腹、会社から出るの)とか
主人公に想像させて、大人や、世の中にどんな考えを抱いているかとか、人となりを、もう少し開陳したら、
職質が、緊迫感、スリルを増すかなと。
主人公が逆に「何かあったんですか」とたずねて、警官がフレンドリーに「最近、〇〇があって」とか、
「業務として、一人でいる未成年には声掛けしている」とか、ちょっとしたやりとりを駆け引きっぽく
演出できそうな気がしました。

ふと、やたら職質されるという人がいたのを思い出しました。サミットの時期、大嫌いだそうでした。
数メートルおきに警官が立っていて、一人にカバンを全開して、「はい見せた」「どうもどうも」と終わって、
それを隣で見てるのに「中身を見せて」で、すっごいイヤだと。
職質されやすい風貌とか、男性だとケンカを売られやすい顔だちとかあるようです。
知人が、ゴールデン街で飲んでいて、若い人が、中高年と揉めて、劣勢になり、あまりにひどいので、
「やめろ、死ぬぞ」めくらげ様。「邂逅」を拝読いたしました。

投稿なさってすぐに読ませていただいてました。のんびりしてたら、もう3面なので、暑いのに、
みなさまの投稿ペースに今さらながら驚嘆です。と前置きはさておき、感想です。

冒頭、ぽん、ぽん、ぽんとリズムのいい短文で、うまいなと思いました。
が、ひっかかったのは、この一文でした。

たとえば目からビームが発射できそうな気がする。

ちょっと昭和の特撮ぽいというか、別のことに変えられないかなと。
発射してどうなる、さらに、なにか焼きつくし、燃やしつくす、みたいな加害性にはつながらないのかとか、
思ってしまいました。

猫の目、双眼鏡、と「眼」が仕掛け、装置としてあって、かなりうまい、書きなれた人だと感じました。
で、散歩するのは夜と、静かな感じなのに、眼からビーム発射、いきなり激しい、ちょっとチープかなと思いました。

職質されて、セリフの応酬が長いので、二言三言くらいで、主人公の気持ち、動作、警察官のっ表情とかをいれて、
緊迫感や、不愉快さ、心細さを出しながら、主人公が高校生というのを、もう少しだけ、先に出してもいいかなと。
夜の散歩は、受験勉強の息抜きなのか、それとも、まだ1年か2年だけど、いつから散歩するようになったのかな、
だとか、知りたいです。
勤め帰りの人とすれ違うくらいだから、深夜ではないのですね。
その時に(こんな時間にご帰宅かな)(終電にも間に合わないよね)(タクシー? 自腹、会社から出るの)とか
主人公に想像させて、大人や、世の中にどんな考えを抱いているかとか、人となりを、もう少し開陳したら、
職質が、緊迫感、スリルを増すかなと。
主人公が逆に「何かあったんですか」とたずねて、警官がフレンドリーに「最近、〇〇があって」とか、
「業務として、一人でいる未成年には声掛けしている」とか、ちょっとしたやりとりを駆け引きっぽく
演出できそうな気がしました。

ふと、やたら職質されるという人がいたのを思い出しました。サミットの時期、大嫌いだそうでした。
数メートルおきに警官が立っていて、一人にカバンを全開して、「はい見せた」「どうもどうも」と終わって、
それを隣で見てるのに「中身を見せて」で、すっごいイヤだと。
職質されやすい風貌とか、男性だとケンカを売られやすい顔だちとかあるようです。
知人が、ゴールデン街で飲んでいて、若い人が、中高年と揉めて、劣勢になり、あまりにひどいので、
「やめろ、死ぬぞ」と若いひとを助けたそうです。名刺から、「あの時はどうも」と若い人が職場に菓子折りを持ってきて、
おすそわけもらいましたが、おとなしそうな真面目そうな方で「飲み屋で大喧嘩するように見えないと言ったら、
遊び慣れてる上司が「あの手の顔はケンカを売られやすい」とぼそっと言ったのですが、職質され君も似た顔立ち、
雰囲気だと気づきました。主人公に(自分だけ、いつも不審者扱いされる)(キセル乗車の疑いをかけられるのも、いつも自分だけ)とか何か思わせて、それでキャラとお話にもっと深入りしたいです。
トイレの珍客が助けてくれるのも、自分では思いつかないので、いいなと思いました。
「3度続けば、偶然ではなく必然、運命」とか「はかられている」なんて言いますが、主人公は、利用されるのか、するのか、今後の展開、楽しみ。
そして、塾に対して、主人公がどう思うか。中高生は、学校のランクや、自分のカーストに誰もが無関心、無縁ではいられないと思うので、彼に対する認識で、より面白くなると思います。最後まで読みたいお話です。
お疲れさまでした。ありがとうございます。

