作家でごはん!鍛練場
凡人

躊躇いの果てに(前編)

 何の兆しも予告も無いまま、美桜が突然姿を消した。ラインを打っても既読が付かないし、メールを送っても返事は帰って来ない。電話を掛けても「電源が入っていないか電波の届かないところに居る」旨のアナウンスが繰り返されるばかりだ。休憩時間に、また、ちょっとした合間を見つけて、何十回そんな動作を繰り返したことだろうか。その日一日、仕事にはまるで身が入らなかった。
 仕事が終わってからマンションを訪ねた。なんと引っ越してしまっていた。それも、慌てて引っ越したという事では無く、契約期間の満了に伴って退去すると言う話が以前から出ていて、きちんと挨拶した上で、管理人に鍵を返して昨日引っ越して行ったと言うのだ。引越し先は聞いていないと言う。週に一、二度部屋を尋ねていたので、管理人は私を知っている。交際していることを承知しているのだ。だから、引越し先は私の住まいだと思っていたようだ。逆に、引っ越しの手伝いに私が姿を見せなかった事で、忙しいのかと思ったほどだと言う。六十年配で人当たりの良い管理人は、私が美桜の引っ越しに付いて何も聞いていなかったことを知ると、驚き、且つ気まずそうに困惑した表情を浮かべた。もちろん、私の気まずさはその比では無い。思考を巡らす事も出来ず、上の空でそそくさとその場を離れた。
 美桜は既定の行動として姿を消した事になる。なんだこれはと私は思った。この状況を聞けば誰でも、何らかの理由が有って美桜は私から逃げたと思うだろう。しかし、管理人も承知している通り、私は美桜と交際していたのだ。ストーカーのように追い回していた訳では無い。だから、何が起きたのか推測すらも満足に出来なかった。
 一般的に言って、付き合ってはいたが、急に嫌になると言う可能性は無くはない。しかし、暴力的に支配していた訳でも無いのに、逃げる理由など無い。美桜と揉めていたり考え方にズレが出ていたと言う自覚さえも、私には無いのだ。美桜がそれらしい不満を訴えていた覚えも無いし、喧嘩もしていない。ならば何なのだと、私は思考の迷路に入ってしまった。
 コンビニ、スーパーを始め、ファッション・ショップからヘアーサロンまで、彼女が行きそうな店を巡ってみても、もちろんその姿を見付ける事は出来なかった。引っ越してしまったのだから、今迄の行き付けの店に現れるはずも無いのだが、そうせずにはいられなかったのだ。
 そんな馬鹿なと思いながらも、一方では、私を嫌って姿を消したと認めざるを得ないのかとも思った。何ヶ月も前から、契約期間満了に伴って契約を更新せずに立ち退く事は決まっていたのだ。その間に私は何十回となく美桜に会っているのに、彼女は私に、引っ越しの話は一度もしていない。私が騙されていたと言うことなのか? そう思った。

 付き合っていた彼女が或日突然姿を消す。ニュースなどで時たまそんなケースを目にすることは有る。結末は大抵、女性が事件に巻き込まれたか、結婚詐欺のどちらかだ。美桜は既定のこととして引っ越しているのだから、事件に巻き込まれたと言うことは考え難い。当然、結婚詐欺と言うケースにも当てはまらない。私が美桜の為に使ったのは、通常のデート費用と誕生日などに贈ったちょっとしたプレゼントのみだ。世間並みの金額で、分不相応な金額を使った訳では無い。指輪さえまだ贈っていないのだ。だから、そう言う目的で美桜が私に近付いていたと言う可能性も有り得ないのだ。これでは、警察に相談することも出来ない。何かの手掛りを見付け、それを元に自分で探すしか方法は無いのだ。

