作家でごはん!鍛練場
平山文人

鼻のないゾウ、ルニ

 生い茂る木々の隙間から太陽の光が差し込み、二頭のゾウの姿を照らしています。大きなゾウはぐったりとした様子で大樹の根元に横になっています。その傍にまだ小さな象が今にも泣きそうな顔でしきりに体をすり寄せています。

「ママ、だいじょうぶ?」

「…少し気分が悪いだけで大丈夫よ」

 といった後、お母さんゾウのアムールは瞳を閉じました。体は小刻みに震え、高熱に苦しんでいます。娘のルニは、ママに何か食べ物を持ってこようとその場を離れました。ちょうど美味しそうな青草が茂っています。が……ルニはそれを集めることができません。なぜなら、ルニは生まれつき鼻がないのです。鼻の穴はあるのですが、ゾウの特徴である長い部分が全くないのです。仕方なく、ルニはかがみこんで口で青草を千切れるだけ千切って、くわえてアムールのところに持っていきました。アムールはその少しの青草をほおばった後、眠ってしまいました。ルニはアムールにぴったりくっついて、お母さんの病気が治るように……とひたすら祈りました。やがて、辺りは暗くなり、雨が降り出しました。強い雨は容赦なく青く茂る森に、そこで過ごす二頭に降りつけます。アムールは苦し気に荒い息をつきます。ルニは涙と雨で頬を濡らしながらママ、ママ、と何度も呼びかけますが、何もできません。そのうち疲れて眠ってしまいました。



 ルニが目を覚ますと、朝になっていましたが、辺りは薄暗く、空は灰色の雲が覆っています。ルニは体を起こし、顔を左右に動かして雨をはじきました。そして、アムールに話しかけます。

「ママ、おはよう。朝だよ。体はどう?」

 返事がありません。ルニはもう一度呼びかけた後、前足でアムールの長い鼻を押しました。でも、何の反応もありません。

「ママ、ママ! どうしたの! 起きてよ、返事してよ!」

 ルニは必死に声をかけ続けました。しかし、アムールは全く動きません。ルニはただただ泣いてアムールの体にすがることしか出来ませんでした。まだ一歳のルニは一人ぼっちになってしまいました。ゾウは本来血のつながった一族で群れで生活するのですが……アムールとルニが群れを出て二頭で過ごすようになったのはある事情がありました。



                 ◆



 

「やあ、今日も鼻がない間抜けヅラだな」

 と、長い鼻を伸ばしてくるのは三歳のミションです。その横から五歳のフロイドが

「鼻がないなんてあなたは本当にゾウなのかしら」

 と意地悪なことを言いながらルニの頭を鼻で叩きます。ルニは広い草原の隅でただうつむいているだけです。そこへ遠くにいたアムールが全力で走ってきて、二頭を追い払いました。いつもこうなのです。生まれつき鼻のないルニは、みんなと違うというだけでいつもいじめられているのでした。逃げたミションの母親のディアボルは

「あれはゾウじゃなくて悪魔なのよ。ああ恐ろしい。もう近づくんじゃありません」

 などと、まことしやかに言うのでした。

「はーい、ママ」

 ミションは泥浴びをしながらアムールとルニを見下した目で見るのでした。アムールは耐えかねて、群れのボスゾウであるイヌティラに訴えました。

「みんながルニのことをいじめるのをなんとかしてください」

 イヌティラは瞳を閉じて静かに考えていましたが、やがてこう言いました。

「どうしようもないわ。我慢出来ないならあなたたちが群れを離れなさい」

 アムールはこの時ほどがっかりして、また腹が立ったことはありませんでした。足元には怯えた目をしたルニがいます。

「わかりました。もうみんなとはやっていけません。私はルニを守ります。さようなら」

 アムールは決然といい、ルニとともに群れを離れていきます。二十頭ほどいたゾウの仲間たちは、白けた目で二頭を見送るのでした。



                  ◆



 ルニはただただお母さんが死んだことを悲しんで泣いて泣いて泣きつくしていました。私を守るために群れを離れてくれたお母さんが、もういない。私はこれからどうすればいいの? お願い、お母さん生き返って!! ルニは大きな声を上げて体をアムールに預けて泣き崩れました。──その泣き声を大樹の枝の上で聞いていたのは、双子のリスのクラージュとエスポールです。

