作家でごはん!鍛練場
塩瀬ヨリ

甍を越える

 下山予定を2日過ぎた。
 カルナ・ダハルはメンバーにベースキャンプの撤収を命じた。
「それが阿久津との約束だ」
 戸惑うように立ちつくす松岡に目をやり、カルナ・ダハルはそう付け加える。 
 無線連絡もつかない状況に、もう阿久津は戻らないと判断したらしかった。
 長年に渡り、何度もエヴェレストへと登ってきた伝説のシェルパ。その男が下したのだから、恐らくそれは正しい決断に違いない。 
 阿久津はもう戻っては来ない。
 目の前の山、一年中消えない雪と氷の何処かに、あの男の骸が埋もれている。
 その他大勢のそれと同じく、朽ちて土に還る事もない。
 頭で理解しても、松岡はカルナ・ダハルと一緒に下山することは出来なかった。


 他の遠征隊はすでに去っていた。
 そこかしこから立ち昇っていた湯気も、生活音にあふれていた活気もとうにない。
 登山シーズンの約2ヶ月間だけ現れ、終わると跡形もなく消滅する「幻の都市」。
 色とりどりのテントが消えた氷河の上を、カルナ・ダハルたちの一団が下山していく。

 無理を言って頼みこみ、衛星電話と数日分の食料を残してもらった。
 カルナ・ダハルを見送った松岡は山を見上げた。
 その稜線近くに、渡り鳥を見つけて目を凝らす。隊列をなして飛ぶのは、アネハツルの群れだろうか。飛行機と殆ど同じ高度、9000mを飛ぶことすらあるという。
 人間が決して超えられない境界を、あの鳥は軽々と超えていく。
 畏敬の念と恨みがましい気持ちが混ざって、胸が圧迫されるようだ。
 軽々と―――など、同じ高みへ挑まない者のやっかみだ。地表の甍を越えられずに落ちる個体もいるはずだ。
 酸素の薄い大気を大きく吸い込んで、松岡は不快感をため息に逃した。
 その苦しみや努力を何も知らずに、ただ批評したり羨むなどは愚かの極みだ。
 頭が納得しているのなら、どこがそれに逆らっているのだろう。
 心だろうか。気づけば胸骨の辺りを掴んで、ぐっと握りしめていた。
 どこにあるとも判然としないのに、何故か胸のあたりが指で押さえつけられたように凝っていく。
 理性も感情も。あるべき場所へ収まっておらず、どちらも無秩序に内側を漂っている。自分が自分でないような寄る辺のない心地がした。



 自分の実力では到底及ばない、冬季エヴェレスト南西壁無酸素登頂。
 天秤の片方に己の心臓を載せ、死を覚悟して挑まねばならないと分かっていた。
 そのくせ、登頂した瞬間の阿久津の姿をファインダーにおさめる夢想を捨てきれない。
 自分は今、カメラマンという業そのものだ。

「撮影はかまわない。互いに干渉はなしだ。もし滑落しても、俺はお前を助けない」
 お前もそうしろ。吐き捨てるようにそう言うと、阿久津は松岡に背を向けた。そのまま歩きだす。
 一度深呼吸をして松岡はぐっと口を引き結ぶ。
「わかった」
 阿久津の背中に声をかけて、後を追うように進んだ。

 釣り合わない両皿のまま足を踏み入れる者を、受け入れる山ではなかった。
 登攀を開始すると徐々にその距離はひらき、最初から最後まで阿久津の背中を見続けた。
 両手のピッケルを交互に突き立て、つま先のアイゼンを蹴り込んで氷に打ち込み、垂直に切り立つ氷壁を登る。
 薄い酸素と氷点下の気温が、そこにいるだけで生命を削り取っていくのがわかる。
 朦朧とする意識を繋ぎとめるのがやっとの状態の松岡を、鋭い頭痛が襲う。脳を直接雑巾のように絞られている感覚。高度が7500mを越えた証拠だった。
 薄い酸素と極寒の大気、高度8000m以上は人が生存することを許さない世界。
 地上の1/3までに減った酸素は人体に著しい機能低下をもたらす。
 ゆっくりと一歩足を進めるだけで全力疾走した直後のように息切れがした。簡単な計算すら、答えを出すのが難しくなるほど脳の機能は低下する。
 そこへ滞在するだけで、1秒毎確実に死に近づいていくのだ。
 いま阿久津と、その背中を追う自分が臨もうとしているのはそういう場所だ。
 最高峰の先端、この地表で一番空に近い場所。
 しかし、それに価値を見出さない人間にとっては、ただ山の頂上でしかない。


 何故そうまでして山に登るのか。
 以前そう問いを投げかけた時、阿久津は虚を突かれたような表情を浮かべた。
 しばし考え込む目をした男は、結局明言をさけた。
 翻って同じ質問を己にぶつけてみる。何故、自分は今この山を登っているのか。
 切欠は阿久津の持っている古いカメラ———恐らく何度かこの山を登るなかで、男が偶然それを発見したのだろう———コダック・スペシャルだった。
 イギリス人登山家マロリーの所持していたとされる機種だ。
 もしそれがマロリーのものであるなら、中のフィルムを現像することができるなら。
 彼がエヴェレスト人類初登頂に成功したかどうか?という長年の謎が明らかにされる可能性があるのだ。
 フィルム次第ではエヴェレスト初登頂の記録が、何十年も遡って塗り替えられることになる。それは同時に、ジャーナリストとしての栄誉を確約するものだ。
 そのカメラを手に入れたいと、日本とネパールを行き来して阿久津と交渉をした。
 山へ登るには大金が必要だ。だが、それなりの金額を提示しても、男は決して首を縦に振らない。
 交渉のために調べ上げた男の過去は、松岡を驚かせた。
 まだ会社勤めをしていた頃、阿久津は登山中に事故にあっていた。日本でも指折りの難易度を誇るクライミングの名所、谷川岳。
 そこで、ザイルパートナーを亡くしたこと。そのザイルを切ったのが、阿久津ではないかと疑われていたこと。
 松岡の背中を冷たい汗が伝っていった。
 自分はどんな男を追いかけているのか。
 深い淵を覗き込むように阿久津の過去を辿っても、その暗い水面に映るのは自分の顔だけだった。
 同時に腹の底がカッと熱くなる。
 エヴェレストの単独登頂にかける阿久津の並々ならぬ執念。
 その理由を知りたい。強烈な欲が身の裡で沸騰した。
 男が頂きを踏む瞬間に、自分が立ち会いたい。
 いつしかそう切望するようになっていた。



