作家でごはん!鍛練場
いそー

恐竜好きの少年

 私が恐竜に興味を持ったのは五歳の頃であった。そんな気がする。なんとなく覚えている初めての母の顔の記憶がそれくらいで、母の右手にはステゴザウルスがあったように思える。しかし今でも夢に見るように、母の胎内の蠢きをただ聞いていたよどみの中で、恐竜のことを考えていたようにも感じる。ともかく、私は恐竜とともに人生を歩み始めたことは確かであった。
 その日は初夏の乾いた日差しと、春末の花蜜を感じさせる匂いを漂わせていた。終業式を終え家に帰ると、すぐさま私はランドセルを玄関に放って「いってきます!」と木づくりの家に元気な声を染み渡らせた。私の足は図書館へ向かった。この頃ずっと、恐竜が絶滅した理由だけがなんとも納得いかず気がかりであった。どうして隕石がぶつかっただけで悉く死んでしまうのだろう。私にとって恐竜は兄弟みたいなもので、当然のように身近にはいたものの、特段のめり込んでいるわけでもなく、ただ私の骨組みとなっているのだった。であるから、長らく絶滅の原因が腑に落ちていなかったのだが、学校の授業や放課後のクラブ、家ではゲームで時間を費やしていたために、なんとなく頭の隅に歯がゆく疑念が挟まっているままであったのだ。しかしやっと夏休みに入り、いい機会だとついに私はこの謎を解明することにしたのだった。入って右手の奥から三番目にある棚、そこに自然科学のコーナーはあった。棚には恐竜と書かれた仕切りがあり、そこからはびっしりと恐竜に関する本が並べてあった。「恐竜の種類、生態、進化……あった、絶滅!」恐竜がなぜ滅びたのか、分かりそうな本を見つけ私は嬉々として手を伸ばした。すると、もう一つの手が伸びてきて、私の右手に触れた。その手の白さとしなやかさ、そして香しい不思議な匂いを私は今でも忘れることは出来ない。本の匂いにも思えたが、もっと甘い匂いでもあり、例えば初めてのタバコのように、慣れない青春の匂いであったとも思う。ふと隣を見るとそこには少女がいた。鮮やかな赤い色のハイビスカスが縫われた白いワンピースを着ていて、なんとも夏の少女という感じで、子供ながら驚きとなにがしの記憶と重ね合わせるようにどこかで見たような懐かしさを感じていた。
「ごめん、君もその本を借りたいんだね。譲るよ」
 私は自身をなんて大人らしいのであろうと矜持に浸かってはいたが、それ以上に彼女の麗に心を打たれていたのだ。
「そんなの悪いよ。一緒に読もう?」
 私は少しばかり小僧の顔をしたが、すぐさま先ほどの大人らしい表情に顔をぐにゃりと変形させてみせた。私たちは傍にあった席に並んで座り、2人の間に本を広げて読み始めた。彼女の自然な息づかいは、たじろいで固まっている私を馬鹿にしているように思えた。彼女のまつ毛は長く、きれいに上空に向かって伸びていて、彼女がページをめくるたびにはたはたと蝶のように瞬く姿もまた、顔を赤くしている私をけなしているようにさえ思えたのだ。彼女の美しさは、いま思い返しても、あどけなさの中に確かにきらめく挑発的な美があったと言える。いくつか本の内容を目で追ってはいたものの、内容が頭に入ってくることはなかった。
 それから、私と彼女はたびたび図書館で会う約束をして、一緒に恐竜の本を読みふけた。彼女はユイといい、私と同じく恐竜好きの十一歳であった。彼女に会えたことに、私は私のこれまでを賞賛した。彼女と出会うために私は恐竜のことを好きになって、絶滅の秘密を不思議に思ったのだと。すっかり私はその謎の究明のことなど忘れ、彼女のことばかり四六時中頭を奪われていた。
 町のはずれにある裏山へいこうと提案したのはユイであった。その付近から数年前に恐竜の化石が見つかったらしい。いまだに裏山の区域は研究のため立ち入り禁止だそうなのだが、彼女はどうしても現場を自分の目で確かめたいと言ったのだ。私もまったく興味ひかれる提案だったためにすぐさま首を縦に振ったのだが、いま思えば十一歳の子供が二人で山に入るというのは危険極まりない行為であることは明白であった。しかしながら、好奇心に駆られ私たちは裏山への探検を決行したのである。しばらく山に向かって誰かの庭のように思われる竹藪を進み、私は探検への期待を膨らませていった。昼の強い日光が竹や笹のあいだから漏れ出でて、ユイの小さな体操ジャージをここかしこに照らし、燦然と彼女のたくましさを演出していた。傾斜が強くなるとユイはあたりを見渡して、私を見て、そうして「大丈夫?」と声をかけるのである。そんな様子であった彼女とは対照的に私はもう息を切らし足を震わせ、彼女の小さな背中を視界の隅に、地面に敷き詰められた枯れ葉ばかりを見つめ歩いていた。であるからこそ、彼女の異変に気付くことはできなかった。山に入り始めてもう何時間たったのかわからないが、日は傾きあたりは朱色に包まれていた頃、ユイは倒れた。その日ユイは、朝から高熱を出していたらしい。彼女は子供ながら自身の異変には気づいていたものの、熱は冒険への興奮によるもので、すぐに治るだろうと思っていたそうだ。