「かわいそう、あの大きなゾウさん死んじゃったみたい」

「泣いているのはまだ体の小さな赤ちゃんゾウだな」

女の子のエスポールは少しもらい泣きしています。男の子のクラージュはふん、とひとうなずきして

「見て見ぬふりをすることは出来ないな。なぐさめにいこう」

「そうこなくっちゃ」

 二匹は顔を見合わせた後、素早く大木を滑り降り、おそるおそるルニの足元に近づきます。

「あの~……こんにちは」

「はじめまして。私はエスポール。この森一番のアイドルリス」

 ルニは驚いて泣くのをやめました。そして顔を向けて小さなリス二匹を見つめてました。クラージュとエスポールははじめてルニの顔をしっかりと見ました。彼女にはゾウ特有の長い鼻がないではありませんか。しかし、二匹はちょっと驚いたものの、そのことを口に出したりはしませんでした。

「お母さん死んじゃったの?」

「うん、死んじゃって動かないの」

 二匹はそれ以上何も言わず、しばらくアムールの顔の上に乗って皮膚をさすったり瞳孔を見たりしていましたが、やがて肩を落として、地面に降りて静かに祈りの言葉をつぶやきはじめました。

「天にましますわれらの神よ、ここに倒れるあなたの御子の魂を安らかに眠らせたまえ」

 ルニは会ったばかりの二匹が敬虔に冥福を祈ってくれることを子どもながらに感謝しました。と同時に、改めてアムールの喪失が心の底までこたえて、力なくうずくまってしまいました。その顔の右側にクラージュ、左側にエスポールが座って、口々にルニを慰めはじめました。

「とても悲しいね。でも心配はないよ。僕らと一緒に暮らせばいいんだよ」

「そうそう、お友達になろうね」

 友達? ルニは生まれてから友達が出来たことがありませんでした。いつもいつもからかわれいじめられるだけ。

「友達になってくれるの?」

「もちろん。困ったことがあれば……」

 いつでも私にも言ってくれればいい、と頭の上から声が降ってきました。ルニが見あげると、そこには大きなクマのウルスがいました。左右には子どもクマのフィスとフィーユが悲しげな顔をしています。

「ママ、この大きなゾウさん死んでるの?」

「これ、食べないかな」

 フィスは大事そうに抱えていたぶどうをそっとアムールの鼻先に置きました。しかし、何の反応もありません。

「残念ながらそうみたいだね……まだ若そうなのに、熱病でやられたのかな」

「ねぇ、あなたの名前はなんというの?」

 エスポールがたずねました。私はルニ、と小さな声で答えた彼女に、ウルスが聞きます。

「群れからはぐれたのかい? ほかの仲間はどうしたの?」

 ルニは事情を説明しようと思いましたが、うまく話せません。しどろもどろなルニにウルスは微笑んで言いました。

「いいよ、今は何も話さなくていい。それより、そのぶどうをお食べ。何も食べてないんだろう。ほかにも何か持ってくるよ」

 といってウルスはフィスとフィーユを連れて去っていきます。ルニは言われた通りぶどうを口に運びました。

「森には気のいい仲間がいっぱいいるんだぜ。俺を筆頭にな」

「ルニ、これからよろしくね。元気になったらこのミアの森を案内してあげる」

 ルニはほんの少しだけ微笑みました。木々の隙間から美しい太陽の光が差し込み、ルニの体を明るく照らしていました。



 やがて夜になり、ルニはアムールの足の間に体を入れて静かに瞳を閉じていました。思い出しているのはお母さんが話してくれたおとぎ話です。



──私のお母さん、つまりあなたのおばあちゃんフォルトはとても強いゾウだったの。ある時、群れをハイエナたちが襲ってきて、まだ小さな私を襲おうとしたの。私は必死に逃げたけど、一匹に足に食いつかれて倒れてしまったの。でもそこにフォルトおばあちゃんが来て、鼻を振り回してそのハイエナをひっぱたいてやっつけてくれたのよ。ほかのハイエナたちは恐れをなして逃げていったわ……フォルトおばあちゃんはハイエナなんか恐れない勇気をもっていたのね。ルニ、大事なことは勇気よ。あらゆるものに負けない勇気をあなたも持ってね──



