作家でごはん!鍛練場
いかめんたい

河川敷

「明日の晩ごはんどうするん?」
 有希は小さな声でそう言った。目はテーブルのスマホからそらさない。
「適当に、ペヤングとか」
 買い換えたばかりのテレビでは、お笑いタレントが人気店の看板メニューを紹介している。うまそうではあるけれども、わざわざ食べに行きたいとも思はない。最近は、外食自体ほとんどしない。
「カップ麺? 珍しくない? もう少しましなの作ってくよ」
 しきりに何かを入力しながら彼女が言う。爪がスマホの画面に当たってコツコツと音を立てている。
「いいよ気にしなくて。みんなで会うのなんて久しぶりじゃん。楽しんできな」
「それがな、ナオが急にこられへんようになったって」
 有希がようやく顔を上げた。心をスマホの中に置きざりにしてきたような、うつろな表情だ。
「妊娠だって。二人目」
「そう」
 体格の良い芸人がテレビの向こうで、手の込んだ料理を頬張りながら、満面の笑みで「うんまい!」と叫ぶ。
「陽くんは明日も走りに行くん? 仕事お休みだよね」
「ああ、たぶん夕方から、有希が出かけた後に」
 彼女はスマホに視線を戻す。学生時代の友人にお祝いのメッセージを送っているのか、それとも店の予約人数を変更しようとしているのか、彼女の指の動きと青白い顔からは窺い知れない。
「何がそんなに楽しいんやろね。運動するだけで、ろくにご飯も食べへんし」
 彼女はまた、こちらを見ずにつぶやいた。
「前から言ってるじゃん。ファットアダプテーション。おかげでこの年でも体脂肪率十パーよ」
「そんなん聞いてへんよ」
 ようやく重要な連絡をし終えたのか、有希はスマホの画面を消すと、「先寝るね」と言って立ち上がった。
 間延びした足音に続いて、寝室のドアがガチャリと閉まるのを聞いてから、リモコンでテレビをユーチューブに切り替える。
 確かにここ数年、食事らしい食事をするのは昼飯の弁当だけだ。夜は少量のおかずで毎晩酒を飲む。朝は何も食べない。このルーティンのおかげで、三十路を大きく越した今でも若い頃と変わらない体型をキープしている。たぶん脂肪の燃焼効率が向上していて、マラソンのタイムも縮んだ。
 ただそのことに有希は不満気だ。「何もそうまでしなくても、運動選手じゃないんやから」とよくこぼす。まだ二十歳代の彼女には、いくら説明したところできっとこの気持はわかるまい。下腹が出るとか絶望でしかないのに。
 テレビには白黒の静止画像と『Omie Wise』の古い音源が流れている。実際に起きた事件を題材にした曲で、ナオミ•ワイズは恋人に妊娠したことを告げると、殺されて死体は川に投げ込まれたのだという。
 この手のトラッド•ミュージックが、酒を飲む時の最近のお気に入りだ。有希には「地味でつまらない」と嫌がられるが。だらだらと飲んでいたら、先日封を切ったばかりのオールドクロウはいつのまにか残りわずかになっていた。

 護岸工事の現場の前で、黒人のガードマンが気怠そうに誘導灯を振っている。その先の横断歩道を渡り、川沿いの遊歩道から左手にスロープを下ると、河川敷に出る。ここまでで既に全身汗だくだ。走るスピードをゆるめ、腰のボトルポーチからポカリを抜いて口にふくんだ。
 サングラス越しの視界の右側は、堤防の斜面を背の高い雑草が覆い尽くしていて、その上からオレンジ色の夕陽が降り注いでいる。左側は背の低い草むらの向こうに、川がゆったりと流れていた。その間を真っ直ぐに走るコンクリートの歩道には、左右から草が覆いかぶさり、人がようやくすれ違える程度の道幅しかない。
 谷底のような河川敷から堤防の上に戻るには、三キロ向こうのスロープまで行く必要がある。その間は、ほぼ直線で平坦な道のりで、頭上には何本か橋がかかっている。
 長く伸びた自分の影の先端に視線を固定して走っていると、虫の鳴き声ばかりが耳につき、川のせせらぎも自分の呼吸音すらも聞こえてこない。川面には、ときおり排水溝から吐き出されてくる大量の水が、白いあぶくを撒き散らしている。
 足元の草むらから、人の気配に驚いたバッタやトンボがしきりに飛び上がって逃げ惑う。
 虫の声に紛れどこからか、寂しげな旋律が聞こえてきたが、それは気のせいかもしれない。橋の下で楽器の練習をしている人はたまに見かけるが、陽が傾いているとはいえこの暑さでは、さすがに今はいないだろう。
 手の甲で汗をぬぐうと、左手首のGPSウォッチが振動してラップタイムを知らせてくる。呼吸の苦しさほどにはタイムは伸びない。この時期は仕方ない、そう自分に言い聞かせた瞬間に耳元で空気が低く唸り、大きなスズメバチが背後から頬を掠めて飛び去った。
 その行方を目で追うと、少し先の雑草がひときわ高く茂った辺りを、黒いチョウが十匹あまりひらひらと舞っている。そこにクロサギが二羽舞い降りてくる。上空を何匹ものトンボが各々でたらめな方角に飛び回り、地面近くをバッタが滑空する。まるでその一隅だけ、川岸に生息する生物の見本市のような様相を呈している。さらに近づくと足元のコンクリートの上を、紫にきらめく数匹のトカゲが逃げていった。
 こんな光景は初めてだった。この夏はいつにも増して河川敷を走っているのに。それとも普段は目にはしていても意識していなかっただけなのか。