 それがどうしてなのかは、男と同じように自分も説明は出来なかった。
 あの男によって胸に灯された情熱に、ひきずられるようにここまできた。
 手元の焦点すら合わなくなってきた目を、苦労してわずかに上げる。それだけで息が上がった。
 はるか上に、阿久津の青いジャケットがぼやけて見える。
 自分もあの男も、同じなのかもしれない。
 何かの答えを探すために、登っているのかもしれなかった。

 雪混じりの風が強くなり、嵐の気配を濃くしていく。
 吹き付ける風に容赦なく体温が奪われ、指先の感覚は殆どない。既に左腕は持ち上げることすら出来なくなっている。
 ピッケルをこれ以上打ち込む力はもうない。自重を支えるためには、氷壁にアンカーを設けなくてはならない。
 頭が内側から破裂しそうな酷い頭痛に呻きながら、殆ど動かせない手でアイススクリューを氷壁にねじ込む。
 辛うじて1本を取り付けるのが精一杯で、V字にザイルを保持するためにもう1本同じ作業をする気力は残っていなかった。
 震える手では狙いが定まらず、何度もカラビナを取り落としそうになる。どうにかハーネスのザイルをスクリューとつないだ。
 僅かな安堵は、すぐに頭痛で跡形もなく消えた。
 ザイルで身体を支えてはいるが、状況が好転した訳ではない。むしろどんどん悪化している。かろうじて宙づりになっているだけだ。
 急速に冷えて動かせなくなってく身体の末端に、確実に死が迫ってくるのを感じる。
 この氷壁を登りきれないのなら死は時間の問題だ。このまま凍死するのか、或いはその前に滑落するかだ。
 雷鳴が絶えず不穏に鳴り響く。
 雲は見た事もない速さで蠢いて、一時も同じ形を留めることはない。稲妻が縦横にそれを切り裂いて光った。
 眩しさと風雪に目を閉じても、その光景が頭から消えてくれない。
『7500mを越えると頭痛と幻覚に襲われる』カルナ・ダハルの警句が脳裏をかすめると、今度は視界の端から暗赤色の染みが広がって周囲を飲み込んでいく。
 それはいつか見た、粘菌が移動して広がっていくさまに似ていた。
 その赤が自分の足元から這い上ってくる。
 恐怖に開いた口からは悲鳴すら漏れず、瞬きもせずに見ていることしか出来ない。

「松岡!しっかりしろ!」
 何度も頬を張られのろのろと目を開く。強烈な吹雪と低酸素で霞む視界が、徐々に輪郭を取り戻す。ついにゴーグルをかけた男の顔を描き出した。
「——―あ、くつ……な、んで、」
 ようやく一言絞りだしたが、その後はヒューヒューと喘ぐ音だけで声にはならなかった。
「気分は?荷物を下ろせ、ピッケルも貸せ、邪魔になる」
 酸素の回らない頭に、言葉が浸透していかない。
 その意味を脳が理解するよりも先に、松岡は戦慄した。阿久津が自分を背負って、この氷壁を登ろうとしているのが分かったからだ。
 登攀前、お互いが危機に陥っても干渉しないという約束をした。この山へ入る者ならば、それは暗黙の了解だ。わざわざ阿久津はそれを口にするのだ、と内心驚いたくらいだ。
 他人を助けるという行為など、そもそもできるはずもない。
「このまま上がるぞ、しっかりつかまれ」
 ザイルが軋む音。 
 自分など置いていけと言いたいのに、声がでない。
 意識と無意識をぐらぐらと行き来しながら、松岡は不甲斐ない自分を責めた。
 約束を反故にして、自分を救おうとする阿久津に憤りさえ感じる。
 それもすぐに茫漠と漂って消えていった。
 腕すら動かせない松岡にロープをかけて背負い、阿久津が氷壁を登り始める。
 自分では到底登り切れなかった垂直の壁。
 歯を食いしばり低く唸りながらも、阿久津は嵐の中をじりじりと登っていく。
 密着した部分から熱が伝わってくる。そこから自分が溶けだすような錯覚に、松岡は堪らず目を閉じた。
 男の背中を温かいと感じた自分。男の登攀計画を狂わせ、約束を反故にさせた自分。
 意識が途切れるまで胸を締めつけていたのは、阿久津の命を削り取っているのは自分なのだという冷徹な事実だった。

 岩壁の途中、辛うじてビバーク出来る岩棚に、阿久津はテントを張っていた。そこへ担ぎ込まれて転がされ、しばらくして目が覚めた。
 なかなか起き上がれない松岡に、阿久津が水分を取れとカップを差し出す。湯気で鼻先を温め、紅茶に口をつける。何度も咳込んだあと、ぽつりと口からこぼれた。
「———どうして助けたんだ」
 不満めいた自分の声色に狼狽して、松岡は素早く阿久津の横顔に目をやった。
 阿久津の視線は、風を受けてたわむテントを見ている。こちらを振り向く様子はない。
 「助けてない、下山するまで分からん。この嵐じゃあ、助かるかどうかわからんぞ」
 意を決してそう口にした松岡への答えは、何の感情も滲まない重い声だった。
 それが男の本心なのか気遣いであるのか。
 どちらであるのか、松岡には分からなかった。
 どちらだったら自分は許されるのだろうか。そう考えた自分を恥じた。
 紅茶の熱が臓腑に伝わって、今にも昏倒しそうなほどの睡魔が襲ってくる。
 脳裏に浮かんだのは男の過去。ザイルの切断面にナイフで切られた痕跡があった、という新聞記事だった。
 視点の定まらない目で男の横顔を見つめ続ける。
 阿久津は最後までこちらを見ることはなかった。


