作家でごはん!鍛練場
海月くれあ

大掃除の神様

■1
「今年のクリスマスも雑巾がけか。。」
小声でぼやきながら、ハナは力を込めて雑巾を絞る。
ポタポタと雫が垂れる。バケツの中の水は、おばあちゃんがお湯を足してくれたおかげでちょうど良い温度になった。

-12月25日 クリスマス-
街中にはクリスマスソングが流れ、
どことなく人々の表情も嬉しそう。
年末の多忙さとともにワクワクした雰囲気が街中を包む。そんなクリスマスの日。
毎年ハナの家には、サンタクロースではなく
おばあちゃんが隣町からやってきて
大掃除を指揮する。ハナはそれを手伝うのだ。

おばあちゃんは今朝8時前にやってきて
「お昼過ぎに掃除は全部終わるでしょう。」と言っていた。ママとパパとハナで12月頭から少しずつ掃除は進めてきたが、おばあちゃんは掃除の鬼。そんなところも!?という箇所まで綺麗にする。
3人で掃除した部分もおばあちゃんにとっては「まだ甘い。」ということなのだろう。昼過ぎに終わるならまだマシだ。
去年は夕方までかかった。

「ハナ。次は寝室の窓拭きをお願いね。あぁ、出窓は危ないから拭かなくて大丈夫よ。」
おばあちゃんからの次の指令がおりた。

「はーい!」
返事だけはいい、と昔からよく言われる。長所だと自分では思っている。心の中は置いといて。
ハナのママもパパも、年末は大晦日ギリギリまで
働いている。その為毎年ママはおばあちゃんに頼み、わが家の大掃除をしてもらうのだ。
来てくれたおばあちゃんを放って、「クリスマスだから遊びに行く」なんて真似をしたらママにどんな雷を落とされるか。考えただけでも恐ろしい。ハナにはおばあちゃんの手伝いをする事しか選択肢はないのだ。
それにハナはおばあちゃんが大好きだから、お手伝いをするのも嫌いじゃない。


ただ、クリスマスなのだ。
クリスマスらしい事がしたい。雑巾がけじゃなくて。
でも今朝枕元の「サンタクロースからの」クリスマスプレゼントは受け取り、ママに「サンタさん来たね!」と笑顔で伝えた(ママは5年生のハナがまだサンタクロースを信じていると思っている)。
昨日クリスマスイヴの晩はママとパパとケーキを食べた。
昼間はクリスマスパーティーと称して、
クラスの仲良しメンバー 畑中ユイカ、有田クルミ、三森サキとハナの4人でユイカの家に集まって遊んだ。プレゼント交換だってした。

ハナはクリスマスっぽい事は沢山したと思っている。でもまだ掃除に勤しむ気になれない。クリスマスを終えて新年を迎えるんだ、お正月の準備に取り掛からなくちゃ。という切り替えができない。

理由は簡単だった。
今日クリスマス当日。単身赴任のパパが帰ってきているから家族で出かけるというクルミを除き、ユイカとサキは別のクリスマスパーティーに参加しているのだ。5年2組の過半数が参加するパーティーだ。
学級委員の佐久間君と片桐さんが仕切っている。
ハナも当然行く気でいたが、大掃除のことを思い出し泣く泣く断った。クラスのみんなは行くのに行けない自分が悲しいとか仲間外れにされたとか、
そんな子どもっぽい理由で嘆いているのではない。

今日のパーティーには「堀君」が来るのだ。
堀君とハナは3年生から同じクラスになった。
クラス替えという魔のルールを乗り越え、
二人は現在三年間連続同じクラス。ハナはこれを奇跡や運命の類いだと思っている。

ハナは男子と話すのが少し苦手だ。
乱暴な言葉づかいをしたり、力が強かったり
怖いと思う時がある。
でも堀君は違った。落ち着いていて話をよく聞いてくれて、優しい言葉で話しかけてくれる。ハナは堀君なら色々と話す事ができる。ユイカ達と話す時みたいに涙が出るくらい笑ってしまう時もあった。他の男子の前でこんな風に笑えない。

堀君は地区のサッカーチームに所属していて
休日はいつもサッカーの練習。チームの練習がない時でも一人で放課後自主練をしている。
そのせいか、誰かとつるんで遊んでいる姿はあまり見かけないし、誰かが堀君と遊んだというのもあまり聞かない。
そんなめったに友達と遊ばない堀君が、
クリスマスパーティーに来るのだ。
これはハナにとって絶対なにがなんでも行きたいパーティーだった。
正直クリスマスパーティーなんて理由はどうでもいい。堀君に校外で会えるという事に大きな意味がある。
ハナは自分でも堀君に好意を持っていることは気づいている。その好意を堀君には気づかれたくない、でももう少し堀君と仲良くなりたい。
このパーティーは堀君との仲を深める絶好のチャンスだった。

でもそんな期待も、おばあちゃんとの大掃除によってかき消された。


■2
おばあちゃんに頼まれた寝室の窓拭きを終え、
窓以外にも脚立を使い、ハナの背丈よりも頭二つ分ほど高い棚を拭いたり小物を整理し、床掃除もした。ハナは綺麗好きなところがある。ただ掃除をやる気になるエンジンがなかなかかからない。