 いつだったか、ネットのニュースを見ていた有希の言葉を思い出した。
「なんや灰尾川のずっと上流のほうで人の骨が発見されたんやて。それも片腕分だけ。怖いなあ。ほんで残りはどこいったんやろ」
 もしその死体の残りが遥か下流のここまで流れ着いていれば、今ごろ周りにはあんなふうに虫や鳥が集っているのかもしれない。

 再びGPSウォッチが振動した。相変わらずのラップタイムと呼吸の苦しさだ。こんな日に走っていること自体が間違いか。そういえば今日は河川敷に降りてからここまで、ランナーはおろかウォーキング中の人すら見かけていない。堤防の上の遊歩道には、ほかにも誰かいるのかもしれないが、急な斜面と草むらに遮られてその姿は見えない。
 少し先に橋があって、その下の影になった部分に何かがいるのが、ぼんやりと見えてきた。今日、最初の人影だ。さすがに楽器の練習ではないだろう、そんなことを考えていたら、やがて赤いワンピースを着た長髪の女性が、暗がりに佇んでいるのだとわかった。
 こんな日に何をしているのか気になったものの、変に警戒されるのも嫌だなと、なるべく見ないで通り過ぎようとしたが、なぜか執拗な視線を感じて一瞬だけそちらに顔を向ける。
 下腹が大きく突き出したその女性の顔は、影になっていてよく見えなかった。ただその頭部全体から、炭が燃える時のような真っ黒な煙がぶすぶすと立ち昇っていた。
 悪寒が走る。それを目にしたのはほんの一瞬だった。きっと何かの見間違いだ。そう思っても、振り返って確かめる気にはどうしてもなれなかった。

 本日二度目のシャワーは二人で一緒に浴びて、それからようやくベッドに横になる。ランニングで少し無理をしたせいか、太ももの裏からふくらはぎにかけて、鈍いだるさが残っている。
「みんな、陽くんに会ってみたいって」
 ベッドのうえに横座りをした、パジャマ姿の有希が言った。ショートヘアーの水気をタオルでぬぐっている。もうアルコールは抜けたらしい。
「コロナのせいで式もまだ挙げられてへんし」
「俺は別に会いたくないよ」
 枕にアゴをうずめ、スマホで「灰尾川」に関するニュースを検索しながら返事をする。
「大丈夫よ。誰もすごいイケオジがくるなんて思うてへんよ。マラソンしてる言うたら、『どうせこげ茶色の瘦せたおっさんやろ』やて」
 思わず苦笑いして、右手を伸ばし有希の膝に置いた。
「あとな、言われたんやけどマラソンし過ぎると精子の質が低下するんやて」
 ……まただ。どうして気分の良いまま寝かせてはくれないのだろう。子どものことなんて正直まだ考えたくもないのに。
「月に百キロとか超えたらあかんらしいよ」
「そんなことあるか。隆のとこだって子ども三人もいるし。あいつは毎月三百キロ以上走ってる」
 女性同士の会話なんてどうせ誰かの受け売りで、根拠もいい加減に決まってる。
「絶対できへんとは誰も言うてないよ。ただもうちょっと気にかけてくれてもいいのになって」
「寝よ寝よ」
 それだけ言って仰向けになるとタオルケットを腹まで引き上げた。
「陽くんは子どもほしないの? 食事だって少なすぎやし、お酒だって」
 今日も疲れてるけどやることはちゃんとやったじゃん、とは口に出さずに黙って目を閉じる。頭の中に河川敷で見た女の真っ黒な顔が浮かび上がってくる。
「聞いてへんの」
 それでも黙っているとベッドがどすんと揺れ、彼女が乱暴に横になったのがわかった。すぐに部屋の灯りが消える。
「ほんまにしばらく走りに行ったりとかせんほうがええよ。まるで何かに憑りつかれているみたいやで、さいきん特に。痩せすぎて気持ち悪いし、目つきもへんや」
 その後も何かぶつぶつ言っていたのが、ようやく言葉がとぎれたと思ったら、やがて寝息が聞こえてきた。
 さっきの検索の結果が気になって、うつぶせの体勢に戻ると暗闇の中で再びスマホを取り上げた。

