作家でごはん!鍛練場
unun

崖っ淵にて

僕の人生は佳境に入り、気づけば崖の先まで足を進めておりました。不可抗力ではありません。僕の意思でそこまで歩みを進めたのです。

さあ、あとはわざと足を踏み外すだけだ。崖の先でうろうろと動き回っていたら恰好がつかない。最期くらい潔くいこうじゃないか。

いや、その前に半生を振り返ろう。死が身近になればなるほど過去を振り返りたくなるものです。どんなに苦い思い出も美化されてしまいます。

あんなことがあった、こんなことがあったなどと懐かしんでいるうち、引っかかるものに気付きました。死の間際でも美化されないぼやっとした記憶があるのです。

その記憶を避けて、その前後の記憶を思い出してみました。そのうち、僕は自身の過ちからここまで来たのではなく、誰かによって追いやられたのかもしれないと思えてきたのです。

だとしたらどうする。自滅的な生き方は自ら選択したのではなく誰かによるものだとしたら――
そんな疑念がここにきてふと、頭をもたげたのです。

では僕の人生は一体なんだったんだ。いや、きっかけはどうであれ僕は多くの過ちを犯している。そのことに変わりはない。

さあ、もういいじゃないか。しかし僕の背中を最初に押したのは誰なんだ。気になって仕方がない。

心当たりなら、ある。しかしそれは僕に誰かを恨めと言うことだろうか。それは出来ない。僕はあの感情は苦手だ。この気質が僕をここまで来させたというのに。いまさら他人に憎悪をぶつけるなどできるわけがない。

そうだ、僕の過ちが消えるわけじゃない。もういいんだ。さあさあ、とっとと足を踏み外そう。崖の下の底の無い暗闇を覗いていたら足を踏み外して転落したことにするんだ。その方が僕らしい。誰も見ていないだろうに大袈裟にリアクションして滑稽劇として終わらせようとするところが僕らしい。

考え事をしながら歩き回っていると足を踏み外してしまった。最期に落ちまいと手足をばたつかせる姿はとても僕らしかった。

崖っ淵にて

執筆の狙い

作者 unun
an035253.f.east.v6connect.net

まず文章を読んで下さった方に謝らせてください。大変申し訳ございません。この文章は小説ではありません。

それを承知で投稿させていただきました。誰かが読んでくれないと僕が死んでしまうので投稿してしまいました。本当に申し訳ありません。

独りよがりな文章です。読む相手がいることを無視して書いた文章です。それでも読んでほしくて投稿してしまいました。

感想は大丈夫です。きっと感想も意見もしたくない文章だと思います。読んで下さる方がいるだけで僕は救われます。

本当に申し訳ございません。

コメント

夜の雨
ai201182.d.west.v6connect.net

「崖っ淵にて」読みました。

ほとんど自殺志願の男が崖の間際で人生を振り返えっていると、不幸の原因は「誰かさんに追い詰められた」、という記憶が。
しかしふがいない自分は、原因は誰かが作ったにしろ、あとは、自分の責任でこうなったという流れです。

後半で崖の周囲を考えながら歩いていると、足を踏み外して崖から落ちるというような流れ。

>最期に落ちまいと手足をばたつかせる姿はとても僕らしかった。<
このオチが面白いと思いますが。


で、話はここからですが、御作を読むと、この続きを書けばさらに面白くなるのではありませんかね。
どうするかというと「蜘蛛の糸」という小説を芥川龍之介が書いていますが。
蜘蛛の糸は亡者が糸を伝って昇ってくるが、あとからほかの亡者共も続いているので、ケリ落とそうとして、糸が切れるという展開。

御作の場合は「蛇」に助けられるとか。
崖で足を踏み外して落ちそうになり、手足をばたつかせていたところが、蛇が手首にからんで、崖から這い上がることができた。
そこで男は自分が死ねないと自殺などできない人物だと悟る。
それで男は助けてくれた蛇をいたわり、自宅に持ち帰る。
ペットとして飼う事にするが、蛇を飼い始めたその日から不思議なことが起き始める。
実はその蛇、神の使いだった。

それまで不幸続きで自堕落な生活にうつつを抜かしていた男だったが、人生の転機が訪れたかのように、よいことが起き始める。
あの娘(こ)、とお付き合いしたいけれど、おれじゃ無理だと思っていたが、あるきっかけでお近づきになった。
仕事もうまく行き始める。
そして自分を追い詰めたあの「男」が……。
というような展開で話は進む。
ラストはやはり「神の使いの蛇」がらみのエピソードで終わる。

というように妄想を繰り広げました。

それでは頑張ってください。


お疲れさまでした。

偏差値45
KD106154003166.au-net.ne.jp

死のうかどうか、そんな時にうっかりして命を落とす。
そんなお話かな。
実際、そんな人物もいるでしょうね。
なんとなく煮え切らない感じは、面白くまとめられていると思います。