おばあちゃんが進捗状況のチェックにやってきた。
おばあちゃんは少し驚いた顔をしながらも口には出さず、「すっかり綺麗になったわね。ハナありがとう。ハナはテキパキしているね。掃除がとっても上手だわ。」と褒めてくれた。
ハナはおばあちゃんの役に立てた事が嬉しくて、
自分の手際を誇りに思った。

「さぁ、お掃除はこれでおしまいよ。疲れたでしょう。お昼ごはんにしましょうね。めはり作ったよ。」

「めはり」と聞いて、激しい空腹感に襲われる。「めはり」とは「めはり寿司」のことで
和歌山県の郷土料理。俵形の大きいおにぎりを高菜の葉で包んだシンプルな料理だ。「目を見張るほど大きい」ということで「めはり寿司」と呼ばれているそうだ。
味の素を少し混ぜたお醤油を、ちょんちょんとつけていただくのがおばあちゃん流。高菜にくるまれた あっつあつのおにぎりに、ほんのり香るお醤油。考えただけで涎が出る。
ハナは、おばあちゃんが作るめはり寿司が大好きだ。おばあちゃんの「大好き」は沢山あるのだけど、その中でも上位に食い込むのがめはり寿司である。
おばあちゃんは和歌山県出身なので、めはり寿司以外にも和歌山の料理を作ってくれる。どれもハナは大好きだ。

雑巾とバケツを片付け、手洗いを急いで済ませて
テーブルにつく。おばあちゃんが用意をしてくれていた。大きなめはり寿司が2つとあたたかいお茶。「いただきます!」
ハナは丁寧な手つきで、小皿にお醤油を回し入れ
パラパラと味の素を振りかける。
ちょんちょんとお醤油をつけて、めはり寿司にかぶりつく。思いっきり口を開かないと食べられない。
今日もめはり寿司はあつあつだ。「幸せ。」そう、ハナは思った。

「ハナ。味噌汁もあるよ。そうめんの味噌汁」
「いる!」そうめんの味噌汁も大好きだ。めはり寿司と味噌汁の組み合わせはもっと幸せになれる事を、ハナは知っている。
すぐに熱々の味噌汁を、おばあちゃんが持ってきてくれた。一口啜る。
換気のため窓を全開にして掃除をしていたから、少し肌寒く感じていたがすぐに体の中はぽかぽかになった。
「おばあちゃん!おいしい!」
そんなハナを柔らかい眼差しで見つめ、うんうんと頷きながらおばあちゃんもめはり寿司を食べる。

ハナはめはり寿司も味噌汁もおかわりした。

「ごちそうさまでした」おばあちゃんはハナの食べっぷりに満足そう。湯呑みに緑茶を注ぎ足しながら、おばあちゃんが言う。
「少し一服したら、駅前の商店街までお正月の買い物に行きましょう。」

そう。おばあちゃんは「掃除は昼過ぎに終わるだろう」とハナに言った。確かに「掃除は」終わった。
手伝いはまだまだあるのだ。
お正月の買い物とは、おばあちゃんが作るおせち料理の材料だったり、正月飾りの買い出しの事だ。
ハナはこの買い物について行くのが好きな反面、
寒い中色々なお店を回るのが面倒だとも感じる。

「ママに頼んでお餅や大きいお飾りは休みの日に買ってもらってるから今日は細々したものを買いに行きましょう。」
細々したもの。何軒の店を回らなければならないのだろう。途方に暮れる。

ハナからすれば、スーパーでまとめて全部揃えればいい。休みの日、パパに車を出してもらえば少し離れているけど大きなスーパーに行ける。そこならおばあちゃんの欲しいものは一気に手に入るのに。と思うのだが、チェーンのスーパーに売られているものではダメなものもあるらしい。
特に黒豆や数の子、おせち料理の主役級の鯛なんかはおばあちゃんの目利きで、長年懇意にしている商店からしか買わない。

掃除が終わってもゆっくりできるとは考えていなかったが、多少は疲れている。
商店街はハナとおばあちゃんのようにお正月の買い出し客で溢れているにちがいない。
それを考えるとうんざりしたが、大好きなおばあちゃんのためだ。がんばるしかなかった。
堀君が参加するクリスマスパーティーの事を一瞬考えかけて、パーティーへの思いを振り払うように頭をぶんぶんと振った。
「執念深い」そんな自分がハナは嫌になりそうだった。行けないものは行けない。
ハナは今からおばあちゃんと商店街へ行くのだ。

湯呑みに残っていた緑茶をぐーっと飲み干して、
「急いで支度するね」とおばあちゃんに声をかける。
おばあちゃんは「ゆっくりで大丈夫よ。」と、もう一度緑茶を自分の湯呑みに注いだ。


■3
ハナは階段を駆け上がり、2階の自室へ飛び込んだ。
クローゼットにしまわれたワードローブを一瞥する。近所へ買い物へ行くだけだ。しかし
たかが商店街。されど商店街。同級生と遭遇する確率も高い。だらしない格好はしたくなかった。

ハナは少し考えてから、えんじ色のハイネックセーターとチョコレート色のキュロットに決めた。キュロットは巻きスカートの様なシルエットが気に入っている。
ダークグレーの厚手タイツを履き、焦げ茶色の手袋とニット帽も準備した。白いダウンジャケットを羽織れば、寒さ対策も万全だろう。商店街で長時間買い物していれば冷えてくる。