 激怒したのはユイの母であった。ユイがなんと母に伝えたかはわからないが、私がユイをたぶらかし山に誘ったのだと私の母に玄関先で怒鳴っていたのを覚えている。ユイのことを疑うことは決してなかったが、私には布団にくるまって後悔と自分の情けなさに目をつむることしかできなかった。私は瞼のなかで、きっとユイは私のことをかばってくれて、ユイの母が一方的な勘違いで怒っているのだとか、いやユイが倒れる前に私にはできることがあったのではないかなど思案を巡らしたが、結局私に下されたのは「ユイちゃんにはもう会わないこと」という穏やかな口調で発せられた母の一言であった。それでも何度かユイに会おうとも考えたが、母のあのときの穏やかさには、私への信頼があったことを感じていたために、母を悲しませることなどできずいよいよユイに会いたいなど言えなくなってしまうのだった。
 それから一週間ほどたった頃だろうか。ユイが死んだという話を聞いた。夜中、両親が神妙な様子で話しているところを聞いてしまったのだ。私の恋心が引き裂かれる音がして、その音がたまらなく苦痛で、私は夜遅い時間であったにも関わらず外へ走り抜けた。靴も履かずただ走り、懸命に腕を振って、どこか遠くへ行きたいと願った。どこへ行こうとしたのか、私には分からなかったがそれは決して過去なんかではなく、ただ自身の焦燥からの、布団にくるまって激怒の声を聞いていた私からの、といった漠然とした逃走であったことは間違いない。まともな考えなど持つ余裕もなく、私はただ走っていたのだ。アスファルトの道から河川に抜けると、そこかしこの鋭利な石で私の足には痛烈な痛みが与えられた。ところがユイの味わった痛みはこの程度ではなかったはずだと、私は自分をもっと粗末に扱おうとして、そのまま川に身を投げた。ブクブクと息が漏れて、冷たさと怠さのなか、私はもう動く気力も失くしていた。     
 そのあとの閑散とした残りかすみたいな夏休みは、まったく億劫の塊であった。隕石—なるほど生物はこれほどまで脆かったのかと自覚したのだ。朝起きるとしばらく天井を見つめることから一日は始まった。その木板模様はずっと眺めていると、ユイの白い顔が浮かび上がるようで、映された顔はあの頃と同じく私をいざなうように挑発するのであった。思えばユイは十一歳にしてすでに成人の魅力を内在していた。はかなくも強く、そして優しい心は、決して例えば年頃の女が醸し出すような猥褻で下品な臭いではなく、ユイの骨や肉、白さは織り込まれた彫刻のような上品な匂いであり、私の心の奥底を刺激していたのだ。布団から出てもしばらく上の空で、朝食の時間などとっくに過ぎて、私が食事をする頃には母がおやつにと焼き菓子の匂いを家中に漂わせるそんな時間であった。母も私を見てひどく心配していたに違いないが、母はその穏やかさで、叱ることもなく無理に励ますこともなく、ただリビングに降りてきた私に静かに食事を用意してくれたのである。
「キーンコーンカーンコーン」
 半ば夢のように酩酊した視界がはっきりとして、授業が終了したことに気づいた。みなそれぞれ背を伸ばしたり今日の給食の内容について話したりしている。あれからもう六年たっただろうか。私はいま高校で運動部に入って活動している。小さい頃は科学部に入って古生物学を専攻するつもりであったが、ユイの一件以降、恐竜に触れると彼女のことを思い出すようでずっと恐竜を避け続けてきたのだ。私は長らく、恋を忘れていた。どこかに忘れてきてしまったのだが、そこへはもういけないことも知っていたために、ただ私はその場所を、何年も遠くからぼんやりと力のない目で眺めているだけであった。最近はユイのことを思い描くことも少なくなってきたことに寂しさを感じながら、私は何気なく図書室に向かった。久々に思い出した彼女の余韻に、本に紛れていれば浸れるように思えたのだ。そうだ、こんな風に恐竜コーナーをいつも眺めていて……恐竜絶滅、それが私とユイを引き合わせてくれた。かつての本と同じものが、そこにはあった。当時読んだ内容は緊張のあまり全く覚えていなかったのだが、本の背表紙だけはユイのあの白い手とともに鮮明に記憶されていた。本を広げると、懐かしい匂いがした。ユイの匂いのようにも思えたし、恐竜に素直に向き合っていたあの頃の家の匂いにも思えた。気づけば十一歳の私が憑依したように没頭して読み進めていた。そうして恐竜絶滅の本当の原因は、隕石ではなく隕石の落下によって巻き起こされた粉塵であり、それ故の太陽光の遮断であることを知った。私はこの真相になるほどと納得する以上に、ユイへの思いと重ね合わせた。なんとなく果ての見えない薄霧のなかで、どこへ行こうというわけでもなく茫然と立ち尽くして暮らした日々とともに。
 その日は示唆的な諦念と回顧の狭間に揺られて、給食が喉を通らなかった。家に帰ってからも気の晴れない気持ちであり、私は次第に、いまなにを考えているのか私にも分からなくなっていた。夕飯に呼ばれて下に降りようとしたとき、二階の窓の向こうにふと裏山が見えた。あの裏山が、当時のユイを思い起こさせた。幻ではあるが、過去を思い出すあのよくあるモノクロに映ったユイではなく、生きたユイであった。高熱で喘いでいただろう彼女の姿が明確に想像されて、その痛ましい気持ちを裏山の木々のざわめきが、私に迫っているように思えた。「ユイを忘れない。」そんな無責任な言葉を私は裏山に投げかけた。

