いくつもの固結びを超えて
衣乙(いと)は不器用であることを自覚している。
料理においてはピーラーで胡瓜の皮を剥こうとすれば皮が残るかスティックとしてそのまま食べられるかの二択の力加減しかできず。芸術面では学校の水彩画の課題であった近所の神社を、邪神の住処に変貌させた。勉学においては文字こそ綺麗に書けるものの、読みやすさとは程遠い板書内容のノートのとり方しかできない。学校でクラスメイトが自分で自分の髪を三つ編みしているのを見た時には、そんなことをできる人がいるのだと、びっくりし過ぎて不審がられるほど見つめてしまったほどだ。
今、衣乙の前には、百均の毛糸と、かぎ針。そして、編み方説明動画を示したyoutube画面。そのセットを不倶戴天の敵と認め、ぎんっ、っと睨みつける。
窓の外では、桜をはじめとした色とりどりの花々が、衣乙の新たな挑戦を祝福しているかのように咲き誇り、鶯が歌を奏でている。何とも麗らかな、春に相応しい日和だ。
そう、春である。衣乙の目標はただ一つ。
「これでルームシューズを作れるように、ひたすら練習あるのみよ……!」
九ヶ月もある。きっと何とかなる。
「そう思っていた時が私にもありました」
そも、思い立ったのは。もこもことした履き心地の良さそうな室内履きが、あっという間に出来上がっていく様を映した動画を見つけたからだ。しかも、ぱっと見、複雑な編み方をしていない。何編みというかは知らない。
衣乙は思った。思ってしまったのだ。これなら私にも、と。
引っ掛けのついた棒を穴に入れて、糸かけて、引き抜く。
輪っかが二つ出来るので、もう一度毛糸を引っ張ってきて、まとめて引き抜く。
よし。
「何がよし、よ。よし、じゃないわ。全然ないわ」
去った春の、始まりの日を思い出す。
まず、百均にて。衣乙は毛糸と、標準であるというところの7号のかぎ針を用意した。いきなり目的であるところの、もこもこ糸を購入するなどという愚行は犯さない。かといって細身の糸も範疇外。そのような糸など、針からするする逃げていくに決まっている。しっかりと事前に、初心者向けの毛糸の種類をリサーチしたところ、並太のコットンかアクリルがお勧めだとあったので、アクリルのストレートを。
スタンドに立て掛けたスマホの画面は、糸の持ち方で一時停止。
そして得られた結果を呟いた。
「編み始める前に最初の輪から糸が抜けて固結びになっちゃうし。何でよ」
何故も何も、原因は、編みはじめの輪を作る際、毛糸をけちって、遊び部分を非常に短くした上に。糸を引いて穴の大きさと予備の糸の長さを調節するという、結び目を固くする為の工程をすっ飛ばしたことから、いざ編むぞという時に、作り目が解けないよう支える分の糸が足りておらず。
かぎ針を輪に差し込んで、向こう側の毛糸を引き出す際に、ゆるゆるだった元々の結び目の糸も合わせて引っ張られてすっぽ抜け、引き結びから固結びになった。
という、至極当たり前の現象が起こっただけのことなのだが。
「これ、最初の輪っかを作るときには、毛糸は長めにとりましょう、って、ちゃんと動画で大文字で注意書きがないから分かりにくいんだよね。投稿者にコメントで教えよてあげようかな」
確かに動画には文字での注意表示はなかったが、ちゃんと適切な糸の長さ、輪の大きさ調節方法も含めて撮影されている。衣乙が勝手に重要ではなさそうな部分だと思い込み、早送りしただけだ。これで指摘をしようなど。とんだクレーマーもいたものである。
思い返せば返すほど間抜けすぎる。コメントしなくて本当に良かった。よくぞ面倒臭がった、あの時の自分よグッジョブ。これまた見当違いの賞賛を己に行い。とはいえ、と、かねてからの考えを口にする衣乙。
「だいたいさ、どうして指じゃなくてわざわざかぎ針で輪をつくるの。指でいいじゃない。どうせ引っ張られて穴の大きさ変わるのに」
編み物初心者あるある。
糸を引き出す際、かぎ針をそのまま手前に引くのではなく、針の向きを裏返して水平移動させるため、目の大きさがとんでもなく巨大化する。
「…………かと思えば、今度は、針が通らなくなるし」
基礎となる部分はくさり編みであったため、衣乙でも比較的何とかなった。しかし、後半に差し掛かるに従い、くさりの大きさが明らかに小さくなっていったのだ。これまた意味が分からない。手順も編み方も、どこも間違ってなどいないのに、どんなに力を込めて引っ張っても、かぎ針がなかなか穴をくぐらなくなっていったのだから。
しかも、しかもだ。どうにかしようとかぎ針を引っ張れば引っ張るほど、痛くなるのは右でではなく、左手なのである。特に、毛糸を取りやすく伸ばしておく為に立てる人差し指には、柔らかいはずの毛糸の跡がくっきり付いて赤くなる始末。