 大事なことは勇気。ルニは何度もこのアムールの言葉を頭の中で繰り返すのでした。うん、私、勇気を持って生きる。彼女は立ち上がり、木々の隙間から星空を見上げた。そこに輝く星々はルニを祝福するかのように瞬いていた。



 翌朝、ルニがお腹が空いたので足元の青草をかがみこんで食べていると、木々の隙間から一羽の青い鳥が舞い降りてきました。 

「やあおはよう! 今日から君も森の仲間なんだね。僕はオオルリのアミィ。この美しい青い羽根でみんなに幸運を呼び込むんだよ。……君の鼻はゾウとしては個性的だけど、そもそも僕には鼻自体がないんだよね」

 と言いながら彼女の足元に降り、照れ笑いをした後、

「君に心ない言葉を浴びせる奴がいたらすぐに僕に言うんだよ。死んだほうがまし、と思うぐらいの罰を与えてやるんだから」

 と羽を大きく広げて怖い顔をした後、再び笑顔になって

「ほら、お友達が何か持ってきてくれたよ」

 アミィの言葉に驚いているルニが後ろを振り向くと、クラージュとエスポールが両手にやまほどドングリを抱えてやってきました。

「おはようルニ。よく眠れた?」

「このドングリは甘くておいしいんだ。全部食べちゃいな」

「……ありがとう」

 ルニは感謝してドングリを食べはじめました。が、普通のゾウのように鼻を使って食べることが出来ません。前足を広げてかがんで直接口から食べるのです。

「鼻がないと不便そうだなぁ。でも、ほかのみんなは長い鼻なんか持ってないんだよね」

 アミィが腕組みをして考え込むと、エスポールが言います。

「こうやって食べられるから何の問題もないんじゃないの?」

「……ゾウは悪い虫が肌につかないために泥浴びとかするらしい。あと、高いところの果実とかも鼻で取るんだよ」

 クラージュが手を使ってジェスチャーします。

「私……鼻がないからいじめられて、群れからお母さんと一緒に逃げたの」

 ルニがか細い声で言いました。途端に二匹と一羽は怒りだしました。

「そんなバカなこと! 鼻がなくてなにが悪いの!」

「鼻がないのはルニのせいじゃないだろうよ!」

「ゾウってのはくだらない連中だな。見損なったぜ!」

 ルニは産まれて初めて他人が自分の鼻のことを馬鹿にしないで、それどころかかばって怒ってくれる言葉を聞きました。ルニの両目から思わず涙があふれました。

「ああ、辛かったんだね、よしよし。ルニはとっても可愛いよ」

 エスポールがルニの頭に乗って、頭をさすってくれます。クラージュは

「ルニは鼻がないのはおかしい、と思ってるのかもしれないが、他のみんなを見なよ、誰も長い鼻なんて持ってない。なにもおかしくないんだよ」

 と、言葉を並べてなぐさめます。そうさそうさ、とノシノシやってきたのはウルス一家です。手にはタケノコなど持っています。

「お母さん、ルニはとてもきれいな目をしているね」

 フィーユはルニのまつ毛にそっと触れ、泥を落としてあげました。フィスはタケノコをほおばりながら

「今からバテムの川に遊びに行くからルニも一緒に行こうよ。冷たくて気持ちいいよ」

 と彼が言った瞬間にクラージュとエスポールがフィスの両肩に乗りました。

「ヒャッハーッ! 川だ! 泳ぐぞ!」

 アミィはルニの頭の上にちょこんと停まりました。

「さあ行こう。見てもらいたいものもあるんだよ」

 ウルス一家はくるりと反転し、森の奥へと歩いていきます。ルニもあれよあれよという流れの中で、少し戸惑いながらも一緒に行くことにしました。少し歩くと、タヌキの群れに出会いました。

「見なよルニ。誰も長い鼻じゃないね」

 アミィが言うが早いか、今度は横からウサギが数匹姿を見せました。

「ほら、あいつらは耳は長いけど鼻は短いね」

「本当…だね」

 実はルニも群れで生活している時に他の動物にも会ってはいるのですが、そんなことを全く意識して見てはいなかったのでした。いつもいつも意識していたのは、私には鼻がない、だからいじめられる、ただそれだけでした。

