作家でごはん!鍛練場
凡人

壁に描く

引っ越し後の荷物整理も済んだ日曜日の朝、と言っても十時は過ぎていた。紛れ込まないように別にしておいた一枚の年賀状を引き出しから取り出し、手に取って、私はソファーに腰を下ろした。引っ越し前の荷物整理をしていた時に見付けたものだ。この頃、紙の年賀状など殆ど出さなくなってしまったが、卒業後頂いた小学校六年生の時の恩師からのものだ。何故別にして置いたかと言うと、荷物整理をしていてふと見ると、その人の住所が、私の引っ越し先からかなり近い所だと気が付いたからだ。それを知った時、何故か懐かしさが湧いた。

よく叱られた。悪戯好きだった私は目を付けられていて、何かと言うと呼び出された。時には全く覚えの無いことで怒られたりもした。この先生、悪さはすべて私の仕業だと思っていたのではないかと思う。「違います。それはやってません」と濡れ衣を否定しようとしても全く信用してくれなかった。尤も私は、授業中に窓の外を見ていて、飽きると勝手に外に出て行ってしまう様なとんでもない生徒だったので、今から考えれば、先生がそう決め付けるのも無理の無いことではあった。先生の説明を諄く感じて、飽きてしまう事が有るのだ。後年考えてみると、あの頃の私には、発達障害が有るのではないかと思われるような行動が目立った。
集中力が欠如していると言う自覚が有った。成績の方はそんなに悪くはなかったのだが、我ながら行動は常軌を逸していた。後年私は、意識してメモを取ったり、今やらなければならない事を反芻するようになり、そのお陰か自分と言うものが見えるようになり、高校生になる頃には目立った奇行は影を潜めた。件の年賀状の送り主は、私が自分を見詰める切っ掛けを作ってくれた恩師と言える。

恩師の名は森田健一と言ったが、生徒達は陰では皆、「モリケン」と呼んでいた。モリケンは当時四十代で、中背、痩せて神経質な男だった。お洒落だったのか、ジャージで教壇に立つような事は決して無かった。髪の毛はいつも整髪料でピッチリと固めていて、好んで着ていた紺のスリーピースのスーツにチョークの粉が付くのを気にして、フッと息を吹き掛けて付いた粉を飛ばしたり、人差し指の爪の先で弾いて払ったりしていた。それを見て私は、筆箱一杯になるほどのチョークの粉を集めて、あのスーツに掛けてやったら、モリケンはどんな反応をするだろうかなどと想像して、一人ほくそ笑んだりしていた。しかし、流石に実行はしなかった。チョークの粉が付くのを気にするなら、せめて、それが目立たない服装をすればいいのに、何故そうしないのだろうと私はいつも思っていた。

 モリケンと呼ばれた教師は生徒には厳しく、指し棒で叩くし、授業中喋っている生徒には、チョークを投げ付けたりもした。
 この時代の小学校教員の男女比はほぼ半々くらい。女性教師が増えるのに伴って、教師像も変わりつつあった。しかし、モリケンは古いタイプの教師の典型と言えた。私ではなかったが笑っていた生徒の口の中に、投げたチョークが飛び込んでしまった事があった。チョークを食らった生徒は、やはり悪戯好きな奴だったが、私と違って、道化者で皆に人気が有った。奴は、おどけながら口の中に入ったチョークを取り出し、皆に見せびらかし、皆は笑った。モリケンはそれを無視して授業を続けていた。尻馬に乗ってふざけ出す生徒が増えるのは避けたかったはずなのだが、何故かチョークを翳してふざける生徒を重ねて注意することはなかった。内心、不味いことをしたと思っていたのかも知れない。

私にはこんな事が有った。ある日、校庭の清掃をしていた時、三人輪になって、立てた竹箒の柄の上に顎を乗せて輪になって無駄話をしていた。サボりだ。あとの二人の目が突然動き、素早く竹箒の柄から顎を外してそっぽを向いた。
 何が有ったのか、私は瞬時に判断出来なかった。脳天に拳骨が降って来た。話に夢中で、モリケンが後ろに来た事に気が付かなかったのだ。地面に付いているのは竹箒の穂先だから、しなって衝撃が緩和されはしたのだが、拳骨を食らったはずみに掌が顎から外れたせいで、竹箒の柄で喉を突いてしまい、私は咳き込んでしまった。今の時代なら教師の暴力として問題になることだろうが、当時は有りがちな事で、ダベリを見付かったことを不運だったと思ったのと、反射的に、モリケンに対して「クソヤロウが」と思っただけだった。やたら怒られるせいで反発はしていたが、実は私は、モリケンをそんなに嫌っていた訳でもなかった。大体、教師なんてそんなものだと思っていたのだ。