何か、姿無き怪しきものが、この部屋に居たりするのではなかろうか。
そう考えた衣乙は、気づかぬうちに呪われでもしていたかと、ちょっぴりホラーちっくな動画や漫画サイトの閲覧履歴を削除して、部屋の掃除と換気をしてみたりした。
(だってそういうモノって、話をしていると寄ってくるとかいうし)
残念ながら心霊や呪いの類ではなかったようで、状況はちっとも良くならず。已む無く己の人生という時間の一部を捧げたくさり編みを全て解いて、編み直しをしている時に、漸く、はた、と気が付いたのだ。
あれなんだか、数目編む度に、左手の人差し指が近づいてきていないかしら?と。
編み方動画では、全くそんなことはない。
同じ部分を繰り返し再生しても、倍率を遅くしても、自分の手の形と同じようにしか見えない。
暫し考え込んだ衣乙は、人の助けを借りる事にして、LINE通話画面をタップした。
連絡したのは、亜実という、中学に入ってから知り合った友人だ。
衣乙の不器用さ加減を、初発覚時にそれも個性!等と笑い飛ばした相手で。正直、馬鹿にされていると思い、当初は彼女の、ずけずけと人に踏み込んでくる距離感のおかしさと、デリカシーの無さが、苦手であった。
しかし、いじめをきっかけに、衣乙の亜実への印象は、逆転した。
別にいじめた相手を叩いてくれたとか、衣乙の正当性を主張してくれたとか、そういうわけではない。ただ、彼女は。衣乙の不器用ぶりでどんなに酷い失敗に繋がっても、常に笑いとばしていただけである。
衣乙の不器用さで、グループ課題が達成出来ずに、メンバーから干された時も、面白い経験した、最高!と言って笑い。ノートの書き方についても、衣乙本人にしか解らない、暗号解読のような状態になっているのを、何やらしばし衝撃を受けたかのようにじっと眺め。それから字はすごく綺麗だがリアル推理ゲーム、などと楽しんで笑った。
……文字については、練習して表彰された過去があるので、実は密かな衣乙の自慢であったりする。
変人側の人物だとしてまとめて干されても平然としていたかと思えば。「あそうか私今虐められてんのか!」と授業中突然大声で叫び、緊急自習(教室内パニック)状態を引き起こし。虐めの詳細を聞き出そうとする教師に対しては、「えーと、考えごとに没頭して授業聞いてなくてごめんなさい。え、廊下?バケツ?課題追加??」と真剣におろおろするような。
つまりは超のつく鈍感だ。
他者の機微についても、自分の機微についても、感情の扱い方がバグり散らかしている。これは鈍感を通り越して、最早馬鹿としか言えない。
衣乙が自分の不器用さを、もしかしたらそこまで隠して恥ずかしがらなくても良いのかもしれない、と思えるようになれたのは。間違いなく、そんな亜美の影響なのだ。
「え。かぎ針編み?……衣乙、地球の資源をゴミにしたくなかったら正気に返れ。今ならきっとまだ間にあ」
ぶつっ。
通話を終了させる。電話する相手を間違えた。
間髪入れず相手側から折り返し呼び出しがあり、しぶしぶ応答ボタンを押す。
「はい出たからいいねもう切るよ」
「待て待て悪かった、普段家庭科でレタスを水洗いするのと手で千切って皿に盛り付けるしかやりたがらないあんたが、編み物とか言い出すから、こっちも何があったかと思うじゃん。何、親に器用になるための訓練とかで申し付けられたとか?」
「そんなんじゃなくてさ、ただ……クリスマス近いし」
………………。
数秒の沈黙が落ちる。
「衣乙、今春」
「うっさい。クリスマスは気付けばすぐそこに迫るの。いつの間にか隣にいるの。中間と期末テストみたいなものなの」
確かにテスト共ときたら、こちらの都合も考えず、どんなに嫌だと訴えても、懲りずに平然とやって来るなあ。衣乙からの訴えに、亜実はあっさりそう納得し。
「あの強敵共は無事踏破したわけだしさ。衣乙、今は別の話しなくちゃ」
そう軌道修正してくれようとした。
「あ、そうだった。あのね」
「因みに撃破じゃなくて踏破な。これ大事」
「ねえそれ念押しする必要あった?」
が、気のせいであった。
テストについては、二人とも撃沈せず生還を果たしている。それが全てである。
「まあまあ。私も衣乙に電話しなくちゃと思ってたんだ。何せほら、──昨夜の配信時の重大発表」
「…………あ!やば。曜日感覚狂ってた!見逃したー!何かあったの?」
亜美が話題として出したのは、二人が今推している動画配信者のこと。内容はよくある日々の雑談や失敗談、コメントなどへの反応で、特に何があるというわけでもないのだが。
声が大変に面白い。