「おっそろそろ森を抜けるね。あっ、イノシシだ」

「あんたにちょっと似てるね。仲良くなればいい」

 とウルスが言いました。そこにやって来たのはイノシシのルサブレでした。

「みなさんこんちは。おっ、新入りさんか? 俺はイノシシのルサブレ!よろしくな!」

「この女の子のゾウさんはルニって言うんだよ。昨日お母さんが病気で亡くなったばかりで大変なんだ。気分転換にバテムの川に行くんだ。お前も来るかい?」

「……ご愁傷さまです。俺のおふくろも去年人間に撃たれて死んじゃいました。とても悲しいけど、前向くしかないから。俺も一緒に川に行っていい?」

 ルニの胸が痛みました。同じように母親が死んで苦しんでいるんだ、このイノシシさんも。

「よかったら一緒にいきましょう」

 ルサブレはにっこりと笑ってルニの横に並びました。いよう、とクラージュが声をかけました。一行はミアの森を抜け、大きく広がる草原を進みます。ルニは嫌な予感がしました。もしかしたら抜けたゾウの群れに会うかも……と。しかし、見渡す限りには青々とした草原が広がるのみです。アミィが羽ばたいて空に舞い上がり、周りの様子を観察します。

「大丈夫だ、腐れ人間どもはどこにも見当たらない。そして……」

 ニヤっと笑って続けました。

「ゾウもどこにもいない」

「もう二度と会わなくていいんだよ。だいたいゾウはゾウだけで暮らしてるから狭い価値観しか持ってないんだよ」

 とウルスがいうと、エスポールが畳みかけるように続けます。

「そうよそうよ。鼻がないからなんなのよ。ルニはとっても可愛いわ。いいこと、ルニ。昨日までの考えは捨ててしまうのよ。あなたのまま、あなたらしく生きればいいの。困ったときは誰かを頼りにすればいいだけ」

 ルニにはまだ二人の言うことがはっきりとは分かりません。だけれども、今周りにいるみんなは私のことを肯定してくれている、ということだけははっきり分かりました。私はこれでいいんだ、という。

「着いた!」

 とフィスが叫びました。バテムの川はとても大きな川で、向こう岸まで100mはありそうです。そして、ルニの目に入ってきたのは、川辺にたむろするサイの群れでした。

「鼻はないけどツノはあるねぇ。みんな違うね。そしてそれが当たり前なんだよね」

 と、クラージュが振り向いてルニに言います。

「みんな違うのが当たり前」

「違うからと言ってバカにしていいのなら、俺たちはゾウの群れを鼻の長い気持ち悪い奴ら、と言うこともできるよ。でもそんなことに何の意味がある。そんなことはしなくていいんだ」

 アミィはルニの頭に舞い戻って力強く言いました。鳥一羽、リス二匹、クマ三頭、イノシシ一頭、ゾウ一頭はみんな仲良く水浴びを始めました。冷たい川の流れはなだらかに区別なく彼らを包み込み、その恵みを惜しみなく与えます。ルニは川の水に優しく包まれながら、母を失い傷ついた心を癒し、自分を認めるんだ、と何度も自分に言い聞かせました。鼻がなくても間違ってなんかない、お母さんの言う通り、勇気を持って生きるぞ。ルニは力強く、わあぁっと叫び声を上げました。その大きな声は四方に響き渡りました。

「いいぞルニ! その意気だ!」

 つられてルサブレも咆哮しました。クラージュもフィスも両手を挙げて叫びました。きっと、ルニは大丈夫だ。ウルスは目を細めて、その光景を見つめているのでした。終

鼻のないゾウ、ルニ

執筆の狙い

作者 平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

皆様お久しぶりです。しばらく忙しく小説を読むぐらいしか出来ていませんでしたが、
また余裕が出来てきたので新たに作品を書きました。今回も「ダンボ」のオマージュの部分がありますが
物語の内容はオリジナルです。どんな感想でもいいのでいただけると嬉しいです、よろしくお願いします。