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河原に女性の腕の骨
一部燃された痕跡も

 今月15日に、K県西部を流れる灰尾川の上流域で、成人女性のものとみられる骨の一部が見つかった。K県警が発表した。骨は右の上腕骨で、一部炭化しており、何者かに火をつけられた可能性があるという。近隣住民が飼い犬の散歩途中に発見した。
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 一人分のコーヒーを淹れMCTオイルを垂らして飲みほすと、すぐにランニングウエアに着替えた。寝室の外から有紀に「行ってくる」とだけ声をかけて家を出る。まだ午前中なのに皮膚が痛いほどに暑い。
 昨日の今日で川沿いのコースは確かに薄気味悪いのだが、かといって国道沿いのルートはアップダウンがきつくてこの時期に走るのには向いてない。
 たとえ昨日と同じコースでも、河川敷ではなく堤防の上の遊歩道を走ればまあ問題はないよな、そう考えて走り始める。半ば意地にもなっていた。

 護岸工事の現場を過ぎ、まっすぐ歩行者優先の遊歩道に進もうとすると、赤い三角コーンと「工事中」の立て看板に行手を遮られた。昨日までは普通に通れたはずなのに。看板の前でしばらく躊躇していたら、背後から犬の唸り声が聞こえてくる。振り返ると、真っ黒な大型犬が数メートル先でこちらをじっと睨んでいた。周囲に飼い主らしき人影はない。犬の首からだらりと垂れたオレンジ色のリードは、前足の辺りに蛇のごとくとぐろを巻いていた。
 鼓動が早まる。子どものころから犬は苦手だ。一歩後ろにさがったところで、そいつが体勢を低くしたと思うと突然、鋭く吠えた。全身に緊張が走ったが、それでもどうにか目を逸らさず、息を殺してさらに後ずさる。犬は苛立った様子で、前足で地面をかき、涎を垂らしながら看板の前をうろうろと歩きまわる。その様子にいっそう恐怖感が増す。刺激しないようゆっくりと移動を続け、どうにかそいつの姿が見えないところまできて、ほっと息をついた。気づくと河川敷に立っていた。
 まだ犬のいるはずの坂の上を眺め、少し躊躇してから覚悟を決めると、そのまま三キロ先のスロープを目指して走り始めた。昨日のあれは、きっと何かの見間違いだ。
 前方の橋の上から男性が身を乗り出し、川に釣り糸を垂れている。足元には大きな犬がうずくまっていた。強烈な陽射しを背にして表情まではわからない。ただ恰幅の良いところが義父に似たその男性は、こちらをじっとにらんでいるような気がした。
 足元を見るとコンクリートの上に点々と、子どもがびしょ濡れの靴で歩いたような、ちいさな足跡が続いていた。人影はない。不安を感じながらもその後を追うように走り続けると、逆に足跡は逃げるように先へ先へと延びていき、やがて左手の草むらに入り込み、それからぱしゃりと水音がした。その瞬間にクロサギが舞い上がり、馬鹿でかいカエルが足元に飛びだしてきた。「うおっ」と叫び、とっさにジャンプして避けると、どうにか立ち止まらずに走り続けた。耳の中で血管がはげしく脈打つのがわかる。
 憑りつかれているみたいだってよ。ちくしょう。ちくしょう。カエルごときに驚いた自分にも腹が立つ。
 ふいに辺りが暗くなった。見上げると、夏の苛烈な太陽を黒い雲のかたまりが飲み込もうとしていた。天気がやばいか。その矢先に、はるか前方にぽつんと人影が見え、少しほっとする。どうやら向こうもランニングをしているらしい。それにしては動きがどこかぎこちないが。
 やがて上下真っ白なウエアを着た女性ランナーの姿が、薄暗い景色のなかに浮かび上がった。その姿がきらきらと揺れながら徐々に大きくなってくる。
 お互いの様子がはっきりと見えるくらいの距離まで近づいたタイミングで、大地に向かって一気に垂れ下がり始めた灰色の雲をあらためて見上げ、それから正面に視線を戻して、息をのむ。女の両肩の先には、何もついていない。両腕がないのだ。彼女はそれでも腕のない上半身をたくみにくねらせながら、大きなストライドでぐんぐん近づいてくる。
 キャップを浅く被ったその顔の、見開いた両目はまるで白い肉の塊で、口元は苦し気に歪んでいる。
 ふいに魚の腐ったような強烈な臭いがして、すれ違いざまに女の上半身があり得ない方向にぐにゃりと折れまがり、そのまま地面にどさっと落ちた。
 背後から「ぎゃーっ」と鳥が泣くような悲鳴が上がる。決して後ろを振り返らずに、ただ逃げるように全速力で走り続ける。
 辺りが少し明るくなったかと思うと、大鍋の底が抜けたように雨が一気に降り出した。経験したことがないほどの激しさで、視界は白く霞み、むき出しの腕や肢に当たる雨粒が痛い。川面は大きな魚の群れがばしゃばしゃと跳ねるように水しぶきをあげた。
 雨の勢いに呼吸がさらに浅くなる。シャツとハーフパンツが体にペッタリと張り付く。フォームはきっとばらばらだ。
 堤防の上に点々と設置された黄色い警告灯が、一斉に点灯した。かすかにサイレンも聞こえてくる。急な増水の合図だ。
 とにかく早くここを抜け出さないと。そう思ってがむしゃらに臀部に力を込めても、思うようにスピードが上がらない。子どもの悪夢さながらに、足が地面から浮き上がり空回りするようなもどかしさだ。
 川の水嵩はぐんと増して、既に足元まで浸し始めている。もう限界だ。気力が尽きかけたところで、雨に煙った風景の奥に、ようやくスロープが見えてきた。その手前に橋が架かっていて、橋の上に傘をさした人影も見える。顔まではわからなかったが、鮮やかな赤い傘には明らかに見覚えがあった。
「有希!」
 雨音で声がかき消される。どうしてこんなところに。心配して車で追いかけて来てくれたのか。
 必死でスロープまでたどり着くと坂を駆け登り、息を切らせながら橋の方を振り向いたが、そこに人影はない。
「有希!」
 再び叫んでからさっきまで彼女がいた辺りに駆け寄って、欄干から身を乗り出し橋の下を覗き込む。開いたままの真っ赤な傘が波にあおられ大きく揺れている。どこかで犬が吠えている。
 それまではげしくしぶきを上げていた水面がふいに静まり返り、上空から淡い光が差し込む。暗い流れの奥底から、長い髪を振り乱した女がこちらをじっと見つめている。
――有希じゃない。
 そう思った瞬間に、誰かがどんと背中を押した。一瞬ふわりと浮き上がるような感覚があってから、体がずるりと滑り落ちるのがわかった。

