わたしの音。
惨めだ。なんて惨めなんだ。この1ヶ月間,わたしは一体何をしてきたんだ?振り返ればそこは,引き返す余地もない荒れた道が広がっている。もう,後戻りはできない。やり直しも効かない。時間は止まってくれない。どうして,どうして!わたしはできないの?意志が弱いから?ピアノが好きじゃないから?楽しくないから?
いや,違う。これ以上強い意志を持ったことはない。ピアノが大好きだ。楽しいんだ!じゃあ,どうして?わたしはこんなにも情けない。あと5日,わたしはどう取り返せる?
日本最高峰のピアノコンクール。6月に予選があり,わたしは突破することができた。4月から闘いは始まっていて,8月の全国大会へ行くことを目標とし,作曲家について学んだり,講師が公開した指導動画を見たり,リハーサルに出てみたり。たくさんのことを,できることをやってきた。やってきたはずだった。あと5日後には本選が待っている。そこには,わたしがライバルだと思う参加者は6名ほど。特に,羽多野さんなんか強敵だ。ありえないほどの実力を持っている。絶対に勝ち取りたい!そう思ったわたしは,これまでにないくらい強い意志を持ち,その目標に到達するまで何度でも立ち上がった。
本番が翌月となる7月,母が介護から仕事へ働き始めた。妹2人と弟は,それぞれ学童や保育園へ通い始めた。しかし,7月下旬からは,毎年恒例の夏休みが始まる。わたしも,今年から中学校に上がり,中学生初めての夏休みだ。妹も同じコンクールに出場している。しかし,両親は仕事,妹たちはそれぞれの持ち場へ。家にはわたし1人だ。つまり,ピアノを思う存分ならすことができる。2週間の時間が生まれたのだ!
しかし,わたしにはスマホという天敵がいた。普段は家族連絡用として使用しているが,ついつい調べ物をしてしまう。今時はやっているYouTubeなど,インターネットの世界は楽しい。しかし,わたしはピアノに専念するために夏休みを活用すると決めている。だから,手放そうと決めていた。
現在。ベートーヴェン先生とメンデルスゾーン先生の曲に曲を弾くが,ベートーヴェンは初めてで難しいよと先生にも言われていた。しかし,先生も挑戦してみようと一緒にベートーヴェン先生を選んだのだ。だが,やはり難しい。何がと言ったら,テンポを安定させることや三連符。特にベートーヴェン先生の命である強弱なんか「言うは易く行うは難し」だ。相当な練習が必要だった。頑張ったは頑張ったよ。だが,1人の時間,やはり、、
、スマホへと手を伸ばす。罪悪感やだめだ!とも思う。毎日がそれとの闘いだった。でも,負けたんだ。スマホに。
残り5日。今更になって焦り始める。こんなにも焦ったことはないだろう。今年,同じメンバーで,同じ曲を弾き,競い合うのは最初で最後だ。今からでもまだ間に合う。確実に音の完成度は高まってきている。周りからもそう言われた。惨めだったよ,わたしは。無駄にしたんだ,あの時間を。ベートーヴェン先生,メンデルスゾーン先生,お願いです。。
わたしは愚かで惨めで大馬鹿者です。ピアノに向き合うことも許されないかもしれない。競う価値もないかもしれない。ですが,この曲を奏でたいのは,きっと,誰よりも強いと自信があります!今更です,今更ですよ。今更ですが,やりたい。
全国へ,行かせて。
残り5日。わたしはどう変わり,どう取り返す?そうして,本番はどんな演奏をするのだろうか。今まで努力してこなかったわたしに,1%の希望をー
執筆の狙い
こんにちは。ピアノのコンクールに出場する「わたし」の物語ですが,これは実際に今の,現在の私です。(天照和子(山城紘菜)のこと)本番はまだきていませんが,5日後。どんな演奏をするのでしょうね。
アドバイスでもなんでもいいです。コメントをくれてもいいです。しかし,私が今1番欲しいのは,この私へのメッセージです。それについでにアドバイスくれたら嬉しいです。お願いします。