作家でごはん!鍛練場
元々島の人@別所

勇者の記憶を封印された超貧乏使用人少年の冒険(仮)

勇者である少年は悪人のアジトの城で戦っていた。

 そして世界を救った。



 王になり、支配や私欲ではなく弱者が救われる世界を作った。

 

 これは、少年の頭によく浮かぶ白昼夢のような映像だ。

 しかし夢は醒め、現実に引き戻された。



 場所は変わって、ここは我々の人間界とは次元の違う異世界の一国、デュプス王国。

 夢で少年勇者がいた世界とは同一である。



 その中の、ある貴族男爵の屋敷の狭く汚く質素な住み込み部屋である。



 彼はいつもついていない。

 

 運悪くコロコロと1枚の銅貨が転がりタンスと壁の間に挟まってしまった。

「しまった!」



 ぼろぼろのつぎはぎの亜麻布のコットやブレーを着た、とても身分や育ちが良さそうに見えない少年は、急いで何とかタンスと壁の間に手を突っ込み必死で取ろうとした。



「僕の今月の全財産が」



 必死かつ切実だった。

 しかし中々取れない。



「うーん、はあ!」



 ようやくコインは取れた。

 少年は嘆息した。



 まるで命より大事な物が見つかったような安堵でため息をつき胸をなでおろした



 しかし安堵の次はしみじみコインを見つめ不安と不満を漏らした。

 コインが自分の人生を象徴するかのように。

 

 再度ため息をつく。

「もう今月これしかないよ。いつまでこんな安賃金の使用人を続けなきゃならないんだ。孤児はつらい。浮浪児はもっとつらいけど」



 銅貨一枚はせいぜい飴玉一個程度の価値だ。

「全財産の銅貨様アーメンアーメンハレルヤハレルヤ」



 と少年は銅貨を神の様にして手を合わせ祈った。

 祈り方がとても切実だ



 蜘蛛の糸を掴むような。

 無力な者が大きな者に必死にすがるようである。

 溺れる者は銅貨をもつかむと言う感じか。



「孤児で窃盗の罪があった僕に今があるのは神様と教会のおかげだ。宝箱に入れておこう」

 と銅貨をそこまでするかと言う程大事に貯金箱に入れた。



 部屋には少し錆びた銅の剣があった。

「貯金箱とこれと釣りざおが俺の所有物、ふん、ふん!」



 おもむろに剣を振るが、あまり筋は良くない。

「孤児院で習ったけど伸びなかったなあ。剣術は嫌いじゃないんだけど。下手の横好きって感じで」



「俺は今は貧乏な使用人、だけど時々白昼夢の様に過去の俺が勇者の様な格好をして悪と戦ってる映像が浮かぶんだ。まるで封印された記憶みたいに。でもそんなわけない、俺の頭が少し病気なのか」



 腹の音がぎゅーっと鳴った。

「腹減って鳴ってるだけでなくズキンズキン痛い。嫌な事ばかりで胃とメンタルをやられてる。でも僕は孤児。ここをやめたら行く所がない」



 出生を回想した 

「僕は親の姿も名前も赤ん坊の頃の自分の姿も家も出身地も知らない。ただ5歳位の姿で孤児院の近くの町中にいたんだ。理由もそれまでの過去も知らない。手掛かりはこの付けていた指輪だけだ」

 

 少年の薬指の指輪にはどこの国の言語でもない文字が彫られている。それは記憶の初めから指についていた。



 少年クラビ・ハートネットは孤児だ。

 何故か4歳以前の赤ん坊の頃や親の記憶はないが、5歳の時何故か孤児院に来たというか、いた。

 生まれた記憶もないのに、5歳児の状態で何故か道を歩いていた。そして職員に手を引かれ孤児院に行った。



 誰かに連れて来られた様に道にいたのだ。

 そして本人も知らない読めない文字の彫られた指輪をつけていた。

 



 その孤児院で9年過ごし14歳の時巣立ち、今の貴族屋敷の住み込み使用人となり現在17歳。



 体型はろくに食べていないため、痩せて贅肉があまりなく、顔も少しこけていて髪型もあまり整っていない。

 

 疲れた人生を送ってきた跡が顔に見える。

 清潔とは言えない。



 入浴はしているが。この時代の風呂に入れない農民よりいくらかましだが。



 食事は住み込みの為1日2回は出る。小さなパン1個と空豆位だ。奴隷と大差はない。

 少し具の入ったスープは時々出る。



 肉はほとんど食べられず、農民より少ない。カロリーは穀物から摂った。

 狩猟は主に貴族がする。

 

 しかし、顔を見ると、瞳が何とも純粋で穏やかで透明感があり、逆境でもやさぐれていない印象を受ける。

 

 希望を失わず生きようとする様な、何かを信じる一途さが感じられる。あまり人を恨まなそうな。

 

 彼は夢がある。 

「いつか王になり平和な国を作る、孤児に無理っぽいけど」

 

 少々弱気に宣言する。

 「そのためゴミ拾い1つでも第1歩と思ってしっかりやるんだ」



 そして、孤児らしからぬ、とても人の好さそうな雰囲気と高潔さや誇りを何故か感じさせる面もある顔立ちをしている。例えると国の皇子が捨てられたが生まれついての高貴さ、人の好さを残しているような。



 いつも控えめでヘこへこしてそうな、端っこで縁の下の力持ちをやっている人柄に見える。

 リーダーなどはやらなそうだ。



 とは言え彼は聖人ではない。

 確かに「千里の道も一歩」等と誓うのは嘘ではない。

 

 しかしその一方で低すぎる賃金や粗雑な扱い、きつい仕事などに不満を持っていて「はーっ」とため息をついたり少し動きが鈍ったり目に嫌な気持ちが出てそれが伝わってしまう事がある。  



 クラビの住むこの国には孤児院や貴族と繋がる特別な教会があり、13、14歳にもなると一旦教会に引き取られ仕事の世話をしてもらえる。

 教会庇護民の様な物だ。



 だから基本は信用できる縁故採用しかしない貴族の使用人にクラビはなれたのだ。



 しかし、だからと言って道は平坦ではなかった。

「クラビ、何やってる!」



 今日も先輩使用人、料理人にしかられた

「ここに汚れが残っている!」

「すみません!」



「もっと物は慎重に運べ!」



 しかしクラビは不真面目にやっている訳ではない。

 大真面目だ。少し不満はあるが。



 一つ一つ気を抜かず大事に責任を持ってやっている。夢も信じている。

 勿論不満はあるがどんな小さな事でも、「千里の道も一歩から」を信条にやる。

 

 しかし前述したように彼は神様でも聖人でもない。

 どんなに我慢強くても不満や気の抜けが出ない訳ではないのだ。

 それが心の隙になってしまう。



 自分では気づいていない事も多いが、知らず知らず面倒くさそうに動いたり溜息をついたり顔に嫌な気持ちが出る事がある。孤児であることにも不満は勿論ある。



 不器用で、かつ不満が透けて見え、謝り方が何故かいい加減に見えてしまい他者を苛つかせてしまう損な人なのだ。顔に思っている事が出やすくまたそれが人から目立つ事もある災難な点がある。



 また、怒られ過ぎで、なれてしまったようにも見えてしまうのだ。



 貴族クレゴス3世は当主であるが、クラビにはいつも苛ついていた。



 彼は一見高貴そうで人当たりも良く人望のありそうな顔に見える。温厚且つ精悍だ。

 しかし実際はそんなに高貴でも高潔でもなかった。



 クレゴスは使用人名簿を出していた。

 するとそこに従僕よりさらに下ランクで「最下層、奴隷クラビ」と書いてあった。



 クラビはコーヒーを運んだが足取りが怪しい。

 見るからに不安定だ。

 そして揺れクレゴスの書斎で転んだ。



「あーああ!!」

「あっ‼」



 クレゴスは怒鳴った。

「何て事をしてくれるんだ! 書類がずぶぬれじゃないか! 全くお前と言う奴はいつもいつも」

「す、すみませんすみません」



 クラビは心から謝っていた。



 くびになるのが怖いからではなく素直に人に迷惑をかけたと反省しているのだ。

 自分が悪いと思った時の謝り方と申し訳なさぶりがすごい。



 しかし内面が上手く顔に出ない。

 また少しやる気なさげでいい加減に謝っている様にも見えた。

「いつもの事だ」と思っている様に取れなくもない。



 その為クレゴスには半分も伝わっていなかった。



「全く早く親が見つかって引き取って欲しいよ。貴様のような役立たずはその内食べ物も無くなる。どうせお前の親など禿げたうだつの上がらない底辺労働者だろうが



 くっ、ととても自制心の強いクラビもこの言葉には動揺した。



 さらにクレゴスの17歳と16歳の息子と娘、キーマとレザリーも嫌味を言った。



「バーカ! またミスしてんの!」

「早くお父様も首にしてしまえばいいのに」



 しかし3人に嫌味を言われてぴくぴくしながらもクラビは抑えてその場を去った。

 彼は仕事も謝罪も真面目にしているのをあまり理解されていない。

 だから他の使用人からも評判が悪い。

 

 クラビが去った後に夫人はやって来てクレゴスに聞いた。

「全く、何であんな役立たずの子雇ったんですか? いつもいつもへまばかり。まあ従順ですが」



「あっせんした教会の頼みを断ると印象が悪くなる。それもあるがあいつはいつもぺこぺこしていて反抗的でない。ある意味使いやすい。きつい仕事も押し付けられるしはけ口にもなる。またあいつがいる事で他の使用人達も『あいつよりはましだ』と思える効果があり離職率が減る。あいつは奴隷と同じだ」



「ああ、そう言う効果もあったんですか」



 キーマは言う。

「親父も罪な人だなあ」



 クラビは思った。

 孤児院はそれなりに良かったな、問題もあったけど。



 つらい思い出もある。

 孤児院に行けなかった子等はもっと壮絶だ。 

 浮浪者たちのたまり場は排泄物と残飯で異臭がした。

 最初は食べ物をくれる大人もいた。



 物乞いをする子供は上手い人と下手な人がいるがやがて食糧難で大人は冷たくなった。女の子はかっぱらわれた。飢餓、栄養不良からの内臓疾患。

 

 炊き出しはあったが中止になった。

 猫やザリガニを食べた。

 闇市がにぎわう。



 クラビは心の中でつぶやく。

 俺が耐えられたのは何故か4歳から前の記憶が無くて親の面影もないから。思い出す事もないから。



 形見らしい指輪は持ってたけど。

 この指輪何ではめてたんだろ。



 今まで幸せは金だけじゃないって気持ちで頑張ってきた。

 

 幸せが金だけじゃないと思えたり、弱者が裕福になれる世の中になってほしい。



 俺が王様だったらそう言う国を作りたい、それが夢だ。



 そう、そうだな、いつかそんな事が出来る様になりたい。信じて頑張ろう!



 でもこんな事言うと頭おかしいと思われるかも知れないけど、俺は何かから生まれ変わって5歳児になった様な気がする。

 

 時々15歳位の剣を持った俺が巨悪と戦ってる白昼夢を見る。あれは何なんだろう。

 何か勇者みたいな。

 あまりにも夢、幻覚にしては鮮明過ぎる。



 今日は勇者が勝つ夢を見たけど、日によって敗北して死ぬ映像も出てくるから結末がこんがらがってる。

 本当は勝ったんじゃなくて負けたのかあの夢。ま夢だから。

 

「こら! ぼっとするな!」



 と怒鳴ったクレゴスの顔に何のまえぶれもなく、17歳位の少女があまりにも突如出現し蹴りを食らわせた。 



「な⁉」」



 妖精のような恰好をしていた。髪は長く黄色だが明るく金髪気味。



 あどけない目だが憎しみでクレゴスを睨んでいる為すわった怖い感じだ。クレゴスは驚き大声を上げた。

「何だお前は! 不法侵入者だ! 捕まえろ!」



 使用人たちは追いかけたが少女は逃げ全く姿を消した。



 少女は結局見つからなかった。



 クラビは非常に自制心が強い。もう3年になるがきつく怒られたり意地悪されても切れたり辞めたり涙も流さない。



 今日も頭を下げひたすら耐える。

 しかもミスが多いのをカバーする為多くの用事をこなしたりする。



「これ持っていって」

「これもね」



 孤児は不幸だ。

 この世界とて例外ではない。貧しく孤独だ。



 孤児院では人の分まで食べる子、喧嘩する子、連れ戻されたり戻ってくる子、引き取られた親せき宅で冷たくされる子、パニックになる子、万引きする子、親や親せきに死ねと言われた子、大人に殴られつかいっぱしりにされる子、帰りたいと泣く子。職員の虐待。



 親のない自分は誰なのかと存在を疑問視する子、精神疾患の親を持つ子。



 しかし職員の導きで巣立っていった子も多くいる。



 しかし地下道で寝泊まりし死と隣り合わせの地獄を生きる子もいる。犯罪に手を染める子もいる。

 

 クラビは周りを考え主張を抑えるせいか、最初孤児院で地味で友人があまりいなかった。それがだんだんと理解されて行った。



 クラビに孤児院時代の仲間から手紙が来た。

 マークレイと言うリーダー格の少年だ。



「元気か? 皆今は国の悪い部分を直そうとする活動に明け暮れてるよ。いつか平等で弱者も笑える世の中にするにはきれいごとは言っていられない。俺達元窃盗団だしな」



 クラビは心のなかで、いつか会おう、と呟いた。

 俺は幸せになる様に生きる。と。



 呟きは続く。



 でも幸せは金だけじゃないって思ってたけどそもそも俺って人間関係とかにも恵まれてない。



 だから信念が曲がりそうでくじけそうになる。



 呟きは終わる。



 ところで、今日は奇しくも我々の人間界で言えばクリスマスに当たる1年に1度の神を祝う祭りだった。貴族たちは勿論パーティをする。



 使用人たちは喜んでいた。



 何故ならこの日だけは豪華な料理やケーキを貴族から大盤振る舞いしてもらえるからだ。



 そして使用人達は集められ、クレゴスやキーマ達は料理を持って来た。



「うわーうまそう!」

「今日だけは日ごろの疲れを癒しジャンジャン食べてくれ」

「ありがとうございますクレゴス様!」



 クラビも食べようとした、ところが

「あーお前は駄目」



「えっ⁉」



 クレゴスはクラビに冷たく言った。

「お前はいつもミスばかりするから駄目だ。いつもの様にぼろいパンだけだ」

「そ、そんな!」



 キーマがさらに言う。



「もし、お前が大事にしている親の手掛かりの指輪をくれたら食べさせてやってもいいぜ」

「そ、そんなこれだけは!」



 断られるなりキーマは冷たく言った。

「嫌なら街へ出て行って物乞いでもして来いよ」

「そうだそうだこの足手まとい」



 料理人が言い、他の使用人も笑った。

 くっ! とクラビは怒りの沸点まで来ていた。キーマは挑発した。



「何だその目は? やんのかよ」

 しかしクラビは何とかこらえて外へ出て行った。その様子を皆は笑った。



 20分後、クラビは寒い町中をとぼとぼ歩いていた。

 しかしパーティをやっている家庭が多く雰囲気は明るかった。



 大聖堂では聖職者が行列する。お祭り騒ぎが起きている。す



 しかしクラビは暗かった。

 あいつら、俺が絶対怒らないと思って馬鹿にしやがって……



 もはや感情制御の限界に来ていた。



 クラビはあまり運命と他人を恨まない。何とか希望をみようとする性格だ。

 しかし前述したように彼は神でも聖人でもない。

 