おわり

河川敷

執筆の狙い

作者 いかめんたい
M106073000002.v4.enabler.ne.jp

以前に投稿したホラー風のやつが、お話が他人事で怖くないとの指摘をたくさん受けたので、今回は主人公が巻き込まれる臨場感みたいなのを目指しました(続きではない全然別のお話です)。
6000文字くらい。
どうぞよろしくお願いします。

コメント

しまるこ
133.106.53.21

おはようございます。冒頭、やや滑り出しが悪い気がしました。スマホを触ったり買い替えたテレビだとか、リズムが悪い部分で挟み込まれている気がして、同じ会話シーンでも、二回目のシャワーから始まる会話の方が滑らかだったように思います。冒頭だからちょっとだけ気になりました。

表現の練習のために書かれた作品のように見受けられましたが、突然の謎の怪奇によって、これまでの話が煙に巻かれてしまった感が強く、ストーリーと怪奇が結びついていないように感じられ、怖さより謎の方が残りました。臨場感はあったように思います。

いかめんたい
M106073000002.v4.enabler.ne.jp

しまるこ様

さっそくコメントをいただきありがとうございます。

冒頭は、見返すと確かに読みづらいですね。
リズム、難しい。
へんに細々としたところから始めてしまう癖があるのと、あとは必要な説明が不足していたのも、原因だと思います。

「表現の練習」というのは確かにそうで、今回は一にも二にも「臨場感」と考えて、描写なんかもできるだけ簡潔にと心掛け後から削ったりしていたら、結果として説明不足の、またへんに気取った感じになったかもしれません。

煙に巻かれたように感じさせてしまったのは、そのせいだと思います。

内容は、自分のことばかりでいつまでも大人になれない男性のお話、というつもりでした。途中で持ち出した古い曲も、そんな男女のことを歌ったものでした。

臨場感はあったとのことで、そこは安心しました。
ありがとうございました。

アン・カルネ
KD106154137024.au-net.ne.jp

これも出だしは普通で途中から怪異譚。
すらすら読めましたが、もしかしたら、流し読み? 的になってたかもしれません。
ですから読み取れてないかもしれないので…、そこ、ごめんなさいと先にお詫びを。

「?」があるけれど読んでいて分かった事。
有希20代。
陽くん30代後半? 40代? 三十路を大きく越したとあるから実は40代?
有希は妊娠したがっている?
陽くんは若い頃の体形を維持することに固執しているが、妊娠は望んでいないようだ。
コロナのせいで式はまだだけど入籍はした? それとも同棲中?

