作家でごはん!鍛練場
Zen

正しい怒り方 ー電車にてー[約千字]

 日差しが明るい山手線の車内。まばらな乗客。ドアの脇に立つ女性。その横の座席に座る一組の男女。

 佐奈江はドアと座席の間のスペースで、しっかりと手摺を握り、座席を背にして立っていた。
 佐奈江は苛立っていた。
「帰りに池袋によろうぜ。チェックしたいアニメグッズがあるんだよ」
「うん。いいよ」
 ひとつ前の駅から、背後の席に座った男女が、恐ろしく大きな声で会話をしていた。正確には佐奈江のすぐうしろに座った男子だけが大声だった。
 佐奈江の頭の中で、いろいろな想像が騒ぎ立てる。
 こんな平日の昼間に学生さん? カップルで遊びに行くの? こっちは仕事なの。会社に向かっているの。相手の女の子は普通に話しているのに、なぜあなたはそんな大声なの? 普通の声で話して。どうにかなりそうなの。いい加減にして、もうやめて……。
「だからさあ、この前の回のオープニングはさあ――」
 運の悪いことに男の方はおしゃべりだった。もはや佐奈江は気が変になりそうで、とうとうありったけの声で叫んだ。
「静かにして!」
 しばらくの間、車内はゴーという走行音だけになった。
「すみません」
 雄太は、たいして人もいない静かな車内で、突然起こった怒鳴り声に驚いて、声のした方にそっと顔を向け、声の主であろう背中に対して、とにかく謝った。
 その顔をゆっくりと、隣に座ってきょとんとしている美穂に戻すと、苦笑いした。が、その表情が悔やんだものに変わり、「最初からこれを使えば良かった」とつぶやいた。そして、ズボンのポケットからスマホを取り出し、なにかを入力しはじめる。
 打ち終わって差し出されたスマホを、美穂が覗くと、『うるさいって怒られた😛』と、メモアプリに書かれていた。
 すぐに、「ごめんね。あたしのせいで」と、美穂はすまなそうな顔をした。雄太は苦笑いをしながら、顔の前で臭いでも散らすように手を振り、そうじゃない、と意思表示をした。
 雄太は、ただでさえ補聴器が壊れて心細いであろう美穂に、努めて明るく振る舞おうとしていた。
「次は巣鴨、巣鴨――」
 ナーバスになっていた佐奈江は、車内アナウンスが聞こえてほっとした。
 そのまま電車は速度を落としはじめたので、降りる態勢を整える。片手は手摺をつかんだままでドアの前に進み、もう片方の手で白杖をしっかりと握る。
 この駅どころか、このドア以外から降りたことのない、そして耳だけが頼りの佐奈江にとって、万が一にもアナウンスを聞き損じて、乗り過ごすような事態はあってはならないことだった。

正しい怒り方 ー電車にてー[約千字]

執筆の狙い

作者 Zen
sp49-106-211-223.msf.spmode.ne.jp

日常的に人に怒りを覚える事は誰にでもあるものですが、一歩踏み込んでみると不適当な怒りというのもあるという事を表現してみようと思いました。

コメント

Zen
sp49-106-211-223.msf.spmode.ne.jp

はじめまして。作者です。
まだ、こんな感じの作品を数本書いただけの初心者なのですが、書いてはみたものの、一体自分がどういうレベルにいるのかが全く判断がつかないので、他の方の評価を伺いたいと思い、投稿いたしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

弥生
27-138-124-21.rev.home.ne.jp

「正しい怒り方ー電車にてー」読んでみました!
話の展開の仕方が素晴らしいと感じました。
また、1000字ほどの物語の中に、ここまでストーリーを込められるのはすごいことだと私は思います。
ただ、
>こんな平日の昼間に学生さん? カップルで遊びに行くの? こっちは仕事なの。会社に向かっているの。相手の女の子は普通に話しているのに、なぜあなたはそんな大声なの? 普通の声で話して。どうにかなりそうなの。いい加減にして、もうやめて……。

「の」が連発されていて、少し諄く感じました。
>一歩踏み込んでみると不適当な怒りというのもあるという事を表現してみようと思いました。
ばっちり表現できています。尊敬します。