 人や世を恨みたくなる事も当然の様にあるのだ。

 今日はその最たる日だった。

 

 涙はなく恨みと憎しみ、僻みだった。 

 自分が何故記憶がないのかの謎よるただただ自分を捨てた親への恨みだった。





 「俺には帰る家や家族もいない。いつ以来だっけおれが感情むき出しにして怒ったの。我慢しすぎて怒れなくなっちゃった。他人もだけど自分の運命を恨むよ。俺の親どこで何やってるんだろうな。どこかの家で俺をのぞいて楽しんでたら本当に恨むよ」



 路上生活、食べ物の取り合い、たかり、かっぱらい、食べ物を恵んでもらおうとして追い出されたり闇  米配達の手助けをした事などが思い起こされた。 

 

 そしてクラビの耳にそれと反対な暖かい家庭から笑い声が聞こえて来た。



 クラビの胸に怒りと妬みがたぎる。

 あいつらいい暮らししやがって、と珍しく露骨に荒れた。



 クラゴスやキーマの意地悪でもう自分が何なのか分からず放心気味だった。

 そこへ偶然ケーキ屋の前に来た。



 それがクラビの目と心を激しくとらえた。

 そんな大きなケーキは生まれてから見た事もなかった。



 誕生日も知らないので誕生日パーティもない。

 欲望、他者への憎しみ、嫉妬などが絡み合い増大する。

 

 目が飛び出さんばかりだった。

 掴もうとガラス越しに怪しい手つきで手を伸ばす。

 

 まるで女性を襲おうとしている変質者の様に見え、道行く人たちはどよめいた。

 そしてついに。

「あ、あああ!」



 クラビは自我と自制心を失った。



「お客さん、何を!」



 クラビはケーキ屋のガラスを割って盗もうとした。

 もう何が何だか分からなかった。



「通報だ!」



 翌日この件でクラビは屋敷で呼び出された。





 当然グレコスは怒った。

「全く何て事をしてくれたんだ! 私の力で事件にだけはならないようにしてやるが、今日でお前は解雇だ! わかっているな⁉️」



「すみません……」



「すみませんですむか! ついに貧乏人の本性を出して暴れたな、もう貧乏で最悪犯罪者にでもなっている親の元へ帰れ」



 これにさすがにクラビは下を向きながらも目と腕がピクピクした



「お……」

「切れるか……」



 キーマは思ったが結局クラビは背を向けとぼとぼ去った。



「お世話になりました」



 キーマは後ろ姿を見て思った。

 あいつ…褒めるつもりじゃないけど、特に親の悪口まであそこまで言われてよく抑えられたな……



 怒った事あんのかな? 自制心すごい強いな……



 クラビは泉で釣りをしていた。 



「はあ、結局無一文だよ。もう帰る所もないし野宿しかない。今真冬だよ凍死しちゃうよ。とりあえず釣りで今日の食料を確保しよう」





 クラビは泉の淵に腰掛けじっと獲物が引っかかるのを待った。



 すると竿がぴくぴく動きだした。



「おっ!」



 大きな魚がかかった手ごたえがあった。

 しかし重い上に抵抗している。



「う、うーん!」

 クラビは必死に釣竿を引いた。しかし転んでしまった。



「あっ!」

 この拍子に竿は泉に落ち沈んでしまった。



「なんてこった唯一の食料の元が、どこまでついてないんだ! 唯一の趣味でもあったのに!」





 クラビは激しく地面に頭をぶつけ悔しがった。

 すると泉のちょうど竿を落とした辺りがぴかりと光った。



「えっ!」

 そしてそこから1メートル程の光に包まれた球体が現れた。



 そしてそれは徐々に人間の姿に変わっていった。



 そして現れたのはあの屋敷で飛び蹴りを食らわせ不法侵入した妖精の様ないでたちの少女だった。



「あなたは!」

「ふふ」



「何がどうなっているんだ」



「私は女神。天から地上を見守る女神です。大人も子供も強者も弱者も。だから貴方の様な弱い立場の人も救おうとずっと見ていたわ」



「信じられないけど事実……」



「貴方にはもう何もなくなってしまった。だから生きる為に必要な物をあげるわ」



 それは金貨10枚と銀貨20枚だった。



「良いんですかこれ⁉」

「貴方は本当に控え目ね。貴方は散々苦労したんだからこれ位は受け取る権利はあるわ」



「ありがとう! この恩は一生忘れないよ!」

「あっ、それだけでなくもう1つ大事な事を伝えに来たの」



「え?」

「これから旅に出て隣の国で正体を隠して暴れている国王を倒して欲しいの。勿論仲間を何人連れてもいいわ」



「えっ?」



「貴方も知ってる隣国サブラアームの国王アンドレイ・デーニスは実は人間じゃない魔界の住人なの。国王に化けて民に重税を課してこき使い他国に攻め込むつもりよ。この国も攻めこむ体制が出来てる。だから貴方に倒して欲しい」



「そ、そんな、僕そんな強い人じゃないですよ。剣の腕も弱くて孤児院で女の子に負けてそれがトラウマになってるし、いつもぺこぺこ頭を下げるしか能がない一使用人だから」



「貴方は控えめね。でもそれこそが強さ」

「そう言えば孤児院でも言われた」



「それだけじゃない。驚かないで欲しいけど、貴方は実は伝説の勇者の生まれ変わりなのよ」



「えっ⁉」



「普通の人間ではないわ。貴方は天の国に選ばれた勇者だったの。でも前世で15歳の時に旅に出てさっき話した国王に化けた魔界の住人を討伐しに行ったの。でもそこで敗北してしまい、記憶を封印され殺されたわ。でも私の上司の天の神様は何とか貴方を助け5歳児の姿に生まれ変わらせて孤児院に送ったの。でも魔力が強すぎて封印された記憶までは戻せなかった。そして貴方のつけている指輪が『神が蘇らせた勇者』の証明なのよ!」



「そうか! 俺に4歳以前の記憶や親の記憶がないのはそのせいなんだ。それに魔界の住人は俺の因縁の相手って事だね」



「そう。だからこそ貴方が倒すべきなのよ。貴方は時々前世の姿の夢を見ない?」



「そう言えば15歳くらいの俺が剣を持って悪と戦ってる夢を時々見る」



「それは12年前の貴方の記憶なのよ」

「そうだったんだ」

「で、だからこそ魔界の男アンドレイ・デーニスを倒す旅に出て欲しいのよ」



「わ、わかる事情は。でも僕は剣だけでなく心も弱虫だし」

「いいえ、自信を付ける為に今から記憶の一部を引き出すわ」



 女神に頭に手を当てられクラビはぼうっとなった。

 すると転生して少し後の5歳のクラビが孤児院の近くを歩いていた。



 その時道端に箱を寝床にしている4歳位の子供がいる。



 クラビはその子供の前に行き、パンをあげた。

「えっ⁉ いいの?」

「あと家がないと大変だから孤児院に行合格」



 と言いクラビはその子供を背負って孤児院に向かった。



 回想は終る。





 女神は言う。

「ね? なけなしのパンをあげて助けちゃうような人柄と優しさが貴方の良い所で勇者に相応しい所なのよ」

「ずっと昔の事で忘れてた」



「それともう一つ、貴方にとっておきの道具をあげるわ。ジャーンこれよ!」



 それは手甲の形をしたブレスレットだった。明らかに地上の材質ではなく装飾、彫刻も地上の職人製とは思えない」

「なにこれ」



「これぞ取って置きの武器、『万能勇者アンカー』よ!」

「万能勇者アンカー!」



「そう! これがあればどんな敵とも戦えるわ」

「どうやって使うんですかこれ」

「念じて標的に向かって行くよう唱えて!」



 クラビは木に狙いを定めた。



 そして「行け!」と念じると天の国製のロープで制御された鋼鉄のアンカーがクラビの拳から飛び出し、木を貫いて穴を開けた。



「凄い!」



「それだけじゃないわ。ここにスロットがあるでしょ? ここに古代文字の書かれたカードを入れると様々な使い方が出来るようになるの。例えば」



 女神は「重」「投げ」と言う意味の書かれたカードを入れた。



「もう一回別の木に向かって『行け!』と念じてみて!」

「良し!」



 するとさっきと同じ様に速いスピードでアンカーが木に向かい射出された。



 しかし今度は貫かずアンカーが磁石の様に木の表面に貼りついた。



「えっ⁉」



「今度は木を持ち上げるのよ!」

「う、うおおお!」



 すると木にクラビの力の何倍以上もの力が加わり根っこから引っこ抜かれた。

「すごい!」



「それだけじゃないわ。今度は木を振り回して見て!」



 言われるままクラビはアンカーに貼りついたままの木を持ち上げた。



 これもクラビの何倍以上の力だ。

 そして勢いにまかせてぐるぐる振り回した。



「う、うおお!」

「そして投げて!」



 すると貼りついていたアンカーが外れ遠くに木は放られずしんと音が響いた。



「すごいすごい!」

「これが『万能勇者アンカー』の威力……」



 その時後ろから声が聞こえた。

「クラビ!」



 振り向くとそこにはキーマがいた。



「見させてもらったぜ。お前と女神とやらの一部始終」

「見てたんですか」



「さすがの俺もびっくりしたぜ」

「勇者の話も聞いたんですか」



「あっそれは聞いてない。その何とかアンカーってやつの話だけ」



「何が言いたいんですか? あんたはもう雇い主じゃないんだ」



「まあ、そう怒るなよ。お前に良い話があるんだ」

「良い話?」



「ああ、お前、家に戻ってくる気ないか? 屋敷に戻ってきていいぜ。親父には話をつけてやる」



「え?」



「やっぱ飯も家もないと大変だろ」





「どう言う風の吹き回しですか? それに俺は女神にお金をもらったんです」

「でもこの先不安だろ」



「何が言いたいんですか? どうせあんたの事だから何か企んでるんでしょ」



「おっと人聞きが悪いな。と言うか交換条件、その武器で力を貸して欲しいんだ」

「え?」



「俺はこれから敵国がこの国で怪しい動きをしてるのをキャッチしたからそれの調査、偵察に行きたい。屋敷からはるか東の洞窟で軍が何か悪い工作をしてるみたいなんだ。ひょっとして我が国を侵略する為の下ごしらえかもしれない」



「その情報確かなんですか?」



「親父が友人と話してたり軍人の先輩から聞いたから確かな情報だ。でも多分危険もある。でお前のその凄い武器でボディガードになって欲しいんだ。お礼ははずむぜ」



「まあ、お礼はいいけど、俺も実は敵国の王の事を調べなき」



「サンキュー! 今まで意地悪してごめんな。ほらお菓子とパンだ食え」



 クラビは思った。

 しかしこの人が企みなしで良い事をやるとは思えないけど



 対してキーマはこう思っていた。 よし、俺が敵国の調査に成功して手柄を立てれば親父の評価も上がるし軍でも出世出来るかも、と言う算段だった。



 まあ騙してないし本当の事だし、罪ではないだろ。



 しっかしあれだけ意地悪されても信じる所が超がつくお人好しと言うか、幸せな世の中を築きたいとか言ってたしな。



 クラビは切り出した。

「その探検だけど、仲間を2人連れてきていい?」

「ああ、まあいいけど」



 キーマは少しだけ不安になった。

 こいつ友達いたなんて知らなかった。どういう奴だろ? 同じ使用人?



「じゃあ連絡取るから時間と待ち合わせ場所決めようよ」

 クラビは伝書鳩を飛ばした。



 3時間後クラビとキーマは洞窟に直結する森の入り口にいた。



 クラビは銅の剣を装備していた。

「はっきり言って剣で実戦するのかなり久しぶりだ。通用するのか不安だ」



《クラビステータス》



 レベル3 腕力7 体力7 素早さ8 頑丈7 魔力9 魔法耐性8



 はっきり言ってこの数値は、才能があるわけでない人が剣道を2か月位やった数値だ。



 キーマは怯えた。

「お、おい何かいかにも魔物が出そうな場所じゃないか?」



「仕方ないよここまではずっと平原で目印がないし」



 恐る恐る2人は森の中を探り覗き込んだ。するとかさかさと音が聞こえた。



 生物が動く音だ。2人は嫌な予感がした。

「今グルルって音が聞こえなかったか」

「狂暴そうな声が」



 すると木の影から虎らしき怪物が現れた。

「げーっ! サーベルタイガー! 森の中に何で!」



 サーベルタイガーはこちらに気づいていたがすぐには襲ってこず睨んでいる。



 タイミングをうかがっているようだ。獲物が射程距離内に入るのを待っているのかもしれない。



「やばいよこいつ凶暴だし! アンカーで何とかならないか?」



「これ使うの初めてなんですよ。戸惑っているうちに襲われたら



 サーベルタイガーは苛立っている。

「ああ、寄って来た」

「こうなれば」



 クラビは背を向けた。

「逃げろーっ!」



 2人は一目散に逃げだした。

 しかし人間と虎のスピードは雲泥の差だ。追いつけと言われてる様なものだ。



「やばいもう駄目だ!」



 その瞬間、2人の前に人影が立ちふさがり、蹴りでサーベルタイガーを吹き飛ばした。

 倒れたサーベルタイガーをその人物は剣でけん制する。



「久しぶりだな。クラビ」



 起き上がり怒り狂ったサーベルタイガーの突進をかわした少年は剣を構え切り込んだ。

 サーベルタイガーが肩から出血し動きが弱まった。



 キーマは突如現れた人物に怯んだ。

「えっ誰?」



 少年は自己紹介した。

「クラビさんの第一子分、ボジャックさ!」

 髪型がワイルドで積極的そうな顔をした少年だ。黒目の服を着ている。



「子分⁉」

 子分と言った事にキーマはとても驚いた。



 クラビは言った。

「子分じゃないだろ仲間だろ」



 キーマは驚きっぱなしであった。

「貴方クラビのお友達なんですか⁉ こんな強い仲間がいるなんて知らなかった」



「紹介するよ。元雇い主のキーマさん」

「ボジャックです。宜しく」

「よ、宜しく」



 その時陰に隠れていたもう1匹のサーベルタイガーが襲い掛かって来た。

 

 そこにまたもや人影がかばう様に現れ、剣の一閃をサーベルタイガーに食らわせた。



「えっ? 今度は誰」

 そこへかなり細身の目が切れ長で長い髪で目を隠した少年が現れた。

「お久しぶりっす」



「ゾゾ!」



 少年はクラビに言った。

「ボス、大丈夫ですか?」



 またキーマは驚いた。

「えっ、ボスってクラビの事ですか? 何がどうなって」



「俺はお2人の後輩なんです。クラビさんをボスとしてとっても尊敬してます」

「ええ? 皆さん元孤児院のお仲間?」 

 

