カップヌードルと彼氏
夕方、主人公の女性・梨香は疲れた体を休めるために家に帰った。しかし、そこには態度の大きな彼氏・博がいた。
博はすでにカップヌードルを持っていた。梨香が帰ってきたことに気づいた博は、カップヌードルをそのまま放り出して、梨香に歩み寄った。
「おかえり、梨香。今日は疲れたんだろう?」
梨香は疲れ果てていたが、博のことを見ると、怒りがこみ上げてきた。彼が自分の話を聞かず、手料理も食べないで、カップヌードルばかり食べていることに、梨香は心を痛めた。
「博、私が作った料理はどうしたの?」
「ああ、それは食べたよ。でも、カップヌードルも食べたくなっちゃってさ」
博は笑顔で言ったが、梨香にとっては冷たい返事だった。彼女は彼の態度に不快感を覚え、怒りが頂点に達した。
「もういい!カップヌードルばっかり食べてるんじゃない!私の話も聞かずに、私が作った手料理もろくに食べないで、本当に嫌になる!」
梨香は怒鳴りつけ、博を家から追い出した。彼女は怒りに震え、博が持っていったカップヌードルに見向きもしなかった。
しかし、梨香の怒りもすぐに冷めた。彼女は自分が博にとって、ただの飾りのような存在であることに気づき、涙がこみ上げた。
梨香は自分を責めたが、心の中では博に対して怒りと悲しみが入り混じった感情が渦巻いていた。
梨香は、ふとカップヌードルが食べたくなった。
ゆっくりと息を整え、彼女はカップヌードルを手に取った。食べるべきかどうかを悩んだ末、彼女はカップヌードルのフタを開けた。
湯気が立ち上る中、そこには麺と具材が綺麗に整列されていた。博がこんなものに夢中になってしまう理由がわからなかったが、彼女はどうにかしてその心を理解したいと思った。
カップヌードルを口に含んだ彼女は、意外なほど美味しさに驚いた。麺はやや柔らかめで、スープはほどよい塩気があった。
野菜もたっぷり入っていた。彼女はカップヌードルを何度も口に運び、味わいながら、博のことを思い出した。
彼が食べるたびに満足そうにしていた姿が目に浮かんだ。博は幸せそうだったが、それが彼女にとっては理解できなかった。なぜカップヌードルに夢中になるのか、彼女にはわからなかった。
彼女はカップヌードルをすべて食べ終えた。味がよかったため、自分でも驚いた。彼女はフタを閉じ、カップヌードルをゴミ箱に捨てた。
博が追い出された後、彼女はひとりで家にいる時間が長くなった。手料理を作ることが好きだったが、彼女は料理をすることを躊躇うようになった。
カップヌードルと手料理を比較することが怖かったからだ。
数日後、彼女は博に連絡を取った。食事を誘うことを決意したのだ。彼女は手料理を作って、博と一緒に食べようと思った。
彼女は自分が勝手で、心が狭いことを反省した。博が好きなものを否定することはできないと思った。彼女は自分自身に誓った。
「もう、自分と比べることはない。」
「あのぉ…」と博が小声で呼びかけると、梨香は小さく「うん」と返事をした。
「ごめんね、オレが悪かった。カップヌードルばっかり食べてたら、こんなことになっちゃうなんて思ってなかったよ」と博は謝った。
梨香は態度を硬くしたまま、黙っていた。
「でも、ホントにごめん。もう二度とそんなことしないから」と博は本心から謝罪する。
梨香はしばらく沈黙を保った後、こちらを向いて言った。
「あんた、カップヌードルばっかり食べてたら、いつかは健康を損ねるんじゃないの?手料理って、栄養バランスを考えて作ってるからね」
博は反省の色を見せ、「そうだよね。オレ、健康に気をつけなきゃいけないな」と言った。
梨香は博の手を握り、優しく微笑んだ。
「それに、私の手料理がカップヌードルに負けるなんて、嫌な気分になっちゃった。でも、今度は一緒に料理を作って、美味しい食事を楽しもうね」
博は梨香の手に手を重ね、嬉しそうに頷いた。「うん、ありがとう。次は一緒に作ろう。それに、あんたが作る料理は最高だから、オレも勉強させてもらうよ」
二人は和解し、再び笑顔で話し始めた。カップヌードルに夢中になるあまり、梨香を傷つけてしまった博だったが、梨香の優しさと気遣いによって、
新たな気づきを得ることができた。そして、二人はより一層絆を深めていくのであった。
執筆の狙い
ハートウォーミングな作品を狙いました。
読者の心が癒されるような作品を目指しています。