コメント

偏差値45
KD059132067215.au-net.ne.jp

たぶん、インドのお話かな。
オフリカにはクマがほとんどいないから。
で、ゾウはドングリを基本的に食べないらしいです。

総じて読みやすくありますね。

ビジュアル的に鼻がないのは……、ちょっとね。
絵本になりずらいですね。見た目がよくないかな。かわいいとは言い難い。

登場人物が多過ぎかな。登場人物が多いと脳の負担が大きくなるので、
あまり良くないですね。
それぞれのキャラクターの個性が薄いですね。
ほとんど、ちょっとしか出ていない。
登場人物を絞って、ストーリー性を上げた方がいいと思う。
現状……、うまくまとまっている内容ではない気がしますね。
起伏は必要なんだけども、感情曲線でうまくいっていないかな。
読んでいても、楽しくはないですね。
単純に差別は良くないですね、程度ですからね。

鼻がない、、、これがデメリットではなくてメリットがある。役立つ。
そんなストーリー展開であったら面白いかもしれないですね。
一方でダンボは空を飛ぶことができる。
このメリットは大きいと思うよ。見た目はいい。
オマージュだからこそダンボを越える作品であった欲しいね。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

偏差値45さん、感想をありがとうございます!

そうです、インドにはサイがいますので、舞台はインド周辺としています。
今調べたらゾウがドングリを食べている動画が見つかりました。食べるのではないでしょうか。

読みやすいとの言葉はとても嬉しいです。現時点の私の課題はまともな文章で
作品を書くことなので、それが達成されていればよいのですが……

確かに、鼻がないゾウは可愛くないかもしれません。現実に絵本にすれば
子どもたちに受けないかもしれません。

本作ではテーゼ(見た目で差別するのは間違っている)ありきでしたので、
ストーリーが二の次になってしまったのは事実です。登場人物もいたずらに
多くしてしまいました。ここは失敗点だと思います。

ダンボは大きな耳という弱点、コンプレックスを見事に武器に変えましたね。
そのカタルシスを越えるのは相当に大変です。しかし、鼻がないことをメリットにし、
武器にするような展開が書ければ痛快な作品になったかもしれません。
今思いついたのは、鼻がないと言っても器官、機能としての鼻はあるわけですから
長い部分がないだけ、嗅覚が抜群に優れている、などとすれば良かったかもしれません。

示唆に富む感想を本当にありがとうございました。また投稿した際には是非よろしくお願いします。

夜の雨
ai201128.d.west.v6connect.net

平山文人さん「鼻のないゾウ、ルニ」読みました。

子象に、長い鼻がないために仲間の像から差別されるので、母像が子象を連れて、集団から離れて生活していたところ、母像が亡くなり子象が一人で生きていかなければならなくなるが、異種の動物たちが子象に仲間意識をもって、一緒に行動をするようになるというようなお話ですが。

さすがに登場する動物が多いところに、同じ種類の動物に仲間が何匹もいるので、名前の使い分けが、難しいですね。

それはこの短い作品の中では、やはり無理があるなぁという感じです。
登場人物を減らすか、作品を長くするかで、この問題は解決できると思います。

ただ、大きな流れでは、御作の「物語の内容は理解できる」ので、「題材を伝えるとかの意味では、問題はない」かと。


御作に描かれているのは、「差別」とか「助け合う、仲間意識」とか。
で、物語としては前向きなので、子供向けの童話としては、良い作品だと思いました。

こちらの作品はアニメとかの動画で見せると、登場人物が多少多くても、目で見えるので、理解できます。
文章だと映画等の映像と比べて情報が少なく、やはり限界があるので、
出来るだけ少ない登場人物で描いたほうが、わかりよいとは思います。
ただ、ストーリーが伝わればよいというのであれば、問題はありません。


ありがとうございました。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

夜の雨さん、お久しぶりです。今作品にも感想をありがとうございます!

やはり登場人物が多いのが失敗点ですね。孤独なルニをなるべく多くの仲間で
包んであげたいという心理が働いたのですが、短編では把握が難しいので避けるべきでした。
ちなみに名前はほぼ全てフランス語をもじっています

ルニ=le nez 鼻 アムール=愛  
ミション=いじわる フロイド=冷たい イヌティラ=役立たず
クラージュ=courage 勇気 エスポール=espoir 希望

小学低学年ぐらいの人を対象に書いていますので、純粋なテーゼを前に出しましたが、
成功したでしょうか。ともかく、物語としての起承転結というか、面白みというものは
もっともっと意識して書きたいです。まだまだその能力がないのですが……。