 ボジャックが説明する。

「正確に言うと『孤児院窃盗団』の仲間だな。勿論クラビも」

「窃盗団⁉ クラビが⁉ ま、まさか」



「一応本当なんだけどね」



 キーマは思った。

 だけどこの2人マジで強い。剣筋も体裁きも、クラビも同じかそれより強いのか? てっきりぺこぺこしてばかりいる戦いなんて出来ない奴だと思ってた



《ボジャックステータス》



 腕力18 体力19 素早さ22 頑丈20 魔力8 魔法耐性7

 保持スキル「怪力」





《ゾゾステータス》



 腕力17 体力17 素早さ24 頑丈19 魔力10 魔法耐性9

 保持スキル:「高速移動」





 2人共クラビより大分強い。



 ボジャックはリードするように言う。

「じゃあ、早い所森を抜けて洞窟に行こうぜ」



 そして4人は走りながら洞窟へ向かった。

 同時に敵がいないよう祈りながら。

 敵とも遭遇したが蹴散らした。





 そして400メートル先の洞窟の前に来た。

 キーマは様子を伺う。

「見張りはいないみたいだな」



 キーマは続ける。

「この情報自体相当厳重だからな。知ってる人は少ないだろう」



 ボジャックは答えた。

「でも罠があるかもしれない。気を付けて入ろう」



 4人はゆっくり石橋を叩いて渡る様に慎重に歩を進めた。どこかに兵が隠れていないか。



 そして7メートル程進むと足に何かが引っかかった。

 途端に音がなった。罠のブザーだったのだ。

 即座に奥から6,7名の敵兵が来た。



「貴様ら誰だ! 何をしている! 何故ここが分かった!」

「やるしかないのか」



 2人は構えた。しかしクラビも剣を構えたが腰が引けた。



 クラビは震えていた。

 訓練された兵が相手じゃ俺の力じゃ勝てそうにない。

 

 女の子に負けた俺なんかじゃ……恐れで心臓が高鳴る。周囲の雰囲気に付いて行けてない。



 あの2人は強くなったけど俺は孤児院で修行したけど強くなれなかった。だから好きな女の子からも身を引いたんだ。



 その時弓兵がクラビ目掛け弓を引いた。

「あっ!」



 クラビが叫ぶのもつかの間、矢は発射された。



 ところが矢に反応するように突如、クラビの右腕からアンカーが飛び出し盾のように矢を振り払った。

「な、何だあれは!」

 と弓兵達は驚いた。



 そしてクラビの意志とは関係なく自動的に猛スピードで弓兵の元にアンカーが飛び、殴り吹き飛ばした。



「え?」

 兵は驚いてひるんだ。



 キーマは喜んだ。

「すごい! それが新しい武器なんだな!」

「いや俺は何も」



 女神は言った。

「貴方が動かしたんじゃなく持ち主の危機に自動的に動いたのよ」



 ボジャックは指示する。

「よし! 剣兵は俺達が何とかする。クラビは弓兵4人を頼む」

「えっ!」



 別の弓兵はクラビを狙った。

 2本の矢が飛ぶ。しかしアンカーが防いだ。



 女神は言った。

「新しいカードを使う時よ! 『速』と『鞭』を」

 いわれるままにクラビはカードを入れた。



「今度は自分の意志で攻撃して!」

「よし! 行けっ!」



 するとアンカーは並んでいる弓兵に向かって行き、鞭のカードのとおり横に兵達を一気に薙ぎ払った。

「すごい!」



 一方ボジャックとゾゾは戦っていた。

「こいつらガキの癖に!」

 と兵達はてこずった。



 その時、奥から魔術師の様な50代の男が現れた。

「何だ貴様らは」

「あ、あんたらこそ何をここでしているんだ」

 キーマは震えた。



「私の名はアンドレイ様の忠実な僕司令官ザーゴン。我々は侵略の下ごしらえとして爆弾をここに設置しているんだ」

「やはり侵略の噂は本当だったか」



「小僧、お前はおかしな道具を持っているな。それを渡してもらおう。何なら小僧ごと連れて行って調べてやる。他の3人は殺すが」



「行けっ!」

クラビはアンカーを発したが、光の魔法で迎え撃ち相殺した。



「確かに見た事のない不思議な武器だ。だが私の魔法は破れまい」

 ザーゴンは手から炎を出した。



「すげえ火! 近寄れない!」

 

 女神が助言した。

「今度は氷のカードを入れて!」



 するとアンカーが冷却され氷の属性となり、炎とぶつかり相殺した。



 ザーゴンは動揺した。

「何だその武器は⁉ こうなれば持ち帰って報告せねばならん。意地でもいただくぞ」



 と今度は氷の魔法を放って来た。

 女神は叫んだ。

「今度は火よ!」

 

 火の文字が書かれたカードを入れると今度は火が出て敵の氷を防いだ。



「おのれ! ならこれでどうだ!」

 と暗黒の闘気を放って来た。



「ああ、あれに対抗できるカードは今はないわ!」

「ぐわ!」



 その時クラビの目が光り光の闘気を発した。

「何⁉」

「今のもアンカーの力?」

「違うわ。これは勇者にしか出せない光の闘気。これがまさか勇者の力の片鱗?」 



「ぐあ!」

 光の闘気が遂にローブを傷つけ貫く。

 これにザーゴンは怒った



「お、おのれかくなる上は!」

 と地面と岩壁に重力魔法を放ち、地割れと落石を引き起こした。



 パニックになり慌てる一行。

 キーマは半径50センチ近くの割れ目にはまり上半身だけ地上に出る状態で下半身がすっぽりはまり動けなくなった。



「くっ!」

 ザーゴンは嘲笑った。

「馬鹿貴族がはまったか! 大して偉くもないのにデカい顔をする貴様に相応しい死に方をさせてやる!」



 キーマの真上に直径2メートルはある巨大な岩が落ちた。

「わああっ!」



 しかし何とそれを下からクラビが受け止めた。

「クラビ!」

 ボジャックは驚いた。

「あいつ、あいつにいじめられてたんじゃないのか?」



 キーマも驚いた。

「な、なんで、散々意地悪したのに」



 クラビは答えず支え続ける。

 クラビの体が光る。



「勇者の力……」

 女神はつぶやいた。



「は、はやく逃げろ」



「父親も大して偉くもないがこのバカ息子はそれ以下だ! 1人じゃ何もできやしない! はまったまま無様に死ね!」



 クラビは歯を食いしばる。

「クラビ、止めろ、お前が死ぬぞ」

「うおお!」



 クラビは岩を投げ捨てた。

「はあはあ」



「くっ、あのバカ息子を殺せ」

 ザーゴンが命ずると生き残りの弓兵が起き上がり、キーマを撃った。



 矢は心臓に命中した。

「‼」



 キーマはばったりと息を引き取った。

「はーっははっは! 下半身が埋まったまま無様に死におった。バカ息子にふさわしい死に方だ!」



 クラビの中で何かがはじけた。

「くそ野郎……人を殺しやがって」

「何? 言葉遣いが変わったな二重人格か?」



 クラビは爆発した。

「人が死んで何も感じない、キレない人間がどこにいるんだこのクソヤロー!!」

「なっ!」



 そして手から闘気をだすとザーゴンを直撃した。

「うおおお」



 クラビは火炎もはじき返した。

「馬鹿な!」



 クラビのアンカーがザーゴンに重く食い込んだ。

「あぐ!」



 さらにクラビは大岩をアンカーで吸い付け、振り回した。

「ああ!」

「死んじまえ!」



 その時キーマの意識が戻った

 い、生きてる、急所を外したんだ、それにしてもクラビ、俺の、俺なんかの為に怒ってくれてるのか、俺は何て馬鹿でひどい奴だ」



 岩は激突し砕けた。

「おのれ、この借りは返す。秘密を知った上我々を敵に回して生き残れると思うな」

 とザーゴンは足早に逃げ、手下が道を塞ぎクラビ達が追えないようにした。



「はあはあ、キーマ! 生きてたのか!」

「何とか」

「良かった」



「これ緊急傷薬だ。すぐ病院に運ぼう」

「すまない、クラビ」





 一旦クレゴス家に帰った。

 クレゴスは非礼を詫びた。

「申し訳ない、何て謝っていいかわからない」



 キーマも頭を下げっぱなしだった。

「約束通り冒険に帯同してくれたお礼だ」

 キーマが宝袋を渡した。





「じゃあ俺達はこれで」



 キーマは叫んだ。

「クラビ、家に戻ってくれ! 待遇は全部変える」

「いや、俺達旅に出なきゃいけなくなったから」



「いつでも我々を頼ってくれ」

 クレゴスは頭を下げた。



「すまなかった、すまなかった!」

 キーマは涙を流した。

「いいよ」





 一方その頃、傷ついたザーゴンが王宮に入った。

 そのぼろぼろの姿に兵達はどよめき怯えた。



「えっ、ザーゴン様が深手を? 何があったって言うんだ」



 兵士は駆け寄った。

「ザーゴン様手当を!」

「いやいい、それより閣下に報告を」



 と言い王の間によろよろと向かった。

 扉を開けると女神の言った人間に化けた王らしき人物が座っている。

 彼こそ国王に化けたアンドレイと言う男だった



 45歳くらいのやや太め、がっしりとした体格の男だ。

 兵は皆傷ついたザーゴンを見て何事かと言うが、アンドレイ王は厳しい目を崩さず冷静だった。

 

 アンドレイ王は重い口調で口を開く。

「どうした」



「ご、ご報告いたします。洞窟での作業中、おかしな4人組が現れ、兵は全滅、私もこの様です。も申し訳ありません」



「4人組?」



「その内の1人は貴族クレゴスの息子でした。そいつは殺しましたが、他に3人、10代のガキとは思えない腕の立つ剣士がいまして、兵達がやられました」



「……」



「中でもそのガキの1人におかしな武器を使う者がおり、そいつの能力でやられました。

「おかしな武器?」



「は、手に付けた腕輪から紐でつないだアンカーを発射してくるのです。非常に速く重く、しかも火や氷を出したり岩を持ち上げたりしてきます」



「ぬ?それは地上の武器ではないな。それにそのガキとやらは何者だ」



「クラビとか呼ばれていたのですが、あまり戦闘的な外見でも名の知れた剣士でもありません」

「クラビだと⁉」



 アンドレイは強く聞いた。

「そのガキ、何かおかしな能力を使ったりしなかったか」

「は、手から属性不明の光線を出したり体がまばゆく光り始めました」



 アンドレイは考え込んだ。

「考えたくはないが、そいつは私が12年前に殺した伝説の勇者だ。名前が同じなのは偶然なのかと思ったが、そいつの能力や地上にない武器等、おそらく同一人物だ。間違いない」



「勇者」

「だが完全に息の根を止め記憶も封印したのに何故だ。人間に人を生まれ変わらせたり私の記憶縛りを解ける者などいない。とすれば、天界の神が何かしたのか」



「……」

「もしそうであればうかうかしておれん。何らかの理由により勇者がよみがえったのだ。なんとしてもここで潰さなければならん。直ちに追っ手を差し向けろ」



 ザーゴンは無理を言った。

「私が行きます」

「しかし、その怪我でか」

「こんな怪我など」



 その時別の司令官スタグラーが来た。

「私に行かせてもらえませんか」

「貴様の手など」

 とザーゴンは拒否した。



 しかしアンドレイは答えた。

「良いだろう。では2人で兵を率いて行け。ザーゴンは特にこれが最後のチャンスと思え」

「はっ!」





 一方、ボジャック達は道で旅を続けながら話しあった

「今後の方向としてまで何日かかるかな、馬車ないし。とりあえず最短距離を行くようにするのがベストか」



 クラビが答える。

「ただ最短距離は魔物が多く出る所に出る可能性もある。それと、もう1つはアンカーに入れるカードって地上に散らばってるんですか」



 女神は説明する。

「ええ、近くに来ればアンカーが反応して音と光を出すわ。古代文字カードを増やさないとアンカーの力を引き出す事が出来ない。これから先どんな敵が来るかわからない。その為には最短距離ではなくカードを集めながら行く必要があるわ。それともう1つは貴方自身が勇者の記憶と能力を引き出す努力をしなければならない」



「えっ?」



 女神は続ける。

「私たち神の力でも出来ない。方法は分からないけど貴方が努力をして少しずつ勇者の力を引き出せるようにする必要があるのよ。昨日の戦いでは急に技が出せる様になったけど、きっと感情とか何かが引き金やきっかけになってるのよ。だからこれから肉体や剣術の修行をして使いこなせるようにしていく必要があるわ」



「昨日、何で使えたんだろ」



「わからないけど、他人を救う為とか悪を許さないとかそういう感情が引き金になり体の1部1部が覚醒して行ってるんだと思う。肉体の努力と感情のコントロールとかで何によって力が引き出されるのかこれから考えて行かなければならないのよ。あと万能アンカーは貴方の魔力を消耗する。1日に何度も使える訳じゃないわ」





 旅は徒歩で続いていた。

 ボジャックとゾゾが言う。



「しかし大変だったな昨日は。クラビの隠された力見れて良かったけど」

「俺もびびりましたよ」



 クラビは思い出した。

「自分がそうしようというより何かに動かされてたみたいだった」



 ボジャックは言う。

「でもあいつずっとお前をいじめてたんだろ? それなのにあんなに怒るなんて」

「やっぱりすごいすよ、昔からクラビさんは度量っていうか」



 ボジャックは懐かしみ嬉しそうに言う。

「でも何か月ぶりだっけ3人揃うの。1年近くか。でもまさか悪党退治の冒険の旅に出るとはね。いつまで使用人やるのかと思ってたけど運命って本当不思議だよな」



 クラビは笑顔で答えた。

「そりゃそれを担ってる女神様がここにいるんだから」

「別に担ってると言うか救う感じね」



 ボジャックは前向きに言う。

「この先に何があるか不透明だしさっきまで大騒ぎだったし不安と言っちゃ不安だけど、でも俺はようやく日の光を浴びられた気分さ、開放感って言うか。お前も暗いクールな顔直せよ」



 ゾゾは言う。

「俺は元々こういう顔っすから」



 ボジャックは回想した。

「孤児の頃暗かったよな。俺も耐えて笑顔作ってる内によく笑う明るい人なんて言われる様にもなったけど俺は黒い部分ばかりさ」



 クラビは言った。

「パワフルで積極的じゃないか」



 しかしボジャックは言う。

「ポシティブで積極的で負けず嫌いだけどその反面恨みや憎しみの感情が渦巻いて影の部分が黒いのさ。そうなっちまうよ。窃盗団の頃は老人や女からもひったくっていた。生きる為には仕方ないって建前で」



 クラビは言う。

「マークレーがサブリーダーでひったくりすんの」



 さらにクラビは言った。

「マークレーから手紙来たよ。国を良くする活動するって」



 ボジャックは冗談交じりに言った。

「国家転覆計画でも立ててんのか」



 クラビは目標を説明した。

「マークレー達と合流するのが目的だ。仲間に加える」



「まてよそのルートだと孤児院通るよな」

「あ……」

 クラビはまごついた。



 ボジャックは言う。

「彼女と再会出来るじゃん」



 クラビは慌てた。

「別に好きじゃないよ」



「マークレーは強いけど無敵のリーダー様には逆らえなかったからな。あの人健在かな」

「元々何を考えてるか良く分からないからね」





 ボジャックは14歳の頃の孤児院の様子を思い出した。

 