 美桜の実家は群馬県の館林市だが、城沼公園の近くというだけで、それ以上詳しい住所を私は知らない。まだ、結婚を決めた訳でもないので、実家を訪ねる必要も無かった。メアド、電話番号を知っていて、日常はラインの遣り取り。現住所であるマンションに出入りしているのだから、それで十分だった。実家の詳しい住所など知る必要も無かったし、コロナ禍で美桜自身も一度も実家には帰ってはいない。改めて考えてみると、私は、美桜を探す手掛りを何も持っていないのだ。

 初めて美桜に会ったのは、この春の事だ。令和三年四月から実施されていた「地域観光事業支援」の県民割が令和四年七月十四日宿泊分まで延長されたため、ブロック割り目当てに私は一人旅に出た。大抵、旅は一人で行く。学生時代に四、五人の友達と沖縄旅行を計画した際、中々日程が決まらず、決まったと思ったら都合が悪くなったと言い出す者が二人も出て、結局流れてしまった事が有った。楽しみにしていただけに、苛立ちだけが残った。それ以来、人を誘うのが面倒になり、一人旅を好むようになった。海外にも一人で行った。国内旅行の場合は、休みが取れて懐具合に問題が無ければ、思い立ったら直ぐに出掛ける。予約無しで出掛ける事さえ有る。途中でスマホから予約を入れるとか、当日、部屋が空いていなければ、観光ホテル・旅館ということに拘らず、ビジネスホテルだろうが、最悪、サウナ、ネットカフェだって構わないと思っている。
 しかし、やはり観光ホテルは泊まり心地が格段に良い。その旅では、水上(みなかみ)に有る“松乃井ホテル”で露天風呂を満喫した。庭園の中に木々の間を縫う形で、それぞれ特徴の有る露天風呂が三つも配置されていた。食事にも満足し、快適な部屋で一晩を過ごす事が出来た。
 ただ困ったことが一つ生じていた。問題は地域ブロック割りの一部として貰える二千円のクーポン券の使い道だった。マンションでの一人暮らし。近所付き合いも無いので、ホテルの売店で土産物を買う必要は無い。観光は前日に済ませていたので、直ぐに帰ろうと駅まで行った。駅近くの店で使えば良いと思ってのことだったのだが、クーポンを使えるところが全く無いのだ。まず、駅近辺に店が少ない。有るのは食堂や喫茶店だけなのだが、半分は閉まっている。それに、ホテルのビュッフェ式朝食を腹いっぱい食ってしまっているので、食事どころかドリンクを飲みたいと言う気も起こらないのだ。自分のものを何か買おうと思っても駅の近くには売店は元よりコンビニすら無い。商店街は駅からかなり離れていて、歩いて行けないことは無いがバスで行くほどの距離が有る。松乃井ホテルは、駅近くに有るのだが、所謂温泉街からは離れていた。温泉街の近くには道の駅が有る事が案内板で分かったので、そちらに向かって歩き始めた。しかし、百メートル程も歩いたところで、急に、クーポン券を使う為にだけ歩く事が億劫になってしまった。「クーポンが無駄になっても仕方が無い。面倒臭いからもう帰ろう」そう思い直し、踵を返して、私は駅の方に向かって歩き始めた。
