花の倒錯
その花は、何もかもが反対向きなわたしとおんなじ方向を向いている唯一のおともだち。
みんなは虫が嫌いだけど、わたしたちは虫が大好きだし、みんなが好きなお水はわたしたちは大嫌い。その所為かな。今までずっとひとりだった。でも、わたしと同じ花がいるからわたしはわたしでいられるの。
よく勘違いされちゃうんだけどね、わたしたちはみんなと違うことが好きな訳じゃないんだよ。わたしたちが好きなことがみんなにとって嫌いなだけ。それって、変なのかな?
花は今日も泣いている。お水が嫌いなのに飲まされちゃうから。かわいそうに。わたしは絶対そんなことしないからね。わたしは花を暗い倉庫の中に匿った。何せ、わたしたちはお日様も嫌いだったから。わたしは花が喜ぶことをたくさんしてあげた。お水の代わりにジュースをあげて、虫をたくさん捕まえて花を食べさせた。花は喜んでいる。嬉しいな。羨ましいな。わたしも花になりたいな。
2日も経つと、花はめっきり枯れてしまった。眩しい色をしていた花弁も葉っぱも、みんなくすんだ大地の色に変化した。それで良かった。それが良かった。話しかけても何も答えてくれなかった。うれしい。わたしは花を根っこまで全部とって、電子レンジで温めてからそのまま食べた。花を食べた虫も一緒にあたたかくして食べた。口の中で騒いで食べにくかったけど、食べれたならなんでも良かった。
おねえちゃんはわたしを叱った。お家の中に虫を入れないでって。ごめんなさい、知らなかったの。なんでって、ちゃんと正直に言いなさいって言われたから、食べたかったからだって、ちゃんと正直に言ったのに叩かれた。ほっぺたがあつくて心地よかった。びっくりして床に倒れ込んだら、おなかがごろごろ言い出して、虫とちょっとの葉っぱがよくわかんない液体と一緒に口の中から出てきた。おねえちゃんが何か叫んで、もう一度わたしのことを叩いた。わたしはみんなと別の方向を向いているらしい。わたしはおねえちゃんと同じでは無いらしい。全部知ってるよ。
本当のことを言うと、わたしはそんなにおねえちゃん達と違う訳ではなかった。ただ、わたしはこの箱庭の外を見てみたいだけ。おねえちゃん達は箱庭から出て行きたくないだけ、それだけ。だから、おなじところだってあるの。例えば、わたしだって怒られるのは怖いし嫌われるのは辛いし、好きな人がしあわせになったら嬉しくて、これは一緒でしょ? わたし、知ってるのよ。みんなが知らないだけなのよ。
おねえちゃんが走ってどこかに行ったのがぼやけて見えた。熱いほっぺたに水が流れている。やだなあ、お水は嫌いだから。何にでもなれる器用なきみが大嫌い。ああ、わたしのたったひとりのお友達。今、わたしも枯れていくのよ。そうしたら、一緒にこの箱庭の外を眺めよう。そこはきっと、くすんだ大地と小さな虫たちでたくさんのはず。お水だってもう要らないんだから。ねえ。
執筆の狙い
生まれて初めて小説を書いてみました。とにかく書き上げることに必死で、何が良くて何が悪いのかも分からぬまま書いてしまった為稚拙な文章です。申し訳ございません。批評と次の小説への課題を教えて下されば幸いです。よろしくお願い致します。