全体的に文章が読みやすく、最後にどんでん返し(?)があって、とても面白かったです。
個人的には好みです。

素人の小学生ごときが偉そうに失礼いたしました。
少しでも参考になれば嬉しいです。これからも頑張ってください。

アン・カルネ
KD111239175031.au-net.ne.jp

ああ、これもまた胸にちょっと応える内容。グレイス・ペイリーの短編をちょっと思い出させられました。確か彼女の短編にも電車内で騒ぐ(?)だったかの話があったような記憶で。読後感が近いかな、と。近いと言ったのでは誰かの“正しい”は立ち位置が変われば違うものになるよなあって思わされたところです。
私としてはタイトルを変えた方が良いんじゃないかな? と思いました。日常の誰もが遭遇するかもしれない微妙は一場面を活写する時は作者の主張は見せない方が良いんじゃないのかな? と。人の有り様には正しいか正しくないかでは測れないものがある、それを浮き彫りにしてみせました、ということろなら、とても良かったです。

HC
p7606195-ipoefx.ipoe.ocn.ne.jp

 読みやすく分かりやすく読めました。
 最後までキレイにまとまっているなと感じました。

Zen
sp183-74-192-37.msb.spmode.ne.jp

弥生様
コメントありがとうございます。
この先、何本の小説を書いて、いくつのコメントをもらえるのか分かりませんが、いただいたコメントが私にとって人生で最初のコメントになりました。きっといつまでも忘れる事は無いでしょう。

内容も「こんなに褒めてもらっていいのか?」というくらい褒めてもらって嬉しい限りです。
展開等については、一応ストーリーメインの物語を書きたいと思っているので、組み立て方は間違って無さそうで、良かったです。安心しました。

実は、最も心配なのは文章なのですが、これも「全体的に文章が読みやすく」と評価してもらって、本当なのか?と疑うくらい驚いてます。
小説の文章って普段の文章と全然違うので、今のところかなり苦労しています。

唯一の指摘は
>「の」が連発されていて、少し諄く感じました。
ということですね。
なるほど、と思いました。
この部分は佐奈江が精神的に追い込まれて、おかしくなっている感じなので、あえて文を整えなかったのですが、おかしいならおかしいなりに整える必要がありそうですね。

最後になりますが、重ね重ねありがとうございました。
最初にもらえたコメントが弥生さんのようなコメントで本当に良かったです。勇気を貰えました。

Zen
sp183-74-192-37.msb.spmode.ne.jp

アン・カルネ様
コメントありがとうございます。

グレイス・ペイリーさんについては全然知らないもので、ちょっとすみません。(というか作家さんはほとんど知らないもので…)
ご指摘のタイトルについては、何も考えないでつけました。なんとなく「それっぽい」のをつけたようなレベルでした。
タイトルは大事ですね。ちゃんと考えないといけないですね。

> 人の有り様には正しいか正しくないかでは測れないものがある、それを浮き彫りにしてみせました、ということろなら、とても良かったです。

うーん。近い様な気もしますが、どちらかというと「安易に悪い奴だと思って怒ったけど、事情を知ったらそんな事なかった」的な路線なので、微妙に違うかもしれません。

どうか今後ともよろしくお願いいたします。

青井水脈
om126253154177.31.openmobile.ne.jp

読ませていただきました。

>雄太は、ただでさえ補聴器が壊れて心細いであろう美穂に、努めて明るく振る舞おうとしていた。

>そして耳だけが頼りの佐奈江にとって、万が一にもアナウンスを聞き損じて、

事情さえ分かれば、それで大声で話していたのかと納得しました。多分思いつきそうでなかなかなさそうなストーリーですし、余分な説明などがあまり見られなかったのも好感持てる点です。

>相手の女の子は普通に話しているのに、

ただ、読み返して気づいたのですが、美穂は難聴者特有の話し方にならなかったのかと。補聴器があれば、あるいは余程大きな声なら聞き取れるから、発声もあまり問題がないということでしょうか。
題材が良かったです、次作にも期待します。

Zen
sp49-106-215-238.msf.spmode.ne.jp

HC様
コメントありがとうございます。
お褒めの言葉をいただいて嬉しく思います。
「読みやすい」という評価は、自分としては本当に安心しました。
今後ともよろしくお願いいたします。