ある時、モリケンに職員室に呼び出された。「説教食らうのか。面倒臭えな」と思いながら職員室に入った。何時もの事なので、他の教師達も関心を示さない。何時も神経質そうな表情をしているモリケンの表情が、何故か柔らかかったのが、却って薄気味悪かった。
 座った私に、モリケンは一冊の新しいノートを差し出した。反省文でも書けと言うのかと思った。モリケンは真っ直ぐに私の目を見て話し掛けて来る。私は圧を感じて視線を反らした。
「その日自分のしたことを毎日これに書いてみろ」
モリケンは突然そう言った。怒っている素振りは無い。"日記書けってか? 夏休みでもないのに面倒臭せえな。何でだよ" 私はそう思った。
「別に提出する必要はない。人に見せるものじゃないから、上手く書こうなんて思わなくていい。箇条書きでも何でもいいから、とにかく、やったことを全部書いて置いて、後で読んでみるだけでいい」
そう言われたが、モリケンが何を言いたいのか、私にはその意味が分からなかった。
「出さなくていいんですか?」
不思議に思って、視線を上げて聞いてみた。モリケンは笑った。“こっちは真面目に聞いてんだ。笑うところじゃねえだろう"と私は思った。
「提出させても、"校庭でサッカーやっていたので、つい見てしまいました。すいませんでした。これからは、集中してちゃんと授業を聞くようにします" なんて適当な事書くだろう」
 私の目を見て、分かった風な事を言う。確かに、長い説教食らうのは御免だから、そりゃ、取り敢えずは反省しているような事を書くだろうなと思い、頷いた。
「俺に限らず、他の先生方でも普通、それで満足してしまう。"授業がつまんなかった。サッカー見てた方が楽しいから見てました" なんて馬鹿正直に書く奴は居ないからな」
“だから何だっていうの?“と思い、少し苛付いた。モリケンは続けた。
「そんなこと書いたら教師の方だって、"なめてんのか!"って、頭に血が昇って、また呼び付けることになるだろう、人間だからな。皆、自分の指導が生徒に届いたと思いたいんだ。反省の言葉と今後は行動を改めると言う事が書いてありさえすれば、教師はそれで満足してしまう。やるべき事はやったとな」
そう言った後、モリケンは私に顔を近付けて声を落とした。
「だけどそれは、馴れ合いみたいなもんだ。本当のこと書かないと分かってて提出させても意味無いだろう。教師の言い訳と自己満足のためにやらせているようなもんだからな。意味無い」
普段、こんな砕けた事を言うタイプの教師ではなかった。それに、私は真剣に聞いていなかったので、正直その時は、何を言ってるのか良く分からなかったのだ。モリケンが独り言を言っているのではないかと思ったくらいだ。
「お前はどうしようもない奴だが、馬鹿では無いと思えるところも有る。だから、届くか届かないか分からないが、言ってみることにした。提出するためでなく、自分で読み返すために書いてみろ」
“は?“と言う感じだ。声を落としたのは他の教師達に聞かれたくなかったからだろう。一瞬、モリケンの意図が分からなかったが、何か言うと長くなるだろうし、提出しなくていいなら問題無いと思って、分かった振りをして、私は「はい」と返事をしてノートを受け取った。
「書いてみたら、そのうち、なんかいいこと有るかも知れんぞ。……多分な」
そう言ってモリケンは意味有りげに笑う。“何一人で盛り上がっているんだよ“と私は思った。
 立ち上がって黙って礼をして、そそくさと職員室を出た。
 もちろん「はい」は空返事で、書く気など全く無ったから、そのノートは長いこと家の私の机の引き出しに放り込んだままになっていた。それを見ることによって、モリケンに言われた事を思い出すのも面倒なので、貰ったノートを他の目的で使おうとも思わなかった。普段と違う妙な話し方が不思議だった。今改めて考えると、暴君みたいに見えたモリケンも、私をどう指導したら良いか真面目に苦悶して、工夫していたのかも知れない。

中一の夏休みのある日、ショッピングセンターを一人でぶらぶらしていた。大声を出したりふざけ合ったりしながら、店内の通路を歩いて来る三人組がいた。同学年くらい。他の中学の生徒だ。大声を上げているだけでなく、ふざけて追い掛けたり逃げたりしながら、他の客にぶつかりそうになったりしている。
「なんだ、こいつら」と思って見た。
 相手は直ぐにそれに気付いた。
「おい、何ガン付けてんだよ!」
と一人が絡んで来た。私も突っ張りのような格好をしていた訳では無い。粋がるつもりも無かったので、「いや、別に」と言って避けて通り抜けようとした。しかし、奴らは通してくれなかった。
 三人に囲まれ、「付いて来いよ! 逃げんじゃねえぞ」と言われた。そして、建物の裏側、壁に囲まれたところに連れて行かれた。連れて行かれたと言うよりも、寧ろ面白いと言う気持ちで付いて行ったのだ。
「いい度胸してんな。何俺らにガン付けてんだよ。なんか文句有んのか?」
と言う。突っ張り連中とも見えない。こちらは一人、相手は三人だったので、それで強気になっているだけだろうと思った。奴らの調子に乗る態度にムカッと来たので、黙ってそっぽを向いた。
「なめてんのか、この野郎」
と尚も挑発して来た。一人が拳を握って殴り掛かるようなポーズを見せて威嚇する。本当の突っ張りなら、口より先に蹴りを入れて来る。”格好付けやがって、馬鹿が”と思って、つい睨み返してしまった。向こうも、それで黙っていては面子が立たない。こちらがビビった様子を見せないので、仕方無く殴り掛からなければならなくなったのだろう。喧嘩慣れしていないらしく、大振りでフック気味のパンチを振るって来た。反射的に私は、腰を左に捻って体の重心を前に移動すると共に、右の拳を真っ直ぐに突き出していた。手先だけではなく捻った腰から繰り出された拳は、カウンターとなって相手の鼻にヒットした。相手は、私のパンチのスピードと自分自身の前進エネルギーが合わさったパワーを顔面に受けて、鼻血を吹いてひっくり返ってしまった。後の二人は、それを見て一瞬慌てたらしく、倒れた仲間を起こそうとするでも無く、どうしようかと迷っている。
「何してるんだ!」
と声がした。見ると警備員だった。私達四人の様子を見ていた誰かが通報したに違いない。相手の三人も不良グループと言う訳でも無い。多少制服を着崩してはいるが、ちょっと粋がった普通の生徒に過ぎなかったから、警備員を見て逃げるような事は無く観念してしまった。