陽くんは、実際の事件(ナオミ・ワイズは恋人に妊娠したことを告げると殺されて死体は川に投げ込まれた)を題材にした歌が気に入っている。
これと呼応してるらしく思える事件。
今月の15日に灰尾川の上流域で成人女性の一部炭化した上腕骨が発見されている。この事件は未解決?
発見者は飼い犬を連れて散歩中の近隣住民。

怪異の前兆。「こんな光景は初めてだった」
ここから始まる怪異。
暗がりに佇んでいる赤いワンピースを着た長髪の女性、顔は焼かれている模様、下腹が大きく突き出ている。おそらく妊婦を示唆。
上下真っ白なウェアの女性ランナー。両腕が無い。腐臭を発し、死体である事を示唆。
「見開いた両目はまるで白い肉の塊で、口元は苦し気に歪んでいる」とあるからこちらはもしかしたら顔は焼かれていない?
ラスト。欄干から覗くと暗い流れの奥底から長い髪を振り乱した女がこちらをじっと見つめており、陽くんは誰かに背中を押され、川へ落ちる。

疑問に思ったこと。
怪異に登場する女性は同一人物? それとも別々?
発見された上腕骨の持ち主の女性はどの女?

全く分からなかった事。
怪異に繋がる女性(達)と陽くんの関係。

陽くんが実は上腕骨女性殺害してたと考えてみる。
すると、実際の怪異なのか良心の呵責が見せたまぼろしなのか、そこ読み手に任せます、という手法なのかな? と思う。
ただ、そうなると今度気になるのは有希と陽くんの関係と、その上腕骨女性との関係。
陽くん、二股かけてました、なのかしら。それとも女性殺害後、有希ちゃんと交際スタート?
川に投げ込んだ死体が骨になってから発見されるまでってどのくらい時間がかかるものなのかしら。
陽くん、次は有希ちゃんも妊娠したら殺しちゃう?
ここで疑問に思う事。
陽くん、なんでそこまで交際女性の妊娠を嫌悪? 
妊娠が嫌なら避妊する。彼女と話し合って、合意の元、彼女の方にも避妊協力を求めれば良くないですか? 色々方法ありますし。それにこう言っちゃナンですが、堕胎罪があるような昔ならいざ知らず、今はいよいよとなったら中絶、それがだめなら別れるという方法もあるわけですし。もっと言えば、未籍状態なら逃げちゃうこともできますよね。
入籍後でも産むなら離婚だ戦法がありますし。
ふたりで一緒に暮らした期間が短ければ短いほど、共有財産が少なければ少ないほど腹が痛まないのは実は男の方。無い袖は振れないよってね。(ドラマと違って現実には慰謝料がっぽりとはいきませんから)
いざとなったら妊婦捨てて逃げだす方法はいくらでもあるのに、なにゆえ、妊娠したら殺さねばならないになるかな、この21世紀、みたく思っちゃうんですよね…。

そう思うと、じゃあ、別に陽くんは上腕骨女性とは無関係?
と思うと、今度は、なんで彼は怪異に巻き込まれる必要があったんだろう? と…。
しかも最後は命落としちゃってるのでは?
それとも川には落ちるけど、そこで泳いで無事家に帰る?
そういう感じには思えないラストですよね…。
なにゆえ、死んだ女性(達)に因縁つけられ川に落とされるんだろう。
まさか妊娠嫌悪でそこまでの仕打ち? てことはないだろうと思うと、川に落とされる謂れはなに? とその疑問が残ってしまうというか…。

いや、何の因果律もなく、怪異とはある日突然、不条理に人を襲うものなのです。
という話なのであれば、逆に上腕骨女性と妊婦と妊娠と陽くんの妊娠に対する意識に関連があるような匂わせ方はしない方が良いんじゃないのかなあ? なんて思ったりしました。

そんなことが読みながらあれこれ思ったりしました。
読み落としもあるかもしれないので、分かってないなあ、だったら本当にごめんなさい。

ただ、執筆の狙いにある「主人公が巻き込まれる臨場感」はとてもよく出ていたと思います。
だから簡単言うと、「巻き込まれる」理由、そこが消化不良になっちゃったかなあ、でしょうかね。

いかめんたい
M106073000002.v4.enabler.ne.jp

アン•カルネ様

こんにちは。
コメントをありがとうございます。

今回、やりたかったのは主人公が怪異に巻き込まれるところを臨場感を持って書くこと、でした。

それであまり長くはしたくなくて、怪異の背景は匂わせる程度に留めて、などと考えていたのですが、説明を省いた書き方のせいもあって、側からは何の匂いが漂っているのかわからない状況になってしまっていたようです。

客観的な事実についてはだいたい上げていただいた通りです。20歳代後半と30歳代後半の歳の差カップルで入籍済み。ただ旦那の方は歳の割にいつまでも子どもで(だから若い相手と結婚したり)自分のことばかり考えていて、子どもを持つことが絶対に嫌なわけではないけれども、そのために自分が制限されたりするのはぜったいに我慢できない、という感じです。

それで見つかった骨は、こちらもお察しの通り妊娠中に恋人に殺されて、焼かれて川に流された女性のもの。この辺は歌の内容で示唆しただけでしたが。

ただその死体は、大雨で川が増水した時に、腕だけ残して下流に流されて、主人公がランニングで使う河川敷の雑草の中に放置されているという設定でした。

ちなみに死体(骨)があるのは、「こんな光景は初めてだった」のあの場所です。そこに虫が集まってくるのは、昔読んだ久生十蘭の『昆虫図』へのオマージュ(パクリともいう)ですね。