声が良いのではなく、面白い。リアル七色の声を出せる。声優を志望しており、動画配信は学費稼ぎと明言・明記がされている。
おかげで配信内容はいつもひとり寸劇。その実生活小ネタ再現シナリオがこれまた飽きさせないのだが、何をしようとも視聴者からの、ボイスチェンジャーを使っているのかという疑惑が晴れないという可哀想な一面も持つ。
「週末から公開されるアニメ映画の、名も無き端役の声を複数人、担当してるって」
「は」
確かに、一般公募枠でのオーディションに挑戦するとは言っていたが。落ちました、とも結果報告があったはずだが。そう記憶を辿り、衣乙は、はたと思い至る。
そういえば、オーディションには落ちたが、声優志望そのものを諦めたとは言われていなかったわ、と。
「当然、行くよな?」
「勿論」
何の事だなどと、聞くまでもない。亜美の誘いに衣乙は力強く是を返し、部屋のカレンダーに大きく赤丸をつけ、映画、と書き込む。
あの人は絶対に、将来様々な場で活躍する。声優兼シナリオライターとかで、自分の書いた台本を自分で演じる等の機会もあるかもしれない。ファンはそれを精一杯応援するのみである。
投げ銭などについては力になれないが。
衣乙も亜美も、喜ばしい報せに興奮し、思い出話が止まらない。今までのひとり寸劇でのお気に入りはこの動画だ、ファンアートでアニメーション作成した人の力作は神作。
趣味を同じくする友達と、散々に喋り倒し。
「あー、楽しかった。そろそろ寝るか。また明日学校で」
「うん、お休み」
そう告げて通話を終了したのは、最早真夜中と言っていい時間帯。
肝心の編み物の悩み相談をしていないことについては、衣乙の頭からすっぽり抜けていた。
◇
「べ、別の日にちゃんと解決策は判ったし」
誰に問い詰められているわけでもないが、言い訳をしてみる衣乙。
だがしかし、問題の解決方法は、友達やその家族に頼るでもなく、彼女が自分で発見したのだから。これは誇っていいことではないだろうか。
「かぎ針で引っ張れる糸が短くなったら、一旦左手を毛糸から離して、位置を調整して、持ち直す。これよ」
うむ、と大仰に頷く。実際、この画期的な方法を見出してから、衣乙に劇的な変化が訪れた。なんと、左手の人差し指に毛糸が食い込まなくなり、痛みも減少したのである。
しかも編む速度も上がってきた。素晴らしい。
……人差し指の痛みを気にしないで良くなった結果、今度は、同じ左手の小指と薬指が良く攣つること、そして、左手から腕につながる筋の痛みに意識が向くようになったが。
「というわけで亜美にはそれを相談したくて。やっぱり呪いの類なのかな」
衣乙は、再び亜美にLINE通話で、編み物をしているだけで発生するその症状を説明する。亜美は心霊現象が遂に身近に!などとはじめテンション高く衣乙の話を聞いていたが、最後まで聞き終わると、本当にそうかもしれない、と同意した。
「えっ、ちょ。亜美にはそんなわけないでしょうって笑い飛ばしてもらおうと」
「いや、だってさ衣乙。あんたが授業で描いた水彩画。題材、神社だったじゃない」
続く言葉は聞かないでも分かる。そして、衣乙もその可能性は一切否定ができない。
そう。
──祟りなら、納得するしかない。
「そりゃ、降りられるのは神様じゃないって断言できる、物体Xにはなったけど。でも、邪神なら降臨していただける場所になったし!」
「それはそう。なら違うか」
そうなると何だろうか。真面目に二人は考えて。やがて一つの結論に辿り着く。
「まさか、邪神にしてみれば、お礼のつもりだった……?」
「あっ」
言っておくが巫山戯てなどいない。この時衣乙は本当に、編み物だけで左手が引き攣りかけるほど、筋肉に極度の緊張を強いているのは無意識であったし。亜美はそも編み物について何も知らなかった。
真剣に悩む不器用と、真剣に友人の相談に乗った奇人。
互いの思考回路が噛み合わさり、迷走し、着地した地点がそこだっただけである。
「どうしよう……邪神の呪いがかかったルームシューズとか、お母さんにプレゼントできない……」
「そっか、なんでまた突然編み物なんだろうと思ってたら、それ、衣乙のお母さんへのクリスマスプレゼントにする予定なんだ。……よし、それならこうしよう」
衣乙の目標を聞くや、亜美は。今が夏休みであることを利用し、その神社へ参拝に行こうと誘ってくれた。自分も共に行くから、と。
社に邪神を喚んでしまったことを誠心誠意お詫びして、お守りを買おう。そう言ってくれる友人の優しさに甘え。邪神への恐怖に泣きながらも、衣乙は何度も電話越しに有難うを伝え、お守りが手元にくるまで、かぎ針と毛糸と網みかけの物を、袋につっこんで引き出しの奥へ仕舞い込んだ。
