作家でごはん!鍛練場
六番

灯火

 お久しぶりです。あなたが先日結婚したというのを人づてに聞きました。
 おめでとうございます。本来ならば直接会って祝福したかったのですが、あなたを前にしてまともに言葉を紡げるとは思えなかったので、文字に頼ることにしました。
 元同僚に託したこの手紙が、いつあなたに届けられるかは分かりませんが、いまこちらは雪がちらつく深夜に筆を執っています。降り積もる静けさの中であなたへの想いに浸る時間は、氷の中でまどろむような切なさを感じます。
 私にとってのあなたは、同性としても、上司としても、恋人としても、まさに理想の存在でした。あなたと結ばれた人が心底羨ましいです。私が恐ろしく嫉妬深い女なのはあなたもよくご存知だと思います。文字を書くこの手が震えるのは、寒さだけが原因ではなさそうです。 

 この独りよがりな手紙を送るべきか否か、とても迷いました。けれど、あなたへのこの想いは、心に留めおいて墓場まで持って行くにはあまりにも大きくて重た過ぎる。
 それに、過去を振り返ってみると、今になって感謝やお詫びを伝えたい人が、あなたに限らず思いの外いることに気付きました。連絡先が分からない人、きっかけやタイミングを失ってしまった人、もう二度と会うことが叶わぬ人。伝えたいことを伝えられる機会というのは、風にさらされた灯のようにいつ消えてしまうかわかりません。あなたの結婚を知ったときは胸が張り裂けるかと思いましたが、動機を得られたのは僥倖でした。

 一年前、最後に伝えたように、私は会社をやめ、引っ越しをして、電話番号もメールアドレスも変え、あなたに関わるすべてのものを断ち切りました。
「あなたを好きになり過ぎてしまったから、いっそ拒絶してほしい」という私の願いを、あなたは頑なに聞き入れませんでした。できることなら、あなたにいつまでも愛されたかった。けれど、あなたを好きになればなるほど、隣に並ぶのが怖くなっていきました。私は学歴も才能も財産もなく、外見も冴えず、内面も難が多い。あなたの眩い美しさに照らし出されるそんな自分の醜さが恥ずかしかった。あなたの魅力はいくらでも思いつくけれど、私自身の中に好きになってもらえる理由は何一つ見いだせなかったのです。
 それでも、あなたは私の全てを好きだと言ってくれました。その言葉を嘘だとは全く思わなかった。けれど、あなたが笑顔を向けてくれるたび、あなたが優しく触れてくれるたび、私の心には温もりと同時に鈍痛が滲むように広がりました。
 あなたの気持ちを顧みようともせず、勝手に関係を終わらせてしまって、本当にごめんなさい。不快にさせたり迷惑をかけたくなかった……そう言うと聞こえはいいですが、終わりの見えない苦しみへの恐怖に耐えられなかったのです。
 二人が異性の関係であったならば……もしかしたらこの浅ましい劣等感を抱かなかったのかもしれない。そんな詮方無い思いもまた、私の心に苦々しさを絶えずもたらしました。現実として私達は女性同士で、だからこそ比べてしまった。異性間ならば自然な差異も、同性であれば容赦なく比較になってしまう。あなたのすべてが、私の惨めさを浮き彫りにする鏡のようで、愛される資格が本当に自分にあるのかと勝手に不安を募らせていたのです。

 奈落に落ちた気分でした。思い出の品々を処分し終えたあとには、気を紛らわすものさえ見つからず、ただただ空虚でした。物思いに耽ればあなたへの気持ちが氾濫し、涙がとめどなく流れます。それはまるで、生命維持に必要なことのように、私は無意識にあなたを想って泣き続けました。
 自室に閉じこもり、二人で過ごした時間をひたすら追憶し、眠るたびにあなたの夢を見る日々。いつまでも浸っていたいほのかな熱の心地良さと、凍てつくような孤独感や飢えが、波のように何度も交互に押し寄せ、私の乾いた心に歪んだ深い溝がいくつも刻まれていきました。
 記憶の中でも、夢の中でも、あなたはかつてのように私に寄り添ってくれました。そう、あなたは真に愛してくれていたはずなのに、私は受け入れられず逃げ出してしまった。淡い希望の影にすがりつきながら、その愚行をひたすら悔いました。
 そして、やがて気付くのです。この虚ろな心を満たしてくれるのは、結局のところ愛しかないのだと。愛することと同様に、愛されることも、自分にとって不可欠であると。あなたが最後まで私を拒絶しなかった意味を、そのときようやく理解できました。
 私は立ち上がる決意をしました。愛されるに相応しい人間にならなければ、と。いつかまた、あなたのような人と出会えたとき、今度こそは真っ直ぐに向き合いたい。
 あんなにも恋い焦がれる経験はもう二度と無いのかもしれません。それでも愛を求めて歩み続ければ、またいつか、花が芽吹く穏やかな陽の下へ出られるときがくると信じています。
 闇に満ちた失意の底から進むには、標となる光が必要です。灯火として私を導いてくれて、ありがとうございます。あなたを好きになって、本当に良かった。

 窓の外を見ると雪はまだ降っていて、ベランダの手すりにうっすらと積もっていました。夜半過ぎから書き始めたのに、間もなく夜明けです。冬のこの時間帯はあなたのことを特に色濃く思い出します。
 冷気の淀む仄暗い部屋の中、浅い眠りから目を覚まし、裸で抱き合ったまま微笑み合う二人。起き抜けで喉が開ききっていないあなたの少し掠れた声。大好物の蜂蜜入りコーヒーの香り。夜露に濡れた窓から静寂の中の街を眺め、今日はどんな休日にしようかとぼんやり考える私。そこへおもむろに近づいて、頬にキスをするあなた。
 あなたと過ごしたかつての日々を想起すると、どこか郷愁的で、あまりにも刹那的で、まるで断続的な夢をみているような錯覚をしてしまいます。
 いつか私が永遠に眠るとき、寒空の下、あなたとの思い出を胸に灯したい。私の魂を温めてくれる、かけがえのない原風景として。
 あなたの幸せを心から祈っています。お体には気を付けて。さようなら。

灯火

執筆の狙い

作者 六番
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お世話になります。約2400字です。
主に「昇華」について自分なりに書きたいように書きました。難しいことはせずにシンプルな構造・展開を意識しました。内面の旅として、過不足無く描けているでしょうか?
一言でもいいので感想などをいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

コメント

飼い猫ちゃりりん
27.230.37.8

六番様
相変わらず素晴らしい文章ですね。感服しました。飼い猫もこんな文章が書けたらいいなぁって思います。

特に欠点は無いと思いますが、あえて欠点を挙げるとすれば、心理描写とストーリーがないことです。
(不可解な心理)
同性愛ゆえに成就しない恋の手紙を、同僚に託しますかね? よほど強い友情で結ばれた同僚なんですかね。
そもそも手紙を送って何がしたいの? この主人公は。
(ストーリー無し)
小説とは絵画。心や風景を描くにはキャンバスが必要。どんな絵の達人でもキャンバスがなければ絵は描けない。
小説におけるキャンバスとは社会のこと。この作品における必須のキャンバスは主人公の恋人です。

西山鷹志
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拝読いたしました。

相手の思いを手紙に綴った文章
自分の胸の内を素直にさらけ出す内容は感動的でもあります。

最近は手紙なんて皆無の世の中となりましたが
改めて知らさせました。手紙の内容にもよりますが
こんな手紙を貰ったら心に残るでしょう。
とても素晴らしいもでした。

ただ相手が同姓と言うのが引っかかります。
これが愛する男性の先輩であり元恋人なら、もっと味のあるものになったと思います。

夜の雨
ai249221.d.west.v6connect.net

六番さん「灯火」読みました。

この主人公の女性の壊れっぷりというか自己中は怖いなぁ。

女性同士の同性愛をいつまでも続けると不幸になると思ったから、主人公は相手の女性と別れたのでは。
ところが、主人公は、自ら別れたにも関わらず、再度「手紙をしたためて、それも強烈な二人の愛しあった内容を」「第三者の元同僚を通じて、届けようとするとは」。