そこを毎日ランニングしている主人公を死んだ女性が見初めて(虫や鳥で自分がそこにいることをアピール)、最後は死後の世界に引き込んでしまったというお話でした。

主人公と殺人犯(それとおそらく歌の事件の犯人も)の共通点としては、いつまでも大人になりたくない、大人としての責任を負いたくない子どもとか、そんな感じです。他の二人に比べれば主人公はまだマイルドですが。

怪異の女性2人は同一人物(死人)です。そういえば何故わざわざ別の出立で登場させたのか深く考えていませんでしたが、2度目はランナーの主人公と同じような格好をしてアピールしていたんじゃないかというこじつけを、いま思いつきました(けっこう健気な幽霊)。

それでそうした諸々を詳しく書かずに匂わすだけで押し切ろうとしたら、何を食わされてるのかわからない代物になったということのようです。

あとは書き方自体の問題に加えて、ご指摘の「巻き込まれる理由」、これがもっと必要だったかもしれません。
私の中では犯人と主人公の共通点を、歌を使ってなんとなく示唆しただけなのですが、仮にもっと説明的に書いてあったとしても、ここは弱すぎたかもしれません。

あ、あと「臨場感」は出ていたということで嬉しいです。私すら忘れかけていましたが、これが一番の目的でした。

細かなご指摘、ありがとうございました。

abejunichi
140.248.33.30

「カップ麺? 珍しくない? もう少しましなの作ってくよ」
→作ってくよとあるので、友希という女性が主人公にご飯を作って持ってきてくれると読んでしまいます。ではふたりは別々の場所にいるのか? この時点では電話で話していると考えながら読んでいました。


 彼女はまた、こちらを見ずにつぶやいた。

→ここではじめて、場面は自宅で、ふたりは同じ場所にいるとわかります。
でもふたりが同じ場所にいるのであれば、友希という女性が、なぜ明日の晩ごはんをどうするか、冒頭で尋ねているかがわからなくなってきます。

「いいよ気にしなくて。みんなで会うのなんて久しぶりじゃん。楽しんできな」
→このセリフで、友希という女性が明日の夜にでかけるから、晩御飯の話をしていたんだなとわかります。

でも、それはこんなにわかりにくく書かれていますが、必要な話でしょうか?

僕としては冒頭でどう読者を引き込むか?ということを考えます。
明日の晩御飯やカップ麺の話など、どこにでもある日常のことは、必要でなければ書きません。読者は、面白い話が読みたいのです。


わざわざ食べに行きたいとも思はない。
→思わない。(誤字)

このように編集は割愛し本編の話をします。

友希という女性は子どもを欲しがっていて、主人公は欲しがっていない。それがなんらかの形で、ホラー的なエピソードと結びついているようで、結びついていませんでした。
冒頭の晩飯の話や、子どもの話など、本筋と思われるところがよくわかりませんでした。
それがひとつの問題であると感じます。

書いている人称をはっきりさせる。
視点をはっきりさせる。
物語の軸をはっきりさせる。

そういうことが必要かもしれないと感じました。

主人公がひとりで走っている場面の臨場感はありますが、
それ以外の部分の話がどうも本筋と関係がないように思われます。

面白い枝葉は作品が長くなるにつれ必要になってきますが、わかりやすさに重点を置くことも大切だと感じました。

作品を読ませていただき、ありがとうございました。

ぴよ2000
p593072-ipxg00b01daianjibetu.nara.ocn.ne.jp

 こんばんは。
 拝読しました。

 一読して、妊娠や夫婦の在り方をテーマに描きたかったようにお見受けしました。
 というのは、主人公と有希のやり取りがあまりにも濃く、上手く描写されているように感じたからです。
 上記の感想欄で先入観が入ってしまうところもあろうかと思いますが、
      主人公は感覚がまだ幼く、有希とセックスはするものの、子供を欲しいとまでは思わない
というような印象を受け、対して有希は、
      社交的であり、子供を欲しがっている
      親になりたがっている
というような印象を受けました。
 この対比について、現代社会の生きにくさみたいなものの描写が丁寧に感じられ、成程、こういう描き方も面白いなぁ、と勉強になりました。

 また、肝心の怪異との邂逅について、虫や鳥、植物、川辺の生き物を上手く使って臨場感を煽っているようにも感じ、一文一文から、ランニング最中の息苦しさに混じって、川辺特有のすえた臭いまで漂ってくるようでした。

 不明点については、肝心の怪異と主人公の背景の因果関係と、怪異等と遭遇した時のカメラの位置でした。
 主人公はこの怪異とどう関係していたのか。
 どうして、主人公が怪異に魅了されたのか。
 有希の妊娠を疎んじている主人公が、何故、身重の怪異に魅入られることとなったのか。
 怪異と遭遇したことによって、主人公の心境にどのような変化があったのか。
 この点をもっと深堀りすれば、この作品の深みがより一層増すように感じました。