前日、亜美から衣乙へ、集合場所の変更連絡が入る。母親へ相談したところ、なんと神社へのお参りには、亜美の母親が車を出してくれる事になったとのこと。有難くお言葉に甘えさせてもらうべく、家へお邪魔して、彼女の母親から茶菓子と共に、編み物に慣れていない人が陥りやすい、腕の緊張感と力の入り具合、筋肉痛について丁寧に教えていただき。
そしてことここに至って、手の痛みは邪神のお礼ではなかった事実を知ったのだ。
なお神社にはその後ちゃんとお参りし、諸願成就のお守りも購入した。
お守りの効果かどうかは不明だが、それからしばらくして、衣乙も、編み方動画に沿い、『かぎ針を穴に入れて、毛糸を引き出す』作業は、左手の呪いに悩まされることなく出来るようになってきた。これであればクリスマスには問題なく間に合いそうだ、と、うきうきしながら編み進め。なんと、一本の鎖編みを折り返し編み、裏返してまた端に到着する、という大仕事を、五回も達成してのけた。
ひょっとしてこんな私でも、編み物には才能があったのだろうか。衣乙は浮き立つ気分のまま、自身の成果物を広げて。
あれ、と首を傾げる。
編み物は、サイズを決めるのに、針を入れて毛糸を引っ張ってくる、基礎の鎖編みの数を使うのだが。それを『目』と呼ぶ。そして鎖ひとつ分の大きさは、編む際の力によって左右されるため。通常、何を編むにも、「鎖編みを一定の大きさで編むことができて、自分の編む鎖ひとつ分の大きさはどのくらいである」、ということを把握している必要がある。
当然衣乙に、そのような技術はない。
よって、動画その通りを、ひたすらなぞる。
そして動画の説明によると、今は全部で三十回、穴に針を入れて、毛糸を引き抜いている状態、らしい。
最初の鎖編みからずっと、三十だ。同じことを繰り返せばいい、と説明にある、一番簡単そうなものを選んだのだから、確かな情報になる。
だから今広げたこれは、長方形になっているはずだ。
なのに何故だろう。なんだか段々と、広がっているように見えるのは。
いち、に、さん、し。
衣乙はスマホの動画を一時停止して、慎重に目を数えていく。
にじゅうきゅう、さんじゅう、……さんじゅういち、さんじゅう、に。
「…………」
指だと細かさに目が散って、数え間違えただけだろう。
筆箱から鉛筆を取り出し、芯の先を指し棒のようにして、再度数えてみる。
三十二。
原因も理屈も何もかもわけがわからないが、兎に角、自分がどこかで間違えたのだ、という、その事実だけは分かる。そう、この中央よりやや右側あたりの鎖が、やたら混雑しているように。
…………おや。
衣乙は、違和感を感じたその目を注視する。すると、『一つの目に対し、二回毛糸を引き出している』ものが、複数あることが見てとれた。
「はーん……そゆことね」
解明できたのであれば話は早い。布に対して細い針を刺しているわけではない分、編み物というのはやり直しが比較的易いのだ。超初心者である衣乙であっても。
衣乙は勢いよく毛糸を引っ張り、余分に編んでしまっていた目まで解く。あまりに思い切りよく毛糸を引っ張ったために、正しく編めていた段まで後戻りしてしまったが、やむを得まい。
そこから衣乙は、また懸命に、集中して編み進めた。
また何日もかけて、ひとつ、ひとつ。今度は、余分に編んでしまうことのないように。注意深く。
「……よし。数えてみるわよ……っと」
前回と同じように、鉛筆を使おうとしたのだが、その日はリビングで宿題をしたため、筆箱をそこに置いてきてしまっていた。取りに行くのが面倒だなと考えた衣乙は、近くにあった先端の細い物体で、編み目を数えた。数えて、しまったのだ。
そう。編み途中のかぎ針で。
あ、と思った時には遅かった。針を穴から外す際の小さな衝撃でも、まだ五段しかない軽いその歪な長方形は、簡単に机から落下。慌てた衣乙は、編みかけのそれを救わんと、伸びる一本の毛糸を掴んだため。編む力が均一ではないそれは、ものの数秒で変形した。
元は長方形だった一本の鎖編み、へと。
……その日衣乙は悲しみと悔しさの涙で、枕を濡らしながら目を閉じた。
◇
色々あったが衣乙はめげない。不器用という生き物は、この程度は慣れている。ただちょっぴり悲しかっただけだ。
改めて最初の折り返しから編み直し始めた衣乙は、次は同じ失敗を犯さぬよう、鎖編みの途中から発生した編み方……鎖の大きさが小さくなり、針が抜きにくくなるうえに、左手の痛みも増すが、解くにも苦労するそれへ変更した。また数日、いや、数週間かけて、一段、一段。
そうして完成した。
手を離せばくるりと勝手に丸まる、長方形ではなくおにぎり形の物体が。
もう一度動画を確認する。