ショルダーバッグにお財布、ハンカチ、ティッシュが入っている事を確認して使い捨てカイロも詰め込んだ。「よし。」と呟き、玄関へ急ぐ。

おばあちゃんは既に準備を整えてハナを待っていた。ラベンダー色のコートにグレーのセーター、ゆったりとした黒のスラックスパンツ、モスグリーンのラウンドトゥパンプスを合わせていた。トートバッグもモスグリーンだった。ハナは「洒落ている」と思った。

「おばあちゃんお待たせしました!」ママに買ってもらったお気に入りのショートブーツを履きながら叫ぶ。
「ゆっくり行きましょう」おばあちゃんはにこやかに応える。

駅前の商店街まではハナとおばあちゃんがおしゃべりをしながら歩いて15分ほど。
ハナは道中、昨日の仲良しメンバーとのクリスマスパーティーのことをひとしきり話した。
おばあちゃんは相槌をうったり、驚いたり、笑ったりしてハナの話を聞いた。
おしゃべりに夢中になっていると、15分なんてすぐだった。

ハナが予想していたよりも商店街は大勢の人で賑わっていた。いつもよりもお店の人たちが威勢よく感じられた。ここからはおばあちゃんが司令塔。ハナは司令官に従うのみだ。「ハナ。はぐれないように気をつけてね。」そう言いながらおばあちゃんはハナの右腕をぎゅっと握って歩き始めた。

それからが大変だった。
ハナとおばあちゃんは魚屋、肉屋、八百屋、お菓子屋、お惣菜屋といくつも店を回った。
通常の買い物よりはるかに時間がかかる。
それも、おばあちゃんがじっくり品物を吟味することとお店の人とおばあちゃんの世間話に花が咲くからだ。
どこのお店でも、ハナは
「ハナちゃんまたお姉ちゃんになったねー!おばあちゃんのお手伝いしてえらいねー」と声をかけられた。上手く言葉が出てこなくて変な愛想笑いを返してしまう。褒められると、こそばゆい感じがする。
おばあちゃんは隣町に住んでると言っても
ハナの町はおばあちゃんの町との境界にあたる。橋を越えたらすぐおばあちゃんの町なのだ。
そのためおばあちゃんは日常的に、自転車をこいで商店街までやってきて買い物をする。
いい運動になる、とおばあちゃんは言う。
つまりお店の人もおばあちゃんと顔見知り。
何十年もの付き合いだ。
しょっちゅう会うのだから、話すこともないだろうとハナは思うのだがおばあちゃんの口は止まらない。どこに行ってもよく話す。

おばあちゃんがお惣菜屋のおばさんから品物を受け取ってからもまだ二人の話は終わらない。
ハナは少し離れたところに電柱があるのを見つけ
寄りかかった。ショルダーバッグから使い捨てカイロを取り出し、揉む。人混みの中で少し疲れてしまった。
行き交う人々を横目でみる。みんな大きな買い物袋を提げ、足早に去っていく。師走とはよく言ったものだ。本当にみんなが忙しそう。
雑踏とともに聞こえるのはクリスマスソング。
またクリスマスパーティーのことを思い出してしまった。プレゼント交換は終わったのだろうか。堀君は誰からのプレゼントが当たったのだろう。
考えてから悲しいようなさみしいような、変な気持ちになった。
涙がこぼれそうになり、あわててダウンジャケットの袖口で目元を拭う。と同時におばあちゃんが
おばさんに挨拶をして、こちらへ向かってくる。
「ハナ、お待たせ。ごめんなさい。疲れちゃったわね。」ううんと首を横に振る。
良かった。泣きそうだったことは気付かれていない。
買い物は全て終わったとおばあちゃんが言う。
ハナもおばあちゃんも両手いっぱいの買い物袋。正直なところ、これ以上荷物は持てないのでハナはほっとした。

「ありがとうね。帰りましょうか。」クリスマスソングに包まれながら、ハナとおばあちゃんは元きた道を引き返していく。冷えてきた。じっと立っている時間が長かったからだろう。足先がジンジンする。家を出たときはまだ明るかったのに、陽が沈み始めている。冬の夜は早い。雪もちらつき始めた。
二人は気持ち、急ぎ足になる。


■4
粉雪がちらつく中、ハナとおばあちゃんは来た道を引き返す。買い物袋は重たいけれど、予定していた用事は全て終わりおばあちゃんはどことなくスッキリした表情をしている。ハナもほっとした。
今日一日、ハナとしてはよく働いたと思う。
少しおばあちゃんに愚痴の一つぐらい言ってもいいんじゃないかという気もしてきた。

「おばあちゃん、毎年クリスマスにお正月の用意終わらせるって気が早いよ。まだ1週間あるんだし。クリスマスを楽しんで、明日から大晦日までの間に今日やった掃除や買い物を終わらせればいいんじゃないの?」
「私は仏様を信じてますからね。イエスキリスト様のお祝いって、ピンと来ないね。」
「いや、分かるけど。。でもさ、ケーキ食べたりプレゼント渡し合いっこしたり、チキン食べたり!楽しいじゃん。」
「あら。じゃあ今日の夜ごはんは唐揚げにしましょうね。」