 戻りかけて前方を見ると、こちらに向かって歩いて来る若い女性の三人組が目に入った。同じホテルに泊まっていた観光客だと直ぐに分かった。家族連れ、中年女性のグループ、老夫婦、若いカップルなど泊まり客は様々だったが、私の知る限り若い女性の三人組は一組だけ。ホテル内のレストランやロビー、廊下などで何度か彼女らを見掛けていた。
 距離が近付いてすれ違う寸前に不意に思い付き、私は躊躇いもなく彼女らに声を掛けた。
「あのー、松乃井に泊まっていた人たちですよね」
 女性達は、いきなり話し掛けられて構えたのだろう。
「ええ、そうですけど……」
と一人が不審げに答えた。ショートヘアーの似合う、クリッとした大きな目が印象的な女性だ。マスクをしているので目の印象は強く残る。
 こちらは、ナンパしようなどと思って声を掛けた訳では無いので、全く緊張してはいなかった。
「いきなりすいません。いえ、クーポン券使う為に商店街まで行こうと思ったんですが、時間が余り無いので帰ろうと思うんです。ホテルでお見掛けした人達だと気が付いて、使って頂ければ無駄にしないで済むと思いまして……」
 そう言って私はクーポン券を差し出した。三人は一度、互いに顔を見合わせた。
「何ヶ月か使えると思いますよ」
と最初に返事した女性が応じた。
「その間にまた来る予定も無いし、捨ててしまうのは勿体ないでしょう。使って貰えれば生きると思ったんですが……」
 また三人は顔を見合わせ、二人が頷く。
「そうですか。そう言う事なら頂きます。有難う御座います」
「こちらこそ、有難う御座います」
 そう言ってクーポンを渡すと、直ぐに向き直って、私は駅に向かって歩き始めた。用件が済んでいるのに、その後も何か話し掛けたりしたら、やはり下心が有るのではないかと勘ぐられると思い、そこは、素早く爽やかにと意識して行動したのだ。実際、下心など無かったので、彼女らがクーポンを使ってくれればと楽しい気分になった。
「すいません」
 駅に向かって歩き始めて数歩離れた時、そう声を掛けられた。
「クーポン使ったら写真送ります」
 振り返るとショートヘアーの女性が微笑んでそう言った。私より少し年下の二十四、五くらいか。
「三人で写真撮って、こう使いましたって報告します」
 そう言われ、私は少し慌てた。
「いえ、そんな気を使わなくて結構です。無駄にしないで済んだと言うだけで十分ですから」
と、『俺、なんか良い人ぶってるな』と自分で思いながら言った。
「貰いっぱなしより、ちょっと報告させて貰った方が気が楽ですし……」
 女性にそんな風に言われて嬉しく無い訳も無い。まして好みのタイプと気付いた後なので、少しドギマギしてしまった。
「いや、気にしなくて、ホントいいんですけど」
と、一旦は言ったものの、結局、
「 ……そうですか、じゃあ」
と言って、私は名刺入れを取り出し、個人のメアドを裏に書いて、仕事用とは別に分けて持っている、数枚の名刺の内から一枚を取り出して渡した。格好付けたままより、気を楽にさせてやった方が良いだろうと言うのは自分に対する言い訳で、実は少し舞い上がってしまい、縁が繋がればと言う密かな期待が生まれていた。
 別れ際に「有難うございます」と他の二人も笑顔で言ってくれて「お気を付けて」とショートヘアーの女性が言った。それが美桜だった。