Zen
sp49-106-215-238.msf.spmode.ne.jp

青井水脈様
コメントありがとうございます。

表現しようとした事が伝わったようで安心しました。
また、ストーリーなども評価いただいたようで、嬉しいです。

そして、
> ただ、読み返して気づいたのですが、美穂は難聴者特有の話し方にならなかったのかと。補聴器があれば、あるいは余程大きな声なら聞き取れるから、発声もあまり問題がないということでしょうか。

についてですが。
正直言って分かりません。完全に聞こえない場合はかなりの確率で話すのに難があるとは思うのですが、難聴だとどの程度の確率なのかは正直言って分かりませんでした。
ただ、「相手の女の子は普通に話しているのに――」というのは佐奈江が思っている事なので、佐奈江としては、とにかく雄太の大声で頭が一杯になっていて、「美穂には神経が回らなかった」のかな、と思ったりもしています。

どうか貴重なご意見を今後ともよろしくお願いいたします。

浮離
KD111239123093.au-net.ne.jp

彼女の聴力環境に不安があるのなら、何も電車の中でわざわざ騒ぎ立てるほどの有り様で話したがることもないだろう一体誰得の気遣いのつもりなのか、だとか、

行先を心得て乗る電車という交通機関を利用するに当たって、もとより身体条件に不安を抱えた人が一人ぼっちでしかも聴力だけを情報の頼りに果敢に挑むとかそんな無謀な準備もないでしょう、だとか。

問題はそういうことではないことくらい承知の上でお付き合いしたい気持ちはもちろんあるんですけど、結局は見通しの悪さという意味では言い方が違うだけで同じことでしかない気がしてしまう、ということなんだと思います。

この下にある作品と同じことのような気がするんですね。
書きたいつもりのことはあるはずなんですけど、それに適切な形や必要不必要な情報の精査みたいなことに案外意識を働かせていない印象がものすごく強い気がします。
結果、設計も悪くなる。


腹を立てる各々はあっても、各々の事情において断罪に足るばかりでもないといったことだと思うんですけど、であるなら単純にそれに相応しいセリフすらあるはずですし、あるいは切り捨てても問題ない情報が多すぎるのではないか、ということなんですけど、わかりますかね。

極端な話でもないはずなんですけど、書き方次第でこのお話は呼称なんて設定しなくても書けるお話のはずなんですよね、むしろその方が印象として強度が増す気さえしますし、佐奈江に与えるべきは浮いた独白より心細げな描写で十分のような気がするし、美穂と雄太にあえて必要になるらしいコミュニケーションの理由が補聴器の不調では、

>断罪に足るばかりでもない

ものとして了承される役割の一方に足る社会性は備わらないはずのような気がします。


だったら、どうするべきなのか。

個人的には、この設計のまま作品としての目論見に社会的な了解を適切にフィットさせた上で成立させることは案外無理なことのような気がしていて、つまり単純な想定ミス、抜本的な設定の見直しは避けられないもののような気がしてしまいます。

弥生
27-138-124-21.rev.home.ne.jp

二度もすみません。
感想とは少し違うのですが…

そして、
> ただ、読み返して気づいたのですが、美穂は難聴者特有の話し方にならなかったのかと。補聴器があれば、あるいは余程大きな声なら聞き取れるから、発声もあまり問題がないということでしょうか。

についてですが。
正直言って分かりません。完全に聞こえない場合はかなりの確率で話すのに難があるとは思うのですが、難聴だとどの程度の確率なのかは正直言って分かりませんでした。

について。私の知り合いに難聴の人がいます。
その子は生まれつきだったようで、補聴器をつけています。
喋り方はイントネーションが独特だったり、ちょっと発音が違ったり(さ、をしゃ、と発音したり)するだけで、方言でも通用するようなレベルではありました。
これからの創作の参考になれば嬉しいです。