警察を呼ばれ、パトカーに乗せられて警察署に連れて行かれた。
 私と三人は別々の取調室で事情を聞かれた。私は有りのままを話したつもりだった。聴取後、別の部屋で相手方に事情を聞いていた刑事と相談した私の担当刑事が戻って来た。私の顔を見て、
「お前も痣作ってるし、喧嘩だな。お合いこってとこだ。警察も忙しいんだ……詰まんねえことで手間掛けんな。そんなつもりはなくとも、間違って相手が死ぬ事だって有るんだからな。そうなってから後悔したって遅いんだ。刑務所行くような人間になってしまうぞ」
 丸顔で髪の毛の薄い四十年配の刑事はそう言った。言ってる事はドラマと同じだが、その容姿は、テレビや映画で見るデカのイメージとはほど遠く、その辺にゴロゴロ居るおじさんと何にも変わりは無いなと思った。

説教されただけで、結局無罪放免となった。何故お構い無しになったのかその時は良く分からなかったが、後で知った事だが、その頃、管内で殺人事件が起きていて、実際、警察も忙しかったらしい。
 私は全く殴られてはいなかったのだが、お構い無しになった。私の右目の下には痣が有る。これは"太田母斑"と言って思春期に表れる痣なのだが、刑事は、それを殴られた痣として“おあいこだな”と言ったのだ。何が幸いするか分からないと、その時は思った。
放免はされたが、帰りはパトカーで送って貰える訳ではない。警察署は駅から遠く、かなりの距離を歩かなければならなかった。三人とは顔を合わせていない。一旦収まった揉め事が再燃する場合も有るので、時差を付けて放免したのだろう。

私の中に変化が起きたのは、その事件が切っ掛けだった。
“間違いから人を殺す事だって有る"
 そう言われた時は、良く有る説教の一つのパターンとしか思っていなかった。そのつもりだった。だが、一つの光景とともに、その言葉は私の心の奥深いところに忍び込み、息を潜めていたらしい。
 軽くではあったが、倒れた相手がコンクリートの床に頭を打ち付けたのを、私は見た。その映像は、スクリーンショットのように、私の意識の底に保存されてしまったらしい。警察では聞かれなかったので、私は敢えてその事には触れなかったし、相手もそれをアピールしたりはしなかったようだ。
 交通事故などで頭を打った時、その場では何とも無くとも一週間くらいの間に突然死ぬと言うケースが有ると言う事は聞いていた。だから、何ともないと思っても医者に行くべきだし、頭を打っていたら念入りに検査する必要が有ると聞いていた。それが意識に残っていた為、頭を打った生徒が突然死しないか、一週間ほどの間は不安で、正直恐ろしかったのだ。
“もし何かのはずみで人を殺してしまう事になったら、後悔してもそれを消し去る事は出来ない。その時点から普通の人間としての生活は送れなくなってしまう。それだけは嫌だ“と言う強迫観念が生まれた。幸い、何事も無く時は過ぎた。

 いつの間にか、気になる事が有った時、毎日では無いが、それをノートに書く習慣が出来たらしい。書いたものは時々読み返すようにもなった。そんな中でショッピングセンターでの出来事に付いて"何故あんな対応しか出来なかったんだろう"と思うようになった。何事も無く済んだ事ではあるが、トラウマとなっていたのだ。
 もし相手が死ぬような事になっていたら、私は前科者としての一生を送らなければならなかったのだと意識するようになった。
 実際相手は、倒れた拍子にコンクリートに頭を打ち付けた。私は、はっきりとそれを見たのだ。結果として極弱い力で打ち付けただけだったのだろう。運良くその後死んだり重体になったと言う事は無かった。相手の生徒も、頭を打ったと警察には言わなかったのだろう。もし言っていたら、当然病院での検査と言う事になって、例え結果が何ともなかったとしても、頭を打った事が調書に記載されていたら、重大な結果に至る可能性も有ったとして、簡単な取り調べでは済まなかったはずだ。暴行障害として鑑別所に送られていても不思議は無かった。単に運の良さが重なって、私は難を逃れただけなのだ。そう実感した。
 何か有ってから、“そんなつもりは無かった“と言う言い訳で、起きてしまった事を取り消す事は出来ない。ゲームのように人生をリセットすることなど出来ないのだ。起きた事は何処までも背負って生きて行くしかなくなる。もっと考えてから行動しないと、自分はとんでもない人間になってしまうのではないかと考えて恐ろしくなった。他人に言われても何も感じなかった事が、いつの間にか、自分の心の中で増殖していた。