次作にでは物語というものをもっともっと意識して書いてみようと思います。
よろしければ次作も読んでいただければ嬉しいです、ありがとうございました。

中小路昌宏
60.87.153.75

 読みました。

 皆さんは、登場人物が多いことを問題視されていますが、私はそうは思いません。象の特徴である長い鼻の無い奇形の象を、多くの優しい動物たちが仲間として受け入れてくれているという所がこの作品の本質なので、それを少なくすれば作品の価値を損ねてしまうように思います。
 カタカナ文字の名前ばかりなので、確かに読んでいて、これは熊か、リスか、イノシシかどうかと迷いますが、それはどうでもいい事だと私は思います。

 実際にはこういう差別をするのはむしろ人間社会の方で、動物、とくに象などは、むしろ皆で助け合おうとするのではないかと、ふと思いました。

 文章はとても洗練されていて良かったと思います。

 次回も、またこういう作品を発表して頂くよう期待しています。
 ご苦労様でした。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

中小路昌宏さん、お久しぶりです! 感想を書いてくださってありがとうございます。

中小路さんはそうおっしゃってくれますか。書いたように、ひとりぼっちになってしまったルニを
なるべく多くの仲間で包んであげたい、という気持ちがあったので登場動物が多くなってしまったのですが、
せめてもう少し個性を説明すればよかったかも、と思います。

はい、この作品では申し訳ないですがゾウさんたちには悪役になってもらっていますが
本当のゾウは大変賢く情け深い動物で、実際にルニが群れから追い出されることは絶対にないと思います。
むしろ母を失った仔象を群れ全体で育てるという動画を見たことがあります。人間がゾウや他の動物たちから
学ぶことは本当に多いと思っています。

文章を褒めていただいて嬉しいです。まだまだ精進しようと思っています。
次回作ではいったんこのようなヒューマニズム的な童話はひとまず置いておいて、
生臭い人間社会を書こうと、今も取り組んでおります。もし読んでいただければ嬉しいです、よろしくお願いします。

青井水脈
softbank114051056234.bbtec.net

読ませていただきました。
>冷たい川の流れはなだらかに区別なく彼らを包み込み、その恵みを惜しみなく与えます。

終わりにかけてほのぼのする雰囲気で、自然の恵みは区別なく与えられるという終わり方でよかったです。
ただ、「スイミー」作・レオ・レオニに酷似まではいきませんが、似通った点はあると思いました。一応、あらすじが書かれているウィキペディアのリンクを貼らせていただきます。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%BC

スイミーでは、魚の群れで一匹だけ黒いということが、最終的に役に立つ流れになって。自然と教訓を得られる運びだったと記憶しています。
今作は、「みんな違うのが当たり前」が言いたいことでしょうか。低学年向けには、咆哮など漢字が難しいと思いますが、多様性をすんなり受け入れてくれたらいいと思いました。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

青井水脈さん、感想を書いてくださってありがとうございます!

はい、大自然は一人ひとり(この作品の場合一頭一匹というところですが)を誰がどうということは
一切関係なく、分け隔てなく包み込みその豊かな恵みを与えてくれるという事を表現したのが
その一文です。人間の小ささ、くだらなさと対比されると思っています。

「スイミー」は存在すら知りませんでしたが、あらすじを読ませていただいて、なるほど、着想が
似ていると感じましたし、その内容は「カモメのジョナサン」にも少し通じる部分があるかと思いました。
今作の場合、鼻の長い部分がないが、それゆえ逆に嗅覚が大変優れていて、例えば人間の密猟者が
トラックでやってきたら誰よりも早く気付く、そして森の仲間たちに大変重用される、というような
カタルシスを書けばよかったか、と今は思っています。

確かに、部分部分難しい漢字を使ってしまっていますね。もっと平易な言葉で書くべきだったと思います。
その辺り中途半端というか、童話、絵本というイメージが甘かったと思います。
よろしければ次作にも感想をいただけると嬉しいです、ありがとうございました。

偏差値35
203-135-231-27.ppps.bbiq.jp

読みました。

うーん、本当にディズニーの映画みたいです。
ル二のお母さんゾウ、可哀そうですね。
ル二がいじめられるから、群れから外れるんですね。
親子二人で暮らすシーンと、お母さんが死んじゃうシーンはウルウルきました。
でも、ル二が他の動物に助けられる後半の話は、ちょっとベタな展開かな?
もうちょっとル二が一人で頑張るシーンも入れたら良くなると思います。
(お母さんが死んでから、他の動物が助けてくれるシーンの間に、ワンエピソード入れたら)
面白かったけど、もうちょっと捻ったら、もっと良くなると思います。
頑張ってください。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

偏差値35さん、感想を書いてくれてありがとうございます!

