作家でごはん!鍛練場
飼い猫ちゃりりん

朝顔の恋

(プロローグ)
 妻は仏壇のりんを鳴らすと、娘の遺影に手を合わせた。
「あの子が生きていれば、もう子供がいてもいい年齢ね」
 娘は十一歳の秋に、その短い生涯を終えた。
 難病を患い、日光にさえ耐えられない娘は、元気に駆けまわる時期のほとんどを療養施設で過ごし、そこで亡くなったのだ。
 過ぎ去るために生まれて来たような一生だった。

 娘の部屋は当時のままにしてある。
 娘は幼い頃から絵が大好きで、部屋の壁にはクレヨンや色鉛筆で描いた絵が所狭しとはってある。
 妻と私の似顔絵を見ていると、幸せだった頃を思い出し、知らぬ間に時間が過ぎてゆく……
「パパ。うごかないで」
「そろそろ釣りに行きたいんだけど」
「あなた、釣りは先週も行ったでしょ」
 ふと気づくと、部屋が夕陽に包まれているのだ。

 娘は施設に入ってからも絵を描きつづけた。
 晴れた日には窓から見える景色を描き、曇りの日には外のベンチに座って花壇の風景を描いていた。
 娘は死の直前までノートに絵を描きつづけた。
 ほとんど使わなかった勉強机の本棚は娘のノートであふれ返り、収まらないものは箱に入れて保管してある。
 実は私も妻も、娘が施設で描いた絵を内心遠避けてきた。
 それらの絵には外界への憧憬が滲み出ており、痛切なまでに命への憧れを感じ取ることができる。
 施設に入れて本当に良かったのか? 人生を施設だけで終わらせてしまった。可哀想なことをした。そんな思いに駆られてしまうのだ。

 しかし私も妻も年をとり、そう先が長いわけではない。だから二人で相談し、すべての絵を目に焼き付けておくことにした。
 すべての絵を持ってあの子のところにいけば、きっと喜んでくれると思ったからだ。

 どのノートにも、四季折々の山の風景や、花壇に咲く花々がびっしりと描かれ、その絵の下に添え書きがあった。

 今日からみんな夏休み。
 でも、あたしは夏がきらい。
 ヒマワリを部屋の中からかきました。

 今日は朝からくもり空。
 山が赤くてきれいです。
 ベンチにすわって朝顔をかきました。
 楽しかった。

 今日は雪。
 あたし、雪が好き。
 雪はみんな真っ白にしてくれるから。
 白い山をかきました。
 少し寒いけど、大丈夫。

 そのとき妻が目頭を押さえながら一冊のノートを差し出した。
 箱の底に埋もれていたそのノートには、娘の最後の夏の景色が描かれていて、やはり添え書きがあった。

 ベンチで絵をかいていたら、しらない男の子に声をかけられました。
 びっくりして逃げちゃったけど、もどってみたら、あたしより弱そうで、かわいかった。

 今日、男の子とシーソーをしました。
 その子、あたしを山につれていってくれた。
 楽しかった。
 あの子、あたしのこと好きみたい。
 あたしもあの子が好き。
 花火をみる約束をしました。

 何十ページにもわたり、少年と遊具で遊ぶ光景や、山を散策する様子が描かれていて、草や花びら、木の皮や小枝などがのりづけされていた。
 最後のページには花火大会の様子が描かれており、やはり添え書きがあった。

 今日、男の子と花火を見にいきました。
 大きな音にびっくり!
 あの子にだきついて泣いちゃった。
 花火って、すごくきれい。
 いつか、あの子にプレゼントをわたします。

 その添え書きの横に、折り紙で作られた小袋がのりづけされていた。
『アサガオのたね』とペンで書かれており、折り目を開くと黒い種が沢山入っていた。
 娘は過ぎ去るために生まれたのではない。あの子は恋をし、人生を謳歌したのだ。
 娘が愛した少年に会ってみたいと思った。

 私たちは、娘が世話になった施設を訪ねることにした。
「電話をした者ですが」と受付で言うと、応接室に案内され、年配の職員から説明を受けた。
「療養記録は十年間保存して処分されます。まして二十年以上も前のこととなると、正直難しいです。当時の職員も、もうここにはいませんので」
 そのとき部屋の内線が鳴った。
 職員はうんうんと頷き受話器を置いた。
「当時のことに詳しい者がいるようです。間も無くここに来ますので、後は彼から聞いて下さい」
 そう言うと職員は退室し、その少し後に、土でよごれた作業服を着た青年が入ってきた。
 彼は、「すみません。こんな格好で。先ほどまで花壇の手入れをしていたので」と言って頭を下げた。
 私は自分の目を疑った。
 どう見ても彼は三十歳くらいにしか見えないのだ。当時の職員であれば、五十を超えていてもおかしくないのに。