それでは。

Zen
sp49-106-217-208.msf.spmode.ne.jp

浮離様
コメントありがとうございます。

> 行先を心得て乗る電車という交通機関を利用するに当たって、もとより身体条件に不安を抱えた人が一人ぼっちでしかも聴力だけを情報の頼りに果敢に挑むとかそんな無謀な準備もないでしょう、だとか。
> 彼女の聴力環境に不安があるのなら、何も電車の中でわざわざ騒ぎ立てるほどの有り様で話したがることもないだろう一体誰得の気遣いのつもりなのか、だとか、

仰る通りですね。
この点については、もっと、気にかける人がいるのかな、と思っていましたが、そうでもなそうですね。
一応、設定としては、
佐奈江は通勤しています。オフピーク通勤です。
・まばらな乗客…
・こんな平日の昼間に…
・こっちは仕事なの。会社に向かっているの。
そして、
雄太はひたすら美穂を楽しませようと今日はずっとしゃべり続けています。若者故にその行為が周囲にどう作用しているかが良く分かっていません。
・チェックしたいアニメグッズ…
・男の方はおしゃべりだった…
・雄太は、ただでさえ補聴器が壊れて心細いであろう美穂に、努めて明るく振る舞おうとしていた。

と、いう事なのですが、勿論この設定を書き切っているわけではないので、読み手によって色々ありそうだな、と思っていました。


> 個人的には、この設計のまま作品としての目論見に社会的な了解を適切にフィットさせた上で成立させることは案外無理なことのような気がしていて、つまり単純な想定ミス、抜本的な設定の見直しは避けられないもののような気がしてしまいます。

仰る通りですね。
この作品を世に出す勇気は私にはありません。このような場なればこそですね。

その他沢山書いていただいたのですが、申し訳ありませんが良く分かりませんでしたので、後は浮離様の作品で直接勉強させていただこうかと思います。
よろしくお願いいたします。

Zen
sp49-106-217-208.msf.spmode.ne.jp

弥生様
わざわざありがとうございます。
そうでしたか。凄い偶然ですね。
難聴といっても、おそらく程度にはかなり幅がありそうな気がしますが、やはり結構普通にしゃべれる方もいるのですね。
大変参考になりました。
ありがとうございます。

ラピス
sp49-104-36-245.msf.spmode.ne.jp

私は視点の狂いが気になって仕方なかったです。佐奈江視点から改行もせずに雄太の心理描写へ移るのがね。
神視点のつもりでしょうか?

話の軸がはっきりしているのは良いと思いました。

夜の雨
ai226092.d.west.v6connect.net

「Zen」さん、読みました。

なるほどなぁ、あれこれ考えながら読みましたが、これは文章上のテクニックになりますね。
ミステリーなどで使える文体ではないかと。
二転三転する作品でした。
御作に登場する人物の背景に、何か「設定」を持たすと面白くなると思います。
ここでいう設定とは、誰かに狙われているとか、です。

それで話が後半にさしかかると、無関係だと思っていた、御作に登場した人物たちが絡んでくる、という構成にする。
そうすると、立派なミステリーになるのでは。


それでは次作品も頑張ってください。

お疲れさまでした。

弥生
27-138-124-21.rev.home.ne.jp

何度も押しかけてすみません。
個人的に好きな作品だったのでもう一回読んでみよう、と思って読み返してみたら…
気になる点がありました。
それは視点の切り替え方。Zen様は私の作品のコメントの、視点の切り替えの時にセリフというワンクッションを挟んだとおっしゃていましたね。
ですが、視覚的にわかりにくいので、目で見る読みやすさの視点で、改行などを行うと良いと思いました。
それでは、失礼いたしました。

Zen
sp49-106-217-208.msf.spmode.ne.jp

ラピス様
コメントありがとうございます。

視点については特に表現したい内容ではありませんでしが、確かに文章の技術として試しにやってみた感じではあります。
なので、受け付けない人がもっと沢山いるかと思っていましたが、意外にみなさんすんなり読んでいただいてちょっと驚いています。

> 私は視点の狂いが気になって仕方なかったです。佐奈江視点から改行もせずに雄太の心理描写へ移るのがね。

狂いではなく、上で述べた様に意図的に行ったものですが、ラピス様には受け付けなかったという事ですね。
大変興味深いです。
一方では「分かりやすい」と言われた方もおり、他方では「狂い」ととる方もいる……。
もしかしたら、この後にコメントが増えたら受け付けない人が増えるのかもしれませんね。注視してみます。

> 神視点のつもりでしょうか?