恐竜好きの少年

執筆の狙い

作者 いそー
101.187.3.110.ap.yournet.ne.jp

約4000字です。
前回の反省を生かし以下の事項を意識しました。
・ストーリー性を持たせること
(プロットを作って書き始めました。)
・推敲段階を踏むこと
(書いた時間と同等あるいはそれ以上で精査しました。)

物語としては
人の悲しみとその記憶の過程を恐竜の絶滅の仕方になぞらえたものです。

コメント

小次郎
121-85-62-20f1.hyg1.eonet.ne.jp

しっかり書かれていますね。文が上手です。
ユイへの主人公の気持ちが伝わってきますね。
ただ、ストーリーがよくあるかも。
亡くなった人間に思いを馳せる。
煎じという言葉があるじゃないですか?
何回も同じ茶葉の材料を他の人が使ってて、お湯を注いでいますから、薄味に感じてしまいます。
ここに、あまり使われていない茶葉や、今まで使われていなかった茶葉を入れたら、作品の味が濃くなると感じました。

小次郎
121-85-62-20f1.hyg1.eonet.ne.jp

補足します。
現状では、十番煎じぐらいの薄味かなー。

いそー
101.187.3.110.ap.yournet.ne.jp

小次郎様
読んでいただきありがとうございます。

確かによくあるストーリですね、今度はもう少し奇を衒ったストーリーで書いてみようと思います。

よくあるストーリーでも、文章表現や事細かな描写などで素晴らしく昇華される作品もあるとは思いますので、私がそこまで上達していないとも捉えられますから、この辺りも次回までになにか方策を考えるか数こなして成長を待つかにしようと思います。