 彼に娘の最後の夏のノートを見せて、そこに描かれている少年のことが知りたい旨を伝えた。
 すると彼はじっと表紙を見つめてからノートをめくり始めた。
 ページをめくる指が少し震えていた。
 彼は最後のページに描かれている花火大会の絵をしばらく見つめてから、添え書の横に貼ってある小袋をあけ、手に朝顔の種をのせた。
 彼はそれを固く握りしめると、絵の中の少年は自分であると言った。

 彼は出会いから花火大会の日までのことを鮮明に記憶しており、私は懸命に生きる娘の姿を思い浮かべることができた。
 娘は病に倒れたわけではない。生き終えたのだと思った。
 私たちは青年に礼を言うと、娘のノートを彼にあずけて施設を後にした。

 それから二ヶ月ほどたった日の朝、彼から電話が入った。
「咲いたのです。今朝花壇に行ったら咲いていたのです」
 施設に着くと、花壇の片隅に白い朝顔が咲いていた。
 後日、朝顔は翌朝までしぼまなかったと彼が教えてくれた。

 終わり

 いかならん 色に咲くかとあくる夜の まつのとぼその朝顔の花
 滝沢馬琴『兎園小説』第四集
 文宝堂(二代目蜀山人)の採録による「夢の朝顔」より

(本編)
 山深いこの辺りは天気の移り変わりが激しい。今朝は霧がかかっていたのに、今は空気が澄み渡り、野鳥の鳴き声が響き渡っている。
 私は早朝から施設の中庭で花壇の手入れをしている。
 早起きをして手伝うと言う子供もいるが、病をかかえた子供に無理をさせるわけにはいかない。
 中庭での作業は趣味も兼ねてやっている。私は子供の頃から植物が大好きで、今も草花には心があると思っている。
 二ヶ月ほど前にまいた朝顔の種が、白い花を咲かせてくれた。
 恋人の面影が重なり、話しかけずにはいられなかった。
 彼女と過ごした時間はたったの二日。互いの名前さえ知らずに、その恋は終わったのだ。

 私は病弱な子供だった。喘息の発作に悩まされ、子供ながらに長くは生きられないと思っていた。
 その体質のせいか、圧倒的な太陽の祝福よりも、曇り空が織りなす淡い光の世界を愛した。
 曇りの日には一人で裏山を探検し、夏には高台から花火大会を見物した。
 しかし山奥まで足を踏み入れることはなかった。母から行ってはいけないと言われていたからだ。
 しかしその言葉はかえって想像力をかき立て、私は途方もない空想を思い描くまでになった。
 きっと山奥には弱くて優しい人々が暮らす集落があって、私はそこに住む少女と恋に落ちると。

 忘れもしない、それは小五の夏休みの初日のことだ。
 その日は早朝から曇り空が広がったから、私は母に何も言わずにそっと家を出た。
 草や小枝をかきわけながら山道を歩いていくと、高いネットフェンスが行く手をふさいだ。金網がひどく腐食していて、所々破れて穴が開いていた。
 そこをくぐって更に山奥へ分け入ってゆくと、二階建ての白い建物が現れた。壁は薄汚れていて、ところどころ薄緑色のツタにおおわれていた。   
 塀越しに敷地の中を偵察すると、広場にはシーソーやブランコなどの遊具があり、黒い腐葉土が盛られた花壇には朝顔が咲いていた。
 しかし人影はなく、辺りは静寂につつまれていた。
 塀の隙間から侵入して広場を見渡すと、建物の片隅にあるベンチに、白い服を着た少女が座っていた。
 幽霊のような存在感の薄さが、かえって私を安心させた。
 引き寄せられるように近づき、「なにしてるの?」と声をかけると、彼女は一瞬私を見つめ、手からノートを落として走り去った。
 年の頃は自分と同じくらい。肌は花びらのように白く、線の細さが揺れる服の上から分かった。
 彼女が落としていった厚いノートをめくると、花壇に咲く花々が何十ページにもわたり描かれていた。
 一枚の花びら、一本の茎までもが精密に描かれていて、そこに本当に咲いているかのようだった。