長方形である。
衣乙は手元をみる。
勝手にくるくるりんと丸まってしまう、おかしなおにぎりがある。
今回は、目数に間違いはない。編む度に口に出して数えてきた。であれば一体どういうことだろう。
「……よし、亜美に電話しよう」
困った時の友頼み。二人だとしても文殊三分の二。
衣乙のコールに対する亜美からの答えは、『知らんがな 手元の機器で まずggr』という返歌であった。
ああでもない、こうでもない。これも出てこない。こんな単語はどうだろうか。二人で知恵を合わせた結果、段数マーカーという物に辿り着き。百均でそれを手に入れるまでの間、学校のプリントを留めていた文具クリップが、代理を務めることに。
なお、編んだものが巻く件については全く解決していなかったりする。
いや、一応案は出た。
その名も、『重い本などの下敷きにして伸ばす』。
これには数日間は様子見する必要があるので、いますぐどうこうできるわけではないだけだ。
衣乙は毛糸のおにぎりを国語辞典と和英辞典の下敷きにし……ようとしたところで、辞書は勉強に使うから駄目だということに思い至り、却下。
次に、アイロンを掛けてみるという方法を思いついた。直にやっては毛糸とアイロンそのものによろしくないという、聞きかじりの知識はあったため、適当なハンカチを間に挟み、高温のアイロンを押し当てるという寸法だ。
しかしこれは、その不器用さ故に火傷の危険性がとても高いため、アイロンを家族の目の届かない場所で勝手に使用してはいけないという、衣乙の家族ルールにより断念。ルームシューズの存在が、プレゼント先にばれてはならない。
元々の形がおにぎりにならないようにするには。丸まったり反ったりしてしまうのは何故だ。見本の動画となにが違う。
編んでは解き、解いては編み直し。
そしてついに、限界が訪れる。───毛糸の。
何度も何度も同じ部分だけ酷使されたそれは、遂に。糸としての形を保てなくなり、撚(よ)りが崩壊したのである。
ぱしゃり。衣乙は一本が三本に分かれたそれを撮影し、いつもの相手に送りつける。メッセージは、『毛糸のHP削りきった』。
「おお毛糸よ。死んでしまうとは情けない」
既読になって間もなく掛かってきた亜美からの音声通話の第一声は、通常ならば生き返らせてくれた後に聞ける常套句だが。
「因みに糊でくっつかないか試したけど駄目だったから、生き返らないと思う」
衣乙も、既にザオラルは試している。そしてザオリクは棒にはなっても毛糸の柔らかさは消え失せるであろうことも、想像がつく。
最早新たな勇者を迎え入れる必要がある時期にきているのだ。そのこと自体は衣乙も理解できる。分かっている。もう打つ手はない。しかし、しかしだ。
途中で必要な毛糸が不足した時にどうすればいいかなど、衣乙は、知らない。ここで毛糸を一部でも切り取ってしまったら。もし、その分があれば、ルームシューズが完成するとしたら。
こんな些細なことすら大きな不安になってのしかかるのは、きっと月のせいだ。秋はおセンチになる季節だと、衣乙の母も父も昔を振り返ってしみじみとそう言っていた。
「私……お母さんへのプレゼント、やめようかな」
とうとう、弱気な言葉が衣乙から溢れ出る。
毛糸を使い物にならなくして、出来上がったのは。何かも分からない歪みきった物体だ。編んでいる衣乙本人も、これがルームシューズのどの部分にあたるのか知らずに編んでいるとはいえ、これがルームシューズだと言われて信じる人はいないだろう。というよりも現実の話、履ける代物ではないだろう。
なるだけ嫌な方向に思考が引っ張られないように、事実から目を逸らして。できるだけ、亜美の明るさに合わせてきたが。それももう限界であることを、衣乙も認めざるを得ない。
そうだ。間に合わない。もう季節は秋も終盤だ。秋が終わるのだ。鼻がつんと詰まるのを、気がつかないふりをすることは、できなかった。
(漫画とか小説みたいにいくわけないなんて、最初から知ってたもの。だから平気でいなくちゃ。亜美に、笑い飛ばしてもらって、そして)
そして、と。衣乙は時分に言い聞かせる。
何故ならこれはただの気の迷いと思いつきの行為でしかない。事故や病気で片親だとか、編み物には死んだ祖母との思い出があるとか、不器用でも強烈な憧れが昔からあったとか。そういった、衣乙を特別足らしめてくれるものなど、何一つないのだから。
だから、衣乙には。主人公補正など付かないのだ。
妖精は助けてくれないし、神様と会話出来たりもしない。
認めねばならないのだ。
衣乙には、出来ない、と。
「ああ、来年の母の日のプレゼントにするとかもありなんじゃない?」