「下りに気をつけろ、俺はもう助けられない」
 翌日嵐の過ぎるのを待って、阿久津は頂上へ向けて出発した。
 これ以上進むのを諦めて下山することに決めた松岡は、そこから独りで登る阿久津の背中にシャッターをきった。
 その時から、この山は自分と阿久津を違う地表に置いたのだった。
 山の頂を望む者と、そうでない者とに。



 テント越しに朝の陽射しを感じる。昨日に引き続き、天気はいいらしい。シーズンもすぎようとしているこの時期に、珍しいことだ。
 寝台からのろのろと降りて身体を伸ばし、小さなやかんを火にかけてから外へ出る。
 午後には自分もここを離れて、エヴェレスト登山の入口である街、カトマンドゥへ下りなくてはならない。
 カルナ・ダハルの残してくれた食料も、明日の朝には尽きる。これ以上ここへ留まることはできない。
 ぎゅっと下唇を噛んで詰めていた息を、疲れた様子で吐き出した。
 気付けば松岡の右手は自然と胸のあたりを掴んでいた。
 目に見えない、触れることもできないのに、確かにここにあるのだ。
 いっそこの場所へ置いていってしまいたい。
 それはずっと。
 無駄だと承知であの男を待っていたいのだと、こんなにも訴えているのだから。


 上を向くとすがすがしく晴れた空の、冷たさを感じさせる青色が目を刺す。
 目を細めて視線を下げると、岩壁の間の雪原に小さな点が見えた。
 瞬間、耳につく拍動を感じながらテントへとって返す。双眼鏡を手に転げるように外へでた松岡の目に、先ほどよりも大きくなった点が見える。
 曇ったレンズを乱暴に擦って覗きこむ。松岡は双眼鏡を放り投げて走りだした。
「阿久津!!」
 雪に足を取られて思うように進まない。焦りと苛立ちで、みっともなく顔が歪んでいるのがわかる。
 一瞬足を止めた阿久津が再び歩き出す。
 上がる呼吸、忙しい喘鳴。
 阿久津の名を呼ぶ自分の声と、雪を掻き分け蹴散らす音しか聞こえない。
 高地での鉄則を忘れて軽々に駆け出した自分を、弁えろとばかりに激しい頭痛が襲う。
 それでも松岡は足を止めなかった。
 徐々に縮まる距離に、口許の呼気の白さが見える。
 阿久津がよろよろと手を上げる。それが、挨拶や歓喜の仕草ではなく制止なのだとわかって、松岡は足を止めた。
 目の前の男は、まだ単独登攀の途上にいるのだ。
 頼りない足取りで、男が自分の前を過ぎ去っていく。
 今にも倒れそうな阿久津と、自分の立つこの雪原は同じではない。
 そうはっきりと突き付けられる。

 マロリーの謎を明らかにし、エヴェレスト初登頂の歴史を塗り替えるスクープという野心も。阿久津のエヴェレスト登頂を写真におさめたいという欲望も。
 もはや過去に現像した写真の1枚に過ぎなかった。
 綺麗に切り取られて、客観的に眺められる行儀のよい感情。
 それに比べて、今の自分を満たしているこの感情を、松岡はうまく言い表せない。
 安堵とも誇らしいとも違う、もっと単純で根源から噴き出す何か。
 これが何かを知っているのは、自分と恐らくはあの男なのだ。


 途中で阿久津を追い抜いて、テントに駆け込む。
 沸いていた湯を盥に移し、水を足して適温に整える。
 辿り着くなりくずおれた身体を支えて、男のザックと装備を外した。阿久津を寝台に横たえ、盥を運ぶ。寝台から下ろした阿久津の脚を、松岡は湯で洗い温めた。
「阿久津、大丈夫か」
「……ああ」
 掠れてひどく億劫そうな声がする。
「身体を起こせるか、手も」
 返事もなく、片手がだらりと下がった。
 松岡は男の手から手袋を外して、湯に浸した。
 大きな手を表に裏にと返して、凍傷で傷んだ指はないかと調べる。そうしているうちに、阿久津は眠ってしまったらしかった。
 顔に張り付いている髪を剥がし、ゆるく絞ったタオルで顔を拭く。眉が微かに寄せられたが、起きる気配はなかった。
 松岡は構わずにあちこちを拭い、顔にも耳にも凍傷の痕跡がないことを確認する。
 ほっとして、ずるずるとへたり込んだ。
 目の高さにある男の胸に耳を押し付ける。心臓が規則正しく血液を全身へ送り出す音と、頼りない呼吸が繰り返されているのが聞こえる。
 松岡は目を閉じて、しばらくその音を聞いていた。


「起きたか。飲めるか?これ」
 数時間後、ようやく目を覚まし身体を起こした阿久津に、蜂蜜のたっぷり入った紅茶を手渡す。隣に開いたスペースに松岡も腰をかけた。
 阿久津は金属の器を両手で包み込むようにして、しばらく熱を楽しんでから口をつけてすすった。湯気が動いて松岡にも蜂蜜の匂いが届く。
 互いに髭も伸び放題で、風呂にも入っていない男二人。そこに介在するのは、なぜか蜂蜜の甘ったるい匂い。笑いをかみ殺せば口許が変に歪んだ。
「なんだ」
 阿久津がまっすぐに松岡を見る。
 なんと説明していいか、気持ちが定まらない。口をひらくと、言葉がたどたどしくこぼれていく。
「いや、はちみつが……そうだな。俺はただ―――あんたが戻ってこれたのが。生きて、ここへ戻ってきてくれたから」
 ありがとうと出かかった単語に、少しだけ戸惑って拳で口をふさぐ。
 誰に何を感謝しているのだ?
 自分の選んだ言葉は。一体どのような源泉から生まれているのか。
 探るように、視線を土間に落とす。
 ことりとカップを置く、軽い金属の音がした。
 顔を上げると、目の前に男の顔が迫っているのに驚く。
「あ、くつ」
「松岡……生きてる、俺は生きて戻ってきた」
 なぁ、松岡。生きてるんだよ、俺もお前も。
 間近に感じる熱い呼気の合間。阿久津の声が、泣く寸前のように上擦っている。
 急に抱きすくめられ、上体が面白いくらいに強張った。
 男の伸びた髭が首筋をチクチクと刺す。身じろぎし、松岡はその背にしっかりと腕をまわした。跳ねまわる心臓が直接阿久津の胸を叩いている気がして、頬が熱くなる。
 松岡———―
 くぐもった声が、肩のあたりで熱になって留まった。
 あの吹雪の中で聞いた声と重なって、喉の奥がつまる。
 ゆっくりと拘束が解かれて、男の腕が自分から離れていく。
 先ほどの答えがみつかるだろうかと、松岡は男の目を見返した。