元同僚がどれほど信用できるのか知りませんが、主人公の元恋人は、結婚したのでしょう。
同性愛を断ち切って、異性と結婚。
という事で、ふつうの幸せを手に入れようとしているところへ、第三者の元同僚を通じて「ラブレター」を出すとは、とんでもないなぁと。
すみません、気持ち悪いです、この主人公は。
御作は文章が卓越しているので、インパクトが強烈です。

と、主人公をけなしましたが、御作は小説なので、もちろん、何の問題もなくて、面白い読み物になっていることは請け合いです。

すなわち、御作は、問題を抱えた女が勘違いした手紙を元彼女(同性へと出した)ということで、話としては、おもしろいです。

もしかしたら作者さんの狙いとは違う方向に物語は描かれているかもしれませんが、壊れた女性からの手紙として内容を把握すれば、小説としては、おもしろい。

結論
六番さん、小説を書くのがうますぎです。
ここまで、主人公のキャラクターの哀れを描くことができる書き手は少ないと思いますよ。

もしかしたら、六番さんの狙った方向とは、違った感想を私は書いているかもしれないですが。

ほめていますので、けなしているのではないので、勘違いしないように。


おもしろい作品を、ありがとうございました。

夜の雨
ai249221.d.west.v6connect.net

重要なことを書き忘れていたので。

御作は主人公の壊れっぷりを描いていますが、その壊れた部分のままで客観的に主人公をとらえずに、終わっています。

太宰治の「人間失格」の場合などは、主人公が問題を抱えた人間であっても、客観的に主人公をとらえているので、物語がうまく着地しています。

御作も、主人公が問題を抱えているのを客観的な視点で描いて、物語の着地点を見出せば、かなりなモノになるのではありませんかね。

そのあたりは周囲のことを描きつつ、主人公をしっかりと見つめれば作品としては昇華できるのでは。


お疲れさまでした。

久々の男
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どうも、六番さん、初めまして。久々の男と申す者です。
昨日の日中、この作品を読ませていただいて、大体の感想をメモ書きに書いていました。
それは主に、飼い猫ちゃりりんさんのご指摘と、僕自身の見解の差異のことでした。
今、今日の明け方、この作品のコメント欄を開いて、西山鷹志さんと夜の雨さんがまた別な視点での鋭い見解を述べられていますが、それは置いておいて、書かせていただきますね。
まず、お二人の創作に対する姿勢が違うと思うのです。
飼い猫さんの「憎しみの河」の冒頭を読んだのですが、主人公奈津子の妹と両親が洪水でいきなり死ぬ。そこには動的なドラマがあります。物語の展開を重視するわけです。場面も目まぐるしく変わります。これはストーリーで引っ張るタイプだと僕は思いました。
一方の六番さんの「灯火」は手紙で元の同性の恋人への想いがつらつらと綴られています。静的な過去の回想などの主人公の心情を重視しています。ただ、後述しますが、その回想のエピソードや複雑な心情は豊かで多様です。
このように動と静。自分の作品で書きたいテーマが根本的に違うように思うのです。
飼い猫さんの作品をもう少し掘り下げると、奈津子は肉親を失ったという悲劇性という属性を前もって与えられています。だからこそ、表面的には明るくなったけど、影があるといういう風に明確な設定がある。このようにくっきりとしたイメージをキャラクターにもストーリーにも情景描写にも持たせているように僕は感じるのです。
それに対して、六番さんの手紙の書き手は元交際相手へ様々な感情をぶつけている。だから、キャラクター的にはっきりとした設定があるというよりは、一人の悩める女性として全方位の感情を持ち合わせている。定義づけできない。そして、それは六番さんご自身のリアルな生身の心の吐露、あるいは心情だと思うわけです。
このようにフィクション的な飼い猫さんと、ノンフィクション的な六番さんの作品の間には決定的な溝があるように僕は思います。
内容的なことに少し触れると、まず同性の恋話ということで、最初は僕も顔をしかめました。やっぱり僕もマジョリティの側ですから、異性同士の恋愛の方がしっくりきます。でも、読み進めていくうちに、同性同士の愛による、異性では起こらない嫉妬心、あるいは複雑なパートナーへの気持ちが丁寧にこの短い作品の中で描かれていることに気づきました。
現在はダイバーシティの世と言われています。村田紗耶香の「コンビニ人間」、市川沙央の「ハンチバック」などマイノリティ側の作品が見直されているように僕は感じています。この「灯火」もそんな社会の中で孤独にひっそりと生きざる得ない一人の女の魂を描き出したのではないでしょうか? そしてそれは六番さんのかけがえのないオリジナリティだと思います。
あと、この書き手の相手が職場の上司であるということも気になりました。彼女は相手との社会的な立場の違いも意識している。恋愛以上に劣等感という意識も主人公の心の内にある。愛、思慕と相反する憎しみ、嫉妬という感情。先ほども書きましたが、このただの単純な相手への恋愛だけではない気持ちというのが一番僕は舌を巻きました。
ラストの昔の相手への想いから脱却して新しいパートナーを探そうと思う決意もいいですね。希望のあるエンディングだと思います。
このように素敵な作品を読ませていただきました。僕自身、自分の創作の中において、登場人物の気持ちとして示唆されることは多かったです。読ませていただいてありがとうございました。

fj168.net112140023.thn.ne.jp

拝読しました。

皆さんいろいろな読み方をするものですね。この独白文は、読者の解釈で感情移入する箇所が様々だというところがよいのでしょうね。
ミステリー好きの私としては冒頭がやけに引っ掛かりました。

>元同僚に託したこの手紙が、いつあなたに届けられるかは分かりませんが

「いつあなたに届けられるかは分かりませんが」

>私が恐ろしく嫉妬深い女なのはあなたもよくご存知だと思います。文字を書くこの手が震えるのは、寒さだけが原因ではなさそうです。 

>心に留めおいて墓場まで持って行くにはあまりにも大きくて重た過ぎる。

この独白文は「会社(同僚)への恋人の暴露文」ではないのかな。
要は復讐ですか。
或いは、その同僚も恋人との肉体関係があった……
もっと深読みすれば、「同性結婚」であり、同僚がその相手であったとか。

なんてね。

雪の情景に、なんとも言えない怨念が見え隠れしておりました。

fj168.net112140023.thn.ne.jp

書き足りていない箇所がありました。

>同性結婚(パートナーシップ制度)
です。

失礼しました。

偏差値45
KD106155053080.au-net.ne.jp

>私にとってのあなたは、同性としても、上司としても、恋人としても、まさに理想の存在でした。
人間関係。

>あなたが先日結婚した
時間軸。

>思い出を胸に灯したい。
>灯火
良い思い出。

しっかりした文章。
伝えたいことは何か? と言えば、
「昔は良かったね?」と同意をお求めているのかな。そんな気がしますね。
その根底には「結婚しても、わたしのことを忘れないで」
という懇願もあるのかもしれないですね。
言ってしまえば「強い未練」でしょうか。そんな印象ですね。

で、面白いか? と言えば、「いいえ」かな。
第三者的には「どーでもいい」ことですからね。
個人的には、「昔は昔、今は今」と割り切ってしまう発想がありますね。

そう言えば、最近知ったことですが、
僕の知り合いが、有名人になっていました。
漫画家であり、その作品は映画にもなりました。
だからと言って、今は自分とは直接関係ない人物なので、なんとも思わないですね。
一方で、不幸にも死んでしまった友人もいます。
でも、今は直接関係ない人物なので、なんとも思わないですね。
意識するか、意識しないか、ただそれだけかな。
「昔は昔、今は今」ですからね。