「人にプレゼント可能なルームシューズを、クリスマスまでに自作しようとか。何夢見ちゃってたんだろうね、私」
「ああうん。だから、延期すれば良いだけでしょ。親にプレゼントあげるのに、クリスマスなんて単なる口実じゃん」
あっけらかん、と。クリスマスなど無視してしまえ、と告げる亜美の言葉に、衣乙は、ぱちぱちと目を瞬かせ。同時に、人の決意をばっさり切り捨てる亜美に、彼女の言うことはまともだと理解しつつも、理不尽にも腹がたってくる。
結局、当たり前に出来る人には。普通以下に出来ない者の苦しみな悲しみなど、想像の範疇外なのだろう。
「……私、春からずっと、一生懸命やってきたんだけど」
「うん、知ってる。てかほぼリアルタイムで進捗状況話してくれてたの衣乙じゃん」
「なのに、そんな。人の努力まで、無視して」
この程度のことなど、何度も経験してきた事だ。それなのに衣乙は、先程は抑えられた涙が勝手に浮かび上がるのを止められない。
それは相手が亜美だからだ。
ずっと衣乙の心を支え、不器用は恥じることではないと。指を指され嗤(わら)われる様を拒んで、縮こまってばかりだった衣乙に。笑って顔を上げたら、別の景色が見えるのだと、言葉ではなく態度で教えてくれた、恩人。
「……衣乙さ、私に、ノート貸してくれたことあるでしょ」
「だから、何よ。見にくかったんでしょ」
覚えている。亜美の強さに惹かれた出来事のうちの一つだから。しかしそれが今はより悔しく感じられて、衣乙は自分の整理されていないノートの書き方が、急に恥ずかしくなる。
「字が綺麗」
編み物と全然異なる話題を出され。有耶無耶にするつもりなのかと、更なる怒りが衣乙を支配し。怒鳴りつけて通話を切ってやろうとした時、亜美の言葉が衣乙の耳に飛び込んだ。
「衣乙ほどの不器用が、最初から字を綺麗に書けたはずはない。ゴメンだけど確信」
それに関しては亜美の言うとおりであったため、そうだけどそれが何、とぶっきらぼうに返せば。亜美は、それが自分には目から鱗だったのだと明かした。
「衣乙はあたしを、辛いことがあっても笑える強い人だ、って言ってくれた。違うよ、あたしはね、諦めるのが得意なだけ」
「そんなことない!」
そんなことなどあるはずがない。衣乙の口から咄嗟に出たのは、自身の辛さを分かっていもらえなかったことではなく、友が自慢の友本人を蔑んだことについての否定。
どれだけ眩しかったか。どれだけ救われてきたか。下しか向いてこなかった衣乙に、学校の楽しさを、友達の意味を教えてくれたのは、いつだって亜美だった。
「違わない。あたしは努力するのが嫌い。楽して手に入らないことだなと思ったら、すぐに手を離しちゃう。だから、笑っていられる。だってそれは、手放すのが惜しい、悔しいって思えるほど、あたしの中に思い出がないから。
──衣乙、アンタは、あたしの英雄」
静かに紡がれる亜美の告白を呆然と聞いて。それから熱が一気に身体を巡る。バクバクと心臓が煩い。かつて小学校に入学早々、あみだくじに外れて、クラス委員を務めることになった時でさえ、こんなには緊張しなかったと思う。そんなことを比較に思い出しながら、衣乙は亜美の言葉を必死に飲み込もうとした。
「衣乙が、自分は不器用だから、鉛筆ちゃんと握って綺麗な字を書けないんだ、って、理解して、文字の練習したの。小学校二年生だっていうじゃん。初めてアンタの家に遊びに行ったとき、賞状が飾ってあったし、おばさんからも聞いたから知ってんだから。
あたしが小二の頃っていったら、もっと落ち着きと集中力を身に着けましょうが成績表の定番評価だったっつの」
とんでもない誤解で褒められている、と衣乙は思った。実際、そんな高尚な気持ちで文字の練習に取り組んだわけではない。当時、衣乙のノートを。教師が字の汚さ故に、男子の持ち物と間違えたので。ムカっ腹から、見返してやりたくてやっただけだ。復讐心である。
亜美による衣乙賛美はまだまだ続く。
「衣乙はさ。苦手なことも、無理して嫌々頑張ってるんじゃないんだよね。春からこっち、出来ない編めないまた失敗した、なら。もう耳タコほど聞かされたけど。『出来ないから編み物が嫌いになった』とは、あたしはついぞ聞いた覚えがない」
言われて衣乙も気がついた。そういえば言った覚えもない。
「出来ないこと、いつできるようになるかも分からないことを目標に、努力し続けることは、すごくすごく難しいんだって。いつだったか、誰かから聞いた受け売りになっちゃうんだけど。
あんまりピンときてなかったけどさ、オリンピックで金メダル獲るぞって小学生の頃から言い続けて大人になってから実際に出場したとか。地元の小さな野球チームの頃から大リーグで活躍するって言い続けて教科書に載る人とか。そういう人を事例に出されて、そういうレベルの人しかできないことなんだな、ってことは分かった」