貴重なご意見ありがとうございます。また次回も率直な意見をいただけると幸いです。

浮離
KD111239122092.au-net.ne.jp

>前回の反省を生かし

ということなんですけど、特に参考にされていないみたいなのでこれは書き手に対してではなく、これを見ている人全員に向けて書いているつもりであることを承知してください。


この書き手の前作に、あたしは“無駄が多い“ “体裁が悪い“ “書いているつもりであることの不正確さ“ といったことを端的にはお伝えしたはずなんですね。

>無駄が多い

についてはさらに不正確なことに、言い回しを選びたがる割に単語の選択やそもそもの理解からも怪しさが目につきがちな気がします。

>体裁

については改善するつもりがそもそもないらしいので、好みの体裁ということでも別にいいのかなあということで余計なお節介を詫びたいと思います。
必要と感じたときに頑張ってみたらいいです。

>不正確さ

は相変わらずのような印象を受けますよね、やっぱり。


個人的にはこのお話の共感のなさは“述懐形式“であることに尽きると思ってます。

>人の悲しみとその記憶の過程を恐竜の絶滅の仕方になぞらえたものです。

と狙いにある通りのことが悪しく形式に蝕まれている、なんて言い方は随分格好つけたもののように思われそうなんですけど、でも仕方ないですよね、だってこのお話は“一人称“として語られているわけなので。

言ってる意味わかりますかね。

語り手の視点はどこにありますか。
ユイとの出来事から六年後、高校生になった記憶の最終地点つまりは語り手としての現在に立ってるはずなんですよね。
何言いたいかわかりますか?


語り手は全部知ってる、ってことなんですよね。


わかりますか?
少なくとも語り手は目の前で起きた出来事については当たり前なんですけど全部知ってる。
それを踏まえた上で、どうですか。
構成とか、切り口とか、語り、事象、倫理、感情、展開、閉じに至るまで、つまり色々な要素はそれこそ言い出したらキリのないことなんでしょうけど、要は相応しいものを常に見通して意識することができていたものなのか、それを理解した上でなぞったのか衒いを求めたものなのかその意図は好き好きのことなんですけど、個人的にはそんな事情において違和感を覚えないはずはなかったものでしたし、単純な感情としても相応しいものとは思えない箇所が多々見受けられた気がするし、

>人の悲しみとその記憶の過程を恐竜の絶滅の仕方になぞらえたものです。

といった狙いそのものが何よりピントのずれたもののように感じさせられた気がするわけなんです。


例えばなんですけど、書き出しの部分だとか。
五歳の記憶から始めなければならなかった理由をちゃんと説明できますか。
構成として狙いに沿ったものと納得できた上で了を打てたものですか。

どうしてそんなことが気になってしまうのか。
書き手として、何か手掛かりを思いつけますか。


読み手として思わされるには、“人が一人死んでる“っていう温度に尽きるんですよ。
それも簡単ではない思い出の女の子ですよ。
語り手は、自分の出来事としてそれを知ってる。


語り手にとって重要だったのは恐竜ですか。
ユイはあくまでもそれになぞらえられる記憶の一部ですか。
現に、

>私は長らく、恋を忘れていた。

ってあるんですよ。

少年から青年への六年間は人生の相対時間として短くはないですから仕方のないことともしても別段構わないんですけど、ただ言いたいことは“感情“とか“記憶“といった人間設定の話ではなくて、むしろそれを尊重した上での“小説“っていう“設計“とか“然るべき効果“みたいなことなんですよね、伝わるといいんですけど。

その感情に相応しい構成、設計といったより優れた観察や見出される作為っていうものは絶対にあるはずなんですよ。

語り手がどんな感情でも人生でも記憶でも好きにしたらいいですよ、ただそれにもっとも相応しいと思われる設計や構成を意識されたものとは残念ながら感じさせられ難いものになっているのではいか、あるいは表現したいはずのものを書き手は上手く掬い取れていない印象が強い、ということなんです。

