無限。ー2
ーあの小鳥のように自由に空を飛んでいきたい。
希望に満ちた声で語りかけてくる少女。
ーユウならきっと,どこまでも飛んでいけそうだね。
そう言って眩しい笑顔を向けてくる。途端に心の底から湧き上がってきたのは暖かい感情。この気持ちはなんだろう。そう考えていると,君は言った。
ーごめんね。私……
その言葉を聴いた時,僕は叫んだ。
どこか遠いところへ行こうとする君を,ここに引き止めるために。
だけど,間に合わなかった。
無惨に散っていく君を,逃げるように去っていく君を,僕はただただ見つめていた。
「ああ……あああ……僕は……!」
僕は嘆く、自分の無力さを。
「また……なんにも,できなかったんだ」
無限ループの中に僕はいた。
僕は繰り返す、過ちを。
繰り返す……くりかえす……クリカエス……。
目覚めれば,また同じ。君がいなくなる前の世界へ戻っている。
ループの始まり。僕は,僕が犯した過ちを償うために,償うことができるように,神様が用意してくれたんだと思っていた。だから,考えた。君を守るためには,どうすればいいのか。僕には何ができるのか。
実行したよ。でも,結果は変わらない。
君がいなくなる結果は変わらない。
やり方を間違えていた。だからまた,元に戻ったんだろう。そう思い,僕はまた繰り返した。
それでも,変わらなかった。
何をしても,君は必ず僕から溢れてゆく。去っていく。
これは,神様が用意してくれたんじゃない。
僕が誤ったから,じゃない。
君がいなくなったから,僕のせいで。
君が去ってしまったから,僕のせいで。
君は,この世界を動かしていた,コントロールしていた,いわゆる神様的な存在だったんだ。
それが分かったのは,繰り返した二百回目だ。
僕は君に問いかけた。
ー君は,どうしてそんな風に,小鳥のようになりたいんだ。君は一体,何者なんだ?
ー私は,自由に飛び回ることのできる小鳥になりたい。そう思うのはね。私が……
"この世界を動かしているから。人間界で例えれば,神様っていうことかな"
ー神……様?
ーうん。"神様”は,自由じゃないんだ。この世界を守るために,動かすために,生きているから存在の意味がある。だから,自由じゃないの。
君は,微笑んでいた。でも,幸せそうじゃない。その笑顔には陰が差していた。
君は,
きみは,
キミは,
……どうして僕は,君なんかを,
好きになってしまったのだろう。
執筆の狙い
「無限。」の,訂正+新版です。ご意見よろしくお願いします🙇♀️
神楽堂さんのアドバイス(例)を少し採用させてもらいました汗汗
神楽堂さんありがとうございます。
あと,名前統一しました。よろしくお願いします。