変わり果てた世界と竜宮の子(仮)
変わり果てた世界と竜宮の子(仮)
第一章「世界」
深い、深い、海の中.......真っ暗な、深海が私の育った場所だ…..。
遊び道具もなく、何もないこの孤独な「世界」
いつからだろう。地上に上がってみたいと思ったのは.....。
私は人間なのか、怪物なのか、もう私には分からない。
「私は人間なのかな.....」
そう溢しても、誰も答えてくれない。
だって私の家族は、竜宮の使いだから.....。
あの日を堺に全てが元に戻った。
それは、私とお父さんが引き起こした悲劇だ。
魚達に夢中になって浅瀬に出てしまった私を捕まえようとした人間がいた。
その時海から、巨大な波が押し寄せ、波が人間を囲む様に回り、段々と人間は押し潰されていった。
それは、何とも言えない無惨な光景だった。
バシャと言う音と共に海から現れたのは私のお父さんだった。
次々に人間が現れて、お父さんは私を守る様に、波を操り人間を粉々にしていった。
お父さんの恐るべき力と、私を求める人間に、私は困惑していた。
だけど同時に、竜宮の使いとは何なのか、人間とはどんな生き物なのか、
私の存在は何の為にあるのか、私は知りたくなった。
こんな気持ちは初めての経験だった。
こんなにも海は紅く、生臭くて空には、鮮血が降り注いでいるのに私は、こんな気持ちになっている。
私はおかしいのだろうか? いや私は元から『オカシイ』のだ。
竜宮の使いの子供なのに、体は人間そのもので、手足の鱗が輝いている。
こんな私は、『この世にいて良い存在なのか』と考えていた。
私を横目に人間を虐殺しているお父さんに、異変が起きた。
上手く力が使えないのか、人間に押されていた。
「おい! 攻撃をして来ないぞ…やれ!」
人間達は今が好機と言わんばかりに、お父さんにモリを投げた。
お父さんは痛みを感じて、情けなくベチベチとヒレで音を立てて倒れてしまった。
「お父さん! ダメ〜!」
「こんな化け物がお前の父親だと…ハッハ笑えるね! 何処からどう見てもお前人間じゃねぇかよ」
お父さんにモリを刺した奴が爆笑しているのを見て私は怒りを覚えた。
咄嗟に私は力を使ってしまった。人間を殺す事だけを考えた。
海は静かになり、私の周りに波が集まり出し、その波は徐々に槍の様な形になっていった。
それで、私は理解した。私は人間でも怪物でもなく、竜宮の使いだと言う事を…..。
「分かったよ…お父さん…人間はクソだね…」
さっきまでの怒りは消えていた。
怒りと引き換えに、人間に対する憐れみを感じていた。
そして、水の槍をそっと人間達に突き刺していった。
汚らしい人間の血が飛び散り、服や砂浜に染み付いた。
人間の死ぬ様を見れば見るほど、感情が昂っていた。
水の槍が紅く濁って行く。人間達の鼓動、悲鳴、絶望、その全てが愛おしいと思った。
「人間を…殺してしまってはダメだ…我が子よ…」
モリが刺さりボロボロのお父さんが、こちらを見上げた。
「このままでは…お前も父上の二の舞になるぞ…」
何を言っているのだろう? おじいちゃんだって、人間達を殺してたじゃないか。
私が間違っていると、言いたいのかな? 意味が分からない。
この楽しい楽しいオモチャ達で、遊んであげないと行けないのに。
こんな力があれば、この世界は「私の玩具箱」に出来る。
「我が子よ…私は聞きたい…お前は人間をどうする…」
「私は人間達を抹殺します…」
そう言うと、お父さんの水色の瞳が紅く曇って行った。
お前はそう来ると言わんばかりに、私の周りにある水の槍を容易く奪い取り、自分の周りに渦を作り出した。
「我が子よ…今から世界を創り変える…」
「何で…そんな事!」
「お前は誰もいない世界で幾千万の時を過ごせば何か変わるかもしれん」
お父さんは、渦を手のひらのに持って来て、渦を上空に解き放った。
放たれた渦は段々と大きくなって行き、建物、土砂、木々などを次々と吸い込んでいった。
「これが…一族最後の悲劇になる…だろう…」
「最後の…悲劇…」
「あぁ…そうだ我が子よ…世界が元に戻ったら人間としてくらすのだ…いいな…」
「分かったよ…お父さん…」
それからは、余り覚えていない。
何処に行っても、足下ほどしか無い海水と雲が広がる世界だった。
後悔と海水の冷たさで、私の心は虚無に似ていた。
あの子が、現れるまでは…..。
執筆の狙い
初心者です。
短くて指摘する場所が少なそうですが、よろしくお願いします。
もっと長くしますが一応、日常百合バトルコメディになります。
この時点では、日常と百合は一切無いですけど。
なんか、沢山指摘してください。