親にも言わず、部屋で鬱々としている時、モリケンに貰ったノートが引き出しの中に有る事を思い出した。
そのノートを取り出し「絡まれても飽くまで無視し続けていればよ良かったんだ。見た目で突っ張りグループなんかじゃ無い事は分かっていたのだから、無視していれば、通行人の多いところで奴らが殴り掛かって来るような事は無かったはずだ。何故人気の無いところまで付いて行ったのか。二言、三言の挑発的な言葉を聞き流せば良かっただけだ。舐められたく無いと言うだけの理由で付いて行っ手しまった。次にこんなことが有ったら、絶対に無視しよう」
 それだけ書いた。毎日とは行かなかったが、心がざわつく時に、形に捕らわれずに正直な想いをそのノートに書き付けるようになった。それで、何となく自分が見えるようになって来たのかも知れない。自分の中に有る野生を消さなければならないと、その時初めて感じた。

洗濯物を干すため、洗濯篭を持ってリビングを横切る時、
「出掛けるの?」
と妻の実和が聞いて来た。
「うん。天気もいいし、今日、森田先生を訪ねてみようと思ってる」
と私は答えた。年賀状を見付けた時、モリケンのことは"世話になった先生" とだけ実和には話してある。住所は既に確認して置いた。Google Earthで見ると、年賀状に記載されている住所には、それなりの年代を経過した一戸建てがあり、ストリートビューで確認すると、表札は"森田"となっている。年賀状は、私が出さなくてなって途切れているが、少なくとも、時を経て別の建物が立っていたり、住人が他の人になっていると言う事は無いようだった。
「いきなり行って大丈夫かしらね。電話番号も分からないんでしょ」
 干しながら背中を向けたままで実和が聞く。年賀状に電話番号は記載されていなかったし、もちろん、メールアドレスなどは分からない。
「うん。行ってみていらっしゃらなかったら、ご家族の方にご挨拶だけして来るつもりだ。その時、差し支えないようなら、電話番号を伺うとか、俺の連絡先を書いたメモを置いて来るとかするつもりだ。表札はまだ"森田"となっているようだから」
そう説明した。
「うん。お昼はどうするの。食べてから行く?」
 それが聞きたかったのだろう。私のインナーのシャツをハンガーに掛けながら実和が聞いて来た。
「その辺で蕎麦でも食ってから行くからいいよ。蕎麦食いたくなった」
と答えた。
「そう、じゃ私、友香とショッピングセンター行くから、用意しとかなくていいのね」
思惑に合ったと見えて、実和は満足気に念を押す。
「ああ、大丈夫だ」
と私は答えた。実和の関心は私から離れた。
「友香ーっ! ゲームやってないで、ママが洗濯済むまでに支度しときなさーい。買い物行くから」
何時もの調子で声を上げる。暫くして、実和が洗濯物を干し終わる頃になって、娘の友香が、のそのそとリビングに入って来た。服装はピンクのスエットのままだ。ソファーに座ると直ぐにスマホを弄り出す。
「早く着替えないと、ママに叱られるぞ」
先を読んで、私は友香に言った。
「あんな事言ってるけど、結局ママの方が遅くなるんですーっ。いつもそうでしょ」
 友香は小学校六年生になる。妻は“グズなんだから……」といちいち言うが、私から見ると結構冷静な娘だ。
「パパは行かないの?」
と聞いて来た。何時ものことだからなのか、友香は実和に叱られる事を余り気にしてはいない。
「うん。他に出掛ける用事が有るから」
 同行しない理由だけ告げれば良いと思った。
「何処?」
と興味が有りそうに聞く。
「昔教わった先生のところに行ってみるつもりだ」
「へえーっ? 何時の先生? 高校?」
と聞きながらも、スマホを弄る手は止めない。
「今の友香と同じ、六年生の時に教わった先生だ」
「ふーん。大人になって会いたいなんて思うこと有るんだ、…… いい先生だったの?」
 今度はスマホから目を話して聞いて来た。
「正直、その時はそう思っていなかったんだけど、後から考えたらいい先生だったような気がする」
「気がするって何? 良く分かんない」
 今の子は、大人の言う事を理解しようと努めたりはしない。自分の感情が優先なのだ。
「友香は、今の先生どう思ってるんだ?」
と聞いてみた。
「うーん、良かったり嫌だったり」
またスマホをいじりながら答える。
「何だそれ……」
当たり前のことを言ったのかも知れないが、私の考える子供らしい答では無かった。普通、好きとか嫌いとか答えるだろうと思った。
 実和が戻って来た。
「ユカーっ。まだ着替えてないの。ママ忙しいんだから、何度も言われる前にちゃんとやってよね!」
実和には背を向けたまま、私の方を見て唇をひん曲げて見せた後、友香は「はーい」と素直そうな声で返事をして部屋の方に姿を消した。妙に大人びていて、要領の良い子だ。たまに反抗してぶつかることも有るには有るが、母親の攻撃を上手く透かす術も心得ていて、時に寄って使い分けている。
 
「これは、本当に私の人生なのだろうか」と不意に不安が私を襲った。
 シンプルなベッドと高いところに小さな窓が一つ。廊下側には鉄格子。
 私は壁を見詰めて夢想に耽っていた。

壁に描く

執筆の狙い

作者 凡人
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小説って難しいですね。書きたいように書くべきか、読み手の目を意識して書くべきか、いつも悩みます。

コメント

中小路昌宏
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 読みました。

 とても良く書けている……と思ったのですが、最後の所がよく分かりません。

 鉄格子? という事は刑務所に入っているのですか?
 だとすると妻と娘のいる家庭、そして森田先生を尋ねるという話も、ただ想像しているだけですか?