六番
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飼い猫ちゃりりん様

元々、この作品は「メール」という設定でした。つまり、主人公は相手のアドレスを知っているうえに、自分のアドレスも相手に知られる。この部分の辻褄合わせ自体は何も難しくはないのですが、それによって生じる描写及び読者への印象が煩わしく、作品にそぐわない気がしたので、「住所を知らないので人に手紙を託す」というものにしました。その元同僚との関係性については何も描いておりませんので読者に委ねる形ですが、こんな一世一代の大事な手紙を預けるくらいなので、それなりに深い間柄だという推察は自然なものだと思います。実は、私自身の中ではその元同僚が主人公の新たな想い人だという想像もあります。
そして、主人公が手紙を送ってどうしたかったのかということですが、そこの部分についても読者次第にはなってしまいますね……ただ、執筆の狙いにもありますが、この作品は「昇華」をテーマに描きました。この「行き場のなかった想いを手紙にしたためる」という行為そのものが、彼女の「昇華」に必要なプロセスであったという表現のつもりです。
ストーリーについて、「相手」の情報がなさ過ぎるが故に、ことの立ち上がりが掴めず物語性が感じられないということですよね。さきの「主人公の意図」の部分も関連しますが、「昇華」を描くうえで不必要だと感じたことはほとんど切り捨てました。飼い猫ちゃりりん様のお言葉を借りるならば、主人公の心の旅路が「キャンバス」なのだと自分では思っております。
このように弁解しないといけないことが私の力不足の証左ですね。正直に言えば、これらのご指摘は予想をしていましたが、それを解消する術を思いつきませんでした……精進します。お読みいただきありがとうございました。励みになります。

六番
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西山鷹志様

この作品は当初、メールとして書いておりましたが、結果的に手紙になりました。これだけ情感を込めた内容であれば、やはりそちらのほうがより濃いものになると思いました。
心に残る……そう、主人公の中に相手が残っていたように、彼女自身もまた相手の心に残りたかったのかもしれませんね。
手紙を送ったりもらったりという機会はだんだんと減ってきていますが、逆にだからこその魅力もありますよね。メールでさっと送れるのに、あえて手紙を選ぶ。そこに生まれる様々な機微に、深い趣を感じます。
同性であることについてのご意見ですが、この作品に「女性同士だからこその良さが出ている」と感じていただけるようなものが足りていなかったのですね。まさに、今の自分が最も重視している部分であったので、とても身に沁みるコメントです。改めてその課題を意識しようと思いました。お読みいただきありがとうございます。

六番
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夜の雨様

この主人公に対して「気持ち悪い」と感じられるのは、ある意味で最も純粋な捉え方の批評であると私は思います。
仰るとおり、主人公がこんな内容を今になって相手に手紙で送る必要性はありません。これは、主人公がただ「自分にとって必要なこと」だと思ってやっている、一方的なエゴの押し付けといえますので、それを不快に思うのは当然の感情です。
この作品は主に二通りの読者パターンがあると思っていて、一つが「主人公に寄り添う、自己投影する」タイプで、もう一つが「手紙を受け取った側としての感情が生まれる」タイプです。
執筆の狙いにも書いた通り、この作品の本質は「昇華」にあります。主人公が昇華させているのは、自己肯定感の低さ、嫉妬や後悔などのどす黒い苦悩です。「主人公に寄り添う、自己投影する」タイプはこの情動の軌跡を体験的に辿り、「手紙を受け取った側としての感情が生まれる」タイプは情念の行き先として主人公の感情を受け止める。しかし、夜の雨様は作品を俯瞰的に見ており、いずれにも当てはまらない立場の読み方をされている。「気持ち悪い」というのは、夜の雨様の場合は主人公から受け取った情念の残滓ではなく、主人公の精神の風景そのものを評価しています。そういった点で、私がこの作品に込めた本質の部分に正対していただけたと感じられて、非常に嬉しく思います。
「客観的に主人公をとらえて物語を着地させる」という試みに関して、私自身も非常に興味を持っています。この作品の現在の形は主人公の心理の濃い部分を抽出したものであり、これを用いてうまく味付けができれば、面白いものができそうな気がしています。まだこういった短いものしか書けていませんが、いずれ長編などに挑戦するときに今回のご指摘を活かせられたらと思います。お読みいただきありがとうございます。

アン・カルネ
KD059132060144.au-net.ne.jp

狙いを読むと、狙いに書かれてある通りの手紙なんでしょうね、と思います。
ラストの3行とタイトルを読む限り、主人公にとってはこの手紙によって自分の割無い感情を昇華させ、心のともしびとして彼女との愛の思い出を胸に息を引き取りたいという事なのかな、と。
手紙をモチーフにした小説で思い出すのはバルザックの『谷間の百合』。もうラストにリアリズム来たー!って感じ――前半のフェリックスの自己陶酔全開告白恋愛話に鼻白む思いがしていたら猶更――で、ラストゆえに最高傑作だな、と思うんですが、そういう読書体験があると、この『灯火』はこれで完結されるとちょっと物足りなさを覚えなくもないです。
そう思ってしまう理由を書く前に、ちょっと思ったこと。
あくまでもタイトルと狙いを度外視して、作者の意図とは別にこの手紙を読んで思ったことを書きますね。
作者としては本当のところ、主人公の恋愛に読者を共感させたかったのか、そうでもないのか。
主人公は思い入れたっぷりに独白を連ねてゆくわけですけど、読者に「ああ、そうね、カタチは違うけど、この思いは分るわ」と思わせたかったのか、それともこれを滑稽譚として読ませたかったのか、どっちだったんだろうね、と。
まず最初のパラグラフを読み終えた時、あら、主人公は同性愛者なのね、では片想い? でも「私が恐ろしく嫉妬深い女なのはあなたもよくご存知だと思います」だから、相手の女性は自分が主人公の恋愛対象である事を知っていたということかしら? と思ったり。その印象で読み続けてゆくと、どうも二人は肉体関係を含めての交際をしていたらしい。すると最初の「あなたが先日結婚した」ということが引っかかって来る。
おや、じゃあ、相手の女性は主人公が言うほど素敵な女性ではないのでは? と思えてくるんです。いえ、もしかしたら結婚相手も同性という設定だったのかもしれませんが、そこそう書かれてないと、いくら令和であっても、「結婚した」だけの情報だと男女の結婚を前提として読み進めてしまうものではないでしょうか。いえ、令和ではそんなことありません、というのであれば、そこは私が前時代的考え方の人だったということで、私の次に書くことはお気になさらず、です。
私は主人公と女性上司とが性愛も含めて肉体関係も頻繁にあった恋愛と分った時、「結婚」というところで、この女性上司って、じゃあ、自分も同性愛者だったにも拘わらず男性と結婚したって事? それって、実は不誠実な人ってことじゃないの? とちょっと思ってしまったんですよね。それとも男女どちらもイケるよな、な女性上司? それもまた好感もてないような…。それは『「あなたを好きになり過ぎてしまったから、いっそ拒絶してほしい」という私の願いを、あなたは頑なに聞き入れませんでした』と「頑なに聞き入れなかった」割に主人公がいなくなったら、結局は他の、しかも男性と結婚したわけでしょう? と。そう思うと、主人公が言うほど素敵な人にも思えなくなるというか…。
コメディでない場合、あまり性愛の対象は変わらないもの、というか、同性愛者が性愛の対象を異性に切り替える場合のハードルの高さはそれだけでドラマ性があることなので…。むしろ主人公より女性上司の結婚に辿り着くまでの紆余曲折物語の方に興味を覚えてしまうというか…。で、わたし的には恋愛ものではここが大事なところでは? と。特に「あなたが素敵過ぎて別れた」というような場合は、その相手がなるほど主人公の言う通り素敵な人だな、という存在で描いてないと、純愛というよりどこにでもある恋愛のひとつにすぎない程度になっちゃって、そうなるとただの普通の人相手に盲目的に恋焦がれる主人公という印象は滑稽譚に繋がってしまうというか…。もちろん、女性上司が結婚した相手もまた女性でした、というのであれば、上司は主人公の言う通り、素敵な人だったのでしょうと受け取りますが。
あともう1つ、気になったところは「私が恐ろしく嫉妬深い女なのはあなたもよくご存知だと思います」ですよね。
この1文があるがゆえに、手紙それ自体が実は復讐の意味合いがある? と。ただこれは主人公の方が一方的に女性上司の元を去ったことを思うと、主人公自身が「独りよがり」と語ってはいても、いやいやいや、充分、意図的に書いてるんでしょう? と思えてきてしまうんです…。だって、女性上司の立場に立てば、これが男性と結婚していた場合には震撼させられるような内容ですし、同性婚だったとしても、怖いって、と思います。自分から去ったくせに後になって、しかもこちらが結婚したと分かったら未練たらたらとも思える様な内容をわざわざ人に頼んででも渡してくるって、なんなのこの恨み節、と。そう受け取れなくもないわけですよ、生々しいふたりの日々が書かれているわけですから。自分の中で終わった過去が亡霊のように追ってきたーって思えなくもなく、それはある意味、こちらは全部覚えている、だから忘れるなよ、という意味にも受け取れるので。だって、女性上司の方は新しい相手と新婚生活を送っているわけですから。
そう考えると実はこれ純愛の顔を被ったホラーなの? と思えなくもなく…。つまり主人公側で手紙を読むのではなく女性上司側で読むと、そういうふうにも受け取れてくるので…。ただ、狙いとタイトルがぴたりと一致しているので、そういう意図をもって描かれたわけではない作品というのはちゃんと分かってますが。ただ、そういうウラ読みが可能ではあるよ、というところをちょっとお伝えしてみようかな、と…。
作者の意図とは別に、読後感として、なにかがストンと落ちて来ない所以はそういういかようにも読めてしまう点にあるような、とも思ったので。