 この敬意と祈りを誰に捧げればいいのだろう。
 この男を地上へ無事戻してくれたことを感謝しているのだと、誰に?
 神さまでなければ———―この男に。

 疲労と脱水とで落ちくぼんだ眼窩に似合わぬ穏やかな眼が、急に剣呑な光を帯びる。
 阿久津が松岡の顔を両手で掴み、縋るように唇を重ねてきた。
 岩壁に取りつくような鬼気迫る力。そこには親愛の欠片も、労りもない。
 ただ、折れそうなほどに強い圧迫感と、喉の奥を焼くような熱い息があるだけだ。
 けれど、それでよかった。  
 死と隣り合わせの場所。
 阿久津の、凍傷を免れた指が頬に触れている。
 これは、そういう奇跡の一つなのだ。  
 
 その後、カトマンドゥで数日を過ごし、阿久津とは別れた。
 それが最後に見た男の姿になった。



 日本へ戻り、また写真の仕事を貰えるようになるには、帰国から半年ほどかかった。
 連絡もろくに取れないフリーのカメラマンを、同じ条件で契約してくれた出版社の担当者には頭が上がらない。
 雑誌の依頼で谷川岳を撮ったその日に、ネパールからエアメールが届いた。
 そこには、数行の簡素な英語が書かれていた。
 どこかのホテルの備品なのか、黄ばんだ紙にヒマラヤホテルと辛うじてロゴが見える。
 何度も奇跡的に山から生還しつづけた男は、現地の流行り病で床について4日で死んだ。
 古びた便箋が訴えたのは、それだけだった。
 カルナ・ダハルからその手紙が届いたのは、阿久津が死んでからひと月も過ぎたころだった。


 松岡は東京の自宅を引き払い、長野県へと転居した。
 日本アルプスが遮蔽物もなく見渡せるのだけが、自慢の草庵だ。
 自分はもう山へ登ることはないのだろう。
「何故山に登るのか」
 問いに答えられる者だけを、懐に納めて尚峻厳に神々しくそびえる山嶺。
 自分が足を踏み入れる資格はない。
 その威容を眺める場所で、地に足をつけて生きていく。

 男の答えがなんだったのかと、今でもふと思い出す。
 いくつも思い浮かぶのは、どれも陳腐な理由。あの男ならすべて鼻で笑い飛ばしそうだ。
 阿久津が阿久津であるが故に、山へ登る。恐らくそれがQ.E.D.だ。
 全ての山に阿久津がいて、マロリーがいる。
 山を見る度に、俺はあんたを思い出すよ―――阿久津。

甍を越える

執筆の狙い

作者 塩瀬ヨリ
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本作はアニメ映画版『神々の山嶺』に着想を得た、独自のキャラクターによる創作小説です。原作・映画とは異なる結末を描いています。というか生きて下山させたかったという願望を書いているとこがあります。
原作も漫画もアニメも素晴らしいので、ぜひ!(映画は・・・・・・)

コメント

偏差値45
KD059132064091.au-net.ne.jp

総じてうまく書けていると思うけど……。

>阿久津が自分を背負って、この氷壁を登ろうとしているのが分かったからだ。
これは現実的ではない気がしますね。嘘っぽい気がしましたね。
とはいえ、たとえば安全度が高い場所まであと少しという内容であれば納得も出来ますが、
現状では受け入れがたい気がしますね。

>阿久津が松岡の顔を両手で掴み、縋るように唇を重ねてきた。
流石に気持ちの悪い行動だな、とは思いましたね。
動物のように鼻と鼻を合わせるぐらいであれば、衝動的な行動として理解は出来るかもしれないですね。

で、僕も登山をすることもあるので分かるのですが、
判断が甘すぎる気がしますね。登りの途中でギリギリの状態なので、
本来であれば、そうなる前に撤退が正解であるはずですからね。

タカダ
softbank060124115167.bbtec.net

塩瀬ヨリ 様

拝読させていただきました。どこにでもいる、ひとりの一般読者として。


「甍」なんて読むのかな。で興味を持ち、読ませていただきました。「いらか」なんですね。おれ、建築屋なんですけど知りませんでした。おれが承知している用語は「棟」むね。です。勉強になりました。

読んでいて止まってしまうところが無く、文章表現もかっこいいです。「寄る辺のない心地がした」ここまで読んで続けて読むことにしました。

山にアタックする場面は臨場感がありました。経験がないとリアリティがあるものはなかなか表現出来ないと思うんですけど良かったです。

残念ながら物語としては、いまいち消化不良でした。大本があるからなんですかね? DVDでチャプター選べるじゃないですか。あれをいくつか選んで繋いでるような印象を持ちました。

あとはアホな疑問なんですけど。

罫線、三つは何でなんですか? 文章、変えるところでもないのに続けないで行を変えるのは?

阿久津が松岡の顔を両手で掴み、縋るように唇を重ねてきた。  ここはどういうことですか?