そういう事ではない。おばあちゃんはズレている。
まだ何か言いたそうな顔をしているハナを見ながら
おばあちゃんは続ける。

「ハナ。あなたは分かっていないのね。今日ハナは一生懸命大掃除をした。私の手伝いを十二分にしてくれた。」
「うん。そうだね。自分で言うのもあれだけど本気で頑張ったよ。丁寧にテキパキできたと思う。」
「ええ。その通り。ハナは掃除の筋がいいわ。」
掃除の才能を褒められてもちっとも嬉しくない。
おばあちゃんは言う。

「それで、掃除が終わった後ハナはどんな気分になった?」
「うーん、、終わったー!って解放された感じかな。あとなんだかスッキリしたよ。疲れてるはずなのに心地よくて。体の表面は寒いけど体の中はポカポカしていて。」
「そうね。ハナ。それは【大掃除の神様】が、
ハナに会いに来てくれたからよ。」

おばあちゃんは満足そうに語った。
いや、納得できない。おばあちゃんは仏様を信じてるって、たった今言ったばかりではないか。
ましてや大掃除の神様なんて聞いた事がない。
そんな子ども騙しの迷信でごまかされたくなかった。

「大掃除の神様が来てくれたんですから。ハナにはすぐ良いことがあるよ。」
おばあちゃんはそう言ったけれど、ハナはもう良いことなんて絶対にないと思った。

堀君と会えるチャンスだったクリスマスパーティーは、今頃もうお開きだ。もしかしたら、クラスの女子が堀君と距離を縮め、冬休み中に遊ぶ約束をしたかもしれない。堀君は女子の間で人気があり隠れファンもいる。ハナはライバルが多い事も知っている。ハナの妄想は止まらない。
おばあちゃんの言葉は何の慰めにもならなかった。


■5
帰宅すると、ハナはぼんやりとしたまま
ソファに寝転がった。
おばあちゃんは一息つく間もなく、台所に立ち
夕飯の支度を始めた。本当に唐揚げにしたみたいだ。

今日、何度クリスマスパーティーのことは忘れよう。
堀君のことを考えるのはやめよう、と思っただろうか。
しかしハナの思いとは裏腹に、考えまいとすればする程
堀君のことで頭と心が一杯になり押し潰されそうになるのだ。
このままでは何か自分の奥深くから溢れ出る
モヤモヤしたものにハナは丸ごと飲み込まれてしまいそうな気持ちになった。
そのモヤモヤの正体が何なのか、ハナは説明できるほど大人ではなかった。
気分転換におばあちゃんの手伝いでもしようかと
立ち上がりかけた、その時

「ピーンポーン」

インターホンが鳴った。

「誰かしら。ハナ。玄関出てくれる?
今、手が離せないわ。油を使ってるの。」
「はーい」
返事をしながらハナは玄関に向かった。

宅配便だろうか。パパはネットでたくさん物を買うけれど、在宅率が低すぎて自分で荷物の受け取りができない。パパのオンラインでの購入品のほとんど全部をハナが宅配業者から受け取っている。
最近では配達員のお兄さんと世間話をする程、顔見知りになってしまった。
念の為に印鑑を持って玄関のドアを開けた。

心臓が止まるかと思った。

ハナは今の状況をすぐには理解できなかった。
鼓動が一気に加速する。

ハナの目の前には ハナが今日一日ずっと
会いたくて会いたくてたまらなかった人、
堀君が立っていた。

寒空の中、自転車で走ってきたのだろう。
彼の鼻のてっぺんは真っ赤になっている。

堀君はいつもよりも伏し目がちで少し決まり悪そうで、
ハナも釣られて目線をずらした。
何か言わなきゃいけない。でも言葉が出てこないのだ。

気まずい沈黙が数秒間流れた。たった数秒なのだけど
ハナには永遠に感じられた。それはきっと堀君もだったと思う。
しびれを切らしたのか堀君が口を開いた。

「急に家まで来てごめん。」


■6
「佐倉に渡したい物があって来たんだ。」

ハナの心臓はなかなか静かになってくれない。
堀君に何か返事をしなければ、と頭では理解しているのだ。でもうまく言葉が口から出てこずハナはただ堀君を見つめて頷いた。

堀君は背負っていた黒のバックパックを下ろし
中をゴソゴソ探っている。

「あいつらがさ、佐倉もクリスマス会来たがってたって言っててさ。はい。手出して」

あいつらとは、ユイカとサキの事だろう。
堀君の前であの2人が自分の話をしたのかと思うと恥ずかしい。
恐る恐るハナは両手を差し出す。緊張のためか指先が少し震えた。

堀君がハナに渡してくれたのは、両掌にちょうど収まった。紺地に小さい星が散りばめられた包装紙にゴールドのリボンでラッピングしたプレゼントボックスだ。

「佐倉に俺からのクリスマスプレゼント。
って言っても、プレゼント交換で当たったやつなんだけど。」
そう言って堀君は笑った。

堀君の笑顔はいちいちハナの心臓をドキドキさせる。

「いいの?堀君が当たったのに。」

「うん。クリスマス会来れなかったの、ばーちゃんの手伝いしてたんだろ?偉いよな。俺も見習わなきゃなって思ったよ。だからこれは今日頑張った佐倉に渡したい。中身はまだ開けてないから。」