意図はわかるので否定しないんですけど、少なくとも恐竜の存在意義は思いのほか薄いもののような気がするし、ユイとの結合も甘い気がします。
なぞらえる、という目的には届き難いものとして、恐竜はただのきっかけとしての道具に留まって見えます。

忘れていたのなら、思い出すことで結ばれる記憶あってこその世界がこの作品の最も単純な手口のように観察させられるし、恐竜が材料として外せないのなら、書き出しも構成ももっと違うものになるはずではないのか、というのがあくまで常套という比較目線からの感想になる、ということなんです。


これは書き手に対してなんですけど。

好みのことなので言っても仕方ないこととは思うんですけど、実際日本語も怪しいくらいなんですし、もっと素直な書き方でちゃんと整理して書くことから始めた方が、効率よく書きたいことを正確に書けるようになる気がしますよ。
だから体裁とかも気にしろって言ったんですけど、聞く耳ないですもんね、スタイルが気になるなら好きにしたらいいですたかが趣味なんですし。


個人的には鍛錬として好感は高くないです。

青井水脈
om126193185196.23.openmobile.ne.jp

「恐竜好きの少年」読ませていただきました。
ストーリーの流れは分かりましたが、ちょくちょくと引っ掛かって、スムーズに読めないところもありました。

例えば。
>その日は初夏の乾いた日差しと、春末の花蜜を感じさせる匂いを漂わせていた。終業式を終え家に帰ると、すぐさま私はランドセルを玄関に放って「いってきます!」と木づくりの家に元気な声を染み渡らせた。

一学期の終業式ですよね。7月下旬だったら、初夏とは呼ばないのでは。
初夏は、5月5日〜6日頃(立夏)から概ね6月初旬の梅雨入りするまでの期間を指すそうです。

>元気な声を染み渡らせた。

声なので、響き渡らせた?


>私は少しばかり小僧の顔をしたが、すぐさま先ほどの大人らしい表情に顔をぐにゃりと変形させてみせた。

大人らしい表情、作中の言葉を借りるなら矜持に浸るときの表情。ぐにゃりと変形という表現に違和感をいだきました。
「先ほどの大人らしい表情に戻す」とか、「先ほどの大人らしい表情に引き締めてみせた」とか?


>「キーンコーンカーンコーン」 半ば夢のように酩酊した視界がはっきりとして、授業が終了したことに気づいた。みなそれぞれ背を伸ばしたり今日の給食の内容について話したりしている。

六年飛んで、高校ですよね。小学校や中学(地方で違うみたいですが)みたいな全校で一斉に給食、というのは聞いたことないです。


内容ですが、書きたいこと、題材は良いとは思います。何番煎じと言われるのも分かりますが、普遍的でしょうし。
ですが今作は、高校生で十一歳での出来事を回想するにしても、落ち着き過ぎというのか、老けてるともいうのか。そういう印象でした。
もっとあと、主人公が大人に(それこそ四十代以降?)なってから、ふとしたきっかけで思い出す話にしてみるのはいかがかと思いましたが。

>気づけば十一歳の私が憑依したように没頭して読み進めていた。

>「ユイを忘れない。」そんな無責任な言葉を私は裏山に投げかけた。

そうすると、上記のような没頭するような熱情だったり、忘れないみたいなセリフは出にくいでしょうしね。
>人の悲しみとその記憶の過程を恐竜の絶滅の仕方になぞらえたものです。

この試みは中々良いと思ったので。今度は、登場人物の等身大な感じが読んでみたいです。

sp1-75-7-164.msc.spmode.ne.jp

拝読しました。
途中、「白夜行」的な物語になるのかななんて思いながら読み進めましたが、違いましたね。
青井さんが書かれているように、高校生の回想にしてはどんなものかと思いました。「語彙に強い」が「語彙が強い」という印象の小説でした。もう少し肩の力を抜いて書かれたら良いかと。

いそー
101.187.3.110.ap.yournet.ne.jp

浮離様
お読みいただきありがとうございます。

ご指摘ありがとうございます。おかげさまでプロットの作りが甘い、というか作り方が誤っているのだろうと気づきました。展開のみを考えていましたが、そもそもまずなにを伝えたいのか、次にそれを効果的に伝える構図はどんなものかを考えてから、そしてその狙いを逸脱しない言葉選びと表現をもってして書き進めるべきなのだと理解しました。推敲が云々というのはその後の話ですね。誤解していました。

