作家でごはん!鍛練場
ゆーとぴあ。

ねえ、先輩。

先輩は本が好きだった。
学生時代、先輩は必ずと言っていいほど本を持っていた。
だからか、先輩の両手が空なことに違和感を抱く。

「先輩って友達いないんですか?」
いつだったか、そう尋ねたことがある。
難しそうな題名の文庫本を携えた先輩は、少し悩んだ後こう答えた。
「友達の定義にもよるが、そうだな。新たな価値観を与えてくれるという点で見れば、本が俺の一番の友人といえるかもしれない。」
その時の私は、何と答えただろうか。
可哀想ですね、と嫌味を言ったような気もするし、曖昧に流した気もする。

出会った日から何年もたち、新しい記憶が更新され、古い記憶が消えていく中で、それでも思い浮かぶ先輩は優しかった。
当時は個性的と思っていた先輩の性格も、今は愛しく見える。
振り返れば、常に優しく接してくれた先輩を、好きにならないはずがなかったのだ。

「ねえ、先輩。今の一番の友人は誰ですか?」
とっくに学校を卒業した今でも、私は先輩を「先輩」と呼び、偶に敬語を使う。
昔よりも友人も増え、さらに優しくなった先輩は、振り返ってこう答えた。
「本、だ。」
迷いのない答えに、私は思わず吹き出してしまう。
変わったようで変わらない先輩は、私の笑い声に目を細めた後、空っぽの手を差し出してくれる。
先輩の中で、本と私、どちらが上なのだろうか。
昔はそんなことも思っていた。
けれど今は、私をまっすぐ見てくれる先輩を信じることにした。

髪型も服装も整えた先輩を見つめながら、私は口を開く。
「先輩、タキシード、意外と似合ってますね」

ねえ、先輩。

執筆の狙い

作者 ゆーとぴあ。
p757001-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

趣味で小説を書く中学生です。
人生二作目の短編です。
前作「サイダーと君と。」よりも熱量がこめられなかったのがちょっと残念です。
感想だけでも、(できれば添削、アドバイスも)いただけると嬉しいです。

(セリフ部分の句点はわざと入れてますが、ないほうが良いかも、と悩んでいるのでそこのところ教えていただけるとありがたいです。

コメント

神楽堂
p3339011-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

>ゆーとぴあ。さん

読ませていただきました。
ラストでやっとシチュエーションが分かるという構成は、工夫していると思いました。
本と自分、どっちが上なのか、というテーマで書いているのもよかったと思います。

句点については 」の前の句点は無しでよいと思います。

添削、というほどのものでもないですが、
この話、誰が語っているんでしょうかね?
男性? 女性?
主人公像は、なるべく早い段階で明らかにしておかないと、
誰が語っているのか想像しにくい小説は、読者は読むのを辞めてしまいますので。
あと、先輩も男性なのか女性なのか分からなかったのですが、ラストでやっと、「タキシード」と出てきて男性と判明しました。

>だからか、先輩の両手が空なことに違和感を抱く。

これはいつのことなのか。
在学中、本を持っていることが多くて、たまに持っていないと違和感があった、という意味なのか、
ラストシーンがタキシードなので、おそらくは結婚式でしょう。
このシーンで本を持っていない先輩というものを見て、違和感を感じたのか。

>だからか、先輩の両手が空なことに違和感を抱く。

これ、とてもいい表現なんですけど、活かしきれてないです。
もったいないです。

こういうあいまいなお話もよいとは思うんですけど、
本と自分との上下関係がはっきり逆転する展開のほうが読み応えはあるかもしれません。
アドバイスになっているかどうか分かりませんが、こんな感じで失礼いたします。

読ませていただきまして、ありがとうございました。

青井水脈
softbank114049147100.bbtec.net

読ませていただきました。
短いながらシンプルに、着地点にキレイに着地した、といった印象ですね。

>「友達の定義にもよるが、そうだな。新たな価値観を与えてくれるという点で見れば、本が俺の一番の友人といえるかもしれない。」
2段落目のこちらで、俺というから、男の先輩かと思いましたが。
語り手の私、ですね。性別は早めに出した方がいいかと。

えんがわ
M014008022192.v4.enabler.ne.jp

けっこうお洒落で爽やかでハッピーで、好きですよ。
書き足りないという人もいるかもしれませんが、個人的にはこの塩梅だからこそ豊かな想像の広がりが待っていると思うな。
好みの作品でした。

全体的に地の文の句点は多めかもね。
それも好みですが。

偏差値45
KD106146194155.au-net.ne.jp

作家としてはヒントを出して「分るだろう」
読者としては「何を言っているんだ?」
なんてこともよくありますね。
意外に読者に伝わらないものです。

個人的には推定事項と確定事項と分けて考えるわけですが、
>人生二作目の短編です。
この段階だと確定事項が重要のような気がしますね。
ところが、御作では推定事項が多いので曖昧ですね。
そうなると可能性として、こんな物語なの「だろう」
になるわけです。そうなると、ミスリードが発生しやすくなりますので
人によっては、とんでもない誤解が生じることもありますね。

夜の雨
ai193143.d.west.v6connect.net

ゆーとぴあ。さん「ねえ、先輩。」読みました。

学生時代、主人公の問いに、本が友達と言っていた先輩。

先輩は新たなる価値観を与えてくれる本が友達という考え。

それに対して、「可哀想ですね」という主人公。このあたりは、あいまいだが。

出会った日から何年もたち、新しい記憶が更新され、古い記憶が消えていくなかで、思い浮かぶ先輩は優しかった。
●当時は個性的と思っていた先輩の性格も、今は愛しく見える。(思える。)
●振り返れば、常に優しく接してくれた先輩を、好きにならないはずがなかったのだ。
こういった伏線があり、
とっくに学校を卒業した今でも「本、だ。」という先輩。
もちろん主人公が「一番好きなのは?」とたずねたから。
●そして吹き出す主人公。
●私の笑い声に目を細めた後、空っぽの手を差し出してくれる。