「ダンボ」をはじめとしてディズニーの代表作はほとんど見ていますから
意識せずとも影響はされていると思います、物語の作り方ですとか。

ルニが一人で頑張るシーン、一人寂しく森をさまよい草を食べて眠る……
書くだけで可哀そうなのでやめて、すぐにリスの双子を出してしまいました。
ダンボでもジャンボ(母ゾウ)が暴れて馬車に閉じ込められたあと、すぐに
ティモシーが登場してきます。しかしここであえてそういうエピソードを
入れたほうが対比として良いかな、とも今は思いますね。

物語を書くというのは本当に難しいというか、さまざまな工夫が出来るものですね。
次の作品はその辺り考えに考えようと思います。ありがとうございました。

えんがわ
M014008022192.v4.enabler.ne.jp

アムールという言葉は聞き馴染みがありました。
なるほどフランス語ですよね。
こころなしか外国の翻訳された絵本を読んでいる読み心地がありました。

ゾウは優しい動物で死んだ仲間のお墓を建てる(というのはよくわからんのですが)ような、なんにせよ死を認識して弔いの情を表現するらしいですよね。優しい動物ですよね。大らかな動物だと思います。そんなゾウが仲間内で差別意識に凝り固まる姿は読んでいて辛いものがありました。最後に水浴びのシーンがありますが、ゾウと言えば鼻を使った全身シャワーの水浴びが有名。そんなことが出来なくてもみんなで楽しく森の仲間と笑い合う姿は、じわじわじんとします。

ただこの小説は鼻が短くていいんだ、みんなと違って良いんだというメッセージを森の仲間の呼びかけで訴えているのですが、それは悪く言うと「言葉」で解決しようとしている側面があります。何かしらの行動、成果が伴って、その「言葉」に説得力を持たせた時に、キレイごとという少し邪な印象は消え、より胸を打つ作品になると思います。

「鼻が短いメリット」を示すのは難しいけど、それをする必要はあまりないと思います。
「鼻は短いけどみんなと助け合って~ができた」という成功体験があればと。
物語に少し暗い影を落とす「人間」を出してハードルにするのもいいかもしれません。

そんなことを思いました。

でも、そんなこと抜きに、ほのぼのと和めたので、それが狙いなら、成功していると思います。

平山文人
zaq31fb1c44.rev.zaq.ne.jp

えんがわさん、感想を書いていただいてありがとうございます!

確かに、改めて読み直してみると、平易な表現を多用しているので
翻訳の文章に近いニュアンスはありますね。基本的に翻訳で、しかも童話など
子供向けならば、かなり平易な読みやすい文体にするでしょうから。

全くその通りで、現実のゾウさんたちは仲間意識が強く情け深く、アムールの母フォルト(フランス語で強いの意)
のように群れの子どもを狙ってくる外敵を恐るべき膂力で追い払います。実際に鼻のない仔ゾウを群れが追い出す
などという事は絶対あり得ないでしょう。

最後に広い大きな川にみんなを連れて行ったのは、大自然の恵みは分け隔てなく区別なく
みんなに恵みを与えるという意味を込めていましたが、楽しく遊んでいるととらえてもらえるのも嬉しいです。

たしかに、作中ではスローガン、考え方が言葉で表現されていても、行動となるとほとんどありませんね。
クマ一家がぶどうをあげたりまつ毛の泥を取るなどと、少しはあるのですが、なにかしら印象深い行動を
書くことが出来ればよりよかったと思います。

ルニが鼻がないというハンディキャップを乗り越えるエピソードが書ければ、なおよかったというのは
指摘されて考えたところですが、なかなか難しいです。前作「首の長い犬、ウロングの物語」には
それがあったのですが……(カクヨムのサイトにあります)

ほのぼのと和めたという言葉はとても嬉しいです。物語が読者になんらかの感情を想起させることが出来れば
作者にとってこんなに嬉しいことはありません。ありがとうございました、えんがわさんの作品も拝読しますね。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

テクニカルサポート

3,000字以内