ちょっと話は変わるんですけど。

普段は二次創作BL小説を書いているということなんですが、何故ですか?


「神々の山嶺」の漫画家、谷口ジローさんは、フランスで人気があるってNHKのドキュメント24時間で観た憶えがあります。今、検索したら、やっぱりすごい人気があるみたいですね。マンガ、アニメ、好きなんですか? おれ、最近アニメ観るんで聞きたいことあるんですけど。

それでは、また。あるかなー。

夜の雨
sp160-249-36-60.nnk02.spmode.ne.jp

塩瀬ヨリさん「甍を越える」読みました。

読み応えがありました。
ちなみに原稿用紙28枚で7786文字でした。
内容がエヴェレスト登頂の登山家に着いて登る写真家の男を題材にした物語ですが。
背景部分も描かれていて、なるほどと思いました。
死と隣り合わせの状況になる話やら緊迫感もあり、それがリアルだったのがよかった。

無駄なというか脱線しているような場面もなくって構成もよかったのでは。

阿久津がベースキャンプまで降りてきたときのエピソードは、相当お疲れだったようで男同士の接吻には驚きましたが、それもアリかなと感じましたね。
やはり、その前の伏線が効いていました。
松岡も死にかけた場面があるので。阿久津が背負って、テントまで運んだので。それも氷壁を登ったのですからね。これは、可能かどうか、わかりませんが。

ちなみに私もむかしは北アルプスなどによく行っていました。
奥穂やら槍ヶ岳とか。そこから立山への縦走とか。白馬岳とか。
立山のときには雷に遭いまして地面が揺れたのには、驚きました。貴重な経験ですが。
北海道の大雪山に登っている途中ですが、テントを張ってくつろいでいますと台風崩れの低気圧が近づきまして、やばくなったので、テントをおいて下山して山小屋へ避難しましたが、翌日戻ると、テントはペシャンコでした。なかに荷物をおいておいたので飛びませんでしたが。
日本の山でもこういったやばいことになるのでエヴェレストだったら、すごいだろうなぁと思います。
それから登山客の話などを聞いていますと、足をくじいた女の人を担いで下山したとか言う人もいましたね。

御作の場合は阿久津が谷川岳のクライミングでザイルパートナーを亡くしていて。そのザイルを切ったのが、阿久津ではないかと疑われていた。
というエピソードがありましたが、エヴェレストで松岡は助けてもらっていますしね、それも助ける理由もないのに。
なので、阿久津の無実が証明されたようなものです。

ということで、作品全体に緊迫感はあるし、文章も読んでいて違和感はありませんでした。
専門知識がいるような内容だったので、調べられたのだろうと感じました。

お疲れさまでした。

それではこれからも創作を楽しんでください。

タカダ
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塩瀬ヨリ 様

申し訳ございません。私のコメントについて訂正させてください。

ドキュメント24時間 → ドキュメント72時間

残念ながら物語としては~   夜の雨さんのコメントを読んで、もう一度読み返しました。すらすら読めました。私の読みがいい加減でした。お恥ずかしい限りです。訂正してお詫び申し上げます。すみませんでした。

それでは、失礼いたします。

塩瀬ヨリ
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偏差値45さま

お読みいただき、またご感想、ご指摘もありがとうございます。

偏差値さまは、登山なさるんですね~!
個人的に、登山と登山に関する書物については興味があるのですが。
まぁ自分でやるのはからきし……中学校の野外活動で止まっております。
なので、ご指摘がとても興味深かったです。
原作にはそのようにあるものの・・・
『エベレストの無酸素で、しかも氷壁で他人を背負って!?』となりましたからね~、
そこがリアルではないドラマ性ってことなんでしょうね。
門外漢なので、自分の違和感についての確証が持てずにおりましたが。
実際に山を登られる方のお話をお聞かせいただけて、とても勉強になりました!!

>動物のように鼻と鼻を合わせる
・・・・・・すごくいいと思います!!なんで思いつかなかったのか、と今頃臍をかむ思いです。
当方BL脳という強力プラグインを実装しており、その辺のさじ加減を誤りました。無念です。

塩瀬ヨリ
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タカダさま

お読みいただき、またご感想、ご指摘もありがとうございます。

建築屋さんなんですね~、現場も仕切られておられるのでしょうか?
私も空調屋の端くれだったので、現場の雰囲気は何となくわかる気がします。
大変な業界ですよね~、でも物が出来上がっていく過程と達成感は他で代えがたいものがありますよね!


>DVDでチャプター選べるじゃないですか。あれをいくつか選んで繋いでるような印象を持ちました。
確かに仰るとおりだなと思いました。
というのも、ご賢察のとおり、長い話のオチだけを自分の好みに改変したような建付けの話なのです。
当然欠けている背景や既出のエピソードなんかを、回想なんかでねじ込んで・・・なんとかならんか?
ならんか?という補完作業に明け暮れました。
だから、チャプターを繋いでいるという表現に”すごい完璧な言語化だ!!”と感心してしまった次第です。


>罫線、三つは何でなんですか? 文章、変えるところでもないのに続けないで行を変えるのは?
ご指摘を受けて、急いで調べました。というのも、完全に雰囲気で使っていたので、正しい用法について
知らなかったな!?と気づいたからです。(生きざまの雑さ)
で、確認しましたところ。
本来は、”―”は一つ、または二つで使うものとのこと・・・・・・好きな長さで使っていいと思い込んでました!!
ご指摘いただかなかったら、気づかずにおりました。ありがとうございました!!
また、使っていた意図としましては。溜めとか強調で使っている気がしますね。
それと、わざわざ訂正の旨をお伝えくださって、ありがとうございます。
タカダさまの誠意あるお人柄に、ちょっぴり触れさせていただけた心境です。
でも、ファーストインプレッションの方が、本来のポテンシャルというか平均的な評価に近いと思いますので、
率直なご意見は大変ありがたいです。
なにしろ、自分の文章などは自分が一番バイアスかかってますからね~~~~~!!
(しかも自分に都合のいい方向に)
見てくださった方の目と気づきを借りて、より良い形に修正してきたい、というのが私の希望です。