「ありがとう」そう言うのが精一杯だった。
 憧れの堀君にクリスマスプレゼントをもらった上に、褒められた。頭がクラクラする。

 じゃあ、また。と言って堀君は自転車のサドルに跨った。
 
 ハナは慌てて堀君の背中に向かって叫んだ。
 「ねぇ、一緒にこれ開けてみない!?」

 呼び止められた堀君は驚いた様に目を丸くしてハナを見つめている。
 ハナは自分が思っていた以上に大きな声が出た事に内心驚きつつもう一度言った。

「これ一緒に開けよう」

 堀君は安心した顔つきで「うん。開けよう」と言って
 自転車から降りてハナの方へ戻ってくる。


■7
 ハナは堀君が自分の誘いに同意してくれた事に感激する一方で
 なぜ堀君を呼び止めたのか後悔もしている。
 顔の火照りは収まるどころかますます紅潮してきた。
 
 もうとっくに日は暮れていて、空には星が点々と輝きを見せている。
 12月の肌寒い空気が肌の表面をなでてくる。
 寒さのおかげで冷静さを保てていられるような気がしてきた。

 「佐倉、開けてみて。」
 「うん、ちょっと待ってね。」
 堀君がプレゼントボックスを持ち、ハナが開封することになった。
 こんなに至近距離で堀君と一緒に作業するなんて、初めての経験だ。
 考えれば考えるほどに上手く手先が動かない。
 
 リボンをほどこうとするのだが、ツルツルした素材のせいか
 緊張のせいか(おそらく後者だ)
ハナはリボンをほどく事ができずもたもたした。

 そんな様子を見て堀君が肩を震わせて笑い出した。
 ハナはきまり悪そうに堀君の顔を見つめる。
「ごめん、ごめん。佐倉って意外と不器用なんだな。
ちょっとこっち持って。」

 恥ずかしいやら情けないやらで、うなづきながら堀君に言われた通り
 ハナは両手でプレゼントボックスを包むように持った。

 堀君が慣れた手つきでリボンをほどいた。
「包装紙もとっていいかな?」
 ハナがうなづいた事を確認すると、堀君が包装を解いた。
 堀君はリボンと包装紙を破いたりせず、丁寧に扱った。
 ハナは堀君のこういう繊細な部分に惹かれる。雑な感じが一切ない。
 ますます堀君の事が好きになった。
 
 ラッピングを解くと、白い段ボール地の箱が現れた。
「開けるね」堀君が優しく言った。
 何が出てくるのか、ワクワクと緊張の入り混じった空気が二人を囲む。

 中から出てきたのはクリスマスツリーのオーナメントだった。
 目を閉じて口元には優しい微笑みを浮かべ両手を広げた天使と
 満面の笑顔を浮かべたサンタクロース。その手にはおもちゃが入っているであろう大きな袋を抱えている。
 二つのオーナメントが入っていた。
 
「かわいい」ハナは無意識につぶやいた。
 天使の穏やかな顔つきと全てを受容する懐の深さと、
 子ども達の夢と希望を一手に引き受けたサンタクロースの使命感を感じた。
 とっても寒いはずなのに、ハナの心はやわらかくあたたかいもので満たされた。
 
 ハナがただただ感動していると堀君が天使のオーナメントを指さして口を開いた。
「これ、佐倉みたいだな」
「え?」ハナは聞き返す。

 私が天使ってどういう事だろう?
 少なくとも馬鹿にされていない事は分かる。多分褒められている事も分かる。
 でも、私が天使みたいって……。また恥ずかしくなってしまった。
 呆然と堀君の顔を見つめるハナに、堀君は「しまった。」という顔をしながら
 続ける。

「いや、変な意味じゃなくてさ。佐倉いつも笑ってるし。
なんか似てるなって思ったんだよ。
 気に障ったらごめん。」

 堀君は、ハナが「いつも」笑っている事を知っている。
 ハナはいつも堀君に見られていたのかと気づき、
またさらに鼓動が大きくなってきた。
 顔はリンゴのように真っ赤になっているに違いない。
 顔が熱くてたまらないのだ。
 堀君はますます伏し目がちになり、黙ってしまった。
 心なしか堀君の頬がうっすらピンクに染まっているように見える。

 ハナばかりドキドキさせられているのも癪だった。
 思い切ってハナも堀君に伝えてみる事にした。
 声が震えるのは、寒さのせいだ。
 「私が天使なら、このサンタさんは堀君だね。
 私にこうやってプレゼントを届けに来てくれたから。
堀君サンタクロースみたいだって思ったよ……」

 ハナの言葉を受けて、堀君の顔はピンクを通り越して一気に真っ赤になった。
 ハナは内心ガッツポーズをした。
 『私ばっかり緊張しちゃって恥ずかしいから、ちょっとだけ仕返し。』
 
「ありがとう。今日は寒い中来てくれて。遅くなっちゃったよね。
 おうちの人心配してると思う。ごめんね」と、ハナは続けた。
「あ……うん。うちは大丈夫。」堀君は赤い顔のまま答えた。

 ハナは勢いで堀君に「大好き」と言いかけて、自分でも驚いた。
 なんで自分がこんなに大胆なのか分からない。
 天使に似ているなどと言われて浮かれているのだろうか。
 だとしたら、自分は単純すぎる。

「俺も急に来てごめん。会えてよかったよ。
 じゃあ俺もう行くわ。また冬休み明け、学校でな。」
 
 堀君はそう言って自転車にまたがった。
「うん。またね。」
ハナは自分が今日一番の笑顔になっている事に気が付いた。
 堀君は軽く会釈して、自転車をこぎ始めた。
 ハナは堀君の姿が見えなくなるまで、見送った。