六番
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久々の男様

書きたいテーマの違いというお話、とても分かりやすくて腑に落ちました。私の創作はいつも「何を表現したいか」から始まり、それに合わせて話をしつらえます。ただ、私にストーリーを構築する能力が足りていないので、「精神世界の描写に傾倒していて展開に起伏がない話」になりがちです。表現の手段として選択肢は多いに越したことはないです。「動」の作品もしっかり書けるようになりたいと常々考えていますので、ストーリーなどの観点でご指摘をいただけることに関してはありがたいなと感じています。
作品内で、女性同士だからこそというジェンダーの問題をどこまで強調するか、いつも悩みます。この作品は当初、「異性の関係であったならば」の部分はありませんでした。私としては女性同士である時点で異性間にはない独特な空気感が伴い、それ自体が魅力足り得るものだと思っています。しかし、やはりマイノリティである以上はその選択に理由を求められます。同性の話に対して「異性でも成り立つ」という指摘があっても、異性の話が「同性でも成り立つ」からと言って評価は落としません。一方で、同性同士であるがゆえの葛藤を描いてその説明責任を果たすことによって作品に深みが生まれるのは、マイノリティならでは付加価値としてある種のメリットともいえます。とはいえ、それを物語の主目的に据えすぎると、読者に対して説教臭くなってしまったり、感情操作的に映ってしまうリスクもあると思います。押し付けがましくならないよう、その塩梅には常に気を使っているので、久々の男様にその部分を評価していただけたことはとても自信になりました。
「劣等感」はこの主人公を象徴する一つの要素ですね。彼女は振られたわけでも相手を嫌いになったわけでもないのに、ふさわしく思えないという理由で自ら離れました。この非対称な心理の関係性こそが、主人公の語りの源泉であると言えます。つまり、この作品において「恋愛」はあくまで媒体なのだと言えます。
素敵なコメントで励まされました。お読みいただきありがとうございました。

飼い猫ちゃりりん
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六番様
他の読者に悪影響を及ぼすといけないので、ここは明確に言っておきます。
「心の世界」という虚構に騙されてはいけない。小説家はリアリストであり宗教家ではない。
心だけで心を描くことは絶対に不可能です。
何度も言いますが、キャンバス無くして絵を描くことはできません。
心を描くには社会というキャンバスが必須です。
各自が自分の心を覗いてみれば明らかです。人が何に喜び、何に悲しむのか。
この作品で言えば、恋人と過ごした日々、彼らが生きた社会を描かなくては主人公の心は空白のまま。そこは読者に委ねてはいけない部分です。

誰も突っ込まないか、読めてないのか知りませんが、飼い猫が嫌われ役を買って出ましょう。
恋人の結婚を人づてに聞いた……?
主人公は会社を辞めて、恋人との連絡手段を一切断ったのに。芸能人でもあるまいし、他人の結婚話なんて誰も興味ありませんよ。
つまり、元の会社に「内通者」がいるということです。それが手紙を託す元同僚です。
元同僚が主人公の恋人かもしれないなんて想像している場合じゃない。そうでなくては話が成立しないのです。
つまり、主人公は二股をかけている。元の恋人は自分とはかけ離れた存在。だから交際を断念した。でも悲しいことに変わりはない。それを慰めてくれたのが新たな恋人(元同僚)です。彼女もビアンですよ。ビアンは相手がビアンであると雰囲気で分かるそうです。だから彼女は主人公を慰めた。そして主人公は彼女に手紙を託すことが出来る。なぜなら、ビアンは口が固い。彼女たちの世界は秘密の世界だから、秘密を託すことが出来るのです。
そのビアンの世界を描いて初めて主人公の心が描けるのです。

断言調で言いましたが、これも「迷える子羊」を増やさないための措置です。お許しください。

飼い猫ちゃりりん
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ちょっと突貫工事で書いて見ました。

 お久しぶりです。あなたの婚約を人づてに聞きました。
 本来ならば、直接会って祝福したいのですが、あなたを前にして、まともに言葉を紡げるとは思えない。だから文字に頼ることにしました。
 元同僚に託すこの手紙は、あなたが結婚した後に届けられることでしょう。私がそうお願いするからです。
 雪の降る深夜に筆を執っています。しんしんと積もる静けさの中、氷の中でまどろむような切なさに包まれます。
 あなたは、上司としても、恋人としても、まさに理想の存在でした。
 私が嫉妬深い女なのは、よくご存知ですね。あなたと結ばれる人が男性で良かった。もし女性だったら、私は、あなたの心から追放されたと思い込むことでしょう。
 この独りよがりな手紙を送るべきか、とても迷いました。けれど、あなたへの想いは、心に留めおいて墓場まで持って行くには、あまりにも大きくて重い。
 それに、過去を振り返ってみると、今になって感謝やお詫びを伝えたい人が、あなたに限らず思いの外いることに気付きました。連絡先が分からない人、きっかけや時期を失してしまった人、もう二度と会うことが叶わぬ人。伝えたいことを伝えられる機会は、風鈴の灯火のように、いつか消えてしまうのです。
 あなたの結婚を知ったとき、胸が張り裂けるかと思いました。でも、幸か不幸か、思わぬ恋に落ちることになってしまいました。
 私が手紙を託す元同僚が、私を慰めたくれたのです。彼女が同類であることは、お察しの通りですね。だから秘密を託すことが出来たのです。

sp1-75-10-216.msc.spmode.ne.jp

猫ちゃん、
あなたは本当に平凡な思考しか持ち合わせていないのですね。
まぁ、作者様本人の設定が曖昧なのが一番気になるところではありますが。

先に書いたように、元同僚が結婚相手で、彼女への暴露文(告発文)と怨み節と設定したら一番しっくりくるのです。

面倒なのでAIに回答を頼みましたよ。

「主人公は嫉妬深いと書いています。また、書く手が震えている、墓場まで持っていく、という描写から、完全なる怨み節とした場合、この手紙は同僚(同性結婚)への告発文(暴露文)ともとれますが」

ご指摘の通り、この手紙を「冷静な回顧録」あるいは「単なる祝福のメッセージ」とは異なる解釈をすると、「嫉妬」と「憎しみ」に根差した感情――しかもそれがある種の復讐心や告発の意図へと転化した可能性は十分に考えられます。この観点に立つと、この手紙は「ただの元恋人への思い出の吐露」ではなく、むしろ恋人と現在のパートナーである「元同僚」への「呪詛に近いメッセージ」と読むことも可能です。この解釈を踏まえ、いくつかの具体的な示唆を整理してみます。