>普段は二次創作BL小説を書いているということなんですが、何故ですか?
好きだからですが、好きを説明するのは難しいので割愛させていただくとしてwww
(私の好きである理由が、誰かの嫌いである理由とイコールなのはままあることですので)
例えば私は女なので、重力に負けないトンデモ巨乳ギャルとかは、まぁ興味がないのですが。
そういうのを好きなのだ!と熱心に解説されても、理解はしても共感や納得はしないと思いますので。
一般的には、どうなんでしょうね。自分を投影する余地が限りなく少ないのが楽だからかもしれませんね。

漫画もアニメも、よく観ますよ!
この休みは、三体とサイコパスとスプリガンを一気見して満足感を味わっていました。
もっと新しい作品を観ろよ・・・って話ですが。(ネトフリ契約中に、限定のものを見倒そうという根性)
タカダさんはどのようなアニメが気になってるんでしょうかね?
私は小難しいシニカルな作品ばかりを観てしまいますが。

塩瀬ヨリ
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夜の雨さま

度々お読みいただき、またご感想、ご指摘もありがとうございます。

構成を褒めていただけて嬉しいです!
私が小説を読む時に一番気になるのが、構成と心情の変遷の自然さなので。
今回、その辺は問題ない程度に達成出来ていたのかな?と思えて安心しました!
ストーリーやキャラクターよりも、構成のプライオリティが高い書き手、というのはまぁ多数ではないだろうなとは思うんですけども…気になるから仕方ない!個性と思って開き直っております。

夜の雨さまも登山をなさるのですね!
私はまったく、ドラエモンの裏山程度にしか登ったことがないので・・・登山の描写も全く勝手が分からず。
調べても実体験にまでは落としこめないので、映像から受けた印象をそのまま書いた次第です。
多少なり、登山の過酷さ孤独な克己みたいなものが出ていたら嬉しいですが。

槍ヶ岳というと、かなり峻険な難しいルートというイメージですが。かなり熟達なさった登山者とお見受けしました!かっこいいですね。
立山の落雷や、大雪山の嵐の貴重なお話を教えていただいて大変ありがとうございます!!
やはり、自然は無慈悲…
登山については「どうしてそんな無駄/危険/等々なことをするのか、意味が分からない」という意見を目にすることがあります。
私も全く同意見なのですが、だからこそ好きで憧れがあるんですよね~。
一見無意味にも見える、挑戦する姿勢とか情熱に突き動かされる人の心の在りようが、その分からなさ故に惹かれます。

これからも楽しく精進してまいります。

タカダ
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塩瀬ヨリ 様

建築屋さんなんですね~   

はい。施工管理を主に。設計もたまに。割と大きいの担当するんで終わるたびに、ちょっと燃え尽き症候群に……。はは。

DVDでチャプター選べる~

あれっ? 合ってました? 訂正しちゃったんですけど。

バイアスかかってますからね~~~~~!!

明るいですね。いいですね。

好きだからですが~

ごめんなさい。

どのようなアニメが気になってるんでしょうかね?

そう、これ、これ! 聞ける人いなくて。去年の秋だっけかな。テレビで鬼滅、観て、面白いなって思っちゃって。鬼滅、面白いですね。プライムで全部観たんですけど、意外と全部がコンパクトなんだなって思ったんですけど、どう思います?

進撃の巨人でエレンたちが海にたどり着いてマーレ篇に移るじゃないですか。そこから先の展開どう思います? おれ、拡げすぎちゃって収集つかなくなっちゃったのかなって思うんですけど。


ご教授、お願いいたします。

それでは、また。あるかなー。

えんがわ
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面白かったです。

序盤はちょっと乗れなかったですが、途中の

>雪混じりの風が強くなり、嵐の気配を濃くしていく。

辺りからの登山パートになると一気に読まされました。
専門用語が入るんですけど、違和感なくスムーズに目が進み、読み応えありました。

で、疑問なんですけど、なんで恋愛パートを入れるんだろう?
描写からして肉体関係もったってことですよね。
なんだろうな、僕は男性なんですけど、なんか共感しきれませんでした。
なんか無理に入れた感じがして。
そういうのはBLだからなのか、BL関係ないのかわかんないけど。
もっと長く二人の関係を描けば、また違った納得が出たのかもしれないけど。

なんか僕は登山パートとそれを乗り越えた二人の友情だけを純粋に楽しみたかったなって。

こういうのは僕の恋愛経験の薄さからなのかもしれませんけど。

塩瀬ヨリ
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タカダさま

施工管理さまでしたか!!すごい、激務だ・・・しかも設計もやってデカい物件を担当されたら、それは燃え尽きますよね~~~~~!
全行程の職人さんとやりとりするなんて、考えただけで、HP:0ですよw
私も、ちょろっとCADくらいはさわれるんですけどね、独学なので図面として合ってるんだかなんだかw(その状態でもやらせるような職場でした、お察し)

アニメ、折角おしえていただいたのに、ごめんなさい・・・どちらも途中で止まってました。
で、見終わった人に内容確認してみました。
それを踏まえての、私の勝手な推測になりますが。

〇鬼滅
面白いですよね!なんという明快さ!
コンパクトは、恐らくですが、週間連載モノにありがちな忖度延命をしてないところに起因するかなと思います。
とくに、週刊雑誌の経済力学にかかると、無茶な延命や設定が横行しますからね~・・・そうすると、本来のテーマやストーリーの通奏低音が脱落してしまう。
それを補完するために、分かりやすくエモいエピソードや派手なバトルなんかで読者をアテンションし続ける必要が出てくる。
更にアニメ化すると、原作複数話=アニメ1話みたいな密度になってしまうので、結果アニメも忖度してへんな間延びやオリジナルエピソードなんかを捏造する羽目になる、ような気がしています。
鬼滅はそこがなかったからじゃないかな~と、お話をうかがって想像しました!(見てないくせに何を??)