凡人
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中小路昌宏様、お読み頂き有難う御座いました。
 掲載した作品に解説を付けるのはナンセンスかと思います。どう解釈して頂けるか。それは、お読み頂いだ方の解釈次第という事になりますし、思惑に近い解釈を頂けるかどうかが勝負と思います。中小路様にはほぼ作者の思惑通りにお取り頂けたようで大変嬉しいです。

ただ、
>最後の所がよく分かりません。
という印象だったようですよね。

ショートショート、短編に於いては、私は最後のどんでん返しが肝と思っています。落語のオチみたいなものですかね。余り伏線を張りすぎると「〜の辺りで結末の予想が付きました」という事になるし、張らないと「唐突過ぎて意味が分かりません」という事になってしまいます。どの程度が良いのか模索しています。

 何れにしろ、早々お読み頂き貴重なご感想頂けましたこと、有難う御座いました。

そうげん
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ああ妄想落ち、味わうことのできなかった理想世界を、鉄格子のは待った孤独な室内で視ているラストですかと思って、それまで読んできた熱があっという間に冷めてしまいました。巧みに練り込まれたプロットであれば裏切られ方にも小気味良さが伴いますが、これはどうなるんだろうと探り探り読む中にラストではしごを外された感覚になりました。あ、プロットの技巧で読ませたかったんだなと裏方の方の苦心に目が行ってしまってわたしとしては残念だなという気持ちになりました。

ドリーム
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拝読いたしました。

主人公が整理していると一枚の古い年賀状
ここから回想シーンに入って行きますが、小学6年生と言えば。ある意味反抗期。
当然、先生にもそれは向けられた。
職員室に主人公を呼び出すも説教と代わりに一冊のノートを渡し
このノートに思った事を書きなさい。別に提出しなくても良いが、そのノートに書いた事をあとで読みなさい

そして物語は突然現代と言うか、主人公は家族を持ち平和に暮らしいてた。
そして今更ながら一冊のノート。恩師と言うからは感謝しているのでしょうね。
最後のオチと言うか 

>シンプルなベッドと高いところに小さな窓が一つ。廊下側には鉄格子。
 私は壁を見詰めて夢想に耽っていた。

これをどう解釈すれば良いのかな謎めいています。
全体としては面白かったですよ。

凡人
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そうげん様。お読み頂き貴重なご意見有難う御座いました。

凡人
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ドリーム様、。お読み頂き有難う御座いました。中小路様のコメントとも併せて考えると、やはり、分かりにくかったようですね。

 実際には、彼は自分を制し切れなかったと言うストーリーです。

夜の雨
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「壁に描く」読みました。

ラストの三行で驚きの展開で幕。

話としては面白かったですがね。
小学六年生の時の担任が森田健一で、「モリケン」というニックネーム。
その先生から日記を書けと、勧められて。
しかし机の引き出しに。

中一のときに「ガンを付けたな」とか、喧嘩を売られて、この伏線がよく効いています。
何しろ相手が倒れた拍子にコンクリートの床に頭を打った。
警察で事情を聴かれたが、相手も頭を打ったことは言っていない様子で。
主人公は、「下手したら大事になるところだった」と、「今後は喧嘩を売られても、相手にしないようにしないと」と、考えるようになる。
そうしないと、いずれは「刑務所に行くようなはめになる」と、想像する主人公。

このあと、主人公は大人になり嫁も子供もできて平和な家庭を過ごすことになるが……。

ラストの三行で主人公が鉄格子のなかで壁に描いていた。
という事になっているので、見事にオチた、と思いましたが。
御作がよくできていると思うのは、主人公の一人称でつらつらと描かれている世界が、「内面だった」というところが結構深いと思いました。
これは、細部を描いているから話に説得力があるのでしょうね。

それでは頑張ってください。


お疲れさまでした。

凡人
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夜の雨様、お読み頂き有難う御座いました。四人目にして始めて「分かりにくい」というご指摘が入っていませんでした。

冒頭の部分を含めて成人した”私“は全て、こう在りたかったという夢想の物語。
モリケンから貰ったノートに書き始めて自分を見詰め直そうとしたところまでが本当のの過去。しかし、現実はそうは行かず、間違いを犯してしまい、今は刑務所の中に居ると言う事を読み解いて頂き有難う御座いました。