 ~一旦場面は回想の中に入る~





 孤児院の簡易会議室に8人程の孤児の少年がテーブルを囲んでいる。

 勿論、クラビ、ボジャック、ゾゾも席に付いている。



 中心付近にサブリーダー的にマークレー、その隣にひょうひょうとしてるような威圧的なような不思議で異様な雰囲気の少年がいた。



 彼に気を使っているようだ。本人はリラックスムードだが。マークレイも堂々としているがどことなく彼に気を使う様にちらりと目をやる。



 マークレイの対角線上に彼と仲の悪そうなベルスと呼ばれる少年がいる。

 マークレイが司会で始まった。



「じゃあ、今夜の俺達の窃盗計画について。まず派手にやりすぎると有名になったり大事になってこの付近の警備がきつくなる。迅速に隠密にだ。誰か何か意見は?」



 ベルスは冷淡な意見を言う。

「まず、獲物は老人と女が良いだろう。力が弱く金持ってるやつが」



 物騒だな、とクラビは思っていた。

 ボジャックは賛成反対半々の様な気持ちだった。



 しかしマークレイは諭した。

「お前、誇りって物がないのか。弱いものばかり狙うって卑小だと思わないのか」



 ベルスは反論した。

「じゃあ逆に屈強な男達を狙うってのか? 時間がかかるわ強いわ、最悪こちらがやられる可能性だってあるぞ」



「わかってる」

「俺達は金や食べ物が無くなれば自殺かゴミ箱をあさるかいじめられぬくか強制収容だぞ」

ベルスに同意する少年も言った。



「俺も、強い若い男を狙って窃盗するなんてリスクとデメリットが大きすぎる」

中立的な少年が言った。

「確かにまあ卑怯さは落ちるわな」



「駄目だよ絶対的弱者だけ狙うのは。やってて虚しくなるぞ」

「俺もそう思うよ」

 とマークレイに同意する少年が言う。



 ボジャックは言った。

「何て言うか利害と自尊心のバランスじゃないかと思う」



 マークレイ派の少年が言う。

「弱者ばかり狙うほど腐ったら終わりだぞ」



 リーダーが言う。

「じゃあこうしよう。獲物に優先順位を付ける。

「え?」



「①屈強な男のグループ②に屈強な少数の男、③中年の男、④少年、⑤老人、⑥女、の順でターゲットにするんだ」

「優先順位かあ」

「それで良いかな?」

「は、はい!」



 マークレイは外で屈強な若者に襲い掛かりカバンを取ろうとする。当然相手は反撃してくる。こういうタイプは悲鳴を上げたり助けを呼んだりしない事が多い。もみ合いになった。

 しかしマークレイはパンチで吹っ飛ばし逃げた。



 そして追って来た若者にリーダーが立ちふさがり凄まじい威圧と手の波動だけで吹き飛ばした。

「ひええ、リーダー桁違い」

 そしてゾゾは当身で別の男を気絶させた。



「今日の稼ぎこんだけか」

「逆に金持ちだけを狙ったらそれもきたねえ感じがする」

 とマークレイ達は数えた。



 悪い事をしてるのは百も承知だった。

 生きるために他人を狙うなんて理由にならない事は分かっていた。ゴミ箱の残飯あさりがいやだから。

 

 飢えと欠乏で自分の正気が失せて行き倫理観を無くした。

 親がいれば怒ってくれたろう。



 その後しばらくして出来た教会に一時的に引き取られ俺達は魂を清め悪い事をもうしない様祈った。その後各貴族に引き取られた。しかしそこでも生活は厳しくまた人を恨みそうになった。







 ~回想は終わる~



 

 場面は現代に戻りボジャックは言う。

「でもさ昔のクラビってどう見ても窃盗団って顔じゃなかったよな。マークレーが無理やり入れたようなもんだけど」



 クラビは謙遜した。 

「良くいる見張り役だよ。俺は弱いし、引っ張れないし、マークレー達の方がはるかに強かったし」



「マークレー頼りになるよな。俺は獲物を見つける先導役だったけど。あっ獲物っていえばさ狩りしないかモンスターを」

「いいすね」



「そのアンカーを使えばお宝を持った強いモンスターとも戦えそうだ」

「あっでも、あまり私利私欲の為使うとまずいそうなんだ」



「そうなの? 女神さん」

「うん、でもまあ少し位はいいわ、貴方達とっても苦労したから」



 ボジャックは思いついた。

「じゃあやろうぜ。クラビも上手い者食ったりしないとまたケーキ事件みたいなの起こすかも知れないぞ」





 こうして3人は狩りを始めた。最初は肩慣らしに弱いモンスターから。

 そして巨大なサイの怪物をアンカーで倒した。



「この『サイゴン』ってモンスター、皮膚と角が高く売れるらしいぜ」

そして今度は巨大なゴリラの怪物を倒した。



「こいつ毛皮が売れるらしい。大収穫だ。一気に金持ちだ」

「あまりお金儲けに走らないでね」



「こういう時抑えてくれたのがクラビなんですよ。いつも盗みをためらって皆を止めようとしていた」

「最初は自信なげだったからはねられちゃったりしたけど」



 ボジャックはクラビに感謝し褒めた。

「でもお前は盗んだ物返しに行ってたんだろ」

「ん」



 さらに褒めた。

「だから尊敬させるんだよ」

「クラビさんてじわじわいい所が伝わる人すよね」





 しばらくして今度はトロールに遭遇した。



「『重』と『投げ』のカードを!」

 女神が指示し、素早くクラビはインストールする。



 対峙している3メートルはある巨人の魔物、トロールは怪力に任せて岩を投げた。

「木を引っこ抜いた時と同じ要領で!」



 アンカーを飛んで来る岩に吸い付け動きを止めた。そして落ちた岩を持ち上げ振り回した。

クラビは自分の体が自分で無い様だった。

「すげえ!」



 そして岩を投げ返した。惜しくも命中せず避けられてしまったがトロールを動揺させるに十分だった。

「高速移動」をゾゾが使い、華麗な動きでトロールをかく乱する。



 そして隙をついてボジャッも切り込む。悲鳴を上げたトロールの顔面に「重」のカードを入れ攻撃を重くしたアンカーを当てると流石に倒れた。



「よし、やったぞ!」

「次の魔物に行こう。経験と金を集め、俺達のコンビネーションもアップさせないと」





 今度は大きな熊だった。

「こ、今度は狂暴そうだぞ爪に気を付けろ!」

「良し」

 

 クラビは火のカードを入れアンカーを振り回す。火に怯え立ち尽くす熊の怪物。そこから奇襲的に火炎放射を浴びせると見事に利き腕に命中した。



 この為熊の特異な爪攻撃は使えなくなった。

「よし行ける!」



「怪力」のスキルをかけ攻撃力をあげるボジャックはすかさず切り込み熊の熱い肉を切る。

これが致命打になった。



 ボジャックは言う。

「アンカーの威力はやっぱすげえよ。今のレベルじゃ勝ちにくい魔物でも勝てる。経験が多く入るぞ」



「よし近くに魔物の気配が無くなったしここで一旦特訓しよう」



「アンカーで俺達を攻撃してくれ!」

 言われたクラビはまず「高速」の状態にしスピードに自信のあるゾゾを攻撃した。



 素早い動きで伸縮するアンカーをかわすゾゾ、何発かかわして見せたが、汗が出始めた。



「速い……」

 剣で上手く防ごうとしたが弾かれてしまった。



「よし次は俺だ。『怪力』のスキルをかけた状態でアンカーを正面から受け止める」

「大丈夫か?」

「重くきついものを持ち上げて耐える程レベルアップが早くなるんだ」



 頼み通りクラビはボジャックめがけアンカーを放った。

「くっ!」

まるでドッジボールの体勢である。

「ぐぐ!」



 両者が踏ん張る、そして、何とかボジャックがはじいた。

「はあ、はあ、弾いたのはいいけどもう力がない」



「そう言えばお前の努力とかでアンカーの威力上がるのか?」

「ええ、努力、鍛錬によって勇者の力を引き出す事によりアンカーの力が上乗せされるわ」

「じゃあ剣の特訓をしよう」



 ボジャックは疲れた。

「はあ、疲れた。そろそろ食事だからお金を「持ってそうなモンスターを狙おうぜ」

「それがね、あまりお金儲けに使うと駄目になったりするのよ」



 と言いながらボジャックはお金を持っている有名なモンスターゴールドシェパードを狙った。

「やった!これで儲かるぞ」

「あっアンカーの光が消えちゃった」

「アンカーを欲望で使うとしばらく機能停止したりするの」



「すこーし贅沢したかっただけなんだけどなあ」

「しかし、アンカーが使えないんじゃ強力な魔物が出るとまずいすよ。早めに宿に行きましょう」

「案の定アンカーも調子がおかしくなってきた」



「ん?」

クラビは何かを感じた。

「何だ?」

「悪い気配が」





「モンスターか?」

「嫌これは悪意を持った人間の気配です」



 その時兵が前後を塞ぐように現れた。

「追っ手か!」

 

 兵は答える。

「貴様らは軍の秘密を知った。それだけではない。貴様は勇者の生まれ変わりだと言う疑いがかかっている。よって捕らえアンドレイ閣下の元へ連れて行く」



「何だって⁉」

「何であいつらがそんな事を知ってるんだ」



 新しい司令官スタグラーが言う。

「ふふん、アンドレイ様もそうだが、俺は勇者の力を感知する力があるのよ」

「新しい幹部か」



 スタグラーは続ける。

「お前は殺さず捕らえてやる。他の2人は知らんが」

「くっ、やるしかないのか。でも今アンカー使えないんだろ」



「俺とボジャックさんは戦えてもクラビさんは危ないすよ」



 ボジャックはクラビに言った。

「お前先に逃げろ。あいつらは俺達はそんなに重要視していない。お前が一番目を付けられてるんだ」



 ボジャックとクラビは揉めていた。

「しかし、俺だけ逃げるなんて!」



 ゾゾもボジャックに共感した。

「女神様からも人間からも、クラビさんは未来の希望になる人なんですよ。ここで何かあったら」



「弓兵が3人もいる。厄介だな」

「くそ、アンカーが使えれば遠距離攻撃出来るのに」



 弓兵はクラビを狙った。

「危ない!」

 ボジャックは素早くクラビをかばい飛んだ。



「うおおお!」

 倒れた2人に兵が襲い掛かると、ゾゾが立ちふさがり剣で防いだ。

「すまない!」



「ふーん」



 相変わらずスタグラーは余裕綽々だ。



 ゾゾは感情的になった。

「俺はお前ら何かには負けない」

「何⁉ ガキのくせに!」



 スタグラーが兵を止めた。

「じゃあ、私と勝負してみるか?」

「?」



「え?」



「はああっ!」

 ゾゾが沈黙を切る様にきりかかったが軽くかわされてしまった。

「速い!」



「ふん」

 とスタグラーは鼻で笑った。



「くそ!」

 と珍しく熱くなったゾゾは再度切りかかるが軽くかわす。



 あいつ強い、剣には大して習熟していない俺にも伝わってくる。それに余裕綽々で戦いを楽しんでるみたいだ。それに勇者の力が分かるってあいつ一体」



 スタグラーは一通りゾゾの剣をかわし、剣ではなく蹴りでダウンさせて見せた。

「ゾゾ!」



「お2人とも、俺に構わず逃げて下さい」

「そんな事!」



「うおおお!」

 突如クラビは飛び出した。使い慣れない剣で。



 スタグラーは言う。

「おお、勇者の力が見れるかな!」

「ゾゾから離れろ!」



 とクラビは切りかかったが、軽くかわされ同様に蹴り倒されてしまった。

「どうした、この程度かな」

「くそ!」



 何とクラビは剣を捨て素手で殴りかかった。

「なっ!」



 スタグラーは動揺した。

「貴様どういう事だ剣を捨てて素手とは」

 クラビは答えない。



 あいつ逆上して冷静さを失ってる。



「面白い奴だな。それとも勇者の力を見せるのか?」



 その時火炎弾が飛び地面に当たって燃えた。

「誰だ!」



 そこにはクラビ達と同じ17歳程の少女が立っていた。

 耳にかかる部分もあるショートヘアのであるが、クラビ達と違い貴族的な良い服を着ていた。



 スタグラーと兵は少女を睨んだ。

「魔法使いか」

「貴様も仲間か」



「いいえ、通りかかっただけよ!」



 その時アンカーが光り作動可能になった。

「よし!」

 素早くカードをセットし火炎を放った。



「ぐあ!」



 さらに少女も火炎弾を放ち周囲に火が拡がる。

「くそ!」

「今の内に逃げましょう!」



 少女のリードで4人は森を駆け抜けた。

 少しして兵達は追いかけて来た。

 

 突如クラビ達は透明になり姿が消えた。

「何? 消えた?」



 そして大きな火炎弾が飛んできて兵達を蹴散らした。



 少女はそこにいた魔法を使ったらしい貴族に言った。

「お父さん!」

「えっ、親?」



「皆、逃げるんだ!」

「こっちよ!」



 一行は必死に逃げた。

「助けてくれてありがとう。僕はクラビ」



「俺はボジャック」



「私はジェイニー、宜しく」



 そして父と呼ばれた男も来た。

「兵士達に幻覚魔法をかけておいた。これで見失うだろう」



 しかし、あの司令官凄まじく強い……また追って来るだろうか。



「案内するわ私の家へ」



 そこは貴族の屋敷だった。

「大きいなあ」

「さっ、入って」



 そして案内された。

「私は父親で当主のパルマ―だ」

「ありがとうございます」



「娘と魔法修行をしていたらおかしな気配を感じてね。間に合って良かった。じゃあ昼食にしよう」



 大きなテーブルについた。

「嬉しいです」

「助けてもらったのに食事まで」



「気にしないでくれ。これも何かの縁だろう」

「いただきます」

「君達、家は?」



「僕は住み込み使用人だったんですが追い出されました」

「ええ?」



「で、今は旅を続けています」

「どこへ向かってるの?」



「えっとに調査に行く任務があってそこで友人と合流します」

「泊まる場所は?」



「お金は一応あるんで宿に泊まります」

「大変ね」



「今日は泊って行きなさい」

「本当ですか?」



「嬉しいです! しかしこの肉おいしい! 初めて食べました」

「えっ、肉食べた事ないの?」」

「ジェイニー!」



「調査の旅って? それに何で追われていたの?」



「アンドレイ王を調べて倒して欲しいって依頼なんです」

「誰からの?」



「め、女神様」

「ええ」

「ああ、こいつ少し変わってるんですよ」



「嫌、本当の事を言おう。あと証拠を」

 と言って女神が入っている瓶を開けた。



「えっ? 軍と戦って命を狙われてる?」

「はい、だからすぐ去ります」



「でも3人だけで大丈夫なの?」

「あんまり大丈夫じゃない」



「私、旅に同行していい?」

「ジェイニー?」



 ジェイニーは言う。

「突然ごめん、でもとても大変な任務で国の人達の事もかかっているんでしょ? 私も力になりたい」

「ええ、ああ」



 ボジャックは思いつめたように無言でいる。

「嬉しいけど、結構危険かも」

 そして冷たく言った。

「断わる」



「え?」



 ボジャックは続ける。

「そりゃ助けてもらって食事までもらってとっても感謝してます。ただジェイニーさんが同行するって言うのは話が別です」

「私じゃ力不足かしら?」



 ボジャックは説明する。

「いや、その、魔法使いとしての力は申し分なさそうなんだけど、何て言うか、はっきり言うけど、あんたはお金持ちで育ちが良い貴族のお嬢さんだ。だからはっきり言うと育ちの良い貴族の女なんて旅の足手まといになる」



「……」

「はっきりいうわね、私が何も出来ないみたいに」



 雰囲気やばい」

 と感じたクラビはフォローした。

「いや、こいつは女の子を巻き込みたくないんだよ、こいつ素直じゃないから」



「うるせえなそんな理由じゃねえよ。例えば俺達は食べ物が無くても我慢できるけど彼女だけ我慢出来なくなるかもしれないだろ。それに野宿するかもしれないし」



「我慢するわ」

「やった事あるの?」

 嫌な言い方をボジャックはする。



 ゾゾは言う。

「俺も反対です」

「温室育ちで俺達みたいな野良犬とは違うから駄目っぽいよ。それにあんたは無理して同行する必要性もない」



 ジェイニーは言う。

「何でこういう事はやったことないって知った様に言うの? 私の人生何でも知ってるって言うの?