いいえ。「つもり」ではありません。
明確に切り替わっています。
佐奈江→雄太→佐奈江、という具合に。

> 話の軸がはっきりしているのは良いと思いました。

ありがどうございます。

Zen
sp49-106-217-208.msf.spmode.ne.jp

夜の雨様
コメントありがとうございます。

> なるほどなぁ、あれこれ考えながら読みましたが、これは文章上のテクニックになりますね。

視点の話ですね?
確かに文章テクニックとして試しにやってみた感じではあります。
三人称で書くという事は、きっとこういう事ができないといけないんじゃないかと思って試してみました。

> ミステリーなどで使える文体ではないかと。

これはまた、意外なところから嬉しいご意見をいただけました。
実は、将来的にはミステリーを書いてみたいと思っていたので、この辺の技術を磨いてみたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

Zen
sp49-106-217-208.msf.spmode.ne.jp

弥生様
いえいえ何度でも押しかけてください。大歓迎です(笑)
タイムリーですね。
今ちょうど視点の話が続いていたところです。
やはり弥生さんもひっかかってはいたんですね。
仰る通り、改行を入れればより分かりやすいですね。
ここでは、こういうやり方で行けるのかどうかを試しにやってみました。
皆さんの感想を聞いて、ダメなら変えなければならないですし、大丈夫そうなら一つの技術として何か使えるかもしれないですね。
丁寧に意見をしてもらえてありがたいです。

えんがわ
M014008022192.v4.enabler.ne.jp

妙な味があります。

人を気遣っていないマナーのなってない若者が悪い人、と思いきや、実は優しさから出た行為、と思いきや、やはり迷惑な行為だった。

なかなか、二重に捻っているので、読みごたえがありました。

それを分かりやすく、この短さでまとめているので、巧いとも思います。

ただ、雄太は補聴器が壊れて不安がっている彼女を、人が沢山いる池袋に連れていこうとしている。
そこらへんが優しくなりきれていないというか、余りにも彼氏が身勝手ぽくなっている印象があるので。
なんか会話内容を気遣っている方向に変えると、誰が善人なのかわからなくなる深味になるかなと思いました。

1000字にまとめたということで、ショートショートに類すると思うのですが、
構成力もアイディアもあると思うし、しっかりとオチの切れ味もあり、けっこう好みの作品でしたよ。

読ませていただき、ありがとです。

Zen
sp183-74-192-95.msb.spmode.ne.jp

えんがわさん。コメントありがとうございます。
かなり誉めていただいてうれしい限りです。

> ただ、雄太は補聴器が壊れて不安がっている彼女を、人が沢山いる池袋に連れていこうとしている。
>そこらへんが優しくなりきれていないというか、余りにも彼氏が身勝手ぽくなっている印象があるので。

なるほど…
本当に見る視点は人によって十人十色ですね。
でも、確かに言われてるような見え方をするかもしれませんね。
一応、設定としては、補聴器が壊れた美穂が雄太に付き合ってもらって直しに行くところで、以下の発言はその帰りについての言及でした。
「帰りに池袋によろうぜ。チェックしたいアニメグッズがあるんだよ」
雄太としては「直せば、楽しい事が待ってるぜ」という気遣いだったのかなと思いますが、そういった設定が種明かしのタイミングで描写されていないのが、えんがわさんのような捉え方につながったのかな、とも思いました。

貴重なご意見ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

えんがわ
M014008022192.v4.enabler.ne.jp

Zenさん

再訪です。

>一応、設定としては、補聴器が壊れた美穂が雄太に付き合ってもらって直しに行くところで、以下の発言はその帰りについての言及でした。
>「帰りに池袋によろうぜ。チェックしたいアニメグッズがあるんだよ」
>雄太としては「直せば、楽しい事が待ってるぜ」という気遣いだったのかな

あっ、なるほど。解説ありがとです。
これは自分の読みが浅く、1度読みで感想書いてしまったので、思いこんでしまった……

雄太の行動は、作品内では矛盾してないし、わざわざくどく説明すると脂肪分になってしまうと思うので、このままでいいあじゃんと思います。
マズイ読み方してしまい、ごめんなさい。恥ずかしー。