アン・カルネ
219-100-28-246.osa.wi-gate.net

いわゆる胡蝶の夢的な。
刑務所の中で「得られたかもしれないもう一つの人生」を夢想する。
ポイントは2つで、1つはモリケン、もう1つは中1の時の事件。
先に中1の時の事件から。
「間違って相手が死ぬ事だって有るんだからな。そうなってから後悔したって遅いんだ。刑務所行くような人間になってしまうぞ」この「そうなってから後悔したって遅いんだ」と「刑務所行くような人間になってしまうぞ」の間にもう一言必要な気がします。なぜなら「軽くではあったが、倒れた相手がコンクリートの床に頭を打ち付けたのを、私は見た」これが後出しだから。
本来なら後出しにせず「鼻血を吹いてひっくり返ってしまった。」の後にコンクリートの床に頭を打ち付けたところも描写しておいた方が良いんじゃないのかな、と思われます。
その方が後の「間違って相手が死ぬ事だって有るんだからな。」がすんなりこちらの頭にも入って来るので。そしてこちらの頭に入って来てから、更に「私の中に変化が起きたのは、その事件が切っ掛けだった。“間違いから人を殺す事だって有る"」と来た方が効果的かな、と。
次にモリケンのノートの事。色々語っていますが色々語らせない方が良いんじゃないかな? と思いました。まあ、おそらく、というか、あくまでも私から見た作者さんってことですけど、作者さんはどちらかと言ったら「脳化」タイプなんだろうなあって思うので、色々語らせないってなんだよって思われるだろうなって気もするので、まあ、そこは作者さんに委ねます。あくまで私の個人的意見なのでね。で、前半のモリケンのところで色々語らせず後半の「親にも言わず、部屋で鬱々としている時、モリケンに貰ったノートが引き出しの中に有る事を思い出した。」ここで引き出しにノートがある事を思い出させるのではなく、偶然、ノートを発見させる、という方向に持ってゆくと良いんじゃないのかなあ? と思わされました。まあ、好みの問題かも、ですね。
いずれにしてもこの2つの見せ方をもうちょっと体感的なものへ変えてみると良いんじゃないのかなあ? と思わされました。
後は、そもそも的なところで。
主人公は刑務所の中にいる、ということなら、結局、そこへ至る原体験は中1の時の事件ということになると思うんですよ。でも彼はその後、ノートに書く事で「自分の中の野生」を消そうとしていた。しかし消せずに刑務所へ、であるなら、刑事の「間違って相手が死ぬ事だって有るんだからな。そうなってから後悔したって遅いんだ。刑務所行くような人間になってしまうぞ」はいわゆる「呪い」ですよね。そちらに重きを置いた描き方も出来そうですよ。夢想を現実が少しずつ侵食してゆく話にも出来そうですし、夢を現実が侵食してゆく話にも出来そうですね。
細かいところでは「太田母斑」。刑事は職業柄、殴られてできた痣と皮膚の母斑と見分けはつかないものなのでしょうか。あとは「野生」刑務所に入っている事を考えると「野生」より適切な言葉がありそう。そんな気がしました。

凡人
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アン・カルネ様、お読み頂き有難う御座いました。
見せ方とか提示する順番とか色々有るのだなと思い、納得しました。話を繋ぐテクニックや提示する順番とか具体的なアドバイス有難う御座いました。

すいません。“「脳化」タイプ”って何でしょうか? 
>いずれにしてもこの2つの見せ方をもうちょっと体感的なものへ変えてみると良いんじゃないのかなあ? と思わされました。

と対を成すご指摘と思いますが、言葉として知りませんでした。

>「太田母斑」。刑事は職業柄、殴られてできた痣と皮膚の母斑と見分けはつかないものなのでしょうか。

殺人事件が起きていて警察は忙しかったという設定です。
中学生の喧嘩などなるべく手短に済ませたかったので、詳細な聞き取りもせず、或いは殴られたものでは無いと分かっていて、“お互い”と調書に書く為に言ったものと言う前提で書きました。
警察って、ストーリー作って結構決め付けたりしますからね。ただ説明させるより、こうこうこうじゃないのか? と言ってその通りなら「はい」の一言で時間短縮出来ますから。でっち上げと言う事ではなく、刑事の経験から来る想像です。違うと否定されてら、じゃあどうなんだとなる訳ですが。

「野性」と書いたのは、子供の頃の彼が、意識して反抗していた訳ではなく、無意識に奇行を繰り返してた生来の性質を表したつもりです。適当ではなかったでしょうかね。

 色々参考になりました。有難う御座います。

ラピス
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真に迫る独白で読ませます。作者の才能の片鱗を見た思いです。
ただ、ラストがちと唐突で、何かが足りない印象でした。A→B→DといってしまったようにCがない。構成だけじゃなく、人の台詞にも少し抜けがあるふうに感じました。
それさえ補えれば完璧な話になるのではないでしょうか。

fj168.net112140023.thn.ne.jp

拝読しました。
読みやすい文章でした。
ただ、同じような事柄が続きくどさを感じました。言葉を削いで描写を分かりやすくする工夫が必要かと思います。
阿刀田先生のような、奇妙な味的な妄想落ちを引き立てるには、途中のエピソードに読者を惹き付ける魅力的な描写が必須ですが、文章のくどさから、それを読みとることが出来なかったのが残念です。
お疲れ様でした。

凡人
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ラピス様お読み頂き有難う御座いました。
>A→B→DといってしまったようにCがない。
ですか。考えてみます。アドバイス有難う御座います。

>人の台詞にも少し抜けがあるふうに感じました。

に付いては、出来れば具体的にご指摘頂ければと思います。

凡人
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凪様、お読み頂き有難う御座いました。

>同じような事柄が続きくどさを感じました。言葉を削いで描写を分かりやすくする工夫が必要かと思います。

に付いては、自分でも少し感じていた部分です。過去の作品で書いているつもりでいたのに、読んで頂いた方の印象に残らなかったことがあり、重ねて書き過ぎたのかと思います。ご指摘有難う御座いました。