1. 嫉妬深さと震える手:主人公の感情の過激性**
主人公自身、「私は恐ろしく嫉妬深い女なのは、あなたもよくご存知だと思います」と明言しています。これにより、彼女の妄執的な感情の深さがはっきりと示されています。嫉妬心はただ羨望にとどまるものではなく、憎悪を帯びた形に変化している可能性も十分に考えられます。特に次の点が、この解釈を補強します:

- 「文字を書くこの手が震えるのは、寒さだけが原因ではなさそうです。」
この記述は、主人公が感情の昂ぶり、特に激しい怒りや嫉妬に身体が反応していることを暗示しています。ここでの「震え」は悲しみや感傷とは異なる、抑えきれない激情の可能性を感じさせます。

- 「墓場まで持って行くにはあまりにも大きくて重た過ぎる。」
通常の失恋による「未練」や「後悔」に留まる感情であれば、このような強い表現は異常とも取れます。このことから、主人公の内にはっきりとした「伝えずにはいられない」という執念や、破滅的な「暴露・告発」の意図が隠されているのではないかと見て取れます。

2. この手紙のタイミングと意図する破壊
主人公は、「元同僚に託したこの手紙がいつあなたに届けられるかは分かりません」と記しているものの、あえてこのタイミングで手紙を出していることに悪意や計算の可能性を感じます。この手紙は新婚の幸せな時期に届くことが容易に想像されるため、以下の意図が考えられます:

穏やかさを破壊するための告発文
恋人の結婚相手が「元同僚」である場合、この手紙は「かつての恋愛関係」「身体的な親密さ」「愛された記憶」を赤裸々に描き、それを結婚相手に間接的に知らしめることで、関係を揺さぶる狙いがあると考えられます。この手紙は、「あなたが結婚相手に隠していることを暴露する」という、告発者的な役割を果たしていると言えます。

恋人に罪悪感を植え付ける意図
主人公は手紙の中で、自分自身が恋人との交際を続ける勇気が持てなかったことを語る一方で、恋人自身も完全には主人公を断ち切っていない雰囲気を匂わせています。「あなたを好きになり過ぎてしまったから、いっそ拒絶してほしい」という主人公の訴えを、恋人が「聞き入れなかった」という記述がそれを示唆しています。この攻めの要素によって、彼女に「私を傷つけた」という罪悪感を突きつける一面も考えられます。

3. 手紙全体に潜む「告発の意図」
手紙には「あなたを好きだった」「幸せを願う」という一見美辞麗句が並び立っていますが、それらの内側にある「暴露」や「告発」の意図を探ると、次のポイントが浮かび上がります。

二人の過去の関係性を具体的に言及している
主人公は、「裸で抱き合った」「頬にキスをするあなた」「あなたの少し掠れた声」など、極めて具体的で鮮明な描写を繰り返し書いています。新婚の相手がこの手紙を目にすれば、この冷静な暴露がショックを与えることは明白です。「幸せを願う」という言葉が書かれていても、その実、幸福な関係を引き裂くための傷跡を刻む表現として読み取ることができます。

「灯火」というタイトルの象徴性
このタイトルには「灯火(恋人)を心の中に灯し続ける」という美しい意味も感じられる一方、「風にさらされた灯のように、いつ消えてもおかしくない」というフレーズと相まって、恋人の新しい生活に対する揺さぶりや破壊を暗示しているようにも解釈できます。

同性だからこその罪深さの強調
主人公は手紙の中で、比較による自身の劣等感や苦しさを語る一方、「女性同士だからこそ」この関係が異常で許されないように感じたと述べています。そして「二人が異性の関係であったならば……」という言葉から、「同性間の関係」をあえて強調する意図が隠されています。これは、新婚相手に対する「知るべきこと」の暴露としての意味合いを持つ可能性があります。

4. 主人公の屈折したエンドメッセージ
手紙の最後には、「あなたの幸せを心から祈っています」という一文で締めくくられていますが、これは本心というよりも、皮肉や毒を込めており、新婚生活への不穏な影響を意図しているとも読めます。

- 「幸せを祈る」という言葉の直前に、「いつか私が永遠に眠るとき、寒空の下、あなたとの思い出を胸に灯したい」という記述があり、ここには絶望的かつ怨念めいた執着が感じられます。このフレーズが新婚相手に届けば、恋人との過去がいかに主人公に強い影響を残しているかを示す告発になるでしょう。

まとめ:この手紙が告発文と読む場合の意図と効果
この手紙は一見、恋人への感傷的なラブレターや祝福のメッセージに見えますが、実際には一種の暴露文として機能している可能性があります。その目的は以下のように整理できます:

1. 恋人と新婚相手の間に亀裂を生じさせるための暴露
恋人との過去の親密な関係を赤裸々に明かし、「新婚の幸せ」を破壊する意図を持っています。

2. 恋人への罪悪感と後悔の思いを植え付ける
主人公が受けた傷や苦しみを明確にすることで、恋人に「自分は幸せになっていいのか」と思わせる心理的な揺さぶりを狙っています。

3. 主人公自身の怨念の昇華
全てを暴露することで、自分の重い感情を相手に転嫁し、少しでも苦しさから逃れようという意図があります。

この手紙は、主人公の愛憎が入り混じった複雑な感情を曖昧に隠しつつ、読んだ相手の心に深い爪痕を残すことを目的とした「言葉の爆弾」である可能性が高いと言えます。

──

私は手紙や日記、手記などの独白文は、小説に於いての小道具の一部であると考えています。
ミステリーを書くにしても、純文学にするでも、作者様はこの独白文を生かした中編或いは長編にチャレンジされたらいかがですか?

ヘツポツ斎(=佐藤)
p1460140-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

読ませていただきました。「旅路」とするにはやや昇華後の話が薄いな、と言う感覚です。「この手紙を一つの区切りとします」みたいな文言があってほしかったかな? と感じました。

「あの人」が結婚した、ということは、ヘテロでありながら受け入れたのか、あるいはレズでありながらにして男を受け入れることにしたのか。そこの葛藤はもう少し見たかったかなとは思いましたが、「手紙」のリアリティとしては、こうした他者を見つめるつもりの他者不在のほうがあり得るのかもしれない。この辺りについては敢えて空白をお開けになったのかな、という気がしました。

この手紙はおそらく、誰も彼もが「最善の選択」を失敗してしまった末の人生なのかな、といった余白は感じます。さらに言えば、「わざと」それ以外のすべてを文字の外に追いやっておられる。見てほしいのはあくまで心のさざなみ、というか。こうしたさざなみ「そのもの」を拾い上げようとするときに、どうしても「物語」との食い合わせは悪くなってしまうのでしょう。

自分は「物語」を希求する口で、六番様、あとはえんがわ様のように「感じていることやもの」そのものを拾い上げるスタイルはなかなか取れません。ただ、お二方の作品を拝見すると、自分もこうした「感じていること」そのものを拾い上げる小品を書くことによって、物語の中の景色が少しでも見えやすくなるのかもしれないな、と思いました。

ありがとうございます。

飼い猫ちゃりりん
14-133-236-48.area1a.commufa.jp

凪さん。だったらなぜ、主人公は「いつ届くか分からない」なんて言うの?
元同僚が元恋人の相手なら、すぐ届くでしょ。
そもそも、恋人に手紙なんてまわりくどいことしなくても、
元同僚に直接言えば告発完了じゃん。
「あなたの結婚相手はレズビアン。相手はあたしだったのよ」
これさぁ、元同僚が男でも女でも話に無理が生じるよ。

やっぱ主人公がどうやって元恋人が結婚するとの情報を得たのか明らかにしないと。

元同僚はどう考えても主人公とかなり親密な間柄じゃなきゃ話が成立しない。
情報は元同僚から得たとしか考えられない。
じゃ元同僚は男? いや有り得ない。
これはもう作者の脳内でどう成立しているのか聞かなきゃ分からない。

また、一体なんのために手紙を送る?