亜美は一呼吸おいて、衣乙に伝えていく。
こんな人間がいるのかと思った。どうして頑張れるのだと驚いた。適当にやったふりをして、本気になる前に諦める。それが笑顔でいられるコツだ。本気になるから悔しいのだ。出来ない自分に腹が立ってきて、意識したくもない天井が見えるようになってしまうのだ。
普通と言われる基準より、やや下か、平均。それでいい。それがいい。頑張っても平均より下にしかできないようなら、興味をなくしてしまえばいい。
ずっと、そうやって笑ってお気楽でいた、その価値観を。衣乙が打ち壊した。
衣乙はひたむきだった。
上げられることのない視線は、取り組んでいる物事をしかと見つめていた。
周囲のクラスメイト達は彼女を、不器用がどんなに頑張ってもこれだけしか出来ないじゃないかと、その成果にため息をついたけれど。
通常の精神なら、下を向くのは涙を隠すためだ。出来ない自分の情けなさと、虐めの視線と声から出てくる涙を見せまいとして下を向く。
だが、衣乙の視線は。そんなものを見ちゃいなかった。
「衣乙、あんたが当たり前に出来てるのは、こういう人達と同じ、異次元レベルの努力。違うなんて言うなよ。あたしがそうと言ったらそうなの。信じろ」
無茶苦茶な、と衣乙は思ったが、亜美の迫力に押されて頷く。……亜美には見えないが。
「で、ここから本題なんだけど。
衣乙がルームシューズという思いつきして当たり前に一生懸命取り組んできたこの数ヶ月。あたしは親から『あんな風にきちんと親を思い遣れる娘さんが同年代にいらっしゃるのに、うちの子ときたら』という、親の視線とため息の嵐に晒されてきた。
なお勿論こちらはいまだに親へのプレゼントなどのらりくらりとかわして、もらう側だという強硬姿勢を崩していない。最近だいぶ親からの催促が露骨になってきて流石にちょっと心が痛い。
というわけでだ。
衣乙、今年のクリスマスプレゼント一緒に考えてくれ。買いに行こう。同じ物にしよう。そうしてくれたらあたしが怒られなくて済む」
亜美からの提案に、衣乙はぷは、と吹き出した。
こうやって茶化してオチをつけたがる。亜美の癖だ。しかし言われていることは、衣乙も一緒に立ち上がれる方法なのだ。
「プレゼントは年がら年中二十四時間いつでも大歓迎。あたしらだってそうでしょ」
「うん」
高価なものではない。それこそ百均の中にある三百円コーナーの中か、ガチャガチャから出た可愛いチャームか。良さげなものがなさそうならば、伝家の宝刀『お手伝い券』の出番になるかもしれない。きっと親からは券なくても家のことが当たり前にできるようになりなさい、と言われるまでがお約束の流れ。
またもや笑顔を亜美に分けてもらって、衣乙は一つ、友を見誤っていたことに気が付いた。
何が鈍感だ。亜美ほど人の感情や周囲の空気に敏感で、気遣いが出来る人など見たことがない。一体自分は、恩人の何をこれまで見てきたのだろう。
「亜美、大好き」
「おうよ。あたしも愛してる衣乙」
とはいえ、どうせプレゼントするならば相手が欲している物がよい。何か欲しいと言っていたものがなかったか、二人は思い出しながらメモを取っていく。
野菜、米、パン、豆腐、牛乳、ゴミ袋、洗剤。
「……買い物メモじゃん」
「でもそれ以外に何か言ってたりするっけ」
母はもしかして、欲しいものがなかったりするのだろうか。自分達は、ありすぎて絞るのも難しいのに。
これはうんうん唸っても母親の欲しがっていたものを思い出せない娘が薄情なのではない。親は我慢をしていることを子に悟らせないプロだ。家族と己の物欲と収入とに優先順位をつけた結果、自身の欲求が最後になっているだけの話である。
「あとは……うちは最近ストレスがとか言って、スライムとかスクイーズ動画を延々見てる」
「あと、ダイエットとか、時短手抜きレシピ系」
「あそれはうちも良く見てる」
記憶を探ってもこれというものが一向に出てこず。これでは父親が母への誕生日や結婚記念日に何をすればいいか分からないというのも当然ではないか、母はもっと日頃から、何が欲しいと口にすべきだと、二人はちょっと責任を親に転換する。
「それから……ああ、それこそ百均に行ったら、予備を買っておかなくちゃ、ってお母さんがよく言う系に……衣乙。編みかけのそれ、これの代わりにはならないの?」
亜美がLINE上に載せたYouTubeの動画サムネイル写真。それは、ただのアクリル毛糸の円か長方形の敷物。コースターだろうか。