ラピス
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台詞の抜けについてですが、アン・カルネさんと被るのですが、、、

〉「間違って相手が死ぬ事だって有るんだからな。そうなってから後悔したって遅いんだ。刑務所行くような人間になってしまうぞ」この「そうなってから後悔したって遅いんだ」と「刑務所行くような人間になってしまうぞ」の間にもう一言必要な気がします。

私もそう感じました。

凡人
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ラピス様、再訪有難う御座います。色々考えてみます。

アン・カルネ
219-100-28-233.osa.wi-gate.net

脳化。簡単な言い換えをするなら「観念的な」かな。警察は忙しいからという設定。そうでしたね。ただこれも後に主人公が「何故お構い無しになったのかその時は良く分からなかったが、後で知った事だが、その頃、管内で殺人事件が起きていて、実際、警察も忙しかったらしい。私は全く殴られてはいなかったのだが、お構い無しになった。私の右目の下には痣が有る。これは"太田母斑"と言って思春期に表れる痣なのだが、刑事は、それを殴られた痣として“おあいこだな”と言ったのだ。何が幸いするか分からないと、その時は思った。」と来るので、これだと刑事の方も忙しかったので「気づかなかった」と受け取れてしまうのです。まあそれは私だけかも、ですけど(笑)。
ただ、例えば先に「私の顔を見て、「お前も痣作ってるし、喧嘩だな。お合いこってとこだ。警察も忙しいんだ……詰まんねえことで手間掛けんな。」
だけではなく、「私の顔を見て、ちょっと首を傾げたが、「お前も痣を作ってる事だし? 」と言外に思うところが俺はあるぞというふうにしておくと、後に主人公が「何が幸いするか分からないと、その時は思った。」と語ったところで、私としては、主人公はそう思ったのかもしれないけれど、刑事の方は見抜いていたんだろうね、と考えさせられたりするわけです。つまり最初の刑事のセリフを「読み流しにしない」。私は「首を傾げた」と「作ってるし?」と疑問形にしましたけど、他にも色々、もっと適切で良い表現があると思うので。細かい事ですけど、そういう細かいところと作り上げておくと人物像に厚みが出てくるんじゃないかなあ?ってちょっと思ってたので。まあ、流してくれていても良いんです。あくまで私の個人的な意見なので。

凡人
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アン・カルネ様、ご丁寧に回答頂きまして有難う御座いました。なるほどと思い勉強になりました。
 読み手が受ける印象、効果をもっと考えなければいけないと言う事ですね。

 この警察での場面、シチュエーションは違いますが実体験だったので、大して考えもせず、そのまま書いてしまいました。

 大人になってからの話です。京成線お花茶屋駅の近くでちょっとトラブルに巻き込まれまして、興奮した相手が殴り掛かって来たんです。何度か腕でブロックしていたんですが相手がやめようとしなかったので、つい手が出てしまいました。倒れはしませんでしたが、鼻血で相手のシャツの胸は真っ赤。このまま逃げたら暴行で捕まると思い「交番行こう」とこちらから言ったら、相手も同意したので一緒に交番に行きました。
 結局亀有署からパトカーが来て本署に連れて行かれました。パトカーの中で仕事の連絡をしようとしたら止めるよう言われたのを覚えています。
 本署で事情聴取の後「あんたも、相手見ればどんな人間か想像付くだろう」
と言われました。恐らく札付きの人間だったのかと思います。それだけで、私は無罪放免となりました。私の右目の下には、実際太田母斑が有ります。殆ど目立たないくらいのものですが、体調や光の当たり具合で濃く見えたりするらしく、何かの弾みに知り合いから「どうしたの目の下?」と言われ、こちらが「今更」と驚く事があります。刑事は分かっていて放免理由として調書に書く前提で、それを私に告げる為に言ったのだと思いす。

 帰りは歩いたのですが、亀有駅まで随分遠かった記憶が有ったので、それも使いました。勿論、殺人事件などは起きていませんでした。

 実体験を取り入れる時も、設定が同じでは無いわけですから、良く考えて練り上げないと行けないですね。有難う御座いました。

ラピス
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補足ですが、御作をいいと感じた点は、借り物でないあなた自身の思いが綴られていたからです。
小器用に纏めようとしない態度が文学的でした。
私は不器用な素人なので正確な批評はできませんが、御作はメモをとることについて私に新しい気づきを与えてくれました。

凡人
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ラピス様有難う御座います。

>御作はメモをとることについて私に新しい気づきを与えてくれました。

などと仰られてしまうと赤面してしまいます。描写不足で書けてなかったかも知れませんが、主人公は一旦はそう思い努力しようと言う気になったものの、結局人生を誤り、最後は塀の中と言う設定なんです。
 また。私自身はかなりズボラな人間で、こまめにメモを取ったりしないので、お恥ずかしい限りです。