「うっ!」



 何て口喧嘩の強さ……

「もういいわ!」

「あーまったまった」

 ジェイニーは席を立った。



 パルマ―は抑えた。

「まあ気にしないでくれ」



 何よ馬鹿にして、私が女だからって言うのもあるんじゃ……



 ジェイニーは悔し涙を流しながら自室にこもり明かりを消し机に座った。

 ボジャックに言われた事で過去の辛かった記憶が思い起こされた。



 ジェイニーの回想に入る。

 ジェイニーが13歳の時学校旅行で島に行ったがそこでジェイニーの班だけはぐれてしまった。

 

 捜索隊も来ない。何とかメンバーたちは集まって助かろうと知恵を絞った。



「救難信号を送れないか」

「思い切っていかだ作るとか」

「ああ、俺達の無力さを知らされるよ」



 ジェイニーは言った。

「そんな、無力なんかじゃない、みんな必死に考えてるじゃない」

「で、ジェイニーは何か案ない?」



「えっ、私は……」

 男子生徒達は溜息をついた。

 ジェイニーは自分が一番何も出来ないような気持ちになった。



 次の日ある男子生徒が言った。

「食料がない。生きる為にはトカゲや蛇も食べなきゃいけないかも」

「えっ⁉ 嫌よそんなの!」

「仕方ないよ」



 男子生徒の1人が言った。

「これだから育ちのいい女は……」



 これがぐさりとジェイニーを傷つけた。



 女子生徒は3人、男子生徒は4人だった。

 その夜男子生徒達は女子の所に来た。



「ねえ、毛布とか貸してくれないか?」

「えっ?」



「女の子を野宿させる気?」

「力仕事とか俺らがやってんだぜ。じゃあやってみろよ」



 次の日ジェイニーは薪割りをやろうとしたが上手く出来ない。

「貸して見な」

 男子生徒はそっけなく言った。



 「じゃあ、火を起こして」

これも上手く出来ない。



 また怪我をした生徒の応急処置も血を怖がって上手く出来ず他の女子生徒が行った。



「駄目だなあ、だから育ちの良い女は駄目なんだよ」



 彼らの言葉にジェイニーは傷つき、夜寝床で泣いた。

 結局男子生徒達の工夫で救難信号が届き全員無事に帰れた。



 しかしジェイニーの心にしこりは残った。



 回想は終る。





 再びジェイニーの自室。

「育ちが良いとか、女だからとか2重の意味で馬鹿にされた上に皆の足を引っ張った。あれから自立出来るよう、言われない様様々な努力をした。そんな気持ちも知らないであいつ」



 そこへノックが聞こえた。

「ジェイニーさん、いい?」



 そこへクラビが来た。

「クラビさん」

「あの、大丈夫? ボジャックがきつい事言ってごめん。俺から謝るよ。あまり気にしないで」

「クラビさん、優しい~」

「あ、いや、ボジャックも優しいんだよ。あいつは本気で心配してる時しかあんなに言わない。女の子を巻き込みたくないからかも」



 ゾゾは部屋の外ですました顔で聞いていた。



 その夜ジェイニーが寝てから外で声や物音がしてジェイニーは恐る恐る窓の外を見た。

 するとボジャックとゾゾが剣の手合いをしている。

「こんな遅くに? しかも他人の家に泊まった日まで……」



 翌日パルマ―は言った。

「ああ、ちょっと考えてる事があって、もう1日だけここに泊まってくれないか?」

「え、あはい」

 

 ボジャックはジェイニーの部屋に行った。

「すまんです」

「え?」

「さっきは強く言い過ぎた」

「……」

「ごめん泣かせて」

「えっ?」

「さっき泣いてるのを見ちゃったから」

「いいわ、怒ってないから」



「俺に魔法を教えてくれないか?」

「え?」

「俺遠距離攻撃できないから」

「でも1日じゃ」

「1日でがんばるだけ頑張る」

「良いわ、教えてあげる」







 その時突如、外部からガラスを割り矢が呼んできた。

 パルマ―は強く言った。

「誰だ‼」



 ゾゾは颯爽と外に飛び出し、ボジャック、クラビの順番で出た。

 するとスタグラーが兵を連れて来た。



「ここがばれたか!」

「パルマ―さん達を巻き込むな」



「条件次第ではある。用があるのは君達だけだ」

 皆剣を構えた。



「弓兵が多いな」

「ふん、その通りだ、君達は遠距離戦の方が苦手と思ってね編制を変えたんだ」



「大丈夫だ。俺のアンカーがある!」



 しかしスタグラーは言った。

「ふふ、君の相手は私1人でさせてもらう」



「そうは行かない! 俺が弓兵の相手をする!」

 と言いクラビはアンカーではなく剣で突っ込んで行った。



「あいつ何でアンカーを使わないんだよ!」



 クラビは思った。

 あいつ、何か剣で勝負したくなってくる何かを感じる。

 クラビはその「何か」に吸い寄せられた。



 スタグラーは向かって来るクラビを笑みを見せて待ち構える。

「うおおお!」

 と気迫全開でクラビは切りかかったが、軽くかわされた。

 

これにクラビは少し動揺した。

「くそ!」

 少しやけになり剣を連発したがいずれもかわされた。

 剣がぶつかったが弾かれた。



「くそ!」

 スタグラーは笑みを交えて言う。

「例の武器を使ったらどうだ? 勇者の力を見せてみろ」

「くっ!」



 女神は忠告した。

「焦らないで、ここは『高速』のカードを入れて、あいつとても動きが速いわ」



 クラビはスロットにカードを入れ、クラビはアンカーを射出した。

「うおおお!」



 だが遠距離からの攻撃もかわされてしまった。

「これもかわすのか!」

「どうした?」



「まだだ!」

 2発、3発と放ったがこれもかわされた。

「もう少し近づけば」



「駄目よ、あいつに有利な間合いになるわ!」

「じゃあ!」



「もう1枚『高速』のカードを入れて! 威力ではなく徹底して速度重視よ」



 指示に従いカードを入れもう一発撃った。

「このスピードならかわせまい!」

「ふん!」



 しかし今度はかわせずアンカーが剣に巻き付いた。

 しかしここから踏ん張られてしまった。相当強靭な腕と足腰だ。

「あいつ細身なのに何て力」



 ボジャックとゾゾは慎重に弓兵と戦っていた。

 ゾゾは提言する。

「クラビさんが苦戦してる! ボジャックさん、ここは俺が引き受けますからクラビさんを助けて下さい」

「無理だ! お前1人じゃ!」



「『高速移動』」

 と詠唱しゾゾは高速移動スキルをかけた。

 ゾゾのスピードがアップし、弓矢攻撃を1,2発避けた。

「早くクラビさんの援護を!」



「だ、駄目だ、ゾゾ1人でこの人数は」



  ボジャックは後ろを振り向いた。

「ジェ、ジェイニー、君の魔法で援護してくれ。俺が弓兵を倒す」

「わ、分かったわ」



 ジェイニーは火炎弾を放った。

 命中し悶絶する弓兵。さらに別の兵にも放った。

「私の魔法力じゃ致命打を与えられない」

「大丈夫、後は俺達に任せろ!」



「私もだ!」

 とパルマ―も火炎弾を弓兵に放った。

 ゾゾがハイスピードで切りかかる。



 一方クラビは何とか当てる事は出来ても剣で防がれていた。

「く、くそ!」

「あいつの間合いに踏み込ませないで!」



「俺に力の片鱗があるなら目覚めてくれ!」

 するとアンカーが光りスピードがアップした。

「ぬ!」

 スタグラーは変化に気づいた。



 そして食らいダウンした。

「これが勇者の力、面白い、もっと引き出してやる」

 立ち上がったが包囲された。



 「ぬっ?」

「幾らあんたでもこの人数相手じゃ無理だろ」

「ふん」



 と観念したスタグラーは煙玉でまいて逃げてしまった。





「手強かった」

「でもお前の勇者の力も見れたぜ」



「じゃあ、そろそろおいとましないと迷惑がかかるから」

「実は頼みがある」

 とパルマ―は切り出した。



「え?」

「ジェイニーを連れて行ってやってくれないか?」

「ええ?」



「決して足手まといにはならん、いやならない人間にならなければいけないのだ」

 クラビは言った。

「OKですよ」



 ボジャックも優しく言う。

「さっきの戦い、君がいなきゃ勝てなかった。今後も君の力が必要になりそうだ」

「じゃあ」

「宜しく頼むよ」

「ええ」

 ボジャックは赤くなった。

 

 道で一行は話し合った。

「これからどっちへ?」

「最終目的は城、何だけど、まず俺達の各所に散らばった仲間に合流しなけりゃならない。皆頼もしいぜ」

「後カードを集めなきゃ行けないんだ」



 3キロ程歩いた。



 疲れた。

 とジェイニーは言いそうになったが喉で止めた。

 皆、汗もかいてないし息を切らしてない。私も足手まといにならない様にしなくちゃ。



 クラビは言う。

「こっちは確か魔物が多いよ」

「戦いながら行こう。レベルアップとコンビネーション上達をかねて」



 そして怪物が現れた。

「日光コウモリ」と言う夜行性でないコウモリ。

「小型一角獣」

「4つ足オオトカゲ」



 の3匹だった。

「よし振り分けよう、動きの速い一角獣はゾゾ、防御の高いトカゲは俺、空を飛んでいる相手はジェイニー」



 この振り分けはベストだった。お互いに得意で相性の良い相手を選択した。

 そして倒した。



「でさ、こっちの方向だと中継地点に行くんだけど」

「けど?」

「寄りたくないような」

 ジェイニーは聞いた。

「何かあるの?」

「俺達の孤児院があるんだ」

「そうなんだ! でも何で寄りたくないの?」



「こいつがさ」

 クラビを指さした。



「こいつの好きな女の子がいるかも知れないから」

「ええ!」



 クラビは怒った。

「言うなよ! 別に好きでも何でもねーよ! 勝手な噂流されただけだろ」

「その割には仲良かったろ、あーでもある頃から話さなくなったよな。何で」

「だから何でもないって」





 そして孤児院に着き、職員が出迎えた。

「おお、3人とも無事で! たくましくなったなあ」

「ここ昔と比べ子供達静かですね」

「そりゃそうだ、有能で優しい女性職員がいるからな。ほら」



「マリーディア!」

「わあ、久しぶりみんな! 元気そう!」 

 

「彼女は親が見つかって引き取られた後この孤児院の職員になったんだ」

「恩返しがしたくて」

「素晴らしい」



 マリーディアと思い出話に花が咲いた。

 ちらちらクラビは目をそらしている。ゾゾは気づいていた。



「これで夕食食べて来なさい」



 街の割合上質な食堂に行った。



 クラビは本当にどぎまぎしていた。何せ女の子と二人きりも珍しいのに好きなマリーディアだからである。状況が信じられなかった。勿論昔クラビはマリーディアをデートに誘う勇気などなかった。



 クラビにとってマリーディアは高嶺の花だった。色々な意味で。

 緊張で沈黙が続く。



「綺麗な店だね。何かどう振舞っていいか。マナーとか。汚い服で周囲から浮いてそう」

「そんな事ないわ」

「あ、何か初めてねクラビと2人で食事」

「う!」



 クラビにはそれがマリーディアにとって嬉しいのかよく分からず慌てた。確かめてもみたいが。

 会話がいまいち続かない。ドリンクに唇をつけ溜息をついた。

 マリーディアは動作が上品である。



 回想した。

 孤児院時代13歳のクラビが思い切ってマリーディアに2人きりで話しかけた時、子供たちが寄って来た。

「こらー! エレン姉ちゃんはみんなの人気者なんだぞ! 独り占めするな!」

「そうだそうだ!」

「うっ」



 何か悪い気がした。

 マリーディアはクスリと笑った。

 マリーディアは同級生たちに人気があり良く男子が話しかけてくる。クラビはいまいち目立たないので上手く話しかけられなかった。タイミングを掴めないと言うか。孤児院の地味なポジションに甘んじていた事もありこのころ段々とマリーディアは高嶺の花と思う様になった。



 食べ物を巡って喧嘩が起きた時マリーディアは叫んだ。

 何とナイフを首元に当てた。

「やめて! やめてくれなきゃ自害するわよ!」



 皆呆然とした。

「マリーディアて度量もすごいよな。美人で優しいだけじゃなく。あと剣術も強い」



 剣術の授業で男子を何人か負かせて見せた。クラビもあっさり負かされた。

この頃から身を引こうと思い始めた。それに彼女には親がいる手掛かりがあるらしい。いずれ引き取られるんだろう。



 ぼーっとした回想を終わる。

「また孤児院に戻って来たんだ」

「うん、恩返しでね」



「恩を感じられるって素晴らしいよ。俺も含めて孤児は少なからず世の中恨んでるから」

「私も恨んだ事あるわ」



「そうなんだ」

「なるべく人には見せないで」



「ふーん、あまり想像できない。エレンて本当に気高い人格者って感じで、卑小な所がないって言うか。みんなそういう目で見てるよ」

「嬉しい」



「ボジャックやゾゾとはよく会ってるの?」

「あまり会う機会なくて、もっぱら手紙、でも今回呼んだら来てくれた。悩み相談とかは普段あまりしない。暗くなるから」



「真面目で相手に配慮出来るのね」

「あっ、いや」



「マークレイ達とは?」

「ああ、マークレイも元気そう」



「大丈夫?マークレイの話したら表情と声が一段階暗くなった」

「えっ、そう?」



 それには理由がある。

 マークレイは怖い所もあるけど本当に頼もしく良い奴だ。でもよくエレンと仲良さそうに話してたから仲良さそうだなーと。



「マークレイ本当にすごいリーダーシップと行動力ね。切れやすいけど」

「あいつ昔からすごいよ」



「窃盗団やらなかったらね」

「あっ、俺も仲間だったから。多分今はやってない」



「でもマークレイ達少し怖い。クラビの方が話しやすい」

「え?」

「心遣いとか出来るし」

「俺孤児院の時目立たなかった」

「皆結構大事な存在だと思ってるわよ。なくてはならない」

「あ、ありがと」



 エレンも思ってるのかな



「ちゃんと食べてる? いじめられてない?」

「られてるね。ただ屋敷を止めたから。これからは旅しながら勇者の力を引き出さなきゃ」

「努力家ね。クラビみたいに自分を抑え、前へ前へ行こうとする人を抑える。そういう人が社会に必要なのよ」



「ああ、おいしかった、ねえ、貴方にとっては久しぶりの町を少し歩いてみない」

「え?」

「思い出話とか出来そうだし」

「えっ! はっはい、受けさせていただきます!」



 クラビはカチカチだった。一方マリーディアは何故緊張してるのか分からなかった。

 外へ出ても相変わらずぎこちない、しかし何とか平静を装った。



 2人きりで街を……夜のデートみたい。

 でも一方で緊張もするけど夢みたいだ。俺は昔エレンと上手く話せなかったから。



「どう? この町懐かしい?」

「大分変ったね。だけど変わってない所は変わってないって言うか、においみたいな物かな」

「においねえ……」



「だけど、大分町の人の暮らし良くなってるみたい。昔は浮浪児がいたよね一杯。俺達も含めてさ。であの頃は食べ物を分けてもらおうとすれば水をぶっかけられて追い出された。だから俺達も荒れて人間不信になって窃盗とか始めたんだよね。でも君は最後まで止めてた」

