作家でごはん!鍛練場
作家でおやつ

水の中の人の悲しみ

 1
きんと 硝子めいて硬い水面で、
白い腹 弓なりにしなりうねらせて、
真白の月影さながら 浮び沈みし揺らめいている、
 
  ──賤しきわたし、それ悲しむのを肉から歓ぶ。

燦爛と 死を照らし誘う水面で、
濡れそぼる藍の髪 ぬらぬらと燦り垂らし、
陰の暗みへ昇り沈みし 鱗に緊縛された躰み波うたせる。

  ──賤しきわたし、その不幸をわが悦楽とする。


ぞっと 青灰の虚空と剥かれた水面で、
苦痛に歪み ecstasyとも酷似した貌、
水底の深みの湿りへ堕ちて 苦痛と苦痛に結ばれる、

  ──賤しきわたし、共苦の震えに音楽を聴く。

 2
私は「我わたし」が後ろめたい、
「わたし」へ後ずさるがために、
わたしは「我」を解体する、
果して 「我」でない「わたし」はいずこにありや?

──骨を水晶へ、
──皮を銀へ、
──眸を硝子へ、
──巡る血は天蓋へ昇らんとする青き焔へ。…

  ──「おねがい、おねがいだから
     私を人形にしてほしい、
     "我"を使用し嬲って抜殻からにし放逐してほしい」
    「それは不可能でございます」

 *

真実のいたみで 美をみすえ、
唯一の韻踏み、死際の舞踏と善くうごく、
倫理の鱗に縛られた 断末魔の身振は舞踏である。

  ──賤しきわたし 助けもしない、
    何故って不幸撰ぶは romanticだ、
    片恋のひと模す 少年に似て、
    淋しいお歌を歌いながら 嘗て、わたし水面へ跳躍した。

水の中の人の悲しみ

執筆の狙い

作者 作家でおやつ
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人魚の美女が真実のいたみで倫理と苦しみに喘ぐ物語です。

よろしくお願いします。

コメント

夜の雨
ai194098.d.west.v6connect.net

「水の中の人の悲しみ」読みました。

肝心なことを書いていない。
人形が悲しみ悶えているストレスの原因ですが。

たとえば、人魚が海面に顔を出した時に通りがかった帆船に王子の凛々しい姿を見かけて、恋をしたとか。
だったら、人形が悲しみ悶えているストレスの原因は「王子」ということになります。
人魚のストレスに見合った原因を描いてこそ、御作に描かれている世界がイキイキしてくると思われますが。

だけど「王子」が、原因だとかだとありふれているので、ほかに原因を作れば面白いかも。

● 文章は、詩のようですね。

それでは頑張ってください。


お疲れさまでした。

通りすがり
119-173-139-201.rev.home.ne.jp

理解できないところもあったんですが、
(自分の読み取る力がないため)、
言葉の選び方が素敵ですね。

泡になって昇天するのではなく、
自責、自己嫌悪の思いで、どうにでもしてくれ、
というのは面白い解釈だなと思いました。

アン・ライスの「眠り姫」は、SMですが、
しゃもじみたいので、お尻ぺちぺちがどうにも
興覚めだったので、こちらのほうが緊縛、鞭、
逆さづり、蝋燭、刃物、水責めっていうような凄みを感じ、
小川未明の「赤い蝋燭と人魚」とか
和風っぽくイメージが浮かびました。

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