 しばらくすると大人の女性がこっちに歩いてきて、その後ろに先ほどの少女がくっついていた。
 女性は私の前に立つと、「僕はどこから来たの?」と言った。他にも色々尋ねられたがもう記憶にはない。
 ただ女性の影から私を見つめ、くすくすと笑っている少女の顔だけを覚えている。
 彼女は人差し指の爪を噛みながらじっと私を見ていた。でも視線が重なると顔を隠し、また少しだけ顔を出して笑った。
 私が大胆にも、「また遊びに来てもいい?」と聞くと、女性は呆れ返った様子で、「ここは公園じゃないのよ」と言った。
 私は無言の抵抗をつづけた。
 少女はその様子を真剣な眼差しで見守っていた。
 根負けした女性がため息をついて苦笑すると、少女は女性の服を引っ張っり、女性が身をかがめると、その耳元で何かをささやいた。
 女性は私の方に向き直ると、「遊びに来てもいいけど、曇りの日にしてね」と言った。
 どうだと言わんばかりに少女の顔を見ると、彼女はまた慌てて顔を隠した。
 生まれて初めての成功体験、いや勝利と言っても過言ではない。
 意気揚々と施設の正門から出て後ろを振り返ると、女性の後ろを歩く少女の背中が見えた。
 すると次の瞬間、彼女はひらりと体をひるがえし、私に手を振ったのだ。

 しかし、いつまで経っても曇り空は顔を見せず、忌わしいほどの晴天が何日も続いた。
 巨大な力で邪魔をする太陽にいら立ち、喘息の発作と戦った。
 やっと曇り空が現れたかと思えば、近づく台風の影響で荒れ模様となった。
 時折風が強く吹いていたが、会いに行くことに迷いはなかった。
 自然には勝てないと知っていたが、そのときは戦えば良いと思ったのだ。

 建物に着き、偵察してから敷地に入ると、少女は両手を重ねてベンチに座っていた。
 強風に髪が乱れ、白い服が激しくなびいていたが、そんなことは関係ないとでも言いたげな表情が、意志の強さを物語っていた。
 その毅然とした態度に驚いた私は、彼女のそばにかけより、「待っていたの?」と聞いた。
 すると彼女は「うん」と小さくうなずき、「シーソーしよ!」と声をあげた。
 彼女は強風に髪をなびかせながら懸命にシーソーをこいだ。
 服をはためかせて宙を舞う姿は、風に翻弄される蝶のようで、たかがシーソーにそこまで夢中になれる彼女に狂気じみたものを感じた。

 彼女はシーソーに飽きると、「隠れんぼしよ!」と声をあげた。
 私が目を閉じて「もういいかい!」と声をあげると、「まあだだよ」が強風にかき消されて聞こえない。
 何度叫んでみても、やはり風の音しか聞こえない。
「ねえ。どこにいるの?」
 私は彼女が本当に消えたような気がして、半べそをかいてしまった。
 すると彼女が物置の影から現れた。
「ごめんね。怖かった?」
 彼女がそう言って微笑むと、私は顔が熱くなった。
 その表情は悪戯好きの妖精と言った感じで、私はそんな彼女が可愛らしいと……
 いや正直に言えば、無垢な心は欲情にうずき、彼女を奪い去りたいとの衝動に駆られたのだ。
 
 私は自分の強みを活かすために、山で遊ぶことを提案した。
 彼女が「行ったことがないの」と言っても、大丈夫だと言ってゆずらなかった。
 私は彼女の手を引っ張って敷地を出ると、彼女を山へと導いた。
 風は徐々に強さを増していたが、樹木が障壁となってくれた。
 木々に守られた世界は不思議なほど穏やかで、私はそこにすむ生き物たちの恋に思いを馳せた。
 ヒノキ林に差し掛かると、彼女は目を閉じて深く息を吸い、樹木の香りを堪能した。
 彼女は木や草花に興味津々で、慈しむように木の皮にふれ、草花に小鼻をよせた。その姿は森の精気を集める精霊のようだった。
 私が大丈夫と言えば彼女は山菜を喰み、彼女が高所を見つめれば私がその花をつんであげた。

 時折突風が吹き、小雨が降ったりやんだりしていたが、まだ暴風域には入っていなかった。
 岩間を落ちてくる七滝の前にたどりつくと、彼女は滝壺の縁に立ち、水量の増した白滝にみとれた。
 しかし、私は自然の脅威におののいていた。いつもは薄絹のような白滝が、堂々たる水壁に変貌していたからだ。
「そろそろ帰るよ」
「あたし。もっと山を見たい」
 もう引き返すことはできなかった。