 カメラの位置については、二度目に怪異と遭遇した時の位置関係がわかり辛く感じました。
 読解力が無いせいかもしれませんが、釣り人が主人公から見てどこにいるのか。橋の上だから、真上でしょうか。
 そして、すれ違いざまに怪異の身体が崩れていったのをどのように捉えたのか、が少々わかりにくく思いました。

 全体的には緊迫感や臨場感があり、狙いの点では成功しているように感じます。
 一場面ごとに面白く、次どうなるのだろう、と、気になる展開等について勉強させてもらいました。
 ありがとうございました。

いかめんたい
M106073000002.v4.enabler.ne.jp

abejunichi さま

おはようございます。
コメントをいただきありがとうございます。

>もう少しましなの作っていくよ

確かに持ってきてくれるようにもとれますね。
会話も地の文もできるだけナチュラルな感じにしたかったんですけど、まだ工夫が必要ですね。

それでそもそもこうした彼女との描写が必要か、怪異との繋がりがないのではないか、という点については、私のなかでは繋がっていたのですが、それがわかりやすい形で提示されてない、ということなんだと思います。

妊娠した女性が恋人に殺され、死体が川に流される

川が増水した際に下流まで運ばれて、主人公がランニングしている河川敷に流れ着く

したいの前を毎日ランニングしていた男性を見初めて、死後の世界に連れていってしまう

というのがお話の大筋です。

それで、妊婦を殺した男性と主人公との共通点として、大人になりきれない(自分が子どものままでいたい)男性、という設定にしていました。それで、この共通点や、殺人事件の内容を示唆するものとして、アメリカのトラッド(この歌に出てくる男は、恋人の妊娠を聞かされ、殺して川に流してしまう)を持ち出しました。
それで主人公の食事や体型への少し変わったこだわりは、そうした性質の象徴として設定したものでした。

なので食事に関するあれこれは「必要か?」と問われれば必要であったと考えていますが、ただこれが「読者を引き込む」冒頭かと問われると、他にやりようがあったかなというのが、今の正直な感想です。

また今回は、怪異に巻き込まれる主人公の臨場感を出すこと、を第一の目的に据えていたので、怪異の背景はぼんやりとした書き方でも良いかなとは考えていたのですが、そうした書き方でも的確に意図が伝わるヒントの置き方みたいなものももっと考えないといけないなと、改めて思いました。

あとは人称と視点のご指摘について、これは普通に一人称一視点のつもりでしたが、どこかで乱れがあったかもしれません。
あと今回は、一人称代名詞を基本的に排除してみたんですけど(それがやり方として正しいのかはよく分かりませんが)、一人で走ってるところはそれで良くても、会話相手とか怪異とか自分以外の他者が出てきた時に、曖昧にみえてしまったのかもしれません。

いろいろと考えてみます。
ご指摘ありがとうございました。

小泉後次郎
202-231-88-167.east.ap.gmo-isp.jp

いかめんたいさん、読みました。

 読者としての感想を書くと、男女がとりとめのない話をして、その日常が冒頭で描かれる。純文学かと思って読み始めるも、描写ばかりなので二人の関係を理解するのに読み込まないといけない。正直言って、すらすらとは読めませんでした。後半は面白かったです。

 作者視線での感想になると実は、冒頭はかなり巧妙に考えられて描かれているように思いました。子供なんかいらないという男の温度差が、日常の噛み合わない食事場面によく表れている。よくよく読むと、男が気にすることを女は気にかけず、女が気にすることを男は気にかけていない。まあ、よくあるカップル。しかし、この男性の心情なしには物語として成り立たないお話になっています。

 おそらく足りないものは、きちんと描こうとする気持ちの方ではなく、書き終えた後で読者になって意識して読み直してみること、の方かもしれません。読者がどう読んでくれるだろうか、という、推敲時における意識の欠如。これができていると、読者に負担をかけずに読んでもらうために、男女を説明した一文を早めに入れる配慮ができる。または、どんな話なのかわかって読んでもらうために、例えば、内容を仄めかす映画のことを最初に見せておく、あるいは、お話の起点がランニングなので走り終わって家に帰ってきたところから始めるとか、もっと効果的な書き方ができるのではないかと思いました。文章と描写はすごく上手いので損をしているように思いました。

いかめんたい
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ぴよ2000さま

こんにちは。
コメントをいただきありがとうございます。

一つ目のパートと三つ目のパートでがっつり夫婦の会話を入れたのは、怪異に巻き込まれる主人公について描写しつつ、その背景の説明もこれらのパートに託そうとしたからなのですが、「濃く、上手く描写されているように感じた」とのことで嬉しいです。