■8
「落ち着かなければ。」思いっきり深呼吸をする。
 12月の冷たい空気が鼻の奥をツンとさせた。
 心臓はまだドキドキ波打っているが、頭は冷静だ。
 「寒い……。」このままでは風邪をひいてしまう。
 この後はおおみそかにお正月という楽しいイベントも控えている。
 せっかくの冬休みに寝込んでいたなんて笑いものだ。
 ハナは慌てて家の中に入った。
 身体は芯まで冷えてしまったが心はポカポカと
 熱を帯びている。
 顔が自然とにやけてしまう。

 玄関には、おばあちゃんが心配そうな顔をして立っていた。
「お客様、同級生だったのね。
  ごめんなさい。立ち聞きするつもりじゃなかったんだけど、
 あまりにもハナが遅いから様子を見に来たの。
 上着も持たず出ていったでしょ。」
 ハナがいつも家で愛用している白のニットカーディガンを腕に抱えていた。

「ありがとう。ちょっと話し込んじゃった。」
 浮かれているのをおばあちゃんに悟られないように、冷静に言葉を返した。

「ボーイフレンド?」などと野暮な事は聞かない。
 おばあちゃんのこういう気遣いがハナは大好きだ。
 
ハナは再度、顔を引き締めたことを確認してから続ける。
「今日クリスマス会で交換したプレゼントを持ってきてくれたの。」
 おばあちゃんが堀君との関係を詮索しないから、ハナの方から素直に話ができる。

 ハナの言葉を受けておばあちゃんは驚いた。
 「クリスマス会?そうだったの?言ってくれればよかったのに。」と悲壮な顔で言う。
 
「いいの!いいの!先におばあちゃんと約束してたんだから。」と、ハナは必死で弁解する。
 あんなに今日一日おばあちゃんのお手伝いをする事を恨めしく思っていたのに。
 否定する自分に内心苦笑した。

 「そんなことより見て!
 とっても綺麗でかわいいの。おばあちゃんも絶対気に入ると思う!」
 ハナは、堀君からもらったクリスマスのオーナメントをおばあちゃんに見せた。
 おばあちゃんもかわいいものは大好きなのだ。
 
「まあ、かわいらしい。」おばあちゃんは目を細めた。
「ツリーに飾ってごらんなさい。」
「うん、そうする。」ハナはクリスマスツリーを飾っているリビングへと向かう。
 おばあちゃんもハナの後をついてきた。
 「パパもママももうすぐ帰るって、さっき電話があったわ。今のうちにごはんを盛り付けて
 二人が帰ってきたらすぐ食べれるようにしましょう。パパがケーキを買ってるみたいよ。」
「そうなの!?やったー!うれしいな。」ハナはオーナメントをツリーに飾りながら答えた。

 「素敵ね。ますます華やかになったわ。」おばあちゃんはツリーを眺めて言う。  
 「いい感じだよね……。」天使とサンタクロースが並ぶように配置した。
 お互いに相手を信頼して、寄り添っているようにも見える。
 『私と堀君もこんな風になれるといいな。』ふとそんな気持ちがわいた。
 ハナは少し顔が赤くなっている事に気づいた。
 
 おばあちゃんがダイニングテーブルに次々と料理を並べ始めた。
 ハナも配膳を手伝う。
 クリスマスディナーは、おばあちゃんシェフの絶品フルコースだ。

 にんにくがガツンと効いた唐揚げ、野菜ゴロゴロの濃厚クリームシチュー、
 おばあちゃん特製ポテトサラダにタコとトマトのカルパッチョ。
 
 おばあちゃんは根っからの料理好きで、伝統的な和食はもちろんの事 モダンな料理も作るのだ。
 そしておばあちゃんの作る料理は、どれも世界一おいしい事をハナは知っている。
 
 人数分のお皿とカトラリーを出しながらハナはぽつりとつぶやいた。
「おばあちゃん。大掃除の神様は恋の神様みたいね。」

「え?ハナ、なあに?」
 クリームシチューを温めなおしているおばあちゃんに
 ハナの小さな声は聞こえなかったみたい。

 「ううん。なんでもない。」

 そうハナが答えると同時に、玄関から話し声と鍵を開閉する音が聞こえてきた。
「ただいまー」
 
「パパとママだ!」
 おかえりなさーい、と言いながらハナは玄関に向かって走り

 両親を出迎えた。

(終)

大掃除の神様

執筆の狙い

作者 海月くれあ
202.168.65.198

11歳という思春期の入口に立った主人公のハナが胸に秘めた淡い恋や祖母との関わりを通して
成長していく姿を描きました。今まさに思春期の渦中にいて家族、学校、周りの人間関係に葛藤を抱える若者へのエールになれば幸いです。

コメント

浮離
KD111239165213.au-net.ne.jp

“児童小説“という認識で読ませていただいたものなんです。


そんな上で、何だかやけに毒の多いお話だなあ、というのが一読者としての率直な感想です。
もちろん現代を舞台にしたお話とは受け止めてはいませんが、それにしても“クリスマス“という今や牧歌的とすら感じさせられなくもないイベントイメージでラッピングされた朗らかに映りがちな物語のようでいてその実、現代的には当たり前に想像させられるらしいあらゆる疑問や単純な違和がチラチラと粗のように顔を出す、“児童小説“なりにもかなりざっくりとしたアイデアで仕込まれたお話のように感じさせられたわけなんです。