 滝壺からつづく渓流は普段は穏やかなのに、その日は水嵩がふくらはぎの半ばに達し、流れも速くなっていた。
 下流に行けば木の橋があるが、私は彼女にいいところを見せようと思った
 勇気をふりしぼって石をつたい、川を渡り切って振り向くと、彼女はまだ川の縁に立っていた。
 彼女の元に引き返し、流れに足を踏み入れて手をかすと、彼女は石の上をおそるおそる歩いた。
 彼女は平らな足場でもなぜか何度もふらついたから、そのたびに彼女を抱き締めることができた。
 水しぶきをあびて体は冷えていたが、私はそこに熱いものを感じた。
 川を渡り切った彼女に「怖かった?」と聞くと、彼女は「うん。でも面白かった」と返事をした。
 急に雨がやみ、雲の狭間から光が差すと、私は彼女を高台に連れて行きたくなった。
 しかし天候は不安定で、向かう途中でまた風が強さを増した。
「また今度にしよっか……」
「また今度? そんなのいや」
 彼女の好奇心はとどまることを知らなかったし、彼女は『また今度』なんて信頼していなかったのだ。
 高台につづく石段は滑りやすくなっていたから、私は彼女の手をしっかりと握って慎重に上った。
 高台につくと、私は遠くの河原を指差して、花火大会の話をした。
「あの河原で毎年やるんだ。すごく綺麗なんだよ」
「あたし、花火を見たことないの」
 彼女は髪を風になびかせながら私を見つめた。
「なら、ここで一緒に見ようよ」
「うん!」
 私は開催日を彼女に教え、夕方に迎えに行くと約束をした。

 そのころ施設では、彼女の行方が分からず大騒ぎになっていた。
 母は私の手を引っ張って施設に行くと、職員たちに謝罪し、二度と行ってはいけないと私を厳しく叱りつけた。

 花火大会の日の夕暮れ時、私は迷うことなく彼女の元へ向かった。
 建物に着き、偵察してから敷地に入ると、彼女は両手を重ねてベンチに座っていた。
 かけ寄って花火を見にいこうと言うと、彼女は潤んだ瞳で私を見つめ、「うん」と小さくうなずいた。
 高台につく頃にはすっかり日が暮れていて、風にゆれる草の音と、鈴虫の声だけが鳴り響いていた。
 二人で草のはえた斜面に寝転がり、花火があがるのを待った。
 ふと気づくと彼女が私をじっと見つめていた。
 見つめ返すと、彼女は身を起こして真剣な眼差しで私を見つめた。
「どうしたの?」と聞くと、彼女は私の頭に手をのばし、それを私の顔の前に差し出した。
 その手には一匹のキリギリスがのっていた。
 彼女に虫の名を教えると、彼女はキリギリスの頭を人差し指でなでた。不思議にキリギリスは逃げようとせず、彼女に話しかけるように、ギーッチョン、ギーッチョンと鳴き続け、やがて夜のとばりに消えた。
「早く始まらないかな」
「もうすぐだよ」
「本当に始まるのかな?」
 すると大音が夜空に響き渡り、大輪の花が一斉に咲き乱れた。
 しかし、彼女は私の胸に顔をうずめて震えていた。
「見ないの?」
「こわい」
「大丈夫だから見てみなよ」
 彼女が夜空を見上げると、その瞳から涙がこぼれ落ちた。

 母はまた私の手を引っ張って施設に行くと、職員たちに深々と頭を下げた。
 そして彼らの面前で私を厳しく叱りつけると、「もう会いに来ません!」と私に大声で誓わせた。

 私はほとぼりが冷めるのを待つことにした。
 少し大人に近づいた私は、二度と会えなくなることを恐れ、慎重になっていたのだ。
 秋が深まった頃、また彼女に会いにいった。
 その日は朝から雨が降っていたが、それがやむと、すぐに彼女の元へ向ったのだ。
 しかしベンチにその姿はなく、花壇の朝顔だけが、ただきらきらと輝いていた。

 終わり

 朝顔は いやつぎつぎに 朝ひらく わが少女子よ まなこを開けよ
『慕尼黑歌集』より

朝顔の恋

執筆の狙い

作者 飼い猫ちゃりりん
dw49-106-174-253.m-zone.jp

プロローグと本編からなる約6600字の推敲作品です。
よろしくお願いします。

コメント

青井水脈
om126205216187.34.openmobile.ne.jp

ちゃりりんさん、読ませていただきましたが、おおまかな話の流れは分かっているので、新鮮さや驚きはありませんでした。
大きく変わったのは、二人が遊ぶシーンの山の中の自然の描写でしょうか。これまで読んだ中で一番いいですね、シーンが見える感じですし。
それより私、朝顔はたいてい青紫色? というイメージがあって、白い朝顔は見たことないんですよね。実在するんですか……?

