取り戻せ、日常を。
バアァァンッッ
突然,耳をつんざくような爆音が響いた。
私の婚約者候補を探すためのパーティーの途中だった。名門の家系の人となんか,婚約なんてしたくない。未知の病気で母が亡くなった時も,親友だと思っていた子に裏切られた時も,孤独に苦しんでいた時も,楽しくて笑っていた時も。ルイスだけがいつも私のそばにいてくれた。兄弟はいなくて,父は忙しくてほとんど毎日家にいなかった。『王族と結びつきが強いフォーカル家の娘』として,私と仲良くしてくれる友達はいなかった。ルイスは私が11歳の時に私の執事となった。ルイスは,母を亡くして泣いていた私を抱きしめて言った。
『……お嬢様。私は,ずっとあなたのお側にい
ます。』
『……本当に?約束,だよ……?』
ルイスは『約束です』と優しく微笑んでくれた。
「きゃあああっ」
パーティーに参加していた人の悲鳴。と,物が割れた音がした。
私はバルコニーでルイスと話をしていた。一瞬にして視界が真っ白になった。
「お嬢様ー!」
隣の方から私を呼ぶ声が聞こえた。ルイスの存在を確かめるため,私はルイスのいた方へと手を伸ばす。
「あっ」
温かいものに触れたその時,再び轟音が鳴り響いた。
「っ……!」
突然の衝撃に耐えられなかった私は,後方へ思いっきり飛ばされた。多分,手すりを飛び越えているだろう。地面に叩きつけられ,意識が薄れていった。
「ル……イス……。」
気が完全に失われる前に,私は彼の名を呟いた。
瞼を開くと,私の視界は灰色に染まっていった。さっきの衝撃から,さほど遠くまでは飛ばされていないだろう。そう考えながら痛む体を無視して上半身を起こすと,私は周りの景色に驚愕した。
「ここは……どこなの?」
ここでさっきまで華やかに着飾ったたくさんの人々が,楽しそうにパーティーをしていたとは思えない。私の住んでいた屋敷は跡形もなく消え,建物の骨組みさえ残っていない。庭に咲いていたはずの色とりどりの花は無惨に荒れ,まるで未知の生物が襲来したかのようだった。微かに焦げ臭く,薬物のような匂いが広がり,眩暈がしてきた。くらむ頭を手でおさえながら,私はゆらりと立ち上がった。そして,ぐるりと周囲を見渡した。ちりのようなものがいくつも空気中に揺らめいていて,空は雲で覆われ太陽は見えない。この世から生物が滅亡したのかと思うほど,辺りは静まり返っていた。私の全く知らない世界だった。……私以外の人たちはどうなったのだろうか。全く姿が見えない。私は破れた服の裾を手でちぎり,それを口の方にあてた。匂いに耐えきれなかったのだ。私はゆらゆらと力なく一歩を踏み出した。これからどうなるのかわ分からないけど,何かしないと心が落ち着かない。だから,私は歩き出した。消えた人を見つけるために。何が起こったのかを知るために。あの平穏な日常を取り戻すために。
ールイスに,私の大切な執事に会うために。
執筆の狙い
「滅亡」をテーマにした雰囲気の物語を一度書いてみたくて,執事とお嬢様の恋愛に興味があるのでこのような物語を作成いたしました。素人作品なので,良ければアドバイスを下さい!意味がわからないところや,もう少しこんな風に工夫をしたらいいなど,作品の感想でも大丈夫です。何かしらの評価をいただければと嬉しく思います。よろしくお願いします🙇♀️あと,できたらハッピーエンドで終わりたいので,この後どうやってルイスと出会い,生きていくのかという提案もできれば欲しいです……!(ちなみになぜ破壊されたかは,いくつか候補はあるのですが,具体的にはこの続きを考えることがある場合に決めようかなと思っております汗)
作品を読んでくださってありがとうございました😊