姨捨山リターンズ「極楽山」
いまはむかし、信濃の阿智村に、ちょっと変わった一家が住んでおりました。
そこには、働き盛りの夫と妻、そして夫の年老いた叔母が一緒に暮らしていたのです。
叔母はまるで親のように大事にされ、「このまま一生面倒見てやるぜ!」と夫婦は意気込んでいました。
ところが、この叔母、口を開けば毒しか吐かないタイプでして。
「女性が男性の前をいくなんて」とか、
「股開いて歩くなんて、どこの田舎ヤンキーだい?」とか、
毎日毎日、チクチク嫌味のオンパレード。
しまいには、その毒舌が祟ったのか、叔母の背骨がポキッと折れてしまいまして。くっついては曲がり、また折れては曲がりを繰り返し、ついには地面と90度のご挨拶状態に。まるで人間L字定規ですよ。
夫婦はもう、うんざりを通り越して
「叔母、ホラー映画の幽霊より不気味だわ」と顔を見合わせる日々でした。
ある晩、夫がポツリとつぶやきます。
「なんで叔母は骨は弱いのに、 死なないんだろう?」
妻は目をキラリと光らせ、ニヤリと笑ってこう返しました。
「ねえ、心も体もガタガタなんだからさ、いっそ怪しい注射でも打っちゃって、『お疲れ様でした~』って送り出そうよ。お金もないし、食糧だって残りあと米粒数キロよ?」
夫は「うーん」と渋い顔。
「いや、さすがに殺すのはマズイだろ。俺、夜眠れなくなっちゃうよ」
すると妻、まるで悪役令嬢みたいに手を叩いて新たなアイデアを閃かせます。
「じゃあこうしよう! 今流行りの『謎の病気』をでっち上げて、怪しげなワクチン打たせちゃうの。『免疫落ちちゃって残念でしたね~』って感じで、自然にフェードアウトしてもらえばバレないわよ。
姨捨山みたいに山に捨てる人もいないし、楽ちんだよ。ついでに若者が『新しい時代だ!』ってキャッキャしながら村を活性化してくれるしさ。バカはワクチン打って勝手に消えてくれればラッキーってね!」
夫は眉をひそめて考え込みます。
「でもさ、人間の命をそんなおもちゃみたいに扱っていいのかな? 倫理的にアウトじゃない?」
妻は鼻で笑って一蹴。
「倫理? そんな贅沢言ってる場合じゃないよ! このままじゃ中の国に『いただきまーす』って食われちゃうわよ。
年寄りのカビ臭い考えなんてジャマなだけ。ほら、グズグズしてると次は私たちが姨捨山行きだよ!」
こうして、夫婦は怪しげなワクチン作戦を決行。
人類はまるで「麦と毒麦」の選別ゲームみたいに分けられちゃいました。
結果、平均寿命はガクンと下がり、都心は外国人観光客で「寿司! サムライ!」と大賑わい。
一方、よりすぐりの少数僭越なものたちは、田舎に隠れて「嵐が過ぎるまで田畑仕事してゆっくりと大衆たちの行動見とくか」とひっそり暮らしておりました。
黄金に耀く極楽山と呼ばれたとか。
そして数百年後、また誰かが「姨捨山、再開しちゃう?」なんてメモを残したとか、残さなかったとか。
執筆の狙い
姨捨山を現代版にリメイクしました。もう少し古典ぽくしたいのですが、みなさんの善い「イデア」を頂戴したいです。
かなりタブーのため賛否両論あることでしょうが、伝記はこうやって描かれて一つの古今和歌集になるのでしょう。
ここにコメント頂ける皆さんで、歴史を紡いでいければ幸いです☺