飼い猫としては、状況設定を確立しないまま、気分で書いたとしか思えない。

fj168.net112140023.thn.ne.jp

猫ちゃん、こんなことがわからないようではもの書きは辞めちまえよ。

六番
flh2-133-207-7-64.osk.mesh.ad.jp

凪様

「主人公の復讐」という読み方に関しては意図してはいなかったのですが、実のところ、結果的に復讐になりうるとは思います。
私としてはこの主人公の言葉に裏はなく、最初から最後まで含みも偽りもない純粋な思いのつもりで書きました。そうでないと「昇華」たりえないと思っているからです。しかし、結婚をした元恋人からすれば、今更こんな内容を送られることに対して、もしかしたら負の感情を抱くかもしれない。そうなると復讐ともとれます。

>作者様本人の設定
これに関して少しお話しますね。
主人公が結婚を知るのは、元同僚と偶然会って話を聞いたからです。そして、手紙を書く決心をし、それをその元同僚に託します。
それをだいぶ端折って現在の形になっています。
つまり、元同僚はただの装置なんですね。ちなみに、その元同僚が主人公の新たな想い人という想像も自分ではしていますが。
私が想定していたよりも、怖い方向へ読み取られる方が多くて意外に思っていたのですが、やはり私のさじ加減が下手でちょっと削りすぎてしまい、余白が大きくなりすぎたようですね。とっかかりの部分はもう少し分かりやすく用意したほうが良さそうです。「元同僚」に関してはもう少し考えて扱うべきでした。
とはいえ、凪様のように状況証拠的な感じで推察をして主人公の本心を探ろうとする試みは、作者としてとても嬉しく思います。とても興味深い考察でした。お読みいただきありがとうございました。

六番
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偏差値45様

伝えたいこととはちょっと違うのですが、「強い未練」に関してはまさに意識して描写しました。
結局のところ、主人公はかなり引きずってはいるし、相手に未練たらたらです。だからこそ、その全てを込めた手紙を送ることで想いにケリをつけようとしました。
「昔は良かったね?」「結婚しても、わたしのことを忘れないで」とは手紙の中に直接書いていなくても、そういった必死な雰囲気が伝わってくる文面ではありますよね。ただ、本人としてはそれを伝えようとは思っておらず、書きたいように書いた結果、そうなってしまった。主人公は相手に何も求めてはいないんです。ただ、自分が前を向くために、必要な儀式だったのです。それこそ、「昔は昔、今は今」と割り切れるようになるために。
意識の持ち方次第で、人間関係も単純なものにできますね。私はつい複雑に考えがちですが……。
お読みいただきありがとうございました。面白い作品を書けるよう、精進します。

飼い猫ちゃりりん
14-133-236-48.area1a.commufa.jp

凪様。大外れ、おめでとうございます。あらぬ方向に高速を走っていく爺ちゃんみたいで楽しめました。笑

偏差値45
KD027093034200.au-net.ne.jp

飼い猫ちゃりりんさん、凪さん。

感想文に不正解はないです。
本当にそう思ったならば、それが正解です。

飼い猫ちゃりりん
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偏差値さん。ちょっと大事なこと話してるんで。感想に正解がないとかの話なら、同レベルの人としてください。

もちろん、凪さんがあさっての方向に走ってしまった原因は道路標識がぼやけているからです。
作者さんは「偶然仲の良い元同僚に会った」と言っていますが、この物語を御自身で理解しているのかなぁ?
大都市じゃなきゃ、偶然会うことも許容範囲でしょう。
でも、そのときに手紙があるわけないので、当然
「ねえ。知っている? あの人結婚したのよ。あなた、仲が良かったでしょ?」
「そう。なら、ちょっと頼みたいことがあるんだけど」
「なに?」
「あの人にお祝いの手紙を渡して欲しいの」
「いいけど、自分で郵送した方が良くね? なんで私が?」
「実はあの人、あたしの元恋人」
「えー!あなたたち、ビアンなの!」
「そうよ。びっくりした?」
「うん。ちょっとだけ。で、なんで私が手紙を」
「その方が脅しが効くからよ。あの人の相手が女だったら、バラすからねって」
以上が恨み節バージョン。凪さんは、さらに発展させて、その元同僚を元恋人の結婚相手に設定する。
さすが凪さん! と言ってあげたいところだけど……
なぜ手紙がいつ届くか分からないの?
元同僚が結婚相手だったら、その元同僚はたぶん男だよ。普通その手紙をすぐ突きつけて
「なぜ同性愛者であることを黙っていた!」
となるでしょ。
なら元同僚は女か?
だとしても、親友の手紙をいつまで持つつもりなの? どんないい加減な親友なんだ。

もう分かると思うけど、飼い猫バージョンなら、全てがスッキリと展開するよ。
主人公も元恋人も元同僚も全員ビアン。
元同僚は主人公と元恋人の関係をそっと陰から見ていた。
だから主人公を慰めたい気持ちと、主人公に対する恋心を抱いて、傷心の主人公に近づく。
しかし、「いつ手紙が届くか分からない」設定はミス。こんな大事な手紙なんだから、元同僚だってずっと手元に置いとくはずがない。
だから主人公は新たな恋人である元同僚に一任する。
「いつ届けるかは、あなたが決めて」と。
ああ、もうこれ以上はやめますよ。
つまり、キャンバスをちゃんと用意して描かないとこうなる。
別に六番さんだけじゃない。この飼い猫もよくやる失敗。
「憎しみの河」の第一章を読めば分かる。ぷりも様が言うように、あれでは下流というイメージ。もちろん土石流は下流までくるデカいやつもあるけど、イメージが普通はわかない。だから明確に舞台を上流にしないとダメ。ミスはミスと素直に認めて修正をする。はっきりと脳内にイメージを持つ。

相手がヨチヨチ歩きの赤ちゃんなら褒めまくってモチベーションを上げてあげればいいけど、六番さんはもうそんな段階じゃないことは明白。だから指摘するしかなかったのです。御理解下さい。(ペコリ)

sp1-75-9-195.msc.spmode.ne.jp

>元同僚に託したこの手紙が、いつあなたに届けられるかは分かりませんが

>なぜ手紙がいつ届くか分からないの?

猫ちゃん、
私の解釈で読み解いた場合、この手紙は一生恋人の手に渡らないかも知れない。

その辺りの情景が思いうかびませんか?

すべて描いてはつまらないのです。

しかしながら、作者様の設定とは違いましたがね。
それならそうと最初から元同僚から聞いたと書けばよいだけの話なのですが、それを描かなかった故に、読者は惑わされたのです。まぁ、同僚が単なる舞台装置であるならば、現在の同僚への思いなどは要らぬ描写ですし、直接恋人に出した手紙とすれば、「灯火」との想いと「昇華」というテーマは華麗に消化できるはずですので。

書き出し例

 先日、結婚されたという話を元同僚から聞きました。心よりお祝い申し上げます。本来ならば直接お会いして祝福するのが礼儀ですが、この手紙にて失礼いたします。あなたを前にしてまともに言葉を紡げるとは思えなかったのです。真夜にかざした灯火がそうであるように、胸の奥に広がる暗い影を、すべて照らすことは叶わないのです。
 雪が降っています。街路の灯に照らされた雪片がちらちら舞い踊っています。光はあまりにも冷たく美しい。その景色を見つめる私の指先は震えていますが、それは寒さのせいではありません。あなたへの想いを紡ぐこの手紙の行間が、私の心を少しずつ赤裸にしていくからなのでしょう。あなたのことを思い出します。あの冬の日々、冷えた部屋でふたり背中を寄せ合い、ただ黙って窓の外を眺めていた時間。あなたの頬に触れると、私の指が少しひやりとしたこと。
 一年が経った今でも、想いは何も変わっていないのだと気づきました。あなたからすべての連絡手段を断ち、思い出が詰まった品を手放し、この街も去りました。それなのに、ただ雪の降る夜になるとすべてがあなたの記憶へ戻される。深い眠りの中で、夢にあなたが現れる。手を伸ばしても届かず、雪の中に足跡を残して消えていくあなた。その暖かな痕跡を追いかけるように、私は目覚めたときには涙を流している。それは冬という季節そのものが、あなたと私を繋げる呼び水だからなのでしょうね。