“ハナちゃんのお父さんお母さん、関係微妙っぽいなあ“


なんて。

意地悪を言うつもりはないんですけど、要するに当たり前の感覚でこのお話を観察するなら、おばあちゃんを含めたハナちゃんち一家はお世辞にも健全な関係性を想像させられるものではない気がしてしまうだとかそういうこと。

とはいえそれが原因でこのお話は破綻しているだとか、そんなことを言うつもりはないので勘違いしないでほしいです。

むしろ、“児童小説“とする上での情報の精査ということも、やっぱり気が抜けないもののように感じさせられるなあ、ということなんですね。
実際、おそらくは余計な情報が多すぎるばかりに一読者としてはハナちゃんにまつわる何やらやるせない感情ばかりを思い尽かされた気がするし、その関係性に本文で語られるなりの理由や思いのようなものは案外見つけづらいものだったような印象でいるわけなんです。


子どもには、あるべき然るべき感情や感覚をことさらに澄ましてファンタジックな見立てに付き合わせて感じさせる、促すべきなのだろうか? というまさしく学校嫌いだった読み手として苦手の如く湧き立つ“キレイゴト“的整理良かれな物語られぶりとでもいうのでしょうか、とはいえそれを成立させるために労を割いたのは、神経をすり減らしているのは一体誰なのか、という違和ばかりが読み進めるアタマを次々ともたげるわけなんです。


まるでおばあちゃんの“お掃除の魔法“のおかげで現れたの如く舞台をさらう堀くんの登場に依存はありません。
お話ですもん何だっていいです、悪い意味ではなくて。

とはいえ、それが例えなる“魔法“になり得る、ハナちゃんの腑に落ちるものたり得るために必要なものって、このお話にありましたか。
それって、何だと思いますか。


“おばあちゃん大好き“


のはずなんですよね、一読者として思うには。

ハナちゃんは、どうしておばあちゃんのことが好きなんですか。
お掃除上手ね、って褒め上手で優しいおばあちゃんだから?
美味しいめはり寿司を作ってくれるから?
ちょっとのお買い物でもちゃんとおしゃれして格好いいから?
察しが良くて、余計なこと言わない聞かないでいてくれるから?

思い出すだけでもこれ、全部ハナちゃんが知ってることなんですよね、語りは三人称だけどハナちゃん一元のはずなので。

その上で小学生の女の子、それも可愛い孫娘とくるそんな彼女の“クリスマス“をよくわからない宗教観に化かして取り付く島もないとか、ちっとも楽しくない買い物に気ままに付き合わせながらベソかく寸前の子どもの様子も察しないとか。
察したのかもしれないし、そんな上での

>「それで、掃除が終わった後ハナはどんな気分になった?」

なんて待ち構えたような言いぶりすら準備していたのかもしれないんですけど、それって“大好き“なおばあちゃんにしては随分と傲慢な教育観のように感じさせられなくもないんですよね、一読者としては。

学級委員が仕切るクラスの過半数が参加するパーティー、ってたぶんなら誰かのお宅を会場にしてとは想像しづらい規模のものだと思うんですよね。
ともすればどうあれそれって時代は関係なく、保護者の間での了解やさまざまな協力もあってのことであるはず、くらいのことも当たり前に想像できるわけで、そんな日のハナちゃんの動向を家族としてどう判断して対応して見守ったものなのか。

お父さん、お母さん何してんのたかがクリスマス一日も可愛い娘のために役に立たねえかよ。
ハナちゃん、行きたかったのにかわいそうじゃん。

そうしておばあちゃんときたら、キリストさんわからんとか言う。
わかってないこと、もっと他にあるんじゃないの。

>「それで、掃除が終わった後ハナはどんな気分になった?」

って、おばあちゃんはどんな気分でハナちゃんの少しだけ背伸びしたかったはずのクリスマスを閉じ込めたの。
まだ五年生なのに、パーティーだなんておませなことは許しません、なんて思ってたのかな。
お父さんお母さんの不在をいいことに、傲慢な子育て干渉の疑いはないだろうか。

とはいえそうしてほらご覧の如くの堀くんの登場。
ハナちゃんったらもう絶頂のクリスマス。
子どもなんて単純ですか。
おばあちゃんったらシメシメですか。

“大好きなおばあちゃんのお掃除の魔法“、やっぱすげえおばあちゃん。

って、みんなもハナちゃんみたいに辛抱して頑張ったらそのうちいいことあるかもよ、みたいなすごく不寛容な大人目線によるワンサイドストーリー、なんて受け止め方も出来なくはないっていうか、一読者としてはまったくそんな違和感ばかりを思い付かされた気がしているわけなんです。


ようやく感想がついたと思ったら、コテンパンな感じで申し訳ないです。



このお話のテーマ、説明できますか。
誰のためのお話ですか。
そのために必要だった材料、書く必要があったことって何ですか。


“児童小説“って最初に断っておきたかったのはたぶんそういうことだと思うんですよね。
余計なことを書きすぎていると思うし、肝心な書くべきことは書かれていない気がする。
つまり、“児童小説“っぽいんですけどその実、それを仕立てようとした大人の無自覚な不寛容さが無為に邪魔したきらいが強いお話になってしまっている気がするんですね。


