博多の夜
季節は冬。
「はぁ〜残業って日本の美徳だってよく言いますけど、俺らからしたらたまったもんじゃないですよね…」岩崎坂は上司の村田大八に愚痴をこぼす。
「まっ、そんな文句ばっか言っててもしょうがない、美味いもんでも食いに行こうや。」
村田が岩崎を誘うと、すぐに喜んで!と返事が返ってきた。
村田がふと目をやると、時計の針が指していたのは10時であった。
2人は半年前に東京から福岡・博多の営業所に異動してきた。
最初は暑がっていた2人も少しずつ博多に慣れてゆき、今では博多の気候を愛しているくらいだ。
そんな2人が今日向かったのはラーメン屋。
「屋台で食う、残業終わりのラーメン、絶対美味いっすよ!」
岩崎が子どもの様に目を輝かせて話す。
「確かにこの時期のラーメンは美味いよな…」
ホカホカのおしぼりで手を拭いながら、村田もつぶやく。
「オヤジ、豚骨ラーメン2つ、麺固めで。」
「あいよ!」
元気のいい声が博多の街にこだまする。
5分ほどで豚骨ラーメンは2人の前に姿を表せた。
冬の残業終わりのこの一杯。
2人は体いっぱいに幸せを感じてひたすら麺を啜る。
「汁はさすがにオレにはキツいかな…」
村田がまたしてもつぶやくと、こちらもまた目を輝かせて岩崎が、
「先輩、俺が飲みますよ!」
と叫ぶと、あっという間に汁を飲み干してしまった。
「豚骨のこってり感に、ニンニクがガツンと効いていて、最高でしたよ。」
爪楊枝で歯についたチャーシューを取りながら、村田に話しかける。
「そりゃ良かったな。それじゃあ飯も食ったことだし、今日はこの辺りで帰るか。」
「うぃっす、お疲れ様でした〜!」
2人は、明日もまた頑張れそうな気がするのであった。
執筆の狙い
かなり短い小説で、ラーメン食うだけの話です。日常の些細なことをイキイキと描く様な短編を目指しています。
また、誤字脱字は甘くみてやってください。
ぜひコメントよろしくお願いします。