云々~

──てな感じ。

上松 煌
M106073145001.v4.enabler.ne.jp

六番さん、こんにちは

 いかにも女心の複雑さや綾、文面に隠された怨念を見事に表現していました。
あなたが男なら大したものです。

 でも、これを読んでの、おれの印象は「ぎゃぁ」でした。
こ、怖ぇええ~。
ひたすら自己の思いを告白する、愛というより執念を感じさせる文面にストーカーのような身勝手な粘着を感じました。
結婚する元恋人の前途を、黙って見守ることのできないこの主人公は発達障害なのかも。

 おれはお話の内容を、どうしても自分に引き比べて読んでしまうので、作者のあなたの意図とは違った解釈になったかもしれません。
残念ながら、あまり変わり映えのしない告白だけの内容に飽きてしまい、途中から流し読みになりました。
こうした手紙形式の作品はごはんでもけっこう目にするので、あまり目新しさがなく、手法としては在り来たりだからです。


 また、タイトルは「ともしび」と読んでいいのでしょうか?
「とうか」なら、ニュアンスや印象、作者の意図したところが違ってきますので、どう読むのかなぁとちょっと迷いました。
つまり、「ともしび」は情緒的で古風な印象、「とうか」なら、やや現代的でモダンな雰囲気になるからです。
おれはタイトル(表題)は特別な意図がない限り、作品の内容を彷彿とさせるものが望ましいと考えるので、少し気になりました。

 さらに、このお話は「昭和」で、主人公は少し年配の感じがしました。
文中に、
>>元同僚に託したこの手紙<<
>>筆を執っています<<
>>墓場まで持って行く<<
などと、令和の子たちがあまり使わない表現が散見されるからです。


 どなたかの感想返しに、メールの設定だったとあなた自身が書いているので、時代設定を考慮すべきかも。
時代色を入れると作品に信憑性が増しますし、時代を知る人には懐かしさと共感を、知らない人には好奇心と興味をそそります。
あなた自身、お若くない感じがするので、時代色は作品に厚みが加わります。

 今は消えてしまいましたが、以前、「播京ニッケル」という人(多分70代)がいて、昭和のころのハード・ボイルドを得意としていましたが、けっこう読者がいました。
時代色は強みでもあるのです。
いかがでしょう?

里桜奈
om126157125241.27.openmobile.ne.jp

作品読みました。
難しい言葉も使われているのに、とても読みやすい文章で尊敬します!
特に風景の描写を入れつつ、主人公の心情を示しているところから、もう世界観に入りこんでしまいました。

女性同士の恋の未練が描かれているのは新鮮でいい刺激になった気がします。

ただ、主人公の独りよがりすぎる部分、どこか狂ったような心情が感じられたけれど、どこかすっきりしない感じがありました。
これも、主人公の心情が表すのにふさわしい終わり方なのかもですが、少しモヤッとしてしまいました笑

六番
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アン・カルネ様

主人公の恋愛への共感は、目的ではなくあくまで読解の手段の一つなので、そんなに重要視はしていませんでした。
私としては「主人公が重い愛や自己嫌悪などの感情を経て、自身をどう扱うのか」という内面の推移を徹底して描いたので、主人公への共感が必須ではない構造になっているつもりです。もちろん、共感してもらえることに越したことはなく、一つの入口として機能していればいいなと思っています。
アン・カルネ様が感じられた「相手の女性は主人公が言うほど素敵な女性ではないのでは?」という疑問ですが、そのとおりなのです。主人公はとにかく自己評価が低く、相対的に相手を過大評価してしまうところがありました。主人公は徹底的に相手を持ち上げていますが、その相手が本当に素晴らしいのかは主人公だけの視点だけでは疑わしいものです。相手は主人公と別れてからしれっと結婚をしているし、主人公から「拒絶してほしい」と言われてもそうしなかったのは、自分が悪者になりたくなかっただけかもしれません。つまり、実のところ結構賢しい立ち回りをしていたと想像もできます。ですので、「ただの普通の人相手に盲目的に恋焦がれる主人公」という捉え方はとても真っ当なものだと思います。
また、「純愛の顔を被ったホラー」というのも然りです。もちろん、私はそういうつもりで書いたわけではありませんが、結果的にそう読み取れることは肯定します。ただ、主人公は相手へのその想いを清濁問わず吐き出し切ることで「昇華」を完遂しますが、そこには相手への復讐の意図は無いわけです。もちろん、相手が負の感情を抱く可能性を主人公は理解しています。そのエゴにまみれた選択は、客観的に見れば確かにホラーじみていると思います。しかし、それでも彼女にはこの儀式が必要だったのです。
「滑稽譚」でも「実はホラー」でも、いずれにせよどういった捉え方であっても「面白い」と思ってもらえるのが理想です。しかし、アン・カルネ様のみならず他の方々も、少なからず戸惑いや疑問などもやもやすることがあったようで、自身の力不足を痛感しました。
ちなみに私の設定としてですが、相手は主人公との出会いで同性もいけると気付いたバイセクシャルで、結婚相手は男性です。主人公としては「結局、男なんだ」と踏ん切りがついたかもしれませんが。
お読みいただきありがとうございました。

六番
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飼い猫ちゃりりん様

再度のコメントありがとうございます。
見解をわかりやすく教示いただけてとても参考になりました。自分が持っていなかった視点をこうして知れるのは貴重な体験です。作品を読んでもらえて本当に良かったと思います。
また、本文の改稿案も嬉しく思います。自分の作品をまた違った角度から見ることができて勉強になりました。特に「もし女性だったら、私は、あなたの心から追放されたと思い込むことでしょう。」の部分は、主人公の性質がわかりやすく表れていて自分の好みです。
私はこの作品において、読者に対し統一的な心情をもたらすことを目的とはしていませんでした。その結果、想像していたよりも様々な捉え方をしていただけて、創作のヒントをたくさん得ることができました。未熟な部分を見つめ直し、今後の糧にしたいと思います。たくさん教えていただき、ありがとうございました。

六番
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凪様

私の設定と異なっていたからと言って、凪様の解釈の価値に変化はありません。一つの捉え方として、私はとても興味深く読ませていただきました。
「こう読んでほしい」という意図は最初からこの作品にありません。私の設定も、ただのパターンの一つに過ぎないです。
ただ、読後の心情として戸惑いが大きく占めるのであれば、それは私の力不足ゆえです。すべて描いてはつまらない、というお気持ちはよくわかります。しかし、この作品は空白が大き過ぎたかもしれないですね。今回はそういった問題点がよくわかり、とても意義のある投稿となりました。
書き出し例、参考になります。どの一文も、意図するものがはっきりと伝わってきて、表現の方法に新しい発見が多くありました。この度は改めてありがとうございました。よりよい作品を書けるよう、精進します。

小次郎
182-165-172-149f1.hyg1.eonet.ne.jp

作品の感想というよりも、主人公の印象になります。
「やや幼い」なと感じました。
愛されるようになるのを目指す。
人を愛してもよいでしょう?
それがいけないというんではなくて、印象が……どうしても。

小次郎
182-165-172-149f1.hyg1.eonet.ne.jp

六番さんコメント欄を汚すことお許しくださいね。

このサイトには禁止事項がありますよね。

よく皆さん、読みなおしてみる事おすすめします。

禁止事項の一つ。

>人種や民族、国籍、宗教、性、身体、思想などについて、個人や集団への差別や攻撃を肯定または推奨する表現を含むと運営者が判断した場合。

最近、著しく守られてないような?