下手とかダメとか言ってるんじゃなくて、作為が見通せていないんじゃないのか、ってことだと思うんです個人的には。
子どもってきっと、扱い難しいですよ。
だって、大人ってなればなるほどずるくなるだけだし普通に馬鹿になるしくだらなくなる。
それを誤魔化して立派に見せることばっか考える。
だから、子どもって成長するごとに大人を嫌うようになるでしょ。

あたしたち大人はたぶん、子どもを題材にするときこそ自分自身を照らさないといけないはずだと思うんですよね、大人として子どもを想像してみたところで所詮図々しいばっかだからわかんない。
わかる気もない。
だって、すっかり忘れてるんだから。


あたしはこのお話で、そういう“穴“みたいなものを苦々しく覗いてしまった気がしたんです。


不出来だと言ってるのではなくて、“残念賞“を差し出したつもりです。
気を悪くさせてしまったならすみません。

海月くれあ
202.168.65.244

浮離 様

感想をいただきまして誠にありがとうございます。

浮離様のご意見を拝読し、子どもに寄り添えていない 子どもの目線に立てていない物語になっているのだと
気づかされました。
大人の常識や腹黒さ、ずるさの様なものが露呈しているようですね。
いただいたご意見から、客観的に捉える事ができました。

そして、
「物語のテーマ」
「なぜこの物語を書いたのか」これらの問いをいただきましたが
明確な答えを恥ずかしながら出す事ができませんでした。
浮離様にはお見通しだったと存じますが、私がこの物語を書こうとした意図や目的をもたずに
ただつらつらと文章を書き連ねたという状態であったという事
執筆する前の段階が適切に踏めていなかった事に気づきました。


気を悪くさせたなど、とんでもないです。
率直なご意見をありがとうございました。
これからの創作活動への意識、向き合い方を考えるきっかけをいただけました。
お時間を割いていただき、ありがとうございました。

霜月のゆき
softbank126130099158.bbtec.net

>家族、学校、周りの人間関係に葛藤を抱える若者へのエールになれば
エールになったかなぁ、というのが率直な感想。

堀君、プレゼント交換でもらったのをハナちゃんにあげるけど、堀君にあげた子の気持ちは考えなかったのかな。もしかしたら「堀君にもらってもらった」って喜んでたかもしれない。
なんでクリスマス会に来てないハナちゃんにあげちゃったのって、怒ったり悲しんだりするかもしれない。
ハナちゃんは喜んでるけど、霜月的には堀君、男下げた気がする。
プレゼントあげるなら自分で準備しろよ。

ハナちゃん主人公だからしかたないけどさ、もらうばかりじゃなんかずるい気がした。
とっさでもいいからなんかお返しした方がよくない?


文章はときどき大人な言葉遣いになってちょっと違和感あったかな。

でも読みやすかったよ。

夜の雨
ai203135.d.west.v6connect.net

「大掃除の神様」読みました。

児童文学ですね。
読みやすい文章で個々のエピソードがイメージ出来ました。

>執筆の狙い<
>11歳という思春期の入口に立った主人公のハナが胸に秘めた淡い恋や祖母との関わりを通して
成長していく姿を描きました。<
ということですが、充分に思春期のハナの気持ちや祖母とのかかわりが伝わってきましたね。
堀君との関係もしかりです。

>今まさに思春期の渦中にいて家族、学校、周りの人間関係に葛藤を抱える若者へのエールになれば幸いです。<
主人公のハナに近い年齢の方にはエールになると思います。
また祖母の年齢に近い方は、孫というか10代前半の若い方の事情がわかり、優しく見守れるのでは。

ハナの気持ちが素直に描かれているだけではなくて、祖母から見た孫との関係などにも踏み込んでいて、祖母は孫のハナとの買い物を楽しみにしていたのだろうということも伝わってきました。
それは店主などが、祖母と一緒に買い物に来たハナに声を掛けているところからも明らかだと思います。
御作の軸はハナの思春期の淡い恋愛模様ですが、祖母を含めた背景部分をしっかりと書き込んでいるので、話にリアルティーが出てきます。
ハナもクリスマス会に参加できず「堀君」に逢えない寂しさ以上の、もしかして参加したほかの女の子が堀君と関係が深くなるのではとか「やきもき」する気持ちが描かれていて、作者さんが狙って描いているとは思いますが、心の揺れが見事だったのではと思いましたが。

後半部分は堀君がハナの家を訪ねてくるエピソードですが、このあたりの構成は予想できるとはいえ、ハナへのプレゼントがクリスマスに関係があるオーナメントということで、設定が上手い。
二人で一緒にクリスマスプレゼントを開けるというところもよいですね。

祖母との関係のエピソードもラストまでよく描かれていたのではありませんか。
クリスマス会のことを知った祖母はハナに大掃除やら買い物を付き合わせて悪いことをしたと思うのですが、ハナが祖母との行事を優先させたことにより、彼女が優しい心の持ち主だということが伝わります。

●「大掃除の神様」は、ハナの行動をよく見ていたようですね(笑)。
だからハナは神様からプレゼントををもらった。

ということで、良くできた作品だと思いました。

それでは頑張ってください。


お疲れさまでした。

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