うちはあまりコースターは使わない、コップの水分で机が濡れてしまったら台拭きで拭くだけで、基本、結露が垂れる前に飲み終わって片付けてしまうからプレゼントとしては弱い。衣乙はそう言おうとして、画像に一緒に写り込んでいる文字に、はて、と首を傾げた。
「アクリル……『たわし』」
「そうそう。これなら欲しい物という名の買い物リストの条件もクリアしてるし、何より、衣乙が編んだものそのまま使えるんじゃない?」
「流石に今のは大きすぎて使い勝手が悪そうだけど。最初から編み直したとしても、残りの毛糸の量でも足りそう」
ルームシューズの場合、三十も目があるため、大きさとしてはたわし向きではないが。それはあくまでも、削除しなくてはならない冒険の書での勇者。目の数を半分にしたら。細編みと呼ばれる編み方であれば、衣乙はもう、左手の呪いも克服している。
今の編む速度と、クリスマスまでの日数。ルームシューズと違い、編まなくてはならない段数の減少。
間に合いそうだとの衣乙の返答に、亜美はLINE上の買い物メモメッセージを、決定として更新した。
「百均で買うべきものが決まったな」
◇
春からずっと、毛糸しか触っていないような一年だった。
ルームシューズを目標にしていることは、衣乙はまだ、両親には秘密にしているし。本当に来年の母の日までに編めるほどになるのかも分からない。
けれど衣乙は、この編み物というものを、これからも続けるのだろう。そう思える一年でもあった。
「『編み物って、単純作業だからコツコツ派じゃないあたしには無理』って亜美は言ってたんだけど。全然退屈しないね」
「あら、気に入った?」
母親は、衣乙が編み物を頑張っていたことを知ると、かぎ針だと細くて編みにくければ指編みというジャンルもある、色々見てみて面白そうなら、毛糸についてはいつでも相談に乗ると言ってくれた。実際衣乙も、百均で手触りが良すぎる毛糸が気にはなっている。
が、かぎ針や編み目が埋もれて見えなくなるのと。そのふんわり具合の全てを台無しにする圧縮編みが得意な衣乙には、まだその毛糸はレベルが高すぎる。まずは初志貫徹、並太でのルームシューズから、だ。
「うーん。気に入ったとは、ちょっと違うかも。なんだか、沢山の固結びと格闘したなあ、って気分」
「固結びなのか?毛糸が絡まったのか」
クリスマス用オードブル風に、ちょっと数を多く揚げられた唐揚げを箸で突き刺しながら、衣乙は父に説明する言葉を探す。
「それもある。ただ、実際に毛糸が絡まっただけじゃなくて……なんていうんだろ。
ずっと全部見えてる、知ってると思ってた相手が、自分をどんな風に思ってくれていたかについて、実は知らなかったり。
簡単だと思ってた事が、予想してたよりずっと沢山、覚えることと考えなくちゃいけないことが多かったり。
そのせいでうまくいかないことがあって、しこりみたいに固まって、でも。
固まっちゃった後から見てみたら、その嫌なことは、逆に解きたくないことなの」
衣乙の編み物ときたら、目が揃っておらず、緩すぎたりきつすぎたり、触ってみても、ごとごとのがたがたで、ちっとも手触りもよろしくない。編み目というより最早結び目だ。
でもそれが、衣乙の一年だった。
「そうか。だから、固結びなんだな」
「そうなの」
亜美と行った百均で揃えたラッピングに包んで渡した、衣乙のアクリルたわしについての両親の反応は。敢えて、ここでは書かないこととしよう。
ただ、その年のクリスマスイブの夜から。衣乙の家のキッチンに、歪んだ形のたわしが追加され。夕食の皿は、衣乙の父が、その歪な毛糸のおにぎりで洗った。
執筆の狙い
初めまして。つけと申します。
Pixivで二次創作を書いており、作家デビューは考えていないのですが。
願わくば、二次創作から原作に手を出す人が現れる程の魅力ある小説が書けるようになりたいと思っております。
鍛錬場の目的は「プロを目指す」のため、私のような者は利用すべきではないのかもしれませんが。自由に、描きたい物語を描ける力が欲しいという心に違いはないはず。
ジャンルとしてはライト文芸になるかと。(実際は対象年齢層に合わせ行間多め)
・Pixivブックサンタ2024用短編
・ありきたりの題材と展開から、身近にいた友というサンタの存在に気付き。そして少し成長する少女。を表現したかった。
・対象…10代~20代、女性(普段ラノベに親しんでいる層)
反省点:
・主人公とその友人の絡み。互いにかけがえのない大切な存在だと読者を納得させるだけのエピソードが不足している。
このため、後半の友人の台詞が強引に感じられてしまう
・両親が空気
それ以外の点についてのご指摘やご感想などの、率直なお声を聞かせていただけますと幸いです