「私もそういう冷たい目に合った事があるから人間の全部が好きと言ったら嘘になるわ。だけど何とか荒れて悪い方向に自分がなったり皆がならない様に抑えてた」

「強いんだね」



「クラビに『皆を止めて』って言った時、貴方は恐る恐るだけど止めようとしてた」

「皆に睨まれて最後まで言えなかったけどね」

「でもよく皆を抑えてたじゃない。そういう縁の下の力持ちっぽい凄さがあるわよね」



「縁の下の力持ちっぽい凄さかあ。そんな事初めて言われた。俺目立つ人、積極的な人、中心になる人にああなりたいと劣等感感じてたから」

「集団の中で状況を見て皆を諭す役割って皆より落ち着いていて自制心もないと出来ない事なのよ」

「そういう見方もあるんだ……俺ってじわじわ長所が理解されるタイプなのかな」



 物乞いの少年がいた。

「これ食べて」

 とマリーディアはためらいなくパンをあげた。続いてクラビもあげた。

「優しい」

「嫌君には負けるよ」



「俺達が窃盗団やってた事どう思ってる? 嫌ってる?」

「はじめはそれこそ猛反対だったわよ。仲間達が犯罪まがいの事をするなんて。前に『自決する』って言って喧嘩を止めようとした時みたいに必死で止めようと思った。けど」

「けど?」



「でも孤児は多くの人が犯罪に手を染めたり喧嘩とかもしてる。そうしなければ生きて行けないから人を変えてしまうんだって。『自分はならない!』って思うのは自分だけいい子で特別な人だと思ってるみたいで、皆の気持ちが分かってないみたいで止めるの躊躇したわ。『絶対許さない!』なんて言えかった。

「……俺もう窃盗何てやらないから」



 そこへ変な若者たちが来た。

「おおーかわいい子みっけ!」

「こりゃすげえ上玉だよ!」

「俺達と遊ばない?」



 クラビはアンカーも剣も持ってきてない。

「や、やめ」

「なんだお前」

 殴られダウンしてしまった。



「ああ」

「行こうぜ」

 マリーディアは連れてかれてしまった。



 倒れたクラビの所にボジャック達が来た。

「何? マリーディアがさらわれた?」

「ふがいない」

「俺が助けにいってやる」



 俺はやっぱり弱いんだ、だから身を引いたんだ。



 しばらくしてマリーディアは見つかった。

「何とか煙に巻いて来た」

「クラビしっかりしろよ」



「怒ってないわ」

「マジ天使な人」



「本当、心の広い人ね」





 そして孤児院に戻ると建物の外壁が攻撃された。

「くっ!」

「敵軍が来た! もうばれたか!」



「よし、行こう!」

 マリーディアは言う。

「私も行くわ!」

「でも危険じゃ」

「大丈夫」



 そこには傷を治したザーゴンと魔法使いの部隊がいた。

「魔法使いが多いぜ」

 魔法使い達は火の弾を撃って来た。

「これは俺達が不利だぜ」

「私が迎え撃つ!」



 ジェイニーが前に出て炎を撃ち相殺する

 しかしジェイニーしか迎え撃てる者がいない。

「あの娘に攻撃を集中しろ!」



「危ない!」

マリーディアが前に出て手甲をシールドにしてかばおうとする。

「何だあれ? 万能アンカーに似てる」



 マリーディアの手甲が光り、火炎弾を受け止めた。

「何?」



 そして驚く兵達に反射の様に撃ち返した。

「ええ?」



 皆驚いた。

「何だあれ? 万能アンカーに似てる」



「そう、私が神の使いから貰った『シールドブレス』これがあれば相手の攻撃を受けて跳ね返せるわ」



「おのれ!」

 魔法使い達は火炎弾を放ったが受け止めて見せるエレン。



「ボジャック、ゾゾ!」

と言いマリーディアは2人に吸収したエネルギーを分けた。すると2人の剣の威力や動きがアップした。

「分ける事も出来るのか!」



「ええい! 私がやる!」

と言いザーゴンは遥かに強力な魔法を撃って来た。これにはマリーディアも苦戦した。

「くくっ、きゃあ!」

 マリーディアは吹っ飛ばされてしまった。

「マリーデイァ!」

「そのアンカーごと破壊してやる。この前の借りを返す!」

激しい炎を撃った。アンカーの火炎で対抗するクラビ。



 しかし相手の火の方が強い。

「ぐぐ!」

「お、俺の力目覚めてくれ!」



 全身に気合を入れた。少しずつ火炎の力が上がるがまだ足りない。

「俺はこの復讐に全てを賭けているのよ! 貴様ごときが敵うか!」

「ぐぐぐぐ!」



「クラビ!」

「エネルギー受け取って!」

 

 与えた。

「良し!」

 クラビのアンカーのパワーがアップし押し返した。

「ぐああああ!」





「やった!」



「大丈夫?」

「ありがとう女神様」

「お願いがあるんだけど」

「え?」

「旅に同行してほしいの。クラビの力や支えになって欲しい」

「でも孤児院の仕事が」

「お願い」」

「ちょっといいもの見せてあげるから来て」



 とクラビの寝室に案内された。

「マリーディア……好きだよ」

「!!」



 マリーディアは翌日思わせぶりな態度でクラビの所に来た。

「私も旅に同行するわ」

「えっ!」

「夢の続きを知りたくなって」

   

 クラビはどぎまぎし照れていた。

     

 

「じゃあ、次の目的地に出発」

すると職員が困りながら応対する偉そうな人物が門に来ている。

「な、何だ」



「お金は何とか返しますから! 買収はしないで下さい」

「いつまでに返せるんだね? こんなぼろい孤児院に当てがあるのかね」



「失礼じゃないんですか?」

「マリーディア、良いんだ!」



「ほう、女性職員さん、やはり今日もお綺麗だ。先日の件は考えてくれたかな」

「……」





「マリーディアをこの人の嫁にすれば借金を半額にしてやると言っているんだ」

「何だと!」

 ボジャック達は剣を向けた。

「おっと、これは金の契約の問題だ。暴力はおかしいと思うが」

「ぐっ!」

 ゴーゴスと呼ばれるかなり力のある商人は孤児院を狙っていた。



 クラビはめずらしくむきになって反撃した。

「わかりました返せばいいんでしょ」



「1000万だよ分かっているのかな」

 完全に馬鹿にしている。



「1000万3か月で返します」

「出来なければ建物と土地とマリーディア君はもらうよ」

「クラビ!」



 ボジャックは怒った。

「啖呵きってどうすんだよ。どういう当てや計画があるんだ」

「ない」



「ほらみろ!」

「じゃああのまま買収されて黙ってろって言うのか?」

「感情的になると普段言わない事言うよな。それも勇者の記憶なのか」



「とにかくモンスターを倒しまくる!」

「はあ……」



とにもかくにも4人は少し強いモンスターが出てくる危険地帯に行き戦いを続けた。



かなりのスピードと鋭い嘴を持つ大鷲。

火炎を吐くリトルドラゴン。

狂暴な首狩り族等。



しかも連戦が続く為、アンカーはずっと使えない。

こういう時こそ能力配分やエネルギーのセーブや戦略が必要なのだ。



例えばリトルドラゴンの火炎を危険を承知でエレンのガードシールドで受け、ゾゾにエネルギーを渡して反撃が強烈そうな首狩り族を一撃で倒す等。



ジェイニーの魔法で大鷲を狙う。

アンカーはリトルドラゴンの火炎を上手く氷で防ぐときに使い一網打尽の使い方はしなかった。



「皆、焦りは禁物よ」



 あいつ、孤児院が買収されるのも嫌なんだろうけど一番はエレンが嫁に取られる事なんだろ。それであんな必死で感情的に。



 大雪男は怪力で襲い掛かって来る。

 巨大マントヒヒは遅いが重い攻撃をする。





 ここでもエレンが活躍し。重い攻撃をガードシールドで受けてエネルギーをボジャックにわたして攻撃する。ジェイニーは後方支援、ゾゾは高速移動で攪乱する。





 今のレベルに相応しくない強敵だったが、何とか能力の組み合わせで倒すことが出来た。

 経験値も稼いだ。しかし疲労懇唄だ。



「はあ、はあこのペースはマジきついぜ。確かにこのペースじゃないとお金たまらないだろうな」

「でも私達のパーティにはヒーラーがいない。疲れとダメージが蓄積していく」



「だめだ、これ位じゃ」

「いやそうはいってもさ」

 



 レベルも上がっていた。



【クラビステータス】

レベル8  力17 体力17 頑丈さ15 素早さ18 魔法19 魔法耐性27

(アンカーを付けた効果で魔法防御は高い)



【ボジャックステータス】

レベル12  力26 体力28 頑丈さ28 素早さ26 魔法11 魔法耐性13



【エレンステータス】

レベル12  力25 体力26 頑丈さ25 素早さ32 魔法25 魔法耐性28





 現在金貨40枚に銀貨が60枚ほどだった。



「やはり、無茶しすぎはまずいぜ、マラソンを全力疾走するような物だ。落ち着けよ」

「そうね、例えばギルドで報酬の多い仕事を探すとか」



「後は真面目に宝を発掘でもしないかぎり無理だ。北の海で海底に宝が眠っているなんて言うけどそんなのはただの伝説だ」



「金塊を金山に掘りに行こう」

「ええ?」

「業者が採掘権持ってるんじゃない?」

「駄目で元々、行こう」



2日かけて金山に異動したがそこにはやはり業者管理者がいる。

「君達は契約業者?」

「いえ個人です」

「それは無理だよ」

「お願いですかくかくしかじかで、孤児院を救うにはもう」

「事情は分かりますが」





「弱ったな」

「難しいかも知れないけどここの領主に会ってみない? 私の父のつてが利くかもしれない」





 一方敵国では報告と会議が行われていた。



「また、アンカーを持ったおかしなパーティにやられたのか」

「はい、しかも今度はもう1人見た事もない武器、相手の攻撃を受け止める手甲のような物を持った女が現れました。あんな物は地上で見た事がありません」



「恐らくそれは天の神の武具だ」

「地上ではない」

「そうだ、選ばれた者にのみ降臨した神が与える地上の武具と比べ物にならない威力を持つ武器だ。12年前の戦いで私はそれに手こずった。まさかまた使う者が現れるとは」

「奴らは毛が生えた程度の剣術や魔法の使い手でしかありません。ですがその武器のせいで何倍もの力を発揮しています」

「それとだ。その片方の小僧は間違いなく勇者の転生者だ。記憶は封印してあるが命をどうやったか得たようだ。それも神がやったのか。今の焦点は2つ、アンカーとやらの威力をさぐり奪うか破壊する事。もう1つは小僧の勇者の力を確かめる事だ」



「私にお任せください」

「私にも意見を話させてください」

「言ってみよ」

「今、その天の武具を手に入れた物がいないか捜索中です。またそれを我が軍が手に入れられ、我々が使えるよう改造したり、また多くの者が使えるように新しいものを我が軍で開発するのです」