 一時間後くらい後、電車の中の私にメールが届き、写真が貼付されていた。テーブルの上のスイーツを囲み三人が笑顔で写っている。二人は曲げた五本指と掌で作ったハートで頬を挟んで笑っている。そして、左端のショートヘアーの彼女は、右手の親指と人差指で小さなハートを作っている。左手で自撮りのスマホを構えているのだろう。
『ありがとうございます。おいしく使わせていただきました。左から、ミオ、ユキ、カンナでーす。美味し過ぎて、二人はハートの中に入っちゃってまーす』と、メッセージが添えてあった。頬の両側でハートを作るのは、近頃TikTokで流行りのポーズだ。嬉しく思いながらも私は『二十代半ばになっても、まだそんな乗りなのかな?』とも思った。それに、礼とは言え、知らない男にメアド知らせることに不安は無いのかなとも思った。しかし、万一迷惑メールが送られるようになったら、メアド指定して拒否設定をすれば良いだけの事。きっとそう考えているのだろうと気が付いた。『キチンとした性格なんだろうな』と勝手に思い、益々好感を持ってしまった。

 学生時代には彼女が居て何時も一緒だったので、羨ましがる友人さえ居た。しかし、大学を卒業して数ヶ月で喧嘩して別れてしまった。卒業後彼女が実家に戻った為、少し遠距離恋愛となってしまっていた。お互いの環境のせいも有って会える機会が減り、行き違いも生まれていた。そんな折、或る時電話で喧嘩をしてしまって、結局別れてしまったと言うことだ。
 考えてみれば全て私の“自己中”が原因だったのだ。急に会いたくなって、予め都合を聞くでもなく、いきなり電話して「一時間半くらいでそっちに行くから出て来て」と勝手な事を言った。「叔母が来るので、家を空けられない」と彼女は言った。どんな用件で叔母が来るのかも聞かず「そんなの理由にならないだろう」と突っぱねて、出て来るように重ねて促した。「ちょっと無理」と彼女は言った。思い通りに行かない事に苛立ち、私は勝手に腹を立てた。そして、言ってはならない言葉が口から出てしまったのだ。
「会いたくないならいいよ。別れよう」と言って、私は電話を切ってしまった。もちろん腹立ち紛れに言っただけで、本気で分かれるつもりなど無かった。すぐに謝ればまだ良かったのかも知れない。だが、妙な意地が有ってそれが出来なかった。馬鹿な私は、謝りたい気持ちを抑えて痩我慢をし、彼女の方から連絡して来るのを待っていたのだ。そして、ひと月ほど経ってしまった。彼女から連絡は無かった。痩我慢も限界となる一方、全く連絡して来ないと言う事は、彼女の方が別れたいと思っていたのではないかと言う不安が湧き上がって来た。「叔母が来るから」と言う到底納得出来ない理由と併せて考えると、その可能性の方が大きいように思えて来た。今更電話して謝ったとして、もし「実は別れたいと思っていた」などと言われたら最悪ではないかと思った。連絡するタイミングを、私は完全に失ってしまっていた。そのまま時が経ってしまった事もあり、結局、その恋はそのまま終わった。

 考えてみれば、それが私のモテ期の終わりだった。会社に女性は居るが、誘って断られたり、仮に少し付き合って分かれるような事になったりしたら、会社での居心地が悪くなってしまうと思い、積極的に動く事は出来なかった。自然に親しくなれば良いのだろうが、現実にはそんな風には行かない。何も起こらないのだ。仕事以外で女性と近付く機会も無かったし、ラウンジなどで声を掛けてナンパしようともしたが、上手く行かなかった。そうしているうちにコロナが流行り始め、合コンどころか、会社の飲み会も、仲間内の飲み会さえも無くなってしまった。そんな風にして、私は今、二十七才になっている。