進撃はマーレ篇からだいぶ雰囲気がかわったようですね。
単に人類VS怪物だったのが、民族問題とかイデオロギーに踏み込んだ内容になったとか。
シオニズムなどの社会問題にも重ね合わせたような、人類の普遍的な、いわば地に足の着いた課題に落ち着いた格好といえそうですが。
だから、最初の雰囲気が好きな人は戸惑ったと推察いたしました。
広げすぎっちゃあ広げすぎかもしれませんね~、そこで離れていく読者もすくなくないでしょうし。
読者の望む方向に忖度しなかったのだな、という印象を受けました。そこはクリエイターとして本望なのではないかと。
でも難しいとこに手を突っ込んで、一応完結させたのならすごいなぁと思いましたね。
(見てないくせに何を??)

なんか、妄想がすぎますね!!失礼しました!!

塩瀬ヨリ
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えんがわさま

お読みいただき、またご感想、ご指摘もありがとうございます。

>登山パートになると一気に読まされました。
可読性とテンポの向上を練習しているところでしたので、嬉しいお言葉です!
だらだらと文を長くするくせがあり、市販品の生ハンバーグを半分にして
成形しなおすような気分で作業をしておりました。

>疑問なんですけど、なんで恋愛パートを入れるんだろう?
確かに、吊り橋効果じゃあるまいし、ここで恋愛が入ったら唐突ですよね~~~~。
一応、こう、生死をさまよって偉業を成し遂げて生命と自然に感謝してる、
テンションMAXだったらなんか、感極まって普通じゃないことをするんじゃないの酸素も薄いし!?虎ファンが道頓堀へ身投げをしてしまうような理解不能な何かを、しかも二人ですることを・・・つまり接吻くらいはしてもいいのでは!?
という、牽強付会な脳内会議の結果でした。

だから、自分としては、恋愛ではないつもりだったのですが。
いやぁBL脳はこわいですね、自然な友愛の範疇が広すぎました!!

明記してあったら避けられたトラブルですので、ちょっとでも友愛になりそうなときは
今後執筆の狙いかタイトルに但し書きをしておこうと思います。
ご指摘ありがとうございました!

タカダ
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塩瀬ヨリ 様

いやいやいや、そんな。あほですよ、あほ。あっほでーす。w

完全にキャドに移行して、ずいぶん経つんですけど、おれ、手書き(ドラフター)で図面、書いてた(本来は引く。線を引くの引く)とき有るんですよ。手書きで図面書くのと小説書くのって、何か似てるんですよね。

独学? 空調設備が? キャド? すごいじゃないですか。えらい。

アニメ。  いや、ほんとありがたいです。

鬼滅。  なるほど。北斗の拳なんか通しで読むとむちゃくちゃですもんね。ラオウまでなんだよなー。ドラゴンボールもフリーザまでだと思うし。あっ、アニメ1話、原作複数話なんですね。なるほど、ほーほー。水の呼吸の技いつ習得したのかな。とか、禰󠄀豆子、足技なんで使えるんだ。とかあったから、なるほど。アニメ(映画)終わったらマンガ読んでみます。

進撃。  世界規模にしたんだけど描き切れてないんですよねー。世界は複雑ですからね、現在みたいに。違う方、向かせて無理矢理やっつけた。という感じなんですよ。

一応、すみません。訂正。  前回 おれ。 収集 → 収拾  ヨリ様。 全行程 → 全業種?  行程 → 工程? 


御作とは関係ないことを色々と教えていただいてありがとうございました。あなた最高。

飼い猫ちゃりりん
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塩瀬ヨリ様。力作ですね。文章も丁寧で読みやすい。
まあ、ほめることは他の人に任せて、猫はまた汚れ役につとめます。

語り部は誰ですか?
三人称ですよね。一人称と三人称の区別を、もう少し意識して書いた方がいい気がする。
飼い猫はあまり視点に重きを置かないけど、気にする人も多いから。

登山を趣味にする人を前提とした小説ですか? それならそれでいいけど。
登山のことをほとんど知らない飼い猫みたいな読者でも楽しめる描写があったらいいなぁ、と贅沢な要望。
そういう目に浮かぶような臨場感の溢れる描写を挿入したら、こんな短く収まらないと思う。

塩瀬ヨリ
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タカダさま

ドラフター!父がそれで製図してましたね~、懐かしいです!!

あと、誤字も教えていただいてありがとうございますw
コメントは緊張感ゼロで営業しすぎてますwww

CADがんばったの褒めてくれてうれしいーーーー!!!!
マジでがんばったんすよ、だって誰も教えてくれないから・・・営業職だったのに
なんでか作業着きて写真撮ってばかりでしたねぇ、役所の完成図書とか
給料上げてくれんから、辞めましたけども。

意外なところで建築業界の話が出来て、嬉しかったです!!

塩瀬ヨリ
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飼い猫ちゃりりんさま

読みいただき、またご指摘くださいましてありがとうございます。

汚れ役とは、飼い猫さまらしいおっしゃりようですがw
前にも申し上げましたでしょうかね、基本的にコメントなどお時間を割いてくださる方には、
個人的には感謝の気持ちしかないです。
ご指摘も、貴重な外部からの観察データとしてありがたく頂戴しております。
作者にとって、耳が痛いにちがいない指摘をするのは、なかなか気構えがいりますよね~!
でも、自分では気づけないことを教えてもらえるのは、とてもためになる。
建設的な応答ではないかと考えております。

私は、
〇感想はなんであれ、そのまま拝聴する。(感想は作者の差配する領域にない)
〇ご指摘は、具体的に理解できる因果関係の明確なものについては、以降改善の指標とする。
〇他者に対する最低限の礼節を備え、悪意のないもの、と私が判断できるものに以上を適用する。
というスタンスですので、どなたも気兼ねなくお言葉をいただきたいと考えております。

前段の方が長くなってしまいましたが!