ではではー。

Zen
sp183-74-192-95.msb.spmode.ne.jp

えんがわさん、どうかそんな事、言わないでください。

> これは自分の読みが浅く、1度読みで感想書いてしまったので、思いこんでしまった……

と、書かれていますが。
私は、読者の感想は一人一人、その人のものですから、正しいも間違いも無いし、優劣もないと思っています。
ですから書き手は「この人はこう感じた」「あの人はこう感じた」と、事実をそのまま受け止める事しかできないですし、どう感じたかを知れる事こそが貴重なのだと思っています。

実際、自分は本当に改良のヒントをいただいたと思ってます。
前回のえんがわさんの感想に対して、その原因として
「そういった設定が種明かしのタイミングで描写されていないのが、」と、考察しましたが、具体的には以下の様な事を考えました。

以下の部分の表現が少し弱いからなんじゃないかと思いました。
・雄太は、ただでさえ補聴器が壊れて心細いであろう美穂に、努めて明るく振る舞おうとしていた。

「努めて明るく振る舞おうとしていた」というのが、今の電車内の出来事に対してにしか聞こえない気がするので、もっと今日一日の雄太を表現できるようにしたら、いいんじゃないかと思いました。
例えば、
・雄太は、補聴器が壊れたと知らされてから、美穂を不安がらせないように、朝からはしゃぎ続けていた。
とか。
これ自体は思い付きですが、方向性としてはこういう風に、もっと時間の幅を広くとった表現に変えたら、より良くなるんじゃないかと思いました。

そういう事ですから、今後とも是非素直に感じた事をコメントいただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。

チャカポコ批評家
softbank060148240027.bbtec.net

Zen様

 読みました。
辛口ですが批評を書きたいと思います。

 雄太と佐奈江の視点の切り替えはよく設計されているように感じた。
「しばらくの間、車内はゴーという走行音だけになった。」や『「次は巣鴨、巣鴨――」』など、かならず、登場人物三者の外部にあるもの、しかも読者の意識に割り込み寸断する効果を持たせたものがスイッチとして置かれてあったため、効果的だったように思う。人称視点につきまとう死角という問題と目の見えない佐奈江と耳の不自由な美穂の互いにとって知りえない事情とが、話の中でうまく相互作用していたように思う。

 一方、話としての全体的な設計のところに幾分疑問を抱くのを禁じえなかった。「怒り」を描くことありきでの舞台設計に思えた。佐奈江が注意喚起という段階を踏まず、いきなり怒りが沸騰するに至るという不適格に、それはよく現れている。もっとも、注意喚起の段階を踏んだならば、体が不自由であることに理解があると思われ、なおかつ、そんなに悪いやつでないということがテーマ上必須である、雄大は、素直に謝罪し大声を出すのを止めたであろうから、それをすると話が成り立たなくなってしまうのだが。そもそも動機付けが選別の適切を破綻せしめている。
 話のテーマと技巧とを調和させて調律を生み出しているところがこの小説の美点であって、調和のために適切な切り口とやり方を全うできているのにも関わらず、動機付けの部分に「そもそもの」歪みが所与のものとして根付いているところが、小説設計の難しさに思えた。

Zen
sp49-106-213-247.msf.spmode.ne.jp

チャカポコ批評家様
コメントありがとうございます。

概ね好評のようで嬉しく思います。
ただし佐奈江の行動は不自然に感じたという事ですね。
まずは注意するんじゃないか、と。

なるほど、そうとる方もいるのだと勉強になりました。
想定としては「移動すればいいじゃん」と思う方が多いかと想定していたので、貴重な意見をいただけました。

コメントの後半で、注意しない理由として設計に原因をもとめた推察をされていますが、実はそうではないのです。ちょっと長くなってしまいますが解説してみたいと思います。

まず設定としては、
・佐奈江は通勤をしています。
・会社の配慮でオフピーク通勤をしています(10時位)
・年齢は三十代前半
です。そして、想定としては、
目が見えないので
・外界に対して臆病で慎重
・周りの状況、変化の把握は健常者よりかなり落ちる
年齢的に
・年寄でも若者ではなく、若者にはイラつくものの、ピシッというような事もない
と、なっています。