飼い猫ちゃりりん
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青井水脈様
さすがですね。
あえて「執筆のねらい」には書いていませんが、一番力を入れて推敲したところが、二人が山中で遊ぶシーンです。
ずばりと指摘するあたり、いかにも青井様らしい。
読む力のある読者がいると、作者も手が抜けない。汗

もちろん白い朝顔はありますよ。多いとは言えませんが。

ありがとうございました。

上松 煌
89.245.132.27.ap.yournet.ne.jp

飼い猫ちゃりりんさん、こんにちは

 ごめんごめん、バタバタしていて感想返しが遅くなっちゃった。 

 拝見しました。
一見、まとまっているようだけど、粗雑なところが目立ちます。
先ず、「朝顔の恋」という題名ね。
そのものズバリだけに最初は、朝顔が人間かなにかに恋してるのかな? と感じてしまった。
「~の恋」というのは良くある題名なのでもう少し、ひねってもいいのでは?

 それから、プロローグの親御さんたち。
娘を施設に入れっぱなしだったの?
フツー、愛する娘のために毎週末や、祝日、事あるごとに有給を取ったりして夫婦で駆けつけるよね。
少しでも娘の元にいてあげたい、娘の日常を共有したい、と願うのが親心。
ところが、絵でしか娘の存在・足跡をたどれていない。
しかも文中に
【実は私も妻も、娘が施設で描いた絵を内心遠避けてきた】
絵すら疎ましく思ってきた、と言うような記述が……。
親の娘への切ないまでの愛惜の情が全く欠損しているのは不自然で、いかにもアタマの中で構築したお話の感があるのね。

 つまり、お話に人間らしい血が通っていない。
小説は様々な事象における人間心理を描くものです。
人はさまざまな事柄に出くわすたびに悩んだり苦しんだり、泣いたり怒ったり、捨て鉢になったり、逆に解決の糸口を見出そうとすったもんだする。
その赤裸々な心情が、多くの読者にとって興味があり面白いのです。

 AIでも小説を書く時代です。
現在のごはんでは古参の人たち自身が、心情を描けず、児童書とはいえない自己満足の童話??を書いている体たらくは由々しき問題でしょう。
あなたをみているど、どうも人間や猫様に興味がないように見受けられる。
どれもお話が表面的で上滑りしている。
本編は残念ながら流し読みになりました。

 2週間ルールから離れてじっくりと腰をすえ、あなたが全力で書いたというお話を読んでみたいです。

大丘 忍
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生まれながら病弱で、普通の生活ができず療養所で過ごさねばならない小児が居ますね。その悲しみが伝わってきました。健康人には想像できない寂しさでしょうね。

飼い猫ちゃりりん
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上松 煌様
「虫けらたちの青春」のときと同じように、適切な指摘ですね。

題名は、以前は「朝顔の涙」だったんです。それで今回、あまり考えずに「朝顔の恋」にしたんです。
要するに、白い服を着た花びらのように弱い少女を擬人化したわけです。
ただ、どちらにしても、あまりセンスのいい題名ではないなぁ……とは思っていました。
結構悩んだんですけどね。
もう募集しちゃいますか。苦笑

親の心情についても御指摘のとおり。
表面的になってしまった。
言い訳ですが、なんとか3000字くらいでまとめたいという意識もあって。でも短いなりにも表現の仕方はあるのでしょう。作者の実力不足です。

とにかく、たとえ下手くそでも書けば、とにかく描けば、こうして適切に指摘をしてもらえる。
そこだけは自慢しちゃいます。笑

変な呪文みたいな文章を書いていては、「見えない絵」に感心できるカルトまがいの人たちしか寄ってこないですからね。

ありがとうございました。

飼い猫ちゃりりん
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大丘 忍様
返信が遅くなりました。すみません。
悲しみを感じとっていただき嬉しく思います。

この作品は、サナトリウム文学に分類される短編になるのでしょうね。
ただ悲しいだけの小説。
哲学や心理学がにかぶれた人たち、いわゆる「意味乞食」から見たら、なんの意味もない小説でしょう。

ありがとうございました。

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