>けれど今は、私をまっすぐ見てくれる先輩を信じることにした。

>髪型も服装も整えた先輩を見つめながら、私は口を開く。
>「先輩、タキシード、意外と似合ってますね」

ということなので、先輩と主人公の私は新郎新婦ということで「ご結婚おめでとうございます」という流れです。

つまり先輩は主人公が「新たなる価値観を与えてくれた」という事になる。

話の設定やら構成キャラクターなど、かなり計算されて創られえているのでは。
将来は、ユーモア小説の大家になるかも。


おもしろかった。


前作「サイダーと君と。」 ← いつ、投稿しましたか?

アン・カルネ
KD059132063083.au-net.ne.jp

さらっと読めて、ふふっと思いました。
最後の一行で、おっと、結婚式直前のお惚気ですかって笑ってしまいました。ライバルは書籍だったかあって。
句点について。それは出版社にもよりますから。ただ、句点をカッコ内に入れているところは例え台詞であっても文体の一部として捉える、文体重視の傾向があるようですよ。

夜の雨
ai193143.d.west.v6connect.net

再訪です。

こちらの作品は必要最小限の事しか書かれていません。
だから、わかりにくさがあるのかも。

本来の小説というものは、「読み物として楽しめる必要があります」。
ところが御作は、「情報として書かれています」。
なので、もっと伝わるように描くのなら、「五感に関わるような情景等」をエピソードに付け加えて、作品の伝えたい情報を補助する必要があります。
御作には、それがありません。


主人公と先輩がいる場所はどんなところなのかとか。その時の情景とかを五感に関わる文章として付け加えると、心情などが伝わってきます。

そうすると内容もわかりよくなるし、読んでいても気持ちがよい。


それでは創作小説を楽しんでください。

紅月麻実
softbank060066098154.bbtec.net

 読みました。夜の雨さんの解説(?)で、ようやく着地点がわかりました。主人公と先輩との間に何があったのかがあればすっと分かったかもしれませんね。

 なんだろう、タキシードって出てきて、結婚式、って出てこないの私だけなんですかね?

 先輩の性別が最後まで読まないとわからないのもあれですね。先輩の同級生が〇〇くんみたいに読んでたら分かったかもですけど。
 
 何度も読み返さないとわかりにくいです()

 要するに、先輩のことが好きだから何度も先輩にとっての一番の友人について聞いてるってことですよね。

 もっと強調してもいいのかなって思いました。

ゆーとぴあ。
p757001-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

神楽堂様。
たくさんのお褒めの言葉とアドバイス、ありがとうございます。
主人公と先輩の性別に関して
自分が書いてる時ははっきり性別を思い浮かべていたので、「何も知らない人が読む」となった時のことを全く考えずに書いてしまいました。
最もなご指摘だと思います。
改善させていただきます、ありがとうございました。

ゆーとぴあ。
p757001-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

青井水脈様。
他の方にもご指摘いただきました。
まさにその通りだと思います。
ありがとうございます

ゆーとぴあ。
p757001-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

えんがわ様。
お褒めいただきありがとうございます。
嬉しいです、励みになります…!

ゆーとぴあ。
p757001-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

偏差値45様。
やはり情報が少なかった、と自分でも思っています。
皆様にはっきりと伝わるような文章が書けるよう、精進していこうと思います。
ありがとうございました。

ゆーとぴあ。
p757001-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

夜の雨様。
お褒めの言葉に加えて、アドバイスまで。
とても嬉しいです、ありがとうございます。
「異性の先輩と二人でいる」や、「結婚式」の経験がないため、情景の描写を躊躇ってしまいました。ですが、小説として面白くするために、できるだけ細かく、そして綺麗な表現ができるよう、頑張っていこうと思います。
「サイダーと君と。」は5/31に投稿させていただきました。
改めまして、たくさんお褒めいただいて光栄です。ありがとうございました。

ゆーとぴあ。
p757001-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

アン・カルネ様。
こんなに拙い文章で、楽しんでいただけるとは…
とても光栄です。
句点についての説明もありがとうございます。参考にさせていただきます。

ゆーとぴあ。
p757001-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

紅月麻実様。
コメントありがとうございます。作品とても好みなので、コメントをいただけてとても嬉しいです…!
タキシードについて
やはりそういう方もいらっしゃいますよね…
私の中ではタキシードといえば結婚式、結婚式といえばタキシードという固定があったため、こういった表現をさせていただきました。
読んでいただいた方全員に伝わるような表現を意識したいと思います。
性別について
他の方々にもご指摘いただきました。
確かにその通りだな、と。
読者の方に委ねるような書き方をしてしまいました。改善していこうと思います。
ありがとうございました。

チョコ
nat3.kyoto-wu.ac.jp

もう少し色々情報入れてほしい。
お願いします。
でも、ストーリーはすごくいいと思います。

ゆーとぴあ。
p757001-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

チョコ様。
コメントを返していただき、ありがとうございます。
やはり情報の少なさは改善点ですよね。
ストーリーを維持しつつ、面白くできるよう精進していこうと思います。
ありがとうございました。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

テクニカルサポート

3,000字以内