 水上温泉から帰って数日の間、私は悩んでいた。メールを打つべきかどうかをだ。だが、つまらない拘りの為に学生時代の恋を終わらせてしまった私だ。『有難う御座いました。フォト見ました。クーポンが生きて私も嬉しいです』と書いてメールを返そうと思った。それで終わりだ。それ以上の事を期待しても思惑通りには行かないだろうと思って、その文言だけのメールを返した。
 数日後、予期せぬ事に、また、美桜からメールが届いた。『この間は、クーポン頂いて有難う御座いました。フォトでお知らせしたように、三人でスイーツを満喫させて頂きました。わざわざ返信も頂き有難う御座いました。三人で貴方の話題になり、“どんな人なんだろうね”と盛り上がってしまいました。お名刺で勤務先を見てびっくり。私の勤め先と近いんです。お暇な時、また、メール下さい。一応自己紹介しておくと、私は近田美桜と言う名前で、住まいは中央線沿線です』そう書いてあった。
『え?』と思った。『これって脈有りじゃん』思わずバンザイして飛び上がりそうになった。近いと言う勤務先が気になった。流行る心を抑え『慌てるな。よくよく考えて文章を練った上で返信しろ。慌てて送ったら、馬鹿な事を書いて軽く見られる事になるかも知れない』そう思った。
 その日は我慢し、翌日になって美桜にメールした。
『メール有難う御座います。私のことで盛り上がったって、何を言われていたのか少し気になりますね(笑い)。埼玉県川口市から新宿まで通っています。職場が近くと聞いて、機会が有ればお話したいと思いました』
 驚いたことに、すぐ返信が有った。
『私もお名刺で職場が近い事が分かり驚いたんです。私の職場はアイランドタワーに有ります』
との事。
『えーっ! 赤い“LOVE”のオブジェの有るアイランドタワー? カッコいいところにお努めで』
と直ぐ返した。
『ご近所さんですよね』
とテンポ良くメールがまた返って来る。
『ええ、私の職場は住友三角ビルですが、靖国通りの西新宿駅近くまで、昼飯食べに行ったり良くしますよ』
『驚き。アイランドの前しょっちゅう通っているって事ですよね。導線が交錯しているから、何度もすれ違っているかも』
『ホントだ』
『水上でクーポン頂いてなかったら、何度すれ違っていたとしても、お互い、大勢の中の一人でしか無かった訳ですよね』
『そう…… なりますね』
『なんか不思議な気がします』
『僕もです。一度、お話出来ませんか?』
とメールでの会話はとんとんと進んだ。
『アイランドのロイヤルホストご存知ですか?』
と美桜は聞いて来た。既に、誘いへの答えはイエスと言っているも同然の質問だ。 
『ええ、もちろん』
と返す。
『じゃあ、ランチご一緒しません?』
と来た。
『昼食時間がバラバラなので、出来ればアフター・ファイブがいいですね。と言っても、六時、七時になってしまうこともあるんですけど』
 実際そうだったし、慌ただしいランチの時間では無く、ゆっくりと話したかった。
『明日はどうですか?』
と美桜が積極的に聞いて来た。
『多分定時に上がれると思います。遅くなるようなら、分かった時点で早めにメールします』
『そうですか。では、また』
『はい、楽しみにしてます』
 最後のメールを送信すると、私は右手の拳を握って「よっしゃあ!」と独り小さく叫んだ。

 その後、美桜とは時々会うようになり、デートの後は送って行くようになった。最初は国分寺の駅まで、三回目のデートでキスしてからは、彼女のマンションまで送るようになった。間も無く私は美桜を抱き、その後部屋にも出入りするようになった。交際は、全て順調だった。
 自己中の為に終わらせてしまった前の付き合いを反省し、私は、美桜の気持ちを大事にするよう心掛けていた。美桜も感情の起伏の激しい女性ではなかった。本気で喧嘩した事は一度も無い。
 思い出す光景と言えば、抱き寄せようとする私の腰の辺りに躊躇い勝ちに手を回し、少し上向きに顔を上げて、僅かに微笑む姿だ。抱き寄せると、美桜の指先に力が入るのを感じた。色白で肌理の細かい肌を持った顔。小ぶりな唇に塗られた程良い赤さのルージュが、何時も私の欲情をそそった。

 水上で一緒に居た二人は職場の同僚ではなく、学生時代の親友だという。少し遠ざかっていたが、コロナ禍で人との繋がりが貴重と思うようになってまた連絡を取り合うようになったのだと言う。そして規制が緩んだのを期に、あの時一緒に旅行していたのだそうだ。その後四人で会う事は無かったし、彼女達の連絡先を私は知らない。あの二人、ユキかカンナに連絡を取る事が出来れば、何らかの手掛りが掴める可能性は有ったのにと思ったが、その可能性も閉ざされている。

 残る方法は一つしか無かった。早退してアイランドタワーのロビーで退勤する美桜を待つ。それしか無い。
 しかし、それはとんでもなく難しい事となる。まず、地上四十四階、地下四階のこのビルで働く人は一万人以上居るのだ。一斉に退勤する訳ではなくとも、その人並の中から美桜を探し出す事自体恐ろしく困難な事になる。しかし、駅で待つよりはマシだろうと思った。だが、仮に美桜が私を避けているとするなら、待っている私の姿を先に見付けたら隠れるだろう。そんな状況を作ってしまったら、それこそ私はストーカーでしか無くなってしまう。そう思うと酷く暗い気持ちになった。

