作家でごはん!鍛練場
青木 航

閉鎖病棟

 文学疯人院の院長室にスタッフの張橋が飛び込んで来る。
「院長、大変です。患者が脱走しました」
 途端に不機嫌な表情となった院長は張を睨み付ける。
「馬鹿者! 脱走とはなんだ。ここは刑務所じゃないんだぞ。”脱走“なんて言うな」
「いえ、そんなつもりじゃ…… でも、閉鎖病棟の連中ですよ……」
「それがどうした。あいつら、殺人犯ではないし凶暴性も無い。で、誰が出て行ったんだ」
「はい……风婆さんが街へ出てしまって、訳の分からん事を延々喚きながら商店街を歩き回ってるって電話がひっきりなしに入ります」
「選挙カーが来たか、どっかの店が拡声器でセールの告知でもしてると思えば、別に実害有る訳じゃないのにな。患者に対する世間の連中の理解が、まだまだってことだな」
「そう仰いますが、院長。あの婆さんの口から出るのは、TVやラジオで言ったら即放送事故みたいな下劣な言葉バッカリなんですよ。病棟で言ってる分には、みんな慣れてるし、やっぱり同病の連中だから、なんかシンパシー感じちゃう患者も数人居ますが、世間に出てあの調子はまずいですよ」
「誰か鍵を締め忘れたのか?」
「ええ、新米のスタッフが……」
「どう弁解してるんだ?」
「ええ。前に入院していた京雀雀って男、覚えてらっしゃいますか?」
「ひとの揚げ足取って、何が楽しいのかずっとそればっかりやってた男だろう、そいつが、なんの関係有るんだ?」
「その京がなんか洒落た身なりして受付に来て、『お陰様で大出世したので、昔、お世話になった皆さんにご挨拶したい』つって言って来たらしいんです。それでその新人が京を連れて院長を探そうとして、鍵を閉めないまま離れてしまったって事なんです」
「その隙に、风婆さんが出て行ってしまったって事か?」
「俺に言わせりゃ、閉鎖病棟の連中がまともで、世間の連中が狂ってる。たまには、世間の狂人どもに警鐘を鳴らすのも有意義かも知れん」
 その時張橋は思い出した。”張院長を罷免する、患者として閉鎖病棟に収容せよ”と言う命令書が今朝届いていたのだ。

閉鎖病棟

執筆の狙い

作者 青木 航
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ショートショートです。或る国の或る病院でのどうでもいい、院長とスタッフの会話です。

コメント

京王J
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青木さん

めっちゃくちゃオモロいですw

凪婆さん、いいですね。

青木 航
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京王jさんに塩を贈られましたね。”凪婆さん“じゃなくて、“风婆さん”で発音は”ふう“です。凪さんを名指しで誹謗するなんて恐ろしい事は私には出来ません。

京王J
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「佐藤、そうげん、青木」は、ことごとくその同じ轍を踏んでて、

絶対に直そうとはしないし、

直す必要も感じていないのだ。



そういう人に何か言っても無駄だし、

ますます反感買うんで「損しかない」んだけど・・



「直した方が得」なのは確かなんです。



(激昂レス、誹謗中傷はいらん)


↑が月婆様のお言葉です。
懐かしいですね笑

青木 航
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でも、人生訓と言うか、貴重な名言は有りますよ。
他人の作品には『書けてない』とコメントを付け、自分の作品を貶されたら『読めてない』と返せばいい。これぞ、究極にして最強の唯我独尊論法です。

青木 航
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反省:院長もスタッフも名前が両方とも“張”さんになってました。世間には有るかも知れないけど……

佐藤
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京王J様も隅々までチェックされていますね笑

つくづくヨマイチャは京王J様に
「書かされた」な、と感じています。
あそこまで含めて、見事に釣られました。
お恥ずかしい限りです。

とはいえ、いい経験でした。
その節はありがとうございます。

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