体裁に関しては前回とは意味段落で一字下げしている部分に違いはあったのですが、まだまだ読者の目線を考えきれていなかったのですね。次回はさらに改善したいと思います。

率直なご意見をありがとうございました。次回も、いただいたご意見を基に練って参りますから、批評のほどよろしくお願いします。

夜の雨
ai202136.d.west.v6connect.net

「恐竜好きの少年」読みました。

感性あふれた作品ですね。
主人公の高校生が少年時代(11歳)に逢ったユイという少女とのわずかな日々が、喜びから悲しみに彩られていくあたりの心境がよく描かれていました。
11歳当時の話が中心で恐竜図鑑を図書館で見つけたときから少年とユイとの切ない物語が始まり、あっという間に終わるのですが、その束の間がうまく切り取られていた。

それにしても、裏山に登ったその日に容体が悪くなり、亡くなるとは。
そのあたりの伏線はなかったですが、作品が短いこともあり、特に違和感は感じませんでした。


気になったのは主人公の高校生が11歳当時を思い出しているとはいえ、大人視点で話が書かれているところですね。

>例えば初めてのタバコのように、慣れない青春の匂いであったとも思う。<
11歳の少年の世界を描いているので、その彼が「タバコのように」と例えると、視点が大人になる。
これを書くのなら、主人公が17歳に戻って書く必要があると思います。まあ、17歳でもタバコとなると、「えっ?」になりますが。17歳の主人公をチャランポランな人物に描くのなら問題はないですが。

>思えばユイは十一歳にしてすでに成人の魅力を内在していた。はかなくも強く、そして優しい心は、決して例えば年頃の女が醸し出すような猥褻で下品な臭いではなく、<
「年頃の女が醸し出すような猥褻で下品な臭いではなく」これって、11歳の少年の言葉ではないと思いますが、「年頃の女」とは「18とか、それ以上の年齢」になってきますので、11歳の少年が大人の女性の「猥褻で下品な臭い」を知っているのかという事になります。
これも、17歳に戻った主人公がタバコでもふかしながら、ユイを思い出している場面なら問題はないと思いますが。

御作には少年の孤独が描かれていて、そこに一点の美である少女のユイが登場してくるので、主人公の少年視点での大人のような発想は描かないほうがよいのでは。
子供の中で、大人視点を入れる場合は、主人公が17歳とかに戻った場面で書くとよいのでは。

御作は導入部以後、主人公が11歳でのエピソードを話しているにも関わらず、ときどき大人視点が入るので、違和感がある。
これをやるのなら、17歳とかの今の生活を絡めながら11歳当時の話を書く必要があるのでは。

>人の悲しみとその記憶の過程を恐竜の絶滅の仕方になぞらえたものです。<
この関係はあまり感じませんでしたが、図書館で恐竜の図鑑を手に取るところから主人公の少年がユイと心が結ばれていき、彼女が急にこの世を去るというあたりが、恐竜の隕石による絶滅と関連しているかなぁと思いました。

それにしても作者さんはなかなか感受性が高くて、小説を創作するのに向いている書き手さんだと思いました。

それでは頑張ってください。

お疲れさまでした。

いそー
101.187.3.110.ap.yournet.ne.jp

青井水脈様
お読みいただきありがとうございます。

青井水脈様の表現や季節的な誤り等のご指摘を読んでいて、確かにその通りだ!と思うことばかりでした。自分ではいくら推敲しても気づかなかった点、これを教えていただけるのは本当にありがたいことです。ありがとうございます。事実的な誤りと表現方法が異なる異物、の除去が出来ていなかったのだと理解しました。次回は簡単に推敲リストでも作って視点ごとにチェックしようと思います。

そして登場人物の視点が達観しすぎていた点、これも大きな問題だと気づきました。これは浮離様のご指摘なのですが、設計図の完成度が低かったのだろうと自覚しました。どう表現するべきか、言い回しだけではなく展開や登場人物にも気を配ろうと思います。