気をつけましょう。

僕も気をつけるつもりですが、守れていなければ注意くださいね。

飼い猫ちゃりりん
sp1-72-9-107.msc.spmode.ne.jp

小次郎さん。その前に六番さん。返信ありがとうございます。作者を傷つけたかなぁと心配していたので、ホッとしました。
ところで小次郎さんの指摘が猫には理解できないんです。
何か表現上の問題があるのでしょうか?
飼い猫の『憎しみの河』の方が、よっぽど問題だと思うのですが。笑

小次郎
101-140-125-229f1.hyg1.eonet.ne.jp

喧嘩になりそうなんで、あえて、個人名は伏せていますし、全体に対しての意見ですよ。
しかし、猫さんに対してでは全くないですよ。
どちらかというと、全体への注意喚起をしています。
あまり攻撃力の高い言動を見ると、気持ちが優れなくなるんで。
ある程度の攻撃力がある発言は仕方ないとは思いますよ、僕も。
でないと伝わらない場合もありますし。
六番さんの作品にもどうこういうつもりはありませんね。
あと、作品でカラー出るのは仕方ないと思いますね。
作品では。
でも、コメント、伝言板、その他で攻撃力が「高すぎる」と嫌な気持ちになりますよ。
こう言っている僕も、攻撃力が高すぎた場合は注意お願いしますね。
いろんな人がいるんで、平和的にいきたい。
あくまでも、僕の希望です。

飼い猫ちゃりりん
sp1-72-9-107.msc.spmode.ne.jp

小次郎さん。同感です。他人への攻撃なんて虚しいだけです。
ただ、作品への指摘を、攻撃と見なす風潮があることも事実。
現に猫は今、「六番さんに粘着している」と、ある人から攻撃されているのです。これでは自由な意見が言えなくなります。

m.s
146.75.189.30

六番さま

先日は感想ありがとうございました。御作も読ませていただきました。
遺書なのかな、と思ったら未来への決意表明なのですね。
まっすぐな小説であこがれます。私にはとても書けません。ひねくれているのでてっきり、
「もと恋人の新生活に不穏な、自死をちらつかせた呪いの手紙を叩きこむ」
というものかと先入観を持ってしまいました。
私などが言及すべきところではないでしょうが、少し古風ながら表現や技巧などは塾れており、優れている。
ではこれを良くできた私信の類例とすべきか、小説とすべきか。
もう少し小説的な野心が欲しい、とは思ってしまいました。

健全さが眩しかったです。私はもうすこし不健全なあたりで頑張ろうと思います。
今後のご健勝を願っております。

六番
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ヘツポツ斎(=佐藤)様


昇華後の薄さという部分を意識して読んでみると、ラストへの入り方が確かに少し急いている印象がある気がします。最後のパラグラフ前はもっと深呼吸をすべきでした。
仰るとおり、不鮮明なストーリーと背景は意図したものではあります。ただ、他の方々の感想をみても、今回はその手法があまり活きていないようです。主人公と同様に、作者もまた独りよがりだったなと思います。自分にとっては不必要であっても、読者もそうだとは限らない。それがわかっていても、取捨の判断はとても難しいなと思い知りました。相手のセクシュアリティも、作品の本質を損なうこと無く明記することは十分にできたはずで、言い訳して検討の放棄をしてしまっていたのだと気付かされました。
創作のスタイルは、自分ももっと幅広く取り入れねばと思います。ヘツポツ斎(=佐藤)様のように、あえて自分が苦手とするものへの挑戦は特に必要ですね。私はやはり「物語」の構築が未熟ですので、また勉強させてください。お読みいただきありがとうございました。

六番
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上松 煌様

主人公が抱えている様々な闇を感じ取っていただけたことはとても嬉しく思います。その怖いくらいの重い愛がストーリーにうまく機能していればよかったのですが、この作品は主人公や相手の詳細などをあえて排し、延々と心情を書き連ねただけですので、人によっては退屈に思われてしまうのも覚悟の上ではありました。もっとやりようはあったと思うのですが、今の自分ではどうしてもそのリスクを取ることでしか意図した表現ができませんでした。精進します。
タイトルは「ともしび」としています。こういった複数の読みがある場合はそれぞれの印象も気にする必要がありますね。その部分には意識がいっていなかったので、目から鱗のご指摘でした。
時代色についてもこれまであまり考えていなかったので参考になりました。この作品ではそのあたりもぼんやりとしていますが、いっそ振り切ってみるのも面白そうだと思いました。たとえば、主人公を大正時代あたりの女学生としてみたり。センスと知識が問われますが…機会があればそういうのも挑戦したいですね。お読みいただきありがとうございました。

六番
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里桜奈様

文章の読みやすさは常々意識していますので、それを評価していただけて良かったです。特に今回は手紙という設定なので、仰々しい表現などは使わないようにしました。
冬のしんとした空気感は、手紙を書いている主人公を追体験できるような要素として描写しました。この作品では一つの重要な役割を担っていると自分でも思います。
主人公がもっと理性的であれば、こんな未練がましささえある手紙など書かないでしょう。けれど、私としてはそんな淀んだ感情も含めての心のあり方を描きたかった。モヤッとされたとのことですが、読者それぞれの読後感を意図はしていました。とはいえ、同じ内容であっても書き方次第でもっとわかりやすい形にもできたのではないかと思っています。今回は少し情報が足りなくて、主人公に狂気が帯びているような雰囲気が強調されてしまったかもしれませんね。
返信遅くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。

六番
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小次郎様

私としても、主人公の精神は幼く、未熟であると感じます。それでも、心情を言語化する過程をもってそういった自身の綺麗でない部分をあえて露呈しながらも、自己の内面を見つめるその行為には、深い誠実さが備わっているとも思っています。私にはそこまで含めて伝わるようにうまく書き表すことができず、主人公に対してやはりネガティブな印象を与えてしまいました。
主人公にとっては「愛される」ことが怖かったので、それを克服するための昇華となりました。ただ、「愛されたい」というようにも見えてしまいますね。その点ももっと適切な表現ができたなと思います。おかげさまで色々と課題が見えました。お読みいただきありがとうございました。

六番
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m.s様


前向きな気持ちを書いた部分を除けば、本当に呪いじみた遺書みたいですよね。清濁問わない心情の吐露により昇華を果たす、その光景をそのまま描いたつもりですので、主人公の強い思いが滲み出ているのであれば、私としては一つの成功といえます。とはいえ、読者としてはやはり「なぜこの手紙を送ったのか」という部分に着目するのは自然です。そして、私の意図に自然と辿り着くような作品には仕上げられていないのも事実です。表現したい内容そのものはともかく、その扱い方がまだまだ雑なのだと痛感しました。
小説的な野心が足りていないと思わせてしまうのも、そういった物語の構成力の甘さに起因しているのだと思います。この作品は「手紙」である前に「小説」である、ということの意識が薄かったかもしれません。
この作品に限らず、私は「まっすぐ」に書いてばかりな気がします。ときには曲げてみる練習もしたいなと思っています。お互いに精進してまいりましょう。お読みいただきありがとうございました。

界隈
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手紙を綴る時点でまだ自分の中で関係を切るには踏ん切りがついていないのでしょう
このあと二通目の手紙を綴るか、はたまた別の行動(ストーカーなど)に出るかもしれない、と思わせる内容でした

しかしこの文章は滑らか過ぎる
おかしな語り手から滲み出る歪さが少なくトゲのようなフックが欲しい

なぜこのような指摘をするかというと、手紙の送り先の相手は実は語り手の空想の人物ではないかと感じさせてしまうきらいがあるからです

最後の方で相手とのエピソードがおまけ程度に書かれますが、この語り手から紡がれるべき文章には、もっと具体性をもったエピソードが細かく描かれるはずだと思います

六番
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界隈様

これはあくまで私の中での設定なのですが、私はこの主人公を不器用で愚かだけれど純粋な人物だと考えています。
ですので、界隈様が想像されたような、手紙を送ったあとのアクションや、手紙の送り先が空想の人物であるということは、想定にはなかったのですね。ただ、この作品には多くの空白があります。それ故に、読者の捉え方には大きな幅があることは当然です。私自身、改めて読み返してみれば、界隈様のご指摘に深く頷くばかりでした。客観的に見れば、やはりこの語り手は「おかしい」のだと。その部分をもう少し意識して書くことができれば、同じ内容であっても多くの読者を納得させられるような形にできたのだろうと感じます。
界隈様の捉え方は、私の描いた線の真裏をなぞったみたいで、ある意味ではこの作品のもう一つの姿なのだと思いました。お読みいただきありがとうございました。

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