通りすがり
116-220-47-204.rev.home.ne.jp

通りすがり
2026-07-29 11:14
116-220-47-204.rev.home.ne.jp
めめくらげ様。「邂逅」を拝読いたしました。

投稿なさってすぐに読ませていただいてました。のんびりしてたら、もう3面なので、暑いのに、
みなさまの投稿ペースに今さらながら驚嘆です。と前置きはさておき、感想です。

冒頭、ぽん、ぽん、ぽんとリズムのいい短文で、うまいなと思いました。
が、ひっかかったのは、この一文でした。

たとえば目からビームが発射できそうな気がする。

ちょっと昭和の特撮ぽいというか、別のことに変えられないかなと。
発射してどうなる、さらに、なにか焼きつくし、燃やしつくす、みたいな加害性にはつながらないのかとか、
思ってしまいました。

猫の目、双眼鏡、と「眼」が仕掛け、装置としてあって、かなりうまい、書きなれた人だと感じました。
で、散歩するのは夜と、静かな感じなのに、眼からビーム発射、いきなり激しい、ちょっとチープかなと思いました。

職質されて、セリフの応酬が長いので、二言三言くらいで、主人公の気持ち、動作、警察官のっ表情とかをいれて、
緊迫感や、不愉快さ、心細さを出しながら、主人公が高校生というのを、もう少しだけ、先に出してもいいかなと。
夜の散歩は、受験勉強の息抜きなのか、それとも、まだ1年か2年だけど、いつから散歩するようになったのかな、
だとか、知りたいです。
勤め帰りの人とすれ違うくらいだから、深夜ではないのですね。
その時に(こんな時間にご帰宅かな)(終電にも間に合わないよね)(タクシー? 自腹、会社から出るの)とか
主人公に想像させて、大人や、世の中にどんな考えを抱いているかとか、人となりを、もう少し開陳したら、
職質が、緊迫感、スリルを増すかなと。
主人公が逆に「何かあったんですか」とたずねて、警官がフレンドリーに「最近、〇〇があって」とか、
「業務として、一人でいる未成年には声掛けしている」とか、ちょっとしたやりとりを駆け引きっぽく
演出できそうな気がしました。

ふと、やたら職質されるという人がいたのを思い出しました。サミットの時期、大嫌いだそうでした。
数メートルおきに警官が立っていて、一人にカバンを全開して、「はい見せた」「どうもどうも」と終わって、
それを隣で見てるのに「中身を見せて」で、すっごいイヤだと。
職質されやすい風貌とか、男性だとケンカを売られやすい顔だちとかあるようです。

知人が、ゴールデン街で飲んでいて、若い人が、中高年と揉めて、劣勢になり、あまりにひどいので、
「やめろ、死ぬぞ」と若いひとを助けたそうです。名刺から、「あの時はどうも」と若い人が職場に菓子折りを持ってきて、
おすそわけもらいましたが、おとなしそうな真面目そうな方で「飲み屋で大喧嘩するように見えないと言ったら、
遊び慣れてる上司が「あの手の顔はケンカを売られやすい」とぼそっと言ったのですが、職質され君も似た顔立ち、
雰囲気だと気づきました。主人公に(自分だけ、いつも不審者扱いされる)(キセル乗車の疑いをかけられるのも、いつも自分だけ)とか何か思わせて、それでキャラとお話にもっと深入りしたいです。
トイレの珍客が助けてくれるのも、自分では思いつかないので、いいなと思いました。
「3度続けば、偶然ではなく必然、運命」とか「はかられている」なんて言いますが、主人公は、利用されるのか、するのか、今後の展開、楽しみ。
そして、塾に対して、主人公がどう思うか。中高生は、学校のランクや、自分のカーストに誰もが無関心、無縁ではいられないと思うので、彼に対する認識で、より面白くなると思います。最後まで読みたいお話です。
お疲れさまでした。ありがとうございます。