「その試みは12年前の戦いで我が軍は試した。しかし同様の物を作り出す事は出来なかった」

「しかし、それが出来る可能性があるのです」

「何だ」

「現在あまりにも天才過ぎて理解されず学会を追放されたある学者をさらう予定です。その男なら天の国の武具を解析し同様の物が作りだせる可能性が高いのです」

「しかし、それ程の天才等いるのか」

「あるいはその男ならば」



「よし、次に勇者たちが現れる場所を調べ攻撃、さらに武具を持った人間と博士をさらえ」



 町外れの人が少ない家に老人博士は住んでいた。

 昼間から酒を飲んでいる。

「どうせ儂の研究など誰も理解しないのだろう」



 そこへ軍兵が来た。

「誰じゃ」

「「我々と一緒に来てもらおう」



 その後警察やギルドの広報で博士誘拐か、行方不明の話が町に流れた。

 クラビ達にも聞こえた。

「物騒だな。何を企んでるやつらがいるんだろう」

「あの博士変人扱いされてるわよ。そんな人を利用するかしら」

「人間関係のトラブルとかじゃない?」





 そしてクラビ達は領主ミッシェル邸に着いた。

「パルマ―様のご息女ですか! これはこれは!」

「他の4人はボディーガードよ」





そしてすんなりミッシェルに謁見させてもらえた。

「君達は」

「はい、実は、僕達の孤児院が買収されそうになってまして、3か月後に1000万払わないと行けないんです。さらにこの人を嫁にすれば半分にしてやるとまで」

「ふーむ」

「で、僕達にはそんな金を3か月で用意する方法はありません。だから金山を掘りたいんです」

「で新規に契約参入するという事かね?」

「ノウハウも設備もあるのですか」

「ないです」

「いや、金山掘りなんて誰でも出来る事じゃないよ。君達は子供だから分からないだろう」

「駄目ですか」

「というか仕組み自体をよく分かっていないと思うんだ」

「でも、俺達は何とか孤児院を救いたいんです」

「ふーむ。では私から援助をしよう」

「えっ⁉」

「一つ仕事を頼まれてほしい、採掘場に現れる盗賊たちを倒して欲しい。そうしたらお礼をあげよう」

「あの報酬は」

「200万でどうかな」

「ありがとうございます」



「あの相談なのですが、現実的に僕達が1000万手に入れるのはどういう方法があると思いますか」

「うーむ。稼ぐのは無理かもしれん。となればよほどの地位のある者に建て替えてもらうしかないのではないか」

「……」

「地位のある者、そうだ、もし、もしもだよ? 君達が救国の英雄にでもなればその御礼として孤児院に寄付してくれるかもしれん。あ、いやもしもだが」



「そ、それはすごい」

「えっ? たとえ話なんだけど」



「じゃあ敵軍を倒して王様に認められればあるいは」

「希望が見えて来たぞ」

「目的も一緒だしね」

「でも3日月でそこまで強くなるのは」





「よし目標は定まった。でも目標に速く突っ走りすぎても駄目だ、地道な努力が必要だ」

「その通り」



「例え目的地に速く移動できる手段があったとしてもそこで待っている敵がおれたちのレベルを超えてたら意味がないんだ」

「そう」

「だから目的地移動をしながらも経験とお金を地道に貯めながら行く」

「そうだな」

「ていうかお前がリーダーなんだからお前が引っ張ってくれ。うなずくだけじゃなくて」

「俺がリーダー?」

「皆リーダーだと思ってたんだぜ。最初は地味だったけど」

「皆が言ったん?」

「言った」

「何故俺が」



「何故? が何となく伝わる人だからじゃないか」

「……」

「俺が 引っ張るんじゃなくお前が引っ張ってくれ。俺が剣の腕をみがいたのはいつかお前の役に立つ為だったんだ」



そうよね。皆良い所が伝わっていて理解している。強くリーダーシップは握らないけど。



「じゃ、じゃあ、まず自分のレベルにあったモンスターを倒して少しずつ強くなろう」

「そうだな、それが過ぎると無理が大きくなる」





 そして魔物に遭遇した。

大犬が一匹、毒蜂、大コブラの3匹に遭遇した。



 ジェイニーは前と同じように魔法で空を飛ぶ毒蜂を攻撃する。



 大犬はゾゾとエレンが攻め、ボジャックは大コブラを倒す事に。

「俺は怪力スキルを使って硬くて強い奴を狙い倒す。ゾゾとエレンはテクニックとスピードで素早くて攻撃力もある犬を頼む」

「毒に気を付けて」

「俺は待機?」

「違う、お前は犬と毒蜂を交互に相手してくれ」

「俺は何で専門がないの?」

「アンカーを使わない時は専門がないじゃん」



「これでいいのか」



「よし、俺はジェイニーが蜂に刺されない様盾になる」



 蜂は猛毒針を持って向かってきたが、クラビはジェイニーをかばい、アンカーで網を作ってバリアにした。

「入れるカードは『防御』と『網』」



 ボジャックは言う。

「俺は大きくて攻撃力のある相手を倒す。反撃を受けにくいよう怪力をセットする」



 エレンとゾゾは何とか大犬の動きを捕らえようとしていた。狂暴な上とても素早い。

「俺の高速移動使っても良いけど先長いすからね」

「地道に攻めましょう」



ジェイニーは火炎弾を2発かわされてしまったが続いて雷撃を上空から呼びこれが命中し倒した。上からの攻撃はかわし切れなかったようだ。



 一方大犬がゾゾに噛みつこうとしたが身のこなしでかわした。

「高速移動が使えなくてもこの位は」



徐々に2人が攻めて間合いを詰めゾゾが止めを刺した。

そして毒噛みつきを防いだボジャックは大コブラを倒した。



「ふう」

「俺が一番疲れてないしダメージも受けてない」



「皆大丈夫か」

「ヒーラーがいないからきついすよ」



自分の存在が薄いと感じていた。



 俺は勇者として覚醒して力を得なければならない。

 こんな事じゃ!





 しばらくすると盗賊団に出来わした。相手は4人だ。

「うおおお!」



 といきなり1人でクラビは突っ込んで行った。

「あいつアンカー使わずにどうする気だ」



 盗賊団は思った。

「あの構え方や振り回し方、あいつ大した腕じゃないぞ」



分が悪いことを承知で1人で4人相手しょうと突っ込んだ。

距離が近くなるほどにクラビは念じた。



 勇者の力よ出てくれ! 大きくなってくれ!

「あいつ自分を追い込むために?」



 ジェイニーが体勢を整え魔法でけん制した。



 1人に当たったが他の3人はクラビが一遍に相手し、剣で3人の剣を防いだ。

「なんだこいつおとり役か? 1人で無茶に突っ込んできやがって」



もっと追い込まないと! 俺は勇者の力を引き出せない!



「無茶よやめてっ!」

 勇者の力がないと皆を守れない! そしてこれから多くの敵と戦い多くの人を救うには俺が本当の勇者の記憶と力を取り戻さなければ行けないんだ。

「そこまで……」





「まずい! あのままじゃやられる!」

 と言い終わる前にゾゾは大急ぎでクラビを教出に飛び出した。







いつもの冷静な感じではなく、なりふり構わないがむしゃらさと必死さがあった。

 一方クラビは苦戦していた。嫌あたかも苦戦に身を置いたかのように。

「なんだあこいつ仲間をおいて1人だけで俺達と戦ってるぜ?」

 盗賊たちは戸惑いかつ苦笑した。

 クラビはなりふり構わず剣を振った。

 「うおおお!」

 と叫び声を上げる。しかし必死さはあるが隙も多い。

ぐさりと背中を小刀で切られた。

「ぐあ!」

 ひるんだクラビを盗賊の1人が羽交い絞めにした。

叫びながらもがくクラビ。前から盗賊が小刀で切りかかった。

そこへ、まるで乱入と言う言葉がふさわしいかのような勢いでゾゾが飛び掛かり前方の盗賊に飛び蹴りを喰らわせた。

あまりに速い不意打ちに盗賊は口を切ってもんどりうって倒れた。

「おらっ! 俺が相手だ! こいや!」

 と目をむき出しにするように睨み挑発した。

 そしてゾゾはたけり狂う様に盗賊たちに切りかかった。

クラビははっと我に帰り、同時にゾゾの様子が変な事に気づいた。

「どうしたんだ、ゾゾ。マジに切れて怒ってる」



「怒りもあるがお前を必死にそれだけ守ろうとしてるんだよ! 命も惜しくない位に! あいつ前にいったろ、クラビは絶対に殺させない自分にとって絶対のリーダーの先輩だって」

「あいつそこまで何で俺の為に」

「お前は自分を過少評価してる、いつも影が薄い、端っこ、ぺこぺこしてるとか」

 ジェイニーも励ます。

「クラビさん前私を励ましてくれたじゃない、しかもボジャックをかばいながら。目立ちたがり屋でなくても」



「自然と人が集まって来る感じ」



 ゾゾは怒り狂い獅子粉塵の動きで盗賊たちを倒した。

 その強さに皆シーンとしたが我に帰ったクラビの様子に対してもであった。



「落ち着け、仲間に頼れ」

「はあはあ、すまないおれのせいで迷惑かけた」



「何も危険な状況に追い込む事だけが力を引き出す方法じゃないわ。地道な努力だってものすごく大事よ」

「今日は宿で休もう」



 その夜宿に泊まるとクラビは外で剣を振っていた。

「俺は勇者だ。だから努力して力を引き出さなければいけない。でも戦闘中にそれをやったら皆の足を引っ張ってしまう。だから1人離れた所でやるんだ」



はっはっ! と精神集中しながら剣を振る。何かを掴み見切ろうとするかのように。

「やらないでやっておけばよかったと後悔はしたくない」

「そうだな。でもその土台を支えるのは皆の着実な努力と想いだ」

「皆」

「出来る事があれば付き合うよ」

「ごめん皆スタンドプレーして。いつもは周りの事ばかり考えてるのにその反動なのか。ジェイニー、雷を落としてくれないか」

「ええ?」



 クラビは避雷針の様にジェイニーの雷撃を剣を天に向けて構える事で受けた。剣と全身に電撃が走る。

「くっ……」





「よし今日も移動しながら敵を倒して経験を稼ぐ」

「皆、昨日はすまない。でも俺は危機感を感じてる。あと3か月しかないんだ。これからはさらに大きな戦いを求めなきゃ行けない。それで名声を稼いで王様に頼む。人の剣と盾にもなる。そして孤児院の為にも名声がほしい。



「孤児院は大事だ俺だって。ただ人の命より大事かっていったら違うだろ」



 ジェイニーは思った。

 もしかして大事なのは孤児院よりエレンさんが人質にされる事、だからそんなに必死になって



 「自分の勇者力が覚醒する事に賭けているんだ」



「エレンさんを助けたいんじゃ」

「成程なーそれを口に出したら好きって言ってる様なもんだし」



マリーディアは泊った後窓の外を見た。

「夜景が綺麗」

とそこに剣を振る音が僅かに聞こえ、下に目をやるとクラビが庭で剣の訓練をしている。

「クラビ……」

 いてもたってもいられなくなりマリーディアは外に出た。

「クラビ!」

「マリーディア……」



「こんな夜更けに特訓? ろくに休んでないじゃない」

「いや休んでいる暇ないよ」

「昼間あれだけ戦ったじゃない!」

「まあ1人特訓だから怪我する心配ないし」

「で、でも休まないと駄目よ! 追っても魔物もいつ現れるか分からないし」



「俺はもう前みたいにのんびり屋でいられないんだ。勇者としてリーダーとして」

「でも、皆で苦労を分かち合えば……一人で戦うと皆に心配かけるわよ」



「いや皆と連携するのを拒否してる訳じゃないし、皆の気持ちも考えてるさ。でもそれ以上に俺は本気にならないといけないんだ」

「貴方は変わった。良い方にだと思うけど、でも追い込みすぎ」

「後連携を拒否なんかしてないよ、ほら」



「おまたせ」

 ジェイニーが来た。

「彼女にも特訓付き合ってもらう」

「冬の夜風はお肌に悪そうだけどね」



「魔法を避ける特訓?」

「いや」

「え?」



 ジェイニーは不安な顔で言った。

「じゃあ、本当に良いの?」

「ああ」



「はああ」

 ジェイニーが詠唱をするとクラビに雷が落ちて来た。

「ええ?」

「くっ、くく」

「まさか」

「そう、避けないで受ける特訓」



「そんな! 死んでしまうわ!」

「俺の記憶の中にあるスキルを習得するにはこれをやらないと駄目みたいなんだ。『急速冷却』ってスキルは火炎とかを食った時体を自動的に冷却する。これがあれば魔法や火炎放射とかを使う相手に有利になる」