 美桜は、何も告げず突然に私との連絡を断った。第三者から見れば、私から逃げたいと言う理由しか出てこないだろう。ところが、私にはそう思い当たる事が何も無いのだ。この有り得ない矛盾をどう受け止めれば良いのかと、私は踠いた。

躊躇いの果てに(前編)

執筆の狙い

作者 凡人
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う〜ん。なんと申し上げたら良いか、実験的習作の頭の部分ってことになりますかね。

コメント

中小路昌宏
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 読みました。

 一体、この先どうなるのだろう……という期待感で、最後まで一気に読んでしまいました。
ただ、同じ、モノ書きの立場からすると、ここまで美桜に不可解な行動をとらせてしまうと、果たして、後編で上手く辻褄を合わせて納得のいく展開に出来るのだろうかと、ちょっと心配です。

 2週間後を楽しみにしています。

大丘 忍
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読みました。二週間先が待ち遠しいですね。

凡人
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中小路昌宏様、早々お読み頂き有難う御座います。

>後編で上手く辻褄を合わせて納得のいく展開に出来るのだろうかと、ちょっと心配です

ですよね。頑張ります。

凡人
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大丘 忍様、コメント有難う御座います。

前編としては最高のお言葉を頂きまして有難う御座います。

後編で「期待はずれとなりました」と言われないようにしたいと思います。

ドリーム
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拝読いたしました。

美桜の行動には謎が多いようですね。
なかなかの力作のようですが。最近流行っているのでしょうかね
一話完結ではなく二回に分けて投稿するのが、私が思うには、これだと損しますね。

「なんだ続きがあるのか」と読むのさえ敬遠されがちです。
かと思うと未完成作品を載せるのもどうかな。
まぁ鍛錬所ですから勉強と思えば良いでしょう。

では失礼します。

凡人
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ドリーム様、有難う御座います。仰る事ごもっともと思います。

>まぁ鍛錬所ですから勉強と思えば良いでしょう。

 有難う御座います。「執筆の狙い」に実験的習作と書いたように、私なりの思惑が有っての事ですが、完結した後、更なるご批判を受ける事になるかも知れません。

 広い心で見て頂ければと思います。

ラピス
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私も続きが気になります。
凡人さん作の長所はディテールが丁寧というか、どこかで聞いた話のようでそうでない、予測つきそうでつかないところ、でしょうか。隠し味があるのかなあ。

凡人
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ラピス様、有難う御座います。恐れ入ります。なんかむず痒いです。
 ただ、正に“どこかで聞いた話”にならないためにどうしようかと苦しんでいます。

 世の中にはありとあらゆるストーリーが溢れてますからね。読書は大事ですが、多読過ぎると無意識にモノマネになっていたりする場合も有るのではないかと、読書量が少ないことの言い訳を自分にしています。

青井水脈
om126033067061.35.openmobile.ne.jp

読ませていただきました。
後編では、もしかしたら主人公の元カノがキーパーソンになるかも。館林市が舞台になるとか。など、ぼんやり浮かびましたが、ネタバレになりそうでしたら詳細は返信不要です。
皆さんが気になるのは美桜の行方でしょうし、実験的という意味も後編で明らかになるでしょうか。ちょっとしたプレッシャーですね(笑)


>何の兆しも予告も無いまま、美桜が突然姿を消した。

何の前触れもなく、美桜が突然姿を消した。
この方がしっくりくるかと。

>流行る気持ちを抑え→流行るは流行の? 逸る気持ちでしょうか。

>一斉に退勤する訳ではなくとも、その人並の中から →人波

凡人
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青井様、ご指摘有難う御座います。他でも書きましたが、何回も読み返しているんですが、一度思い込んでしまうと、何度読み返しても誤りに気付かないものですね。