 ところで、ラビス様の受賞を伝言板で知り、掲載作品が有れば読んでみたいと思ったのですが、200篇の中にラピス様の作品を発見出来ませんでした。残念です。

上松 煌
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凡人さん、こんばんは

 拝見しました。
先ず、この作品の魅力はモリケンの教師としての資質の素晴らしさです。
恐らく、今の日教組ではこのような教師にめぐり合うことはマレであろうと思います。
また、主人公(あなた)の心根に潜む、善悪を知る人間としての魅力が第2の牽引力として引っ張るのですが、ラストの3行で締めくくるのにはムリがあります。
つまり、唐突に過ぎるのです。
読者をビックリさせる、それが狙いで3行にまとめたのでしょうが、これは非常に不親切で、読みきれない読者もいるでしょうし、せっかくの起承を粗略に扱う結果になっています。

 この部分は起承転結の「転・結」で、特に「結」は物語の締めくくりとして最重要の部分です。
簡略に驚かせるのも良いですが、この素晴らしいお話の内容で読者を「う~ん」とうならせるためにはもう少し長く、イメージとしてなにがなんでも塀の中にいる主人公を彷彿とさせなければいけません。

 今のままでは弱く、
   >>「ユカーっ。まだ着替えてないの。ママ忙しいんだから、何度も言われる前にちゃんとやってよね!」
実和には背を向けたまま、私の方を見て唇をひん曲げて見せた後、友香は「はーい」と素直そうな声で返事をして部屋の方に姿を消した。妙に大人びていて、要領の良い子だ。たまに反抗してぶつかることも有るには有るが、母親の攻撃を上手く透かす術も心得ていて、時に寄って使い分けている<<
    ↑
という、ごく普通の家庭の雰囲気にどっぷりつかって、それを心地良しとしてきた読者にとっては、急ブレーキ・急旋回に感じられてちょっと戸惑ってしまう。

 また、恐らく表題を意識した、
   >>私は壁を見詰めて夢想に耽っていた<<
    ↑
 この1文ですが、締めくくりはこれでなくともいいはずです。
せっかく『壁に描く』という題名なので、実際に牢獄の壁に指で恩師への年賀状を書くくらいの演出はあっていいと思います。
鉄格子の中ということを読者に充分に意識させ、泣かせどころではきっちり泣かせましょう。
   

上松 煌
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凡人さん、追伸。
 そういえばラピスさんの受賞作品、おれも見つけられません。
できればはいけんs

上松 煌
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 おっと、送っちまった。凡人さん、追伸。

そういえばラピスさんの受賞作品、おれも見つけられません。
出来れば拝見したいと思っている人も多くいると思います。
どんな小さな賞でも受賞は誇れはすれ、恥じるものではありませんから、きちんとごはんの受賞報告に載せて、みんなに見てもらうべきと考えます。

どこのなんと言う賞なのでしょう?
おせぇて~~~♪

ラピス
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凡人さん、上松さんも。
私のは受賞ではなく入選作、ですね。汗。
何という地方文学賞かは身バレが怖くて書けません。しかも一年しないと権利が作者に戻らないらしいので、ごはんにアップもできませんです。
一年後にお目にかけるやも知れません。
その頃には忘れられてると思いますが。

まあ、我ながら欠陥のある作品なので、、、参考にならないんじゃないですかね。

凡人
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 上松様、5ページの事情読ませて頂いて「そうかぁ」と思っていたところ、思い掛けずコメント頂いて恐縮です。

>ラストの3行で締めくくるのにはムリがあります。

>読者を「う~ん」とうならせるためにはもう少し長く、イメージとしてなにがなんでも塀の中にいる主人公を彷彿とさせなければいけません。

からの〜

>せっかく『壁に描く』という題名なので、実際に牢獄の壁に指で恩師への年賀状を書くくらいの演出はあっていいと思います。
鉄格子の中ということを読者に充分に意識させ、泣かせどころではきっちり泣かせましょう。

ですね。明確なアドバイス有難う御座いました。

 その辺の加減が分からず迷ったんです。
タイトルも、最初「壁に描く夢」としょうと思ったのですが、今日現在「リスト4」に有る前作「干し肉の味」に、アン・カルネ様から下記のような感想を頂きました。

>ラストもタイトルがタイトルなだけにクロタイが初登場した段階で、ああ、これはクロタイが食べられる、そういうところへ落すのかな、と察しはついてしまいますが、

 それで、「壁に描く夢」ではバレバレになってしまうなと思い、タイトルから「夢」を抜き、結末も一文のみのどんでん返しにしようと思ったのです。ネタバレしない為とは言え、程度問題と言うことですね。

 あと、ラピスさんに事情説明頂けたのは余録ですね。ラピス様有難う御座いました。

安倍統一
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最後まで読んで、割と先生は真剣に心配してたんだなと思いました。誤字とか少しあった。

凡人
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なんか、変なコメント入ってます。

凡人
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 安倍統一様、コメントと誤字脱字指摘、有難う御座いました。
「ウオッチャー一字一字」つまて誰?

のべたん。
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読ませていただきました。

主人公の内面を深く掘り下げて書かれていて、多くの人が同じような経験があるのではないか、と思わせてくれるような、良い作品でした。

他の方も指摘されているので、言う必要はないと思いましたが、ラストが唐突で、読み手を突き放したような感じを受けてしまいました。

執筆お疲れ様でした。

凡人
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のべたん様、有難う御座います。

>ラストが唐突で、読み手を突き放したような感じを受けてしまいました。

 仰るとおりですね。他の方々のコメントも併せて勉強させて頂いています。

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