「無茶よ!」

「俺のレベルもかなり上がってるんだ、なぜなら『戦闘中レベルアップ』と言うスキルを獲得したから」



 クラビステータス

力78 体力79 敏捷84 頑丈76 魔法84 魔法防御83



 ジェイニーは言う。

「短期間にずっと強くなってる」

「よし来い!」



また雷撃を受けた。

「ぐ、ぐおお」

「やり過ぎた?」



「大丈夫、もっと来てくれ!」

夜中3時まで特訓は続き『急速冷却』を習得した。



次の日一行はギルドに行った。

「鉱山に行く前にクエストをしてお金を稼ごう」

「うーん、1000万にはほど遠いわね」



「よし、これにしよう」

 とクラビは決断した。



 それは「ミドルドラゴン退治 90万ゴールド」

 である。

「ドラゴンか……」



「これ位じゃないと経験もお金も貯まらない」

「よし、行くか」





 平原に出現し旅人を襲う一匹のミドルサイズのドラゴン退治という事だった。

 かなり強敵であまり他の冒険者は手を出さなかった。



 マリーディアは心配で仕方なかった。



 そして遂にドラゴンを攻撃できるまであと一歩の場所まで来た。

「うわ、ミドルサイズでも結構デカい」

「火炎放射の距離が分からないから慎重に」



 まずジェイニーの火炎弾で攻撃したが全くドラゴンには効かない。

「げ」



「魔法が駄目だとアンカーしか遠距離攻撃ないよな」



「いや、アンカーはやめる、経験が入らない」

「じゃあ突っ込むのか」



「俺とボジャック、ゾゾとマリーディアで囲む様に剣で突っ込むんだ。あいつも一度に複数方向に火炎は吐けない」



「よし!」



 4人が走り近づくとドラゴンは本能で吠えた。

ゾゾとボジャックが前2方向、クラビとマリーディアが横2方向からにした。



 しかしドラゴンは頑丈だ。

 ゾゾとボジャックは切り込んだ。しかし手ごたえが浅い。血も少ししかでない。

「硬い鱗だ」



マリーディアが間髪入れず攻撃したが同様で、クラビが右少し後方から切りかかった。

前方3人にドラゴンの気が行っている状態でクラビが渾身の一撃を浴びせようとした。



 しかしドラゴンは驚くような速さで首を後ろに向けクラビ目掛けて火を吹きそうになった。

「あぶない!」

 かろうじてかわしたがドラゴンの関心はクラビに行っている。

「仕方ない!」



カードを入れ替えたクラビはアンカーを射出した。そしてドラゴンの口に捲きつけ口が開かなくした。

「いいぞ!」

ところが、である。

 ドラゴンは首の力だけでアンカーをクラビごと投げた。アンカーも口から外れた。

 そしてダウンし体勢を直そうとするクラビに遂に火炎が放射された。

「あ!」

「きゃあああ!」

 ボジャックとマリーディアが叫んだ。

 クラビの体が火に包まれた。

「あのままじゃ!」

「よせ! 君まで巻き込まれる!」



「ぐあああ!」

 灼熱の熱さでクラビは悶えた。

「こんな所で! 俺は孤児院とマリーディアを救い、皆を守れる人間になるんだ! こんな所で!」

 体も精神も限界に来ていた。

「うおおお!」

 クラビが叫ぶ。

 するとこの危機に覚えたての急速冷却が発動した。クラビの体は冷却されて行き、転がって距離を取った。

「よし!」

 クラビの体が光りだし、パワー、スピードとも大きく上がった。そしてドラゴンに致命的な一撃を加えた。

 叫び声を上げドラゴンは死んだ。



 そして半ばの町の宿で休みを取り、鉱山に向かった。歩く事3時間半、遂に到着した。

 警備兵が外にいる。

「あの、仕事で言いつけでここのガードをする事になりました」

「そうか宜しく頼むよ」

「あれ?」

「どうしたゾゾ?」



「変なにおいが」

「あっまだ勝手に入っちゃ!」



 ゾゾは大声を上げた。

 行ってみると兵の死体がある。

「えっ!」



「ばれたか、我々はアンドレイ閣下の部下、偽の警備兵よ」

「くそ、もう回り込んでやがったのか」

そして奥からも入り口から、2方向から兵が来た。



ゾゾ、マリーディア、ボジャックは奥の敵を、クラビ、ジェイニーは表の相手をする事になった。

「ジェイニー、下がってろ。あいつらは俺が相手する」

「大丈夫なの?」

「大丈夫。俺のレベルは大きく上がってる」



表から来た兵士達はがなった。

「何だ小僧、お前1人で相手をする気か」



クラビは剣を構えた。前とは比べものにならない程自信に満ちている。

そして兵が切りかかって来た。落ち着いて受け止め迎え撃つクラビ。

そして遅れをとることなく渡り合う。



「ほう精鋭相手に」

そしてぶつかり合いの末一人目の兵士を切った。クラビはノーダメージだ。

「ぬおっ!」

「さあ、次はどいつだ」

「なめるなあ!」



勢いよく2人目が襲い掛かって来たがクラビは堂々とし、落ち着いている。受け身ではあるが敵の攻撃をかわしいなしていく。

「くそ、いつの間にこんな動きを!」

「……」

クラビは一貫して落ち着いている。そして隙を突き2人目も切り倒した。

「ぬお?」

「今度は俺が!」



しかい3人目もやがて倒された。

「すごい3人抜き! あんなクラビ見た事ない!」





一方のボジャック達は弓兵相手に苦戦した。

「盾があれば」

「俺の高速移動レベル2でかわして見せます」



 ゾゾがおとりになりかわし何とか反撃のチャンスを伺う。

 「遠距離攻撃出来るやつがいれば」

「そこへジェイニーの火炎弾が来た」

「え?」

「クラビさんは1人で大丈夫だって。不安だけど」

ジェイニーの魔法で弓兵を弱らせ隙を伺った。



 すると表からスタグレーが現れた。

「くっ!」



「やばいぞ! あいつと手下が相手じゃ!」



「ふふ、心配するな、私は一騎打ちしてやる。皆下がれ」

「一騎打ち?」



「クラビは私と一騎打ちする。君達はせいぜい頑張り給え」

「何を企んでいるんだ」



「勇者の力を引き出してやろう」

「何故そんな事を言うんだ。どうせ何か悪い事を考えているんだろ」



「どうかな?」

「よし、受けて立つ」



剣がぶつかる、しかしクラビは必死の表情なのにスタグレーは余裕綽々だ。

「ほう、随分変わったな。見違える程だ」

「……」



「良いぞ! 力が上がって来る」

「何故喜ぶんだ?」

「私は君を真の勇者にしたいんだよ」

「だから何故?」



「君に勇者として統治者になって欲しいからだ」

「ええ?」

「もちろんこれは私だけの考えで軍の仲間には行っていない」

「勇者の統治?」

「そうだ。私の教わった宗教は勇者が降り立ち人を救い理想国家を作るとある」

「何で? あんたはアンドレイの部下だろ? 悪い事をしようとしてるんじゃないのか」

「私はアンドレイが統治者と思っていない。君に統治してほしい」

「言ってる事がさっぱり分からない」



 ボジャックが言った。

「あんたクラビをだましてクーデターにでも使うつもりじゃないのか」

「そんな低次元な事ではない」



この人の言ってる事は……



 そしてスタグレーは剣を収めた。

「これ位で良いだろう。私は引く、選手交代だ」

 すると表から新しい幹部らしき男が出て来た。



「俺の名はドードリアス、司令官の一人だ」

 ジェイニーは火炎弾を撃った。しかしなんと剣で受けた。

「あの剣一体?」

「それだけじゃない剣さばきもすごい」



 クラビは突然倒れた。

「すまない力を使い過ぎた」

「クラビ!」



「はあ!」

ブレスガードを前に出し大剣をマリーディアは受けた。

「物理攻撃も吸収出来るのか!」

 しかし押された。

「ぐっぐぐ」

「ほう、特殊な防具を持っているようだな、だが女の力で持ちこたえられるか」

「ぐぐ」

「ふふ」

「きゃあ!」



 マリーディアは弾かれたしかしすかさずゾゾとボジャックに吸収したエネルギーを分け与えた。

「よし、力がアップした」

切りかかる2人、一見良い勝負をしてるように見えるがドードリアスは大剣を使っているのに剣さばきがすごい。しかも余裕がある。

「もっとだ、ゾゾ!」

2人は気合を入れて攻めたが、やや押されている。

「何て野郎だ」

 そして2人共切られてしまった。



 しかし倒れたクラビのアンカーが突如動き向かって行った。

 ドードリアスはかろうじて防いだが巻き付いた。

「持ち主や仲間の危機に自動反応した」

クラビは立ち上がった。

「ぐ、ぐうう」

「その体で俺の剣を防げるかな」

「戦いの中で能力を目覚めさす」

剣を捨てた

「なっ!」

「あいつ自分を極限まで追い込む気か」



そして剣を右腕で受けた。血は出たが切れない。

「何故だ人間の手だぞ!」

「パンチを見舞った」

しかし通用せず逆襲の蹴りを喰らった。

「素手で向かって来る馬鹿な勇者の出来損ないが!」

「ぐあ!」

鎖骨を切られたが致命傷でない。

「何故だ」

「一時的に頑丈さが物凄い上がってる」

「うう……」

大剣を振り回して疲れ始めた。



「く、くそ!」

 どうなっている、人間の体なのに何故切れない。

 クラビの目が光った。

「あの剣はあそこが弱点か」

 すかさず剣を手にしドードリアスの剣を突いた。すると折れた。

「ば、馬鹿な!」

「よし!」

 ここぞとばかりにアンカーを出して洞窟の岩を掴んで振り回し岩を激突させた。ドードリアスはろっ骨が折れた。

「た、頼む、命だけは助けてくれ」

 クラビはそれ以上何もしなかった。

勇者の記憶を封印された超貧乏使用人少年の冒険(仮)

執筆の狙い

作者 元々島の人@別所
p8755136-ipngn20802marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp

「小説家になろう」で連載をしたく書きました。テーマは社会では小さくさげすまされている人がやがて大きな力と勇気を持ち戦い平等な世の中を作る、等でしょうか。
40000字の所で一旦区切りました。

コメント

偏差値45
KD111239161248.au-net.ne.jp

>勇者である少年は悪人のアジトの城で戦っていた。
 そして世界を救った。
 王になり、支配や私欲ではなく弱者が救われる世界を作った。
 これは、少年の頭によく浮かぶ白昼夢のような映像だ。
 しかし夢は醒め、現実に引き戻された。

説明文になっているので、わくわく感が伝わらない。
より具体的な描写の方が望ましいかな。
または、ナレーター的な言い方。
で、現状はかなり「雑」なので、手抜きに思えてしまうかな。

>場所は変わって、ここは我々の人間界とは次元の違う異世界の一国、デュプス王国。
 夢で少年勇者がいた世界とは同一である。
 その中の、ある貴族男爵の屋敷の狭く汚く質素な住み込み部屋である。

うーん、分かりきったことを書いているので、ここはどうか?
と感じますね。
むしろ、デュプス王国の説明があった方がまだマシかな、とは思えます。
で、貴族も男爵も身分を表示しているので、どちらかあればいいと考えます。

>「小説家になろう」で連載をしたく書きました。

どうせ書くならば、一番面白い作品を書いて欲しいのですが、
まだその領域まで届いていないですね。
一話づつ、丁寧に作ったらいかがでしょうか。

元々島の人
p8755136-ipngn20802marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp

偏差値45さん、ありがとうございます。
冒頭が説明文でわくわく感が伝わらないと言うような事は恐らくネットで初めて指摘された事だと思います。気がついていませんでした。具体的描写の方が良いと言う事ですね。

後屋敷の描写がわかりきっているのはすぐ直せる場所なので直したいです。
「1番を目指してほしい」私は今まで「上位ランキング入り」が目標と書きましたが一番と書いた事はありません。やはり多少おこがましかったとしてもその位の強い気持ちが必要ですね。

南の風
softbank060091003055.bbtec.net

二行で読むのを止めようと思った。
二行も三行も空ける意味が分からない。
句点「。」がない文章が不注意では済まされないほど多い。
二十行ほどで読むのを止めた。
余った時間で自分の作品の推敲をした。

元々島の人
p8755136-ipngn20802marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp

ああ、そうですか。すみません、ありがとうございました。

夜の雨
ai203186.d.west.v6connect.net

「元々島の人@別所」さんへ。

導入部から妖精のような少女が出現するところまで読みました。

行間を空けすぎとかの読みにくさはありますが、御作の内容自体は、読みにくくはなかったです。
状況は、わかるように描かれていました。
キャラクターも伝わります。

ただ状況は伝わりますが、「臨場感」がありませんね。
空想の世界を描いているのだから、現実の私たちの世界を書くよりも、臨場感を出したほうがよいと思います。
その場に、読み手がいるように感じさせるということです。
御作のようなライトノベルは、世界観を演出するためにも臨場感は必要だと思います。


行間の空けすぎの読みにくさのほかには。

御作を読み進めるうえでも「一章、二章」とか「1、2、3、4」とか、区切りをつけて、どこまで読んでいるのか、わかるようにしておいたほうがよいですね。
読んでいると、だらだらと続いて行くように感じるので。

ほかには。
「何故か」というような言葉がよく出てきますが、作者さんの癖だと思います。
できるだけ使わないようにしたほうがよいですよ。
使わなくても、意味は伝わるので、また、伝わるように書けばよいので。



導入部から読み進めていて、ストーリーはわかります。
現状までだと「飛ばして書いているわけでもなくて」主人公がおかれた立場が、エピソードにより描かれているのではないかと。

今夜中に読んだところまでの感想を書きます。
御作はかなり長いので、全文は読めないと思いますが。

「ワードパット」に取り込んで読んでいます。
ちなみに、御作は一度に全文が取り込めないですね。
三つにわけて、取り込みました。
「ワード」の方だったら、一度に取り込めると思いますが。
違うパソコンを起動させなければならないので、ワードは使っておりません。


よろしく。

元々島の人
p8755136-ipngn20802marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp

夜の雨さん、肯定的意見をくださりありがとうございます。状況等が伝わっていて良かったです。臨場感についてですがこれもあまり指摘された経験がなく努力していかなければいけない点だと感じました。後癖も直したいです。先まで読んでくださるのは大変嬉しいです。

夜の雨
ai202254.d.west.v6connect.net

「元々島の人@別所」さんへ。


「ザーゴン」という「敵の魔術師」とキーマ率いる主人公たち「クラビ」とその仲間(ボジャックとゾゾ)。
の闘いの「最初の終了」まで読みました。

貴族クレゴス(キーマの父)から礼を述べられて、引き留められるが、「クラビ」とその仲間(ボジャックとゾゾ)のあらたなる旅立ちへ。
というところまで、読んだということです。

作者さんは、かなり物語が書ける方ですね。
ストーリーだけではなくて、キャラクターとか構成力(盛り上げ方)もある作品でした。

一応、ここまでで、ひとくぎりつきました。

主要登場人物

クラビ(主人公)

その仲間(ボジャックとゾゾ)。

貴族クレゴス

キーマ(息子)


「ザーゴン」(敵の魔術師)

ですが、キャラクターは敵味方を含めて、みなさん違和感なく活躍しました。
これは書けそうで、なかなか書けません。
とくに「キーマ」は「クラビ(主人公)」のいじめ役だったのですが、クラビと洞窟で「ザーゴン」と対峙することになり、死の危機に相対することになり、クラビに助けてもらい(巨石を受け止めるという、自分が危ない目をしてまでキーマを助けた)命びろいしますが、そのあたりでキャラクターが変化(クラビに対して)するのですが、これが、かなりうまいやりかたです。
エンタメにしても文学にしても、人間が死に直面して考えが変化するところを描くのはかなりの技術が要りますが、御作は、それが出来ていました。
また、その前にサーベル・タイガーが出現して、クラビ(主人公)とキーマの危機を煽りますが、そこにボジャック、そしてゾゾが登場してタイガーをしとめるという手法はなかなかでした。
このあたりも含めて洞窟へと向かいクラビたち一行が、敵兵とか「ザーゴン」(敵の魔術師)と戦うことになるのですが、この時はまだ、クラビは武器の使い方に手慣れていなかった。
ちょいとやばい雰囲気の中での戦いで。
戦いの場面での闘争テクニックはうまかった「盛り上げ方」。

作品の流れとか、主要登場人物の登場の仕方は特に違和感はありませんでした。

気になったのは「女神」の描き方ですが。
クラビに武器の使い方などを伝授しますが、女神自身相当の力を持っているはずなので、どうして「わきから、クラビを助けているのかが理解不能でした」。
中途半端なことをせずに、女神自身が鉄拳をふるえば、事の進行はスムーズに行くと思いますが。
クラビがザーゴンと戦う場にも女神は出現していましたが、わきから応援しているだけでした、この不思議?(このあたり、女神の役割をはっきりとさせておいた方がよい)。


御作の問題点は、(女神のほか)。
最初の感想でも書きましたが「臨場感」の描き方が足りないですね。
というか、書けていません。
あと、描写力が足りていない。
御作の場面場面を描写したり、臨場感も必要ならするべきです。
戦いの場の臨場感は必要。
地の文章を書く勉強も必要です。

今回は御作をワードに取りこんで読みました。
一応「40000字」少しオーバー。チェックしました。
原稿用紙枚数にしたら「328枚」でした。
普通は「40000字」だと原稿用紙(400字詰め)枚数は「150枚」くらいだと思いますが。
まあ、いちいち計算していませんが。
「40000字」を原稿用紙に詰めて書くと「100枚」ということなので。
50%余分に空きを見て、原稿用紙150枚ということです。

御作はスカスカでかなり読みにくかったです。
ワードで読むと、「6行ぐらいしか、一度に表示しない」ので。
童話を読んでいるような調子でした。
それで長い作品を読まされるので、読むスピードが落ちます。

というような感じでした。

御作は、このあと、クラビ(主人公)とボジャック、そしてゾゾ一行が、新たなる旅に出るようですが、続きは読めたらこの連休中に感想を書きます。

それでは頑張ってください。


お疲れさまでした。

元々島の人
p8755136-ipngn20802marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp

ありがとうございます。大変嬉しいです。キャラの活躍や存在感、また死に直面して考えが変わるくだりなどかなり見せ場なので頑張って考えました。キーマは最初死ぬ予定でしたが改心する話に変えました。それで良くなったかとも思います。後最初主人公が戦うのに戸惑う感じにして仲間より弱くしました。ただ臨場感があまりない事や女神が指示してるだけで神なのに、と言う感じは私も時々感じます。そう言った所も考えて行きます。ありがとうございました。

通りすがり
119-173-139-201.rev.home.ne.jp

元々島の人@別所さま。
「勇者の記憶を封印された超貧乏使用人少年の冒険(仮)」、
駆け足ながら拝読しました。

想像力、構成力はおありですね。ヨーロッパのいろいろな制度も
調べていらっしゃるなと感じました。

最初の、落としたお金を探すシーン、良かったです。
でも、奥のほうにいるデカいネズミに指をかまれて
熱を出すとか、悪さをしていると誤解されるとか
せっかくお金を見つけたのに、盗んだと誤解されるとか、
さらに広げられるかなと。

孤児院から、主人公を拾ってきた領主、子供たち、
絵に描いたような意地悪で、異世界ものとか、
新しい設定、風景ばかりでは把握だけで疲れるので、
「ド定番」で安らぎ、というのは非常にいいと思いました。

新たなキャラが次々出てきて、「あなたは実は誰それで」とか
「敵は誰それよ」「倒しにいきましょう」とか
どんどん駆け足になってしまったのは惜しい。



他の小説投稿サイトは、連載もできる代わりに、投票ランク
とかあるようなので、トータルの枚数、1話の長さ、
1話ごとの展開とか、戦略的に練るとよろしいのかなと
思いました。
下に、ざっとお話の進行順に骨子を抜き書きしてみましたが、

5歳で町で迷子になって孤児院に。その前の記憶がない。
意地悪な領主に雇われて、つらい日々。
自分が英雄になって悪を倒し、世直しする夢を見る。
困った時に、妖精みたいのが見えた、助けてくれた? 幻?
孤児院にずっといたってよかったのに。
町は幸せそうな家ばかり。
やけくそで犯罪をやらかす。
仲間と出会う。出自、使命、敵を知らさせる。奮起。戦い。大団円。


順番を変えるとか、いろいろ実験ができそうですね。
意地悪な領主の、意地悪な子供たち、「孤児のどんくさい下働きが
いい指輪なんかしやがって」と速攻でぶんどりそうですが、
そこらで、波乱が起こせるかなとか、いろいろ刺激を受ける作品です。
ありがとうございました。

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