そうげん
60-56-45-165f1.shg1.eonet.ne.jp

>ununさんへ

 (1) 紛れもなく自身の判断でいま行動していると思っていても、よくよく考えれば過去に出会った誰かの主張・意見・批判・非難によって、他律的に行動してしまっていることはよくある。これが厄介なのは自分では自発的に・自律的に行動しており、この行動にはほかの誰でもない、自身の責任のみが伴っており、他の人間の示唆の陰などまったくないと信じられてしまう点だと思う。

 (2) 逆に考えれば、まったく100%自分の責任によって、自己の判断によって崖の先に立つ今になって、急に自分以外の存在を探し当てようと逡巡しているようにも受け止められないこともない(と持って回った言い方になってしまうけれども)。その場合、自分自身の行動を自身のみの責任によって引き受けることのできない惰弱をそこに読み取ることも可能だろう。

 だが夜中に崖の先に一人で立っているという状況自体がすでに異質な事でもあり、(2) の心境は、なによりもまず (1) の心境があった上で試みられる思考の広がりというかバリエーションであって、崖の先に到るまでの「僕」がいつどこでどのような経験をしてきていまここに立つのか。

 そこが書かれてあれば印象もまた違ったものになると思います。

アン・カルネ
KD111239175147.au-net.ne.jp

すみません、ラストにちょっと笑ってしまいました。
狙いを読んで、ブラックユーモアで書かれたわけでは無かったんだと気がついた次第ですが、でも読後の第一印象を大事にしたい私なので、そのままの感想を引き続き。
スラスラ読めて面白かったです。タイトルが「あなたに似た人」(ロアルド・ダールのものなので使えないとは思いますが)だったら、かなり良かったんじゃないかと…。いえ、実際、こういう感じの人、現実にもいるよなあって思ってしまって。本当に東尋坊へ行く場合は別として、人生、只今、絶賛下り坂って時に、この作品に書かれてあるような事を漠然と思う事ってあるよなあ、と。自分のせい、と思いつつ、いやいや反面、こうなったのは誰かのせい、とか、実に人間らしいっていうか。ラストのジタバタ加減も主人公自ら、ちょっと距離を置いて眺めているのも良い感じ。
とはいえ、漱石の夢十夜にも船から飛び降りた途端に後悔、とかあるし、ユアグローの「一人の男が飛行機から飛び降りる」っていうのもあるから、そこがショートショート的に見るなら、考えどころだったのかもなあ、なんて思いました。
とはいえ、語られる内容と主人公のちょっと俯瞰した視点が悲哀と皮肉と滑稽さとうまく入り混じったユーモアに思えたので、私には面白かったです。

Eikaku
KD027083171050.ppp-bb.dion.ne.jp

読みました。
自滅的な生き方は自分に理想があると起こりやすいかなと思います。
「requiem for a dream」という曲を思い出しました。よかったら聴いてみてください。

unun
an035253.f.east.v6connect.net

夜の雨さま

感想とアドバイスありがとうございます!

夜の雨さまが考えてくださった展開とても面白そうです!僕には物語を広げるための知識や能力がないのですごいです!

参考にさせていただきます!ありがとうございました!

unun
an035253.f.east.v6connect.net

偏差値45さま

落ちが投げやりな気がしていましたがうまくまとめられていると思っていただけたようで良かったです!

ありがとうございました!

unun
an035253.f.east.v6connect.net

そうげんさま

すみません!理解力がなくて文章の意味をちゃんと理解できませんでした!

たしかに主人公である「僕」が崖の上に立つに至るまでの流れはぼかしてしまってます!

そこを面白く書くのは難しそうですが、気力があるときに書き進めてみます!

コメントありがとうございました!

unun
an035253.f.east.v6connect.net

アン・カルネさま

素人の書いた文章を面白く読んでいただけたなんてとてもうれしいです!ありがとうございます!文章だけでなくタイトルのアドバイスまでしていただいて!

例として挙げて下さった小説は読んだことがないので読んでみます!と言いたいところですが文章を読むのは苦手なので読まないかもしれません!でもそういう作品がある、ということだけちゃんと覚えておきます!

ありがとうございました!

unun
an035253.f.east.v6connect.net

Eikakuさま

「requiem for a dream」聴きました!音楽のことは詳しくありませんがティンパニもあるのにドラムの音も聴こえてきてちょっとびっくりしました!

もしこの文章を音楽にしたならこの曲ほどの緊迫感や悲壮感はなさそうです!もっと音が平坦で虚無的な曲になるかと思います!Eikakuさまの中ではこの文章の雰囲気はこの曲のようなかんじなのですね!参考になります!

読んでいただきありがとうございました!

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