この為、
・佐奈江にとって、雄太が大声でしゃべりながら乗車してきた事が、突発的でイレギュラーな事件だった
・そして対処する間も無く精神的に追い詰められパニック寸前になる
という事になります。
この為、注意するなどという穏健な行動を取る余裕がありませんし、そもそも外界に積極的に関わるメンタルではありません。

上記の設定・想定が注意以外にも、なぜ移動しないのか、なぜそんな急にキレるのか、といった事の理由になっています。

ですので、設計の問題ではなく、その実装つまり文章化の問題となります。なので、設計内容を文章の上手い人に渡して書いてもらえば、佐奈江の不自然さは解消できる可能性があります。

ただ、ここまでで佐奈江の不自然さに言及された方がチャカポコ批評家様だけなので、どこまで設定・想定を表現するかは、少し悩みどこかなあ、と思いました。


あと、視点の切替についても丁寧に触れていただいたので、せっかくなのでこちらも少し解説をしてみたいと思います。
この作品を作るにあたり、文章技術目標として「全ての人物毎に視点を切り替える」を設定しました。
従って、美穂も切替っています。
雄太の視点の
・ズボンのポケットからスマホを取り出し、なにかを入力しはじめる。

の次の行が
・打ち終わって差し出されたスマホを、美穂が覗くと、『うるさいって怒られた😛』と、メモアプリに書かれていた。

ですが、ここは美穂の視点に切り替わっています。
「差し出されたスマホ」とありますし、そもそも文の内容自体が、雄太ならばメモアプリの内容は分かっていますので。
そして次の
・すぐに、「ごめんね。あたしのせいで」と、美穂はすまなそうな顔をした。雄太は苦笑いをしながら、顔の前で臭いでも散らすように手を振り、そうじゃない、と意思表示をした。

が、美穂→雄太に見えますが、厳密には雄太でも美穂でもどちらでも良いという事になっています(つもり)
そして最後は雄太に完全に切り替わるという寸法です。
・雄太は、ただでさえ補聴器が壊れて心細いであろう美穂に、努めて明るく振る舞おうとしていた。

触れていただいた、佐奈江・雄太は言及された方がいましたが、雄太・美穂については言及された方がいなかったので、こちらの「弱い切替」の方がさりげなくて使える場所が多いかもしれないな、と思いつつあります。

随分長くなってしまいましたが、ありがとうございました。

偏差値45
KD106154002123.au-net.ne.jp

なかなか面白い作品だな、とは感じましたね。
耳の不自由な人、目の不自由な人ですね。

視点の変更の問題は、

> しばらくの間、車内はゴーという走行音だけになった。

「すみません」

>「次は巣鴨、巣鴨――」

 ナーバスになっていた佐奈江は、車内アナウンスが聞こえてほっとした。

行間を空けることで回避できるかもしれません。
基本的に内容が伝わることが大事なのですが、
現状でも理解できるので、クリアできると思います。

個人的に気になったことは、
>万が一にもアナウンスを聞き損じて、
乗り過ごすような事態はあってはならないことだった。

仮にそうなった時の対策を用意しておくべきでしょうね。
そんなことを思った次第です。

Zen
sp49-106-207-242.msf.spmode.ne.jp

偏差値45様
コメントありがとうございます。

面白く感じていただいたようで、良かったです。
その上で、視点の切替が気になったという事ですね。それか、他の方のコメントに対しての見解かもしれませんが。

一応、視点の切替についてはあえてこういう形式でチャレンジしてみた感じではあります。
ただ、気になる方がいらっしゃるという事が分かったので、コメントにいただいように空行を挟む形に変えるのがいいのかもしれないな、と思っています。

> >万が一にもアナウンスを聞き損じて、
> 乗り過ごすような事態はあってはならないことだった。
>
> 仮にそうなった時の対策を用意しておくべきでしょうね。
> そんなことを思った次第です。

これは初めていただいた意見です。
一応、佐奈江の性格ゆえに、という感じではあるのですが、結局、全般的に佐奈江の内面の描写が少し足りないのではないかと考えています。

貴重なご意見ありがとうございました。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

テクニカルサポート

3,000字以内