さくら、みのる。1EPISODE
私はこの目でその瞬間を、見てしまった、、、
どしゃぶりだったあの日、彼女は少女を助けるために、道路に飛び出した。
少女の小さな背中を押すと、彼女は倒れ込んでしまう。
そのまま、車が、、、
その時、彼女がさしていた傘が宙に浮いていた。
❀ ❀ ❀
「はっ!」
私は目を覚ました。
小鳥がチュンチュン鳴いている。
そして、私も泣いていた。
そして、私の目には、思い出のあの写真が写った。
「みのるさん、、、」
その写真は私と、"みのるさん"のツーショット写真だ。
みのるさんは、去年の4月に、死を遂げた。
みのるさんが死んだという事件は一瞬に世間に広がったが、すぐに忘れ去られた。
私は、ずっと苦しんでいると言うのに。
私は、クローゼットを開け、着替え始める。
着替えが終わると、自分の部屋を出て、階段を駆け下りた。
「ちょっと、さくら!走らない!」
「ごめんなさい、お母さん!」
毎日はお母さんに叱られまくり。
お母さんも厳しい家庭で育てられたからか、私には厳しい。
弟にそうじゃいのに。
でも嫌なんかじゃない。
お母さんは私が怪我しないように注意してくれたんだから。
お母さんが用意してくれたご飯を食べ終わり、お母さんに元気に、
「行ってきます!」
と言うと、外に出る。
そして、"あの人"が来るのを待ち構えた。
「お待たせ!待った?」
彼の事を、あきくんと呼んでいる。
彼は、みのるさんの元カレである。
みのるさんには悪いかもしれないけれど、付き合う事にしたのだ。
あきくんはとにかくカッコいい。
モテモテなのだ。
みのるさんには、ぴったりだった。
「じゃあさくら、行こっか。」
「うん。」
みのるさんは今、どうしているのだろうか。
死んでしまった後、どこに行ってしまったのだろうか。
天国など、存在するのだろうか。
まぁ、そんな事は考えたくもない。
みのるさんの事を思い出したくない。
胸が苦しくなるから。
「さくら、着いたよ?さくら?」
「え、あ!ごめん、ボーっとしてた。」
あきくんは心配そうにため息をついた。
私はあきくんと別れ、自分の教室へと向かった。
少し疲れているのだろうか。
毎日あの夢を見させられているからだろうか。
めまいがした。
「はーい席に着けー」
先生の呼びかけと共に、皆席へつく。
先生はふらふらする私に問いかけた。
「どうした百瀬、体調悪いか?保健室に行ってこい。」
「はい、、、」
ふらふらしながら保健室へ向かう。
保健室にいたのはあきくんだった。
「あれ?さくら、どうしたの?」
「あきくんこそ、どうしたの?」
あきくんの話によると、あきくんも朝、みのるさんの夢を見て、めまいがしたらしい。
私と同じだ。
一体どうして、、、?
私はあきくんの隣に座った。
私はふらっとして、あきくんの肩に頭をのせた。
「辛いよな、自分の恩人がいなくなって、ずっと、その人の夢を見させられてるんなら。」
あきくんはそう言って、私の目元にある光るものを指で拭き取った。
執筆の狙い
読者に感動してもらいたいから。
表現したいのは「ちょっと切ないラブストーリー」。