そしてバトンは渡された、の映画を見た感想(ネタバレあり)
そしてバトンは渡された、の映画を見た感想(5つのバトンが1つのバトンに集約されるデフレストーリー)ネタバレだらけ。
一つのバトン(命)が色んな親にリレー状に順番に託されて護られ育《はぐく》まれた。一見すると、いい話である。でも、日本の衰退を象徴している物語だとロスジェネおっさんは思う。
主人公の少女の親は5人(生みの親二人、狂言廻しママ、金持ちパパ、東大パパ)いる。その5人の5つのバトン(命)が結局主人公の一つのバトン(命)に集約される物語。コスパ悪すぎない?
金持ちパパと東大生パパは他に子供がいないっぽいから、彼らのリソース(金、時間、人的資源)が、あのボーッとした小娘一人を育てるだけで終わっている。そりゃあ少子化進むわ。
映画の終わり時点で主人公はプータローで、旦那もプータロー。ままごとみたいな同棲して、分不相応な豪奢な結婚式あげちゃう。リアリティは皆無だ。普通周りに結婚止められるだろう。デキ婚しかありえない。でも、観葉植物みたいに性慾もなさそうで、ままごとの延長線で結婚しちゃう。映画だからいいのかね(原作通り)。
まあ、この映画に社会問題を扱う気がないのは知っている。この批判が的外れなのもわかる。でも、あと十年で団塊ジュニアが年金もらう頃には、一人の納税者で一人の高齢者を支える地獄のような世が到来する。少子高齢化は日本衰退のトリガーだが、政治家さんは特に何も対策は打たない。今、2千万の議員報酬がもらえれば十年後に日本がどーなろうとしったことではない。下手に年金改革して、高齢者票を失ったら議席を失うばかりだ。結局赤字国債というお札増刷チートで、巨額の社会福祉コストを賄っている。スーパーインフレが来るのは間近だ(ただ給与は上がらないのでインフレは抑制されている?)。
社会問題を度外視しても、物語の全てが絵空事っぽいことは否めない。主人公の女の子を愛玩動物のように飼い回す大人たち。彼らが、子供を叱る場面はない。ただひたすら可愛がる。親にエゴがないので、子供との葛藤がない。東大パパは血の繋がらないJK娘に少しは性的葛藤あってもいいだろう。全くもって品行方正で、ゲイかと疑うレベル。性慾はどー処理してるんだろう。
物語途中まで一番むかついた狂言廻しアゲハチョウママの秘密が分かって少し泣けた。あの設定なら、あの奇行も分からないではない(普通だったら裁判で訴えられるような所業をやっている)。一番リアリティがなかったキャラが、最後は一番ましに見えた。あそこの原作からの改変は素晴らしかった。
でも、この映画には子育てに恐怖を持つ若者の緊張をほぐすって意図があるのかも。公務員じゃなければ、どんな大企業でも人口知能さんに仕事を奪われかねないご時世。簡単に虐待で世間に指弾されるリスクがある時代で、お金と時間ばっかり掛かる子育には勇気がいる。子育てするより、SNSのアカウント育てるほうがリスク少なくやりがいがある事業かもしれない(反抗期もないし)。
でも、子供ってかわいいし、上手くいかなきゃ、誰かが救ってくれるって温かい(能天気な)メッセージが込められてるのかも。
映画は夢を見せるものだからね。
執筆の狙い
映画評論で一発あてようぞ みなのしゅう