>流行る気持ちを抑え→流行るは流行の? 逸る気持ちでしょうか。

>一斉に退勤する訳ではなくとも、その人並の中から →人波

は明らかな誤りなのに、指摘されるまで気が付かないなんて……

 兎に角、ご指摘有難う御座いました。話の内容に着いては、すいません完結後に。

小次郎
58-190-89-29f1.hyg1.eonet.ne.jp

私が好きなタイプの話し。
ただ、文章の整いはあるんですが、説明っぽい印象です。
私もこれらを入れるの難しいんですが、やはり、五感や、動作をもっと書かれた方がよいかと。
この先どうなるんでしょうね。ハッピーエンドになるにしろ、バッドエンドになるにしろ、良い続きが書ける事を応援していますね。

凡人
sp49-98-115-218.msd.spmode.ne.jp

小次郎様、有難う御座います。

>説明っぽい印象です。

 説明より描写に力を入れているつもりですが、確かに苦手ですね。ストーリーを作る事の方に関心が有るので、どうしても説明的になつまてしまうんですかね。勉強します。

 そう言う意味で仰っているのではないと思いますが、詩的に文章を飾る事には興味が無く、文章はなるべくシンプルにと心掛けています。

えんがわ
KD106154144191.au-net.ne.jp

キリッとした文章ですね。
情報を過不足なく伝える、ミステリとかに相性の良さそうな文章かなと思いました。

ただ余りにシャープすぎるというか整い過ぎていて、主人公が20半ばに思えなかった感じもします。もう1世代、年をとっているようなそういう筆致。


自分もみなさんがおっしゃるように、続きが気になります。
でも、これは前編、後編じゃなくて。
長い作品の冒頭として使っても良いんじゃないかなとか思いました。
彼女の失踪先を追っていくうちに、次々と事件や謎が出てくるような。


なんか、いかにもありそうなって内容なのに、飽きずに一気に読み進めるだけの筆力とストーリー展開の上手さ、あと現代らしいアイテムを使った感じとか、良い感じの魅力を持った作品だと思います。

スマホやコロナや地域振興券といった現代の時代性を持った作品は、なんかいいですね。
オチも現代社会の闇かひずみか、そういう方向に持っていったら、唸ってしまうと思う。

解決編も楽しみに待ってますです。

凡人
sp49-96-229-190.msd.spmode.ne.jp

えんがわ様、御作に遠慮なく言いたいことを言わせて頂いたのに、有り難いお言葉を頂いて恐縮です。主人公は二十七才の設定ですが、三十才くらいにした方が良かったですかね。
 
>前編、後編じゃなくて。
長い作品の冒頭として使っても良いんじゃないかなとか思いました。

 実は長くなりそうなんです。前編掲載でお叱り頂いた方も有り、次(中編)なんてしたら「ふざけるな」と言われるかも知れません。なんとかエンディングまで持って行きたいのですが、少々苦闘しています。

>彼女の失踪先を追っていくうちに、次々と事件や謎が出てくるような。

 実は今、そんな状態になってます。ヒロインが出て来ないと、描写よりもストーリーテルになって「説明が多い」なんて言われる事になるかも知れませんが、頑張ります。

 有難うございました。

Eikaku
KD027083171050.ppp-bb.dion.ne.jp

ざっと読んだだけですが、なぜ美桜が姿を消したのかわかりませんでした。
説明と心理描写が多くて、もっと情景描写があるといいなと思いました。
主人公は会社員で恋人もいたという設定ですが、抱えている悩みや駄目なところはないのでしょうか。
あまり感情移入できませんでした。

凡人
sp1-75-158-105.msc.spmode.ne.jp

Eikaku様、有難う御座います。

 他の方にダメ出しされましたが、前編だけ掲載してしまったので、主人公も理由が分からない。その理由を探すのが次話と言うかテーマそのものです。

>説明と心理描写が多くて、もっと情景描写があるといいなと思いました。

 いわばプロローグなのでそうなってしまいました。

>主人公は会社員で恋人もいたという設定ですが、抱えている悩みや駄目なところはないのでしょうか。

 あまり、面白く感じで頂けなかったようですが、テーマ的には美桜を探す方向にアクティブに展開して行くつもりです。それに付随した悩みは書くと思いますが、悩む心理を描こうとするものではありません。

 有難う御座いました。

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