貴重なご意見ありがとうございました。また率直なご意見をいただけると幸いです。

いそー
101.187.3.110.ap.yournet.ne.jp

凪さん
お読みいただきありがとうございます。

『白夜行』ですか、恥ずかしながら初めて聞きました。
東野圭吾の小説なんですね。あらすじを見てきたのですがなんとも物騒なことになっていて驚きました笑
せっかく小さい子を出すのなら、もっと子供ならではの無邪気な危うさが引き立つ物語を考えられたのではないかと、このあらすじを見て思いました。

加えて適切な語彙量ではなかったのですね。天才少年が登場人物なのであればまだしも、変哲のない高校生ならばそこで語彙を引き立たせても、というところですよね。

貴重なご意見ありがとうございました。また率直なご意見をいただけると幸いです。

いそー
101.187.3.110.ap.yournet.ne.jp

夜の雨さん
お読みいただきありがとうございます。

少年の語り方、そして青年の回想内での介入の違和感のご指摘、全くその通りです。
自身の作り上げた酒と女を知った11歳という矛盾に爆笑してしまいました。
なんとこんなにもおかしな構成だったのかと自分の設計の甘さを自覚しました。
今度は書き始める前にしっかり練って構成を考えて、夜の雨さんのご指摘にあったような明らかな矛盾がないように、精進して書きたいと思います。

また、テーマを上手く伝えることができなかったことは重大でした。
どこをどれだけ説明するのか、ある程度説明がないとひとりよがりの物語となって伝わらず、説明が多すぎると興醒めしてしまいますから、そこを見定めてから書き始めようと思います。

最後に、感性や感受性をお褒めいただけるのは大変嬉しいことです。ありがとうございます。

貴重なご意見ありがとうございます。また率直なご意見をいただけると幸いです。

AfterNotes
pw126182148164.27.panda-world.ne.jp

拝読いたしました。

恐竜の絶滅とユイという少女の死、スケールの違いはあれどひとつの終わりをリンクさせた物語であると解釈しました。ひとの死を想うという普遍的なテーマ、というご指摘もありますが奇をてらえば良いというものでもないと個人的には思うので、あとは普遍的とも思われるテーマをどれだけいそーさんの持つ世界観というか思想に落とし込めるか、というところで工夫しがいのある良いテーマだと思います。

ただやはり先のコメントで皆さまが仰っている通り、視点の移り変わりというか「語り部はどの視点から話しているのか」がわかりにくかったかな、と思います。もしも私が書くとしたら(非常に個人的な意見なので参考程度に聞いて欲しいのですが)作品冒頭に、「これはわたしがまだ幼かった時分の出来事だ。わたしはこの出来事を、あれから何年も経って今でも時折思い出す」みたいな一文を付け足します。
あとは高校生の回想というより、もっと歳を重ねた主人公がふいに思い出す初恋の思い出、くらい時間の経過があってもいいと思います。

あとこれはあくまで好みの問題ではありますが、ラストで主人公が「忘れない」と口にするシーン。あのあたりでユイの死を経た主人公の成長というか、死生観の変化などが読み取れてたらもっと印象的なシーンになったかなとも感じました。

長々と書き連ねましたが、総合して私としては好ましい小説でした。こういう、じんわり後味の残る物語が好きです。次の作品も楽しみにしております。

いそー
101.187.3.110.ap.yournet.ne.jp

AfterNotes様
お読みいただきありがとうございます。

自身の世界観や思想を落とし込む、なるほど難しいですね。まだ私にはやり方が見えてきませんが、段々見えてくるのかなあとまずは基本的なことに忠実でありたいと思います。またいろいろ考えてみます。

なるほど!
「これはわたしがまだ幼かった時分の出来事だ。わたしはこの出来事を、あれから何年も経って今でも時折思い出す」 
冒頭にこの一文で始まる構図にすればかなり時系列の煩雑さが解消されましたね。

最後のセリフで登場人物の心情変化を示唆する、そうですねそれが余韻とつながりますし、一気に物語に立体感が生まれますよね。

切れ込んだご指摘ありがとうございます。また次回も、率直なご意見をいただけると幸いです。

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