>一人称と三人称の区別を、もう少し意識して書いた方がいい
三人称一元視点のつもりで、書いておりました。
あやふやなところがありましたね~!?私は視点ブレを起こしやすいので、なので、
予防の意味もあって、視点保持者をほとんど動かさないようにするのですが・・・あとでよく見直してみます!

>登山を趣味にする人を前提とした小説ですか?
これは、めっそうもないというか、憧れこそあれども・・・登山、皆目わからんの顔をしながら、
映像を文章にしておりました。
なので、実際に登山をなさる方から見ると現実味がない、しない方が見ると登山の何たるかがよくわからん。
そんな、帯にも襷にもならん、二次創作を体現する解像度となりました。

恐らく、映像を観ながら文書を起こしたので描写が乏しくなった可能性と。
あとは読み手を意識せずに書いた、というのが要因である気がします。
これは・・・いつも欠落している概念なので・・・肝に銘じます!!
とはいえ~、実のところ、あまり読者層を具体的に考えられないところもありますね~。
流石に、若年層でもライト層でもないような気はしますが。じゃあ、どこ?と言われると・・・
わからん?の顔になってしまいますね。よくよく考えないといけない部分なのでしょうが。

タカダ
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塩瀬ヨリ 様

ドラフター。   おれは最後の方の世代ですね。年齢が大体、推測出来てしまうけど、まあ、いいです。

手書きは、まずトレぺに書く各図の配置を決める(おれは全部、数字で追って理由無く配置はしない。そういうやつは、いないことは無いとは思うけど、まあ、いない)次に下書き線(ごく薄く)➡ 通り芯(いちばん簡単な在来工法の木造なら中心線)→ 平面図なら内部の区割りの基準線 → 壁 → 柱(1/100なら中心線の両脇0.5mmに線。角には必ず柱が有るので壁の線を交差させれば必然的に柱)→ 他の諸々(下書きで書いておいた方がいいものは書いておく)→ 実線 (各部、濃淡をつける)→ 文字等。

という感じで下書きが書けた段階で、もう図面が出来ていると言ってもいい(お父さんに聞いてもらえれば、まあ、そうだね。と言うと思う)

小説書くのと何か似てません? 小説の方が知らないんで具体的に言えないんですけど。で、細かく書いちゃった。すみません。

キャド(CAD)。   えらいですよ。たぶん本とかも有るの見ろ。とか言って買ってくんないんでしょ? えらい!

役所の書類(工事写真も)は発注元によって量が全然違いますね。工事内容によるけど市と国だったら10~20倍、へたすれば30倍違う。国はコンサルタントがつくケースが多いんだけど、彼らは書類、命! なんでやたら細かい。車乗ってるとき、そこらで見かけたら轢いてやるかな。とか思ったことあります。w 写真も分かんなかったでしょ? えらい!

アニメ。   他にも禰󠄀豆子の竹、くわえてるんじゃなくて、くっついてるよな。とか、善逸、起きてるよな。とか、ミカサ、引っ込めたよな。とか、引っかかるとこ色々あるんですけど(おれ、引っかかりの多いめんどくさいやつ)、いや、大丈夫です。


またまた、お返ししてしまいました。返信、無理には大丈夫ですからね。ありがとうございました。

abejunichi
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作品を読ませていただきました。

「なぜ山に登るのか?」
この問いに対して、御作はドラマとして答えているように感じました。

そして、ドラマとして書くことは、ある種類の書き手にとっては、ひとつの強い答えなのだと思います。人間を描き、関係を描き、葛藤を描く。その中で問いそのものを物語化していく。御作には、その力があると感じました。

ただ同時に、僕は少し別のことも考えていました。

「なぜ山に登るのか?」という問いは、僕には「なぜ書くのか?」という問いと重なって見えました。書くという行為は、その問いにどう答えるのか、ということでもあるのだと思います。

エベレスト登頂という題材は、僕には世界文学のメタファーのようにも見えました。もちろん、そういう読みは少し大きすぎるのかもしれません。しかし僕は、どうしてもそう読んでしまう人間です。

つまり、そこにいるのは単なるキャラクターではなく、作者自身なのではないか。しかも、かなり生身の自分自身がいるのではないか。そう感じました。

それが作品を書く唯一の正解だとは思いません。けれど少なくとも、僕にとって書くということはそういうものです。自分の身体、自分の経験、自分の問いが、どうしても作品の奥に出てしまう。

御作を読みながら、僕は「世界文学たる資格」のようなものについて考えていました。これはとても難しいことです。大きな題材を扱えば世界文学になるわけではない。高い山を書けば高い文学になるわけでもない。けれど、本当に高い場所へ向かおうとする作品には、書き手自身の存在が賭けられているように思います。

もし僕が、御作と同じような高みのドラマに手を出すとしたら、それは自分自身がその場所に立った時なのだと思います。題材としてではなく、自分の生の問題として、そこに到達した時です。

そこに、書くことの本当の難しさがあるように感じました。

ありがとうございました。

久々の男
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塩瀬ヨリさん、こんにちは。久々の男です。
今回は簡潔に感想を書かせてください。
僕は小説を読むことは、その中の人物(すなわち作者)の思考や思索を追体験することだと思っています。
今回、この作品を読んで、僕はエベレスト登頂という悲願に賭ける男たちのその登山中の思索をすっと追っているような気持ちになりました。彼らと同じ目線に立っていました。
また、塩瀬さんは作中の登場人物への感情移入度が他の作家さんと比べてはるかに高いと思います。
そして、僕はそこが好きです。他人事ではないから。
一つ一つの阿久津と松岡のセリフと心の中のつぶやきと叫びが僕の心の中に響き渡ってきます。
絶望で松岡が絶壁でへたっている時に、阿久津が命を張って助けてくれた時の希望と驚き、また阿久津への畏敬の念。
そういう意味で、極限状態の二人の抱擁と接吻は理解できる(ような気がしました)。
読んでいて、とても僕自身も二人に感情移入していました。
また、こんな作品を書いてください。読ませてもらってありがとうございました。

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