ただそこと怪異との接続はうまくいってないようだなというのは、皆さんのコメントからも感じています。

ランニング中の怪異との邂逅は、まさにそれを書くための文章だったので、好意的におっしゃっていただけてほっとしむした。

怪異との因果関係について、ここは他の方からもご指摘いただきましたが、薄かったですね。
死体が埋まった河川敷を毎日ランニングする主人公が、女性を殺した犯人と似たところがあったこともあり、怪異にみそめられてしまうという流れで考えていました。
それで今にして思うのは、怪異のほうの心理(そんのものがあるのか分かりませんが)をもう少し明確にして、例えば何かのきっかけで主人公のことを気に入ってしまう(主人公が死体のそばで毎回休憩していて、そこで流した汗が土に染み込み、みたいな)、あるいは逆に犯人と同一視され復讐されてしまうとか、そんな流れもあったかなと考えています。

カメラの位置については、確かに配慮が足りてませんでした。
釣り人との関係は、「前方の橋の上」との表現で斜め上を見上げた感じを考えていましたが、そもそも橋がかかっているのが河川敷の「頭上」であることの説明が、最初のほうのランニングのパートにしかなかったので、橋との位置関係についてここでももう少し言葉を足したほうが良さそうです。
「すれ違いざま」については、当初は「あり得ない方向にぐにゃりと折れ」まがった、としか書いてなかったのですが、あとから「そのまま地面にどさっと落ちた。」を付け足したので、時系列的に主人公から見えない位置にいる相手を描写してしまいました。ここは、「すれ違う直前」くらいに訂正したいと思います。
いずれも鋭いご指摘ありがとうございます。

「全体的には緊迫感や臨場感があり、狙いの点では成功している」というのは、すれしいです。

ありがとうございました。

いかめんたい
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小泉後次郎 さま

こんばんは。
コメントいただきありがとうございます。

最初の会話のパートはやはり読みづらいみたいですね。そもそも説明が足りないのと、あとは間に挟んだテレビの話が悪さをしてるみたいです。
もしかすると、出だしをあえて分かりづらくすることで集中して読んでもらいたいみたいな、作者としての身勝手な心理(無意識)が働いているのかなとも思いました。

「よくよく読むと、男が気にすることを女は気にかけず、女が気にすることを男は気にかけていない。」まさに、そんな感じで考えてました。
それで最初の会話のパートでは、女性の方が旦那そっちのけでスマホとお出かけの話に夢中みたいな形にしておいて、二回目の会話のパートで男性の方の身勝手さをより明確にしよう、みたいなことを考えていました。

「書き終えた後で読者になって意識して読み直してみること」毎回思うんですけど、これ難しいですよね。
しばらく寝かさないと問題点が見えてこないのはわかっているのですが、私は割とすぐに上げてしまっています。その分ここに晒すことで、自分では気が付かないいろんなご指摘がいただけてたいへんありがたいのですが。

冒頭に内容を仄めかす何かを置くというのは、実はアップした後に私も少し考えました。件の曲の歌詞だとか、殺人事件の時の様子だとか。ただどっちも臨場感という面ではマイナスかなとか、悩んでました。
ご提案いただいた、ランニングで帰ってきたところから始めるのは良いかもしれないですね。死体のそばで知らずに休憩した主人公の手首に、長い髪の毛が数本巻きついていた、みたいな。あ、これいいかも。

参考になるご意見、ありがとうございました。

小泉後次郎
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いかめんたいさん、すみません再訪です。

>しばらく寝かさないと問題点が見えてこないのはわかっているのですが、私は割とすぐに上げてしまっています。その分ここに晒すことで、自分では気が付かないいろんなご指摘

 一言で片付けちゃいましたが、自分の作品を客観視するのは難しいですよね。自分がしているやり方ですと、書き上げたらまず作品を寝かす。最低数日は作品のことを忘れる。
 で、推敲時に気をつけるのは、読者は基本的に書かれた文字だけで作品を読むもの、ということを意識して読む。書いている時は、こんなこと書かなくてもわかるよねと、つい思いがちなんですが、案外そうじゃないんですよね。特に冒頭において、この作品はどんな話だろうという段階ではなおさら気をつけています。作品に自信があれば別ですけど。情報を出す順番もですね。自作を読む時って、書かれていないことを自ら脳内補完してしまうものなので。
 で、誤字脱字などを見つけたい場合はそれだけに専念した方がいいです。面倒くさいですけどね。

いかめんたい
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小泉後次郎

再訪ありがとうございます。
「最低数日は作品のことを忘れる」「読者は基本的に書かれた文字だけで作品を読むもの、ということを意識して読む」
心がけたいです。

今回のお話は、複数の方からご指摘いただいた通り、出だしでどんなお話なのかわからない、最初のシーンのシチュエーションがわからないというのと、あとはようやく気がついたのですが、冒頭、「有希」の三人称にも読めてしまうというのも、混乱や読みづらさを生んだ要因だったように思います。

ありがとうございました。

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