通りすがり
116-220-47-204.rev.home.ne.jp

最初の投稿は、ミスで、二重になっている部分があります。
投稿する前に読み返すべきでした。
真下の、2つ目を投稿しなおしました。ごめんなさい。

めめくらげ
59x159x122x24.ap59.ftth.ucom.ne.jp

通りすがり様
感想ありがとうございます。

「目からビーム」が引っかかってしまいましたか。そうですか。
昭和の特撮ぽいというご指摘はまさにその通りで、作者の頭の中にあったイメージは、ちょっとチープな感じの○○光線発射!というものでした。
要は、夜の散歩というやや非日常的な状況での静かな高揚感みたいなのを表現したかったのですが、感性が古いのかなあ。

警察官の職質に関しては、いろんな書き方があると思います。主人公のキャラを巻き込まれ型のやや内向的な性格に設定していたので、終始受け身に回っていますが、ご提案いただいたようなのもありですね。
いずれにせよ、自分ならこう書くなあとか、いろいろ想像を膨らませてもらえただけでも、こちらに投稿した甲斐があります。
そして、先の展開も読みたいといっていただき、うれしく思います。

通りすがり
116-220-47-204.rev.home.ne.jp

めめくらげ様。最初に投稿した感想が、変にリピートした失礼きわまりないものだったのに、返信嬉しいです。

感性、感性といわれますが、面白ければいいので、お気になさらず。
コメントしようか、迷ったんです。実は。ラストまで知ったら、これでいい、これしかないのかも、とか。

職質した警官か、その周りに天文マニアがいたら、オフの出会いとか広がりそうですね。
あまり、無防備に人づきあいを広げてはいけないのだろうか、とか、自分も調べてみたいと思います。

また、ぜひ。300~500枚、になりそうな、要素を複数もった良い作品だと思いました。

めめくらげ
59x159x122x24.ap59.ftth.ucom.ne.jp

通りすがり様
再訪ありがとうございます。

この作品は、4つのエピソードで構成された連作短編形式(約13万文字、400枚)として、すでに完成しています。
字数の関係で、ここにはプロローグのみ投稿させていただきました。
枚数の推測、ズバリ正解で驚きました。

通りすがり
116-220-47-204.rev.home.ne.jp

長い一篇かなと思ったら、連作! それも面白そうです。それぞれの冒頭だけでも、拝読したいです。
昨年は、神楽堂さんという方が、一年間、2週間ごとに精力的に投稿なさって、ご卒業していかれたのですが、
「ごはん」に掲載されると、のちのち商業作品になった時に、さしさわりがありそうなのが残念と
おっしゃってました。そういう危惧もあるので、ボリューム少なめでも。

主人公は、(こういう趣味を持っているの、クラスでも自分だけだろな)なんて、さりげない優越感とか
持っているかもしれないけど、あとから、もしも周りの人がみんな知ってると知ったら、いやだろうな、
傷つくだろうなと思いました。ミステリーとしても、青春小説としても、さらに完成度を高めてくださいませ。

めめくらげ
59x159x122x24.ap59.ftth.ucom.ne.jp

通りすがり様
再訪ありがとうございます。

ありがたいご要望をいただき大変うれしいのですが、今作については当初の予定通り、プロローグ部分のみの投稿ということにしておこうと思います。
もし、またこちらに他の作品を投稿するようなことがあり、目にとまりましたら読んでやってください。

通りすがり
116-220-36-186.rev.home.ne.jp

別の作品も楽しみです。

肉球ぷに
FL1-133-202-113-124.tky.mesh.ad.jp

こんばんは。
拙作へのご感想ありがとうございました。

お作品、引き込まれました。冒頭を公開することで、ご自身でハードルを上げておられるはずなのに、それを軽々と越えていく筆致に驚きました。ただただ、いち読者として続きが読みたい。そう思わずにはいられませんでした。この先どうなるのか気になって仕方ありません。続きが読める日をひそかに待っています。

めめくらげ
59x159x122x24.ap59.ftth.ucom.ne.jp

肉球ぷに様
感想ありがとうございます。

続きが読みたいと思っていただけたとのことで、肉球ぷに様に対しては、長編の導入パートとしての役割は果たせていると受け止めさせていただきます。
本作は完結済みなので、やりようによっては続きを読んでいただくことは可能だと思いますが、今のところやりようを思いつかないので、いつかどこかで機会がありましたらぜひに。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

テクニカルサポート

3,000字以内